教育相談等に関する調査研究協力者会議(平成27年12月4日~)(第4回) 議事要旨

1.日時

平成28年3月14日(月曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省 旧庁舎6階 第二講堂
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 中間報告(素案)について
  2. チーム学校に関する論点について
  3. その他

4.出席者

委員

岩永委員、加藤(寿一)委員、加勇田委員、小泉委員、佐々木委員、鈴木委員、中西委員、
中根委員、永山委員、野田委員、笛木委員、福田委員、山野委員、横張委員

文部科学省

小松初等中等教育局長、藤原大臣官房審議官、坪田児童生徒課長、平居生徒指導室長、
福島課長補佐、髙井課長補佐、齊藤課長補佐

5.議事要旨

(1)資料1の説明を事務局が行った。説明に対する意見等の概要は次のとおり。

【委員】  3ページの「準ずる者」が、これからも残っていくのか気になる。子供たちにとっては、学校、学級の環境というのがとても重要で、この環境が改善されない限りいじめも不登校も治らない。そのため、集団対応が必要と考えると、心理の専門家であると同時に教育の専門家が必要。ある特定の民間の資格だけが指定されて、ほかの資格は準ずる者という位置付けでこれからも進められるのか。

【事務局】  ここでは、これまでの経緯が中心。これからの話は、教育相談体制の今後の在り方、役割の明確化というところが、この会議で議論する内容になる。

【事務局】  現在の補助金の実施要領では、狭義のスクールカウンセラーと、スクールカウンセラーに準ずる者という2つの区別があるが、この報告書では区別せずに書くということを述べているだけで、それ以上のことは何も述べていない。

【委員】  2ページの平成31年度までにスクールカウンセラーを全公立小中学校に配置するという目標が掲げられたという記述があるが、スクールソーシャルワーカーに関してはどうか。

【事務局】  3ページに平成31年度までにスクールソーシャルワーカーを全ての公立中学校区、約1万校に配置すると書かれている。

【委員】  スクールカウンセラーの2万7,500校とスクールソーシャルワーカーの1万校との違いはなぜか。

【事務局】  スクールカウンセラーについては、平成7年からスタートして着実に配置されているということが1つ。それと元々スクールカウンセラーというのは、学校の中で子供たちの教育相談を受けるということで、学校配置を中心としており、地域を対象としたスクールソーシャルワーカーは、平成20年からスタートして平成31年度までで、中学校区1万というところが一つの目安として示されているということ。

【委員】  スクールカウンセラーについては配置校数で、スクールソーシャルワーカーについては単位が人になっていたが、単に数だけではなくて、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの仕事の関わり方の質という意図もあるのか。

【事務局】  スクールソーシャルワーカーは、基本的に地域で、地域の関係機関との連携を中心として役割を担っているもので、地域という形で捉えている。スクールカウンセラーは、個別に子供の相談に乗るという形で学校配置というイメージ。
平成31年度までの目標は、あくまでも、現行で推進している補助金事業の枠組みの中でそういう配置を目指しているということ。一方で、いわゆる馳プランの中では、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカーというのを補助金事業ではなくて制度として位置付けようという形になっている。

【委員】  この中間報告で、話題が小中のところに特化しているように見受けられるが、高等学校に関する今までの経緯等は、どのようになっているのか。

【事務局】  スクールカウンセラーについては、小中学校を中心とした配置が進んできて、補助金事業の実施要領上は、配置の中で10%以内を目安に高等学校に配置できるという規定となっている。一方、スクールソーシャルワーカーについては、平成27年度から47人、各都道府県に1名程度、高等学校のための配置として、週3日分の予算措置がされている。

【委員】  高等学校についても何か記載があればいいと思う。

【委員】  教育相談委員委員長兼教育相談コーディネーターをしていたときに、小学校、中学校と比べると高校はもう少し手厚くしていただきたいと感じたことがあった。高校についても今後、考えていただきたい。
 また、学校に臨床心理士や学校心理士など資格を持った優秀な方に来ていただいてアドバイスをいただき、とても助かった。学校教育についてよく知っている方が携わってくださるということは現場もとてもやりやすい。

【委員】  教育相談施策の変遷で、高校の部分はこうだったと実態を記載してもおかしくないと思うが、補助金事業に限定した理由は何かあるか。

【事務局】  これまでの教育相談、特にスクールカウンセラー、ソーシャルワーカーというのは補助金を中心として進めてきたが、その枠組みの中で高等学校がどうだったかを別に書き込む方向で修正させていただきたい。

【委員】  2ページ、3ページに平成31年度までにスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーとも増員していくような記載があるが、具体的に配置というと週1日とか、週2日、週3日、いろいろあると思うが、どのように今、動いているのか。

【事務局】  今のところは週1日というのがベースとなっている。週2日、週3日というのも、予算上の話としてできればいいが、まず配置されていないところへの配置が重要。

【委員】  先生、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーは、他の地域から派遣されており、地域の事情を余りよく御存じないことがあると思う。地域の方々の事情をしっかりヒアリングするような体制を取るとか、組織作りをするとかそういったことを保護者も入れて盛り込んでいく必要がある。

【委員】  コーディネーター役について、いろいろなところに記載されたのでありがたい。今、現場で一番悩んでいるのが、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーが学校に入ったとき、情報を学校現場でどうつなぐか。日々の子供の変化や様子を見ているのは学校の担任であり養護教諭である。スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの知識を十分に活用していくために、コーディネーター役の位置付けがとても重要。専門家が入ったからよくなるという、単純なことでは決してない。日々の子供を見ている教員、保護者も含めてどうつなぐかを、コーディネーター役の先生として力を持った先生に担っていただく、あるいは研修体制をきちんとしていくことが今後必要。

【委員】  2ページの真ん中の子供たちに、アセスメントやプランニングをした上で教職員チームで問題を抱えた子供たちの支援を行うことが重要で、コーディネーター役の先生の役割がかなり重要。
 コーディネーター役の先生がプランニングをする中身は、個人の生徒のプランだけでなく、学級を立て直すプランも必要。事後対応に今まで偏り過ぎていたことで、不登校もいじめもなくならないという統計が依然として示されている。問題が起きてから対応するのではなく、問題を起こさない学校運営、学級経営、個別プランが必要。個別対応でなく集団対応が欠かせないということを今後入れていただきたい。

【委員】  地域との連携という意味では、コミュニティ・スクールに関係すること、学校地域協働本部に関することが生涯学習政策局で出されている。そことの関係も、チーム学校と関連する図を作ってきており、ここにも学校地域協働本部との関連、コミュニティ・スクールとの関連、家庭訪問とか、そういった同じ文科省の中での生涯学習政策局との関係性が見えるように、書き込んでいただきたい。

【委員】  チーム学校という新しい形がスタートすると、かなり大きな意識変革を各現場が求められ、専門職の立場もこれまでの専門性をそこに盛り込むだけでは十分機能しないだろう。新たに現場で何が求められているかを専門家も認識した上で学校に関わることが必要になるので、スクールカウンセラーの職務内容は、十分に予防的な観点も含み込みそれぞれの現場の協力体制を構築していくという、かなり大きな再構築が求められる。
 これまでこう当たってきたが、これからはこう当たるというようなモデルケースを提示していくことで、コーディネーターがコーディネートしやすくなる。またコーディネーターの動き方がこれまで以上に複雑になる可能性もあるので、学校の中のコーディネーターとともに、教育委員会にしっかりとした、少し学校から距離を取ったところでコーディネートできる立場の専門性を持った方を配置して、それのつなぎの部分が非常に重要になるのではないか。
 そして、研修とか資質向上の面、OJTのような動きながらそれぞれのスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの有効な連携を模索する機会が必要になるので、それが機能し自己点検して次の評価につなげて実行に移せるようなサイクルを学校の中に教育相談体制として位置付けていくことを盛り込みたい。

【委員】  今後の教育相談体制の方向性というのがあるが、その中で、今後の学校像やチーム学校といったときのチームのイメージはどのように描かれているのか、例えば専門職が入るだけでチームが成り立つのか、あるいはチームの中で教職員も含めた専門職の間でどんな相互作用が起きて、より効果的なチームとして機能する体制を作っていけるのかといったところも少し意識して盛り込んでいただきたい。

【委員】  集団対応は非常に大切と現場として感じている。学校生活において大部分を占めるのは授業で、高等学校の授業というと個別対応、個別指導というよりは全体の集団の中での授業ということで、その中で生徒はどうやって関わっているのかを見取る、それが非常に大切。

【委員】  自治体の財政力によって週1日であったり、2週間に1日であったり、そういった回数の問題がある。校長先生としては、最低でも週1日は学校に来て、関わりを持ってもらいたい。目標として、小中合わせて2万7,500校という数値はあるが、学校に来る回数をある程度担保してもらいたい。将来、教職員定数に含まれた場合に、その辺はある程度解決される方向性は出てくると思うが、そういった、そこへの橋渡しのところをどう考えていくかというところも大事な視点。
 校内体制が一番大きな問題、コーディネーター役はいじめの問題に関するコーディネーター、特別支援に関するコーディネーター、広域教育相談におけるコーディネーターそれぞれ本当に必要だが、学校組織の中で全体を考えて人を動かしていかないと、本当に学校はパンクしてしまう

【委員】  コーディネーター役の教員の力量がとても大きく作用する。コーディネーター役の教員の育成の部分も議論の中に入れていただきたい。

(2)資料2の説明及び欠席委員の意見の紹介を事務局が行った。説明に対する意見等の概要は次のとおり。

【事務局】  欠席委員からの意見を紹介する。
 いきなり外部性を示されると、スクールカウンセラーやソーシャルワーカーが外部のいわゆる疎遠な存在と感じかねない。
組織のライン図として国立大学法人の監事の例を示しているが、組織のラインから独立性の説明のために監事が近いとするのは、大学の組織を知っている人であれば分かる議論かもしれないが、分かっていない方々については、逆に誤解を与えるのではないか。
 6ページの表を端的に示すことによって、教員から見たときに特別扱いをしているような誤解を与えるのではないか。スクールカウンセラー、ソーシャルワーカーは、校長のみの命令に従って教育相談体制とかいじめ調査委員会以外には関与しなくてよいという誤解を与えるのではないか。

【委員】  学校において外部性ということを考えるときには、守秘義務との関連を正確に記述しなければいけない。個別の守秘義務、チームの守秘義務、公務員、学校職員としての守秘義務。そういうレベルがある守秘義務について研修や周知徹底が必要。

【委員】  外部性という熟語が意味するところが非常に誤解を招きやすいので、丁寧に書き込むことが必要。スクールカウンセラーの意義は、評価をしないという立場。生徒から見て自由に自己表現ができたり自分のことを打ち明ける相手としてしっかり見やすくなったりするためには、評価をしない先生という意味付けが子供たちにとっては訴求力があった。
 先生と一緒に協力して汗を流している姿も子供たちに見せる必要があり、専門性を持ちながら組織の中にしっかりと先生と手を取り合っていくということを考えた場合に、監事というのは違和感がある。

【委員】  今まで外部性がかなり評価されてきたが、これからチーム学校という新しい形になったときに、外部性というものを、何をもって外部性と言うのかということも含めて、非常に難しい問題。 外部性ということより、チームの中で専門性がきちんと確保されることの方が大事。

【委員】  児童相談所の立場から言うと、専門性かなと思う。専門職としてのスクールカウンセラー、専門職としてのスクールソーシャルワーカーが、これから学校の中で教員と違う立場の専門職が入っていくことが学校の層を厚くしていく。

【事務局】  学校は既存の教職員がなれ合いになって、決めたルールを運用で変えてしまったり、それがきちんと保護者への説明責任も果たしていなかったりとか、児童生徒に対する生徒指導や進路指導に関して困った対応が生じることがあるということを考えると、そういった際に指摘できるかどうかという、ここがポイントだと思う。専門性が保てれば、指摘できるのか。それとも何らかの独立性というか、指揮命令からの独立性がないと、できないのか。勤務上の評価も含めて詰め切って考えないと、今後、常勤化していく、職員にまさになっていくときに、ほかの職員とは違う関係を作った方がいいのではないか議論いただきたい。

【委員】  専門性という言葉で本当に理解がされるか不安。スクールソーシャルワーカーというのは、どういう専門性があって、どういう人なのか、どういうことを行える人なのかということが十分に認知されていない中で校長の配下にあって、例えば児童虐待の通告も、拒否されるという事例がある。ワーカーとしては、当然これは虐待通告すべきだという場合でも校長の配下の中で、校長先生がそれは必要ないと言われると、専門性が担保できなくなるというようなこともある。社会福祉とは何か、教員になる人たちに、教員養成の科目の中でそういうことが理解されるようにしていただきたい。

【委員】  チーム学校をいかに機能させるかという視点、ねらいで、外部性は扱っていただきたい。チェック機能を余りスクールカウンセラーに求め過ぎてしまうと、外部性がかえってブレーキになるのではないか。

【委員】  外部性ということが人によって取り方が違う。あるいは領域や専門職によってもまた位置付けが違うということで、ちょっと今後も切らさずにこの点を議論していければいい。

【委員】  組織図とか組織運営の立場で、抽象的に議論が進められる部分があるが、架空のケースでもいいので、事例を取り上げてそれを文書の中に盛り込むと、それを読んだ教育委員会とかコーディネーターの方も、わかりやすいのではないか。

【委員】  グッドプラクティスの例はもちろん、それ以外にもなるべく具体的に書き込んだ方がいいのではないか。例えば月1回、連絡会を必ず置くこととか。

【委員】  スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを含めた組織をうまく動かしていくために学校に一番直結している市町村の教育委員会の、例えば学校にも出向いて、生徒指導訪問という形で生徒指導担当の訪問をやっているが、それにプラスして教育相談もプラスした訪問をして、学校でどのような活動の状況になっているのかとか、問題点は何なのかとかを確認したり、又は、具体的に助言したりだとか、そういった動きが非常に大切になってくる。

【委員】  市教委の役割、県教委の役割を明確化していく必要があると感じている。また、県教委や市教委、市教委の指導主事がどんなことをやっていくかということを、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーや学校現場の先生たち、子供たちに関わる全ての大人に周知していく必要がある。

【委員】  国の補助事業はその半分も満たないぐらい、市町の独自採用でワーカーを採用している県が増えている。それは、勝手に市が頑張っているということではなくて、県教委の役割として、市町村をバックアップしながら指導体制に入っていて、うまくフォローしている結果と見ている。数的には、国の事業以外で動いているワーカーの数と同じぐらいあるのではないかと思う。

【委員】  スーパーバイズについての職種とかねらいとか説明いただきたい。

【事務局】  スクールソーシャルワーカーについては、平成28年度の予算案の中で、配置の拡充とともに、47人、各都道府県1人スーパーバイザーを週5日配置としている。スクールソーシャルワーカーがこれからさらに増えていく中で質の確保が困難であるというところもあり、そこをうまくカバーしていくために、47都道府県に配置をするということが予算積算上で入っている。どういう形で活用するかは各県の配置の在り方に併せて判断いただくことになる。

【委員】  スクールカウンセラーについてはどうか。

【事務局】  スクールカウンセラーの方は、明確な予算措置はないが、一方で週5日配置のスクールカウンセラーを全国で200校、積算に入れており、そのスクールカウンセラーがスーパーバイザーの役割を担っていくことを念頭にしている。

【委員】  どうやって学級を立て直すかという、その辺の学校へのアドバイスというかコンサルテーションというのは、これからほんとに必要。

【委員】  スクールカウンセラーが学級に入って、アサーショントレーニングなど実施し、学級を立て直し、人間関係作りができたということがあった。教育、臨床両方の面のカウンセラーがいるとありがたい。

【委員】  スーパービジョンを考えると、スクールソーシャルワークの場合は、システムサイズがミクロ、個別事例を扱う、それから学校、学級、集団、例えばいじめ問題なんかもスクールソーシャルワーカーが入って、先生同士の葛藤のマネジメントだったり、管理職と担任だったり、単にいじめた子、いじめられた子、それから観察者ということだけでなく、学校の中のいろんな関係性に対して介入していくことを、校長を通じて、あるいは校長と一緒に行う。これがメゾアプローチで、保護者会を一緒に行うとかということもやっていく。そんなメゾアプローチもあり、政策につなげていくというマクロアプローチまでやるのがソーシャルワーク。
 スーパービジョンというのは、個別ケースのスーパービジョンだけではなくて、教育機能と支援機能と管理機能という3つ機能があり、ソーシャルワークで言うとマクロアプローチにスーパービジョンするということで、管理機能にも入るが、どんなふうに学校を作っていったらいいかとか、あるいは県教委と市教委の関係をどういうふうに作っていったらいいかとか、どんな研修を行ったらいいかということも実はスーパーバイザーが県教委と一緒に相談に乗って作戦を練っている。

(3)座長から、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーそれぞれのワーキングチームについて提案があり、了承された。

(4)事務局より連絡

○今後の予定

(以上)

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第二係

電話番号:03-5253-4111(内線3289)

(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第二係)