不登校に関する調査研究協力者会議(第6回)議事要旨

1.日時

令和5年2月14日(火曜日)18時00分~19時30分

2.場所

文部科学省 (Web会議併用)

3.議題

  1. 新たな不登校対策(案)について
  2. 不登校対策の観点に関するヒアリング

4.出席者

委員

石川委員,伊藤委員,江川委員,小林委員,,齋藤(眞)委員,笹森委員,佐藤(博)委員,佐藤(博之)委員,白井委員,野田座長,原委員,笛木委員,三橋委員,安田委員,渡邉委員

文部科学省

永岡文部科学大臣,藤原初等中等教育局長,寺門学習基盤審議官,水田文部科学戦略官,清重児童生徒課長

オブザーバー

浅野こども家庭庁準備室審議官

5.議事要旨

【座長】 不登校に関する調査研究協力者会議の第6回を開催する。文部科学省は、1月31日付で永岡文部科学大臣の下、年度内に不登校対策を取りまとめる旨を公表している。本日はその検討のために、大臣にも御出席いただいている。まずは会議の開催に当たり、永岡文部科学大臣より御挨拶をお願いしたい。
【大臣】 不登校の児童生徒の急増などを踏まえ、先日私から、
  • 全ての不登校の児童生徒が支援を受けられるよう、不登校特例校の設置促進等の体制整備
  • 1人1台端末の活用等によるデータに基づく不登校の兆候の早期発見・早期支援
  • 全ての児童生徒が安心して学べる学校づくりによる予防的な不登校対策の推進
を柱とした不登校対策を、年度内を目途に、こども家庭庁とも連携をしながら取りまとめる旨の発信をした。今回、私から不登校対策の検討に当たっての方向性、つまり、私が考えます不登校対策の先にある学校や社会の目指す姿を配付した。
 1点目、小・中学校、そして高等学校も含めた約30万人の不登校児童生徒全ての学びの場を確保し、そして学びを継続すること、2点目、子供たちの心にある小さなSOSを大人が見逃さず、チーム学校として組織的に支援をすること、3点目、全ての学校をみんなが安心して学べる場所にすること、4点目、こうした取組を実効性あるものにするため、不登校を科学的に把握することである。有識者の皆様には、これらの方向性を実現するための具体策について、これまでの御経験を基に忌憚のない御意見をいただきたい。
【座長】 これより議事に入る。まずは、事務局から資料の確認をお願いしたい。
【事務局】 資料1として、ただいま大臣から御説明いただきました不登校対策の検討に当たっての方向性・目指す姿を配布しているので、後ほど御意見を伺いたい。参考資料1は、内閣官房こども家庭庁設立準備室をオブザーバーとして追加した本会議の設置要綱である。参考資料3については、先日の大臣の御発言を受け、各自治体に調査をしたものである。2ページ目について、現時点では1,700市町村のうち、1,075の市町村から現時点で回答をいただいており、その中で、通常の教室に入り辛い児童生徒が学ぶための特別な教室等の整備を全ての小・中学校内で行っていると回答した自治体が140個あった。4ページ目、現在回答している自治体の中で、不登校特例校を設置している市区町村は9つ、設置しているがさらに設置を検討している自治体は3つ、設置していないが設置を今後検討していると回答を231の自治体からいただいている。また、6ページ、児童生徒の心や体調の観察などデータに基づく早期発見・早期支援に関する取組として、アプリ等を用いて行っているところは237自治体、それからアプリの活用を検討しているところが372自治体ある。10ページ目、後ほど和久田先生・足立先生から御説明いただく学校風土について把握するために全ての学校でアンケート等を実施しているという自治体が864ある。どのようなアンケートを実施しているかという質問については、各学校が作成したアンケートを行っていると回答した自治体が752あった。
【座長】 これから、明治学院大学の足立先生並びに公益社団法人子どもの発達科学研究所の和久田先生から御説明いただき、まとめて質疑応答の時間を設ける。その後、先ほど大臣に御提案いただいた方向性に沿って具体的な実現方法並びに御意見を聴取する。
 それでは、足立先生に御報告をお願いしたい。
【発表者】 本日は、「前向きコホート調査」の結果から、不登校に関わるエビデンスを示す。その後、和久田先生にそのエビデンスを活用した社会実装をお話ししていただく。
 東北地方の中規模都市の教育委員会と連携し、市全体の子供たちを対象とした子供の心の健康問題の早期発見と支援を行っている。「問題行動の生起モデル」によると、一般的に「行動」として、中学校1年生・中学校2年生以上で不登校、自殺行為が多く見られるようになる。行動としては突発的に見えるが、必ずその前の次元にはメンタルヘルスの悪化が見られるのではないか、ということを今までの国内外の知見から仮説として立てている。さらに、抑うつやそれを上昇させる「ストレスイベント」やその前の次元である「先天的要因」として発達特性や発達早期の家庭の状況等を把握することで、不登校や自傷行為を予防できるのではないかという仮説を立て、研究をしている。
 2015年度から先述した市内の全ての子供たちに対し、資料2の3ページにある調査を始めた。教育委員会との連携の下、回収率が98%と、市内ほぼ全ての子供たちに毎年回答いただいているため、個のデータを毎年つなげることで縦断的な研究としても多くの子どもたちの声を反映した質の良いデータとなっている。
 その中で得られた一つの成果として、抑うつをスクリーニングの指標として採用することで不登校や自傷行為を早期に発見できるのかという検証がある。
 まとめると、多欠席も自傷行為も慢性的な抑うつによって早期発見を促進することができるが、他欠席は三者評定とも発見がしやすい、見えやすい問題であることに対して、自傷行為は本人に対して調査を行ってみないと周りが見逃してしまうような見えにくい問題だという結果が得られた。
 慢性的な抑うつが重要な多欠席や自傷行為の発見、早期兆候であることは分かったが、慢性的な抑うつを辿る児童生徒をさらに早い段階で発見する個人要因・環境要因は何かということを続けて調査を行っている。海外には知見があるが、国内にはあまり知見がないので、子供たちを追跡調査した。2018年に調査を終えているが、2016年に小学校4年生から中学校1年生だった4,556名の子供たちを3年間調査したところ、4,556名が4群に分かれることが統計的な解析から明らかになっている。13ページのグラフを見ると、ピンクが81%いた慢性的に抑うつ症状がみられない群、「低維持群」であり、メンタルヘルスが良い群である。一方で、ずっと高く推移している赤色の線が7%いた慢性的に抑うつ症状が顕著な群、「慢性抑うつ群」である。このような子供たちの特性を見ていくと、どのような要因が慢性的な抑うつの高さに関与するのかが見えてきた。統計的な解析は15ページの通りだが、学業達成が難しい子は「慢性抑うつ群」に含まれるリスクが高くなることが分かった。また、友人関係の問題でいじめ被害の問題を含む子供たちは「慢性抑うつ群」に含まれるリスクが高いことが分かった。さらに、自閉的な特性も「慢性的な抑うつ群」に含まれるリスクを高めていることが分かった。
 ここまでは個人的な要因を中心見てきたが、もう1つ、ソーシャル・キャピタルという環境要因がかなり抑うつに影響を与えるのではないかということに着目した。今までは個人要因を見てきたが、環境要因も無視できない要因であることがデータから明らかになっている。19ページのグラフは学校単位の抑うつについてである。この1つ1つの棒グラフが1つの学校である。縦軸が学校単位での抑うつ得点の高さだが、これは同一地域での調査であり、地域差ではなく、隣の学校なのに学校単位で統計的に抑うつに差があるというデータである。つまり、学校要因が大きいこと、入る学校によって抑うつが高い学校と低い学校が出てきてしまっているというデータであると考えられる。そこで、学校単位の抑うつと最も相関するものは何か解析したとき、出てきたのがソーシャル・キャピタルという概念で、一般的に「社会資源」と訳されるが、子供の社会資源として注目されているのが学校の要因で、学校が子供にとってどのような環境であるかが子供のソーシャル・キャピタルとして重要であると言われている。22ページに記載されているものがソーシャル・キャピタルの中身の項目であり、グラフが23ページにあるが、この1つ1つが学校単位の点であり、右軸に行くほどソーシャル・キャピタルが高い、縦軸に行くほど抑うつが高い状態である。ソーシャル・キャピタルが高い学校に所属している子供は抑うつが低いことが鮮明に出てきており、抑うつとソーシャル・キャピタルがかなり高い相関関係があるということが分かった。
 さらに、個人と集団の解析の結果からは、抑うつとソーシャル・キャピタルの個人レベルの相関関係だけでなく、抑うつの低いとされている集団に入ることによって、個人の抑うつ症状の低減に一定の効果がある可能性や、その効果が発達障害特性を有していてもある程度保たれる可能性も得られている。以上から、個人の支援だけではなくて、環境的な支援も併せて行っていかないと抑うつへの対応は難しいのではないかということが言える。予防の観点からは抑うつ症状の定点観測を続け、早期発見を行うこと、対処の観点からは、学校環境要因を検討していくことが重要と我々の調査からは分かっている。
 学校のフィードバックでこのようなデータについて、市内学校の平均値をお返ししたり、クラスごとに在籍する児童生徒の個別の結果をお返しし、これまでの研究結果に基づく、3年間抑うつが高い子は、より学校としての支援を手厚くしてほしいと依頼している。学業不振が原因で抑うつが高い子たちは不登校で、家庭要因のストレスが高い子たちは自傷行為があるかもしれないということを注意し、観察して支援してほしいと市単位で共有し、その結果、取り組みの成果として、コロナ以前のデータだが、抑うつが市内全体で下がってきたり、不登校率が高止まりして、全国的に上昇していたのが一時的に低下している市単位の結果が得られている。
【発表者】 私はもともと教員をしており、不登校の子供たち、保護者とも付き合いがあった。科学は、データで切り取っていくので、一見冷たく見えるが、あくまで道具として活用しており、子供1人1人の大変さや、保護者の苦労、教師の大変さ等を踏まえた上で話す。
 現状、不登校に関する支援は全ての子供というより、不登校になった子をどうするのかを重視している。しかし、不登校になる前の段階でどうしていこうか考えていくのがRTIモデルである。RTIモデルは、例えば病気への対応について、必ず予防という考えがあって、その後に早期発見があって、そして治療という段階になる。不登校が悪いということは全く思っていないが、課題に関してこの3つの軸をもって取組を進めていくということが正当ではないかと思う。現状、特定の先生のすごい経験則や、カリスマチックな先生の力、フリースクールの力、専門家の力等で成り立っている。これを公的な中でシステムとしてつくっていくには、RTIモデルとして、予防、早期発見、それから支援と整理をすることが必要ではないか。全ての児童生徒を対象にした予防、この予防という言葉を使ってしまうと不登校が駄目なのかという話になってしまうが、そうではなく、不登校という言葉が指し示すところの苦しさなどがない状態にしたい。予防がなぜ難しいかというと、ないものをないままにしておこうということであるので、目標が持ちにくかったり、ない状態の評価をする仕組みが必要になるからである。そこで、「子どもみんなプロジェクト」を大阪大学をはじめとする10大学の先生たちと一緒に、科学でもって子供の情動や発達のことについて切り込んでいくということで実施した。
 2016年、2,000人の子供と教師、保護者の協力を得て、「登校状況に関する調査」を実施した。そのとき、何が不登校を増やし、何が減らすのかを科学的に検討した。これは1人1人ではなく、全体として捉えたらどうなのかということを見た。10ページ以降、1か月の欠席日数に影響する要因を見ていただくと、アスタリスクがついているところが、いわゆる統計的に有意である。例えば、外国籍の子供の場合、日本の国籍の子供に比べて欠席のリスクが2倍ぐらいあった。例えば友達の人数が多ければ多いほどリスクが減る。それから、黄色で印をつけてある学校風土について、1点点数が高くなると欠席のリスクが減ることから、積み上げると非常に大きな予防効果があることが分かる。また、例えばいじめ被害、成績が低いこと、発達障害の診断があることが欠席のリスクを高めるという結果が出ている。ここで間違ってはいけないのは、いじめの被害に遭う子供は大変、発達障害の子が良くないなどではないこと。発達障害の子供が不登校になる環境を、学校側がつくっている、もしくは、そういう教育サービスしかできていない学校現場に目を向けるべき。
 不登校対策の考え方について、これはすごく重要であるが、例えば、個人の発達特性、トラウマ、家庭環境などは、子供は悪くないので、「静的リスク」として解釈される。そうではなく、大人の責任として対応しなくてはいけないのは、「動的リスク」である環境の方である。これが学校風土である。それからもう1つは、子供のスキルで教えてあげれば済むことは教えてあげるという、この2つでもって考えていくべきではないか。
 学校風土の中に特別支援教育や、心理教育、教員研修、教員の行動が含まれていることが大事。あの先生のクラスいいよな、この先生のクラス大変だなと思うこと、廊下を歩くだけで、あの教室うまくいっているなと分かるようなことが、学校風土として計測することである。学校風土について、「子どもみんなプロジェクト」の中で検討をしている。学校全体の学校風土をコントロールすることによって、学校全体の欠席日数や早退日数に相当有意な影響があることが証明された。クラスごとの学校風土についても、いじめ、登校問題に関連することが分かった。そのため、学校風土により注目していきたい。学校風土調査を学校でやっていただくと、校長先生からは、数字になると恐ろしいほど事実であるという感想が出てくる。
 不登校になることが悪いということではないが、学校生活の中で苦しんでいる子供たちをそのまま放置せず、手を伸ばしていこうということであり。2つの仕組みを提案・提供しているところ。
 1つは、メンタルヘルス調査「NiCoLi」である。メンタルヘルスを捉えることによって不登校、いじめ被害等問題の前兆を捉えていこうとし、信頼性、妥当性が確保されている科学的なスクリーニングをしていこうとするものである。もちろん、教師の観察眼でも可能な部分はあると思うが、ベテランの教師から、若手の教師などいろんな教師がいる中で、ある一定の仕組みを道具として入れていくことが重要だと考える。
 もう1つは、「デイリー健康観察」である。これは、今吹田市で実施しているが、毎日朝、教師が行っている健康観察をデジタル化したらどうかという発想から始まった。子供のメンタルヘルスは毎日動いているため、1人1台端末を活用し、先生たちの目力だけではなく、科学的に見ていく仕組みである。「デイリー健康観察」で聞く内容については、エビデンスがある質問項目になっている。今日だけではなく、過去10日間の中でどのような状態なのか、9月から2,400人の子供に対して調査しているが、まだ研究途中であり、データをためていくことにより、より正確な早期兆候、不登校だけでなくて様々な子供のピンチ、場合によっては、深刻な病気の前兆も捉える可能性があるかと思う。「デイリー健康観察」は、9月から吹田市の5校の小・中学校で導入していただいた。23ページにあるグラフについて、いじめ被害も学校風土も、青い方が7月に測定したもの、赤い方が12月である。7月時点ではまだ「デイリー健康観察」は活用されておらず、9月から「デイリー健康観察」を活用していただいた。いじめ被害がもともと少なかった中学校は誤差の範囲であるが、他は全て減っている。一方、学校風土は、実は1学期から2学期にかけて悪くなるのが普通であるが、今回この5校では、全て学校風土が非常に良くなっており、研究者も驚いた。まだエビデンスと言うには十分ではないが、今後、エビデンスとして成立していく可能性を感じさせる結果になった。新規不登校の発現率についても、「デイリー健康観察」を活用している学校と活用していない学校で比べても、活用している学校が抑えられたという結果が出ている。
 現在、不登校状態にある子供たちについて、いろんな実践がされていて、とてもいい成果が出ているところもある。ただ、こうした良い成果が出ているのは、そこに専門性が高い人がいたから、もしくは、たまたま対象の子供に合った環境が用意されたからである可能性があり、これらがシステムとして成立しているとは言い難い。
ここに研究を入れ込むことによって、一人一人の子供、将来、心身ともに健康であり、何らかの形で社会に参加していくことができることを目標として、変えられない本人の特性と学校環境とのマッチングができるのではないか。不登校という言葉は、登校するのが当たり前ということを前提とした言葉に思えるので、それを『教育ミスマッチ』という認識に変えられないかと思う。不登校になってからの対応はもちろん大事である一方、今の学校が本当に今の子供たちにフィットしているのか、これだけ変わった時代の中どうなのかということについて検討し、経験則や、職人芸を持つ特定の教師だけでなく、広く日本中でそのエビデンスを使えるような状態、そして、不登校問題ではなくて、その子供に合った教育が提供できていないというミスマッチとしてもう1回認識を新たにして、学校環境について考えていくことが大事であると思う。
【座長】 質疑応答の時間を取る。
【委員】 弘前市の場合、もともと不登校の比率が低いという特徴があり、その中で、本研究機関で抑うつ傾向は減ったと思うが、不登校の発現率に関しては、抑うつ傾向と必ずしも並行に減ってはいないのではないかということについて先生の御見解をいただきたいというのが1つの質問である。もう1つの質問としては、学校として変えられるリスクと変えられないリスクがあり、その変えられる、「動的リスク」について、和久田先生の研究結果で、どこを変えたら教育のミスマッチが減ったかという詳細な部分教えていただきたい。
【座長】 多欠席の先行コホートの結果について、学業成績との関係で非常に偏差が大きく出ている一方、抑うつ傾向が高いことのキャッチについては、教師がかなり高い割合で認知されているという理解を表からはしたが、認識に間違いないか確認したい。
【発表者】 まず、不登校の発生率について、市全体の抑うつと市全体の不登校で相関も取れないので、そこまで強いエビデンスではないと考えている。抑うつと不登校の発言率は、完全には相関しておらず、もちろん我々の取組以外で市の取組もたくさんあったので、我々の図れないところでの成果ももちろんあったのではないか考えている。しかし、この取組と市の取り組みはある程度連動して動いていたので、1つの要因として、こういった調査の有効性もあったのではないのかと考えている。
 もう1つは、御指摘のとおりである。不登校に関しては、先生の発見がかなり期待できる。先生も本人の元気がないことをかなり把握されており、それが自傷行為になると違ったというところである。
【発表者】 動的リスクでどんなところが動かせるのかということについて、日本では御承知のとおり、データが取りにくかったり、比較もつくりにくかったりするので、エビデンスをはっきりと出すことは難しいが、今私たちがやっているところでは、3つほど実践事例がある。
 1つは、授業改善で良くなった例がある。授業について、中学校は子供たちも忖度して静かにしているが、それで苦しくなってしまうので動きを入れようと、行動科学の考え方を入れて改善したというところがある。もう1つは、ルール設定と子供の支援について、学校の校則に関して、前向き行動支援という考え方に則り、悪い行動を叱責するのではなく、良い行動を増やすことで学校風土を良くするという取組があった。最後は、心理教育についてであり、例えば感情や、問題解決の方法、抑うつ、感情コントロールの方法を積極的に教えていくという事例があった。これらについては海外の文献から考えても効果はあるであろうと予測できるような内容かと思う。
【委員】 子供たち本人のアンケートについて、不登校の子供たちが本当にそのアンケートに書き込みをしているのかどうかが不安である。実は不登校児童の親が代わりにアンケートを書いていることも若干耳にしたことがあり、果たしてそこが正確に子供たちの気持ちや状況を把握できるのだろうかと懸念されるところがあるかと思うが、どのように考えているか。
【発表者】 弘前のコホートについては、多欠席になった年の前のデータで、不登校傾向がある前のデータから取っているので、学校で調査をしている。そのため、みんながクラスにいるところで回答しているので、ひとまず学校にいる段階では本人が回答していることがはっきり分かっている。御指摘のとおり、一部学校に来られなくなった子供も様子が知りたいということで、先生が家庭訪問したとき、アンケートに答えてほしいと家庭に残し、それが調査結果として出てくるときがあるので、その調査の回答者が本人かどうかまでは確かめられていないが、以前のデータのところは、本人が確かに答えている。
【発表者】 私のほうの調査は、御推察のとおり、不登校になった子供のデータを取ることは無理だと考える。そのため、月に何日以上のお子さんを不登校傾向と定義づけて、その傾向を取った。より正確であれば、当然、今不登校状態の子供に対して何らかのアプローチをするべきだが、回答率が減るということで限界が生じるので、だからこそ足立先生が言われたように、追跡することが必要になるかと思う。
【委員】 動的リスクをどのように改善していくかの中で、授業改善や、ルールの設定、ポジティブな行動支援という話が出ていたのは、本当にそのとおりだなと学校現場で経験していて思う。それをぜひ進めていけたらなと思う。
【座長】 学校風土というのは一体何で、どういう指標で取っているのかは非常に重要かと思うが、何か報告書になっているものがあるのか。
【発表者】 学校風土について、尺度はスライドで用意している。学校風土は使い方が重要であると思う。それが教師の評定になったり、学校の順列化になったりというのは避けたいと思う。学校風土を正確に使っていただくため、申請したら考え方、使い方について了承をいただいた上で、お渡しする、公開するという形をとっている。
【大臣】 足立先生、和久田先生、不登校また自傷行為を科学的に判断するという大変興味深い取組をしていただいたこと、感謝申し上げる。和久田先生の講義の中で、不登校児童生徒が抱える静的リスク・動的リスクのマッチングの話は興味深かった。やはり学校の教員は数十人の子供を教室で指導する必要性を考えると、できることをできるだけしっかりとやっていくとともに、現実的な方向性というのもしっかりと考えて行く必要があると思っている。
(大臣退室)
【座長】 委員からそれぞれの議題について意見を頂戴する。議題1「30万人の不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びを継続する。」について発言願いたい。
【委員】 多様な学びの場の確保は必ず必要である。加えて、多様な学びの場を設けた上でそこに繋げることも意識することが必要である。学びの場に繋がろうとする子や家庭のアセスメントとコンサルティングを行い学びの場につなげる支援の必要性もある。
 また、学校風土の改善も必要であるが、改善だけでは追い付かないので、公立の学校だと自ら学校を選択することはできないので、自ら進学する学校を選択できる権利があってもよいと思う。
【委員】 不登校児童生徒約30万人の中には、学校以外の学びの場がある児童生徒もいると考える。不登校が悪いというわけではなく、学校以外にも様々な場面で生き生きと取り組めているかが重要である。
【委員】 多層的な学びの場の確保について、大前提として、子供たちが学びたいという気持ちや意欲を育てていくということが前提。不登校特例校や教育支援センター、スペシャルサポートルーム、ICT等によるオンライン学習等、学びの場を設けて子供が選択できることは大切だが、学びたい子供たちの気持ちに応えるための場の設定でないといけない。それぞれの場で何を学ぶことができるのかが子供たち自身に伝わっていかなければ、場が提供されるだけでは不十分。
【委員】 コロナ禍で学校現場における様々な学びの保障が行われた。スクールソーシャルワーカーとして子供たちの支援に携わると、コロナで学校に行けなかった期間、子供たち同士でのやり取りが減少したため、社会性の育ちが遅れた子供たちがいると思う。今後社会性の育ちをどのように保障していくのか考える必要がある。
 和久田先生が示したResponse to Interventionの考え方は、アメリカで学習面と行動面と、社会性の育ちについても、Tier1、Tier2、Tier3で対応していくものと考えられていたと思う。学びの場に、心の成長の場、心の育ちの場という概念も入れてほしいと考える。
【委員】 委員の指摘は重要である。不登校の出現率といった指標のみならず、不登校対策として何を目指していく必要があるのか。多様な教育の場を認めていく中で、子供たちの安全の確保や子供たちが望む学びがそこで得られるのかどうかを適切に評価することも一方で大事であり、その評価の指標が今の時代問われていると考える。
 テストの点数や登校日数というのは、必ずしも子供が生き生きと学べているかを示す指標ではないため、文科省の毎年の調査の指標も再考する時代といえる。子供たち、あるいは働いている先生方も含めてのウェルビーイングが確保されている状態なのかどうかという指標を、AI技術等も駆使しながら計ることが大事である。
【委員】 スクールカウンセラーの立場として、カウンセリングの場において、コロナの影響がある。入学式や部活動等で人間関係を作るのがうまくいかず、リズムをつくることができず、徐々に学校への意欲が失せている事案も複数ある。
 一方で、子供たちのみならず、保護者への助言や援助等の家庭支援を行いつつ不登校支援も行うことが大事である。
 また、不登校の原因は、無気力、不安が多いが、これまで以上に要因を細かく分析する必要がある。人間関係力や人や学ぶ楽しさ等を小さいときから醸成するために、予防的な取組として子供たちへの心の授業を教育課程の年間計画の中に入れて、展開していくことが必要である。
【委員】 当団体では「フリースクール白書2022」をまとめており、フリースクール数は増加している。フリースクールにおける学びの質を担保ためにはスタッフの人材育成とスタッフの雇用条件が重要である。36.3%の児童生徒は、どこにもつながれていないのだから、学校外の学びの質をしっかり担保していくということは重要である。教育機会確保法は財政面でフリースクール等に助成し、学校外の場での学びの質を担保しない限り、理念法のまま理念で止まってしまっているのは残念である。
【委員】 議題2として「小さなSOSにチーム学校で素早く支援をする」について、子供が出すSOSは不登校に限ったことではない。様々なSOSに対してどのように対応するか明確にすべき。教職員も忙しいと思うが、一人一人の対応も保護者としては期待したい。
 また、子供たちのSOSに保護者が気づいた場合、保護者としてどのような対応をすべきなのか、また、どのような支援を受けられるのか明確にしてほしい。保護者の不安は子供の不安になり負のスパイラルに陥ることも考えられる。
【座長】 議題2「心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援する。」について発言願いたい。
【委員】 私の学校は、不登校の子たちの登校を支援する支援員と特別な支援が必要な生徒の授業の支援を行う支援員、不登校に対応する中心的な役割を担う講師、スクールカウンセラーがいて、体制は整っているように見えるが十分ではないと考える。人の配置が足りておらず、学校がうまく回っていないのが現状だと思う。学校に余裕を持たせる体制になると、心の不安や生活リズムの乱れに教員が確実に気づくことができる
【委員】 「SOSの出し方教育」に取り組んでいるが、子供からSOSを出すのはハードルが高い。「デイリー健康観察」は毎日子供の行動の変化を見ていくものだが、子どもの内面が見えるとさらに効果的である。熊本市や高知県等では「気持ちメーター」「心の天気」というアプリを活用している。鳥取県でも「心の天気」というアプリを使って、目に見えない子どもの気持ちの変化を「見える化」する取組を行っている。朝、登校するとすぐにタブレットを開き、そのときの心の状態を「晴れ、曇り、雨、雷」のイラストから選択するものである。長期間晴れや曇りなど状況が変わらないの子供は良いが、急に「晴れ」を選択していた子どもが雨になったりするなどの心の変化を、教員が気づくための有効な方法だと考えている。子供は、気持ちが落ち込んでいるときに、「晴れマーク」はやはり押せないものである。子供も、もやもやした自分の気持ちに気づくことができる。心の小さなSOSを早い段階で気づける有効な手段と思う。
 スクリーニングは大変重要なものであるが、先ほどのデータからも、案外教員はその状況に気づいているものである。大事なのはおかしいと気づいた後の動き出しである。
このようにICTを有効に活用すれば、子供の気持ちの変化をデータとして客観的に見ることができ、今後もっと研究していかないといけないものだと考えている。
【委員】 SOSを見逃さないための子供たちのアセスメントは大事なこと痛感している。奈良県も子供たちにアンケートをとり、何かリスクを抱えた子を早期に発見しようということは行っているがアンケートを行う際の前提として、子供たちが正直に回答したくなるように学校とか先生との関係性をまずつくっておくことが必要である。思春期ぐらいの子の場合、正直に自分の心を書くというのは難しい面もあるかもしれない。先生のことが信頼できない等の壁があると正直に書けない子供たちもいる。
 先生方はその数字や結果をうのみにしてレッテル張りに終わってしまわないようにする必要があると思うので結果の扱いや読み取りについても同時に考える必要がある。出てきた結果は先生方で共有することがチーム学校して大事。先生方はその結果をどう扱うのか、次どうするのかという視点を考えるのも大事なので先生方へのサポートも必要である。
 アンケートの際、休んでいる子供たちにも全員取らないといけないということになると、それでまた学校のことを思い出して、それがプレッシャーになったり、そのアンケートが逆効果というか、別のリスクを生むことになってはいけないので、そういう活用の仕方を十分に検討する必要がある。
【委員】 校内でいろんな人が、子供のSOSに気づいたときに、それを誰がどのように対応するかというシステムづくりのような支援体制づくりが大事である。特別支援のコーディネーターや生徒指導主事不登校対応の支援のサポーターみたいな形でもいいのでシステムづくりの検討も必要である。
【座長】 システムを今後具体化していくことは重要である。教育相談コーディネーターは平成29年以降の教育相談の充実等で登場している。心の小さなSOSは、不登校だけではなくて、広い視野で、学校の中で位置づけられていく必要のあることと思う。
【委員】 先生や子供などの当事者に負担をかけないようにしつつも子供の小さなSOSを見逃さないようにすることが重要であり、こども家庭庁やデジタル庁の出番であると考える。学校や教育委員会が、家庭や子供についてのデータを持つことに関して、個人情報保護法を理由に活用されなかった部分も今まではあったように思う。データを見れば家庭の脆弱性や支援が必要な子供は分かるにもかかわらず、先生方や教育委員会が持ったままのため支援が行き届かない。NPOやフリースクール等適切な連携先につなげたいのだがそこにどうつながっていいのか分からないというような状況があったと思う。個人情報の漏洩に配慮しつつ、脆弱性があるような支援が必要な層をしっかり把握し、その方々を傷つけないように、自然な形でプッシュ型の支援につなげていくために、デジタル庁やこども家庭庁の出番が増えていく。例えば、福岡市やつくば市等、個人が特定されないように配慮しつつ脆弱性がある層にリーチし、支援につなげられるようしている。その中で官民連携の形をつくっていくというようなモデルづくりを始めているので、事例やデータも参考にしつつ、全国的に体制が整うことが望ましい。
【委員】 不登校は問題行動ではないというこれまでの前提から、退行した印象さえも抱くような危機感も感じた。学校というのは困難を乗り越えることを美徳とするなどこれまで子供たちにSOSを出してはいけないような学校風土があったかと思う。また、学校の生活や学ぶ環境だけではなく、教員の働き方にも配慮しつつ子供が出すSOSに対して適切に対応することが必要。助けを求める子供たちが取り残されないというような発想が重要である。当事者である児童生徒や保護者に対するメッセージを出していくことも念頭に置いていくべきである。
【委員】 小さなSOSを見逃さないためには、子供のSOSを出す力をどう養うか、もしくはSOSが出せるような環境をどう整備していくのかを考えることが求められる。多様な学びの場で、大人が子供の困り感に気がつくことが重要なことである。1人1台端末が活用においては、データを見逃さないような注意力も必要である。
また、チーム学校のみでは限界があるためこども家庭庁は学校において対応が困難なことを把握するとともに福祉サービスの提供に努めていただきたい。
【委員】  子供の心身の変化に気づくことができる養護教諭が担任や管理職、スクールカウンセラー等につなぎながら、チームで対応していく。今の子供の健康課題は多様化・複雑化しており、丁寧な対応に時間を費やすことが多くなっており、なかなか支援が行き届かない現実も課題として感じている。専門職の人数を増やすのはありがたいが同時に、チームで関わる者の資質向上も課題の一つであり、それぞれの職種で学校に対応した研修等を充実させ、子供を支える専門職の資質を高めるということも検討する必要がある。
 また、学校内で行われている生徒指導の会議等において、情報共有等を一回に長く実施するのではなく、短いスパンで実施することで、教職員の負担も軽減されると思う。
【座長】 議題3「学校を「みんなが安心して学べる」場所にする。」について発言願いたい。 
【委員】 他の委員意見を拝見すると、学校が過度な役割を期待されると教職員の負担が大きくなると感じた。文科省の提案に「多層化」という言葉はあるが、「多様化」という言葉が抜けている。多様な主体が学校に関わることで学校が開かれていき、教職員の仕事量が減ることになる。教職員が子供に関わる時間を増やすことが重要であり、フリースクールのような多様な主体と学校が連携することが重要である。
【委員】 民間の復学支援の立場からみると学校との連携を図ろうとしても、教職員個人の考えでできないといわれる場合もある。学校風土を変えていくのであれば、外部と連携するような風土の醸成も必要である。
 また、学校における各種運用を柔軟にしてもいいのではないかと感じる。広島県の内申の取り扱いを参考に自治体の事例を収集し、テストの受験や成績評価の在り方などの仕組みは検討いただきたい。
 また、これからの学校マネジメントとして、大阪の大東市の「学びへのアクセス100%大東不登校支援モデル」のような家庭教育支援チームを有効活用したり、スクールソーシャルワーカーを効果的に活用したりする学校づくりや不登校対策の方向性の参考にするとよいのではないか。
【委員】  教職員は自身のクラスや授業をよりよくしようとしているが、学校現場自体も外部の支援を受けたりもっと柔軟な運用を可能とする必要がある。加えて人的予算の拡充を求める。
【委員】 「学校をみんなが安心して学べる場所にする。」と文部科学大臣も発言されたことは重要である。しかしフリースクール等の多様な教育の場では予算や人がいない状況であり、スローガンだけではなく、きちんと予算を組むことが必要である。また、チーム学校というワードは2015年ぐらいから使われており、使い古されたワードというイメージが湧いてしまうのでここでは使うべきではない。
【委員】 みんなが安心して学べる学校として、教員が生徒理解や子供たちの要因や背景を理解した上で指導することが必要である。さらに子供自身が目標を持って学ぶことができるような教育活動・教育体制を整備していくことが大事である。
【委員】 みんなが安心して学べるようにするためには、学校を運営する側の教員の「平等」を重視しすぎる感覚を柔軟にすることを推進してもいいのではないか。今は目標に準拠したいわゆる絶対評価のため、様々な子供に応じることのできる学校が望ましい。
【委員】 4つの項目の方向性はなぜ今のタイミングで出されたのか、また、不登校のみならずいじめの問題にも置き換えても成り立つ部分が多いと考えられ、いじめも不登校も、様々学校が抱えている課題の中で共通することが多々ある。今、学校現場は様々な方法を考えながら取り組んでいるため、新たなメッセージを出すならば、学校を応援する視点のメッセージをいただきたい。
【座長】 議題4「不登校を科学する。」について発言願いたい。 
【委員】 不登校の子供が安心して休める権利を認めることが不登校を科学的に理解するためには必要である。委員の調査結果からも分かるように、学校に行きたくないということを、一番最初に相談するのは誰かというと、親が50%であるという調査結果が出ている。一方で、学校の先生は10%でスクールカウンセラーが8%という数字があり、先生には言いにくいことを抱えて我慢して行けなくなっているという実態をしっかりと理解したうえで科学的な理解という言葉を使う必要がある。子供たちは学校にいても常に何か調べられている、理解されようとされている、家にいても何か調べられているというのでは心が休まらず、調査の趣旨とも異なるので本末転倒である。
【委員】 教師の勘や経験に頼りすぎず、科学的に把握することは重要であると考える。ただしスクリーニングやアンケート等で子どもの様々な状況を数値化・見える化した後の対応・支援がポイントである。学校、教員自身がそのデータをもとに子供たちに対してどういう具体的な取組を行っていったかを整理していくことが重要である。教員のアセスメント力や子供たちの状況をきちんとみる力をつけていかないとデータの活用にまでたどり着かないと思う。
【座長】 足立先生、和久田先生からも参考意見をいただきたい。
【発表者】 委員ご意見のとおり、限界も感じることはある。結局、ツールを使ってどのように対応するかが重要である。地域や各学校にある専門性等の偏在を補うためのツールとして使っていただきたいと考えている。人事異動のタイミング等で今までの支援者が変わる場合に、エビデンスのある引継ぎの資料として使えるようなツールであると考えている。
 また、この指標は学校の関係者全員が扱える共通言語として必要だと感じている。個人の専門性と併せてシステムとして扱っていくことも大事だと感じている。
【発表者】 現場の教員の見えている範囲は限られている。30万人の不登校の現状を見える化するツールの一つとして活用することで、現場の教員の見える範囲を補うことができる。複雑な事象を整理し、分析的に見ていくことによって一人一人に寄り添いたいと考えている。このような時代であり、デジタルツールも、使えるものはたくさんあるため、人を増やすとことも大事だが、質の担保という面からも学校は変わるべきだと思う。先行研究や同様な問題を抱えている国や地域の実践収集し、そこから新たなエビデンスを見つけていくということが大事である。
【座長】 工夫すべきところは多々あるが学校現場や全国の取組をサポートする有力なツールとして科学を活用できる余地はあると思う。
 静的なリスクと動的なリスクのマッチングが非常に難しいという辺りは、大臣も再確認的におっしゃっていただき、そこに今度まさにアセスメントというようなことで、先ほどからありました学校の先生がアセスメント力ということもそうなんですが、言い古されたかどうか分かりません、まだ行き渡っていない部分もあるかと思います。チーム学校としてSC、SSW、あるいは様々な支援員、もちろん養護教諭さんもという中で、その辺りのマッチングをどういうふうに取っていけるのか。
 そうしますと、この間の議論、従来から積み上げてきました様々な不登校の報告書、あるいは文科省から既に出ている通知、あるいは先ほどの情報共有ツールとしての児童生徒理解支援シートであるとか、スクリーニングであるとかというようなことも、これまで芽がないわけではない。その辺を有効に組み込んでいただきながら、ぜひとも大臣には新たなビジョンのほうへつなげていただくといいのかなというふうに座長としては感じました。
【委員】 不登校を科学する、科学的に把握するというところで、不登校は問題としないという前提は維持しつつ、不登校状態のメリットも科学的に把握する視点としては大事である。一時的な不登校がある子供にはプラスに働く場合もあると考えられ分析の仕方で工夫することもあってもいいのではないか。
【座長】 工夫すべきところは多々あるが学校現場や全国の取組をサポートする有力なツールとして科学技術を活用できる余地はあると思う。
 静的なリスクと動的なリスクのマッチングが非常に難しいという辺りは、チーム学校としてSC、SSW、あるいは様々な支援員、養護教諭なども交えて、マッチングをどのように取っていけるのかが重要である。
 従来から積み上げてきた様々な不登校の報告書や通知、また情報共有ツールとしての児童生徒理解支援シートやスクリーニング等も有効に組み込みつつ新たなビジョンのほうへつなげていただきたい。
次回の会議については事務局から追って連絡いただく。

―― 了 ――

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