資料4 これまでの学校司書の資格・養成等に係る議論について

(学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議第1回~第5回)

1. ヒアリング団体からの主な意見
公益社団法人全国学校図書館協議会
○ 国が定める資格であることが大事であり,他の資格の流用ではなく,独自の学校司書の資格を創設することが大事である。
○ 大学における養成,専門職員としてふさわしい科目内容,単位が必要である。
○ 既存の資格(司書資格や司書教諭資格)では足りない内容として,1 ICTの活用2 学校教育に関する内容3 特別支援教育4 学校図書館と教科学習の支援5 学校における情報サービス6 学校図書館関係の法制度の六つが上げられる。
○ 学校司書の研修にあたっては,基礎知識や技能に加えて学校司書としての専門的な知識や技能,特にICT関係を重視すべき。また,教育委員会,教育センターによる公的な研修制度を充実させることが大切である。

公益社団法人日本図書館協会
○ 学校図書館法の附則で述べられているように,学校司書の職務内容が「専門的知識及び技能を必要とするもの」であることを踏まえ,大学における専門的な教育課程における学修により,資格を付与するための学校司書の養成制度を検討し,創設することが必要である。
○ 学校司書は,学校図書館がその機能を十分に発揮する上で重要な役割を担っている。学校司書資格については,大学等高等教育機関において,司書,司書教諭,教職の各科目をベースに単位修得により資格を取得できるようにしてはどうかと検討しているところである。
○ 近年学校図書館に求められる役割は大きく変化している。そうした変化に対応するために学校司書には継続的な研修が必要である。

学校図書館問題研究会
○ 専門として司書資格の取得をベースに,さらに学校教育に関する知識を併せ持っていることが必要である。
1 資料や情報の収集・提供を通して子どもたちの知的自由を保障する
2 教員の授業づくりや子どもたちの学びを支援する
3 情報リテラシーを育む
4 子どもたちの読書体験を豊かにし,知的な世界を広げ,深める
5 子どもたちの学年・クラスを越えた文化・創造の場をつくる

学校図書館を考える全国連絡会
○ 学校司書の資格・養成の在り方について検討することは重要であるが,それらを実りあるものにしていくためには,雇用形態も併せて考えていくことが欠かせない。

日本学校図書館学会
○ 学校司書の専門性としては,学校図書館の管理業務に加え,各教科等の学習指導及び教育課程外の読書活動を支援するために必要な資質能力を備える必要がある。
○ 学校司書の資格は,その専門性を担保するため,大学等において必要な単位を取得した専門職とする。
○ 学校図書館は学校の一組織であり,学校司書は,学校組織,教育課程を中心とした教育活動を支援する役割を担っている。したがって,学校司書を養成するためには,司書制度とは異なる学校司書制度としての独自なカリキュラムを構想する必要がある。
○学校司書としての資格を取得していない者が任用されている場合は,所定の研修を受講する必要がある。その場合には,二つのタイプの研修が必要であり,一つは,専門性を高める研修,もう一つは,教育課程に寄与するという観点からの研修である。
○ 現在,学校には,学校司書の資格を取得していない職員が配置されている。これらの職員の学校司書資格取得が円滑に行われるように,移行措置が講じる必要がある。
○ 学校司書制度は,学校司書の資格を取得した者だけがその職に就くことができるクローズな制度が望ましい。

日本図書館情報学会
○ これまでLIPERプロジェクトに取り組んできた。その研究成果からの提言として,学校司書の養成については,他の資格制度や他の情報専門職のものとの関係から,学校司書に関する養成制度を新たに創設する必要がある。
○ 学校司書の養成は高等教育機関において行うべきである。グローバルな視点に立てば,これは当然のことである。

全国連合小学校長会
○ 全国連合小学校長会(平成27年度調査)によると,必要性が高いと思われる専門的職員について,34県の校長会が「学校司書」と回答している。さらに,学校司書に期待される役割・職務を発揮するためには,その資質能力の向上を図っていくことが重要である。
○ 行政における学校司書を対象とした研修の充実を図ることも重要と考える。そのための必要な措置についても併せて検討すること。
○ 学校司書の配置は,地方教育行政が主導してきた経緯があることから,実情を踏まえた対応が望ましいこと。
○ 学校司書の資質については,資格だけでなく研修もトータルで考えることが重要である。地方教育行政が,資格と研修の組み合わせを総合的に考えていけるよう,自治体の取組を尊重すること。

全日本中学校長会
○ あくまで教育は教員が担うものであることや,学校司書には,教育や児童生徒の理解(特別支援教育や生徒指導含む)が不可欠であり,資格の検討でもこのことを踏まえること。
○ 学校司書の配置は,地方教育行政の現場が主導してきた経緯があることから,実情を踏まえた対応が望ましいこと。
○ 学校司書の資質については資格だけでなく研修もトータルで考えることが重要。地方教育行政の現場が資格と研修の組合せを総合的に考えていけるよう,自治体の取組を尊重すべきこと。

全国高等学校長協会
○ 学校司書の資質については差が大きいため,その専門性の向上を確保するような研修の充実が更に必要である。
○ 学校司書は学校全体の運営,教科活動,学習活動,生徒の学習活動とかそういうものも十分理解した上で,仕事をしなければならない。

学校図書館整備推進会議
○ 学校司書に関しては,配置促進と安定した職場の確保並びに研修制度充実を図っていただくこと。また司書教諭との協同関係を進めていただくこと。


2. 委員からの主な意見
○ 学校司書は公立図書館の司書とは役割が大きく違うと感じる。公立図書館の司書は,どちらかと言うと,調べたい人たちに対してサポートするという役割だが,一方,学校司書というのはどちらかと言うとプッシュ型で,自分から動いて子供たちに調べる方法を教えていくということなので,この役割の違いをはっきりしておいた方が良い。
○ 前回の協力者会議の際に,学校司書として,すごくいい報告書になったなと思うポイントは,児童生徒に対する教育に関する職務に携わる知識が必要だということが認められたことだと思っている。学校司書はもちろん,授業を行うことはできないが,支援をすることはできる。
○ 学校司書の資格とか養成とかも大事であるが,学校に配置された学校司書を学校現場の中でどう育成していくかというところが大事な点であると考える。学校司書の配置を担っている市区町村教育委員会の研修体制や研修内容の充実が極めて重要である。
○ 学校司書の資格・養成については,ベースに教育という,子供というところを視点にしたときに,学校教育を支える概論の部分,それから,経営に関する部分は必須の条件と考える。
○ 学校司書の専門性として,子供の発達特性を踏まえる視点が必要。特別支援教育の勉強をされておられる先生は御存じだと思うが,子供の発達特性を知れば,それを踏まえた,例えば資料の収集の仕方やまとめ方,本の読み方,文章の書き方等を指導できる土台ができる。


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文部科学省初等中等教育局児童生徒課

(文部科学省初等中等教育局児童生徒課)