教育相談等に関する調査研究協力者会議(平成27年12月4日~)(第6回) 議事要旨

1.日時

平成28年9月7日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. 教育相談等に関する調査研究協力者会議最終報告(案)について

4.出席者

委員

岩永委員、加藤(崇英)委員、加藤(寿一)委員、加勇田委員、佐々木委員、中西委員、永山委員、野田委員、笛木委員、福田委員、森委員、山野委員、横張委員

文部科学省

坪田児童生徒課長、松林生徒指導室長、髙橋課長補佐、中村課長補佐

5.議事要旨

(1)いじめ対策・不登校支援等総合推進事業の概要について、参考資料5の説明を事務局が行った。

(2)最終報告(案)について、資料1の説明を事務局が行った。

(3)事務局の説明に関する質疑応答を行った。質疑応答の概要は次のとおり。

【委員】  ガイドラインは必要最低限の情報を盛り込むと書いてある。その後に、それぞれ地域の実情に応じてカスタマイズした指針を策定されたいとあるが、これは最低限やってほしいことを言っていることになるのか。地域の実情に応じてカスタマイズするというのは、付け加えるという認識でいいのか。そうであればわかりにくい気がするので表現を検討してほしい。

【委員】  ガイドラインの拘束力がどこまであるのか。

【事務局】  ガイドラインもまだあり得べきものを列挙したにすぎない段階である。この何週間かでマストのものと、選択可能のものを色分けしていく作業が必要になっていくし、まだこれでも足りないものもあるかもしれない。それがマストなのか、オプションなのかということも、提案いただくという形で練り上げていただければと思う。
 当然マストのものは基本的にやっていただくことで徹底をさせなければいけない。オプションは、マストではないことを分かりやすくしながらも、なぜやらないのかという説明をその地域、学校、保護者に対しても説明していかなければならない。我々も、補助金を出す側としてお願いしていくことになる。ただ、全体としては子供の利益のためにということで、一方では柔軟にも考えたいと思う。試行錯誤の面は当然あるが、成果物はそういう形で世の中に広めていきたい。

【委員】  3点意見を述べたい。一つは、それぞれの学校が困っている問題として発達障害の問題があるがそれをどこかに入れてほしい。二つは、スクールカウンセラーの求められる能力及び資格で、臨床心理士が一番多いが、それ以外に、学校心理士、教育カウンセラー、学校カウンセラー等、それ以外に約16%が活躍している。その後の臨床心理士という名前を入れるならば、それ以外の、例えば6資格をまとめてガイダンスカウンセラーという名前を並列して入れるというのを提案したい。それが無理ならば、臨床心理士の名前を外していただきたい。最後に、10ページの学級や学校集団に対するアセスメントというところ、アセスメントと対応という言葉を付け加えていただけると、より分かりやすい。

【委員】  学校長の役割のところで文化を作り出すことが重要であるという書き方は、情緒的に過ぎないかと思う。例えばチーム学校の答申から引用するなどして、組織体制の構築をしっかりするという書き方でいいのではないか。
 また、学校長の役割のところの「さらに」の段落が細かい内容になっている。校長の役割として、組織体制の構築は、学校の外や関係機関、教育委員会との構築など2つぐらい分けて、その上で、組織の問題や教員各自の役割などを構造的にまとめていただくとよい。
 21ページの校長に対するメッセージとして、ケース会議や教育相談コーディネーターの位置付け、スーパーバイザーとの連携などを明確に書いていただくことが重要。学校種間の連携の話については、小学校から中学校と、中学校から高校では内実が異なるので、もし必要であれば、別々にそれぞれ在り方を書くなり、ほかの資料を参照するように指し示した方がいいのではないか。
 特に(6)の中で、地域との連携の会議といった場合に、例えばここにスクールカウンセラーや、スクールソーシャルワーカーの人たちは実際に参加できるのかどうかも考えていただきたい。コミュニティスクールや地域学校協働本部の仕組みを活用するという書き方を検討する必要があるのではないか。
 教育相談コーディネーターについては、こういう人を当てるというメッセージが必要なのではないか。
 今回、教育相談のこういった問題が起こっているのは、生徒指導提要や、いじめ防止対策推進法の趣旨が組織的に運用されなかった事案が大きな原因になった。教育委員会にはもっと危機意識を持ってもらうような書き方を、支援体制の在り方の中にすべきではないかなと思う。そういうことも含めた教育委員会内の組織体制にもっと踏み込んだ内容を盛り込むべきではないか。

【委員】  現場にとっては結構大変な中身も書かれているが、どれくらいの実現可能性をイメージして書いているのか。
 例えば、コミュニティスクールや地域学校協働本部とかという仕組みを、それぞれの地域、地域で構築していくのは、時間が掛かることである。教育相談コーディネーターの役割や、やらなければならない中身を見ると、何かと兼ねてということで、大丈夫な学校の状況もあるが、そうではない学校の方が多いのではないか。

【委員】  第4章のところで、(5)の21ページ、学校種間の連携や関係機関や地域全体との連携体制づくりの大切さを書き込んでいるが、7ページの今後の教育相談体制の在り方という、一番の骨のところで未然防止・早期対応、そしてチームづくり、そしてガイドラインという3つの柱の中では、連携という部分が読めない。ここは報告書の柱になるところなので、他機関との連携の内容が書き込まれることを期待したい。

【委員】  実現可能性に関わって、何か事務局からあるか。

【事務局】  報告書を細かく見ていただくと、それが絶対というよりも、例えとして出しているところもある。全てそれを完璧にやる必要はないとは思うが、これを実現できなかったら子供は救われないという気持ちで、これまで委員の方々の御意見を集約したものである。
 アイデアの中には、先ほども言っていたようにオプション的な例えもある。全てがコミュニティスクール、学校支援本部ということでなく、青少年育成会議など既存の会議を御活用いただければ十分な部分もあるかもしれない。それができないのなら、新たな仕組みとして国も支援策を増やしており、コミュニティスクールと学校協働本部などで、新たな視点で新鮮な気持ちでやっていくという意味での、こういう書きぶりであると考えていただければいい。
 全般に、皆さんのアイデアや思いを結集させており、ここは無理だというのがあれば削っていく作業もあり得るとは思うが、いや、これはやるべきで、知恵を出して乗り越えるということであれば、逆に工夫の方を入れていただいて、前向きな形で修文できたらと考えている。

【委員】  教育委員会における支援体制といったとき、県レベル、市区町村レベルの役割を仕分けして書かれるといい。それから、連携というポイントを、学校の中だけのチームワークやネットワークだけではなく、時系列で成長を追って、義務教育の後まで若者の育成を支援する観点、学校の後まで視野に含めるべきだと思う。
 現時点での横のつながりの他機関連携と、縦の軸としての校種間連携、発達、その生育に応じての支援をしっかりと含め、これからの教育相談にとって必要であるという趣旨を、分かりやすくどこかに盛り込んでいただければなと思う。それと、教育相談の在り方がやりっ放しになってはならず、これだけのチームがスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの働きを評価するということではなくて、どう活用されたのかという援助システム全体の点検・評価、改善が重要になるというところを、学校レベルや教育委員会レベルで盛り込むことが必要ではないか。

【委員】  21ページの4番の教職員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーは、先ほど校内委員会の学校組織というのがどういうものなのかという御意見があったが、要は川崎事件やいじめの事件をイメージしてピックアップされる、スクリーニングされるという会議体と考えている。ケース会議とこれは別物だと思うので、これをきれいに切り分けた方が分かりやすい。
 2点目は、コミュニティスクールや地域学校協働本部も、風呂敷を広げる形かもしれないが、学校内だけではなく、全体とどうリンクしていくのかを出しておく必要がある。
 最後に、子供の貧困対策で、学校プラットフォームというのが出されている。言葉をどう使うかは別として、学校を拠点にしながら、いろいろな支援を行う、それを調整するのがスクールソーシャルワーカーということになるのかもしれない。
 教師が全部をするという意味ではなくて、いろいろな地域の資源が学校から見えるようにしていくことも出されているので、連携ではなく地域も含んだシステムのような大きなサイズの言葉が書けたらいいのではないか。

【委員】  23ページに、教職員向けの研修への参加促進という部分がある。チーム学校としての研修を少し意識した表現も考えていただけないか。教育行政等に関する理解を進化というのもかなり限定されているというか、曖昧な感じがするし、教職員向けの研修への参加というとあくまで教職員の研修についでに参加するという表現になる。そうではなく、一緒にやってみるという研修があっていいのではないか。

【委員】  学級担任を教育相談コーディネーターとすることは避けることが望ましいという一文があった。学校にとっては、大変なことだとは思うが、やはりここをきちんとしていかないと、学校の中の相談体制は前進しないのではないか。
 特別支援コーディネーターも何年か前から出ている。最初は、一体どうしたらいいのかと学校現場も大変混乱したが、必要なこととしてやってきた結果、今はそれが大分浸透している。こちらも最初は大変であると思うが、力を入れていくべきだと思う。
 もう一点、養護教諭に関わる部分について、文言が学校医等々のところだけになっている。学校医というのは、学校三師で、学校医、それから学校歯科医、学校薬剤師となっているのでこの辺も相談させていただきたい。

【委員】  教育相談コーディネーターのところで、委員の方から指導教諭という言葉がでた。東京都では、定年退職した後の再任用の教員の活用も考えられる。養護教諭の複数配置もあり、ある程度、複数の配置は学校によってはできると思う。授業がない教員がコーディネーターになるのが一番ではないかと考えた。
 また、授業絡みでは、20ページの部活動における指導等、授業以外の活動を取り上げる等と書いてあるので、もし緊急事態になれば、授業等も自習等の対応も考えないといけないので、部活動における指導を取りやめる等で、授業という2文字は削除した方がいいと思う。あと、12ページの真ん中で、全ての小中学校に加え、最終的な目標として高等学校をそこに入れていただきたい。

【委員】  18ページがスクールソーシャルワーカーの内容の部分で、職務遂行に当たり配慮すべき事項ということで挙げられている。スクールカウンセラーの方でも同じような項目を立てていて、それぞれの職務というよりも、学校の中での職務ということなので、分けて書くメリットもある。ただ、18ページを見ると、スクールカウンセラーは虐待に関わる通報に関してはどうなのかということになるので、項目を対照させてそれぞれの専門職が職務をどう当たるのかを分かりやすくしたほうがよろしいのではないか。トータルとして職務遂行に当たり配慮すべき事項ということをまとめて書く項目を立てるのであれば、その中でSCとSSWの法的なところ、守秘の問題、通告義務の問題、報告義務の問題、家庭への関与の問題、プライバシー個人情報保護の問題の項目立てをしたほうが読みやすいのではないか。

【委員】  今の部分に関わってSC、SSWのそれぞれの方々の認識として、守秘義務や通告義務その他については、全くパラレルというか、同一のくくりという理解で大丈夫なのか。

【委員】  私はチームとしての職務遂行と捉えているので、同一でよいかと。

【委員】  共通項目の部分は見やすくすると同時に、例示があった虐待に係る通告の部分は、場合によっては要保護児童の通告義務と、それの部分集合である虐待の通告義務という形で明記をしつつ、共通項目でくくり出せるならば、何か括弧を解いて頭に出すイメージで整理したいと思う。

【委員】  11ページのスクールカウンセラーの職務内容で、心理の専門職の臨床心理士だけ分けるのはいかがかなと思う。心理と教育、両方の専門家のカウンセラーを入れる、あるいは、両方抜くということを検討していただきたい。また、心理教育プログラムを実施するということがうたわれているが、その整合性でいうと、ガイドラインの25ページでは職務の内容が抜けている。例えば、マル6教職員に対するコンサルテーションでは、個別対応が書いてある。児童生徒への個別対応、ケース会議での助言・援助であるが、ここにもう一つ、集団対応に関する教職員への助言・援助を付け加えないと整合性が失われる。
 それから、実現可能かどうかで、いわゆる問題が起きない予防開発が話題になっている。システム作りというか、学校組織、学校体制作りへの助言も、スクールカウンセラーとしては重要な役割かと思うので、マル8としてそれを起こしていただきたい。例えば、ガイダンスカリキュラムを学校の中で推進する。職員会議の中で発言することによって、問題が起きない学級づくり、カリキュラムを作るという、それが大事ではないかと。その視点が抜けているので付け加えていただきたい。

【委員】  福祉の専門家と心理の専門家を学校に配置するというところをしっかりと明記するという意味での報告書になるのではないか。それから、私も学校、学級集団を支援する中にアセスメントの重要性と心理教育プログラム等の授業形態の関わりという、その2本立てになるのではないかと思う。
 もう一つ、22ページの(10)シートを活用したという具体的なシートが出てきているが、シートを見ると、本当に連携等のチーム学校が運用できるのか疑問なところがある。もう少し個人の理解を進めて、いろいろな職種の方が参照できるような情報を盛り込むような整理の様式というものがあり得るのか。

【事務局】  児童理解・教育支援シートは不登校の会議で作ったが、ある程度、様式も自由度があるので使えるかなと。いろいろなものを投入すると、どれもあれもで定着しなくなる可能性もある。カスマイズも許容しておりこれを広げていただいていいのかなと考えている。
 あと、教育相談コーディネーターについてだが、誰がやるのかはっきり書いた方がいいとか、指導教諭がいいなどいろいろな意見をいただいた。東京都では指導教諭の配置が十分ではないにしろある程度できているが、都道府県によっては全くできていないところもある。条件がかなり違う中で、こうすべきというのはなかなか書きづらいものがある。重要なことは、名ばかりコーディネーターではなく、この人が声をかけたら会議に集まろうと思える人がコーディネーターとして適切であるというのがイメージである。

【委員】  児童生徒理解・教育支援シートは、中学校から高校への情報が上げにくいという委員のお話があった。また、保護者の方からの開示請求が出たときに、どこまで見せるかというような問題もある。トータルで合意のつくところで、幾つかのサインを引き継ぐと同時に、これだけでやれるかというところで言うと、各職種や校種間、出てくる課題によっても悩ましさは確かにある。しかし、ある時期、学校がこういう形で関与していた、あるいは、このような視点でピックアップしていたという強みはある。
 テーマになるSCとSSWの具体的な部分は、それぞれの立場によって、本文とガイドラインとの不整合の指摘があったので幾つか整理していただく。その中には、選択肢的なものもあるし、事務局の言葉で言えばマストのものもある。そのマストの部分あたりをある程度本文の方に移行しながら、分かりにくければ例示を付けていくなどの作業が必要かと思うので早急に取り組んでいただき、10月初旬あたりでまとめられたらと思う。

(4)事務局より連絡

○今後の予定

(以上)

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第二係

電話番号:03-5253-4111(内線3289)

(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第二係)