いじめ防止対策協議会(平成27年度)(第4回) 議事要旨

1.日時

平成28年2月9日(火曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 不登校での重大事態の調査に係る指針について
  2. その他

4.出席者

委員

相上委員、愛沢委員、新井委員、木太様(柏木委員の代理)、高田委員、實吉委員、水地委員、髙橋委員、種村委員、寺本委員、道永委員、村山委員、横山委員、森田委員

文部科学省

小松初等中等教育局長、坪田児童生徒課長、平居生徒指導室長、齊藤課長補佐、丸山生徒指導調査官

5.議事要旨

※議事に先立ち、事務局から資料の説明があった。(資料1、2)
【座長】  それではただいま御説明いただきました資料1並びに資料2について御意見、あるいは御質問でも結構でございます、ありましたらよろしくお願いします。
【委員】  重大事態の解説の案の方だが、1ページ目の用語の定義というのが点線で囲んである。いじめ法となっているのだが、私としては、この法律の重要な点は、防止というところだと思っている。だからいじめ法というのではなくて、防止という言葉も入れておいていただいた方がいいかなというのが1点だ。
 次に、2ページの3番の「自殺等重大事案の個別的要件」で、幾つか分類していただいたが、多くあることのうちの一つに万引きの強要というのがあるが、その場合にはこの中でいくとどこに該当するか、教えていただければ有り難い。
【事務局】  万引きの強要であるが、明確には書いていないが、これは児童生徒本人又はその近親者の財産に損害が生じていることが大前提になるかと思う。万引き強要の場合は店舗が被害を受けるわけであるから、この重大事態の類型にはストレートには入ってこない。ただ、そういうことが繰り返されて、例えば精神性疾患を発症するに至ったりすれば、重大事態のカテゴリーには入ってくるかと思う。
【委員】  いじめ法なのか、いじめ防止法なのかはどうか。
【事務局】  そこは単なる略語としてこういうふうにしただけなのだが、もしよろしければ御議論をいただければと思う。
【座長】  ただいまの委員の御発言の、防止法の「防止」だが、これに関連しては資料1の「調査の目的」というところがある。これは単なる不登校の重大事態なので、今の委員の重大事案の2号に当たるところしか触れていないが、この目的のところも、事実関係を明らかにするということが目的だが、ひいては防止を図るということは、いじめ防止法の中にも記載されていることであるので、それを一つ盛り込んでいただくということは重要かなと思っている。それと関連して、今のいじめ防止という表現をどうするかということもお考えいただければと思う。これは不登校の方の案件だけだが、それ以外の問題もやはり同じような性質を持つだろうし、少なくとも調査と言われるものは、今、国でいうと航空機だとか列車事故、ああいう事案のときの調査委員会というものと、それから起訴されたのと別に警察等が行う調査というものとが並行してあって、調査委員会、俗に言う事故調の方は目的が大きく再発防止というものを前提にしているということを考えると、私はこれは防止という言葉があった方が適切じゃないかなと思っている。法律の趣旨からしても、やはり子供たちの健全育成を図りながら、未然防止も含めて成長を図っていくということが大きな狙いとしてこの法律の根底にあるわけだから、その法律の根底を少し反映した表現の方が適切ではないかと、個人的には判断している。また違う意見があったらお寄せいただけたらと思う。
 いずれにしてもこれは略称なので、通称と略称と、それから正式の名前と3段階ある。国連機関のユネスコというのは、略称でありながら正確な団体名、正式名として通用しているというところもあるので、略称といえども余り軽視できないというぐあいに私は判断している。座長が先に意見を言うと、それでおさまってしまう感じがするが、御意見、ほかにあったら。
 いかがでしょう、今の委員の御意見、採択させていただいてよろしいか。
それでは、御賛同が得られたので、そのように表現を改めていただきたい。それからただいまの点も、それに関連して不登校の重大事案の目的のところにも、少しそれを記載するように、並びで「目的は」というところの文章があるので、その後へ足していただければ十分かと思うので、よろしくお願いします。
【事務局】  承知した。
【座長】  ほかに御意見ございますか。
【委員】  資料1の方でもよろしいか。7ページなのだが、「留意事項」というところで、「対象児童生徒が不登校となっていることを踏まえ、支援方策をまとめるに当たっては、欠席している間の学習面の支援」と書いてある。もちろんこれは大事なのだが、不登校の間に健康診断があって、それを受けられない子供もいるので、健康面ということを一言入れていただければと思う。
【座長】  ただいまの御意見、いかがでございましょうか。
 とりわけ不登校の場合は、学習面が非常に大きな課題になるので、休んだ期間の学習保障、そういう観点から強調して入っているんだろうと思う。
【委員】  私は、健康面のところは全く分野外で気づかなかったが、不登校の期間というのはやっぱり生活も規則的でなくなったりするということもあるので、一言入れるとそこの視点を持たれることがあると思うので、やはりそういう単語が入ることで、受け入れるときの意識喚起という意味からするとさすがの御指摘かと思ったので、入れていただけるのであればその方がいいかなと思う。
【座長】  ありがとうございます。大体、一般に言われるのは、家庭との連携のところでやはり子供たちの規範意識、加害者の方の規範意識との連携とか、いろんなことがあるが、やはり健康面での支援ができるような体制も含めて家庭との連携を、情報収集を得ながらやっていくというのが普通の連携の在り方だろうというふうに思っている。そういう意味では組織の中にいる養護教諭、組織に入っているか入っていないか、そこら辺がここのところの表現の課題になってくるかなと思うが、組織がそういう視点で支援をしていくということを、養護教諭と連携しながらやっていく体制が組織としてとれれば、必ずしも組織の中に養護教諭を含まなければいけないということとは関わらないというぐあいに判断するので、入れても組織上の構成で変化が起こるということは、今お聞きした場合、あり得ないだろうなと思う。あり得ないというか、それがなくとも十分要件を満たしていけるかなというふうに思っているが。私の判断はそういうところだが、事務局から何か御意見ありますか。
【事務局】  健康面に留意すべきは当然のことだと思うので、記述させていただく方向で検討したいと思う。
【委員】  非常に大事な視点を頂いたと思うが、健康面というのは身体的な健康だけじゃない。特に不登校の子の場合には精神的なケアはすごく大事だということで、今、座長の方から養護教諭のお話があったが、スクールカウンセラーの方との連携も非常に重要なポイントとなってくるのではないかと思う。是非、その点は明確にしていただければと思う。
【座長】  ありがとうございます。それではただいまの御意見、反対意見がないようなので、少し工夫して書き加えていただく。
 ほかに御意見ございますか。
【委員】  「『重大事態』の解説(案)」の方である。7ページの(4)、「教育委員への迅速な報告等」というところがあるが、地教行法も改正してまだ1年目であるし、完全実施までにまだ二、三年かかるのだが、教育長と教育委員、この辺にどんなふうに説明したらいいかというのが、この文面のとおりでいいのだが、ちょっと分かりにくい。当然、教育委員会に報告するのだから、教育委員会会議を開けば教育長が招集する、その辺の流れがはっきり分かればと思うが。教育委員さんだけにどんなふうに伝えるのか、教育長が教育委員会をすぐ開いてやるのか、その上に今度は総合教育会議を開いてトップにも、首長さんにも伝えるのかといった、会議の流れである。重大なことなので一応分かっておいた方がいいかと思うので、よろしくお願いしたい。
【座長】  ちょっと今、その点に加えて、教育委員会会議とそれから総合教育会議というのがもう一つある。新たな教育委員会制度の中ではこれは決まっているので、総合教育会議の報告事項若しくは議題という点も想定しておく必要があるだろうと思う。今はそれを想定した文章になっているんじゃなかろうかと思っているので、その文言を入れるかどうかというところも加えていただいて、お答えいただければと思う。よろしくお願いします。
【事務局】  まず、総合教育会議の件だが、7ページのちょうど真ん中あたりに、「また、首長の判断により総合教育会議が招集された場合は」というふうに記述がある。そもそも招集の判断は首長だから、これ以上この文章には書けないと思うのだが、措置がされているとは思う。
 それと、先ほどのお尋ねであるが、新制度をもとに説明をさせていただくと、教育委員長がいない状態であるので、それを前提に説明すると、まず教育長というのは教育委員会事務局のトップであるから、まずは事務方から教育長に当然、報告が上がるであろう。その後、教育委員に対して例えば教育委員会会議の場でなくても、研修会とか勉強会のような非正規の集まりがあれば、その集まりにおいて迅速に報告すべきであるし、あるいは直近に教育委員会会議が開催される予定があるのであれば、その場で正式に報告していただくという選択肢もあるかもしれない。どちらも直ちに開かれる予定がないのであれば、例えば電話で連絡するとか、適切な方法で早期に報告するなど、そこは余りギリギリ定めるのではなくて、現場で最も適切な方法を選択していただくということでよろしいかと思うので、余り詳しくは書いていないところである。
【委員】  了解した。
【委員】  2ページのおしまいから3ページにかけて、重大事態の個別的要件の中のいろんな被害について分けて書いていただいていて、恐らくここがいろいろ御苦労されたところだろうなと思うのだが、ちょっと疑問に思うのは、やはり身体被害について「おおむね30日以上の加療を要すると見込まれる重大な傷害」というふうに書いてある。どこで線を引こうかお迷いになって悩まれたということはよく分かるが、30日のけがとはとてつもない大けがだし、そうでなくて全治1週間であったとしても、またそれ以下であったとしてもひどい精神的なショックも含めて子供が傷つく場合というのは、ここで言うけがの大きさの日にちで表すということにはとてもなじまなくて、そこを示さないと困る先生、出していいかどうか困る先生もいらっしゃるかもしれないが、心身に対する影響についてもう少し細かい記載をした方が、理解を得られるんじゃないかという気がする。
 財産の被害についても同様で、100万円の規模というのは子供が被る被害としてはとてつもない額であるし、生活に困窮している家庭から持ち出す金額としては、本当にわずかな金額であっても大きな、子供と家庭に対してはいじめに対する被害というか、苦しさを増長させるんじゃないかなと思う。精神被害も飽くまで精神被害の発症で、それが医師の判断をして診断書が出るみたいな感じに書いてあるが、やはりいじめを通じて心身に大きなショックを受けるということに目を向けるべきなので、ここにこうやって全て金額とか期日で記載することの無理みたいなものを私は感じてしまっている。
【事務局】  そもそも、なぜこの作業をする必要を認識したのかということだが、昨年の問題行動等調査の結果で、重大事態の発生件数のカウントに若干誤りがあり訂正したりした経過もあって、第1号の重大事態、つまりこの資料で言うところの自殺等重大事態の中身はどんなものなんだろうというのを、全く我々としては把握していなかったので、個別に調査をした。そうしたところ、非常に捉え方にばらつきがあって、都道府県教育委員会ごとにどんなものを自殺等重大事態として扱っているのか、全く基準のないまま動いておられるということが判明したので、何らかの形で全国的な斉一性を目指すべきではなかろうか。そのためにはどこかで線引きをしてやらないと、現場も動けないだろうと。逆に線引きが存在しないがために、この程度だったら重大とは言えないだろうと判断して、ばんばん落としている実態があるかもしれない。そういうところがあって線引きを試みたというところである。
 身体被害の30日、なぜ30日にしたのかを参考に申し上げると、医療、報道、あるいは交通事故の態様といった各分野において、重傷、軽傷の区分が30日の加療というところで線引きがされているので、それをたたき台としてほうり込んであるという状況ではある。もっと下げるべきだという御意見については、この場で御議論をいただければと考えている。
【座長】  ありがとうございます。今の御回答とあわせて、そもそも日数をここで区切る、限定する必要があるかどうかということを、現場の先生方もいらっしゃるし、法律家の先生方もいらっしゃいますので、少し詰めていただきたい。記述するとしたらどういう線引きになるのか。確かにこういう案が提供されてきた背景は私もよく承知しているし、何か目安を引かなければいけないなというふうには思っている。具体的な30日だとか、金額というものか、あるいはそれに相応するような表現、抽象的な少し重たい表現、さらにはもう一つ今、論点が出てきたが、それぞれ単独の、1号の1、2、3、4とそれぞれについてはそうなのだが、例えば1が比較的金額に至らなくても、あるいはその限度に至らなくても、精神的な、下の方は疾患であるが、疾患に至らずとも相当精神的なショックというか、後で少し尾を引くような、トラウマとまではいかないまでも、そういう状態に陥るという、1、2、3、4の合わせたものをどういうぐあいに重大とするかという点も、課題としてもう一つあるだろう。その点、最初、この規定のところから、日数をこういうぐあいにすること、あるいは金額を明示することについての御議論をちょっと頂きたいと思う。もちろんそれはいけないとか、賛成するならどういう表現の仕方があるかということも踏まえて、少し御意見を賜りたいと思っている。
【委員】  例えば骨折にしても、今はそんなに長くはかからない。ギプス固定すればすぐに治まってしまうし、手術も簡単にできるので、30日の加療となると、その後のリハビリも加えてということになるが、30日と切ることは今、医療的には無理というか、あり得ないのかなと思う。あと、一緒に言うのだが、精神性疾患という表現がいいのかどうか分からなくて、精神状態である。それから疾患になってしまうこともあるのかもしれないが、ここで疾患という言葉を使うのもちょっとそぐわないような気がする。
【事務局】  そうすると、基本方針には精神性疾患という5文字が出てきているのだが、これはどのように理解したらよろしいか。
【座長】  そこで私が先ほど申し上げたように、合わせたものをどうするかという論点がもう一つ関わってくる。今のように、疾患には至らないけれども、それなりの精神上の傷を負ったというところがある。それが若干後を引くということもあり得るわけで、精神疾患まではいかなくてもあり得るわけであるから、そこらあたりのことも勘案しなければいけないということになる。だから、どうしても個別に、5番目まであるが、もう一つ6番目にそういうものをどう判断するか、この基準に至らなくてもこれとこれとが重なった場合の重大性の判断、ここのところを加えるべきだろうなと思う。
【委員】  私も委員がおっしゃったのとほとんど同じような感想を持っている。やはり、本当に各地からすごくばらばらなものが出てきたので、一定の考え方というのが何らか必要なのだろうとは思うのだが、新しい制度が始まって、基本方針という形でのものが示されたところで、各地がそれなりの御判断をされていて、各校が最初の年にばらばらなのは、私は当然だと思う。それをこういう形で、今の段階で一定程度の、少なくとも数値的なものまで含んでやっていくのが、それなりに理解を深めていくのに必要なのか。おっしゃるとおり、本当に重たいものも外してしまっているところもあったりすると思うが、そこにどう広めていくかということと、もちろん表現ぶりをもう少し何か分かりやすくしていく必要はあろうかと思う。おっしゃるとおり、30日という骨折でもそれだけ早くとおっしゃるところもあり、かなり重大な切創とかでも、今の医療はすぐに退院させてしまうと思う。それから先ほど経済状況のお話があったが、東京の私立高校にいるお子さんたち、バイトもしているような人たちの経済的な基準と、地方の小学生では全然違うと思うので、数字を持ってくるのはすごく難しいと思う。お金を渡す態様とかもすごく違うと思うので、なかなかこういったものを出してくのはとても難しい。どうしても基準というのは一人歩きをするという癖があるので、お出しになると、これは違うといって厳密に考えて外そうと思ったりされるというような、恐らく狙いとして考えているのとは違う作用も生じてしまうかなと思うので、何か、少なくとも今ぐらいの情報が各地から出ているところで、そこから数字等をピックアップしてしまうのはちょっと怖い作業のように思うので、もう少し、しんどくても、例えば挙がってきた例を、これはどう考えたですとか、そちらの適切性は私は分からないが、不登校については30日という一応の基準を既に出しているわけで、そうすると各先生方が、それと同じくらいの重大性かどうかという、教育現場での御判断というのもあるのかなというふうに思っていて、何らかの指針が必要というところは分からないではないものの、今の段階でこういうふうに書いていくものを全国にというのは、ちょっとちゅうちょするものがある。
【座長】  今、事務局から提案されてきた意図は、ばらばら、まだ年度当初なのでそれはよく理解できるのだが、現実には学校現場へ行くと、暴力事件で警察との連携をとったにもかかわらず、重大事案としては扱っていないというところを、私たちも幾つか散見するわけだ。そうすると、きっちりと事実関係を押さえて調査していくというところが、起訴になるか不起訴になるか、そこのところは次のステップであるが、学校としても本来はそこで調査をしっかりやっていくべきだというぐあいに、法の精神からいうとやらなきゃいけない。そういうことすらもなかなか徹底していない状況の中でどうするかというところがある。
 今、御意見のあったように日数でやるとそれが一人歩きする、あるいは金額でやるとそれが一人歩きするということになると、そうするとどういう表現がうまくそれをクリアできるかというところまで御提案いただけると大変助かるのだが。
【委員】  今お話があったように、説明する立場からするとこういう文言にならざるを得ないのだろうが、現場サイドからするとやはり防止ということが目的であるから、これを読んだときに、なるほどこういうことなんだなということが現場が理解できるようなものを書いておいた方がいいかなと思う。例えば1つとして、私も感覚では分かるのだが、おおむね30日以上の加療を要するというのが、漠然としては分かるが、どういうことなのかというのがぴんとこないのが若干ある。あと、今いろんな調査の中で、教育委員会等からのいろんな上げ方があるというふうにあったが、例えば本校では、親御さんが子供を虐待で殴って、骨折をして、でもお医者さんの判断では20日で完治すると。でもこれは虐待である。20日で完治するのだが虐待ということになると、それはこっちの、例えばいじめの方では身体被害にはならないという状況がある。ということは、現場サイドからすると、単純に数値、日にちで区切るのではなくて、具体的な例としてこうという、行数をかなり割いて丁寧に一つ一つ書いた方が、現場サイドとしては入ってくるような感じがした。
 だからこの辺の、身体被害等のところと財産被害のところも、100万円以上というのは多分、中から高にかけて、上にいくに従って金額が多くなるから、小学校で言うと多くて万単位だ。でもこれはかなり精神的な負担を負う子供がいる。ということになったときに、私はここの部分はもっと丁寧に記述していただいた方が、防止ということが目的であるから、教員がしっかりそれを把握して対応できるということであれば、丁寧にこの辺は文言として入れておいていただいた方が、例としてでも構わない、丁寧な記述が必要だなと。これを一緒くたにまとめると、なかなか今お話しいただいてきたように、適正な表現を見いだすのは難しいかなと思った。
【座長】  ありがとうございます。これは大変重要な論点になる。法そのものではないのだが、現場適用の場合に非常に課題になってくる。
【委員】  今回、この指針の案を見せていただいて、最初に感じたのは、例外を認めてしまうような、これに当てはまらなければいいんじゃないかというような形にならないのかなというのが、すごく第一感としてあった。先ほど事務局からのお話で、どうしてこういう指針を作るのかという目的、意図は十分分かっていて、やっぱり全国的に統一していかなければいけないんだろうとは思うのだが、上からのトップダウンでやっていくのが果たしていいのかといったところを、僕は今ちょっと感じているところで、いろんな協議会で具体例を出しながら積み重ねていっている。研修を私も講師でさせていただいている、その中で現場の先生方が、これはこうだなと自分たちで考える機会というところを、もう少し時間を見てもいいのではないか。先ほど委員の方からもあったが、今の段階でそういう指針を出すというのがいいのかどうかというところを、私は今正直、引っかかっている。ちゃぶ台をひっくり返すような議論をして申し訳ないかなと思うのだが、それはちょっと第一感としてすごく感じている。
 特に、例えば資料1のところでも、最初の1ページのところで、事実確認を行った結果、重大事態であると判断した場合であっても、これが事実の確認のみで重大事態に係る事実関係の全貌が十分に明確になった場合には特に調査しないでもいいといったところ、この判断は学校がするということになれば、学校としてはこれ以上しなくてもいいんじゃないかと、そういうふうに裏を、逆の方をとられたりとか、あるいは資料2の7ページ、行政実務上は重大事態の調査を行わなくてもよい場合というふうに書かれているが、このような大きな金額のやりとりをして、ちょっと手打ちができたから、これではい終わりというのは僕は逆じゃないかなと、本当に怖い方向にいくんじゃないかなといったところをすごく感じている。非常に丁寧に、この場合は当たります、当たりませんというふうにしていただいていると思うのだが、それが逆の方向にいってしまう危険の方が僕は大きいということで、今の段階で指針を出すよりは、今は現場の先生方の情報をどんどん上げていただいて、それはおかしいよという形で、個別的なというか、みんなで考えるようなスタンスをとっていった方がいいのではないかというのが、個人的に思っているところである。この点はちょっとほかの、特に現場の先生方の御意見をお伺いしたいなと。あと、読ませてもらった指針では結構、法律的な要件があってこれの当てはめということなので、法律家の我々にとっては感覚的には分かるのだが、現場の先生方にこの当てはめをやっていけといったときに、果たして十分できることなのかどうかといった、その辺の感覚的なところでも結構なので、少し教えていただければなと思う。
【座長】  ありがとうございます。ただいま私も問題提起したように、最初の前提のところから御議論を立てていっていただきながら、それが果たしてふさわしいのかどうか。もちろん当然、今出された解説というのは法文の解釈という点に重点が置かれているので、現場の運用上の課題も含み込んで解釈をするというのが今の委員の御意見である。当然それは考えておくべきことだろうというぐあいに思っている。
【委員】  皆さんのおっしゃるとおりだと思う、ある面では。法律ができた後に、重大事態か否かの判断、あるいはいじめの判断というようなことで、ややもするとこれが法律の何に当たるのかということで、具体的に困っている児童生徒への指導が少し後回しになっているような嫌いもある。そういう意味で、学校の教員が持っている専門性に基づく裁量、これを損なうという危険性を私は思っている。ただ、私も幾つかの自治体の附属機関の委員をしているが、実際に見ていくと、当然、重大事態になっていいものがなってこないというケースもある。法ができて3年目を迎えて、少し危機意識が薄れているような気がする。だから、事務局の方で具体的なものを数字で示すという気持ちがよく分かる、私は。ただ、心配もある。
 であるから私は文言のところに30日とか幾ら以上と書くのは、少し危険性を感じる。しかし、例をもう少し細かく出してもいいかなと。文章として体裁はすごく悪くなると思う、いろんな例を挙げていくと。でも現場感覚で言うと、例が挙がると大体、またその例に従うというところもあって、先ほど御指摘があったように例示で例えば30万とあると、28万だったらいいだろうという認識を持ってしまう。あくまでも例としてこういうものがあるというのを、構造上、見かけは悪くなるかもしれないけれども、挙げておいて、そして深刻なものを危機意識を持って対応していくという意識を喚起するような形で、大変だろうが、書いてもらえると有り難いという気がする。
 今の段階でというのがあるが、私は逆に今の段階で例示をするなりして、学校現場にいろいろな混乱があるだろうけれども、もう1回、法ができたときのところに立ち戻って考えましょうというのを言う必要があるように感じている。
【委員】  皆さんのおっしゃることに同感だが、いろいろな個別的な要件を見ていったところの後で、例示の後に、いじめが原因であったと申立てがあった場合には重大事態となるということで、この考え方の基本はそういった日数とか、けがの程度とかだけではなくて、いじめに遭った子供さんの心の傷というか、そういったものにきちんと寄り添って、そこにちゃんと目を向けた支援ができるかどうかということから発生することだと思うので、やはりいじめに遭った子供さん自身の被害の大きさというか、心身の痛みに目を向けるという基本視点が防止にもつながるんじゃないかなというふうに私は思う。いじめが原因であったと申立てをするかどうか以前の、そこの部分の調査というのはやはり必要なんじゃないかなというふうに感じる。
【委員】  一私立学校の現場の長としての感想であるが、先般、大河内さんがお見えになって御報告いただいたときに、全く校長認識がどうなのかがよく分からないということで、いろんな意識感覚があるというお話もあったかと思う。そうするとやっぱり、長がどういうふうに判断するかというのがとても大事なことであって、例えば不登校の状況を30日と言っているが、私どもの学校は3日でまず不登校状態という確認をしよう、その原因が何かを親御さんから話を聞いていく。それが比較的、いじめということで休みが始まるというケースはないわけではない。私は学校の教員には、数値的なことではなくて子供の状況によって我々は判断しなければいけないんだから、法律は運用なんだから、我々がどう運用するかということだよねというふうに言って、いろんな処理をしているのが実態である。
 医師の診断という言葉があるが、私は進級するかしないかということを含めて、不登校の子供を進級させるか、あるいは卒業させるかという判断のときに、必ず医師の診断書があることをもとにして、じゃ、その医師の診断書の、そうなった原因が何なのかということを、子供のことを考えて私は私で判断するよというのが、現場というか私立学校の校長の立場で運用しているということだけ御理解いただければ有り難いというふうに思っている。文言の書き方についてはちょっと私、今は知恵がない。
【委員】 この重大被害の分類については、確かに生命被害、身体被害、財産被害、精神被害ということでよろしいかと思うが、先ほど来出ているように、単一の被害だけということで捉えられない問題が、特に精神被害についてはあると思うし、身体被害の結果として精神被害に及ぶことがあるという、複合的な被害と、総体的に被害を捉える必要があるというような表現が必要かと思う。
 それと、精神性疾患についても、これはなかなか訂正は難しいということであれば、精神性疾患及びというふうに、精神疾患に準じるような状態にあるということも含めていただければと思う。というのは、児童・思春期の精神疾患に関しては、やはり確定診断というのが非常に難しい、精神的な発達段階にある子供の診断というのは、精神科のお医者さんも診断が難しいところだというふうに思うし、疾患ではなくても病気に準ずる状態ということはあり得ると思う。なおかつ、精神的なケアが必要であることは変わらないと思うので、そこら辺の文言の工夫をしていただければというふうに思う。
【座長】  ありがとうございます。
 先ほど小学校の方から御意見いただいたが、高等学校あるいは中学校の方から何か御意見はありますでしょうか。
【委員】  高校ですが、重大事態に該当させなくても、当然のことながら法令にのっとり、また学校として不登校、それからいじめ等にもしっかり対応していくと、子供たちを支援していくということはまず前提としてあるというふうに思う。重大事態に該当させることで、より手厚い支援というのか、諸機関が連携しながら手厚い支援をしっかりと行っていくということかと思うのだが、県立学校であると当然、重大事案に該当させるような事案とおぼしきものについては、教育委員会等とも十分、協議をして対応しながらそういったことになっていくのかなというふうにも思っている。
 ただ、そうした場合にやはり、いわゆる通常の対応と重大事態としての対応ということについては、何らかの目安が当然、必要であるというふうには思う。その目安について、数値的なものなのか、例示的なものなのかということについては、確かに数値的なものを頂くと、若しくは例示の中に数字があると、現場としては一定の、やはり指示事項として受け取る傾向があるので、それに拘束されるというマイナスの側面はあると思う。ただ、逆に言うと拘束されるであろう認識をするので、そこを基準にして重大事案として該当させていくということにはある程度、明確になってくるというふうに思う。例示等をいただける場合であれば、やはりその例示をもとに校長等がしっかりと判断して、教育委員会とも協議をして該当させていくということになると思うので、今の委員の皆様の御意見等を伺う中では、やはりちょっと数字については、期間ですとか金額を示すというのは難しさはあるのかなというふうに感じている。生徒の経済状況からすると、例えば1万円でも非常に生活に関わるような子供たちもいるので、そういった幅はやはりあるのかなというふうに思う。
【委員】  学校に行っていて、スクールカウンセラーとしての立場で感想として述べたいと思うが、先ほど校長先生が言われたように、3日休んだらもう家庭訪問をすると。で、その子の学校へ来られない理由をいろいろ聞いてみて、体調が悪いのか、いじめが背景にあるのか、いろいろ聞くといわれて、そういうふうな配慮をしていてもやはりなかなか登校に結びつかなくて30日になるんじゃないかと思う。自殺の場合であれば、そういう背景が分からなくていきなり自殺もあるかもしれないし、いろんな兆候を見せていて結果的に自殺ということがあるかもしれないが、そういうふうに自殺したり、30日以上になったから重大事案というふうなものがあるが、最初は簡単ないじめでも、そういう配慮をしていくけれどもなかなか解決しないから重大事案になるんだろうと思う。であるから、そこのところで30日を超したから重大だとか、自殺をしたから重大だという、そこの線引きは必要だと思うが、そこでまた30日を超えて重大事案になったときに、なぜそうなったかを調査しなければいけないと。
 それはあくまでも、そういったようなことを今後起こさないための予防としてやるわけだから、それは僕は30日という基準があればあったでいいだろうというふうには思う。最初から重大ではない、ささいなトラブルがいろいろあったのが解決できないから、結果的にそうなっているところがあるし、その結果30日休んでいるのであれば、そのことを調査する必要は僕はあるんじゃないかというふうに思う。いきなり100万取られるのではなくても、5000円、1万円を取られていても、その段階で介入できて解決できればいいが、それができないからそれだけの金額に重なっていくのだろうから、ある程度金額の目安も必要かもしれないが、調査はする必要があるんじゃないかなと思う。ただ、ここにどのように示していくかというのは、非常に難しい問題だろうとは思うが、いじめの問題を予防するためには、小さいトラブルのときから介入していくというのが大前提になって、それがうまくいっていないからこういう結果になっているんだろうというふうには思う。
【座長】  ただいまの御提案、重大事案ということと、いじめ重大事態ということを少し区分して御議論いただければと思う。
【委員】  4ページに載っている不登校重大事態の個別的要件、これについて例が1、2とあるわけだが、下の方に2行ばかり、27日間もいじめが原因であったとの申立てがあった場合は云々、それからもう一つ、例2の方で同じく申立てがあった場合は重大事態となるというような文言が入っている。したがって、これは上の例のところの30日という日数をもとにして、それ以上にこういうものが加味されている場合にはこれは可能であるというような判断なので、ある程度やはり日数を見ていただいて、そしてまた、先ほどあったお金の方と精神的な面、心の問題、これはちょっと違うと思うが、お金の方は小学生、中学生、高校生と金額がそれぞれ大きくなってくる。しかし小学生でも1万、5,000円、1,000円なんていうのも、本人が言われた場合に出せるか出せないかという問題は、非常に精神的に強いショックがあるわけである。だから金額も、なかなかこういうことは決められないと思うが、やはり金銭のというところで処理すべきではないかと思うし、高校生だと相当お金を持っているから、お前、働いて持ってこいなんて言われた場合にはそういう現象も起きるかもしれない。しかしやはり小、中、高の発達段階によって大きく、心因性の問題も変わってきますので、考えていくということで、おおむね30日前後の日にちというのは見ておいていただいて、そして学校もこれをもとに考えながら進めていくと思うし、それがあった方が極めて指導上、あるいは実務上はいいんじゃないかなと思う。ただし、後でつけていただいた、もしいじめが原因だったらというのをつけていただいているので、それを十分活用して、今おっしゃったようにその間に調査をしなければならないものは徹底して調査をする。そのときに今度は教育委員会も十分調査せよというような意向を持ってフォローしていくという流れが大事かというふうに思う。
【座長】  ありがとうございます。ただいまの事例のところは、最後におっしゃった経過期間というのがここで問題になっているので、やはりその間に検証を行いながら、次の発生の、どういう背景なのかということはしっかり検証した上でこれを判断するというのは非常に大事なことだと思うので、その点はちょっと御留意いただきたいと思う。
【委員】  1点だけお願いします。私は今の段階で指針を出すのはどうかなというふうに思っているのだが、基本的には作られる方向にもしいくのであれば……。
【座長】  それはまだ決まっていない。ここで御議論いただいて、その上で。
【委員】  もしいくのであったとしても、僕は大事なのはやっぱり事例集みたいなものをしっかりと作っていく。今まで集めていただいた中で、これは重大事件に当たると考えているのに当たらないという報告があったということを、余り具体的過ぎちゃうと難しいかもしれないが、例えば私立高校3年生のとか、公立高校何年生とか、そういう抽象化した中で、これはいじめ、重大事態に当たらないと言っていたけど、やっぱり当たるんだよというような形の事例集みたいなものを、指針の中の別個という形で作るべきかなと。僕は少なくともそれだけで、今の段階ではいいんじゃないかなというふうに思っている立場である。
 あと、指針の中で精神疾患の場合に医師の診断が要るか、これは専門の先生の御意見をお伺いした方がいいとは思っているのだが、ここをぎちぎちとしてしまうとなかなか難しいところがあるのかな、特にしんどい子たちは、お医者さんにかかるということまでいけないと思うので、これは医師じゃなくて、心理の専門家の先生方から見ても、スクールカウンセラーから見てもこれはしんどい事案だなということになれば、それに該当するとか、ここはかなり柔軟に考えるべきかなと思う。
 それから最後だが、児童生徒、それから保護者の方から重大事態だという申立てがあった場合には、重大事態としてということだが、そこの判断の、親の方は基準が分からないので、例えば殴られて1週間ぐらいのけがだと。うちに来てしんどいと言っている、重大事態だと言ってきたときに、学校の方としてそれは重大事態としての申立てがあったというふうに理解すべきなのかどうか。そこのところを指針として、もし出すのであれば明らかにしておく必要性があるのではないか。そこで親の方としては重大事態だというふうになっているけど、文科省のこの指針が出た場合にはこれに該当しないから、重大事態じゃないよというような形で切ってしまう形になるのか、それとも、ここの指針でもある程度できた要件には合わないけれども、親の方が言っているのであればそれは重大事態として捉えるのか。そこのところはやっぱり現場でかなり混乱する危険性も出るかなと思うので、もし現段階である程度のイメージがあるのであれば教えていただければと思う。
【委員】  例えば学校で、友達関係でトラブルがあって、そしてけがまではしていないけど、悪口を言われたとか、ラインでとかということで学校へ行かないと。そうすると最近の親御さんたちはお医者さんに行って診断書を持ってくる。そういうふうなショックな出来事があって、それが原因でしばらく学校へ行けないぐらいの診断書は、既にその段階で取っておられる親御さんたちはたくさんいるので、そういう病気という形までの診断をするのか、そういうつらい出来事があって、例えば企業でもそうだが、パワハラを受けてうつ状態になって出社できないということになると、診断書を持ってくる。あれと同じような形をやられる親御さんは既にいる。
【座長】  それは増えてきているのだが、今議論になっているのは、そういう事例もさることながら、委員がおっしゃったように医者へ連れていく、精神科医へ診せに行くということだけで状態が悪化するというケースもやはり含まれてくる。
 だから今、診断書は簡単に取れるんだよ、そういう時代だよという認識だけではない、まだ一方にはそういう事案が、心の傷を負った場合にはやっぱり出てくる。親もそれが精神疾患だと判定されることによって、余計にまた精神的なアリジゴクの中へ入っちゃうというケースもないではない。それを恐らく委員は御指摘された。両論をどういうぐあいに組み込むかというところがあるが、ちょっと整理するために私、事務局に伺いたいのだが、いじめの要件、4要件ある。児童生徒、一定の人間関係、それから身体的・精神的影響を与える行為、それから苦痛を感じていること。ここで新たに、苦痛でもなく影響を与える行為でもなく、被害という概念が新たに、重大事態の場合に法律で登場してくる。
 そのときに、その被害性を判断する場合に、要件のうちのとりわけ関わる行為の影響と言われるもの、行為主義に立つ論点になる、これを強調すれば。それから先ほどからいろいろと議論が出てくる、客観的な金額だとかあるいはけがの状況だけではなくて、むしろ発達も考え、しかも第4要件、精神的な被害というものにウエートを置いて重大性というのを判断すべきなのかと。つまり要件そのものが、例えば今の第3要件と第4要件は並列した重みを持っているのか、あるいはウエートをどちらかへかけるべきなのかということも少し整理しておいていただく必要はあるかなと思っているが、事務局はどういうぐあいに考えているのか、その辺は。
 その定義の方は、単なる構成要件である。実際に具体的に当てはめる重大な被害のところでは、その影響度の軽重と、それから苦痛と言われるものの軽重と、それから行為、ここに挙がっているのは行為だ、行為の軽重と言われるものがある。影響になるとかなり両者の関係性が入ってきて、被害性の立場が入ってくる。行為主義に立つと、まさしく加害行為、実行行為そのものに限定するということになると思う。そこのところがかなり、今の議論の皆さん方の判断、いろいろと反論が出てきているところのゆえんかもしれない。となってくると、法律的に議論すると、これは飽くまでいじめ法であるから、その法の解釈だから、そのあたりの整理をどういうぐあいに我々としてはつけるべきなのか、私も法律は全く素人なので、その辺のところを少しお教えいただければと思っている。
【事務局】  私は法律屋だから、条文の解釈できちんとやっていきたいという気持ちは強いのだが、ただ、いじめ法自体が非常に被害者の立場に立ってというところを第1に掲げて、全てを回していくというたてつけになっているので、やっぱり最終的には被害性に着目してというところに落ちつかざるを得ないかなというふうには思っているところである。更に議論を深めていただきながら、着地点を見つけていきたいと考えている。
【座長】   ほかに御意見ございますか、これに関連して。まだいじめの認知も残っているので、時間が大分迫ってきたけれども、ほかにあったら出していただきたいが、よろしゅうございますか。
 それでは、ただいまいろんな論点が出てきた。一度、今の論点も様々な表現の仕方も例示法あり、まだもう少し加える必要がある、いろんな御意見があるので、一度その点も少しトータルに考えていただいて、私が今申し上げた点も含めて、最後の法のたてつけと言われるものに従っての解説ですので、そこらあたりを勘案しながら一度、事務局の方で改めて御検討いただければと思っている。
【事務局】  資料1の方はいかがか。幾つか御意見は頂いたが、これはそのとおり修文するということで御了承いただけたという理解でよろしいか。
【座長】  こちら側は、不登校の会議とも関わっているので……。いかがでございますか、これに関してはこの形でよろしいか。
 ちょっと質問だが、(3)の調査に際しての留意点で、「方法の工夫」が入っている。ウだろうか。
【事務局】  5ページである。
【座長】  私の持っている資料はページ数が正確じゃないもので、申し訳ございません。
 ここで、「聴取に際しては」という頭があるが、この主語は誰を受けることになるのか。並びからいくと対象児童生徒ということになるのだが、その頭のもう一つ、調査に際しての留意点、調査の実施方法になるので、調査に関しては対象児童のみならず、様々な立場の人たちからの聴取になる。とすると、この自発的というところ、これは非常に大事にしなきゃいけない。聴取に際しては供述を強要しないということは大前提であるが、しかし事例の中にはなおかつ、にも拘わらずこちら側の気持ちを受け止めてくれず、それを拒否するという事案が出てくる。その場合には、やはり何らかの聴取の事実に基づきながら認否を求めるという手法もあり得ると思う。オープン形式の質問じゃなくて、むしろこういうことはどうだ、こういうことはあったかどうかということの認否を求めていかなければ、事実は明らかにできないだろうと思う。これは通常の調査の中の一つの方法だろうと思うのだが、ここでまさしく、オープンな質問にして自発的というだけでは、現実には明らかにできない点があるんじゃなかろうかと判断するのだが、この点はいかがか。
【事務局】  委員がおっしゃったのは、例えばいじめの加害生徒と疑われる者が、ずっと自分はやっていないと否認していると。だけれども被害児童生徒がやられたと言っていて、かたい目撃証言もあるというような状況か。
【座長】  一致しないという。
【事務局】  そういう場合は当然、この次元を超えているので、委員がおっしゃったような認否を問うというような問いかけにしなければいけないと思うので、若干、ここの部分についてはお任せいただければ、書きぶりについては検討させていただきたいと思う。
【座長】  微妙な点を含むので、お任せしたいと思うが、よろしゅうございますか、今の点。
【座長】  それでは、今の点、事務局の方で修正いただいて、これは我々としては了承させていただいたということにさせていただく。ありがとうございました。
【座長】  それでは続いて、「適切ないじめ認知のために」という、資料3である。これについて御議論いただきたいと思うが、まず事務局から御説明ください。
 ※事務局より資料3について説明
【座長】  ありがとうございます。それでは、ただいま御説明いただいたこの資料であるが、何か御意見、あるいは質問あったらどうぞお出しいただければと思う。
 もうこれは、今の手続というか、タイムスケジュールから言うと、そちらで検討していただいて、今年度の問行調査の依頼文に入ってくるという解釈か。
【事務局】  それができればいいなと思っているところであるが。
【座長】  委員の方々から御意見を頂く機会が少しあればというふうに思うが、資料として何か出していただきながら、そういう機会を、小さな、集まれる方だけの会議でもよろしいし、何か皆さん方の、やはりこれはこの会の趣旨にも関わる事柄なので、ちょっと工夫を何かしていただければというふうに私は思うが、いかがでしょうか。このまま、はいお任せよではちょっと。
【委員】  これも先ほどの指針をどうするかといったところと非常に関わることで、法律的な解釈ということになると、法律的な視点から我々弁護士は関与させていただきたいと思うし、それ以外にも現場の先生方の御意見というのを是非、反映していただきたいと思うので、是非、正式な、この会議で1回諮っていただくという機会をお願いしたいなと思っている。
【座長】  タイムスケジュールの問題があるので、そのあたりも含めて事務局からお願いします。
【事務局】  それでは、今おっしゃってていただいたメンバーでこの後、ちょっと残っていただいて、議論を継続するということでいかがでしょうか。
【座長】  今おっしゃっていただいたメンバーというのは、この全員?
【事務局】  いいえ、弁護士の先生方と学校の先生方である。
【座長】  という御提案があるが。これは認知に関わる、実際は学校での、俗に教育で言う「気づき」という部分に関わる重要なスタートラインになるし、対策、方策の一番大事なポイントになってくる。
【委員】  今おっしゃったような形で、今回の調査の際に何らかのものを付けてお出しになるのに、何もないよりは説明をしたいというのはとてもよく分かるのだが、ここの皆さんに余り諮れていない段階で、それが確定的な解釈指針みたいにむしろなってしまわないように、できればやはりそれを、事後的にでもきちんとここで確認をして、皆さんの御意見でこれはどうかということがあれば、この次の調査のときにはまた違うものにするとか、その辺のところは御配慮いただけるのであれば、1日、2日であったにしても皆さんから御意見を頂くとか、そういった工夫はしていただけたらと思う。先生方は大変真面目にそういうものを受け止められてしまうんじゃないかと、逆に不安なところもあるから、文科省からきちんとこれで決まって出ましたという形には、できればならなくて、まだ検討中だけどこういう点に留意してほしいみたいな、そういう経過的なものというふうにしていただくような御配慮があったらなと思っている。確かにもう期間がなくて、そっちの調査の方を遅らせるわけにはいかなくて、このまま出すわけにはいかなくて、何らかの情報を出したいと、きっと文科省さんとしてはお考えだとすると、極めて折衷的な案だが、ちょっと意見として申し上げる。
【座長】  ありがとうございます。今までの流れとしては、夏に見直しが入ったというのもそれであるし、前に課長から御説明いただいたように、都道府県間の差も非常に大きい。あるいは認知率と言われるものの捉え方そのものにも問題があるという、いろんな点が含まれていて、ここでもいろいろ御議論いただいた、その流れをくみながらなんですが、これは提出締切りはいつになっていたか。
【事務局】  問行調査の締切りは6月末である。だから一応、今月中にというふうに考えている。
【座長】  だから一応ここで、後で関係者でももんでもらいながら、次回に出していただいて、問行調査は問行調査として従来のものを発出しておいていただきながら、後で変更、修正点という形で出すというやり方も一つあるだろうし、それから今、委員がおっしゃったように、一応こういう方向というものを経過としては考えておりますという形で、問行調査と併せて依頼文と併せて付けていくというやり方もありましょうし、何かそのあたりは行政の運用上、工夫できる余地があるだろうなと、ここで皆さん方に御議論いただく機会を設けてということも併せて考えれば、ないではないなというふうに思っているのだが。恐らく今の雰囲気であると、皆さん方がやっぱりこれはここで一遍、全員で議論しておかなきゃいけない事柄だというふうに、皆さん方、責任を持ってこの委員会に出ていらっしゃるので、それは当然のことだろうと私も思っている。
【事務局】  もともと問行調査の記載要領には、そんなに詳細なところまで盛り込むというより、サマリーを盛り込むというイメージで考えていたのだが、了承を得ることができるようなサマリーを、今用意している案のサマリーを作って、それをメールベースで議論させていただいて、これだったらいいんじゃないかと、もし了承を得られるんであれば、それを問行調査の調査票に載せるか、あるいは依頼文書に添付するかといった形でやっていくというのはいかがか。
【委員】  やっぱりこれはかなり重要なところだと思う。定義についても正直いろいろな議論が出るかなというふうに思うので、メールですぐまとまるというものではないんじゃないかと、私自身は思う。そこは座長が言われたように、是非正式な会議で1回みんなでもむというのが非常に大事ではないか。それがこの場面で出てきたというのとそうじゃないのとでは重みが全然違うなと思うし、我々の責任としても、メールだけでやって出して、後から委員は何をやっていたんだということにもなりかねないなと思うので、その点は時間を、しんどいところは十分分かるが、よろしくお願いしたいと思う。
【座長】  ありがとうございます。論点が多く含まれれば含まれるほど、相互の討議というのは必要になってくると思っているので、そのあたり、何とか今おっしゃったように、メールというのも一つの次善の策としてあり得るだろうと思うが、何か策がないか。
【事務局】  これはきちんと整理して言わないと、どんなイメージかというのもずれたままでやっていても難しいと思うのだが、問行調査は今、事務局が言ったように、これまでももちろん要件も示しているし、それにまつわるものも若干あるのだが、例えばけんかの場合とか、やっぱりこれは生徒トラブルということで、いじめっぽいんだが生徒トラブルの方に数字をやってしまう例が多いというような現状も受けて、やっぱり最低限解決しなくちゃいけないと思っているわけだ。それ以外にも無理のある、どんなに議論しても解決できないものも含めて、この問いには入っているから、一遍こういうのを全部シミュレーションしてみなくちゃいけない。まさに法律家の先生も、現場の実際にこれをつけていく先生も、そういうことを一遍トライしてみたいと。これは非常に大きなトライなので、何十時間かかるものかということも含めて、我々には手ごたえがないので、きょう終わってからの、クローズな関係の方々に集まってもらって、どれぐらいの手ごたえなのかをまずつかみたいというのが率直なところである。
 これは、議論を10時間すれば解決するとか、20時間やればいいというものであれば、問行調査になるべく多く含んで、改善されたという状況で現場に投げたいということを思っている。追加というのもあり得るのだが、なかなか文書がきちんと全部到達するものではないということも感じているので、しっかりとした指定統計で投げるというときにあわせてやるべきだということが必要だと思うので、そこにどこまで間に合うかという分量だと思う。本当は10、間に合わせたいところもあるのだが、けんかの区別ぐらいのところだけ例示で示せるんだったらそれを1として、今年は改善できたということで示さざるを得ないかなということも考えているので、全てパーフェクトを発注までにというのは多分、難しい。ただし、そこは十分丁寧にやりたいと思うし、生煮えのものをちゃちゃっと投げるということもしたくはないという思いは共通しているので、それは引き続きの検討課題と言うことで、次の年度の調査なのか、それに引き継がせていただくということもあり得るということで、いずれにしろきちんとした合意形成と丁寧な調査ということをやらせていただきたいと思っている。
【座長】  ありがとうございます。ちょっと事務局に反論みたいなことを言うのだが、私自体はこのいじめの認知という、問行調査の認知件数というのは、これは法律が制定される以前の概念である。法律が改正されてからは、この認知の意味がもう少し変わってきていると、私は認識している。つまり認知すれば組織へ上げる、そして組織的対応というのをきっちりやるという、すなわち認知件数とそれから対応件数とはイコールでなきゃいけないという前提が、法律の中にはしっかりと書き込まれている。それを正しく反映した概念として、認知件数としてあげていいのかという疑問を、私は個人的には持っている。そういう議論も含めた問行調査になってくる。
 それを、3年を迎えて改正の時点で検討するか、それとも今の段階で検討するか、これは運びとしてやる余地はあるだろう。どうせいろんな点がまた改正点として出てくるだろうから、そのときに一緒にやってしまおうという点はあるだろうと思うが、そういう議論まで含み込んだ御議論をこの認知についてはやっていただく必要があるだろう。しかもそのところが徹底していないために、いろいろな事案が起こってくる。そして教員個人の抱え込みというものが発生してくる。その表象のようなものが認知という概念の中に含まれている。そこのところをやっぱり改めることによって、現場の認識を変え、対応の姿勢を変えるということは、私は十分あり得る方策だろうと思っているし、それは問行調査の中でしか反映できないということだろうと思っている。
 というのが私の意見で、けんかだとか、裁く自体の問題じゃない問題点がそこに含まれていると思っている。だから一度、それをどうされるか、今年度それをやっちゃうかやらないかということも含めて、皆さん方の御意見も賜りたいところもあるなというふうに、私は個人的には思っている。
【事務局】  思いは同じだと思うので、反論ということではないと思うが、同じ思いで大きな議論をすべきだと思うし、統計のための統計であってはいけないというふうにも思っている。議論の仕方の話を私はさせていただいたのであって、問行調査はなるべくなら2月28日といいますか、今月中といいますか、そんなもので逆算するという期限があるので、その辺から考えてどこまで議論ができるかというようなこと、多分、集まってやってもらう機会を臨時で設けたとしても、恐らく指針のときにこれだけの時間を要したことを考えると、かなりの時間を要するということもあるので、それはできるだけ全てを、そもそも認知とは何かまで追求したもので完成させたいという思いはあるのだが、そこはちょっとどの辺までということの、部分集合になる可能性もあるかもしれないし、引き続きの課題になるものもあるのかなということなので、まさに思いとか、意欲というのは全く一緒であることを説明させていただく。
【委員】  やはり問題のポイントになるのは、調査をしたときに都道府県によって大きく認知件数に差が出ていると、重大事案、重大事態についても捉え方がかなりばらばらだという問題意識がスタートにあるんじゃないかと思う。そこはできればガイドラインがしっかり出て、それに基づいてやれればいいのだが、今の議論でもそうだが、ガイドラインを作ること自体がかなり、時間がもう少しかかるのかなというふうに思う。とは言っても、今年までのようにかなりばらばらのままでこの調査を続けるよりは、少なくともこういったものはいじめとして見ましょうという例示、あるいはこれはやはり重大事態として捉えましょうという例示、そういったものを今回は文科省の判断で、ミニマムの部分を出していただくというふうにして、それに積んでいくべきものがいろいろとあると思うので、そこはここで更に議論をしていただくと、そういった2段階で考えていただくのがいいのかなというふうに思う。
 調査を取りまとめる教育委員会としても、我々としては最大限、ささいなものも取り上げようということで学校現場に流しているわけだが、その中で、こういったものは今まで取り上げていたけれども、いじめとしては判断しなくてもいいんだというものがあれば、それはそれで一つの目安になるし、これまではそうしていなかったけれども、やはりいじめとして考える、そういった範ちゅうに入れるべきだ、例えば行為者が特定できない場合とここに書いてあるが、そういったものであっても本人がいじめられているという認識であれば、我々としてはいじめとして取り上げるべきだと思っているので、そういったことも入れ込んで、文科省から一つの判断のベースを示していただければ、ある意味目線合わせができるのかなというふうに思うので、限られた時間の中であるから、そこはまずやれるところをやっていただければと思う。
【委員】  今のような考え方で合致できるところの具体的なケースという形でお出しになるというのは、割合、受け止められるのだが、さっき事務局がおっしゃったサマリーとなると、全体の仕組みを皆さんがまだ議論できていない段階では、なかなか難しいかと思う。ので、今後、御検討をインナーとかでされたとして、一致できる点としてもやはり全体の定義に及ぶようなことは、さすがにちょっとこちらで正式に議論の場を頂いてからというふうにお願いしたいというのが意見である。
【座長】  ありがとうございます。
 全体的な定義でも、法律の解釈上、必然の解釈だという点は改めて御提示いただいてもいいと思うが、大もとに関わる根幹的な議論が必要な部分もある。今、委員から御提案いただいたように、時間もあるので、その限りで合意できる範囲で、いろんな方法、インナー会議もあるだろうし、それからメールでのやりとり、あるいは個別にヒアリングをしていただくことも結構だろうというふうに思っているので、皆さん方もお忙しい方々なので、なかなか一堂に集まるというのは非常に難しいことなので、できる限りの手を尽くしていただきながら、2段階で、とりあえず今年度で合意できる学校現場、あるいは教育委員会との線で一つは出していただきながら、次年度、またこれは改正の議論も含まれてくるので、それも併せてしっかりとやっていただくという方向もありかと思う。今年度でどれだけ出せるかというところが、事務局の努力と我々の向き合い方ということになってくるので、その点、要請があればひとつよろしく御協力いただきたいというふうに思っている。今の認知の状況というのは、かなりいろんな課題を含んでいるので、それはできる限り早く統一して、行政側の方と現場の方との一致点を早く見つけて、子供たちがその中で悲劇に巻き込まれていかないようにということを旨としながら、御協力いただきたいというふうに思っている。そういう仕切りでよろしいか。
それではそういうぐあいに、ちょっと事務方も工夫していただければと思っている。
 それでは最後に資料4、平成28年度の予算案、資料5、平成27年度の全国いじめ問題子供サミット、資料6、いじめの未然防止に向けた取組事例、これらについて事務局から御説明をお願いします。
 ※事務局より資料4・5・6について説明
【座長】  それでは、ただいまの説明に関しまして質問、あるいはそのほか何か御意見がございましたらお出しください。
 よろしゅうございますか。それでは、ただいまの御説明、ありがとうございました。
 それでは、以上をもって今年度第4回の会議を閉会させていただきく。きょうはいろいろと多岐にわたって掘り下げて御議論いただきまして、ありがとうございました。御協力いただいて感謝したい。また事務局の方ではきょうの意見が出たところを組み込んで、ひとつよろしく御検討をお願いします。どうもありがとうございました。



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