教育相談等に関する調査研究協力者会議(平成27年12月4日~)(第5回) 議事要旨

1.日時

平成28年8月5日(金曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省15F特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. スクールカウンセラーワーキングチームの報告
  2. スクールソーシャルワーカーワーキングチームの報告
  3. その他

4.出席者

委員

岩永委員、加藤(崇英)委員、加藤(寿一)委員、加勇田委員、小泉委員、佐々木委員、鈴木委員、野田委員、中西委員、福田委員、山野委員

文部科学省

藤原初等中等教育局長、瀧本審議官、坪田児童生徒課長、平居生徒指導室長、髙橋課長補佐
矢野財務課長、中村課長補佐、小倉専門官

5.議事要旨

(1) スクールカウンセラーワーキングチームの報告(資料1)について、質疑応答の概要は次のとおり。

【委員】  1ページのスクールカウンセラーの職務で、心理の専門家としてチーム学校に加わるということで、例えば「カウンセリング等各種の心理支援法等様々な技法を駆使して」と入れるのはどうか。また、(1)不登校等々とあるが、「いじめ」が外されていることの趣旨をまず伺いたい。
 それから、即応的に子供に対応できる存在、その仕事であるところを何か書き加えるのはいかがか。それから、「参加体験型プログラム」と称しているが、これだと何を指しているのかが分かりにくい、明確にサイコ・エデュケーションあるいは心理教育プログラムというような表現に変えるのはいかがか。
 ページをめくり、「新年度に全児童生徒への面談を実施する云々」とあるが、ここに「相談しやすい環境が作られる」という記載がある。ここは非常に重要だと思うので、相談のしやすさ、受け止めの幅、敷居の低さ、間口の広さを何か盛り込みたい。
 それから児童生徒へのカウンセリング及びアセスメント、これは緊急の事後対応の部分だと思うが、ここに対応させる意味で、(1)は未然防止予防策のところで、予防的な意義を盛り組むことが必要ではないか。そして、「自然災害等」とあるが、より頻繁に起こるのは学校関係にある突発的な事件・事故であるので「突発的な事件・事故及び自然災害等」と加えるのはいかがか。
 また、心の代弁者、子供が考えて感じていることを大人たちに伝える、そのつなぎ役としての機能が非常に重要ではないか考える。どこかにスクールカウンセラーが持つアドボカシーの機能を盛り込んでいただきたい。
 3ページ資格要件のところで、これまでの臨床心理士の実績を盛り込むべきではないか。そして、下の評価の項目がある。この辺りの人事評価の方法に関しては、何か別のところでも触れていただきたい。最後、7ページの家庭訪問について、「原則として実施しない」という表現をまた見直し、「必要に応じ」誰がいくかをコーディネーターやチームで検討して、行く場合もある。その表現を前後させて表記するのはいかが。

【委員】  最初の(1)不登校、問題行動、虐待等の未然防止、早期発見のところで、「いじめ」がないところ、私も入れたほうがよい。
 委員の、「サイコ・エデュケーション」にしたらどうかについては、参加型・体験型プログラムで私はいいと思うが、サイコ・エデュケーションとどちらでもいいと思う。
 あと、2番の専門性について、臨床心理士の今までの実績を考えて入れるべきではないという御意見であるが、1つの資格だけ浮き上がる形の表現は避けた方がいい。
 同じような意味で、「学校に適した臨床心理学的な技法」も、できれば「心理学的な」という形にしていただきたい。2番の3行目、「カウンセリング面接やグループ面接などへの種々の技法」というところで、グループ面接というよりも、今サイコ・エデュケーションの中で話題が出たように、ここはグループ対応あるいはグループアプローチという形での支援が多い。「臨床心理学的な技法を開発するプログラミング能力」は、分かりづらい表現であり、別の表現にしていただきたい。

【委員】  私はあえてカウンセリングの枠を広げるという立場で、教育カウンセリングという言葉を使っている。話し合いの流れで未然防止というか、早期発見が1番目に挙げられていることと、その中に集団対応という言葉も入っているが、これから子供達の不登校やいじめをなくすための重要なキーワードだと思っている。
1ページ目のマル2、教員に対するコンサルテーション及び研修については、先生方に対する学級作りや集団指導の理論、スキルを是非援助したい。
 3ページ目の最初に未然防止を挙げていただいたのは本当によかったが、(2)不登校、問題行動、虐待が発生したという、突発的な事件もこれも入れるべき。それから、家庭訪問について発言されたが、私も全くそこは同感である。チームで対応するときに子供に合う支援者は誰か、親に強い人は誰かなど相性の問題がかなり出ている。家庭訪問はスクールソーシャルワーカーだけに限るということではなく、場合によってはスクールカウンセラーが行くこともある。柔軟に対応できる文章にしていただければ。

【委員】  一般的に言うと、カウンセリングという言葉には人によって語り方が違うので、それはカウンセリングと言うかどうかという問題はどうしてもついて回る。ここのところではかなり広めに取りつつ、特定する必要がある場合には絞り込んで用いるというような方向性の原則だけ確認させてもらってよいか。
 ただ、実際には直接関わらずに、かなり距離を置いた状態での間接情報に基づいたアセスメントすることもある。そこまでいくと、カウンセリングというよりは、もう少し心理援助で、カウンセリングという言葉のイメージからは離れ過ぎているものも含まれる可能性がある。その辺りは必要に応じてまた追記するというか、そういうような方向で御理解いただきたい
 それから、家庭訪問の解釈というか、位置付けは、SSWとも絡むテーマだと思う。先ほどおっしゃったアドボケートの問題である。家庭訪問の書きぶりでは、事務局でのその起点での認識といったときに、原則的にはSSWは家庭訪問をし、SCは家庭訪問をしない方向であるが、「ただし」でつながっているように全体を見て必要なら行くという書きぶりになっているかと思う。そういう理解でよろしいか。

【事務局】  家庭訪問の方だが、こちらに書いているとおり、原則として実施しないという認識ではいた。ただ、これは今先生方から置いていただいているようにSSWと協働して働いていくという関係性からいうと、ここももう少し議論が必要なのかと思う。

【事務局】  それに付け加えて言うと、そこの不一致についてはあらかじめ承知をしている。むしろそれでいいのかを議論していただきたいという趣旨で、あえてそのまま挙げさせていただいた。

【委員】  現状も扱いとしては、基本家庭訪問をSCはしないという理解で動いているということでよろしいか。

【委員】  自治体の教育委員会の基本方針によってまちまちではある。ただ、時間数が少ないので、1日4時間のところで往復1時間使ったら仕事にならないという話も現実にある。自制しているのは、スクールカウンセラー側からすると、自粛というか自制はあるようである。

【委員】  SCのスーパーバイザーとしては基本的には行かないように話をしている。ただし、校長の判断の下、行かざるを得ないケースが実際にあるし、不登校の対応などで、特別許可などの形で行っているようなケースがある。ここに書いていただいているニュアンスが、ただ「原則としてしない」というのが強すぎるかもしれない。この辺りの調整をさせていただく。ちなみに、SSWの方ではどのようなイメージか。

【委員】  スクールソーシャルワーカーに関しては、家庭訪問がだめということはあり得ない。

【委員】  スクールソーシャルワーカーは当然家庭訪問を行うであろうし、家庭訪問以外にも関係機関への同行も当然あり得る。

【委員】  当然チーム学校というか、これ今後人事を含むどういう構造で行うかである。学校が知らないのに勝手に関係機関にいったり、家庭訪問をしてトラブルになったなどの情報が入ってくることがある。全体の中でのアセスメントというか、状況判断の上で校長の指示になるのか、そういうこともあり得るという書きぶりで考えたい。
 もう1点家庭訪問の構造に「保護者の了解を得た上で」が入っている。これはSCの方だけという問題ではなくて、SSWにも共通するのか。教育相談の在り方における家庭訪問をどのように考えるかということになる。

【委員】  家庭訪問は関係作りができていることが基本的には大事だと思う。「いつ頃お伺いしていいですか」ときちんと確認を取って訪問するのは、基本的なスタンスである。
 ただケースの中には安否確認ができていなかったり、必ず了解を取らないといけないとなると、非常に厳しいケースのときに動きづらいという側面はある。そのニュアンスをどう言葉として盛り込むかということになる。

【委員】 スクールカウンセラーの方に教育コーディネーターという言葉ができて、スクールソーシャルワーカーの方にはそれは出てきていない。教育コーディネーターも学校としての相談のチームを考えた上で、そこで判断する話になってくる。

【委員】 それぞれの報告書で、このような話が出た形でまとめることになると思う。特にコーディネーターの位置付けは、これまでも議論になっていた。ソーシャルワークの方では、あまりそこに重点を置いてはこの間議論できなかった経過はある。

【委員】  それぞれで一旦報告書を出すことが前提だと、最低限統一した部分があるべきだと思うが、これはどなたが読んでもお気付きになることだと思う。待遇のところは、スクールカウンセラーで一言書いてあって、スクールソーシャルワーカーの方はない。あるいは公文書云々はスクールソーシャルワーカーの方しか書いていない。教員養成についてもスクールソーシャルワーカーだけで、スクールカウンセラーの方は、心理のことは少し勉強しているという前提はあるにしても、統一して何らかの形で書くべきところがある。
 もう1点、1ページの真ん中から、職務について(1)でマル1からマル5まであり(2)で何か起きた場合のことが書いてある。現実には現状の配置の体制からすると、(2)が重点的に行われている学校も少なくないのでないか。もちろん(1)の部分もあるとは思うが、なおかつ、(1)マル1で、学校等集団に対するアセスメントという、これが最初に来ることはかなり素人が読んだ印象としては踏み込んだものであると思うが、そういう理解でよろしいか。

【委員】  今までは他人任せになっていたものを、スクールカウンセラーがかかわって未然防止をしている時点である。裏返していえば何も起こっていない段階である。

【委員】  やることをある意味で打ち出すという点では、かなり画期的な気もする。

【委員】  不登校の数が減らない、いじめも減らないという現状に対して、未然防止、そのためにはカリキュラムにもカウンセラーは関わる必要がある。そういう専門的知識を持って、学級経営、学級作りというところでは最初の4月が勝負である。最初の1週間、1か月、担任が子供たちとどういう契約をして、どういう学級作りをするかということがないと、今の時代子供達のいい集団が作れない。

【委員】  学校の主たる子供とのやり取りや学校全体のマネジメントは、メインの職種としては教員がいる。学級経営や、いろいろなことをしっかり継いでもらうと同時に担っていただくのはそちらがメインで、少なくともカウンセラーもソーシャルワーカーもそのシステムをしっかりと支援させていただくというか、協働させていただくニュアンスである。
 アドボケート機能は、SCの方でも原理的に非常に狭く考えると代弁することになるし、広げて考えると権利擁護を保障する話になる。この辺りの役割をSSWの方ともかぶりつつ、全体のところでは書かないといけない。

【委員】  アドボケートのこともそうだが、例えば、協働について、チーム学校についてということなのか。スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーと教員が、今おっしゃられた3つコラボレーションしていくのかという項目を作った方がいい。書きぶりや枠組みは一緒の方がいいと思う。

【委員】  先ほどの7ページの8番の(2)の家庭訪問で、現場として現状がそのまま書かれていると思って読んだ。今後新しい配置の在り方等を考えた場合、チーム学校としてさらにこういったことが必要であろうと、最後の書きぶりになるとより発展していくような形になるのかという感想である。

【委員】  教育相談コーディネーターの書き方で、実際学校の管理職や教員は多分ここをすぐに見ると思うが、担任や授業を持たない教員というとおのずと誰か分かる。あるいは軽減された教員というとおのずと誰か分かるというようなことになる。はっきり申し上げると去年までのチーム学校の議論でいうと、こういうところが教員は軽減されるのか。むしろ私のイメージとしてはこの教育相談の重要性からしたら、一種のこういうマネジメントの業務が確実に増えるという理解である。増えるなら増やしていただいて、その代わり人を付けてくださいという発言をしたい。
 ここの書き方はスクールカウンセラーの報告書の中に、スクールカウンセラーがやるわけではない仕事を書いている形になっている。誰がやるのか、誰がやらせるのか、何をするのかである。例えば、「教育相談においては教育相談の核となる教育相談コーディネーター」など、「核となる」と言われてしまうとこの人が中心と、スクールカウンセラーではない人が、でも教育相談の核という、こういう細かい表現に引っかかってしまう。

【委員】  委員の発言の中にあったように、もしスクールカウンセラーが専任になった場合には、もちろんコーディネーターの役割もできるのではないか。そういう意味ではカウンセリングと教育、両方の面での専門的な力のある人が望ましいと考える。
 そういう点では、先ほどからの議論で教育相談コーディネーター、「カウンセリングに関する専門研修や専門的実務経験を積んだ者が望ましい」とあるが、広い意味でカウンセリングを考えれば、サイコ・エデュケーションも含むわけだが、あえてここにグループ対応やグループ集団指導力など、何か入れた方がいいかという気もしている。

【委員】  子供の貧困というテーマも含みこまれている時代になっており、教育相談の扱うテーマがより広範になってくる。特別支援の発達上の問題を抱えるお子さんに対しての支援をする部分や子供、若者の育成の支援をするようなことも学校が担うとなると、子供たちを支援する中の組織体のコーディネーションの発想が今後もっと必要になる。
 この教育相談コーディネーターというのは、従来の教育相談のイメージである。もう少し踏み込んだ教育相談イメージを盛り込むような報告書にしていくべきであろうと、私自身は感じている。

【委員】  チーム学校という新たな学校作りという視点が今度出てくるので、そういった学校組織はこのように考えるべきだということがないといけない。既存のものだと、あれも必要、これも必要というのは当然出てくるので整理した方がいい。
今特別支援教育のコーディネーターが学校にいるが、正直申し上げて、養護の先生が担っている学校が多い。課題が多い学校だと養護本来の業務が逆にできなくなってきてい声も聞く。どのような形で組織として考えていくかは、新たなものを作った上でまとめていく方がいいのではないか。
 それから、先ほどの家庭訪問の件で、日常的な家庭訪問と安否確認やいじめなどの重大事件などが発生したときなどと分けて考えていかないと、あれもこれもではいけない。

【委員】  今までの議論でチームはどのように作っていくのかという話があった。その中で例えば、資格としてSCやSSWが教員などと一緒に完全に切り離してやっていくのが理想である。

(2) スクールソーシャルワーカーワーキングチームの報告(資料2)について、質疑応答の概要は次のとおり。

【委員】  6ページのスクールソーシャルワーカーの配置等の(1)教育委員会配置のスクールソーシャルワーカーについて、教育委員会配置のスクールソーシャルワーカーが(1)しかない。(1)があって(2)、(3)がないので、教育委員会配置だけではなくて、その流れとしたら学校配置などが書かれる予定だったのかと思った。
 3ページ、(2)の下にマル1、マル2とずっと続くのだが、その前のページ、1ページの(1)の下はマル1、学校の現状把握という表題があって文章がある。同じように考えると、(2)のところがマル1で文章から始まってしまうので、同じような書きぶりがいいのではないか。
 先ほどSCのところで意見もあったが、学校の組織作り等はあって子供への直接支援がないので、これは(1)にも、(2)にも、子供や保護者への直接支援のような項目が必要ではないか。
 それから、SCの方ではSCの6ページに、スーパーバイザーを教育委員会に置くというのがあった。スクールソーシャルワーカーも教育委員会にスーパーバイザーを置くという項目があったらいい。
 それから、配置形態、SCの6ページの配置形態と並べて書かれているこのように書いた方が分かりやすいのかもしれない。
 最後が、事業評価していくこともSSWの方にも、先ほど数字で評価していくのかいう話とあった。そういった事業評価の項目もあった方がいいのではないか。

【委員】  保護者への直接支援はもう少し盛り込んでもらいたいということと、いろいろな文言を見ていくときに情報収集や整理という部分があるが、子供、保護者のニーズをどう捉えるかがとても大事なところだと思う。
 あとは、先ほどSCのところで出たアドボケートのところも、当然SSWも権利擁護では関わるので、双方でやる部分である。

【委員】  これから議論になってくると思うが、ソーシャルワーカーが行う個別の対応、そしてアセスメント、それからスクールカウンセラーが心理の立場で行う個別の対応、アセスメントを、今回のチーム学校をキーにして心理社会的なアセスメントと心理社会的な対応、トリートメントを、これまでなかったような支援の統合を見据えたものを少し考えている。
 スクールソーシャルワーカーが行うアセスメントは、こういう観点からこういうことをしていき、教師が行う見立てはこうで、心理が行う見立てはこうだというものが、誰が見てもこういうところを見ているのかを一覧できるようなスキーマーが必要だろうと思っている。
 これから本編ですり合わせる中で、このチーム学校の支援体制の中で行うアセスメントとは何を指すのか、どういう操作をするのかを是非詰めていくと、一歩踏み込んだ相談体制に近づくのではないかという感想を持っている。

(3)事務局より連絡

○今後の予定

(以上)

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第二係

電話番号:03-5253-4111(内線3289)

(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第二係)