SNS等を活用した相談体制の構築に関する当面の考え方(最終報告)

平成30年3月28日
いじめ防止対策協議会

1 はじめに

 いじめは、いじめを受けた児童生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものである。平成25年に成立した「いじめ防止対策推進法」にのっとり、平成6年に我が国が批准した「児童の権利に関する条約」、平成27年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」(SustAInable Development Goals:SDGs)の趣旨も踏まえつつ、児童生徒の尊厳を保持する目的の下、国、地方公共団体、学校、地域住民、家庭、民間団体その他の関係者が一丸となって、いじめの問題の克服に向けて取り組むことが強く求められる。
 こうした中で、いじめを含め、様々な悩みを抱える児童生徒に対する相談体制の拡充は、相談に係る多様な選択肢を用意し、問題の深刻化を未然に防止する観点から、喫緊の課題となっている。文部科学省においても、平成28年度より、24時間子供SOSダイヤル(音声通話による相談)について通話料を無料化するなど体制の整備に努めているところである。その結果、平成28年度中の24時間子供SOSダイヤル相談件数も約4万件と前年度と比較して約2倍に増加している。
 一方、スマートフォンの普及等に伴い、最近の若年層の用いるコミュニケーション手段においては、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が圧倒的な割合を占めるようになっている。加えて、先般の神奈川県座間市におけるSNSを利用した高校生3人を含む9人の方が殺害された残忍な事件を受け、ネットを通じて自殺願望を発信する若者が適切な相談相手にアクセスできるよう、これまでの取組の早急な見直しが求められており、SNS等(※)を活用した相談体制の構築が喫緊の課題となっている。
 こうしたことから、文部科学省においては、29年度補正予算も活用し、30年以降、地方公共団体25箇所を対象としてSNS等を活用した相談体制を構築すべく必要な経費を予算案に計上したところである。
 したがって、平成30年以降複数の地方公共団体や学校で実施し、その結果を検証し、相談技法の改善を図るとともに、都道府県の枠組みを超えるような広域的な相談体制構築の可能性を含め、全国展開について検討すべきと考えられる。
  本協議会においては、そのような考え方の下に、ヒアリング対象事業者等からの聞き取りの結果を参考にしつつ、「SNSを活用したいじめ等に関する相談体制の構築に係るワーキンググループ」での議論に基づき、平成30年以降行う相談の実施に際して留意すべき点について、即応性が求められるSNS等を活用した双方向による相談の仕組みを中心として、以下に示すこととする。ただし、考えられる対応等として示している項目については、実際の運用において、地方公共団体が学校や地域の実情等に応じ、本報告を参考にしつつ適切に設定する必要がある。
  なお、今年度においても、長野県、熊本県、大分県、柏市、大津市を始め、幾つかの地方公共団体が独自の取組を実施しているところ、文部科学省としても、その実績や判明した改善点等を把握し、今後の他の地方公共団体へ取組を広げる際に、積極的に各地方公共団体にフィードバックすることが求められる。

 (※)本報告書において、「SNS等」とは、最近の若年層の多くが日常的にスマートフォン等を活用していることを踏まえ、通常スマートフォン等を用いて利用するSNSに加えて簡易な相談・通報を可能とするアプリ等を含めたものとする。
 
2 相談体制の在り方

(1)相談対象者
○ 将来的には、24時間子供SOSダイヤルと同じく児童生徒に加え、保護者も対象とすることも考えられるが、一般に、児童生徒と保護者では、相談の内容や求める答えの性質が異なることから、SNS等を活用した相談技法等が十分に確立されていない現時点においては、まずは児童生徒のみを対象とすることが考えられる。
○ また、保護者については、4(2)に記載する一方向の通報等の仕組みを利用する場合のみ、対象とすることが考えられる。

(2)相談受付時間
○ 将来的には、24時間365日相談を受け付けることも考えられるが、まずは、児童生徒にスマートフォン等を学校に持ち込ませること及び深夜に用いさせる弊害や、現在の24時間子供SOSダイヤルでは、午後5時台及び午後9時台の相談件数が最も多いこと等を踏まえ、相談員の人件費等のコストを勘案し、当面は、例えば、児童生徒が相談しやすい時間帯である平日の午後5時から午後10時程度に限定して受け付けることや、児童生徒の気持ちが落ち込みやすい長期休業明け前、入試時期前後や日曜日などに相談を受け付けることも考えられる。その際、児童生徒に対してその趣旨等を説明し、理解の確保に努めることが重要である。
○ 一方、コストの観点から可能であれば、緊急の相談かそれ以外の相談かを児童生徒に選択させた上で、緊急の相談に限り深夜や早朝等も含めた24時間365日受け付ける方法も考えられる。
○ 上記のように時間を限定して受け付ける場合には、時間外に児童生徒が緊急の相談をするためにSNS等で相談を持ち掛けたものの、応答がないままに、不測の事態に発展してしまうことが懸念されることから、1時間外には応答できないこと、2緊急の相談の場合には必ず24時間子供SOSダイヤル等を用いてほしいことを、自動応答機能等を用いて分かりやすく伝えなければならないと考えられる。また、これに加えて、SNS等を活用した相談窓口の周知の際の配布物や利用開始時に確認を求める利用に関する案内(以下「利用案内」という。)等にこれらの点について児童生徒に伝わりやすいように工夫し分かりやすく明記し、周知することが必要不可欠と考えられる。

(3)相談の流れ
○ SNS等を用いた相談は、若年層にとって、日常使い慣れているコミュニケーション手段を用いることができ、文字や絵文字等を用いて自分の思いを気軽に伝えやすいとともに、スクリーンショットを用いることにより児童生徒同士のSNS等の中でのトラブル等を正確かつ容易に相談員に伝えることができるというメリットがある一方、テキスト情報等のみであり、音声情報を伴わないことから、相談員にとって声から推測できる児童生徒の心理状態が把握しにくいとともに、絵文字の一部は個人によって用い方が異なるため、相談員が児童生徒の気持ちを誤解するおそれがあるというリスクもある。
○ したがって、特に相談員において音声通話により児童生徒の状況を確認する必要があると判断する場合は、児童生徒の了解を得た上で、音声通話や面接における相談につなげることも考えられる。その際、SNS等によっては、文字や絵文字等のやり取りから音声通話に切り替えられるシステムもあり、それらを活用することも考えられる。ただし、SNS等を活用した相談対応を行うことの意義は、本来、音声通話や面接における相談に踏み切れない児童生徒の相談を受け付けることであることを十分に理解した上で対応する必要がある。特に、即時の問題解決を求めるのではなく、まずは、悩みをじっくり聴いてほしいという相談のケースも多くあることから、そうした場合には、SNS等でしっかり児童生徒の悩みを聞き取ることにも意義がある。
○ さらに、平成29年9月に実施された長野県による試行結果によれば、音声通話による相談とSNS等による相談との間には、児童生徒にとっての敷居の高さが相当異なり、SNS等による相談を音声通話へ切り替えることは容易ではないことがうかがわれた。そのため、今後、児童生徒が音声通話に切り替えやすくなるような仕組み等の検討が必要である。

(4)相談員
○ 24時間子供SOSダイヤルでは、一般に、相談業務に関する知識及び経験を有する臨床心理士や教員経験者等が相談に対応しているが、その多くは、電話によるコミュニケーションに慣れている世代である。一方、SNS等を活用した相談においては、若年層によるメッセージの言葉遣いや絵文字の解釈ができる能力が求められる。したがって、例えば、「電話世代」の相談業務に関する知識及び経験を有する者に加えて、「SNS世代」の学生など、若年層によるコミュニケーション事情に精通した者を組み合わせた相談体制を整備することが効果的であると考えられる。
○ また、相談の質を向上させるため、相談員間で子供たちを取り巻く最近の状況や相談の背景事情、相談対応事例等を共有する場を設けることも有効である。加えて、相談対応による相談員の心の負担を軽減するために、上司や他の相談員と相談対応について共有できる場を作るなど、相談員をフォローできる環境を整備することも必要であると考えられる。
○ なお、SNS等をめぐる環境は、日進月歩であり、相談員は、その変化にフォローしていく必要がある。そのため、相談業務を行う地方公共団体は、民間団体等と連携するなどして、相談員に対して、定期的な研修の機会を設けることが望まれる。さらに、相談員に加えて、より専門的な知見を有し、相談員に対して助言等を行うことができるスーパーバイザーを配置することも有効であると考えられる。
○ さらに、長野県による試行結果によれば、SNS等を活用した相談は、気軽に相談できる窓口として、潜在化していた子供の「相談したい気持ち」を掘り起こす効果があり、電話相談と比較して大幅な相談件数の増加につながった一方で、全ての相談を待たせずに対応するために、大量のマンパワーが必要となることが明らかとなった。そのため、勇気をもって相談に踏み切ってくれた児童生徒の声に応えつつ、予算や人材確保の観点から持続可能な相談体制、相談の受付方法等について、今後、検討していく必要がある。
  特にAIの活用を含め、最新のコールセンターの技術等を参考としつつ、一人の相談員が複数の相談に同時に対応することとする方策を検討する必要がある。ただし、その際、児童生徒の「寄り添ってほしい」「受け止めてほしい」という気持ちにも配意するとともに、その中で特に深刻な相談については、一人の優れた知見を持つ相談員が別途集中的に対応する仕組みとすることが考えられる。

(5)相談内容の守秘
○ 児童生徒が安心して相談できるように、相談内容等のプライバシーが確実に守られることを明確に示すことが必要である。
○ ただし、児童生徒の生命、身体等の安全が害されるおそれがある場合や児童生徒に関連した犯罪行為が行われている疑いがあるなど緊急の対応が必要な場合においては、例え、相談者である児童生徒から誰にも言わないでほしいと言われたとしても、当該児童生徒を守るために学校や関係機関と情報共有しつつ対応する必要があり、事前に、利用案内等においてその旨児童生徒に分かりやすいように工夫して示すことが必要である。
○ ただし、そうした場合でも、実際に、個別の相談内容を学校等に伝えようとするときは、できる限り児童生徒に丁寧に説明し、理解を得る努力をすべきである。
○ また、学校等に相談内容を伝える場合には、その後の学校や教職員の対応が児童生徒の望むものと異なり、相談した児童生徒をめぐる状況が悪化することがないよう、相談業務を行う地方公共団体は、学校等と適切な情報共有を行うなど、児童生徒の意向を尊重しつつ細心の注意を払うべきである。

3 緊急時等の具体的な対応要領

(1)緊急時対応(自殺をほのめかす等、命に関わる相談で地域が特定できない場合)
○ 自殺をほのめかす等の緊急の相談については、まず、SNS等での会話により深く話を聞き共感するなどして落ち着かせることとし、その上で必要な場合には、相手の了解を得た上でできるだけ早く音声通話による相談への切替えを図るべきである。ただし、SNS等を用いて相談をしてきた児童生徒にとっては、音声通話による相談への切替えが困難である場合があり、その場合には、SNS等での相談を継続し、その中で対応することが求められる。
○ また、可能な限り、相談者の氏名や所在地を聞き出し、必要に応じて学校や警察等の関係機関にも通報することが求められる。電話相談の場合と同様に、緊急時の対応要領、連絡体制等について事前にマニュアルを作成しておくことが必要である。また、緊急の相談については、相談を直接受けている相談員は、当該相談対応に集中し、関係機関への連絡等を同時に行うことが困難になる場合があることから、できる限り、二人以上の相談員の体制で相談を受け付けることが望ましい。
○ なお、位置情報の開示は原則困難であること、そもそも端末の設定によって位置情報が取得できない場合もあり、相談者が自殺をほのめかす等の緊急時の場合で地域が特定できないことも考えられることから、地方公共団体において、そうした場合の対応要領等について事前に決めておく必要がある。 

(2)時間外に相談が来た場合の対応
○ 2(2)で述べたように、時間外の相談への対応について、自動応答機能や利用案内等で児童生徒に伝わりやすいように工夫し分かりやすい形で明示することが必要である。

(3)同時に複数の相談が来た場合の対応
○ 現在の主要なSNS等のサービスにおいては、同時に来る相談が一定の件数を超えないように調整することは難しいと考えられ、また、2(4)で述べたように、児童生徒を待たせずに全ての相談に対するためには、大量のマンパワーが必要となることが明らかとなっており、それだけの要員を準備することが困難な場合も多いと思われる。
 したがって、(2)と同様、1同時に複数の相談が来た場合、すぐに対応できない場合があること、2相談員がすぐに対応できない状況で、かつ、緊急の相談の場合には必ず24時間子供SOSダイヤル等を用いてほしいことを、自動応答機能や利用案内等で児童生徒に伝わりやすいように工夫し分かりやすく説明することが必要不可欠である。
○ また、緊急度の高いと思われる相談については、優先的に相談員につながり、対応ができるような仕組み等の構築が望まれる。

(4)在籍校の所在地が分からない児童生徒や実施地方公共団体以外の地域に在住する児童生徒からの相談が来た場合の対応
○ 各地方公共団体がSNS等を活用した相談体制を構築する場合は、通常当該地方公共団体に在籍校がある児童生徒や当該地方公共団体の住民である児童生徒が対象になると考えられる。その際、相談を受け付けるSNS等のIDやアプリのダウンロード方法については、通常当該地方公共団体にある学校を対象として周知することが考えられる。
○ 一方で、SNS等のIDやアプリのダウンロード方法について、ネット上に流出することも考えられ、他の地方公共団体に在籍校がある児童生徒からの相談を受けた場合やなりすましの場合等を想定した対応マニュアルを用意しておくとともに、相談内容について学校等で真偽を確認した上で対応することが重要である。
○ 仮に、他の地方公共団体に在籍校がある児童生徒からの相談があった場合の対処については、相談の開始時にまず、地方公共団体名、学校名等を選択させるなどにより、自殺をほのめかす等の緊急を要する相談を除き、少なくとも当該地方公共団体を選択等した場合にのみ相談を開始することとし、それ以外は24時間子供SOSダイヤル等を紹介するような仕組みが考えられる。
○ また、SNS等によっては、登録の際に地方公共団体名や地域を事前に確認する機能を活用することも考えられる。

4 相談システム

(1)相談システムの選定
○ 相談システムに用いるSNSやアプリ等の選定に当たっては、児童生徒への普及の度合い又は学校等を通して多数の児童生徒に普及させることの実現可能性や、児童生徒の活用のしやすさ、命に関わる相談を含め、児童生徒からの相談等を受け付けた後、適切かつ円滑に内容に応じた対応を行うことができるか等を勘案すべきであると考えられる。
○ このような観点を踏まえつつ、各地方公共団体が異なる機能を有する多種多様なSNSやアプリ等の中から、財務規則等に基づいて具体的に選定することが望ましい。

(2)一方向の通報等のみを可能とするシステムの可否
○ SNS等を活用し双方向による相談の仕組みではなく、アプリ等を活用した一方向の通報等の仕組みも考えられる。これは、一部の地方公共団体で既に実施されており、児童生徒の相談や悩みにその場で回答できるという即応性には欠けるものの、児童生徒が音声通話では話しにくいことを匿名で伝えられるほか、人的コストが少なくて済むというメリットがある。こうした仕組みについては、翌日以降に学校や地方公共団体等に引き継ぎ、必要に応じて当該学校等において対応できる体制を整えれば、一定の効果があると考えられる。なお、一方向の通報等の仕組みについても、用いるシステムや通報等をどのように処理するのか等の仕組みに応じた適切な相談体制を構築する必要がある。
○ ただし、こうした仕組みを構築する場合には、1即時の返信ができないこと、2緊急の場合には必ず24時間子供SOSダイヤル等を用いてほしいこと、を分かりやすい形で明示すべきであると考えられる。
○ また、SNS等を活用した双方向による相談の仕組みとアプリ等を活用した一方向の通報等の仕組みを時間帯等によって切り替えるなどして、両者を組み合わせた体制を構築することも考えられる。
○ さらに、通報者に対して、SNS等を活用した双方向による相談の仕組み構築の希望等についてアンケートなどを用いて調査することにより、今後の相談体制の充実に向けた参考とすることも考えられる。

5 民間団体等との連携・協力

(1)民間団体等との連携による相談業務
○ 昨今、一部の民間団体等においてもSNS等を活用した相談の取組が始まりつつあることから、そうした知見や技術を有する民間団体等に対して、地方公共団体が相談業務を委託したり、一定の相談の場合に引き継ぎ・紹介等をする旨の取決めを結んだりすることにより、地方公共団体と民間団体等が連携しながら、相談を実施することも有効であると考えられる。
○ また、現在各地の弁護士会においてもいじめ等の相談を行っていることを踏まえ、弁護士会との連携ができる体制を構築することも考えられる。
○ さらに、心理・福祉・医療・教育等の関係学部を有する大学と相談員の人材確保や相談技法の確立等において、連携体制を構築することも考えられる。

(2)SNSやアプリ等の事業者の協力
○ 上記に述べたとおり、SNS等を活用した相談体制の構築に向けた取組は、始まったばかりであり、実現には複数の課題も存在する。そのため、実施に当たっては、システムの設計・構築、相談員の研修、相談技法の研究を含め、SNSやアプリ等の事業者のできる限りの協力が得られることが望ましい。

6 その他の留意点

(1)情報管理(児童生徒の氏名、学校名や相談内容の漏えい防止等)
○ 児童生徒の氏名、学校名を含めたSNS等による相談内容に関する通信ログについては、児童生徒の個人情報に該当する場合が多く、各地方公共団体の個人情報保護条例等を遵守した上で厳格に管理する必要がある。また、情報セキュリティについても万全を期すことが必要であると考えられる。
○ また、相談内容に関する通信ログについては、各地方公共団体の公文書管理条例等に基づいて適切に保存されるべきものであるが、指導要録の指導に関する記録又は「児童生徒理解・教育支援シート」(平成28年9月14日付け28文科初第770号文部科学省初等中等教育局長通知「不登校児童生徒への在り方について」)の保存期間を参考にして、保存期間を5年間と定めることも考えられる。
○ また、児童生徒の事前の同意を得た上、個人情報を除いた相談に関する通信ログを蓄積し、将来的に、分析・研究を行うことにより、相談対応能力の向上につなげることも考えられる。しかしながら、この点については、万が一、相談内容等が流出した場合には、児童生徒からの信頼を大きく損ねかねないことを十分に勘案した上で、慎重に検討する必要がある。
○ なお、個人情報保護条例等に基づき、児童生徒本人やその保護者等から当該児童生徒の相談に関する通信ログ等の開示請求があった場合には、適切に対応する必要がある。

(2)いじめ防止等に関する情報発信
○ 多くの学校や地方公共団体においては、いじめ防止の取組として、様々な教材や資料を作成し、活用している。一部のSNS等については、情報発信の機能を有することから、いじめ対処方法の紹介や各地方公共団体におけるいじめ防止対策の取組等、いじめ防止に関する様々なコンテンツを提供することも効果的である。

(3)スマートフォン等を所有しない児童生徒への配慮
○ 特に小学校低学年の児童には持たせないなど保護者の方針等の家庭環境等により、スマートフォン等を所有しない児童生徒も多くいることから、SNS等を活用した相談体制の構築に当たっても、こうした児童生徒の相談の機会が不当に失われることとならないように、24時間子供SOSダイヤルの周知を改めて強化するなど、適切な配慮を行うことが望ましい。すなわち、SNS等を活用した相談体制に加えて、現在実施されている多種多様な相談窓口が悩みを持つ児童生徒の選択肢となり、相乗効果を生み出すことが望ましい。
○ また、経済的困難を有する児童生徒も含めたスマートフォン等を所有しない児童生徒も相談できる環境を整備することが必要であり、どのような環境整備が実現可能なのかについて、検討していくことが求められる。
○ その際、例えば、地方公共団体において、学校教育に情報端末を導入し、児童生徒に情報端末を貸与するような場合には、当該端末に相談に使用できるアプリ等を組み込んでおくことや、将来的には、地方公共団体が特定の場所に共通端末を設置して児童生徒に開放することも考えられる。

(4)関係各者から成る協議の枠組みの設置
○ SNS等を活用した相談体制をより充実したものにするために、文部科学省、地方公共団体、民間団体、学識経験者等から成る協議の枠組みの設置又は既存の枠組みの活用を検討すべきである。その枠組みにおいて、関係各者による取組についての情報交換を行いつつ知見を共有し、相談員の研修の在り方、相談技法の研究等を通じて、相談体制の改善につなげることが考えられる。その際には、昨今、一部の民間団体等においてもSNS等を活用した相談に関する協議の枠組みを設置する動きが始まりつつあることから、そうした民間団体等の枠組みとの連携も有効であると考えられる。
 





いじめ防止対策協議会の設置について


平成29年 6月 2日
改定 平成29年12月25日
初等中等教育局長決定


1 趣旨
 本協議会は、「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成25年10月11日文部科学大臣決定)に基づき、学校関係者や各種職能団体等の関係団体から有識者の参画を得て、いじめ防止対策推進法に基づく取組状況の把握と検証を的確に行うとともに、いじめの問題等に関して、関係者間の連携強化を図り、より実効的な対策を講じるため、設置するものである。

2 検討事項
(1)いじめ防止対策推進法に基づく取組状況の把握と検証について
(2)いじめの問題に取り組む関係者間の連携強化について
(3)いじめの問題を含めた生徒指導上の諸問題に関するより実効的な対策の在り方について

3 実施方法
(1)別紙の有識者等の協力を得て検討を行う。
(2)必要に応じ、別紙以外の者にも協力を求めるほか、関係者の意見等を聴くことができるものとする。
(3)協議会の円滑な実施に影響が生じるものとして本協議会において非公開とすることが適当であると認める案件を検討する場合を除き、原則として公開するものとする。

4 実施期間
 平成29年6月2日から平成30年3月31日までとする。

5 その他
 この協議会に関する庶務は、初等中等教育局児童生徒課において処理する。


 
いじめ防止対策協議会委員

※50音順(前任者を除く)

○新井  肇 関西外国語大学教授

栗原 直樹  公益社団法人日本社会福祉士会理事
(愛沢 隆一 公益社団法人日本社会福祉士会副会長(第1回))

高田  晃 一般社団法人日本臨床心理士会理事・教育領域委員会委員長、宇部フロンティア大学人間社会学部長、同大学人間科学研究科長

齋藤 芳尚  公益社団法人日本PTA全国協議会副会長、埼玉県PTA連合会会長

新海 今朝巳 全国市町村教育委員会連合会事務局長、元川口市教育委員会教育長
(相上 興信 全国市町村教育委員会連合会事務局長、元川口市教育委員会教育長(第1回))

水地 啓子  日本弁護士連合会子どもの権利委員会幹事

鈴木  弘 日本私立中学高等学校連合会常任理事、香蘭女学校中等科高等科校長

田村 綾子  公益社団法人日本精神保健福祉士協会副会長、聖学院大学人間福祉学部人間福祉学科教授、障害学生支援室(オリーブデスク)室長

針谷 玲子  全国連合小学校長会調査研究部長、台東区立蔵前小学校長

東村 健治  福井県教育委員会教育長、全国都道府県教育委員会連合会
(森近 悦治  福井県教育委員会教育長、全国都道府県教育委員会連合会(第1回))

笛木 啓介  全日本中学校長会生徒指導部長、大田区立大森第三中学校長

道永 麻里  公益社団法人日本医師会常任理事

村田  進  全国高等学校長協会生徒指導委員長、埼玉県立和光高等学校長

◎森田 洋司  鳴門教育大学特任教授、大阪市立大学名誉教授、大阪樟蔭女子大学元学長・名誉教授

八並 光俊  東京理科大学大学院理学研究科科学教育専攻教授、日本生徒指導学会学会副会長

横山  巌  日本弁護士連合会子どもの権利委員会幹事


(◎は座長、○は座長代理)


 
SNSを活用したいじめ等に関する相談体制の構築に係るワーキンググループの設置について

平成29年7月13日 
改定 平成30年2月28日 


1 趣旨
 近年、若年層の多くがSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)をコミュニケーションの手段として用いており、SNS上のいじめ等の問題への対応も課題となっている。文部科学省としても、いじめを含む様々な悩みに関する児童生徒の相談に関して、SNSを活用する利点・課題等について検討を行うため、いじめ防止対策協議会の下に、有識者から構成されるワーキンググループを設置する。

2 検討事項
(1)SNSを活用したいじめ等に関する相談体制の構築について
(2)その他

3 実施方法
(1)別紙の有識者等の協力を得て検討を行う。
(2)必要に応じ、別紙以外の者にも協力を求めるほか、関係者の意見等を聴くことができるものとする。
(3)会議の円滑な議論に影響が生じるものとして会議において非公開とすることが適当であると認める案件を検討する場合を除き、原則として公開するものとする。

4 実施期間
 平成29年7月13日から平成30年3月31日までとする。

5 その他
 この会議に関する庶務は、初等中等教育局児童生徒課において処理する。

 
SNSを活用したいじめ等に関する相談体制の構築に係るワーキンググループ委員


※50音順(前任者を除く)

新井  肇 関西外国語大学教授

尾花 紀子  ネット教育アナリスト

栗原 直樹  公益社団法人日本社会福祉士会理事

高田  晃 一般社団法人日本臨床心理士会理事・教育領域委員会委員長、宇部フロンティア大学人間社会学部長、同大学人間科学研究科長

齋藤 芳尚  公益社団法人日本PTA全国協議会副会長、埼玉県PTA連合会会長

水地 啓子  日本弁護士連合会子どもの権利委員会幹事

竹内 和雄  兵庫県立大学環境人間学部准教授

田村 綾子  公益社団法人日本精神保健福祉士協会副会長、聖学院大学人間福祉学部人間
福祉学科教授、障害学生支援室(オリーブデスク)室長

針谷 玲子  全国連合小学校長会調査研究部長、台東区立蔵前小学校長

東村 健治  福井県教育委員会教育長、全国都道府県教育委員会連合会
(森近 悦治  福井県教育委員会教育長、全国都道府県教育委員会連合会(第1回))

笛木 啓介  全日本中学校長会生徒指導部長、大田区立大森第三中学校長

三坂 彰彦  東京弁護士会子どもの人権と少年法に関する特別委員会委員

◎森田 洋司  鳴門教育大学特任教授、大阪市立大学名誉教授、大阪樟蔭女子大学元学長・
名誉教授

八並 光俊  東京理科大学大学院理学研究科科学教育専攻教授、日本生徒指導学会学会副会長

横山  巌  日本弁護士連合会子どもの権利委員会幹事

(◎は主査)

 
  SNSを活用したいじめ等に関する相談体制の構築に係るワーキンググループ
ヒアリング対象事業者等


※50音順

アディッシュ株式会社スクールガーディアン事業部

大分県教育庁教育財務部

大津市市民部いじめ対策推進室

柏市教育委員会生徒指導室

熊本県教育庁教育指導局高校教育課

公益財団法人関西カウンセリングセンター

ストップイットジャパン株式会社

ダイヤル・サービス株式会社

特定非営利活動法人チャイルドライン支援センター

トランスコスモス株式会社

長野県教育委員会心の支援課

FacebookJapan株式会社

LINE株式会社


お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課

メールアドレス:stop-ijime@mext.go.jp