教育相談等に関する調査研究協力者会議(平成27年12月4日~)(第3回) 議事要旨

1.日時

平成28年2月29日(月曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省 3階 講堂
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 中間報告(骨子案)について
  2. SC及びSSWガイドラインについて
  3. その他

4.出席者

委員

岩永委員、加藤(寿一)委員、加勇田委員、小泉委員、佐々木委員、鈴木委員、中西委員、中根委員、永山委員、野田委員、福田委員、森委員、山野委員、横張委員

文部科学省

小松初等中等教育局長、藤原大臣官房審議官、坪田児童生徒課長、平居生徒指導室長、福島課長補佐、高井課長補佐、齊藤課長補佐

5.議事要旨

(1)参考資料の説明を事務局が行った。説明に対する意見等の概要は次のとおり。

【委員】  参考資料2の児童生徒理解・教育支援シートについては、不登校に関する調査研究協力者会議の方で取りまとめているものであるが、教育相談に関わるような部分があるため参考資料として提示することとした。忌憚(きたん)のない意見を事務局に提出してもらい、教育相談等に関する調査研究協力者会議の委員から出た意見ということで、不登校の会議体の方に責任を持って提案するという形をとりたい。
また、参考資料1に関連して、この会議の中でスクールカウンセラー(以下、「SC」という。)やスクールソーシャルワーカー(以下、「SSW」という。)の必要な業務から想定される動き方や勤務形態などについて検討をして、中間まとめに盛り込む必要があると考えている。そのため、年度をまたいでも、議論をしっかり深めた方がいいと思っている。異論がなければそのようにしたい。

(2)資料1、2及び3の説明を事務局が行った。説明に対する意見等の概要は次のとおり。

【委員】  資料2と資料3に関して、それぞれの配置形態の部分について、単独校、拠点校、巡回方式というものが、SCの方は単純に説明があって、SSWの方は、それぞれのメリット・デメリットが記載されているが、この違いは何か。
また、馳プランでもそれぞれ配置促進とあるため、ガイドラインか中間報告の中で増やすという前提に立った部分を打ち出すべきであると思う。

【事務局】  数は増やす方向で施策を進めており、報告書の頭の方に記載する予定である。なお、どのような配置が効果的・効率的かということ、外部性の問題、確保の問題などは引き続き議論してほしい。

【事務局】  SSWは、地域によって間接支援型と直接支援型があり、それに関連して配置形態も変わってくることがある。そのため、メリット・デメリットを記載している。
それに対比して、SCは、基本的に子供へのカウンセリングを中心としており、活用の形がその地域によってあまり違いがないということで、メリット・デメリットは記載していない。

【委員】  外部性について、資料2の1番目の(1)に「多様な専門性と外部性」と書いてあるが、文科省の創生プランの中では専門スタッフを配置していく、常勤化を目指すという方向性だと思う。そのため、チーム学校の中では、むしろ専門性が非常に強調されて、外部性というのはあえて入れないことも考えられる。

【委員】  学校の中のスタッフになったとしても、教員と全く同じではないという一定の外部性を担保しないといけないのではないかと思う。

【委員】  SCについては、当初、十分にその専門性に関しての周知がされていなかったため、先生の仕事とSCの仕事が非常に分かりにくいということもあり、あえて専門性というのではなく、外から学校に協力するという立場ということで、外部性が使用された。現在のニュアンスは大分変わってきており、専門性をしっかり打ち出せば、当然機能分化が起こり、役割分担も起こると考えている。ただし、外部性という意味を十分説明することで、役割が明確になるというメリットもあるため、文言として記載するかは議論を続けたい。

【委員】  チーム学校という概念は、学校長を中心として学校の組織の中に教員がいて、そして専門的なスタッフがいて、それが一体となって子供たちに関わっていくという考え方だと思う。ガイドラインを示すのであれば、これからの学校像というものをしっかりと押さえた構成となることが重要である。

【委員】  いじめというのは、そこに傍観者がいるからいじめが起きると思う。チーム学校で考えていくときには、個別対応だけではなく集団対応を考えなければならない。いじめ防止に積極的に関わるといった場合には、学級担任を巻き込んで、学校全体を巻き込む取組が重要となる。そういう意味で、外部性を強調し過ぎると、学校の中で連携するときに、心理の専門、教育の専門と分けることによる障害が出てくると思う。

【委員】  SSWの立場では、外部性を余り強調し過ぎない方がいいと思う。チームについて考えると、心理も福祉も教育もいろいろな専門職による相互作用がきちんと学校の中で起こりやすい状態を作っていくということが大事であると感じる。そのため、外部性を意識してしまうと、どうしても外からという部分の意識が出やすく、あくまでも対等にお互いの気付きを深め合っていくような、相互作用が起きるようなチームができるといいと思う。

【委員】  社会福祉の方で、スクールソーシャルワーク教育の課程を作る際、科目の中に、教員の関係する科目を2科目必須で入れている。学校の組織を知っていないといけないし、教員の価値観がどういうものなのかというのが分かっていないといけない。ただ、教員20人対SSW1人という現場の中で、価値の揺らぎがあり、動きにくくなったり、あるいは巻き込まれていったりすることもあり、そこをどう担保するのかということは必要である。例えば教育委員会の中に、心理と社会福祉の専門職を常勤で置き、指導助言したりサポートしたりして、専門的な人材と学校がどううまく機能するのかということに責任を持っているという取組がある。外部性という言葉がいいのかは分からないが、何か担保をしていかなければ、幾ら有能なSCでも有能なSSWでも危険があると思う。

【委員】  外部にスーパーバイザーとしてそのような方がいるということは重要である。日常成績を評価する先生には相談しにくいという場合に、そういうことに関係ない人に相談したいというのは分かる。そういう意味での外部性はもっともだと思う。しかし、学校の中で、そのような外部性を持ちながら、なおかつ学校の中に入り込む存在が求められていると思う。

【委員】  資料2、3について、学校とか、教育委員会とか、読む側にとって、同じ章立てで構築されているというのは、非常にいいと思う。しかし、その分、その差異がどうしても目立つようになる。例えば、資料3の7ページには、7番の学校種間の連携において、個人情報保護に関する条例の遵守や、保護者からの同意を得るように努めるというラインが示されているが、SCもSSWも関係機関とも同じであり、学校内での情報共有だけではなく、学校種間、それから関係機関との連携の部分で、そういった条例の遵守、それから、保護者からの同意を得るような努力というような文言は、それぞれにしっかり押さえられているといいと思う。

【委員】  一番大切なのは、プライバシーをどう守っていくかということである。そこで、プライバシーをどのように守っていくかということと、情報共有との境目が非常に微妙なところだと思う。また、SSWやSCが打って出て相談に乗るような形も入れていきたい。

【委員】  集団守秘義務という用語が一般化してきたが、この言葉が出た当初、チーム体制としての学校の中で、校長先生がしっかりと教育を遂行していくために必要な教育相談活動、そこにSCとして臨床心理士なりが委託されてカウンセリング業務に当たるという理解が十分ではなかった部分があって、非常に個人的な契約関係の中でのカウンセリングというイメージが非常に強かった。そのため、守秘義務をめぐる様々な誤解とずれが生じて、保護者、児童生徒に対してマイナス面が非常に大きかったという事例があった。そこで、守秘義務ということは、本当にプライバシーを保護して秘密をしっかり守ることでなされる援助と、その情報が共有されることで更にいい援助につながるということが周知されてきた。学校の中で、守秘のために子供たちが援助を得られないということがないようにする必要は、専門性とともに重要な認識だと考えている。

【委員】  資料2の5ページに校内体制の位置付けがあるが、予防的な関わり(一次的対応)が入ったのは大事な文章であると思う。これまでは、問題が深刻になってから開かれる会議が(三次的対応)多かった。問題が出始めた初期の対応(二次的な対応)を含めた定期的な会議について、できれば週1回とか月2回とか入れてほしい。

【委員】  校長の役割というのは非常に大きい。校長がその子供の情報をどう生かすか、あるいはどう教育活動に生かしていくかという視点が非常に大事である。

【委員】  性的虐待などプライバシーの扱いに大変考慮しなければならない事例を扱ったとき、誰とどんな情報をどこで共有するか、守秘義務に関して校長がリーダーシップをとって対応したことがある。その適切な判断によりスムーズな解決につながった。情報の管理をどうするか管理職の役割が重要であることを痛感した。

【委員】  まず、教員とは違う専門的な価値観の下に動いていることが分かるよう、スクールソーシャルワークの価値、スクールソーシャルワークというものがどういうものなのかを入れることが望ましい。次に、資料3の4ページに教育委員会における支援体制が書かれているが、県教委と市教委の役割の違いなど明確に記載してほしい。3点目は、2つの事業をやっていくときに、例えばソーシャルワーク実践をしていくときに誰に何をしていくのかという意味で、段階ですべきこともあり、段階に応じて、教育委員会、学校、関係機関、子供保護者などにすべきことを記載していく必要がある。

【委員】  県教委の役割、市教委の役割、それから学校でどうやっていくかということをなるべくガイドラインの中で具体的に書いてほしい。

【委員】  SSWについて、ソーシャルワークとは何かというところをもう少し盛り込めたらいいと思う。まだソーシャルワーカーの役割みたいなところが十分伝わり切れていないところがあると思う。

【委員】  3点あります。SC導入の背景について、これから新しいチーム学校に向けて展開していくときに学級集団への支援というのを是非入れてほしい。また、2点目として、専門性を論じるときに、SCの募集が限られているというところを除いてほしいと思う。東京都においては、臨床心理士以外の資格者がSCに応募できない理由はなぜですか?の質問に対して、臨床心理士で間に合っているので「準ずる者」の募集はありません、という回答を毎年繰り返している。チーム学校として多様な専門家が求められるときに、文部科学省の『実施要項』で「準ずる者」が区別されていることが、東京都及び大都市を中心に募集の妨げになっているので、特定の資格だけをSCに指定することはやめて、是非この項目をなくしてほしい。3点目に、保護者へのカウンセリングという記載があるが、何か大上段に構えて親に対して距離を置くような感じがするため、相談活動という記載がいいと思う。

【委員】  カウンセリングというのは、いろいろなニュアンスを含み込むため、保護者に対する相談活動という表現でいいと思う。また、学校の中により良い学校教育を進めていく上で、先生への何らかの支援はいろいろなレベルで行われてくる。先生の支援を、教育技術上の援助から更に学級集団への支援となったときに、SCの業務とは何かということの見直しはしっかりとしていく必要がある。それから、ガイドラインのところで、学校でSC、SSWをどう効果的に活用するかということと、それと同じような観点で、指導主事に対して、SC、スクールカウンセリングを学校の外からこうサポートすると効果的であるというような、教育委員会指導主事向けのものが必要であると感じる。

【委員】  学級担任は、それぞれの状況に応じて相談に行く。各専門で分けることができるものもあるが、分けられない内容もたくさんあるという実情があることを理解してほしい。その上で、連携し合いながら対応していくことが必要ではないだろうか。

【委員】  ガイドラインに書くことと中間報告で伝えることが混じり合ってしまっているイメージがある。例えば、ガイドラインの1番の(1)、(2)というのは、ガイドラインから外してしまって中間報告の方で伝えるということも考えられる。ガイドラインは、基本的には職務内容を伝えて、その職務内容を効果的に運用していくために、その教育委員会としてどんな体制で、学校としてどんな体制でというところをガイドラインとしてまとまった表現で示すという形で整理して、中間報告で何を伝えていくかというようなイメージを持ってもいいと思う。

【委員】  教育委員会の仕事を全部網羅するのは筋が違うと思うが、教育相談に関連して、SCやSSWに特に関連して教育委員会の役割という記載はあった方がいいと思う。

【委員】  資料2の3ページの2の(1)の効果的な活用のために教育委員会における支援体制という項目の中に、具体的に指導主事の方の役割とか、学校との連絡方法とかを上げていくということで、指導主事の先生は動きやすくなると思う。

【委員】  資料2の5ページ、校内体制への位置付けについて、場を設定していくということは非常に大事であると思う。日常的には難しいが、定期的な生徒指導委員会や教育相談部会で情報を共有するという場は非常に大事であると思う。川口市で考えると、祝祭日があると学校に専門家が来るのが4週間ほど空いてしまうことがある。最低限度どれくらい必要なのかということを含めて考えたい。

【委員】  児童相談所には児童福祉士と児童心理士といて、その2人がどのように連携をして、協働して効果を上げていくかという話がすごく求められる。SCとSSWがどう連携していくかと、どう連携することで効果があるのかといったところ、それが校内の中でどう位置付けられていくのかといったところもしっかり書くことが重要である。また、学校の中での相談体制が、こういったときにはこう動くというところがはっきりしていると非常に効果的に動けてくると思う。また、SCとSSWを両方置くことで効果があるというところも書き込めるといい。

【委員】  SSW、SC、それから生徒指導担当、養護教諭、特別支援コーディネーターという学校の中のコアのメンバーが月1回集まって作戦会議を練る、あるいは気になる子供のリストアップをしていくという、そんな動き方を学校の体制の中に位置付けるということも記載したい。

【委員】  スーパーバイザーに関しては、それぞれの専門性を学んだ学会でスーパービジョン体制は持っている。そのような学会の役割というのは、これから大事になると思う。

【委員】  技量のスーパーバイズと業務のスーパーバイズを分けて考える必要が出てくる場面がある。どんなに優れた先生にスーパービジョンをお願いしても、その先生がその地域のことを全く知らない、その学校のことを全く知らないと論点がずれてしまうということがある。そういうスーパービジョンの在り方よりも、その地域の教育委員会の中に心理職がいて、その心理職がしっかりとその教育委員会が分かっていて、教育状況が分かっていて、地域特性も分かっていて、学校の特性も分かっている中でやりとりがなされる方が、実際のスーパーバイズになっていくと思う。自治体の中のどういう機関に臨床心理士がいるのかということを教育委員会の管轄として分かっていると、そのネットワーク、専門職のネットワークも使いやすく、それがスーパーバイザーの役割を果たすということがある。

【委員】  社会福祉士が児童相談所と教育委員会を異動するということも起きており、教育委員会の社会福祉士の方がSSWの面倒を見るという組織を作ろうとしている自治体がある。自治体の中には福祉部門の場所も児童相談所だけではなくたくさんあることから、異動していくことも可能で、守秘義務も含め、きっちり体制を作るということは、大事であると思う。

【委員】  SSW事業が始まってもうすぐ10年近くなってくる中で、新しくなってくる人と経験を積んだ人、それぞれの層ができてきていると感じる。そのため、その層をうまく体制の中で位置付けて、新しくSSWになった方をきちんとサポートできる体制を作っていくことは不可欠である。特にそれぞれの専門性を大事にする中で、初めて学校という領域に入っていったときに、どう自分の専門性を担保してやっていくかというのは、1人では苦労するところがある。そのため、心理的な部分や教育的な部分も含めて、きちんとサポートできる体制を作ることが必要である。

(3)事務局より連絡
○今後の予定

(以上)

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第二係

電話番号:03-5253-4111(内線3289)

(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第二係)