全国的な学力調査に関する専門家会議(平成29年6月12日~)(第9回) 議事要旨

1.日時

平成31年3月20日(水曜日)15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省 旧庁舎6階 第2講堂

3.議題

  1. 結果提供資料の在り方について【非公開】
  2. 平成32年度の経年変化分析調査について【非公開】
  3. 平成31年度中学校英語調査の現状報告
  4. 平成31年度学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究のテーマについて
  5. 今期「全国的な学力調査に関する専門家会議」について
  6. その他

4.出席者

委員

耳塚座長、福田座長代理、片平委員、鎌田委員、齋藤委員、柴山委員、清水(静)委員、清水(美)委員、鈴木委員、髙木委員、田中委員、垂見委員、土屋委員、戸ヶ﨑委員、針谷委員、吉村委員、渡部委員

5.議事要旨

議事3:平成31年度中学校英語調査の現状報告

・資料3に基づき説明の後、各委員より意見を伺った。主な意見は以下の通り。

【委員】
  調査途中のトラブルにより調査を中断した場合、やり直すことが可能とのことだが、どのようなやり直しの方法を採るのか。また、やり直した場合の結果は集計に含まれるのか。

【事務局】 
 調査プログラム(所要5分程度)は、一旦始めてしまうと途中で止められない設計になっているため、初めからやり直すことになり、やり直した1本分のデータを採点対象とする。
 これまでの集計上の整理では、当日実施のものを集計値として平均正答率等の計算に用いており、翌日以降実施のものは含めていないことから、今回も同じ整理で集計する。もっとも、今回の「話すこと」調査については、それ以外にも欠損データが出る可能性もあるため、参考値として全国全体の集計だけを出すという取り扱いにしている。

【委員】  
  正規の時間以外での実施あるいは後日実施の場合は、データ上フラグを立ておき、集計値に入れることも集計値から外すことも可能な形にしてはどうか。

【事務局】 様々な理由でやり直しをする生徒が出る可能性がある中、公平性をどう考えるのかについては、これまでも御指摘いただいてきたところ。まず、クラス単位で実施していただく都合上、いずれにしても学年全員が一斉に受けるのは難しいため、マニュアル中では、実施前の生徒と実施後の生徒が基本的には出会わないような動線の工夫をお願いしている。
 ただ、それでもやり直しをした生徒は2回目ではないか、との話もあるが、今回それ自体は採点上区別することは考えていない。データとしても、当日実施と後日実施の区別はするが、それ以上の区別ができるかどうかは、かなり技術的なことにも関わるため、事業者と相談しながらできることを考えたい。

【座長】  
  1点目。事前準備に関する映像をポータルサイトにアップロードし、それを学校が見ることができるようになっているということだが、委員が見ることはできないのか。
 2点目。結果として「データなし」の出現比率はどのぐらいになると予想しているか。

【事務局】  
  1点目について。動画は、教育委員会や学校のみが閲覧可能なポータルサイトを掲載しており、一般には公開しない形をとっているが、先生方には何らか対応できるよう、後日改めて御連絡させていただきたい。
  2点目について。出現率は計算していないが、事業者の方で、教育委員会から準備の過程でトラブルがあった旨の報告を受けた場合、都度できることを検討していただいており、我々としては出来る限り減らす努力に注力をしている。

【座長代理】  
  明らかに実施できないという申出は既にあるのか。

【事務局】  
  今回の実施要領においては、特例的な措置を適用して実施しないということについて、文科省への事前報告は不要という整理にしているため、特段聞いていない。
 地域別説明会で全国を回った感触として、我々の説明を実際に聞くことで、出席者の皆さんに特例措置の趣旨などを改めて御理解いただく部分が大きかったように思う。
環境復元ソフトやUSBの差し込みへの制限について、財政的な措置も併せて対応を悩まれているところが多くあったが、全体的に、実施に向けて全力で取り組む方向だということを肌で感じた。多くの質問があったが、事前にマニュアルで整理したものがほとんどであり、我々が想定していなかった新たな大きな問題は特になかった。
 また、今回、事業者にも来ていただき、パソコンも用意して、個別の相談をできるようにした点が大きかったと思っている。これから先も本番に向けて精一杯やっていきたい。

【委員】  
  マニュアルが非常しっかりしているため、準備段階では大きな混乱はなく、教育委員会での対応も比較的順調だと思っている。
 ただ、ヘッドセットのマイクの集音性が想定以上に高いことについては、懸念している自治体が多い。対策は難しいが、少なくとも校内のチャイムは切るなどに加え、座席の目の前で大きな声同士で話をしないよう留意しなければならない。また、生徒の動線について、特に学級数が多い場合に、スムーズにいくか心配がある。まだ時間はあるので、最後のきめ細かな対応を是非お願いしたい。

【委員】  
 「話すこと」調査の採点は、ルーブリックによる採点か、それとも解答類型による採点か。

【事務局】  
  ほかの設問と同じように、解答類型による採点を予定している。

議事4:平成31年度学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究のテーマについて

・資料4に基づき説明の後、各委員より意見を伺った。主な意見は以下の通り。

【座長】  
  1点目。CBT(Computer Based Testing)について、短期的に実行できる問題ではないが方向性としてはあり得る一方、「指導改善に生かす」という調査目的を考えると、CBTとなじまない側面もあり、慎重な検討が必要である。部分的には採用できても全面的なCBT化は難しいとも考えられ、部分的に導入するとしても、どこにどのように導入するかということ等は少なくとも検討しなければならないのではないか。
  2点目。英語は技能的な側面が大きく、学校での指導方法が調査結果に影響を与えやすい教科の一つだと思う。その一方で、学校の社会経済的背景によっても結果が大きく変わりうる教科でもある。この研究に対しては、何らかの形で社会経済的背景を統制できるような支援が必要かと思う。

【委員】  
  英語調査の研究について、将来的に大学入試における英語4技能テストとの関連付けが図れるような視点を何らか入れていただけるとありがたい。

【事務局】  
  受託者が決まったら、英語調査に、例えば保護者調査のデータを紐付けるなどの検討をさせていただきたい。また、大学入試などの動向を踏まえることも大変重要な御指摘だと思っている。今回の英語の分析に当たり、別途、専門家の先生に御意見を伺っているが、今回の音声データに関し、今できない分析が今後できる可能性も鑑みてデータを保存し、後々分析できるようにしておく必要があるとの御指摘も頂いている。いかなることが可能か、検討していきたい。

【委員】  
  英語の調査研究について、今回の調査結果と大学入試におけるデータとを紐付けし、学力調査時点での差が将来どのようになっていくのか、トータルで分析できるような仕組みがあるとよい。

【委員】  
  各技能の問題を日本語に訳して出題した場合、子供たちは解答できる前提で作られているのか。言語能力の育成という観点から、この研究で検証する必要があるのではないか。

【事務局】  
  日本語で理解できることを前提に難易度を設定し、作問している。

【委員】  
  英語では答えられないけれども日本語では答えられるというようなフラグを立てることはできないのか。

【事務局】  
  教科の作問の観点からいうと、英語の能力を見ているため、調査目的からするとプラスアルファになると考えている。

議事5:今期の全国的な学力調査に関する専門家会議について

・資料5に基づき説明の後、各委員より意見を伺った。主な意見は以下の通り。

【委員】  
  4点述べたい。
 1点目。今度のAB一体化に大変期待を寄せている。この一体化は、単にテクニック上の問題ではなく、指導方法の改善に非常に影響がある良い制度改革だと思う。
 2点目。英語は、特に「書く」及び「話す」について、地域によって教育課程の実施率にかなり差があり、それが学力調査の結果にも影響するのではないか。追加分析の際、教育課程実施状況調査等との調査の結合を考えていただければと思う。
 3点目。国語の「話す」「聞く」の調査は必要ないのか。日本の子供たちの国語の「話す」「聞く」力が本当に育っているのか疑問に思う。国語の新たな調査開発ができれば、日本の子供たちの力も育っていくのではないか。
 4点目。記述問題が正答できた子供あるいは学校にいかなる特徴があるかという、記述に焦点を当て、それを高める指導法を明らかにしていくことが必要ではないか。

【委員】  
  英語で「話すこと」調査が実施されることは、非常に大きな前進であると思う。期待している。
 これから期待することとして2点。まず、英語調査について、「話すこと」調査を行う財源の確保と、SESを統制した分析をお願いしたい。また、小学校低学年での学力調査もいつか実施されることを期待したい。

【委員】  
  A問題、B問題の一体化は、新たな一歩である。ただ、過去12年間のA問題、B問題は決して無駄になるわけではなく、非常に大きな財産であろう。質の高い問題を12年間作り続けてきたノウハウも一つの財産であり、可能な範囲で公開していただけると、教育委員会あるいは学校が独自のテストを作るときの参考になるのではないか。

【委員】  
  毎年様々な改善が加えられてきたことを改めて感じる。全国学調は、求められている学力を現場に浸透させる非常に大きな役割を果たしていると思う。併せて、不利な家庭環境を乗り越えられる学校教育の在り方等についても、研究と併せて、教育委員会、学校レベルでも様々取組が進んでいると感じている。
  今後に向けて4点簡単に申し上げる。
 1点目。新体力テスト等、国が行っている様々な調査との結果の照合を進めていただけると良い。
 2点目。測定される学力の質をより明確にする(新学習指導要領が目指している資質・能力を特化させた問題や質問項目を設定する)ことによって、教育委員会や学校に対して更に具体的なメッセージを与えることができる。
  3点目。自治体の教育委員会はデータ分析が極めて弱い。EBPMを実行していくためにはアクションにつながるインサイトに変えていくようなデータサイエンスの導入が欠かせない。一例として、クラウド上で分析が可能になるようなシステム構築も今後は考えていく必要があるのではないか。
 4点目。CBTをいかにICT環境のインフラ整備の充実の追い風にするかが重要。次回の英語調査に向けて、CBTができるようにというメッセージを発信し続けていく必要がある。

【委員】  
  3点申し上げる。
 1点目。調査問題について、現場からは、A問題、B問題を一体化することにより、どのような問題になるのか心配する声が上がっている。新たな学力調査がスタートし、その問題が出てきた中で、改めてどういった授業をしていくべきなのかを考える必要がある。
 2点目。授業改善に生かすという学力調査の目的を、できる限り多くの人の目に触れるよう工夫していただきたい。学校には多くの人が関係するため、皆で一緒に子供たちの学力を高めていく、そして、学力調査という突破口から子供たちをどのように導いていくのかを考えていく必要がある。
 3点目。経年変化分析調査では、子供たちが確実に変わってきているということを念頭においていただきたい。調査結果に変化が見られないということは、学力が変わっていないのではなく、学校が努力して現状を維持しているということになると思う。今の子供たちの実態を、何らかの形で情報として得た上で分析する必要が出てくるのではないか。

【委員】  
  英語調査について懸念を述べる。英語調査では、SESの影響がどの程度あるかを踏まえた上で、学校がどのくらいの力を発揮できるのかを把握する必要がある。学校と家庭との環境の違いをどれだけ分けることができるかがポイントである。全てが学校の指導の責任になることのないよう、お願いしたい。

【委員】  
  英語調査に特化して申し上げたい。
  調査には、信頼性(reliability)、妥当性(validity)、実用性(practicality)が必要である。今回の英語調査は、ランダムに試行錯誤して作ってきたものではなく、この3つの観点から検討された結果である。
 英語は、生徒のバックグラウンドと成績との関係を考察することがとても重要になってくると思う。結果公表時にそうした考察も併せて発表することが望ましいが、時間的に難しいと思料する。したがって、何らかの形で公表された調査結果を更に検証・分析し、その結果を改めて提供することが必要である。調査の実施以上に、その後の分析結果の発表が大切になると考える。その際、どうしても「話す」ことに焦点が置かれてしまうが、インプット以上のアウトプットは不可能なので、4技能の関連を検証の対象とすべきだろう。
 また、教科としてできる英語と、できなくても意識が向いている(できるようになりたいと思う)英語が乖離している可能性もある。学力調査でその乖離を明らかにするのは望み過ぎだと思うが、そういった視点も併せて忘れないようにしたい。
  調査は、作成する過程が大切であり、実施はその流れの一つである。そしてデータを分かりやすい方法で提供する。そこまで道筋を作り、次に結び付けることで、有意義な調査サイクルができるのではないか。

【委員】 
  校長をしていた頃、学力調査を受けた児童たちが楽しかったと報告に来てくれることがあった。学力調査の関係者は、子供たちがどのようにこの調査を受けているか、一度実際に見ると良いと思う。
 学力調査の問題は、学習指導要領の改訂を踏まえた上で、あるいはさらに先を見越したような形で作られていることを実感した。今回の改訂においては、高校のほとんどの科目に探求という言葉が入っている。今後、調査問題を作る際には、是非、高校でどのような発展性があるかを考え、より一層探求的なところを踏まえた作問をお願いしたい。

【委員】  
  学力調査は、日本の教育をよくするために行っているのであり、そのためには、PDCAが本当に機能するよう、それぞれが総合的・一体的に動くことを追求していくことが大事ではないか。そういう意味では、学習指導要領と学力調査との一体的な関係をもっと追求していく必要があると思う。
 現在の学力調査では、学校と先生の姿が見えにくいと感じる。先生が授業改善をしているのは学力調査のためではなく、子供たちのためであって、学力調査の結果は、日頃の子供たちへの指導の結果、自然とついてくるものである。そういった先生の学びと成長を後押しできるような、自分を磨く努力をしている学校や先生を励まし、応援できるような調査(例えば教員質問紙調査、あるいは、各種研修会の実態調査など)ができないか。

【委員】  
  学力調査という言葉が先行し、授業改善・指導改善という調査の本来的な目的が、保護者や地域の方になかなか伝わっていかないということを非常に感じた。 
 学校を巡る環境が急激に変わっている現状があり、クラスがよくなるより自分の子供がよくなった方がいいといった視点が前に出てきているのではないかと感じる。国としては、学校を中心に、授業を大切にして、学校自身が地域を作り、子供たちを作っていくということが伝わるような公表の仕方をしていただけたら大変ありがたい。

【委員】  
  この2年間で印象に残ったことは4つ。SESを柱にした国際水準の保護者調査が実施されたこと、英語、特にスピーキングの測定、国民の公共財としての個票データの貸与が始まったこと、そして、昨年、学力調査が総合教育政策局の下に置かれ、いわゆるEBPM推進の役割の一つとして非常に重要な位置付けになったこと。次の専門家会議も、この方向がますます強くなっていくだろうと感じている。

【委員】  
  調査結果を受け取る側は、どうしても平均にとらわれる。平均は必要だが、同じデータでも代表値は様々存在する。結果を読み解く柔軟性について、先生への発信・啓蒙をしていくことが大事ではないか。その意味では、SーP表によってデータの示し方が多様化したことは、大変良いことだと思う。
 調査の内容に関わっては、新しい調査の枠組みの中で、育成すべき資質能力をどう捉えるかを考えていただきたい。その上で、ペーパーテストの限界と、それを補うためにペーパーテストではない情報をどのように得るかについて、検討をお願いしたい。
  また、これからますます読み解く力が大事になると言われている。教科横断的な視点からの問題作成にも、チャレンジしていただく準備をお願いしたい。
 加えて、児童生徒の習熟の程度について同学年内でも開きがあることを顕在化していくことも考えていかなければならないのではないか。既に同一学年で同一内容を学ぶという枠組み自体を検討しなくてはならないのではないか、という声が一部出てきている。新学習指導要領のみならず、その次までも視野に入れた枠組みの構築にもチャレンジしていただきたい。

【委員】 
  今期2年間で、非常に前進したという感想。
  平成19年スタート時から、教育政策の根拠となるデータ収集と、学校現場にメッセージを発して指導改善をしようという、ある意味矛盾する2つのしがらみの中で何ができるか、という議論がずっと続いてきた。その中で、新しい物差しが入ったり、結果返却が7月末になったり、着実に進化していると思う。
 一方で、2点申し上げる。
  1点目。学力調査は、中学校3年生が評価の対象になっておらず、中学3年生の学力がどうなっているかを見る道具がない。今度、高校生のための学びの基礎診断ができ、義務教育段階の内容も出題するとなっているので、そこをうまく見ていくことになるか、あるいは、学力調査の中で、3年周期で、シャープに論点を絞って行う調査ができないか。
 2点目。AB一体化により、平均点による物差しが1本になったということの弊害が出る可能性があるため、結果の示し方については、代表値だけではなく、成果や課題も示すなど、工夫する必要がある。

【委員】  
  質問紙調査を通して、規則正しい生活リズムが学力に関連することが分かったところ、これからもこうした調査結果を丁寧に発信していく役割を担っていきたい。また、生活習慣は、今、子供や家庭が置かれた状況が様々であることを示すとともに、学びを支える力にもなるものなので、今後も丁寧に見ていく必要があると思う。

【委員】  
  この調査が、子供、先生、地域や親のために、希望を持てる調査であってほしいと思う。この調査がきっかけで変わっていく地域を見てきたので、良い方向に活用してもらえるようにしていただきたい。
 それに関わって、一層指導を充実すべきと考える学力層の子供たちは、様々な理由でそういった状況に置かれている。国の調査ではできないかもしれないが、何が課題なのかということも丁寧に見取りながら、その子たちの学力を向上させるという面もこれからは大事なのではないか。

【座長代理】  
  個票データの貸与開始は、非常に大きな意味があると思う。今までできなかった発想からデータを読み解く可能性を持っており、是非継続してもらいたい。問題はいかにして利用してもらうかであり、積極的に働き掛けない限りは前には進まない。
 この12年間で、独自の学力調査の実施や、国の公表に併せた各自治体の調査結果の公表など、教育委員会の積極的な取組が見えてきた。ただ、これが学校での指導改善のレベルまで到達しているかという点は課題だと思う。現状、学校にも様々データが提供されているが、それをどう使うかということに関して、どのような情報提供ができるか。また、小学校6年生のデータを中学校1年生入学時に添付することによって、中学校側が受け入れた学生に関する情報を活用できることも、制度としてはできたものの、うまく機能していない現状があるので、何とか機能するようになってもらいたいと願っている。
 全国学調と各都道府県で実施している調査をどう組み合わせていくかも課題である。各自治体の動きを積極的に受け止め、参考にしていただきたい。全国学調が100%のデータ提供をしているわけではないので、各自治体の調査と組み合わせて、統合的な形で子供たちを捉えていく、指導に資するという流れを、是非、今後とも続けていただきたい。

【座長】  
  今期は、前期に洗い出した課題及びそれに対する方向性に従い、着実に実行するサイクルであり、比較的平穏な2年間であったような印象。その中でも、英語調査、S-P表など現場へのデータの返し方、データ貸与の開始、新学習指導要領の方向性への対応など、幾つか重要なことが検討できたことは、大きな意味があったと感じている。
 この次の2年間は、CBT化をはじめ、再度、非常に大きな問題を顕在化させ、中長期的な道筋を付けるような検討課題が幾つもあるのではないかと予想している。
 最後に、調査結果について、国がどのように活用しているかが一番大きな問題ではないかと感じる。そもそも学力調査のデータについて常設の分析機関がなく、分析を外に委託する、あるいは、最初に業者に委託するしかない状況であり、貴重なデータを国が十分使えているのか疑念がある。既存の組織で分析を行うのが無理であるならば、何か代替手段を考えても良いのではないか。これは調査開始時からの課題であり続けているように思う。

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