教育相談等に関する調査研究協力者会議(平成27年12月4日~)(第1回) 議事要旨

1.日時

平成27年12月17日(木曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省 3階 講堂
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 座長の選任等について
  2. チーム学校について
  3. 学校における教育相談の現状と施策の概要について
  4. スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの活用方針等に関する指針の策定状況等について
  5. 自由討議

4.出席者

委員

市川委員、岩永委員、加藤(崇英)委員、加藤(寿一)委員、加勇田委員、小泉委員、佐々木委員、鈴木委員、中西委員、中根委員、永山委員、野田委員、笛木委員、福田委員、森委員、山野委員、横張委員

文部科学省

小松初等中等教育局長、藤原大臣官房審議官、坪田児童生徒課長、平居生徒指導室長、福島課長補佐、高井課長補佐、齊藤課長補佐

5.議事要旨

(1)野田委員が座長に選任された。
(2)議事の取扱いについて了承された。
(3)座長挨拶
(4)局長挨拶
(5)委員紹介
(6)チーム学校について、参考資料2及び3の説明を事務局が行った。
(7)学校における教育相談の現状と施策の概要について、参考資料1の説明を事務局が行った。
(8)スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの活用方針等に関する指針の策定状況等について、資料5の説明を事務局が行った。
(9)事務局の説明に関する質疑応答を行った。質疑応答の概要は次のとおり。

【委員】  参考資料2の2枚目のチームとしての学校のイメージについて、「チームとしての学校」が3色で表現されているが、専門スタッフであるスクールソーシャルワーカー(以下、「SSW」という。)、スクールカウンセラー(以下、「SC」という。)、部活の指導員という黄色い枠組みのところは、校長の裁量権の中の人員であるということなのか。チーム学校という概念の中身、権限の関係がどうなっているのか伺いたい。

【事務局】  学校のトップである校長の指揮監督権限の及ぶ範囲が、基本的な「チームとしての学校」の範囲であり、イメージ図では黒枠で示している。その中の一番上のピンク色の部分が管理職あるいはマネジメントに関わる部分であり、真ん中の青の部分が教職員、その外側の黄色の部分が専門スタッフをイメージしている。校長のリーダーシップの下、教職員と専門スタッフが連携・分担をしながら、教育活動を進めていくイメージである。

【委員】  SC、SSWともに職能の関係で、外部性や第三者性をどう考えていくのかということについて議論があるところかと思う。今後、SC、SSWがチーム学校ということだけでくくり出せるのかどうかということも議論の余地はある。

【委員】  参考資料1の30ページのSCの相談状況の中身について、その他が多いがその中身はどのようなものか。

【事務局】  その他は1から6に該当しないものと、1と2が合わさったものなどが計上されている。その他が全体のうちの半分ぐらいを占めている状況は問題と考えており、これからアンケート等の調査の中で改善していきたい。

【委員】  スクールカウンセラーに関して、県で活動状況調査があり、相談状況のその他の内訳として、例えば相談室運営、健康問題、教育相談部会、小学校訪問、スクールカウンセラー研修会、相談室だより、家庭環境、家族関係、小学校との連携、部活動、支援会、アシスタント・ティーチャーとの意見交換などが入っている。

(10)資料4に関する質疑応答を行った。質疑応答の概要は次のとおり。

【委員】  従来のスクールカウンセリングにおける外部性や情報の共有という問題をどう整理していくのかが課題である。チームを組む場合、情報を共有して、お互いの信頼関係の下に進めていくが、学校で相談業務をやるときには、担任の先生、学校の職員と情報を共有しながら連携するということが不可欠である。その場合、数人のチームの守秘義務、それから職員会議、全職員が守る守秘義務など、いろいろなレベルの守秘義務がある。そしてチームにも定期的に行われる会議としてのチーム、問題が起きてから組むチーム、問題が起きる前に定期的に学校の中で常設されるチームなどがあり、それぞれ大きな性格の違いがある。これからは、学校の中での常設的な相談体制と、問題が起き始めたときの二次的支援を検討する会議という形でチームの在り方を構築してほしい。

【委員】  臨床心理士のスクールカウンセリングにおいて、外部性という言葉はあるが、それはただ距離を置くのではなく、しっかりと自分の職能、それから先生の職能、専門性を尊重し合いつつ協働していくということである。また、秘密の情報に関して、その児童生徒を育て守っていくための情報であれば、必要な情報の共有、交換は積極的にやるべきである。そして、事後対応ではなく、予防的なカウンセリングが必要である。そのためにもチームプレーが必要であり、チームで意見交換、連携しつつ、教育相談体制をよりよいものにしていくという発想がSCの共通認識になってきている。SCの相談内容でその他が多くを占めているが、それは、SCの業務内容が、コアのカウンセリングとして分類できる業務だけではなく、これまで認識されていなかった業務内容まで多岐にわたっているということを表しており、その部分の整理が必要になってくると思う。

【委員】  参考資料1の43ページのチーム学校についての(1)に関して、アセスメントというと個別の生徒のアセスメントというところに焦点が置かれやすいが、学校においては、学級の状況がどんな状況かという集団のアセスメントや学級経営、学校経営などの組織の在り方の検討などの集団に対する支援に焦点を置いて、力を入れてほしい。

【委員】  SSWは派遣型又は配置型という形で動いており、教育事務所にいて学校に派遣されるという派遣型は外部性が保たれやすい。しかし、学校が困ったときに相談をするという形になるため、学校からすれば外部の人であり、どうしても学校で対応できないときにSSWに相談するという形となる。配置型であれば、学校の中で、どうやって先生方と一緒に取り組むかということを中心に活動することになる。学校の中で、同じ子供について、それぞれの視点から見立てを伝え合いながら、お互いで振り返りながら取り組んでいくというイメージである。そちらの方がチームとして機能しやすい面を感じており、外部性というよりチームの中でどれだけ独自性を持って取り組めるかという部分を議論してみたい。

【委員】  学校では、本当に困ったときに駆け込んでくるのが、保健室ではないかと思う。泣きながら駆け込んでくる親、もちろんそれに付随して子供の対応も必要になる。保健室では、子供は体の不調から訴えてくる。その体の不調が本当に病気なのか、あるいは精神的なものなのか、いろいろな課題を抱えている子供たちに対して養護教諭はいろいろな見方をしていくが、保健室だけでは対応し切れない部分がある。そのため、専門の先生、それから担任、管理職、様々な方と連携をしながら対応することが大切である。しかし、SCは、予算的な面で仕方がないが、中学校で週1、小学校では月に2回から3回ということで、柔軟な、その場での対応が難しい現状にある。今後、SCの勤務日数が増えていくことと同時に様々な情報をどう共有していくかも重要である。

【委員】  SC導入当初は、教員との意思の疎通がうまくいかず、手探りの状態で20年間改善に改善を重ねて、今はかなりうまくスタッフとして参加できてきている。しかし、SSWや部活動の外部指導者については、なかなか学校の教員の理解が進んでいない部分があり、それをどのように進めていくかということは大事である。
団塊の世代の方が大量に退職されて、新しい人をどんどん入れなければならないという状況の中で、職場の中で先輩から後輩へと受け継ぐべき知識が、なかなかうまく伝達できないところがある。また、学校のマネジメント機能の強化の管理職の適材確保という部分について、地域によっては、管理職になりたくない教員も多く、「はい」と手を挙げると管理職試験は通過するという実態がある。学校の教員自体の土台があって、そこに専門スタッフが入るという形でないとうまくチームが回っていかないと思う。

【委員】  SC,SSWについて、学校によって、学校の中の職員とした方がよい場合と第三者的な位置付けにした方がよい場合がある。また、学校において、SC、SSWと連携していくためには、中核となる職員の育成が重要である。ただし、その育成は現場としては、非常に難しい問題である。

【委員】  参考資料2の2ページ「チームとしての学校」のイメージ図について、保護者を明確に入れ、保護者と一緒に物事を取り組んでいくという発想が必要であると思う。地域社会の中に、保護者は入ってくると思うが、子供は24時間学校にいるわけではないため、保護者をしっかりと位置付けていかなければならないと思う。保護者にも学校に踏み込ませて責任をとってもらうという発想に入らないと、学校と保護者が敵対関係になるような構図ができやすい。

【委員】  教員にも教諭、主任教諭、主幹教諭というキャリア形成があるように、SCも、そういうキャリア形成があるのか。例えば若手、中堅、ベテランみたいな方々が、現在はどのような配分、分布になっているのか。学校ではケース会議をやることがあると思うが、専門家が入ればすぐに次の対策が打てるように感じる場合が多くある。しかし、若いSCでは、校長や教頭にそういう進言をすることは難しいのではないかと思う。SCの方の組織に、相談できるような仕組みがあることもあると思うが、それを学校組織としても支えるような組織のつながりがチーム学校の中では必要であると思う。チーム学校のイメージ図は、チームといいながらも個人個人の関わりが中心になりがちであるが、組織的な対応がつながっていくとことも課題になると思う。
また、配置の日数や時間数は学校によってまちまちであるので、SCの状況を単純に配置校数で表現するのではなく、指標を工夫する必要があると思う。

【委員】  今後、軸を立てていく中で、保護者対応に加えて、管理職も含めた教員に対して、多職種を使ってもらうためには学校の先生が手放す、つまり、一人で抱え込んでいないで、こういう分はほかの人に渡しなさいという切り口でのメッセージも必要であると思う。
また、専門職が入るというところでは、学校の中に学校看護師や学校保健師という形で医療の専門家が入り、それが学校内に取り込まれながら、今や養護教諭として成熟してきた。そこから学ぶこともあると思っている。

(11)事務局より連絡
○今後の予定


(以上)

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第二係

電話番号:03-5253-4111(内線3289)

(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第二係)