学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議(第4回) 議事録

1.日時

平成28年3月10日(木曜日)13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省3階第2特別会議室

3.議題

  1. 関係団体ヒアリング(1.全国連合小学校長会 2.全日本中学校長会 3.全国高等学校長協会 4.学校図書館整備推進会議 5.一般社団法人日本新聞協会 6.一般社団法人日本書籍出版協会)
  2. 学校図書館の整備充実に係るこれまでの意見を踏まえた論点整理(案)について
  3. その他

4.議事録

【堀川座長】
  皆様、こんにちは。それでは、定刻となりましたので、これから第4回学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議を開催いたします。
  お手元の議事次第にありますように、きょうは大きく分けて二つの議事となっています。まず関係団体ヒアリングが6団体です。1、全国連合小学校長会、2、日本中学校長会、3、全国高等学校長協会、4、学校図書館整備推進会議、5、一般社団法人日本新聞協会、6、一般社団法人日本書籍出版協会の各団体にお願いをしております。
  そして、その次、(2)のところですが、学校図書館の整備充実に係るこれまでの意見を踏まえて、論点整理の(案)について意見交換を行います。
  そのほか、議事進行に移る前に、事務局より何かございますでしょうか。よろしくお願いします。

【友田児童生徒課指導調査係】
  それでは、本日の議事進行に入る前に事務局より1点アナウンスさせていただきます。本日、實吉委員、米澤委員に関しましては、御欠席との連絡を受けております。
  それでは、本日の配付資料の確認をさせていただければと思います。配付資料といたしまして、議事次第、資料1全国連合小学校長会配付資料、ワードファイルのものでございます。資料2として、全日本中学校長会配付資料、こちらもワードファイルのものでございます。資料3、全国高等学校長協会配付資料、ワードファイルのもの。資料4、学校図書館整備推進会議の配付資料、こちらにつきましては1枚のプリントアウトしたものと、委員とヒアリング団体におかれましては、封筒資料一式をお配りしております。また、資料5として、一般社団法人日本新聞協会の配付資料、パワーポイントのファイル、ワードファイル、左にホチキス留めしたものと、「家族で読もう」というパンフレット、こちらが入っております。資料6といたしまして、学校図書館の整備充実に関するこれまでの意見を踏まえた論点整理(案)、以上のものを配付資料として御用意しております。
  また、委員におかれましては、机上配付資料といたしまして、座席表及びA3の学校図書館の整備充実に関する第3回の会議後の委員の御質問と団体からの回答についてをお配りしております。
  資料がない場合につきまして、事務局までお申し付けいただければと思います。
  また、第3回会議におきまして、加藤委員よりヒアリング団体に対し、質問を行いたい委員もいるのではないかとの御発案がありました。これに関して、武島委員より御質問がありましたので、団体からの回答と併せて簡単に御説明差し上げたいと思います。
  委員におかれては、机上配付資料をごらんくださいませ。
  全団体への共通の質問として、「学校図書館に専任の司書教諭を配置することが前提での説明であったのか、専任の司書教諭に代わって専門性を有する学校司書を配置してほしいという趣旨の説明だったのか、どちらなのか」という質問に対し、全団体共通して、「司書教諭の配置が前提であるということで説明した」との回答がございました。また、それ以外の個別の団体への質問について幾つか御紹介いたしますけれども、公益社団法人全国学校図書館協議会に対しては、「整備費の予算確保が重要であるとの説明があったが、具体的な内容は何か」という質問に対しまして、「地方の財政措置による学校図書館図書整備5か年計画に基づく各自治体による図書費の予算化のことである」という回答がございました。
  公益社団法人日本図書館協会に対して、「学校司書の配置基準の例を教えてほしい」という質問に対し、「現状では具体案は持っていない」という回答がございました。
  学校図書館問題研究会に対しては、「お示しいただいた学校司書資格の5つの要件を満たす人材が実際に存在するか、どのような方法で人材確保するのか」という質問に対し、「それを満たす人材は現状でもおり、5つの要件を満たす基本的な能力は、司書資格の習得をベースに、学校教育に関する知識を併せ持つことで習得できると考えている」旨の回答がありました。
  続きまして、日本学校図書館学会に対しては、「新しい学校司書資格養成プログラムを実現するには問題が多いように思うがどうか」という質問に対して、「司書教諭資格養成プログラムで御発案した内容を履修するには、教諭の資格取得にプラスすることになるので、現行の教員養成学部では難しいのではないかと考え、新たなプログラムを示しました。なお、実現に当たっては10年以上かかるのでは」という御回答がございました。
  日本図書館情報学会に対しては、学校図書館研究において、「校種別、学校規模別に研究成果があれば教えてください。また、学校図書館活動を図書館情報学と教育学諸領域の協働による研究成果について教えてほしい」との質問に対して、『読書教育に対する学校図書館および司書教諭の役割』『教員の読書指導への意識や実態を踏まえた学校図書館の支援のあり方』等4点の論文についての御紹介がございました。
  報告に関しては以上でございます。
  最後に、座長にお諮りいたします。事務局に対して本会議の撮影希望がございました。今回の撮影については、今時点のみ撮影可とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

【堀川座長】
  はい。どうぞお願いいたします。

【友田児童生徒課指導調査係】
  それでは、撮影希望の方におかれましては、今時点のみ撮影をお願いいたします。

(写真撮影)

【友田児童生徒課指導調査係】
  それでは、撮影はここまでとさせていただきます。
  事務局からは以上でございます。座長におかれましては、議事の進行をお願いいたします。

【堀川座長】
  ありがとうございました。それでは、議事の進行をいたします。
  各団体10分でこれから御意見について発表していただきたいと思います。短い時間で申し訳ありません。多くの団体に御参加いただいておりますので、御説明については円滑な進行に御協力をお願いいたします。
  なお、発表に対する御質問等は、6組の皆様の全ての発表が終わりました後にお願いいたしたいと思います。
  それでは、最初の全国連合小学校長会、千木良対策部長さん、お願いいたします。

【千木良】
  全国連合小学校長会、対策部長の東京都台東区立黒門小学校長の千木良と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは、資料1をごらんください。学校図書館は、児童の読書活動の中心となる読書センターとしての機能だけでなく、調べ学習を支える情報センター機能、そして、教員の教科指導等を支援する学習センター機能を持つことが求められています。
  そこで、校長のリーダーシップの下、司書教諭や学校司書の専門性や専任での配置を推進・充実することは大変重要なことと考えます。
  このことを踏まえ、各小学校の実情に応じ、学校図書館が更に充実しますよう、大きく4点について意見を述べさせていただきます。
  1点目です。学校図書館の整備についてでございますが、平成28年度までとなっている図書館整備5か年計画については、次期計画も確保・充実させていただきたいと考えます。
  図書標準を満たす学校が増加してきている一方で、図書購入予算は減額している学校も多くあります。減額率が増額率を大きく上回っていることからも分かります。このことは国の地方財政措置が各地方自治体で生かされていないとも言えます。引き続き図書館整備費の完全予算化に向けて各自治体への働き掛けを強めていただきたいと思います。
  現行の学習指導要領解説国語編5・6年において、「読書を日常的に行う学習を作っていくために、本だけに限らず、新聞や雑誌、パンフレット、インターネットのホームページなど、様々な資料を活用できるように工夫する」とあります。また、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられることからも、今後、小学校教育においても、政治的教養、いわゆる「主権者教育」を育む教育を推進していくことが必要となってきます。このため、多様な意見に触れる機会を確保できるよう主要新聞を学校図書館に複数紙配備することが望ましいと考えます。つきましては、そのための財政措置の充実等を検討していただきたく存じます。
  2点目です。司書教諭についてです。司書教諭については、全国的に非常に高い配置状況ではありますが、現状の教職員定数の枠内で司書教諭を配置しても、ほとんどの当該教諭が学級担任をしているため、図書館業務専属に関わることが困難であります。是非とも定数外配置を検討していただきたいと思います。
  3点目、学校司書の在り方についてですが、図書館が持つ機能を充実させるためには、学校司書の配置が極めて重要です。全国連合小学校長会の調査によると、34県の校長会が学校にとって必要性が高い専門的職員と回答しています。また、配置促進だけでなく、その研修の充実を図り、資質能力を高めていくことが大切だと考えます。
  4点目です。図書館資料の選定については、学校司書だけの判断ではなく、校長のリーダーシップの下、学校の組織を生かして行っていくことが重要であると考えます。学校としましても、選定基準の方向性等を明確化し、組織的に選定していくように努めてまいります。
  以上、4点につきましてよろしくお願いいたします。

【堀川座長】
  どうもありがとうございました。
  それでは、次に、全日本中学校長会、石鍋生徒指導部長さん、お願いいたします。

【石鍋】
  全日本中学校長会、生徒指導部長、東京都港区立御成門中学校の校長、石鍋と申します。よろしくお願いいたします。
  それでは、お手元の資料2、全日本中学校長会の伊藤会長名でお示しをしました資料に基づきまして、簡潔にお話をさせていただきます。
  まず全日本中学校長会としましては、大きく4つの話にまとめさせていただいております。1つ目が学校図書館の整備について、2つ目が司書教諭について、3つ目が学校司書の資格の在り方、養成の在り方について、そして、4つ目、その他という項目で柱立てをさせていただきました。
  それでは、1番の学校図書館の整備につきまして、意見、要望等、理由を添えてお話をします。
  まずマル1という形で示させていただきましたが、平成28年度までとなっております図書館整備5か年計画、今後もしっかりと次期計画についても確保・充実をしていただきたいというお願いでございます。
  理由としましては、当然ですが、学校図書の充実につながるということで大変重要視をしております。ただし、第3次の整備計画、第4次の計画は、同じ予算でありました。次期学習指導要領では、いわゆるアクティブ・ラーニング、主体的、能動的な学習の充実ということを考えてまいりますと、学校図書の充実のための更なる予算の確保が必要だと考えるからであります。
  また、学校図書館図書標準達成率、これは年々上昇しておりますけれども、更なる学校図書の充実のために是非ともよろしくお願いをしたいというふうに考えております。
  マル2番です。現在、新聞の配置につきましては、1紙分が確保されておりますけれども、先ほどの小学校の方からもありましたが、今後、政治的な教養、いわゆる「主権者教育」の充実を考えた際に、やはり多様な意見に触れる機会を確保すると、そのような意味合いからも複数紙の配備が望ましいと考えております。そのための財政措置の充実を是非とも検討していただきたいと思っております。
  小学校でもそうでしょうけれども、中学生はやはり幾つかの新聞からの情報によっていろいろな考え方を比較する、そのことによって物の考え方も広がってまいります。そういったような意味合いからも、この複数紙というところは非常に重要だろうというふうに考えております。
  それでは、マル3番に行きます。図書標準を満たす学校が増加している一方で、学校図書館資料につきましては、例えば古い百科事典などがそのまま置かれているということに懸念も感じております。資料の新鮮さを保つ、そのような視点からは資料を廃棄するための基準、各学校現場がそれを備えることも大変重要なことであろうと考えます。学校の現場でも当然検討しなければなりませんけれども、是非国のレベルでも参考となるものを示していただきたいと考えております。
  裏面の方に理由は述べさせていただいておりますが、やはり学校の方で廃棄をするということは大変重要なことですが、先ほどの繰り返しになりますけれども、国の方から参考として廃棄基準ということを示していただければ、やはり廃棄は加速できるであろうというふうに考えております。
  また併せまして、新たに購入する予算の措置というのも検討していただけると有り難く思っております。
  それでは、大きな2番の柱、司書教諭についてお話をいたします。
  学校図書館法で司書教諭は置かなければならないと示されているわけですが、司書教諭が学校図書館の活用の中心ということを考え方の基本にする。これはもうまさに当然のことと思っております。ただ、理由に示しましたが、現状を幾つかお話をさせていただきます。司書教諭、それぞれ学校に配置をされておりますけれども、学級担任、教科指導など、実は一般の教諭と全く同じ職務を行って、司書教諭としての役割も行わなければならないというのが実情です。また、校内事情によりましては、そこに示したように、校務分掌で図書担当につけない、ほかの分掌につけざるを得ないという実情もございます。そのあたりを是非とも考えていただきたいということと、また、中学校の場合、教科によって持ち授業時数というのがございまして、その時数の軽減というのも是非ともお願いをしたい。司書教諭の授業時数を軽減することができれば、その時間の中で図書館の環境整備であるとか、図書館指導についての時間が生まれてくるということからでございます。
  それでは、マル2番ですが、司書教諭の養成が着実になされるよう、引き続き支援をお願いしたいということを示させていただきました。学校図書館の重要性を考えますと、教職課程の中に司書教諭資格を位置付け、教員免許取得の必須単位とするなどの検討も是非お願いできればと思っております。
  それでは、大きな3つ目の柱、学校司書の資格の在り方、養成の在り方についてお話をさせていただきます。
  まず1つ目ですが、あくまで教育は、教員が担うものであるということや、学校司書は、教育や児童生徒の理解、特別支援教育であるとか生徒指導を含むと書かせていただきましたけれども、そのことが不可欠であり、資格の検討でもこのことを是非とも踏まえていただきたいと思っております。
  理由としましては、児童生徒、いわゆる子供たちにとりましては、授業で接する職員というのは、全て先生という位置付けになってまいります。ですので、生徒の発達ですとか、教育目標ですとか、学習指導要領の内容ですとか、学校に勤務する以上、先生と呼ばれる以上、そういったものを最低限理解していただく必要があろうというふうに考えております。ただ、学校側の教員側からしまして、逆に、教員が学校司書に授業を丸投げする、そういったことは絶対にあってはならないと。このあたりは学校側の教員の方の指導もしっかりとやっていかなければならない。そのように思っております。
  約束の時間が近付いてまいりましたので、急ぎます。
  マル2番、学校司書の配置は、地方教育行政の現場が主導してきた経緯があることから、実情を踏まえた対応が望ましいと考えます。
  理由としましては、今、各自治体では、学校司書の配置に差があります。自治体によっては、学校図書館支援員という名称、また、非常勤職員として学校司書に準ずる職務を行っている、そのような職員を配置している自治体もあります。また、そこまでは行かなくて、ボランティアを募って、まさにボランティアとして働いていただいていると、そういった学校もございます。
  それぞれ自治体で工夫はしておりますけれども、学校司書の配置につきましては、各自治体の実情を踏まえて、配置、対応が必要となると考えております。また、今、国で言われております「チーム学校」、その一員としての位置付けというのも大事になってこようと思っております。
  マル3番です。学校司書の資質につきましてです。資格だけでなく研修もトータルで是非とも考えていただきたいと思っております。資格を取得して終わりではなく、継続した、体系的な研修をして、学校教育の改善に資するという形で是非ともお願いをしたいと思っております。
  また、先ほども申し上げましたが、地域によって実情が違いますので、その実情も考え併せた研修の充実をということでお願いを申し上げます。
  それでは、最後です。その他です。図書館資料の選定につきまして、学校が組織的・計画的に対応すべきであり、その点を明確にされたいとお示ししました。
  学校司書の専門性を高めることはもちろん重要です。しかし、一方、図書館資料の選定などは学校教育活動の一部でありますので、学校司書などだけの判断でやるべきではないと。学校司書の専門性を高める取組を推進すると同時に、図書館資料の選定はこれまでどおり、学校組織として行っていくことが重要であると考えております。そのためにも学校側としましては、選定基準を明文化する、校内組織を明確化する、そのような努力をしてまいりたいと思っております。
  ちょうど10分になりました。以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【堀川座長】
  ありがとうございました。
  それでは、次に、資料3の方ですね。先ほど申しました組織のお名前が間違っておりましたようで申し訳ありませんでした。全国普通科高等学校長会の角様、お願いいたします。先ほどは大変失礼しました。「協会」というように申しまして済みませんでした。

【角】
  はい。それでは、資料3をごらんいただきながら、全国普通科高等学校長、協会ですね。学校長会です。その中にいろんな部があるんですが、管理運営委員会というのがありまして、そのほかの委員会も一緒ですが、毎年、全国大会で発表していると。そのお手元の資料はもう既に発表をいたしましたが、その中で今回、関係がありそうなところを抜粋して、お配りをしております。資料3の方ですね。そちらをごらんいただきながら、主に3点ぐらいお話をいたしたいと思います。
  1点目は、司書の配置などの状況について。これは後ほどグラフなどでごらんいただきます。これが1点目です。
  2点目は、今も中学校の方からありましたが、図書選定の在り方について。
  それから、3点目は、司書と学校運営の在り方について、大きく3点についてお話を申し上げたいと思います。
  まず資料3の、これはパワーポイントの資料ですが、2枚が上の段。上と下にされておりますが、その下の段の方、下のページの方ですね。調査項目の内容の下の方から数えて、3行目のところですね。今年度は、4、教職員などの配置についての中にその調査項目の中に学校司書の配置状況を調査する項目を追加したと。今年度初めてですが、そういう項目を追加して、調査したところ、めくっていただくと、裏面のやはり下から3つ目のところにそのまとめ、調査結果のまとめが出ておりますが、学校司書は全国で、都道府県の4割以上の都道府県で全校配置されている。しかし、配置されていない県もあると。配置されていない県では、司書教諭以外の教員や嘱託員がその業務を行っていると。やはりこれは非常に課題であるという結果になりました。
  もう1枚の方でグラフがありますが、全校に配置が40%、それぞれ八、九割、六、七割と細かく出ておりますが、学校司書欠員の対応については、今申し上げたように、そのような対応の仕方を各欠員の都道府県、学校などでは行っているという状況になっております。
  学校司書は、全校配置は4割程度というのが全校の高等学校の校長協会のまとめ、調査の結果なんですが、この数字には出ていないんですが、全校配置されていても、必ずしも専任ではなくて、民間委託の場合もあると。ただし、民間委託の司書の方に、資質に問題があるかというと、必ずしもそうではないですね。教職員、何が問題かといいますと、そういう資質の問題よりも、むしろ教職員や生徒との連携、これに非常に制約があるということの方が問題になっています。現場では結構そのことで悩んでいる、そういう現場が多いと思います。
  政府にしろ、民間委託にしろ、司書の資質については結構その人によるところが非常に大きくて、本当に差があると。やはりその専門性の向上とか、やはりその専門性の向上を確保するような研修とかは更に充実が必要なのかなというのが現場の率直な意見でございます。
  これが1点目です。
  2点目は、図書選定の在り方ですが、先ほどの中学校と同じですが、そうやって司書の専門性が高まっていけば、図書館に置く図書を選ぶのをやはり、あんまりよく知らない教員は入れないで、司書だけでやった方がいいというふうに当然考える。そういうこともこれから予想されるわけですが、やはり学校にどういう図書を置くかというのは、学校運営、学校教育、教科活動ですね。そういうものと非常に密接に関連していますので、やはり学校として組織的に行うことがこれからも必要になってくるというふうに考えております。全校の校長会としても、このことについては来年度以降ですね。やはり調査をしたり、その結果を踏まえて対応を検討したりしたいと考えています。
  これが2点目です。
  3点目は、司書と学校運営について、これまでの今までの話と当然関連するわけですが、やっぱり司書は、学校の図書館のことだけを考えて仕事をしていればいいというものでは、決してなくて、学校全体の運営とかいろんな教科の教科活動、学習活動、生徒の学習活動とかそういうものも十分理解した上で、仕事をしなければならないというような立場にありますが、先ほども申し上げたように、それをやはり妨げるような制度がもしあるのであれば、そこは是非改善を図っていただきたいなというのが最後の3点目の要望でございます。
  以上、3点、よろしくお願いいたします。

【堀川座長】
  どうもありがとうございました。
  それでは、次に、学校図書館整備推進会議、小峰議長さん、お願いいたします。

【小峰】
  学校図書館整備推進会議議長の小峰と申します。学校図書館整備推進会議は、平成7年に出版団体や図書館関係団体、読書推進運動団体など約30団体で設立し、学校図書館の整備充実の活動に従事しております。本日は御意見を申し上げる機会を頂き、ありがとうございます。
  この20年来、国は、「子どもの読書活動推進法」、「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」など、子供の読書振興と読書環境整備充実に努力されたことにより、子供の読書環境は改善されてきました。学校図書館に関しても、平成5年の「学校図書館図書標準の設定」、「学校図書館図書整備5か年計画」の策定、平成26年の学校図書館法の改正に至るまで、数々の施策が実現されてきました。しかし、施策の具体化、実体化には多くの課題が残されております。「学校図書館図書標準」の達成率は、平成26年度で小学校60.3%、中学校50.3%という数字が示されております。しかしながら、これは冊数基準であり、蔵書内容に関する検証はなされておりません。
  本5か年計画は、平成28年度で第4次が終了します。図書資料は、児童生徒の言語活動の充実と自主的な探究学習にとって欠くことができない基礎資料です。学校図書館の一層の充実が求められます。
  優れた指導者の先生、豊富な図書資料の中で育つ子供は大きく成長しますそのような子供たちを、私は何度も見聞きしております。子供たちにとって望ましい教育環境・読書環境を実現していただきたいと思います。
  学校図書館は、多様で良質な出版物を生み出す基盤です。中学校図書館を例に引きますと、調べ学習や探究活動に資する図書資料はかなり不足しています。年間、中学生向けの出版物は150冊ほどです。より多様で良質な図書資料を生み出す基盤が学校図書館です。
  つきましては、以下の御要望を申し上げます。
  第5次の「学校図書館図書整備5か年計画」の策定を要望します。その際、高等学校図書館を施策の対象にしていただきたいと思います。これまでの施策には、高等学校図書館は対象外でしたから、図書資料においても学校司書の配置についても総体的に見れば後退しているのではないでしょうか。
  図書資料に関してですが、小・中学校図書館の図書資料はかなり不十分です。図書資料費の増額を要望します。第4次の3倍ぐらいの図書が必要だと思います。第4次の施策では、図書資料に関して増加分が43%、更新分が57%という指針が示されています。更新冊数には新刊も入るのでしょうが、現状の図書資料が相当不適切な蔵書内容であるということを意味しています。年間購入冊数は、平均で小学校図書館は400冊見当、中学校図書館は500冊見当です。児童書の年間発行点数は、年間3,500点前後ですから、余りにも少ない購入冊数です。
  「学校図書館図書標準」に関してですが、見直していただきたいと思います。この図書標準は平成5年に策定されたものですが、冊数基準です。どのような学校図書館を作るのか、蔵書内容や蔵書構成どうするのかという観点ではありません。多くの場合、冊数揃えに追われているのが現状です。図書標準は、冊数に基づくのではなくて、学校図書館にふさわしい蔵書構成や内容に基づく観点からの図書標準が必要ではないでしょうか。
  図書資料の廃棄・更新に関してですが、廃棄・更新が進まない理由に、選書体制の不備と図書費不足があると考えられますが、それ以前に、どのような学校図書館法を作るのか、どのような計画で進めるのか、その前提がないところに廃棄の基準もできないのではないでしょうか。前提となる学校図書館を充実させ、選書体制を作っていただきたいと思います。選書は、大変な作業だと思います。
  また学習教材として、小・中学校、高等学校図書館に複数の新聞を配備していただきたいと思います。現在は1紙くらいです。子供たちは現に調べ学習で新聞を活用しています。3紙ぐらいの複数配備が必要ではないでしょうか。
  特別支援学校や外国籍の児童生徒に関してですが、教育に必要な図書資料・教材の充実を図っていただきたいと思います。図書資料に関しては、特別支援学級の予算措置がされていますが、余り活用されていないのではないでしょうか。
  学校司書に関してですが、自治体によっては自主的に配備されているところもありますし、すぐれた学校司書の人たちもたくさんいます。学校司書に関しては、配備促進と安定した職場そして継続的な研修制度の充実を図っていただきたいと思います。改正学校図書館法では、「国及び地方公共団体は学校司書の資質の向上を図るため、研修の実施、その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない」とされています。この「努める」というのはかなり問題で、学校間格差、地域間格差がかなり生じるのではないでしょうか。国の施策として、進めていただきたいと思います。
  最後になりますが、教育環境・読書環境に関しては、学校間格差・地域間格差が広がっています。全ての子供たちに行き届くような施策の実現を要望いたします。
  以上です。ありがとうございました。

【堀川座長】
  ありがとうございました。
  それでは、次に、一般社団法人日本新聞協会、大西博物館・NIE委員長さん、お願いいたします。パワーポイントを使ってくださるようなので、私たちがちょっと、これを倒します。

【大西】
  画面が映るまでにちょっと、配らせていただきました資料について説明させていただきます。お手元には、今からごらんいただくパワーポイントのサマリーと、それから、パンフレットとともに、NIEといいますNewspaper in Educationで、各地でどのような取組をしていて、どんなセミナーとかを開いているとかそういった資料を併せて御紹介させていただいております。
  映りましたので、始めさせていただきます。きょうはお時間頂戴してありがとうございます。日本新聞協会で、今年度、博物館・NIE委員会というものがございまして、こちらの委員長を務めております朝日新聞社の大西と申します。
  新聞協会では、資料の方にもございますが、教育現場で新聞を活用していただくNIEという、Newspaper in Education、教育現場における新聞という活動を推進しております。本日は学校図書館の資料の一つである新聞の有効活用の事例を具体的に御紹介しながら、学校司書の方たちと連携して、どんなことを今やっているかというのを御紹介させていただきたいと思います。時間もありませんから、まず簡単に。
  新聞協会、全国の新聞あるいは通信社、放送などの130社で構成しております。ふだんいろんな活動しておりますが、新聞倫理の向上であったり、あるいは教育・交流、調査・研究、また、広報・出版、そして、今、改装中ですけれども、新聞博物館というのが横浜にございます。そして、きょうのテーマでございますNewspaper in Educationということを促進する活動に努めております。
  きょう、ポイントとしては、NIEについて簡単に御説明した上で、新聞と学校図書館にどんな共通点があるんだろうか、そして、今、学校図書館で新聞というのはどのぐらい使われているのか、そして、実際にどういう活動がされているかという御紹介と、もう一つ、「主権者教育」の充実というところで、複数紙配備についてどのように私たちが考えているか、どんなことをしているかということを、また、学校司書の育成に向けて、私たちの新聞業界、あるいはNIEとともにどんなことができるかといったところのポイントに絞ってお話を進めさせていただきます。
  まずNIEですが、これは多分御説明するまでもないかとは思いますが、1930年にアメリカで始まりました。世界80か国以上で実施されて、日本では85年に提唱されまして、昨年がちょうど30周年ということです。社会性豊かな青少年の育成、あるいは民主主義の発展を目的に教育界と新聞界が協力して展開している。3つの要素がございます。新聞を活用する、あるいは、作ってみる、新聞の機能を知るということですね。この3つを中心に学校の先生たちとともにいろんな活動を繰り広げております。
  これは私ども新聞協会でいろいろなNIEをやっている先生たちと、それから、テストの結果とかいろんなものを、資料を用意しまして、まとめたものでございます。今、朝活、朝、本を読むとか、朝、書き取りをするとかいろいろな取組を学校でされています。その中で、朝、自分の好きなところの紙を一つでいいから読みましょうと、それを毎日やりましょうとやっていただいている学校が幾つかございます。そこで出てきた結果を、私どもの新聞協会でまとめたものでございますが、ここにありますように、「新聞を読む子は学ぶ力が高い!」、これは多分毎日、新聞というのは、本は継続かなと思いますけれども、もう一つは、新聞の場合は毎日出てくるものが、扱われているテーマが違ったり、スポーツだったり、経済だったり、いろんなものが出てきます。そのいろんな違ったものを毎日、長くはないんだけども、読む。そして、何かこれを読んだという記録だけでもいいんだけど、中にはそれを読んでどう思ったか。もっとこんなことを知りたいと思ったとか、そういったことをやっていくことによって、積極的な、能動的な学びというのがついてくるのかなと思いますけど、こういった結果が出ております。
  新聞活用のメリットとして、読解力の向上、毎日違ったものをどんどん読む。それから、コミュニケーション能力の育成。これについてどう思う? お母さん、どう思う? 僕はこう思うんだけどみたいな。それから、情報活用能力。自分が知りたいことについてどうすれば、例えばどこを読んだら出てくるんだろう。これをもっと知りたいのはどうしたらいいんだろう。そこが社会への興味・関心の喚起となると思っております。新聞を通して、社会の興味・関心を喚起し、様々な出来事を自分のこととして捉えていただいて、主体的に関わっていただく。私も記者出身ですけれども、私たち、記事を書きます。ただ、それはこのままを信じてくださいとか、このままでいってくださいとかいうことではなくて、あくまでこれは最初の入り口です。テキストは批判的に思うべきであります。だから、新聞を読むことによって、そこから自分は、うん? これ、違うんじゃないかな、あるいはもっと、じゃ、自分のまちではどうだろうとか、そういったことを考えていただいた入り口にしていただけるんじゃないかと。そうすることによって、自ら課題を発見して、解決に向けて、もっと次の一歩、二歩を踏み出していただく、そういった力を身に付けていく一つの取っ掛かりになるのではないかと考えております。
  それで、新聞と学校図書館の共通点は何なのか。出会いだと思いますね。多分、教室では、教科書で決められたある単元だったりというものが、まあ、その決められた流れの中で、新しい知識だったり、新しいことに出会っていく。一方で、新聞だったり、学校図書館というのは、自分で、この本、面白そうだなとか、この記事読んでみようかなということで、教室だけでは完結しないで、社会とのつながりの中で新しいことに気付いて出会っていく場というのが新聞だったり、学校図書館だったりだと思います。そういう意味で、社会への窓の役割というものを図書館だったり、新聞というものが担っていく。
  ただ、重要なのは、NIEだけではなくて、やっぱり学校図書館との連携というのはすごく重要だと思っています。新聞は図書館に欠かせないメディアだというふうに考えています。私、50半ばでございますが、私が小学校の頃、私はあんまり運動神経のいい子じゃなかったので、図書館で過ごした時間が長いんですけれども、司書の先生の机の近くに長い棒に新聞を挟んだというかね。掛けた新聞掛けというのがいつもあったのを私覚えています。では、今どうなのか。今、実は、学校図書館に新聞を配備している学校の割合、私、自分のときの、その子供のときのイメージがありましたので、この数字を見て結構愕然としました。小学校で36.7%、中学校31.8、高校になりますと90%になるんですけれども、そんな少ないのかと。まあ、なかなか、私が小学校のときなんかは、どちらかというと、新聞は先生たちが読むから、あなたたちがぐちゃぐちゃにしちゃ駄目よと言われたんですけど、ぐちゃぐちゃにする新聞さえない状況。
  私たち新聞協会では、1996年から、もちろんいろんな学校で試しに置いてみたいというところもあるだろうということで、新聞提供事業というものをしております。一定期間、学習用の新聞を購読料を補助させていただいて、御提供していく。それで、2015年で、小学校で228校、中学校187校、高校116校など、全部で545校に認定して、これまでですと、延べ9,000校近い学校に新聞を提供させていただいて、NIEを実践しております。
  例としまして、ちょっと御紹介させてください。横浜市立の緑園東小学校の例です。横浜市は、学校司書の配置事業というのを13年度後期から導入されています。それと併せて、NIEというのも進めていただいております。これによって、新聞の閲覧コーナーを作る。これは当然ですね。それから、閲読支援として、記事の紹介コーナーをこれは司書の先生などを中心にやっていただいている。それから、あるテーマ、あるいはその事業でやったテーマについて関連する記事を収集した情報ファイルを新聞スクラップとして図書館で置いていただいている。そして、児童の相談を受けて、目的に沿った情報収集、これはまさに司書の先生がいらっしゃるからこそ、この記事で読んだ先生に、一面に出ていた重力波って何かすごいみたいなんだけど、何だろう。これ、ここで終わらないで、やっぱり、じゃあ、相対性理論って何なの? とかですね。物理って何? とかいろんなところでどんどん広がっていくだろうと思います。きっとISISとかシリアとかの問題も、じゃ、地図上を見てみようとか、もっと歴史のこんな本、読んでみようとか、そういったことに広がっていく、それがまさにこの司書の方と組んでいることによって実現されている。
  こういったことで、高学年を中心に新聞活用が進んで、調べ学習の資料の一つとして活用していただいている。児童の課題探究に合わせた資料も収集できるようになったのは、大きな効果と言っていらっしゃいます。
  授業への支援の面でも大きな効果で、こういった形で、司書の方が参考文献みたいな形をタイムリーに合わせて紹介していただいたことによって連携が進んでいると。これはこういう感じで、図書館でこういったことを展開していらっしゃるわけですね。
  これは生徒たちが読みながらやっていると。
  一歩で、やはり去年から言われておりますのが、18歳選挙権でございます。勢い、何だかどうやって投票するの? という、何か行動の方がフォーカスされがちなんですけれども、やはり大事なのは、自分で、自分事として自分はどういう判断をするのだという、そのためには何をしたらいいんだ、そういう主体的な興味・関心が必要だと思います。そこのところでも新聞との、学校図書館の連携が重要であろうと思っております。
  これは都立国際高等学校の事例ですけれども、やはり学校図書館に複数紙配備することで、学校の司書の方が様々なテーマでやはりスクラップをしていらっしゃいます。難民であったり、社会保障であったり、今大きな問題になっています認知症、そして、子供の貧困など、60以上のスクラップを作られて、これを見ることで、ただ単に1枚1枚ページをめくるだけではなくて、あるテーマについて毎日、生徒が重要性に気付いて読むようになったとおっしゃっております。こういった形で非常に熱心に、切り抜きも含めてやっていただいております。
  こういった中で、私ども、やはり複数紙を読み比べることの重要性というのをアピールしておりますが、これも先ほど申したように、現在、平均配備数、1紙から2.8紙ぐらいまでと。複数紙の配備が重要だというのは、私たちもお願いするだけではなくて、各加盟紙の新聞の広告欄も使って、地方財政措置もありますから活用してくださいということを、周知を図っております。こういった形で広告をそれぞれの社が出したりもしておりますが、なかなかそこに気付かれていないところ、あるいはどうやってやればいいのか分からないなというところも多分あると思います。これについて私どもももちろんPRの努力を引き続きしていく予定でございます。
  学校司書の方の育成に向けて、NIEアドバイザーというものがあります。現在、46都道府県で217人、NIEの研修などに尽力していただいております。学校司書の養成の過程でNIE研修というのも、私たちも御紹介できるかと思います。
  今までの皆さんの御説明の中でも、幾つもの新聞の活用というのを皆さんに触れていただいておりました。また、新聞協会でも毎年、文部大臣宛てに新聞活用という、複数紙配備というお願いをしておりますけれども、今回この場をおかりしまして、改めて活用していただくことによって、新しい学びができるというところの重要性を強調させていただきたいと思います。ありがとうございました。

【堀川座長】
  ありがとうございました。
  それでは、最後に、一般社団法人日本書籍出版協会、斎藤常任理事さん、お願いいたします。

【斎藤】
  一般社団法人日本書籍出版協会の斎藤です。当協会は、書籍出版社、会員422社で構成する、我が国出版界を代表する団体でございます。当協会内には、図書館委員会という組織がございますが、そちらは主に公共図書館を中心とした事業を担っております。今回の対象は学校図書館ということでございますので、私は、読書推進委員会の担当でございますが、児童図書出版社として小中学校図書館に接点が深いということで、指名を受けました。どうぞよろしくお願いいたします。
  前回まで3回の議事録を拝見いたしますと、専ら論点2の学校図書館の運営を支える人材、主として、学校司書についての内容となっているようでございますけれども、当協会は、出版社の団体でございますので、学校図書館に資料を納める立場として、論点1の図書館資料についてお話をさせていただきます。
  学校図書館が学校教育に寄与するために、その機能を十分に発揮するには、人材の配置以前に資料としての蔵書の充実が必須であります。しかしながら、先ほど来お話も出ておりますが、その蔵書充実の指針としては、現状、学校図書館図書標準における蔵書数の定めしかございません。学校図書館の現場では、この図書標準を達成しようと、努力する動きはありますけれども、その実態は多くの問題をはらんでいます。
  第一に、蔵書の廃棄について、学校現場では、備品を廃棄することをためらう傾向があり、古くて傷み、あるいは資料的価値のなくなった蔵書でも蔵書数としてカウントされてしまっております。古書としか見えないような、昭和三、四十年代の古い本が配架されていたり、あるいは選別はしておりますものの、別途保管をしているケースも多く見られます。また、廃棄に当たって、費用が発生するという場合もあり、これも廃棄が進まない一因となっています。
  また、本会議でも何度か報告されていますとおり、自治体によっては廃棄自体を禁止しているというケースも多いというふうに伺っております。古い蔵書を廃棄できず、資料の更新が進まない現状では、見せ掛けの図書標準達成にすぎず、学校教育に寄与する必要十分な資料価値は備わりません。文科省におかれましては、学校図書館の蔵書廃棄につきまして、全国SLAさんが制定しております図書廃棄基準の徹底とともに、廃棄費用の補助も含めた更に踏み込んだ御指導をお願いしたいと考えます。
  第2に、図書購入予算による格差発生等について、義務教育課程の学校図書館、図書購入予算は基本的には児童生徒数に応じて配分されているものと承知しております。これにより、地方の小規模校や急速に少子高齢化が進む地域などにおきましては、図書標準のハードルは低く設定されるものの、学校教育に必要十分な図書を購入する予算が確保されず、学校図書館の格差を発生させております。他方、大規模校におきましては、予算は十分に確保されているものの、図書標準のハードルが高く、その達成のために安価な文庫本等を複数大量購入して、蔵書増を図る動きも見受けられます。バランスを考慮した蔵書の内容を充実させる方向とは必ずしもなっておりません。学校図書館図書標準については、蔵書数のみならず、学校規模にかかわらず、必備すべき選書基準を明確に打ち出していただく必要が求められております。
  次に、学校図書館図書購入予算措置について。学校図書館が学校教育の中心として機能するに十分な蔵書充実を図るため、長期的な学校図書館図書整備計画による予算措置がなされております。平成24年を開始とする5か年計画では、約1,000億円の予算が措置され、平成28年度がその最終年度となります。いまだ学校図書館図書標準の達成率は、配付資料によりましても、小学校で約60%、中学校で52%にすぎません。引き続き新たな長期的図書購入予算措置の策定を切にお願いするものであります。
  また、同予算につきましては、地方交付税措置のために地方自治体の厳しい財政事情もあり、必ずしも図書予算化されていない実態があります。司書教諭とともに、学校司書の配置が進みつつある現状を好機と捉え、まずは学校図書館の現場から学校長を動かす。司書教諭や学校司書の横のつながりから教育委員会を動かすというように、現場が声を上げて、地方自治体の首長を動かす大きなうねりを作り出すことが肝要と考えます。また、消費税アップに伴い、増税分が実質、予算減となっております。消費税率10%へのアップも予定されておりますので、予算増額につきましても是非とも御検討いただきますよう、重ねてお願いを申し上げます。
  最後に、電子書籍の取扱いについて申し述べます。学校図書館における電子書籍の取扱いにつきましては、教科書の電子化の行方が大きく関わってくるものと考えます。仮に教科書が一気に電子化され、それに関連して、学校図書館資料についても電子版を求められることになると仮定しますと、恐らく学校図書館資料については、現有の蔵書も活用しながら緩やかに進行が進むものと予想されます。それを供給する出版社の立場から申し上げますと、紙の書籍で採算が取れている段階では、電子版は紙の書籍の副産物として、供給可能です。しかしながら、電子中心になってくる段階におきましては、同じクオリティの紙の書籍の生産を小ロットで継続し続けることは不可能です。電子版の供給が中心となった場合に、電子化されていない少数の学校図書館のために紙の書籍を別途供給することはできないだろうというふうに考えております。
  学校図書館の二ーズに特化して刊行される、特に学習関連資料等におきましては、一般向けニーズがほとんどないことから、特にこのような事情を考慮していただく必要があると考えます。
  また、絵本や読み物など、9分類の、どちらかといいますと、一般向け二ーズが中心の書籍におきましても、現状はほとんど電子化が進んでいない状況です。別途、学校図書館が電子版を必要とされる場合には同様に学校図書館専用に電子版を作成しなければなりません。
  学校図書館ではなく、一般読者向け出版を専らとしている出版社につきましては、その投資に見合う市場環境が整わない限り、多くの出版社は電子化を踏み切れないと思われます。
  このような事情から、学校図書館が電子版でトータルに資料を完備することは、当面は難しい状況に残念ながらあるというふうに考えます。しばらくは現状の紙の書籍を中心とした蔵書を活用していくことが中心になろうとは思いますけれども、先進的なデジタルコンテンツを導入した学校図書館の未来像を志向していくことにつきましては、出版社といたしましても、協力を惜しむものではありません。学校図書館関係者の皆様とともに考えてまいりたいと考えております。
  私の報告は以上です。

【堀川座長】
  どうもありがとうございました。
  本日は、6つの団体の皆様、お忙しい中、発表の御準備や資料の作成等、本当にどうもありがとうございました。
  それでは、ただいまの御発表について、委員さんの中から御質問があればお願いいたします。全体の進行もありますので、できれば二、三名までとさせていただきたいと思います。その他どうしてもお聞きになりたいことは、この後の意見交換の中で御質問ください。いかがでしょうか。
  それでは、そうですね。御質問はこれからの意見の、討論の中でということにさせていただきます。それでは、次の議事に移りたいと思います。お手元の資料の6です。これは学校図書館の整備充実に係る論点整理(案)を提示したものです。これまでの御意見を踏まえながら、事務局と、それから、堀川で準備させていただきました。これについて、まずは事務局より説明をお願いいたします。

【水之浦児童生徒課指導調査係長】
  それでは、資料6について、私の方から事務局として説明をさせていただきたいと思います。
  こちらの資料についてなんですけれども、これまで各委員の方から頂いた御意見ですとかヒアリング団体の方から頂いた意見、また、本日、ヒアリング団体の方から頂いている資料についても事前に事務局から提出いただいておりましたので、座長とも御相談の上、そういった趣旨も反映させていただいている資料でございます。
  この内容について説明差し上げます。
  まず0番ということで、現状と課題、対応策の方向性ということで、柱立てをさせていただいております。まず現状と課題というところで、学校図書館の利活用の状況は学校間、地域間の格差が大きい。また、図書館資料の面では、図書標準の達成率は向上したものの、内容が陳腐化している可能性がある資料も少なくない。また、アクティブ・ラーニングの視点からの不断の授業改善、いわゆる「主権者教育」の推進、小学校英語、特別支援教育や外国人対応等、学校現場の新たなニーズに応える必要がある。
  また、人材の面では、まずは司書教諭が十分な役割を果たすことが重要。また、特に学校司書の専門性に学校間等の格差があり、改正学校図書館法附則を踏まえつつ、水準の確保に向けた取組が必要としております。
  このための対応策の方向性といたしましては、学校間等の格差の解消のためには、図書館資料の整備の在り方や学校司書となる要件等、学校図書館の運営上の重要な事項について「標準」化を図るガイドラインを国が示すことが必要。また、国においては、地方公共団体等における取組の「標準」化を推進するため、様々な支援を継続・充実していくことも必要だと考えております。
  こういったことに関連しまして、今後更なる検討が必要と考えられる事項といたしまして、ガイドラインに盛り込む事項としては、今後申し上げますが、1ポツ以下の内容について、学校等に示すものとして適切な事項を整理していくことが必要だと考えております。
  2ページ目をごらんください。
  まず1番、学校図書館に関する基本的な考え方をここでは提示させていただいております。学校図書館法に定められておりますとおり、学校図書館は、学校教育において欠くことのできない基礎的な設備であること。また、学校の教育課程の展開に寄与するとともに、児童生徒の健全な教養を育成すること。そのためには、学校図書館が、「読書センター」、「学習センター」、「情報センター」としての役割を果たすことが求められるということ。そして、義務教育機関である小中学校はもとより、今や98%の進学率となった高等学校における学校図書館の整備充実も重要な課題というのが全般に通してひとつ大事な考え方だと考えております。
  次、柱立てといたしまして、まず図書館資料の関連でございます。これについては基本的な考え方といたしましては、図書館資料の計画的・組織的な整備の推進が必要。また、教育課程の展開に直結する図書館資料を整備することが必要だということが大事だと考えております。
  これに関する具体的な事項についての考え方といたしましては、例えば図書館資料の選定に関しましては、学校図書館の図書館資料は、児童生徒の発達の段階等に応じたものであることが必要であること。また、教育課程の展開に寄与する資料構成とすることも重要であること。図書館資料の購入等が適切に行われるよう、各学校において、明文化された選定の基準や、基準に沿った図書選定を行うための校内組織の整備が必要。
  学校図書館には、「文学」が多く配架されておる現状が一定ありますが、教育課程の展開に寄与するという観点からは、自然科学や社会科学等の分野の図書館資料の割合を高める等、蔵書構成の見直しを進めることが必要だと考えております。
  また、図書館資料の廃棄・更新という観点も重要だと考えておりまして、学校図書館には10年以上経過した図鑑等が配架されておりますが、児童生徒にとっては最新の正しい知識に触れる環境が適切かと考えております。このような環境の実現・維持のためには、図書館資料の適切な廃棄と更新が重要であり、各学校等においては明文化された廃棄の基準を設けることが必要だと考えております。
  また、新聞の配備についても学校における新聞配備の充実についても「主権者教育」の充実の必要性等を踏まえて、重要な課題と認識しております。
  また、ICTの活用ということで、特別支援教育や小学校英語等に資するデジタル教材の充実ということが重要としております。
  この観点で、今後更なる検討が必要と考えられる事項といたしましては、廃棄と更新を進めるに当たっては、一方で、貴重な資料が失われないようにするための取組ということも大事であり、そういったことも、どういったことが考えられるか。また、学校図書館の施設設備面での工夫について、学校等に配慮を求める事項はないかということが検討事項かと考えております。
  続きまして、3番、学校図書館の運営を支える専門的人材についてでございます。基本的な考え方といたしましては、採用時の要件や研修の水準を全国的に高めることにより、司書教諭や学校司書の専門性を確保し、教育水準の向上を図ることが必要だと考えております。
  具体的な事項についての考え方といたしましては、まず司書教諭と学校司書のそれぞれの職務、役割分担についての認識共有ということだと思っております。平成26年の3月の報告書を別紙ということで、この資料の一番最後に付けておりますが、こういった整理を前提とすることが適当かと考えております。
  また、司書教諭については、司書教諭が学校図書館の利活用の促進に十分な役割を果たすことができることが必要であり、このため教職員の協力体制の確立や校務分掌上の工夫などの配慮が重要と考えております。
  また、学校司書としての資格の在り方、その養成の在り方等についてですが、学校司書には、学校図書館の「運営・管理」に関する職務に携わるための知識・技能と児童生徒に対する「教育」に関する職務に携わるための知識・技能が必要と考えております。
  このような学校司書の資質能力は、採用時は配置替え等の資格の確認のみによって確保することには限界があり、現職採用との組合せで伸ばしていくことが必要。
  また、学校司書については、独自の新資格を求める御意見等があります一方で、早急に新資格を創設することは現実的ではなく、また、学校司書の配置は地方自治体や私立学校の自主的な取組により進んできた経緯があること等に配慮すべきという御意見もございます。
  こういった御意見を踏まえつつ、既存の様々な資格が存在する状況の下で学校司書に係る共通基盤を作っていくという観点からは、学校司書の要件について、例えば各地方公共団体等において以下のいずれかを求めていくことが考えられると思っております。
  1つ目としては、教諭等として任用されていれば司書教諭となることができる者については、教員となる資格を有し、かつ、図書館情報学についても一定の知識を有する者であり、「教育」及び「運営・管理」について一定の知識を有するものと考えられることから、学校司書としての採用時等の要件を必要十分に満たす者と位置付けられること。また、2つ目として、公共図書館等の司書になる資格を有している者については、図書館情報学等について一定の知識を有する者であり、「運営・管理」に関する知識技能は有していると考えられることから、「教育」に関する知識技能については採用後の研修等で補うことを前提としつつ、学校司書としての採用時等の要件を満たす者と位置付けることが考えられます。
  また、現に学校図書館で勤務していただいている方や非常勤の学校司書については、司書教諭となる資格や公共図書館等の司書となる資格を有していない者についても、学校ボランティア等として「運営・管理」等に関わる経験を有している者もあり、「教育」及び「運営・管理」に関する知識技能を研修等で補うことを前提としつつ、一定の経験等に基づき採用時等の要件を満たす者と位置付けることが考えられます。また、今後は、大学における履修証明や地方公共団体の実施する講習等の活用も考えられます。
  こういった以上の要件に関しましては、学校司書の配置が地方公共団体や私立学校の自主的な取組により進んできた経緯があり、また、実際の職務に当たっては資格や経験に加えコミュニケーション能力等の資質も重要であること。また、公共図書館や大学図書館において司書としての役割を果たす者の要件については任命権者の判断に委ねられていること等を踏まえれば、文科省といたしましてはこういった要件をガイドラインとして示すことが適切ではないかと考えております。また、学校司書の研修についても重要と考えておりまして、今後、国においてモデル的な研修プログラムを作成することが必要だということを記載しております。
  今後更なる検討が必要と考えられる内容といたしましては、司書教諭の専門性の向上のためにどういった施策が考えられるかといったこと、また、学校司書について、下に幾つか挙げておりますけれども、例えば、現状、常勤の学校司書と非常勤の学校司書が存在するが、当面、求められる職務の内容や役割分担をどのように考えるかなどといったことが今後の検討事項かと考えております。
  続きまして、5ページ目、4番の学校図書館の運営についてでございます。
  基本的な考え方といたしましては、校長をリーダーとする学校運営全体の中で学校図書館を適切に位置付けるとともに、その運営を地域の視点も入れたPDCAサイクルの中で改善することが必要かと考えております。
  具体的な事項についての考え方といたしましては、運営体制の在り方として、校長をリーダーとする学校運営全体の中で学校図書館を適切に位置付けることが重要であること。また、学校司書がその役割を果たすとともに、学校図書館の利活用が教育課程の展開に寄与する形で進むようにするためには、例えば学校司書が職員会議や学校に置かれる各種組織に参加すると、そういったことも重要としております。
  また、利活用の在り方といたしましても、学習指導要領等を踏まえ、各教科や総合的な学習の時間等の中で、学校図書館を積極的に利活用すること。その際、各教科等を横断的に捉え、学校図書館の利活用を基にした情報活用能力を学校全体として計画的かつ体系的に指導することにつながる観点も重要であること。また、登校時から下校時までの開館自体に努めることも重要としております。
  また、評価の在り方といたしまして、学校図書館の利活用の状況の評価については、予算の投入量ではなく、アウトプット(学校目線の成果)、また、アウトカムとして(児童生徒目線の成果)ベースで行われるべきということで、評価項目の例といたしましては、例えばアウトプットとしては、学校図書館を活用した授業の実施状況ですとか、学校図書館の開館状況。また、アウトカムといたしましては、読書習慣の確立ということで、不読率の低下、また、読書好きの児童生徒の増加などを挙げております。
  こういった評価は組織的に行うことが必要だと考えておりまして、また、学校運営協議会、コミュニティ・スクールの活用等、外部の視点も入れることも重要かと考えております。
  今後の検討事項としては、学校ボランティアの位置付けをどのように考えていくかということが挙げられるかと思っております。
  最後、5番、その他の論点についてということで、一つは、教育委員会による支援、公共図書館等との連携についてということで、教育委員会は、域内における学校図書館の利活用の標準化の観点から、教育委員会における担当組織の明確化、また、司書教諭及び学校司書に対する研修の実施、各学校における学校図書館の運営状況の評価の推進等を行うことが必要かと考えております。
  また、図書館資料の利活用促進のための域内のネットワーク化に関し、公共図書館と各学校図書館をつなぎ、図書館資料の相互貸出し等を円滑に進められる仕組み作りが必要と考えております。
  また、民間事業者との連携に関しましては、現在、学校図書館支援員の派遣により学校図書館の運営を支援する実績のある民間事業者があり、これらの事業者との連携を図る地方公共団体等がございます。他方、民間事業者が派遣等する者は、学校図書館法上の学校司書ではないとの位置付けでございます。また、学校図書館は校長のリーダーシップの下で適切に運営することが重要でございます。こうしたことを踏まえれば、民間事業者との連携は、事業者における法令遵守はもとより、当該事業者による学校図書館支援員の研修等を前提に、アウトプット・アウトカムベースでの学校図書館の利活用の状況の向上の観点から、その有効性等が判断されることが必要だと考えております。
  今後更なる検討が必要と考えられる内容としては、公立図書館の司書が学校図書館の整備充実に果たしている役割をどう考えるか。公立図書館の司書を学校図書館に派遣する取組をどう評価するかといったことが挙げられると考えております。
  資料の説明については以上でございます。

【堀川座長】
  ありがとうございます。かなり盛りだくさんの内容ですが、これは、2ページ以降はガイドラインのたたき台というような位置付けでいいのでしょうか。

【中安児童生徒課課長補佐】
  ガイドラインは、これまでの御議論の結果、一つの(案)として出ているわけですけれども、それを策定するという前提で申し上げれば、2ページ目以降に出てくるような項目を整理した上で、ガイドラインに盛り込んでいくということになると考えます。

【堀川座長】
  ありがとうございます。そうですね。この内容をきょう初めてごらんになった方もいらっしゃいますので、なかなか難しいかとは思いますが、御意見あるいは御質問、いかがでしょうか。2ページからの方に行った方がいいでしょうか。何か付け加えるとか、これについてどういうことか、御質問はいかがでしょうか。それから、どのページからでも結構です。
  はい。稲垣委員さん。

【稲垣委員】
  江戸川区の稲垣でございます。幾つかだけ気付いたこと、気になったことをお話しさせていただきます。1ページの現状と課題、図書館資料の面で、ここに着目するということは非常に重要な観点かなと思います。要するに、図書標準の達成率だけではないと。その中身については2ページ以降にありますけれども、ここでちょっと気になったのが、「また」というところで、例えば今求められている教育内容としてアクティブ・ラーニング、これは学習形態のことで、それを踏まえた授業改善ということはいいのかなと思うのですが、その後のいろいろ並列で羅列されているんですが、「主権者教育」の推進とか、小学校英語、特別支援教育、どれも重要なんですが、なぜここにこれを羅列してあるのか違和感があります。
  それから、外国人対応というのもちょっと理解できなかったんですけれども、国際理解教育であるとか、あるいは国際化への対応ということであれば分かるんですが、外国人対応というのはどういう意味なのか。とりあえず1ページ目だけで失礼します。

【堀川座長】
  ありがとうございます。もう御意見を続いてお伺いしたいと思います。御質問でも結構です。どのページでも結構です。

【稲垣委員】
  じゃ、続けていいですか。気付いたことだけ。

【堀川座長】
  はい。済みません。ページは決定しませんので。

【稲垣委員】
  ええ。2ページの図書館資料の選定、真ん中あたりですね。これは非常に重要な、先ほどの繰り返しになりますけれども、それで、例えば、「また、教育課程の展開に寄与する資料構成とすることも重要」と、言葉尻をとって申し訳ない。「も」というよりも「が」かなと。まさに「が」が重要だということで、選定の基準であるとか、蔵書構成もそうですね。ここに資料構成と書いてあるんですけれども、その構成であるとか選定の基準であるとか、まあ、廃棄基準というのはここにないでしょうか。どこかに後段に出てくると思います。廃棄の基準であるとか校内組織であるとか、蔵書構成の見直しということはすごく重要なことかなと思います。
  先ほどの新聞の配備のところも、「新聞配備の充実も」と書いてある。「も」というよりも、これもやっぱり「が」なのかなと。新聞配備の充実が極めて重要であるかなというように私は考えています。
  あとは3ページ目の現職の研修ですかね。要するに、採用後の研修というのも重要であろうし、あと、要件につきましては、いわゆるというか、司書教諭、司書、こういう要件はいずれかというのは大事かなと思いますけれども、マル3番の経験のところは、ボランティア等の経験のところは十分留意する必要もあるかなと思います。
  そこだけを強調してしまうと、専門性、専門職としての職が担保されなくなるのかなと思います。しかし一方で、4ページ目の上の「資格や経験に加えコミュニケーション能力等の資質も重要である」と、これはまさに物すごく重要だというように思っています。専門性も大事なんですけれども、学校図書館というのは、公立図書館とはやっぱり要件が違いますので、こういった学校図書館での資格、経験、それから、コミュニケーション能力というのは、これも「も」となっているんですけど、資質が私はすごく重要かなというふうに思っています。
  5ページに書かれていることも全てもっともかなと。やっぱり校長先生が中核になって、学校図書館を経営すると。学校図書館の経営の視点で校長がリーダーシップを図ることが大事かなと思っています。
  ちょっといろいろ言ってしまいましたが、以上になります。

【堀川座長】
  ありがとうございます。更にこれを充実させるために、文言、それから、内容、どんどん気が付いた点を教えていただければ有り難く思います。
  はい。堀部委員さん。

【堀部委員】
  私も幾つかの観点でお話をしたいと思っています。
  今回、資料6で出されたのは非常に方向性を端的に示しているということでは、なるほどなと思うというところとともに、細かいことはやはり詰めなくちゃいけないなというところも多々あるかと思っています。
  まず1点目の、これは0のところなのか、1のところなのかなんですけど、特にこの2の図書資料についてですが、基本的な考えというところに、やはり計画的・組織的というのは当然必要な要件なんですけれども、私はきょうのヒアリングの団体がお話しされたように、継続的というのは非常に大事だと思っているんですね。ですから、そういった長期のスパンを見越した意図的、計画的、組織的、かつ継続的であるというところを前提に進めるという必要があるんじゃないかなと思っています。
  それから、図書館資料においては、やはり量ではなくて、質の時代であるというところを少し強調するのはどうでしょうか。そんなところからすると、ちょっと私が違和感持ったのは、今、稲垣委員から話があったように、個別の羅列というところも当然その側面なんですけど、例えばICTの活用のところで、デジタル教材の充実というところが触れられているかと思います。これについても、やはり学校図書館の整備というところでは非常に重要な側面になってくるんですけれども、その記述というか、視点がまだまだ弱いなというところがあって、教材としてのその教材性というところでは、やはりこの本の基準も当然しかるべきなんですけれども、デジタルのコンテンツに関わるような基準みたいなものも、やはりどこかで整理しなくてはいけないと思っています。その前提にはもちろん図書資料においては必然であるというふうに考えていますから、ガイドライン的なものはやはり非常に重要かなという気がします。
  それから、この配架においては、各学校、やはり数だけじゃなくて、質をどう捉えているかという実態の調査がどこまで可能であるかというところも一つの方向性を示唆するものではないかなというところです。
  先ほどのプレゼンの中で、NIEさんが緑園東小学校さん、横浜の例をうたわれていましたけども、これは逆に言えば、今回の学校図書館充実と相まって事業改善をどう図っていくか、これはかなりの校長の強いリーダーシップの下に司書教諭と学校司書と、そして、事業者である担任の連携が非常に有機的に働いている一つの事例だと思っています。
  つまり、単元の中での狙いは何であるか。その狙いに即した資料はどうあったらよいか。そして、学校司書の出番はどこであるか。そういったところが非常に高いコミュニケーションの能力の下に、学校経営上に位置付けられた授業実践をしている学校です。そういう点では、校長のリーダーシップというのは改めて大事であり、三者の関係、役割をどういうふうに持ち合うかというところも、資格養成に関わってくる大事な視点かなと思っています。
  そういう点では、学校司書の資質の向上というのは当然必要なんですけど、やはり司書教諭との連携協働というところを各学校の、もっと言えば、地方がどういう視点で人材を集めて有効活用していくかという実践をまさに今、積むところであるのかなと思います。
  目の前の子供とどう授業を作り上げるかというところからすれば、教育における子供を捉えるというところも当然、学校司書においても前回の協力者会議で示された教育的な観点からの資質の向上というところも必要かなと思っています。
  最後に申し上げますと、横浜市が499校、学校司書導入ということで、次年度に完結するわけですけれども、やはりこの学校司書の導入、それだけの規模になりますと、やっぱりレベルの差というか、資質の差も当然ありますので、選択的な研修がやはり求められてくるというところもあるので、そこは民の力あるいは大学の力を活用したり、教育委員会はもちろんなんですけれども、そういったところでの活用というところもひとつ可能性であるのではないかなと思いました。
  以上です。

【堀川座長】
  ありがとうございます。
  はい。加藤委員さん。

【加藤委員】
  たくさんのことが書いてあって、本当に考えないといけないことがあると思います。今、司書と司書教諭がそれぞれどういう役割を担っているか。司書と司書教諭がどういう役割を担っていくかという話も出ていたと思います。地域、学校で配置状況にも差がある。そして、活動にも差があるという現状が、これは確かにある。そういう中で、差があるからそれぞれの各地のできることをできるように頑張っていこうというのでは、現状が変わらないのではないかなというふうに思います。
  ここの場で話をしているのは、どういう学校教育をしていこうか、どういう学校図書館を作っていこうかというときに、じゃ、司書や司書教諭はどういう役割を担っているのか。そのためにはどういう人をどこででも置いていかなければいけない。例えば司書教諭も司書もいない学校もあるというのではやっぱりいけないと思うんですね。そういう共通化ということも言われていますけれども、やはりいいものを目指して、していかないといけないなということを感じました。
  その折に司書教諭が中心になるという話もヒアリングの中で出てきていましたけれども、それぞれの専門性というところが大事になるのではないかなというふうに思います。
  それから、今回、資料、図書館メディアの選定ということが大きく取り上げられていて、これはとても重要なことだと思っています。質ということも言われています。何をもって質と言うのかというところは、私たちはしっかり考えていかないといけないと思うんですね。その前提としては、学校の教育の中で、図書館メディア、図書館資料が自由に使われる。そういうものを使った教育が行われるというところが大前提だと思います。全然授業でも使われていない中で、質を追求するということはあり得ないと思います。また、資料の質が問題となったときは、だから、学校図書館には入れてはいけないということではなくて、この資料の何が問題なのかというのを教職員も生徒も考えることができる。そういうオープンな場が必要だと思います。そのためには今回も出てきていますけれども、資料収集方針とか資料選択基準というのを明文化して、学校の中で周知していく。教育の自由とか読書の自由とかそういうものがある中での選定とか提供とかいうことを考えていく必要があるなということを改めて感じています。
  以上です。

【堀川座長】
  ありがとうございました。加藤委員さんがおっしゃったように、それぞれの場でそれぞれ違うから、それぞれ頑張っていきましょうというのではなく、標準化のためのガイドラインを作りましょうというところから出発しています。ガイドラインという、どこを目標にしてというところがまた難しいことかもしれません。余りにも理想のところを言うのではなく、全国で10%、1割ぐらいは実践されているところを目指していきましょうというのか、あるいはいろいろな段階がありますので、ちょっとステップ的に書いていくということもできるかもしれませんけれど、ここの中に盛り込むべきというか、あとはこんな観点がもう少し欲しいとか、あるいはここのところはどうですかというような点、いかがでしょうか。先ほど図書の……。
  済みません。小瀬村委員さん。

【小瀬村委員】
  よろしくお願いいたします。前回まで学校司書の資格や研修に関しての話題がすごく多かったので、今回新たな視点というか、大きく学校図書館全体を考える話題が出てきてよかったなと思っています。でも、前回まで学校司書さんに関わる案件が多かったので、まずそれについてもうちょっと詰めたいと思います。司書教諭の立場で出させていただいていますので、司書教諭のところに目が行きますが、3ページの「司書教諭や学校司書の専門性を確保し」という文言はよろしいかと思います。「採用時の要件や研修の水準を全国的に高める」ということがありますけど、確かに前回もずっと研修が大事ということで、これからも研修というのはそれぞれ司書教諭も学校司書も研修が大切になってくる。それをどういうレベルで文科省がガイドラインを出していくかというのは、とても大切なことだと思っております。ただ、この採用時の要件というのに関しては、もう司書教諭というのは教諭として採用されているので、ここの案件が同じではないということは確実にしていただきたい。つまり、そうしないと、教員採用時において、司書教諭であるかとか、司書教諭の資格を持っているということあたりも要件になってしまうのかという心配もあり、また別問題だと思うので、そこはちょっと別に考えていただけたらなとは思っています。
  その司書教諭の研修や資質ということについても、第1回のときにも申し上げましたとおりですが、司書教諭の資格を持っているからといって、その専門性が高いというわけでは、同じ司書教諭の立場としてやっぱりいろいろな方が資質の方がいるということはもう現実ではあるわけで、やはり経験値というか、その経験を積んで、その経験をいかに研修につなげていくかというあたりも大事だなと思っています。

【堀川座長】
  ありがとうございます。先ほどの4ページの方で、小瀬村委員さん、今後更なる検討が必要と考えられる内容に、その司書教諭の専門性の向上のためにどのような施策がということについて、またいろいろな御意見を伺えれば有り難く思います。
  はい。それでは、ほかの委員さん、いかがでしょうか。はい。三浦委員さん。

【三浦委員】
  明治大学の三浦です。今、小瀬村委員からもありました、その3ページの学校司書の養成と司書教諭の養成という点に関わって、前回までも議論があったところで、特に前回のヒアリング団体の中からは、多くのところがその高等教育機関での養成ということを提言されていたかと思うのですが、今回のその案を見ますと、3点、司書教諭の資格はそのままと。司書の資格を持っている方については教育に関する研修を行うと。更に学校ボランティアについて教育及び運営原理に関する研修を行うのだということになっています。
  まず1点目のその司書教諭の資格をそのまま準用することについては、学校図書館において司書教諭と学校司書とは異なる役割を果たしながら、相互補完的に学校図書館を運用していくというのが基本的な考え方だったと思いますので、このまま司書教諭の資格を持っていればそれでオーケーなのかどうかについては、やはり今、小瀬村委員からも御意見ありましたけれども、更なる検討が必要なのかなというふうに感じました。
  それから、2点目の司書資格の準用ということに関して、もちろん公立図書館の専門的職員である司書の養成と学校教育の現場で働く学校図書館専門職員の養成とは異なる部分もあると思います。それについて、研修だけで補っていくというときに、どのあたりまでを研修で補うのかというのが、現実的に進めようとするときに、これもまだ議論が必要なところかなというふうに感じました。
  それから、3点目の学校ボランティアには実務経験を基にして資格を付与することについては、これを進めていくと、現在、ボランティアで働いてくださっている方について、学校司書の資格を付与することにつながるのかなというふうに感じられます。それですと、この学校司書という資格自体が極めて弱い基盤で運用される危険性があるのではないかなと感じました。
  では、その具体的な対応策であるとか、今、学校図書館が抱えている現状に即しながら、この資格をどう活用するかということについては、まだ御提言できないのが恐縮なのですけれども、そういった意見を持ちました。

【堀川座長】
  ありがとうございます。ここの部分についてはもっとゆっくり深く議論をしていかなければならない部分だと思います。その御指摘があったというところできょうのところはとどめさせていただきますが、これについて御意見があれば伺いますが、今。
  はい。武島委員さん。

【武島委員】
  同じ3ページのこの学校司書としての資格の在り方の関わる職務のところが全て「運営・管理」が一つの鍵括弧で結ばれているのにすごく違和感がありまして、学校図書館を管理するという、管理という、大きな面で言えば、予算の管理であったり、そのハードな設備面の管理であったり、運営ということであれば、運営するときに学校長をリーダーとして、どういうスタッフで運営していくのかということを考えることもできますし、管理ということが小さいところで言えば、蔵書の整理であったりということも含めると、運営と管理を一つの鍵括弧で結んでしまうと、そこで、司書教諭のするべき専門的なこと、学校司書に求める専門的なことというところがすごくぶれて、見にくくなってくると思いますので、一つずつ細かく分析するということであれば、学校図書館の大きな運営というところの観点と学校図書館を設備的に管理するというところの在り方ということを細かく分けていった方が学校長のリーダーシップ、あるいは司書教諭の在り方と学校司書の専門性の両輪ということがもう少し見えてくるような気がしました。
  あと、5ページ目にも続く学校ボランティアの位置付けということが必要と、検討課題にもなっているんですが、先ほどの三浦先生と同じように、私もこの1番、2番、3番については、検討の課題があるということと、学校ボランティアの立場から言わせてもらうと、学校ボランティアが働くというところ。ボランティアが働くというのには、すごく違和感がありますので、文言としても、その気持ちとしても、恐らく学校司書は仕事、業務としての在り方を今回私たちは論じているので、そこにこの学校ボランティアが入るということには非常に違和感があるということを付け加えさせていただきます。
  ついでに、2ページ目のICTの活用のところで、デジタル教材のことが出てきたんですが、検討課題として、堀部先生もおっしゃっていましたが、デジタルコンテンツについては、ここの特別支援とか小学校の英語だけではなくて、その前段階の、例えば自然科学とか社会科学とかあらゆるものに関して、これからデジタルコンテンツの基準というのが必要になってくると思いますので、デジタルコンテンツというところでひとつ検討課題とされた方がもう少し分かりやすくなるような気がします。

【堀川座長】
  ありがとうございます。先ほどの御指摘はまさにそのとおりで、先ほどのというのは、司書教諭、管理運営の、「運営・管理」のところですが、正直に申して、その司書教諭の役割がどういうものかというところが明文化されていないんですよね。それは前回の協力者会議のときにそれを問題にというか、指摘はされましたが、あの会議では学校司書の役割ということでした。その司書教諭がきちんと位置付けされていないところでの学校司書の役割というので、かなり苦しいところはあったんです。やはりそれが尾を引いていて、ここでは学校司書のというところで出てきてしまっているので、もう少し本当は司書教諭がどういう役割であるべきかをきちんと論議して、盛り込んだ上で、学校司書との区別ができるといいなとは思っています。ありがとうございます。
  それから、ほかの委員さん、いかがでしょう。はい。品川委員さん。

【品川委員】
  ありがとうございます。事務局におかれましては多様な意見を分かりやすくまとめていただきまして、御礼申し上げます。多少散漫になるかもしれないのですが、幾つかお話ししたいと思います。
  まず先ほど発表された各団体の方もおっしゃっていましたが、論点整理の大前提として、財政措置に基づく予算化をしっかり行うということを明記しておくことが必要と考えます。
  2番目は、書き方についてですが、まず基本的な考え方が書かれてございますが、この次に、図書館の資料に行く前に、運営とか経営が先に来た方が分かりやすく、かつ読み手に伝えるためにも大事なのではないかと考えます。
  と申しますのは、先ほど堀部先生もおっしゃっていましたが、どれだけ司書教諭が頑張られても、学校司書が入られても、いくら予算を付けても学校が、「チーム学校」として機能しておりませんと成果は上がりづらく、まず改善し向上すべきは学校図書館をどう運営するのか、そのために学校長は何をすべきかということではないかと考えます。ですので、順番としては、この4に係れております「学校長がリーダーである」のところが冒頭に書かれて、さらには文言も手厚くなることが大事だと思っております。
  それから、例えば短期的、中期的、長期的など時間軸を導入して目標を設定し目指すべき流れが見えるように書くことも大事ではないかと思いました。以上が、まず全体を通して考えたことでございます。
  それから、少し細かくなりますが、忘れないうちに気付きましたことを申し上げます。
  1の2つ目の丸のところに、義務教育機関である小中学校はもとより高等学校も必要であると書いてございますが、是非ここに特別支援学校も入れていただきたいんですね。先ほどの発表の中にもございましたけれども、特別支援学校の学校図書館は本当に千差万別で、まだまだ充実されていないという現状がございます。
  新しい学習指導要領が子供たちに求める資質・能力としての3つの柱は特別支援学校に在籍する子供たちにも当然あてはまるわけですから、全ての子供の学びの保証という意味においても是非入れていただきたいと考えます。
  それから、図書選定の2番目のところですが、これは皆さんからも御意見がございましたし、私自身も古い図鑑や色あせた文庫本、読みやすい会話文ばかりの小説、コミックばかりというような学校図書館に行ったこともございますし、一方で、最新の図鑑から小説まで本そのものは驚くほど豊かに揃っているのに子供が本を使った跡が全くといっていいほど見られない学校図書館を取材したこともございます。ですので、ここの議論を深めるためにも本の質といいますか、蔵書構成や利用状況等現状の質的調査がございましたら、是非教えていただきたいと思っています。
  それから、文学が多く加配されているとの御指摘がございます。自然科学系の本を増やす必要は当然ございますが、一方で、文学や哲学書など人文科学系の本は人間の人としての質や品格といった教養面を養うのにかかせません。ここのバランスが大事だと思いますので、そういった文言にしていただけたら幸いです。
  それから、デジタル教材に関してでございます。LDやディスレクシアといった発達障害のある子供たちを含め、多様性のある子供たちの情報保障のためにアクセシビリティを上げていくことが学校図書館整備においては非常に重要だと考えます。決まったデジタル教材が選定されることも大事ですが、例えば全ての学校図書館内にあるPCにはTTS(テキストトゥスピーチ)が入っていて、本人が読みたい本を自分で自分用にPDF化するなどすれば読めるというような自由度を保障する。これは障害者権利条約の理念に則り必要な整備だと思われます。
  それから、4ページの資質のところです。司書教諭、学校司書の専門性のところに、子供の発達特性を踏まえる視点が必要だと考えます。特別支援教育の勉強をされておられる先生は御存じだと思いますが、まだまだ公共図書館も含めて司書の方は御存じない方が多いというのが取材を通しての実感です。子供の発達特性を知れば、それを踏まえた、例えば資料の収集の仕方やまとめ方、本の読み方、文章の書き方等を指導できる土台ができます。例えばディスレクシアやLDの児童生徒は本が嫌いだとか読みたくないのではなくて、読み方がわからない、読む訓練が足りなかったりすることがとても多い。学校図書館でもそういった点を意識して、通級や通常級と連携しながら指導する環境を整えることも必要と考えます。

【堀川座長】
  ありがとうございます。済みません。手短にお願いします。

【品川委員】
  すみません長いですね。分かりました。ではまた後ほど

【堀川座長】
  申し訳ありません。

【品川委員】
  はい。ありがとうございます。

【堀川座長】
  あと10分ぐらいの時間しかありませんので、申し訳ありません。どうぞ、こちらの側の先生方はいかがでしょうか。
  じゃ、平久江先生。

【平久江座長代理】
  じゃ、時間なくなっちゃいそうなので、発言させていただきます。前回として、この論点というのは、今まで少し学校図書館でなおざりにされてきたというか、ちょっと語弊があるかもしれないですが、あんまり論じられてこなかったところをしっかりと拾っているという点では非常にいい内容になっているのかなという。そういう点では評価しております。
  私の意見としては、この中身というより、ちょっと先走りというところがあって、唐突な感もあるんですけれども、この後、言えるチャンスがあるかどうか分かりませんので、やっぱりこうした基準とかガイドラインを作っていくに当たって、それをどう実現していくかと。その実現を担保するというのがこれまで非常に弱かったのではないかなというふうに思っておりまして、ですから、それを担保するための方法を考えていってほしいというのがまず一番大きな点でありまして、例えばそういった点からいいますと、この前の会議のときに言ったように特に都道府県の教育委員会の体制作りが今後肝になっていくんじゃないかというふうに思っておりますので、そういったところにアドバイスができるような、そして、今後出来上がるであろうガイドラインの実現を働き掛けるようなそういったアドバイザー的なものをやっぱり文科省の中に設置していくというようなことが非常に大事になってくるんじゃないかということが一つあります。
  それから、もう一点は、こうした基準の中では是非工夫としては、実現のためにはこの別表とか付表というような形で、文章だけではなくて、ひとめ見て分かるような形で表示するというような工夫も大事なので、そういったことをしていくことが大事かなという2点を意見として述べたいと思います。

【堀川座長】
  ありがとうございました。
  はい。高橋委員さん。

【高橋委員】
  ガイドラインが作られるということは非常に重要なんですけど、やっぱり現場への落とし込みが重要かなというふうに思っています。図書標準でも先ほどから皆さん問題提起しているとおり、そろえばいいとかというふうになってしまうので、ガイドラインもそれさえやっていればいいみたいなふうに終わらないようにすることが一番肝になるかなというふうに感じました。例えば新聞の配備というのも入れるだけで、その本質的に、先に実現することというのをちゃんと伴って、現場に落ちないとまずいかなというふうに思っています。
  あと、ちょっと研修について結構足早にサラッと触れられたので、ここはもうちょっと深めてほしいなと思っていて、すぐにやらないといけないなと思うのは、学校としてはやっぱり孤立化をすごくしているので、そのことを解決するようなことは多分すぐできるはずなので、そういうのを具体的にやるということを明言した方がいいかなと思っています。
  最後、評価はむちゃくちゃ重要だというふうに思っていまして、多分これが予算確保するとかいうときに、やっぱりこういう成果を出すからという目標値であったり、評価というのが一番重要になってくるのかなと思っています。そういう意味でいくと、民間事業者との連携というふうなことも語られてきているんですが、やっぱりそのときの評価、それから、ガイドライン、この2つを設置しておかないと、民間事業者の連携そのものが何か丸投げみたいになってしまうことがあるのかなというふうに思いますので、この評価というところに関しては、より掘り下げて議論をされ、何らかの設定がなされ、モニタリングされていくということが必要かというふうに感じました。

【堀川座長】
  ありがとうございます。学校評価の中に学校図書館の利活用を入れて、教育委員会に報告しているという例もありますからね。はい。それでは、ほかの委員さん、いかがですか。植松委員さん。

【植松委員】
  済みません。この今会議のスケジュールが分からないので、何とも申し上げにくいのですけど。

【堀川座長】
  はい。最後に触れようと思っておりました。済みません。

【植松委員】
  今後は、今ここに挙げられたものについて、例えば、1番なら1番についてをメーンとする会が設定されると考えてよろしいですか。

【堀川座長】
  そこまでは余裕がないと思います。私の方で答えてはいけないでしょうか。1番、それから、2番、3番、4番、5番というような、それぞれの会を設けてというところ、そこまでの余裕はないかと思います。

【水之浦児童生徒課指導調査係長】
  スケジュールの話については、最後にちょっと事務局の方からと思っていたんですけれども、前回の会議が全体、大体7回ぐらいで取りまとめを一旦させていただいています。また、行政的に申し上げますと、大体夏あたりが非常にそこで取りまとめるというのが今後の施策につなげるという意味でも大事になってきますので、そこが一つの目的なのかなとは思っております。そこから考えますと、今から個別の分野の委員会を設けてというのはちょっとスケジュール的に難しいかなと今時点では考えております。

【植松委員】
  と申しますのは、今、皆さんの御発言のように、スクランブル的にあちこちでパラパラ言っていても決して建設的ではないと思うんです。例えば研修なら研修について30分間話しましょうとか、そういうふうにしないと、言いっ放し、聞きっ放しになるということもありますので、座長がこの会議の進め方について委員相互で議論できるよう設定をしていただければと希望します。

【堀川座長】
  ありがとうございます。先ほどの御説明のように、前回7回の協力者会議を行って、今回も同様というようなことを事務局の方で想定していらっしゃるようで、ということは、もうきょうで4回目です。あと3回の中で、きょう伺った中、先ほどの学校司書のやはり資格ですね。3ページの下のところ、これについてはまとめて話をしなくてはいけないと思っておりますし、それから、きょう、後でまた事務局と検討しようかと思っておりますが、この部分について何人かのワーキンググループのような形でもっとたたいていただいて、そこの部分を出していただく。それで、皆さんの前に出すというようなことも今こちらでは考えております。
  だから、今の資格のところですね。十分に検討しなくてはいけない。そこが一番かなと思います。
  きょうの御意見を伺って修正を加える。それから、やはりワーキンググループでもっと細かいところを検討する、皆さんの御意見もまたメールで伺う、そういったものを含めて、次回に修正したものを出したいとは思っています。
  それで、今もう25分になってしまいましたが、きょうのところで伺える御意見は、大急ぎでもし。はい。小林委員さん。

【小林委員】
  小林です。この研究調査委員会の着地点として前回までは指導資料を発行するという言葉が出ましたが、今回は「ガイドラインを示す」という形になっていて、何となく委員の間でもビジョンが見えてきているというか、どういう形で現場に浸透させるのか、という落としどころがみえてきたところです。また、平久江先生からは、ガイドラインを作れば終わりということではなくて、その実現をするための手立てまで考えなければいけないというような御発言もありました。
  ただ、「文部科学省はガイドラインとして示すことが適切」という発言も何か所かありましたが、何でもかんでも国が示すということではなくて、既に発表されているものがあれば有効に活用するという考え方も必要と思います。
  例えばきょう、多くの時間を割かれた図書の選定、基準、「数量から質への転換」というようなことも発言がありましたけれども、そのようなことも文部科学省が本の質に踏み込んで、蔵書のガイドラインを示すというよりは、既に公益的な学校図書館の専門団体から選定基準とか、本の基準に関してもいろいろなものが出ています。廃棄基準もそうです。小学校、中学校の校長団体から選択基準を明確化したり、学校組織としてきちんと整備することが大事だという発言もありました。ですから、ガイドラインに盛り込む基準をすべてここで検討するのではなくて、既にあるものは有効活用するということを考えていきたいと思います。
  このような発言をした理由を簡単にお話ししたいと思います。本1冊1冊に絶対的な価値が、善悪の価値があるわけではないと思うんですね。この本はいい本だとか、悪い本だとかという、良書とかそうでないということではなくて、それぞれの学校の教育課程の展開に適しているか、児童生徒の利用実態に適しているかという、「適書」という考え方はあっても、良書という考えを国で打ち出すべきではないと考えたからです。
  現に地方公共団体などでも児童生徒向けに本を紹介する場合には、教育部局ではなくて、知事部局や首長部局、青少年課などの団体で推薦図書などを選定しているということもあると思います。そのようなことも理由として、本の内容に踏み込んだ基準、ガイドラインなどを国で打ち出すということには慎重であってほしいという意見を述べました。
  以上です。

【堀川座長】
  ありがとうございました。最後のところで、先ほどの着地点というお言葉がありましたが、そのことについて、また確認をしようと思っておりました。先ほどのスケジュールの点ですけれど、したがって、あと3回ぐらいというようにどうぞお考えいただければと思います。
  そして、この協力者会議の報告書は別に作って、そして、ガイドラインを作って、そして、もう一つ、前回に出てきた研修の資料、指導資料、先ほど小林委員さんがおっしゃったような、それを含めて3本でしょうか。

【水之浦児童生徒課指導調査係長】
  この会議としての報告書は夏めどで作成、御協力いただければと思っています。それと並行する形で、ガイドラインを作れればと思っているんですが、そのガイドラインについては、また今後検討ですけれども、1回出して終わりというものではなくて、一次ガイドライン、二次ガイドラインと、バージョンアップしていくものと考えております。
  研修資料については、一度国の方で内容については検討させていただいて、この会議で議論していただくということではなく、個別に御相談させていただきながら作らせていただければと考えております。

【堀川座長】
  ありがとうございます。4ページのちょうど真ん中辺に学校司書の研修についてのところで、最後の行、国においてモデル的な研修プログラムを作成することが必要という、これに当たるものと考えてよろしいでしょうか。
  委員さん方においては、少し先が見通せましたでしょうか。こちらもなかなか見えないところが、きょう、やっとヒアリングが、3回にわたって15団体終わりました。その内容をもう一度振り返りながら、このガイドラインを充実させていきたいと思っております。
  きょう御発言のなかった委員さん、一言ずつお願いします。佐藤委員さん、いかがでしょうか。急に振って申し訳ありません。

【佐藤委員】
  はい。ありがとうございます。正直なところ、余りかっちりしたものが決まると、地方公共団体の行政としては、少し困るところもあるなと思って、お話を聞いておりました。そのあたりは次回以降でまた御相談させていただければと思っております。

【堀川座長】
  なるほど。はい。ありがとうございます。
  小西委員さんは。はい。

【小西委員】
  この論点の整理は大変だと思いますけれども、ありがとうございます。これはこれで、すごくいろんなことが網羅されていると思うのですが、何か足らない部分があると思います。品川委員さんが言われた、どうすれば学校図書館を活用するようになるのか。どうすれば活用が活発になるのかという視点をもっと明確に示していく必要もあろうかと思いますし、昨年の12月21日に中教審の答申が出ました。これからの時代の学校はこうあるべきだとして示してあります。簡単に言えば、これからの時代に地域とともにある学校とはどうあるべきかを考えていかなければならないということです。学校がこれまでどおり閉ざされた空間でいいか。いいはずはないのですね。地域との連携を深めていく上において学校図書館が地域とつながる最も有効な場所になるかもしれない。地域の方を学校図書館の運営にどう巻き込んでいくかという視点や子供たちが大人とともに学ぶ共有スペースに変えていく等、そういう学校経営の在り方にまで踏み込む必要もあるかと考えます。それから、これまでの取り組みで、5年間1,000億のこの事業費がどれだけ学校図書館の充実に当てられてきたか、地方交付税を各自治体でどれだけ活用できたかを見ると小学校長会からの発表にもありましたとおり、減額率の大きさに驚きます。これは首長をいかに巻き込むかということがこれまでの学校教育ではできなかったということの証だと思うのですね。
  新教育委員会制度が始まった今、地域とともにある学校というのは、首長の思いを受けとめて、学校づくりを進めていくべきだと考えていますが、そんな中で、学校図書館の位置付けというのも変わってくるはずですから、そのあたりも議論していかなくてはならないなというふうに感じています。
  以上です。

【堀川座長】
  ありがとうございました。時間が超過してしまいましたが、ほかの委員さん、よろしいでしょうか。はい。
  あと、そうですね。次回は更にまた活発な御意見をお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは、事務局の方から何かございますでしょうか。

【水之浦児童生徒課指導調査係長】
  次回の会議につきましては、また日程調整等を差し上げた上で御連絡差し上げます。
  また、本会議はちょっと年度もまたぐということになりますので、委員の委嘱の手続について、別途また行う必要がございますので、事務的に連絡をまた差し上げたいと思っております。
  会議の進め方についてはまた座長と御相談させていただいて、決めさせていただければと思います。
  事務局としては以上でございます。

【堀川座長】
  ありがとうございました。
  きょうはこれで閉会にさせていただきたいと思います。
  本日、ヒアリングに応じてくださいました6団体の皆様方、本当にありがとうございました。
  それから、委員の皆様、きょうはありがとうございました。これで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課

指導調査係
電話番号:03‐5253‐4111(内線3297)