高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドラインの策定について(平成28年9月)

28文科初第913号
平成28年9月30日


各都道府県教育委員会
各指定都市教育委員会
各都道府県知事
高等学校を設置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の長 殿


文部科学省初等中等教育局長
藤原 誠
(印影印刷)

 

高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドラインの策定について(通知)

 

今般、文部科学省では、一部の広域通信制高等学校において不適切な学校運営等の問題が生じていることを踏まえ、「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)を別添の通り策定しました。
ガイドラインは、高等学校通信教育の質の確保・向上を図るため、通信制高等学校(通信制の課程を置く高等学校及び中等教育学校後期課程をいう。以下同じ。)における主体的な学校運営の改善のための取組や、所轄庁における通信制高等学校に対する指導監督等の際に参照する指針として策定したものです。
特に、ウィッツ青山学園高等学校に係る事案については、学校教育法や高等学校学習指導要領に照らして著しく不適切な指導が行われていたことが年度末に近接した時期に明らかになったこと、違法・不適切な学校の管理運営に起因する問題によって生徒に著しい不利益を負わせることは適当ではないことを踏まえ、生徒に対する緊急的かつ特例的な救済策として、所轄庁の監督の下で、改めて高等学校学習指導要領に基づく面接指導を行う措置を講ずるという極めて異例な事態となりました。今後、設置又は所轄する通信制高等学校において、このような事態が生じないよう、指導監督に万全を期することが必要です。
このような観点から、ガイドラインについて、各都道府県教育委員会におかれては、所管の通信制高等学校及び域内の通信制高等学校を設置する市(指定都市を除く。)区町村教育委員会に対して、各指定都市教育委員会におかれては、所管の通信制高等学校に対して、各都道府県知事及び通信制高等学校を設置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体(以下「認定地方公共団体」という。)の長におかれては、所轄の通信制高等学校及び学校法人又は学校設置会社に対して、それぞれ周知していただくとともに、特に下記の点に留意して、必要な指導監督等の実施をお願いします。

 

 

1.設置又は所轄する通信制高等学校において、ガイドラインに示す各事項を踏まえて、学校の管理運営や教育課程、施設及び設備等を自ら点検し、学校評価を行うなど、主体的な学校運営の改善のための取組が行われるよう促すこと。


2.ガイドラインに示す学校の管理運営、教育課程等、施設及び設備に関する事項のそれぞれについて、設置又は所轄する通信制高等学校及び学校法人又は学校設置会社の状況を定期的に確認するなど、適切な学校運営が行われるよう指導監督に努めるとともに、特に、何らかの課題が生じているおそれがある通信制高等学校に対して、できる限り実地で実態把握等を行うこと。


3.特に教育課程等に関する事項に係る指導監督に当たっては、都道府県知事におかれては、必要に応じて、都道府県教育委員会に対し助言又は援助を求めること。また、認定地方公共団体におかれては、高等学校に関する教育行政について知識及び経験を有する者を配置するなど、ガイドラインを踏まえた指導監督を適切に実施することができるよう、十分な指導監督体制を確保すること。


4.多くの連携施設(協力校、技能教育施設、サポート施設等)において、通信制高等学校の添削指導、面接指導、多様なメディアを利用した指導、試験等や生徒募集に関わる業務が行われていることを踏まえ、連携施設との適切な協力・連携関係の確保がなされているかについて、例えば、通信制高等学校とこれらの連携施設との文書の取り決め内容を確認したり、連携施設の職員からも聴き取りを行ったりするなど、十分な確認を行うこと。その際、特に、連携施設との関係について何らかの課題が生じているおそれがある通信制高等学校について、必要に応じて、連携施設を訪問するなど実地の実態把握等を行うよう努めること。


5.他の都道府県等が設置又は所轄する通信制高等学校の連携施設について、不適切な学校運営等が疑われるような情報を把握したときは、当該通信制高等学校を設置又は所轄する都道府県等及び文部科学省に対して情報提供を行うなど、情報共有に努めること。

 

 

 

(初等中等教育局参事官(高等学校担当)付)