英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会(第2回) 議事録

1.日時

平成27年3月17日(火曜日)9時30分~12時00分

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室

3.議題

  1. 英語の資格・検定試験及び活用促進に係る情報提供(報告)
  2. 英語の資格・検定試験の活用促進に関する行動指針(案)
  3. 高大接続改革における指摘事項に関する検証について
  4. その他

4.出席者

委員

多田座長、青山委員、荒井委員、安藤委員、石鍋委員、梅澤委員、圓月委員、大塚委員、奥田委員、尾関委員、清原委員、日下部委員、塩崎委員、島村委員、新庄委員、髙橋委員、田原委員、関氏(内藤委員代理)、中村委員、根本委員、平方委員、松本委員、三島委員、三宅委員、村田委員、安河内委員、山﨑委員、吉田委員、四方委員

文部科学省

前川文部科学審議官、徳久総括審議官、吉田高等教育局長、伯井大臣官房審議官、中岡大臣官房審議官、今井教育制度改革室長、水田高校教育改革PTリーダー、小林国際教育課長、圓入外国語教育推進室長、新田主任大学改革官、橋田大学入試室長

5.議事録

【多田座長】  定刻ですので、第2回英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会を開催いたします。
 お忙しいところ御出席いただき、まことにありがとうございます。本日第2回目は、3つのテーマに従って会議を進めさせていただきます。まず、「英語4技能試験情報サイト」について、英検の塩崎委員より御報告を、立教大学の取組について、松本委員より情報提供をいただきます。次に、作業部会でも議論を行っていただきました英語の資格・検定試験の活用促進に関する行動指針(案)について御議論いただく予定です。最後に、高大接続改革の答申において指摘を受けた英語の資格検定試験活用促進に関する検証事項について御議論いただく予定です。3つ目の英語の資格・検定試験活用促進に関する検証事項につきましては、皆様全員に1人一、二分ずつ御意見をいただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局より配付資料の説明をお願いいたします。

【圓入外国語教育推進室長】  それでは、資料の御説明をさせていただきたいと思います。本日の資料につきましては相当厚い資料になっておりますが、議事次第1ページ目に添付しておりまして、ページ数でいきますと170ページ以上になっております。こちらがメーンの資料になります。資料1につきましては、第1回の連絡協議会でも、連絡協議会本体の設置要綱と名簿を配付させていただきましたが、おめくりいただきますと、作業部会の設置の要綱を6ページ以降に添付させていただいております。8ページに、作業部会の委員の皆様方の名簿も添付させていただいております。
 また、資料2につきましては、後ほど試験団体の皆様のおまとめになりまして開催されました、「英語4技能試験の情報サイト」の資料が添付されております。こちらにつきましては、御説明とともに、例えば学校の先生方からも、今後こういった情報提供を期待するというような御要望なども是非いただければと思います。
 それから、資料3でございますが、これは英語の資格・検定試験の活用促進に関する行動指針(案)ということで、これまで作業部会の方で2回ほど開催いただきまして御議論いただいたものを、案ということで御報告をさせていただきまして、その後連絡協議会、こちらの会議で御意見をいただきたいと考えているものでございます。本体が37ページ以降に添付させていただいておりますが、今年度中にこちらにつきましては何とかおまとめをさせていただいて、来年度以降、早急に各学校にもお知らせしたいというふうに、第1回目にも御案内させていただきましたように、この指針の案とともに概要も御用意させていただきまして、おまとめいただけるようなイメージということを記されていただければということで、30ページからその概要なども添付させていただいております。
 また、資料4、5につきましては、先ほど座長からも御案内ありましたように、45ページ以降にございますが、高大接続改革についてということで、昨年から関連の答申、それから提言などをいただいていると。それを踏まえて会議も開催されたということがございますが、その近況について御報告をさせていただきまして、その後、資料5でございますけれども、ページがかなり後ろになりますけれども、作業部会におきまして、検証状況についてということで御議論いただいたものにつきまして、109ページ以降でございますけれども、論点とデータをおまとめさせていただいたものを添付させていただいております。こちらにつきましては、第1回の連絡協議会でも御案内させていただきましたように、12月にまとまりました高大接続改革の答申の中で、こちらの連絡協議会の方に検証をいただきたいということが3点ほどございましたけれども、この3点について作業部会におきまして、専門的・技術的な観点からも御議論いただいたものということで、今回御用意させていただきました。
 なお、関連して後ほど御説明いたしますけれども、日本人の英語力の現状ということで、今年度実施しております高校3年生の英語力調査の速報というものも御紹介させていただく予定でございます。
 資料7以降は、作業部会でかなり網羅的に御意見いただいているものを、参考として今日は配付させていただいていますので、是非御参照いただければと思います。
 また、別途資料として今日御用意させていただいておりますのは、後ほど大学の中での活用の取組の御紹介ということで、委員でいらっしゃいます松本委員から、立教大学のグローバル方式を活用した、一般入試にグローバル方式を導入された入試の在り方ということで、チラシとともに御説明の資料を今日御用意いただきましたので、こちらの方を御確認いただければと思います。
 また、A3の資料がございますが、これは資料でいきますと資料3の関連資料でございます。様々な必要な情報というものを、試験団体の皆様方に御協力いただきまして、まとめて提示をいただいたものでございますので、後ほど御説明させていただきたいと思います。
 また、関連して分厚い資料がございます。主な英語の資格・検定試験に関する基礎資料集ということで、これは各学校におかれまして、それぞれの試験の概要からどのような調査研究を行っているかということを、それぞれ分かりやすくおまとめいただいた資料でございます。これもいずれホームページ、情報サイトの方にも掲載をいただいて、学校の方でも御活用いただくということで、今回御用意させていただきました。
 資料につきましては、以上でございます。過不足等ありましたら、事務局までお知らせいただければと思います。よろしくお願いします。

【多田座長】  それではまず、英語4技能資格・検定試験懇談会が設立され、試験団体において「英語4技能試験情報サイト」を立ち上げられましたので、このことについて、英検の塩崎委員より御説明をお願いいたします。よろしくどうぞ。

【塩崎委員】  御紹介ありがとうございます。英検の塩崎でございます。それでは、私の方から、「英語4技能試験情報サイト」の御説明をさせていただきたいと思います。資料の10ページをお開きいただけますでしょうか。
 10ページに、まず本連絡協議会に参加している、議題に上がっている9つの試験を運営している6つの試験運営団体が、懇談会という形で連携を深めまして、今後ともいろいろな情報提供をしていきたいというものの第1弾として、こちらの「英語4技能試験情報サイト」というものを立ち上げさせていただきました。
 11ページに、こちらの情報サイトのチラシがございます。文部科学省様及び関連機関の皆様の御協力のおかげで、ある程度広く認知が進んできているものと思います。現在、4技能というキーワードでクリックしていただきますと、一番上に検索エンジンに引っかかってくるような状態になっているところでございます。引き続き本サイトの広報の御協力をいただけましたら幸いでございます。
 続きまして、12ページをお開きいただきますと、こちらはトップページの絵が印刷されております。まず上のメーンビジュアルのところに、多田座長様のインタビューの概要を載せさせていただいておりますが、メーンビジュアルのところにはインタビューさせていただいた有識者の皆様の写真とメーンポイントを画像で貼り付けさせていただきまして、ちょうど昨日更新をさせていただきまして、東工大の三島学長様、それから安河内哲也委員のインタビューが、今、メーンビジュアルにきているところでございます。
 その他の箇所のサイトの内容でございますが、ちょうど中段の左側を御覧いただけますでしょうか。こちらに文部科学省英語教育関連情報という欄がございますが、こちらは文部科学省の方から発信されております英語教育の情報等をまとめさせていただき、現在、英語力評価及び大学入学者選抜における資格・検定試験がどのような意味で有効なのかということを、論点を分かりやすく、どなたが見ていただいても分かるようにまとめさせていただいております。
 続きまして、同じ段の真ん中、資格・検定試験の関連情報というところがございますが、こちらには9つの試験を一覧で分かるように設定をしております。例えば、各試験のスペックが一覧で分かるようになっていたり、あるいはCEFRとの換算が一目で分かるようになっていたりというような、文部科学省様の方で作っていただいた表などをベースに掲載させていただいております。
 続きまして、一番右に目をやっていただきますと、試験のバナーがリンクとして張り付けてあります。本サイト、どの試験も公平に扱いたいという共通の思いから、基本的に試験の名前をアルファベット順に掲載させていただいておりますが、こちらのバナーリンクの方だけ、トップページを開いていただくと、そのたびに表示の順番が入れかわるというランダム方式を採用させていただいているところでございます。
 13ページ以降は、実際に既に御協力いただいておりますインタビューの記事を掲載させていただいております。後ほどゆっくり御覧いただきたいのですが、有識者インタビューということで多田座長、それから三島学長、安河内先生に既に取材をさせていただきました。それから、大学様にもインタビュー記事を載せさせていただいております。後ほど詳しく御説明があるかと思いますが、グローバル方式を発表されました立教大学の松本先生、それからTEAPをスーパーグローバル大学の柱に置いている上智大学様のインタビューの記事を載せさせていただいております。今後は、大学様だけではなく、中学校、高校の取組なども掲載していきたいと思っておりますし、生涯学習や経済社会で要求される英語力という観点から、企業の皆様等にもインタビューの記事にお答えいただければと思っております。
 なお、この情報サイトを通して、資格・検定団体の懇談会を引き続き、競合他社ではございますが、お互いネガティブキャンペーンなどを張ることなく、しっかりと協力をして、こちらの資格・検定試験の活用というものの促進に、少しでもよい波及効果を与えられるように協力していきたいと思っています。
 それから、本情報サイトにつきまして、是非本日委員の皆様から、各団体を代表されまして、こういった情報を載せた方がいいのではないかなどという御意見がございましたら、是非頂戴できればというふうに思います。以上でございます。

【多田座長】  ありがとうございました。  次に、立教大学の取組について、松本委員、お願いいたします。

【松本委員】  皆さん、おはようございます。立教大学の松本です。本日は事務局から御依頼いただきましたので、立教大学の取組についてお話をさせていただきます。お手元にクリップどめで、チラシとともに、私の発表の内容をスライド化したものがございますので、それを御覧いただければと思います。
 立教大学では昨年の春に、「Rikkyo Global 24」というグローバル化に向けた施策を発表しました。24の意味は、2024年までに24の施策を展開するということでございます。その概要が2ページ目にございます。スライドの2番です。グローバルリベラルアーツ教育とリーダーシップ教育を展開し、世界で活躍できるグローバルリーダーを数多く輩出したいという内容でございます。それに伴いまして、スーパーグローバル大学創成事業の申請書には、達成目標としまして、スライド3番にございますような数値目標を掲げさせていただきました。
 本日の議題であります英語検定・資格試験の入試での活用に関しましては、2019年度までに入学定員の50%が、このタイプの試験を活用して入学してくるものと規定しております。そして2023年度までには、立教大学に入って4年間の間に、何らかの形で海外体験をして卒業するというような内容になっております。ですから、今回の外部の英語試験の活用というのは、単に入試を変えるということではなくて、グローバル人材を輩出するために、グローバル化した教育を推進していく中で必要なものだというふうに捉えております。
 スライド4番にございますように、その主な狙いというのは、国際化推進方針に合致した入学者選抜と、学習指導要領への対応、円滑な高大接続ということでございます。先ほど申し上げたようなグローバル人材を輩出するために教育のグローバル化を推進していくためには、入学する時点で英語の4技能をバランスよく有している入学者がいないことには、先に進まないという発想がございます。それとともに、学習指導要領にのっとって生徒中心に、かつ英語で授業を展開するということについて、熱心に取り組まれている高校及び高校の先生方がいらっしゃいますので、そういう学校、先生との高大接続をスムーズに展開していきたいと考えております。
 高大接続をスムーズにするために動くということは、大学としての社会的責任を果たすというだけではなく、立教大学としましても、入学してから4技能を伸ばすというのでは遅過ぎるということがポイントになっております。例えば、2年生の後期から留学するということになりますと、12月までにIELTSやTOEFL iBTで相当高い点数を獲得しなければなりません。そういうことを考えますと、高校時代から4技能を伸ばすという教育をさらに進めていただかないことには、大学教育のグローバル化は達成できないという考えに基づいております。
 続きまして、スライド5番を御覧ください。立教グローバル方式の特徴は4つございます。まず、とにかく早く実施するということで、最短である2016年2月からの活用を決定いたしました。続きまして、全ての学部・学科で活用するということでございます。3番目に、これまでも自由選抜入試、いわゆるAO入試で幾つかの学部が外部試験を活用しておりましたが、一般入試で活用するということを決定しました。全ての学部・学科が一般入試でグローバル方式の定員枠を設けるということでございます。そして、活用するテストにつきましては、4技能テストを採用するということで、こちらに挙げておりますIELTS、GTEC CBT、TEAP、それからTOEICについてはTOEIC SWも含めたもの。TOEFL iBT、そして英検1級、準1級を活用するということになっております。
 そして、立教グローバル方式の概要ですが、一般入試ということも考慮いたしまして、出願資格についてはCEFRのB1レベルを求めております。現在の数値ですと、例えばTEAPですと226点、GTEC CBTですと1,000点に相当します。立教大学の方針としましては基準はCEFRのB1ということでございます。今後、各試験団体が点数を調整されたり変更されたりという場合は、間に合う範囲で変更後の点数を尊重するという立場をとっております。少なくとも立教大学の英語教育を考えれば、国際的なスタンダードであるCEFRを採用します。なぜB1かということですが、B1レベルで入ってきていただければ、立教大学の英語教育を受講されることによって、卒業までに交換留学に対応できるB2レベルにまでは引き上げることが可能であるという論理に基づいております。
 そして、受験生が一番興味を持つ、どういう方式でということでございますが、立教大学はいわゆる出願方式をとります。大学で実際に受けていただく試験では、英語以外の科目を2科目を受験していただくということになります。
 続きまして、裏側のスライド7番でございます。英語が得意な子は損するのではないかという議論も学内ではございましたので、自由選抜入試というのを今後、英語が得意な受験生に向けて、さらにその枠を拡大していきたいと考えております。他の大学ではAO入試とか呼ばれているものでございますけれども、現在では経営学部と異文化コミュニケーション学部において、英語能力に長けている受験生に対して外部試験を活用しています。これを今後B2レベルを設定していきます。
 立教大学については、とりあえず英語の入試を先行して改革するという方針です。一般入試の在り方、それから問題の形式等も、今後見直ししていかなければならないという考えに立っております。幸い英語に関しましては、様々な信頼性のある外部試験が存在しますので、それらをまず活用して、改革の第一歩を踏み出したいということです。外部の試験を採用したら終わりということではございません。
私たちとしましては、とにかくまず1番に手を挙げて、外部試験を活用し、高大接続をスムーズにし、グローバル人材育成のための動きを活発化したいという熱い思いで始めました。 スライド8番にございますように、スーパーグローバル大学として37大学が採択されましたが、そのうち13大学が10年後には50%の入学定員に外部試験を活用すると約束しておりますので、これらの大学が立教大学の試みに次いで、様々な改革を積極的に進めていただきたいと思っております。そういう意味で、立教大学が昨年12月に発表したこの改革が、大学の入試改革に何らかの形で寄与できれば幸いだと考えております。以上です。

【多田座長】  ありがとうございました。ただいまの塩崎委員、松本委員の説明につきまして、御質問や今後の情報提供に対する御要望がありましたら、どなたでも結構です、挙手をお願いいたします。
 特になければ、また後で事務局の方にでも、メールなり御意見を寄せていただければと思います。
 それでしたら次に、作業部会で御議論いただきました英語の資格・検定試験の活用促進に関する行動指針(案)につきまして、事務局より説明をお願いします。説明の後で、意見交換の時間をとりたいと思います。

【圓入外国語教育推進室長】  それでは、お手元の資料を御覧いただければと思います。分厚い資料のページでいきますと30ページから、今日はイメージをお持ちいただければということで概要を御用意しておりますが、ページをめくっていただきますと、その後ろにデータもついておりますが、本体の行動指針(案)につきましては37ページからでございます。こちらが作業部会、2回にわたりまして御議論いただいて、本日案ということで、作業部会からの御報告を、事務局の方からまずさせていただければと思います。それから、37ページ以降の本文とともに、先ほども御案内いたしましたように、A3の資料、かなり細かい字になっておりますが、今後試験を活用するに当たりまして必要な情報ということで、このたび試験団体の皆様から改めて、初めて公表いただいたという情報も入っております。こちらをあわせて御説明させていただきたいと思います。
 まず37ページでございますが、1番目でございます。こちらの方、性格としては連絡協議会決定ということで、この会議の役割の御説明のときに申し上げましたように、これから活用を促進するに当たりまして、御参加いただく皆様方の促進に当たりまして、こういったことで進めていただきたいということを申し合わせるような形でおまとめいただいた形になっております。その基本方針というものが、1番目に理念的なことが書いてございます。
 最初の方、少し要約しながら御説明いたしますけれども、グローバル化が急速に進展する中で、仕事や日常生活に様々な生涯にわたる場面で、今まで以上に英語力の向上というような課題が指摘されております。このためにも、生徒学生――この生徒学生というのは、今回御参加いただきました中学校から大学生までということを想定しておりますが、生徒学生が生涯にわたり主体的に英語学習に取り組む態度を育成するということと、それから、英語力につきましては、入学者選抜から入学、卒業時に至るまで4つの技能、「聞く」「話す」「読む」「書く」の技能を総合的に育成するとともに、評価を行うことが重要ということを大前提として書いております。
 また、背景といたしまして、海外の主要大学のことを御意見としていただいておりますけれども、一定の主要大学では、4技能を必須とすると。例えば、日本人の学生が留学する際にも4技能試験を必須とするということもございますし、また、生徒学生の進路、それから留学、それから卒業後のキャリアといった将来の英語使用の具体的なイメージを持ちながら活用、促進、それから評価を行うことが急務であるということを指摘しております。
 こういった背景を踏まえまして、こちらの行動指針におきましては試験の活用の在り方、それから有効性、留意すべき点ということについて具体的に指針として申し合わせて、各学校や各関係団体における英語の技能の資格・検定試験活用を奨励するというくくりにさせていただいております。
 2番目以降でございますが、資格・検定試験の活用促進におきまして重視すべき事項ということで、例として挙げておりますけれども、次のページ以降に(1)から(2)、(3)と続いておりますこの柱でございますが、昨年9月に英語教育の在り方に関する有識者会議におきまして、重視すべき事項という例示を挙げておりまして、それにもきまして柱立てをさせていただいたものでございます。
 38ページをお開きいただきますと、まず(1)ということでございまして、資格・検定試験の有効性を踏まえた活用ということでございます。この構成といたしましては、それぞれの学校関係者の方々に御利用いただきたい、御配慮いただきたい点を、ます先におまとめさせていただきまして、その次の英語4技能試験の実施されている団体の皆様方に記載させていただくところ、お願いさせていただくというところがまとまっているという構成になっております。
 (1)を御説明いたしますけれども、まず大前提といたしまして、この試験の活用につきましては、各学校におきまして、生徒の英語力を把握し、きめ細かな指導の改善・充実や学習意欲の向上につなげるために効果的に試験を活用すると。あわせて実践的な英語の使用場面を増やすように、例えば授業などでその使用場面を増やすような活動の充実に努めるという、まず大前提から入っております。
 その次に○を御覧いただきたいと思いますが、有効性という観点を列挙しております。バランスよく4技能をはかることができる効果的な活用におきまして、どのような有効性があるのかという観点ですが、当たり前のことも書いておりますけれども、まず4技能を総合的に測定できるということ。それから2つ目につきましては、生徒・学生の英語学習の目的、それから英語力のレベルといいますか英語力の状況。それから、継続的な英語学習に適合した試験の一貫性を確保することということが書いてございます。今回の連絡協議会の趣旨にも書いてございますように、生涯にわたってということで、一貫してということでございますので、ここの御質問が多かったのは、同じ試験を必ずずっと一貫して活用しなければいけないのかということではなくて、その時々の段階ごとに、その生徒さん、学生さんが必要な英語力、それからそれに適合した試験を活用するという観点が必要であるということでございます。
 それから、その次でございますが、生徒学生が主体的に学習する態度・姿勢を身に付けるということから、英語学習の動機付けにつながる手段としても活用するということも挙げております。また、次でございますが、授業で活用する場合でございますけれども、その結果が学校に提供されて、教員の指導改善の参考となることということも書かれております。それから、その次でございますけれども、教員、それからこれから教員を志望される方々の1つの英語力の向上の指針として活用するということなどということで、あくまで例示でございますので、また御意見をいただければと思います。
 その上で、留意点というものも、御意見をたくさんいただいた部分が次の○でございます。そのような活用をするとともに、一方で試験、検定試験の結果のみを、例えば授業の日常的な学習の評価として見なすということではなくて、学校の中では日常的に行う評価ですとか、それから定期試験などというものがもちろんございますので、そういったものに加えてこちらの資格・検定試験を1つの客観的な指標として効果的に活用してほしいと。これは1つ留意点ということで、御意見いただいております。
 その次に、大学、短大、高等学校及び高等専門学校におきましては、それぞれの教育理念・内容等に応じたアドミッション・ポリシー等ということで御意見をいただいておりますが、これはディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシーということで御意見いただいておりますけれども――を踏まえた入学者選抜や入学から卒業に至るまでの英語力の向上ということで活用を図るという前提をまとめさせていただきました。
 また、次のページでございますけれども、試験団体におきましては、それらに必要な情報発信を積極的に行うことと、それから、先進的な取組ということも是非、本日松本委員からも御発表いただきましたけれども、そういった取組事例なども発信されることが期待されるということでございます。
 次の(2)でございます。英語力評価における資格・検定試験の妥当性等についてということでございます。これは一般的にテスト、試験におきまして必要な観点ということで、妥当性、それから信頼性、波及効果、実用性、真正性ということで列挙させていただいておりますが、こういったものを踏まえながら、留意しながら具体的な活用方法を各学校で明らかにするということを御指摘いただいております。なおその際、試験を活用して得られる情報の費用対効果も考慮するという御意見もございました。妥当性から真正性については、こちらの方を御覧いただければと思います。
 それから、時間がございませんので、ちょっとここは御覧いただければと思いますが、これらに関しまして、各学校がどのような試験を活用する判断をするかということになりますけれども、その判断する際に必要な情報を、次の試験団体の○を御覧いただきたいと思いますが、積極的に必要な情報を明示していただくということが書かれております。○の中の2行目に括弧で、各試験の目的ですとか出題意図、難易度、目標言語使用領域、出題意図、問題の作成過程、実施方法、試験結果の評価基準、採点手段、結果の利用法、それからレベルですとか、その次の……、済みません、「基準手段」と書いてありますが、これは「基準集団」の誤りでございます。申し訳ございません。後ほど修正させていただきます。それから、検証状況、世界的な参照基準との関係性と、こういった情報を開示していただくことによって、各学校におかれましては、授業、それから入学者選抜におきまして、どのような試験の活用がふさわしいかということを御判断いただくという御意見でございました。
 ここの列挙している項目につきましては、今回のA3の資料にそれぞれ並べさせていただきまして、少し御覧いただければと思いますけれども、各試験団体の皆様方から新しくいただいた情報も入っております。主な目的というのは、今のウェブサイトにも掲載されておりますが、出題の意図ですとか活用の例、それから国際通用性というところでの具体的な内容。それから、2ページ目以降になりますと、受験の人数とか難易度、それから語彙数ということもございます。日本では中・高までいきますと約3,000語ということになっておりますけれども、そういった語彙数も新たに公開していただいたり、それから、受験料から、受験料の減額・補助・助成の支援制度というのが右端に出ておりますが、中には団体受験の場合は、受験料を割引するということでの情報提供も記載いただいております。
 また次のページ、問題の策定過程、それから実施方法、実施形式というのがございますが、4技能といいましても、様々な形態がございます。ペーパーからCBT、対面のスピーキングの試験と、それぞれどのぐらいの試験時間が必要とされているのかということが、少し具体に記載されております。
 また、次のページを御覧いただきますと、成績の表示方法から評価基準、それから受験者、学校へのフィードバック。それから、試験結果の再発行みたいなところもしいますが、こういった具体的な情報を各学校の入試の御担当者のお手元にお届けをさせていただいて、比較考慮といいますか、御検討も多分していただけるのではないかということで、改めて情報提供というものを、この一覧性のある形で御協力いただいたということになっております。これが先ほどの39ページの一番下の○に列挙させていただいた趣旨の内容でございます。
 40ページを続けて御説明させていただきますが、こういった前提の中で、試験団体さんの方におかれましても、試験の結果というものを学校にフィードバックをしていただくと。例えば、こちらのA3の資料にも書いてございますが、単にスコアとかバンドの結果というものをお返しするだけではなくて、例えば生徒さん、学生さんが、4技能でもどういった点が今弱いのかと。どういう学習の改善を図ればいいのかという助言のようなものを記載した結果をお返しをいただいているということもございます。そういった中での教育的効果というものを期待した工夫というものを配慮いただきたいということも記載しております。また、妥当性等、先ほど幾つかの点を挙げましたけれども、それらを実証する調査なども行っていただいているということでございますので、信頼性ということにおきまして、その内容について情報提供に努めていただくということも書かせていただいております。
 また、これらのデータにつきましては、各試験団体さんの御都合の中でも、適宜更新といいますか、改訂をされるという状況がございます。適宜情報発信をいただきたいということもございますけれども、次の○に書いておりますのは、こういった状況を毎年度末を目途に協議会にも提供いただいて、迅速かつ適切に各学校の情報提供に努めるということも書かせていただいております。
 それから、(3)でございますが、多様な生徒学生の能力への適合性ということでございます。後ほど高校3年生の英語力の速報も御報告いたしますけれども、日本人の高校生の英語力というのは、本当にレベルといいますか、その範囲がかなり多様な状況であるという前提でこちらを書いております。そういった状況の中で、生徒学生の英語力及び学習の目的を十分踏まえた英語力の目標の設定が必要であるということでございます。
 これは最初の活用のところでも関連いたしますけれども、十分にそのような配慮が必要であるということで、例えば、学校関係者の○の2つ目でございますけれども、今現在、第2期の教育振興基本計画では、設定されている目標数値といいますのが、例えば中学校卒業段階で英検3級程度以上、高校卒業段階で英検準2級から2級程度以上を達成した中高生の割合は50%という目標数値がございます。これは25年から29年度、5年間の計画ということでございますけれども。それだけではなくて、生徒の特性、進路。例えば先ほども申しました留学とか、様々な卒後のキャリアというものに応じて、卒業段階で、例えばもう少しワンランク上の英検2級から準1級、TOEFL iBT60点前後以上と。これは昨年の有識者会議の報告でも提言されましたけれども、そういった目標も設定をして、生徒の多様な英語力や学習状況の把握・分析・改善を行うということが御指摘いただいているところでございます。
 こういったものも、繰り返しとなりますけれども、留意点といたしまして、次の○に書いてございますように、あくまで生徒学生の英語力、教育活動の一側面に関するものであるということを留意しながら、活用、改善を図っていただきたいということも御指摘をいただいております。また、次の試験団体の方にも、このような多様性に配慮した情報提供を積極的に行うようにということも御指摘をさせていただいております。
 41ページ以降でございますが、(4)入学者選抜における妥当な活用方法等ということでございます。こちらにつきましては、各学校におきまして、試験の成果を活用する際に、例えば具体的な活用方法を明確にするということを指摘しております。ちょっと戻りまして35ページを御覧いただきますと、参考の4というところに、英語4技能資格・検定試験の活用事例というのがございます。今現在、一番多く活用されているのは、例えば自己推薦入試ですとか、それからAO入試で何らかの判断材料として試験の結果の提示を求めるという大学が多うございますけれども、最近では見なし満点、点数加算、それからTEAPの例ですとか、松本委員から御発表いただいた形での活用というものも検討が始まっているというようなこともお伺いをしておりますが、この際、これは生徒学生はじめ社会に対して、これは最初に書いておりましたアドミッション・ポリシー等を踏まえて、どのような意図を持って活用して、これでいうと換算方法と書いておりますけれども、どのように換算するのかという、一般的な換算という意味でございますが、それをきちんと明確にするということを書いてございます。
 それに関連しまして、次に41ページに戻りまして恐縮でございますが、試験団体におきましては、当該試験の結果の確認の方法ですとか、試験官それぞれの比較に関する情報提供等に積極的に努めるということを書かせていただいております。また、前回会議でも御紹介いたしましたように、各試験団体におかれましては、世界標準ということで、ヨーロッパのCEFRの参照枠との関係で、レベルの比較というものが情報提供として提示されているということで、文部科学省におきましては、それを一覧表にまとめさせていただいた対照表というものを提供させていただいておりますけれども、そういった関係性についてはさらなる検証が期待されるということも、御意見としていただいているところでございます。
 次の(5)でございますけれども、生徒学生が受験しやすい環境への配慮ということでございます。ここは学校関係者の皆様方から一番多くの御意見をいただいたところでございます。最初の2つ目の○は、正確な情報を提供するということを繰り返し記載しておりますが、その次に、受験のしやすさということで、公平性、公正性ということを保った上で、受験しやすい環境ということで、学校施設を提供して実施することが期待されるということを書かせていただいて思います。それに対して試験団体の方に伺わせていただいておりますのは、各学校や学校関係団体等が試験を行うに当たり、その目的を踏まえながら受験のしやすさ、例えば経済的状況に配慮した受験料、地域バランスに配慮した実施体制、受験回数等に可能な限り配慮いただくということを指摘させていただいております。特に生徒学生を対象とした試験におきましては、これは試験団体によって考え方が異なるので並列で列挙しておりますが、受験料の減額・補助・助成など、支援制度等についても考慮することが望まれるということでございます。まだ一律どのぐらい減額いただくかということまでは、御議論はちょっとできなかったという状況でございますが、作業部会におきましては、各試験団体の皆様方から、今現に行っていることに加えまして、さらに今後このような方向性というものを検討されたいという御意見の表明をいただいているところでございます。
 それから、42ページの方を御覧いただければと思います。試験団体の皆様方から御提案がございましたのは、後ほど御紹介いたしますけれども、一番コストとしてかかりますのが、会場費と、それから試験監督ということでございました。そういった観点から、例えば学校の会場を貸していただくとか、試験監督を、これは御負担もあるかと思いますが、教職員の方々に少し一定のトレーニングを受けていただくと。マニュアルを読んでいただくというようなことを含めて御協力をいただくといったことがございますと、少しコストを下げることもできるということもございましたので、これは最初に学校の関係者の方々に対するメッセージにも、施設を提供することが期待されるということが書いてございますが、こういった形で双方での協議の中で、まずは生徒学生さんの経済的な負担、それから受験機会の地域での差をなくしていくという意味での受験機会の差をなくすということも、取組として進めていただいてはどうかという御意見も、作業部会ではございました。
 それから、(6)は、適正・公正な試験実施体制ということでございます。これは試験監督、情報管理ということで、一番御意見として多うございましたのは、やはり受験手続のところに書いてございますが、本人確認、それから不正行為の防止策を含むと書いてございますように、活用に当たりましては、試験の結果というものは当然生徒学生さん個人に届くわけでございますけれども、学校として活用する場合には、別途の確認ができるかできないかというものが非常に重要であるということでございまして、A3の資料には、学校としての結果の入手の在り方というものを記載いただいておりますが、さらに今後、これらの取組を工夫していくということと、学校関係者の方々の中でも共通理解をいただくということを御指摘いただいているところでございます。
 それから、7番の国際的な通用性につきましては、下の試験団体の方に書いております、国際的な通用性に関する情報ということを積極的に公表するとともに、例えば試験団体の中でも、海外の試験を実施する機関、それから大学などに対する連携といいますか、働きかけを行っているということがございました。そういうものも積極的に情報発信をしていただいて、例えば試験の国際通用性というのがどのぐらい担保されているかということが分かりやすくするようにするというようなことも御指摘がございます。
 その他でございますが、次の8番でございます。この行動指針をおまとめいただきましたら、まずは周知徹底ということで、各団体の皆様方にも御協力いただきながら、御理解いただくように努めるということもございますし、また引き続き一番御意見が多うございました、受験料の引き下げや試験地域の拡大につきましては、この協議会等を通じて協議を続けて拡大に努めるということなどもございます。また、最後の○ですけれども、英語問題の調査・分析等の取組について、継続して協力するということも書かせていただきました。
 44ページは別添ということでございまして、作業部会で御意見いただきましたものを、ちょっと例示として挙げさせていただいておりますけれども、各学校、それから試験団体において取組が今後期待されるもの、それぞれの検討の課題というものを一旦おまとめさせていただいておりますので、御参照いただければと思います。まずはすぐにも28年度以降の入試の検討も始まりますので、第1弾ということで、こちらの行動指針(案)というものを、今年度内に第1回目を御議論いただいて、おまとめいただく方向で、今日も御意見をいただければと考えておりますので、御意見等よろしくお願いいたします。御説明につきましては、以上でございます。

【多田座長】  ただいま説明のあった行動指針(案)につきまして、御意見等ございましたら挙手をお願いしたいと思います。
 まず最初に、作業部会の主査でもあります吉田委員より、コメントをお願いいたします。

【吉田委員】  今、室長の方から御説明があったとおりで、いろいろな、2回しか会議ができてませんので、全て解決するというようなことはとてもできませんけれども、この行動指針に載っているような内容について、各委員の先生方、それこそ中学校から大学まで、短大、専門学校なども全て含めていろいろ御意見をいただき、また各試験団体にはそれぞれこのA3でまとめていただきました、こういう情報についてその都度提供していただいて、大体共通の情報、項目についてのそれぞれの試験団体の情報をまとめさせていただいたということになります。
 基本的に大きな点としては、先ほど室長からもありましたけれども、1つはやっぱり中学・高校の現場に対するウォッシュバック効果の問題。いわゆる教育の1つの手段としてのこういう評価手段ですよね。4技能テストの利用の仕方ということが非常に大切であって、これは大学などのアドミッション・ポリシーとはまた違うレベルで、どういうような授業を実際に行っているか、またそれがどういう結果として客観的に生徒の力に反映されているかという、それを確認するための1つの手段として教育的効果を図る、そういう意味での役割というのは非常に大きいであろうということが1つ言われましたし、その点もこの中に入っているわけです。
 もう一つが、大学入試の方のアドミッション・ポリシーにあるわけで、ここではいわゆる評価をして、そして選別をするわけですから、いわゆる教育的な現場へのフィードバックとはまた違った形の活用の仕方がここでは要求されるわけですね。ただ、そのときに非常に大切な部分は何かというと、受け入れる方の大学のカリキュラム・ポリシーの問題。先ほど松本委員からもありましたけれども、それぞれの大学がこういう試験の結果を経て入ってきた学生に対して、どういうような教育を施していくのかということを明確にする必要があるのではないか。それをしないと、単なる入り口で終わってしまって、その先全く生かされないことになります。ですから、こういう4技能テストの重要性というのは、中・高の現場に対するウォッシュバックという意味での大きな効果と、それから、大学に対して1つのこれからどういう教育をやっていくのかという指針を求めるという、そういう両方の意味合いを持っていると思います。
 もう一つはやはり換算の問題に関しては、非常に難しいという話は委員の中でございました。完全にどこどこのテストの点数がほかのテストの何点に相当するかという客観的な目標というのはなかなか難しい。スペックも違いますし、目的も違いますし、実施方法も違うということで、なかなかそういう客観的なのはできませんが、今回こういう各テスト団体に情報をいろいろ提供していただいて、それに基づいておおよそこれはこういうレベルに相当するであろうという判断材料を各大学に提供するという、そこまでは可能であろうということは言えると思います。それが今回のこのA3の資料に出ている内容によって提供されるものではないかというふうに考えております。
 それぞれの大学によっては、やはり求めている学生像というのはそれぞれ違うはずですので、それぞれの求めている大学生の人材像に沿って、それにふさわしいテストを採用していただこうと。ただし、そのためには今まで余りにも情報が少なかったので、今回こういうテスト団体さんに本当にお骨折りをいただきまして、非常に詳しいすばらしいこういう表ができましたので、これを活用していただいて、それぞれの大学で活用していただけるのが一番いいのかなと思います。  結論というより、これが1つの出発点として、ようやくここで1つスタートラインに立ったのかなというのが、私の一応印象です。以上です。

【多田座長】  ありがとうございました。ほかに御意見のある方は挙手をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。作業部会の補完に関して、内容でも、クラリフィケーションでも結構ですが。それでは、四方さん、お願いします。

【四方委員】  四方と申します。私は学校関係者でもないですし、専門家でもないんですが、ビジネスに身を置いている者として、今、この案を伺っておりました。ビジネスにおいては、今どの産業においても、グローバルでビジネス拡大しない限りは成長はないという世界に身を置いている者からコメントさせていただきます。4技能というのは、一般的には私も含めて余り聞き慣れない言葉なんですが、ただ英語において、読むだけですとか、聞くだけですというのは、通常コミュニケーション手段としては不十分です。それは実践には使えないという英語として見なければいけないですし、使える英語というのは、これがイコール4技能であると思います。これを是非推奨していっていただきたいと思います。
 今日は学校でのいろいろな英語に関する資格・検定の話ですけれども、ビジネスにおいても入社の1つの条件として、外資だけでなく日本の企業も取り入れています。企業内教育でも向上の目安として、今日幾つか上がっている団体さまを実際に使っている状況ですので、費用とか読みかえの困難さとか、同じ問題に企業も直面しています。課題はありますが、学校教育としては是非早く加速化していただきたいですし、学校教育の向こうには、今度ビジネスの社会があります。うまくそこにつながっていけばいいと期待し、是非応援したいと思います。

【多田座長】  ありがとうございました。ほかには。安河内さん。

【安河内委員】  作業部会に私も出席させていただきましたので、御報告も兼ねてお話しさせていただきたいと思います。今、吉田先生から、ウォッシュバック効果についてのお話がありましたけれども、私も今年はたくさんの受験生を教えまして、M大学にもR大学にもJ大学にもたくさんの受験生を送り込みましたけれども、残念ながらこの全ての受験生は、4技能の学習をしていません。受験前になると、その大学で求められる技能の学習しかしなくなるんです。このことが、試験が与えるウォッシュバック効果として問題視され、4技能試験というお話になっているということがまず1つです。
 あとは作業部会の中で、世界のトップ大学でどのような試験を、日本からの留学生に対して認めているかということを調査しました。そうすると、世界のトップ100の大学で認められているのは、97大学において原則として4技能試験でありました。具体的に言うと、特にTOEFL iBTとISですね。つまり、日本の学生を世界のトップ大学に送り出す道としては、もう4技能以外の道はないんです。97大学が4技能試験なんです。残りの3つの大学は、韓国のある大学と日本の2つの大学です。
 こういう状況ですから、大学入試までの助走である勉強が1技能、2技能で、それからTOEFL iBT90点、100点、これを2年、3年以内に取らなくちゃいけない。これは非現実的ですね。やはり助走も4技能。それから、大学で目指すテストも4技能。ここを合わせることが、日本の学生の英語力の国際通用性を高めることになるわけです。そこから、この4技能という話が始まっているわけです。
 あとは2技能試験が起こす悪いウォッシュバックというのは、世界中で顕在化しています。私もTOEIC SW試験のプロモーションを長い間やらせていただいているんですが、LR試験が先に走ってしまうと、後からSWをくっつけるのは非常に難しくなるんです。TOEIC試験は現在、230万人がLR試験を受験しています。しかしながらSWは、こんなに頑張ってプロモーションしても、今、1万5,000人ぐらいですね。これを追いつかせていくのは非常に難しいので、まず各団体さんにお願いしたいのは、LRを先に走らせないということです。隣の隣にいらっしゃるJ大学の吉田先生にも強くお願いしたいんですが、来年のJ大学の一般入試のTEAP方式は、LRだけというオプションを作らないでいただきたい。是非ここは先頭ランナーとして4技能、これを固守していただきたいなと思います。ありがとうございました。

【多田座長】  ありがとうございました。そのほかに御意見、コメントがあればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 今の2つの委員の質問を受けて、事務局の方から追加の説明とかはありますか。

【圓入外国語教育推進室長】  特にまだ。

【多田座長】  ほかに、せっかくの機会ですから、いかがでしょう。尾関さん、お願いします。

【尾関委員】  質問させていただいてよろしいですか。今ここで話されているのは、外部のAO検定試験なんですが、この後に出てくる高大接続の話になると、外部検定試験が一切出てこなくて、大学入学者希望試験の方になっていくんですけれども、この外部試験というのは、例えば国立大学でも、大学入学希望者学力評価テストプラスこういう外部試験両方を使っていいですよということになるんでしょうか。
 そこが1つ疑問なのは、あと例えば、大学入学希望者学力評価テストという、4技能をはかる、センター試験にかわるものができたとしても、国立大学の2次試験って存在するんでしょうか。もし存在するとしたら、全く意味がない。4技能は適当に勉強して、あとは文法、和訳をやりましょうねということになると思うんですね。なので、文部科学省は、国立大学の2次試験を廃止する気持ちがあるのか。廃止できる権限はあるのかどうかということと、それから、国立大学においても外部英語検定試験も使っていいですし、大学入学希望者学力評価テストの両方を使っていくことを推奨されるのか、ちょっとお聞きしたいんですが。

【多田座長】  これは室長、お願いします。

【圓入外国語教育推進室長】  ただいま御質問いただきました内容につきましては、次の議題のときに状況の御説明もさせていただければと思います。なお、160ページに12月に高大接続の関係の答申をいただきまして、これから今御質問いただいたような内容については、両方の方向性ございますが、検討するということも書いてございまして、これは後ほどの議題で御議論をいただくということでございますので、よろしくお願いいたします。

【尾関委員】  2次試験についてもですか。

【圓入外国語教育推進室長】  91ページの方を御覧いただきますと、今、大学入学希望者学力評価テストと高等学校の基礎学力テストと、また別途各大学における個別選抜の在り方というイメージの図が添付されております。こういったことも含めて、今後検討ということになっておりまして、後ほどの時間帯で御議論を是非いただければと思っております。

【尾関委員】  分かりました。

【多田座長】  ほかには御意見、コメントどなたかありますでしょうか。圓月委員、お願いします。

【圓月委員】  行き届いた御説明ありがとうございました。4技能については全く異論はありませんでして、語学力に関しまして4技能が必要だということは、まさにそのとおりだと思います。39ページの下のところにもちょっと書いてあるんですけれども、あとこの妥当性の問題の中で、4技能プラス英語で論理的・批判的に思考し、表現力云々というふうな、今回の学力の問題なんかとの接続を考えておられるんだと思うんですけれども、語学の訓練がクリティカルシンキング、批判的能力の育成というものに直結するのかどうか。そのあたりについては、また少し教育学的にも検証が必要なんじゃないかなと思うんです。
 検定試験の概要を見せていただいても、批判的思考能力などを目的に挙げておられる試験もあれば、必ずしも挙げておられない試験もあると。そのあたりで、ともすると英語ができれば批判的思考能力、論理性もあるというふうになると、少し誤解を生じるところもあるので、今後また作業部会等で詰めていただきたいなと思っております。

【多田座長】  ありがとうございました。ほかには御意見いかがでしょうか。
 そうしましたら、時間も迫っておりますので、まだまだ御意見いただけるとは思いますけれども、方向性につきましては概ね異論はないと思われますので、本行動指針(案)をとりまして、連絡協議会として決定し、その後、参加団体で周知を図っていただくとともに、文科省から関係機関へ周知をしていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【多田座長】  ありがとうございます。また、本日いただきました御意見につきましては、主な御意見として議事録に記載させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは次に、高大接続改革の答申において指摘がなされ、英語の資格・検定試験活用促進に関する検証事項の議論に移りたいと思います。まずは高大接続改革の動きにつきまして、高大接続改革プロジェクトチームの新田主任大学改革官より御報告をお願いいたします。

【新田主任大学改革官】  失礼いたします。高等局の主任大学改革官でございます。私の方から、高大接続改革の現状と検討の方向性ということについて御説明させていただきます。資料の方は45ページからになります。
 45ページから、答申本体は51ページからでございますが、概要資料45ページに基づいて、まず高大接続答申について御説明させていただきます。本答申は、平成24年8月の諮問以来、2年5か月の審議を経まして、昨年12月に答申されたものでございます。答申の概要の冒頭にございますとおり、今回の答申は、高校教育、それから大学教育及び両者を接続する大学入学者選抜の抜本的な改革を提言するというものでございます。
 まず1枚めくっていただきまして46ページ冒頭、克服すべき課題といたしまして、1行目最後の方からございます、現状の高等学校教育、大学教育、大学入学者は、知識の暗記・再生に偏りがちであり、思考力・判断力・表現力や、主体性、多様性、協働性などまでを含む学力の3要素に基づきます真の学力が十分に育成・評価されていないという現状認識のもとに、具体的には次の高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革の欄にありますとおりに、1つ目の四角で、高等学校教育については、学習指導要領を抜本的に見直して、育成すべき資質・能力の観点から構造の見直しを図るとともに、課題発見や解決に向けた主体的・能動的な学習・指導の方法であるアクティブ・ラーニングの飛躍的充実を図るということ。
 2つ目として、高等学校教育の質の確保・向上を図るという観点から、高等学校基礎学力テストを導入するということ。2つ目の四角で、大学教育についてということで、各大学において個々の授業科目を超えて、教育課程全体としてのカリキュラム・マネジメントを確立するとともに、アクティブ・ラーニングへと質的に転換をするということ。大学入学者選抜については、3つ目の四角にあります、現行の大学入試センター試験を廃止し、大学で学ぶための力のうち、特に思考力・判断力・表現力を中心に評価をいたします、大学入学希望者学力評価テストを導入し、各大学の活用を促進するということ。
 次のページの1つ目の四角にあります、各大学における個別選抜については、学力の3要素を踏まえた多面的な選抜方法をとるものとすること。具体的な選抜方法等に関する事項を、各大学がその特色に応じてアドミッション・ポリシーにおいて明確化するということ。このため、同ポリシーの策定・公表を法令上位置付けるということ。その下の○でございますが、大学にとって改革のインセンティブとなるような財政的措置等の支援を行うことなどを提言しております。
 また、次の(2)グローバル化に対応したコミュニケーション力の育成・評価ということにつきましては、英語について「読む」「聞く」だけではなく、「書く」「話す」も含めた4技能を総合的に育成・評価するということが重要であるということから、大学入学希望者学力評価テストにおいては、4技能を総合的に評価できる問題の出題や、民間の資格・検定の活用を行うとともに、高等学校の英語教育について4技能に係る一貫した指標の形で設定できるよう、学習指導要領を改訂することとしております。
 その下、(3)学習指導要領の改訂も含めた高等学校教育改革の実現ということについても記述されているということでございます。
 なお、1枚めくっていただきまして49ページでございます。49ページ、大学入学者選抜改革の全体像というところで、ただいま御説明いたしました改革の全体像をイメージとしてまとめておりますので、後ほど全体像のイメージとして御参照いただければと思います。
 また、ちょっと飛びますが91ページを御覧いただけますでしょうか。91ページ、答申の別添資料5でございますけれども、こちらに高等学校基礎学力テスト、それから大学入学希望者学力評価テストの難易度と、大学入学者選抜の活用方策のイメージというところにおきまして、今申し上げました2つのテスト及び各大学の個別選抜と評価する内容、学力の3要素との関係性についてのイメージが記されておりますので、あわせて御参照いただければと思います。以上が答申でございます。
 1枚めくっていただきまして、93ページからでございます。93ページからが、高大接続改革実行プランでございますが、こちらは今申し上げました答申内容を踏まえて、文部科学省として今後取り組むべき重点施策とスケジュールを明示したものとして、1月16日に文部科学大臣決定として公表させていただいたものでございます。本プランにおきましては、その概要、左側にありますとおりに、各大学の個別選抜の改革。それから、2番目の高等学校基礎学力テスト及び大学入学希望者学力評価テストの実施。3番目、高等学校教育の改革。4番目の大学教育の改革の4つの柱ごとに、具体的な施策と実施時期を明示し、改革のスケジュールが一覧できるように、次のページでございますけれども、改革に向けた工程表というのも添付したものでございます。
 概要の方でございますが、このうち特に各大学における個別選抜の改革ということにつきましては、多面的・総合的に評価する大学入学者選抜に改革するという基本的な考えのもとに、具体的にはアドミッション・ポリシーの充実の観点からの法令改正。具体的には、大学教育の仕上がり基準でありますディプロマ・ポリシー、それからそこに至るまでのカリキュラム・ポリシー、そしてそのような教育を行うに至るものを明示したアドミッション・ポリシーの3つを一体的な策定を義務付けることと。そして、この各大学は、自大学が示したアドミッション・ポリシーに基づいた入学者選抜を行うというのが制度的な立て付けでございます。
 また、94ページの工程表の方を御覧いただきますと、94ページ、工程表の一番左の欄で2段目の欄、大学入学希望者学力評価テスト、高等学校基礎学力テストの欄でございますが、実施内容に、専門家における検討という欄にございますけれども、今、2つのテストの対象教科・科目、それから「教科型」「合教科・科目型」「総合型」等の枠組み、問題蓄積、記述式導入の方法、CBT導入方法、成績表示の在り方等について、同専門家会議において27年中に基本的な在り方について御検討いただくということにしております。
 飛んで恐縮でございますけれども、106ページを御覧いただきますと、今申し上げました専門家会議として、高大接続システム改革会議が設置をされ、去る3月5日に第1回会合が開かれているということでございます。106ページ、それから107、108ページでございます。106ページが委員の名簿でございますが、107ページが去る第1回目の会議で配付させていただきました高大接続改革の実現に向けた基本的な考え方とその主な課題ということでございますが、2.が主な論点・課題でございます。大きくは1で、高等学校教育でございますけれども、ここでは1つ目の○にありますような、主体的・協働的な学びの推進と、そのようなものとするよう、4つ目の○にございます学習指導要領の見直し。そして2つ目の○にありますような、そのような教育が行われる教員の養成・採用・研修の在り方。これらについては、主に中教審等でも議論されておりますが、これとあわせて高等学校基礎学力テストの導入といったことが論点として上がるわけでございます。
 2つ目の大学教育改革ということにつきましては、1つ目の○にありますような、大学教育の質的転換。それから、2つ目の、先ほど申し上げました3つのポリシーの義務付けを通じた大学教育の質の向上、認証評価の在り方といったようなことが、大学教育改革における論点。
 3つ目として、各大学における個別選抜改革の推進方策としては、先ほど申し上げましたようなアドミッション・ポリシーの一層の明確化と、それに基づく入学者選抜の実施。そこにおける多面的・総合的な評価として求められる選抜の在り方等々が論点になってくるということでございます。
 1枚めくっていただきまして、4つ目が多様な学習成果・学習活動の評価ということで、高等学校の調査書や指導要録等の在り方。
 5つ目として、2つの新テストでございますが、まず1つ目の高等学校基礎学力テストについて、(1)対象教科・科目、それから作問等の在り方として、1つ目の○にございますとおり、対象教科・科目、出題範囲等の設定の在り方。特に英語につきましては、4技能を問う試験を目指すための方策。2つ目の求められる作問のイメージの明確化、難易度の在り方等。
 2つ目といたしまして、CBTの導入の在り方、それからテストの実施回数等の制度設計。3番目の試験の実施方法。場所でありますとか、回数でありますとか、時期でありますとかといった方法。それから、実施体制。4番目の成績表示、5番目の評価の活用方策。6が高卒認定試験との関係についての整理等々が、論点・課題となってきます。
 また、2番目の大学入学希望者学力評価テストにつきましても、(1)対象教科・科目、作問の在り方といたしまして、特に教科型のほか、合教科・科目型、総合型に関する具体的枠組み。特に英語については、先ほど申し上げました4技能との関係。2つ目の、求められる作問のイメージの明確化、難易度。2番のCBTの在り方とテストの実施回数・実施時期。3番の成績表示の在り方等が論点・課題となっているというところでございます。
 以上が、高大接続改革の検討の状況と、今後の議論の方向性ということで御説明させていただきました。なお、先ほどお話がありました、新センター試験となります大学入学希望者学力評価テストにおける先ほどの英語の在り方につきましては、今申し上げたとおりでございます。また、特に2次試験の在り方ということにつきましては、答申では特に、先ほどのイメージ図のところにあります、1次試験の方で基礎学力の方を抑えて、各大学の個別選抜におきましては、特に小論文、プレゼンテーション等を活用した、主体性・多様性・協働性を中心とした評価の方に移っていただくというのが基本的なイメージでございますが、いずれにしてもここのところの在り方ということにつきましては、大学入学希望者学力評価テストのどこまで広範囲、高難度のところまでが押さえられるようなテストになるのかとの関係性と、あと大学におけるアドミッション・ポリシーに基づいて、各大学の方でお決めいただくという部分は変わらないということでございます。以上でございます。

【多田座長】  ありがとうございます。ただいまの報告につきまして、御質問のある方は挙手をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。尾関委員。

【尾関委員】  御説明ありがとうございました。ということは、2次試験は、ひょっとしたら変わらないかもしれないということでしょうか。一応パフォーマンス評価みたいなことは書いてあるんですが、強制ではないみたいですよね。面接とか小論文とか。今までどおり筆記試験、ペーパーとペンの筆記試験を行ってもいいということですか。

【新田主任大学改革官】  先ほど、制度的には現状においても、各大学の入学者選抜は、各大学でお決めいただくということは、従来からもそのように、入学者選抜実施要綱には基づいておりますが、そこに文部科学省からの義務付けというほどの強制力があるかといえば、現状でもないというのは、これまでとは変わらないと。ただ、そこのところはいずれにしても、各大学におけるアドミッション・ポリシーで自ら決め、明確にし、それに基づいてくださいという立て付けにするという部分については、今後は少し進みますがと。その中における多面的・総合的な評価の在り方、またはそちらの方を行っていく場合での誘導の在り方。そして、また個別選抜の入試の改善の方策というのについても、高大接続システム改革会議の方で御議論いただきますけれども、それは誘導策とか基本的な考え方、方向性ということについてお決めいただきますけれども、制度的な立て付けは、先ほど申し上げたとおりでございます。

【多田座長】  ありがとうございました。ほかには。松本委員。

【松本委員】  46ページで御説明いただいた点なんですが、大学入学者選抜の改革というのは、高等学校の教育の質的変化と一体なんだという御説明はすばらしいと思うんですが、そこに「学習指導要領を抜本的に見直し」というふうにあるんですけれども、この抜本的というのはどういうところまでをお考えなのか。あるいは、まだそこまでは議論されていないのか、お話をいただければ幸いです。

【新田主任大学改革官】  学習指導要領の見直しにつきましては、昨年秋から既に中教審の教育課程部会の方で今、検討が進んでいるということでございます。今御覧いただきました概要で、学習指導要領の改訂も含めた高等学校教育改革の実現という(3)の欄でございますけれども、大きくは2つあるかと思っております。
 1つ目は、1つ目の○にございますとおり、従来教える内容について書かれていた学習指導要領について、そのほかそれによってどのような力を身に付けるのか。また、②のそうした力を育てるために、指導内容だけではなくて方法、それから環境についても明確にしていくという関してからの構造的な見直しの部分。そして、さらには2つ目にございますけれども、次のページからになりますけれども、例えばこういう内容についてはどう盛り込むべきだろうか、盛り込まないべきだろうかというようなことで、例としては5つ四角がございますけれども、この中で特に思考力・判断力・表現力を育成するための課題の発見と解決に向けた主体的・協働的な学習指導の方法の飛躍的充実の方策でありますとか、また3つ目にございますような、高度な思考力・判断力・表現力・育成評価するための科目を検討することというようなことがございます。
 ですので、申し上げますと、先ほどの何を教えるかではなくて、育成する能力及び指導方法までを記述するような構造に変えていくという1つ目の点と、また新たな内容についてどのように考えるかという2つ目の点、これらについて今、教育課程部会の方で御議論いただいているということがございます。

【多田座長】  では、小林課長の方から。

【小林国際教育課長】  ちょっとだけ追加でございます。本日の分厚い資料で、今、新田改革官の方から御説明申し上げたのが、166ページにございます。166ページの下の方のイメージでございまして、何ができるようになるのか、何を学ぶのか、どのように学ぶのかということで、従来は左の方の何を学ぶのかというところでの見直しが非常に重点的だったわけでございますけれども、今回抜本的に見直す中で、何ができるようになるのかとか、どのように学ぶのかという点を加えたということで、中身については現在、教育課程部会の方で検討中でございます。

【多田座長】  ほかに。安河内委員。

【安河内委員】  尾関先生が言われたことに関して、問題点を少し具体化させていただきます。国立大学の2次試験の何が問題なのかということです。国立大学の2次試験は、多くの大学が翻訳や日本語の論述を中心とした問題を出題しています。指導する側としては、センター試験のLRで点数が取れるようになってしまった生徒は、2次試験が目標になりますから、そこから先、翻訳や論述のの勉強ばかりやるんです。例えば、関西地区の受験生は特にその傾向が強いんですが、ある関西のトップ大学では、入学直後に2技能のTOEFL ITP試験を受けると、大体500点をちょっと超えるぐらいの点数しか取れないそうです。ここから、受験で全く勉強していないスピーキングの再教育をして、4技能試験で世界に学生たちを送り出す。大変難しいですよね。つまり、国立大学の2次試験は、翻訳や論述に偏ったウォッシュバックを起こしているということなんです。
 一方で、学習指導要領は、翻訳や日本語の説明に偏った教育をしないように中学や高校の教育現場に求めています。ある鹿児島の高等学校の高校1年生から、こんな手紙がちょうど先週届きました。かいつまんで内容を紹介します。「私は音声を中心とした勉強をしたいので、先生に授業でもっと音を使った指導をしてもらえるようお願いしました。しかし先生は、全文和訳の授業しかしてくれません。先生は、国立大学の2次試験では和訳が出る。国立大学に行きたかったら、音を使った勉強よりも、和訳の勉強を一生懸命やりなさいと言いました。」このような偏った英語指導が、全国の進学校と呼ばれる学校でまかり通っている。これが、国立大の二次試験や、和訳・論述問題が引き起こしている大きな問題点です。ということだけつけ加えさせていただきます。試験の偏りが、偏った指導をすることに言い訳を与えているんです。

【多田座長】  ありがとうございました。ほかには。奥田委員。

【奥田委員】  確認というか、原点の話なんですけれども、先ほどからウォッシュバックの話も出ているんですけれども、それはすごく賛成なんですけれども、文部科学省として、4技能の世界で通用する英語レベルというのを、4技能をある一定の高さに持ってくるのは、最終的には高等学校卒業の段階でそこまで何年後かに持っていきたいと思われているのか、それとも大学の卒業時、もしくは3年生ぐらいのところで最高レベルまで持っていきたいというふうに思われているのか。要するに、吉田委員がおっしゃられましたように、これは結論ではなくてスタートであるということで、どういう形でそれを考えていらっしゃるのかという。アジアなんかでは、高校を卒業したらしっかりと英語をしゃべれるようになって、大学では当然英語だけで行われている大学というのもあるんですけれども、日本の将来というのはどういうふうに考えていらっしゃるのかというのを、もう一度確認をさせていただきたいんですが。

【多田座長】  これは事務局、いかがでしょうか。

【圓入外国語教育推進室長】  目標設定の話は、先ほどの指針の中でも少し御説明させていただいた、中長期というより短期的なお話でございますが、高校卒業段階で英検準2級から2級程度を50%ということで、第2期の教育振興基本計画上に、一応成果指標としては出しております。ただ、そもそものお話として、学校教育制度の中でどのように求めているかという、かなり長期的なお話になりますけれども、これは学教法の中にも明記されておるんですが、生涯にわたって学ぶ姿勢、態度といいますか意欲から、それから主体的に課題を解決するというところが、英語だけではなくて、1つは教科横断的なお話ではございますけれども、求められているということで、9月末の有識者会議でもこの御指摘がございまして、学校の中で期待されていることというのは、そういった普遍的なことと、それから短期的には、1つの客観的指標として、民間の資格・検定試験の数値目標というものを閣議決定である第2期の教育振興基本計画で求めさせていただいているということでございます。

【多田座長】  ありがとうございました。まだ御意見あると思いますが、後ほど全員の方々にコメントをいただきますので、そこでまた含めて御議論いただければと思います。
 次に、作業部会における検証状況の報告を、事務局よりお願いいたします。その後、質疑応答、意見交換といった形で時間を設けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【圓入外国語教育推進室長】  それでは、資料の御説明をさせていただきたいと思います。資料5でございまして、ページでいきますと109ページから御覧いただければと思います。
 先ほど、高大接続の関係の答申の御説明がございました。160ページに、先ほど尾関委員からの御説明に対しまして、英語に関する指摘の抜粋部分を添付しておりますけれども、それをちょっと御参照いただきながら、第1回目の御説明を、繰り返しになりますけれども、御覧いただければと思います。
 こちらの大学入学希望者学力評価テストにつきましては、答申におきまして、特に英語については4技能を総合的に評価できる問題の出題、例えば記述式問題などや民間の資格・検定試験の活用により、「読む」「聞く」だけでなく、「書く」「話す」も含めた英語能力をバランスよく評価すると。また、他の教科・科目や合教科・科目型、総合型についても、英語についての検討事項を踏まえつつ、民間の資格・検定試験の開発・活用を見据えた検討を行うということが指摘されています。
 160ページの真ん中の※をもう一度御覧いただければと思いますが、こちらに9月末におまとめいただいた有識者会議の報告書を参照しつつでございますけれども、こういった答申の指摘を踏まえながら、検証をこちらの連絡協議会で速やかに行っていただきたいということが、当時から指摘をされておりました。この※の3行目、1番目を御覧いただきますと、日本人の英語力の現状を踏まえたテスト開発の在り方、各試験間の得点換算の在り方、受験料など経済格差の解消、受験機会など地域格差の解消等に関する具体的な検討が必要ということで、本連絡協議会において速やかに検証が行われるよう求めるということでございました。なお、高校の基礎テストの方、下段の方に、これも記載されておりますけれども、あわせて民間の資格・検定試験も積極的に活用するという形で検討の方向性が示されておったわけでございます。
 こういった指摘を踏まえまして、109ページに戻って、作業部会第1回分でございますけれども、第2回目におきまして、3つの検証を求められている事項につきまして、御参考までのデータも示しつつ、論点となる御意見をいただいたという状況でございます。本日は、重立ったデータと関連した論点を御紹介させていただきまして、後ほど本連絡協議会でも御意見をいただければと考えております。また、先ほど新田主任改革官からも御紹介ありました、高大接続システム改革会議でございますが、次回以降の予定がまだ具体的に決定しておりませんけれども、例えば3月末、4月以降に、またこの改革会議の中の何かしらの会議の中で、本日いただいた御意見をまとめまして、例えば御報告をするという形で、第1回目の連絡協議会でも御案内いたしましたように、両会議の連携を図るということにさせていただきたいと考えております。
 それでは、109ページの御説明でございます。まず1番目の、日本人の英語力の現状を踏まえたテスト開発の在り方ということでございます。こちらが日本人の英語力の現状ということなので、事務局の方でございました関係するデータの御紹介でございますが、109ページの下段の現状のところを御覧いただければと思います。生徒の英語力につきましては、先ほど来御説明いたしましたように、第2期教育振興基本計画でも一定の数値目標を成果目標として掲げておりますけれども、その現状をアンケート、例えば教育委員会を通じまして、教員の先生方から確認をとっていただく。もしくは御覧いただいたときに、例えば英検準2級程度ということでのアンケートをとらせていただいております。
 そちらのデータが、この赤字で書いております、公立高校3年生で教育振興基本計画に掲げている目標を達成している割合が、約31%ということでございます。なお、中学校の目標数値もございますけれども、こちらも約32%ということで、50%を目指している途中段階ではございますけれども、こういったことを毎年フォローアップさせていただいているということでございます。
 それからもう一つ、本日御紹介させていただきたい結果でございますが、高校3年生の英語力の調査の結果でございます。こちらは少し後ろになりますけれども、124ページの方を御覧いただければと思います。26年度初めての全国無作為抽出で行う4技能型のフィージビリティー調査ではございますが、実施させていただいた結果の速報でございます。その概要でございますけれども、こちらの調査の目的がございますが、そもそも第2期振興基本計画でも、成果目標を掲げつつ、提言の中に、グローバル人材の育成に向けた取組といたしまして、外部試験団体と連携した生徒の英語力の把握・検証を行って、戦略的な英語教育改善の取組支援を行うということが指摘されておりました。
 こういったことと、今回こちらの方は書いてございませんけれども、教育再生実行会議などの提言を踏まえまして、文部科学省から12月に公表いたしました、グローバル化に対応した英語教育改革の実施計画というのがございますけれども、その中でも、これはいつということは明言されておりませんけれども、将来的な目標数としては、卒業時に英検2級以上ということで、CEFRでいいますと、少し教育振興基本計画よりも高いレベル設定というものも提言がなされております。
 それらの状況を踏まえまして、今回の調査を始めたわけでございますけれども、対象といたしましては、全国の高校3年生約7万人。これは3年生の在籍者数でいきますと約1割弱でございますけれども、国公立の御協力いただけた学校480校を対象に、4技能の試験を実施させていただいたということでございます。ただ、話すことについては、これは時間的、予算上の制約もございまして、各校1校当たり1クラス40人程度、その学校の先生に1時間ほどの自己学習のトレーニングを受けていただいて、試験を行うという形で実施させていただいたものでございます。
 この目的といたしましては、この結果を3月末までに分析を続けまして、まとまったものは教育委員会などを通じて学校にお戻ししまして、学校での指導改善や生徒の学習状況の改善・充実に活用いただくということになっております。
 今回御紹介いただくのはその一部でございます。こちらの調査結果につきましては、平成26年度の高校3年生でございますけれども、特徴のところを御覧いただきたいと思いますが、旧学習指導要領で学んだ高校3年生を対象といたしまして、来年度、新学習指導要領で学んだ生徒との調査を経年比較をするというものでございますけれども、特徴といたしましては、先ほど来、CEFRの基準との比較というものがございますけれども、それを参照する、活用するという形で、右の125ページを御覧いただきたいと思いますけれども、結果を、生徒全体の英語力、スコア分布という形であらわしているものであります。
 こちらを御覧いただきますとお分かりいただけますように、「読むこと」「聞くこと」については、A1の上位からA2の下位レベルに集中していると。それから、「聞くこと」「話すこと」については、残念ながらA1の下位レベルの方に集中していると。なお、御参考までですが、「書くこと」については2問あったんですけれども、1問目につきましては、B1、B2ぐらいの聞いて書くという、ちょっと統合型の技能ということをはかったものでございまして、1問目で筆を置いてしまうといいますか、何も書いていらっしゃらないという方も多かったという状況でございましたので、ちょっと難し目のところから入ったということも御理解いただきたいと思います。そういった全体の傾向が初めて分かりましたのと、それから、質問紙、アンケートも生徒さん、教員、それから学校にしておりまして、今回御紹介いたしますのは、126ページ以降を御参照いただければと思います。
 126ページは、生徒さんの英語学習に対する意識のお話でございますけれども、なかなか全体を見ますと、英語が好きでない方が多いという傾向がございますけれども、右側にテストの結果と意識の方をクロス集計したものを御覧いただきますと、試験結果が高いほど、意識としては高い。それから、現在の英語と将来の英語使用のイメージを御覧いただきますと、英語のレベルによって、将来の英語使用のイメージがかなり異なるということが見ていただけると思います。また127ページを御覧いただきますと、4技能を通じた言語活動に対する意識ということで、今回は生徒さんの意識を見ていただいておりますが、やはり上段にありますように、なかなか聞いたり読んだりすること、英語で話し合ったり意見交換する経験が少ないということが分かりますが、話すことの、例えば試験結果が高いほど、授業の中では生徒同士で英語で話し合ったり、意見を交換していたという比率が高いと。下の方では、スピーチやプレゼンテーションも同様の傾向が見られるという結果が出てまいりました。
 今回の結果というのは、まだ速報ということで一部でございますけれども、最初の109ページに戻らせていただいて恐縮でございますけれども、1つ目の論点の、日本人の英語力の現状を踏まえたテスト開発の在り方ということでは、今後の議論におきまして、御参考にしていただければと思います。なお、作業部会の時点では、こちらの2つ目の調査結果はまだ公表させていただいてなく、本日初めて公表させていただくんですけれども、その中で主な御意見として、論点として出てまいりましたものが109ページの下3つございます。
 1つは、英語の資格・検定試験、やはりノウハウが蓄積されているということで、活用すべきではないかということがまず大前提としてございますけれども、それから、新テストで検討するに当たりまして、学習指導要領や日本人の英語力の現状を踏まえて、民間の資格・検定試験団体等のノウハウを生かして、国と試験団体が協働で実施する方策を検討できないかという御指摘でございました。こちらの方は、前回1回目のときにも御紹介させていただきましたように、4技能試験を行っていただいて御協力いただいている団体様、今、6団体で8試験ということでございますが、比較的A1、A2レベルで4技能をはかれるという試験はまだ少のうございます。そういった中で、新たな方向性として、段階的になると思いますけれども、共同開発ができないかという御意見が多うございました。
 次に移らせていただきたいと思います。試験の概要はちょっと省略させていただきまして、次の論点でございますが、受験料と受験会場などの機会のお話でございます。114ページ以降でございますけれども、まずは受験料の負担についてということでございます。これは受験料がどのぐらいかというのは、団体の皆様方に御協力いただきまして、データを掲載させていただいているところでございますけれども、やはりはかるはかり方、それから質的な、どこまでを求めるのかということにつきましては、それぞれのレベルも含めまして、受験料が異なるという状況でございますが、平均的に約2万円から1万円弱の、低めのところでは7,000円弱というような状況でございます。
 各試験団体におかれましては、先ほどの行動指針でもお話がございましたように、なるべく工夫をして、例えば会場費や試験監督費など、かなりコストがかかるという面も含めて工夫をすれば、コスト削減の可能性があるという御意見をいただいているところでございますけれども、作業部会における論点といたしましては、こちらのまず1点目でございますけれども、受験料の経済的負担に関する懸念でも多数実際ございましたし、今後そのような社会的に御意見も出てくるということが予想されると。それらに対する配慮というものは、必ず必要ではないかということがまず1点目でございます。
 2点目でございますが、試験の活用、促進の、これだけかかるということであれば、効果とともに負担の影響などについて、把握・分析も必要ではないかという御意見。それから3点目でございますけれども、負担軽減の観点からは、新テストの中では4技能測定を行うということを前提にした方策、国がある一定の責任をもってコスト面も含めてはかる範囲を想定して実施すべきではないかという趣旨で、このような御意見がございました。
 また115ページの、受験会場・実施回数の方を御覧いただければと思います。116ページをお開きいただきますと、6団体・8試験の今の実施状況の数字を全て御提供いただきまして、それを総計した回数を県別で比較しております。一番上の緑の日本地図を御覧いただきますと、やはり都心部、東京、埼玉、神奈川が非常に多いというふうに見えますけれども、オレンジ色の日本地図を御覧いただきますと、各大学、高校、中学校それぞれの各県の在籍生徒数、学生数に対する実施機会・回数を比較した比率で並べかえて見ております。そうしますと、大学ですと秋田、福島、鹿児島の方が多いと。逆に東京、大阪、都心部の方が機会としては少ないというものが見えてまいりました。
 こういった受験会場・実施回数による地域間の機会の差というものはまだまだございますけれども、作業部会におきます論点でございますが、115ページ下の方に書いてございます、公平性の観点から、学生生徒数に対する受験機会を確保するための方策というものをさらに検討する必要があるということ。それから、2点目でございますが、学校等と試験団体との具体的な連携方策を考えなければ、改善が図られないのではないかという御意見がございました。
 なお例として、例えば御意見としてございましたのは、こういった学校の関係者の方々と試験団体の方々が相互協力の仕組みを作って、実施を意識して回数を増やしていくという取組を進めてはどうかと。例えば、協働プロジェクトというものを、コストを下げるということを含めて検討してはどうかというような御提案もございました。これが2点目でございます。
 3点目でございますけれども、118ページを御覧いただければと思います。各試験の得点換算等の在り方について検証ということがございました。これは先ほど来、得点換算表、例えば精緻なものを作るということは難しいという御意見をたくさんいただいたという御意見ございましたとおりでございます。現状でございますが、直接の試験間の精緻な換算というものは今ございませんで、今回資料でもお配りしているのは、あくまでCEFRとの関係をあらわす対照表ということでございます。114ページにもいつもの表を掲載しておりますけれども、そういったものを公表を、各試験団体の中でも研究をされて公表されているのが現状ということ。それから、文部科学省の方でそれぞれの団体様からいただきましたデータを対照表で作って情報提供させていただいておりますので、大学の中では、中・高の先生方の中では、これを今御覧いただいて、今後どうするかということを御検討いただいているというのが現状かと思います。
 そういった中で、作業部会における論点といたしましては、なかなか精緻な換算表を作る、検証するというのは、非常に膨大な、相当なデータ等の裏付け、それから時間が必要だということでございますので、まずは今行われているCEFRとの関係性を公表している結果につきまして、より信頼性を持っていただくということにつきまして、どのようなそれぞれ各団体検証を行ったのかという情報公開を行っていただくということで対応してはどうかというような御意見がございました。そういった観点を118ページと119ページの上段に書かせていただいております。
 なお、換算につきましては、もし新テストの関係で検討するという方向性が、具体の議論が進んでから検討すべきではないかという追加の御意見などもいただいております。当面は4技能の試験を今活用するという方向では、これまでの調査研究をさらに補完するような調査研究を行ってはどうかと、そういった御意見をいただいたところでございました。
 御参考までに御紹介ですが、資料7の130ページ以降に、作業部会における主な御意見ということでございますが、かなりたくさんの御意見を会議前後にもいただきましたので、それを列挙したものを添付させていただいております。134ページ以降を御覧いただきますと、それぞれの検証事項につきまして、いただいた御意見というものを列挙させていただきました。この中には、先ほど論点を簡単に申し上げましたけれども、より専門家の御知見ということで、専門的・技術的な御意見というものも記載させていただいているところでございますので、適宜御参照をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【多田座長】  ただいまの報告に関しまして、特に御質問がある方がおられたら、挙手をお願いいたします。
 特にありませんでしたら、それでは、検証事項に関しまして、今から40分間ほど、全員で意見交換を行いたいと思います。本日は28人の委員が参加しており、皆様に御発言いただくためには、御発言時間を、恐縮ですが1人一、二分としたいと思います。それでは、青山委員より順にお願いしたいと思います。

【青山委員】  ありがとうございます。ケンブリッジ英検の青山でございます。今、膨大な資料を拝見し圧倒されております。私の娘が今年の春、小学校を卒業したので、まさにこの改革の第1号になる世代ということで、母の立場からしますと、基礎テストもあり、外部試験もあり、そして大学入試、そして2次試験もこの流れでいくと、まあ、という兆しも見える中で、年中試験を受ける子供の姿が家庭で、また母と娘の殺伐としたやりとりが繰り返されるのかなと思う、そういうところと、もし可能であれば、せっかく勉強するわけですから、将来、生涯にわたって使える英語力を備えさせてあげたい。そのための1つの手段が4技能を、しっかり測っている試験を、個人で受けられるのであればそれでもいいと思いますし、所属する学校様の方で、子供たちに合ったものを受けていただくように導いていただく、そのための情報整備ということで、私どもの連絡協議会があるのだなということを実感しております。
 引き続き正しい情報の提供と、国際通用性が高い試験を、日本のどこにいても受けられるような、そういう環境整備に努めていきたいと思っております。以上です。

【多田座長】  ありがとうございました。続きまして、荒井委員、お願いします。

【荒井委員】  大学入試センターの荒井でございます。大変豊富な資料がそろってきまして、我々も勉強になることが多くございます。検証を進めるに当たって1つ留意していただきたい点は、問題内容もさることながら、誰が受けているかということです。要するに、基準集団が誰であるのかというのが、外部検定、あるいは外部資格試験の場合にはなかなか定まらないということがあります。入試センターにおきましても、例えば5科目の語学の試験をやっておりますが、このうち中国語と韓国語につきましては、いわば半ネーティブの方と高校から学び始めたという人が混在している状態です。こうした条件下でどのように得点を解釈していくのかという問題も難しいことです。そんな点もこれから課題になっていくのだろうと思っています。
 それからもう1点、現在がスタートの時点ですので、様々な形での検証なり情報収集が行われていますが、これから実施しようとすることは、高校生、あるいは受検者にとっての教育評価ツールとなるものです。適正な体制のもとに、公平に実施され、採点されていかなければいけない。これがスタートした際には、やはりいろいろな角度から評価をして、クオリティーを維持していかなければならない。
 もちろん選りすぐりの機関、あるいは大学でも努力をされているところですので、これが公的なツールとして通用するための条件が必要です。間違っても、ある種の商業主義がはびこることがあってはならない。外部試験・検定試験自体の「評価」の問題は、、これは少し後のことになるかと思いますが、その体制についても、目を配っておくということが必要かと思います。以上です。

【多田座長】  続きまして、安藤委員。

【安藤委員】  熱心な御議論と、膨大な情報収集、そして分かりやすい形でまとめていただいた資料を拝見いたしまして、本当にこのような会に関わらせていただいたことを心から感謝申し上げたいと思っております。  私からは幾つか申し上げたいと思いますが、まず私どもが取り扱っておりますTOEICプログラムにつきましては、半分が企業、あるいはいろいろな団体、自治体、官庁も含めた、いわゆる社会で使われているというテストでございます。半分が、大学も含めた学校教育で使われているというテストでございます。私どもの立ち位置としましては、生涯にわたって学習するという観点から、英語の学習を捉えて、自ら学習していく力をどのように作っていくかという、そういう視点を一緒に考えていけたらと考えています。
 それから、このように非常に多岐にわたる分野から、多様な皆様が集まってこのテーマを議論するというのは、非常にまれな機会だと思います。こういう多様性の中で、お互いのよいところを認め合って、そして協力するというスタンスを大切にしていきたいと思っております。
 最後に、スコアのいわゆる比較ということに対して議論がありますが、私どもは、開発元のアメリカのETSの方で行っておりますCEFRとのマッピングが比較対象のツールとして御提供できるものでございます。テストの目的、対象、母集団、方法、この辺が違うものを1つの形でまとめるというのはなかなか大変なことではないかと感じております。以上でございます。ありがとうございました。

【多田座長】  ありがとうございました。続きまして、石鍋委員。

【石鍋委員】  大変膨大な、また意味のある資料をいただきましてありがとうございます。私、中学校の校長ですので、学校現場からのお話を幾つかさせていただきますが、ここでのこういった意味のある協議内容、または検証していく内容について、どのように学校現場の教員に、そして保護者、地域住民に伝えていくか。そして、意識啓発を図っていくかというのは大きな課題だと感じます。
 例えば、先ほど話題にありました中学校、高校へのウォッシュバックについて、そのあたりなどは、やはり学校現場の教員が理解をしないと、資格・検定試験をゴールとしてしまって授業を構築してしまうという逆の方向になってしまうこともあると。このあたり、非常に大きなポイントだと思います。やはり先ほどあったように、どういう授業を行っていて、その力がどう反映されているのか、それをみとる手段ですよというのを、やはり教員には伝えるべきだと思っています。
 また、今日話題にはならなかったんですが、中央教育審議会の資料の中に、大学入試などの背景に、知識の再生を1点刻みにして問う、そういった背景がありますよという文言が書かれているんですが、実は保護者や地域の方々は、この感覚を持たれているんだろうと思います。それをどうやって変えていただくか。やっぱり1点刻みだけでの子供の線引きではないんだと、教育は。そのあたりをどう伝えていくかというのが、我々、例えば学校現場を預かっている者にとっての責任でもあるし、こういった協議会の皆様方からの発信というものをしていただく部分じゃないかなと思っております。以上です。

【多田座長】  続きまして、梅澤委員。

【梅澤委員】  GC&Tの梅澤と申します。本日は参加させていただきまして大変ありがとうございました。情報をたくさんいただきまして、非常に参考になりました。
 私どもは、TOEFL Juniorを代表しておりますが、今回テスト団体として参加している6団体のうちの3団体はETSのテスト団体でございます。TOEIC、TOEFL iBT、それから我々TOEFL Juniorでございます。我々としては入試改革に一丸となって取り組むということで定期的にミーティングを行い、どのような協力をしていくべきなのかについて話をしております。3団体にてできる限りのことはさせていただきたいと考えておりますので、これからもよろしくお願いいたします。
 それから、先ほど安藤委員からもございましたけれども、スコアの換算に関しましては、私も非常に難しいと考えております。しかしながらTOEFL Juniorとしましては、もしそういったものが必要であるということであれば、相関スタディーには喜んで参加させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、これまで、何回も出てきておりましたけれども、CBTということに関しまして、高大接続でも議論されておりますが、これで実施すると、やはりコストがかかるというのが我々の常識でございます。この点はきちんと理解していただきたいということと、このコストを下げるためには、学校様方と一丸となって取り組まないといけないと考えていますので、是非御一緒に相談させていただければありがたいと思います。入試ですので、実施面で1つでもミスがあると全滅する可能性がございます。これは十分に考慮しないといけないと思っておりますので、是非よろしくお願いします。以上でございます。

【多田座長】  続きまして、圓月委員、お願いします。

【圓月委員】  4技能の育成を重視するという、まさに語学教育の正道かというふうに思います。それがこの場で各関係者の中で確認されたことは、非常にうれしく思います。そういう意味でいったら、先ほど吉田委員の方から、今回はスタートラインについたところだということなんですが、何のスタートラインかというと、もう一つはやはり学力とは何かということについて深く考えていく、そういうふうなスタートラインであるんじゃないかなと。
 先ほど思考力との関係とか言いましたけれども、私事で恐縮なんですが、英文学科で教えておりますが、検定試験、見事なスコアを持っている学生がおります。必ずしも優れた卒業論文を書くとは限らないと。ですから、私がずっと思っているのは、4技能というのと、今文科省が言っておられているのでしたら、思考力・判断力・表現力というものの相関関係というのはどういうふうなものなのか。必ずしもイコールの関係ではないし、ある種の関係があることは理解はできるんですけれども、そのあたりについて余り考えたことがないということですね。
 また、私がこの場におりますのは、私立大学の一員として出させていただいているんですが、逆に言いますと、4技能はそれほど高くないけれども、優れた表現力、独創性を持っている人材というのもいる。そういうのをむしろ抑圧していくような、そういう方向にならないような4技能のCEFRでのランキングが即大学のランキングにつながっていくような、そういうふうな短絡的なものにならないことを願っています。そういう意味で言えば、社会が必要としている学力とは何か、そして人間が一生成長していくために必要な学力とは何かということを考えるスタートラインでありたいなと思っております。

【多田座長】  ありがとうございました。大塚委員、お願いします。

【大塚委員】  大学入試センターの大塚です。私は、教育測定・教育評価を専門にしていますが、その立場からしますと、高大接続答申は相容れないことが次々出てきて戸惑う部分が多々あります。これがもしうまく達成できれば、「プロジェクトX」に取り上げられるという感じもしております。
 例えば、「公正性」という原点に立てということが記されております。「公正性」という言葉は元来非常に広い概念を含んでいると思いますが、その中で教育測定的に言えば、「妥当性」、「信頼性」というテクニカルタームが取り上げられて、それらが確保されるような入試にしていくことが盛り込まれています。しかし、その観点からするといろいろ問題点を含んでいる方法で入試をやるようにという提言が次々に出てきておりまして、作業部会でも私はどちらかというとネガティブな意見を言いましたけれども、それはそういう背景があるからです。
 「妥当性」ということに関して言えば、これは測定の方法が定まればそれに付いている属性というものではありません。その測定方法をどういう目的で使うのかということで、「妥当性」の程度は変化する流動的な概念です。ですから、資格試験である対象集団に対して、ある目的を持って作られた試験が、選抜という目的のために使われる場合には、「妥当性」がどう違ってくるのかという検討はまた別途行う必要があります。それから、高大接続答申でも例として出されているPISA調査や全国学力調査などは、調査という目的にやられているものでありまして、これも選抜という目的で利用すると「妥当性」も違ってくるということです。さらに、選抜であっても、時々議論していると混同されてしまうのは、大学の個別入試と、センター試験のような共通試験の区別でありまして、それも何を測定するかという目的の部分で役割分担があるはずで、それがしばしば混同されて議論が進んでしまうということがあります。
英語の入試に関して言えば、少なくともここ当面の間は、例えば共通試験でスピーキングまで入れるというのは、やろうと思えばかなりコストのかかることで、それを受験生に負担していいのかという問題も出てきます。現在、センター試験というのは文科省から運営費交付金をもらうことなく、受験料だけで組織が運営され、試験も行われているという、1つの枠の中で動かせている試験なんですけれども、その枠を超える試みをせよということは、何らかの新たなコストが発生するということもありますので、個別試験との役割分担を考慮していただけるとありがたいということもあります。
 あと1つ大事なことは、入試はウォッシュバックの部分を考えなければいけないということで、これは安河内先生も強調されていましたけれど、スピーキングなどのウォッシュバック効果は確かにあるということは私もよく理解しております。ただウォッシュバックというのも、プラスの面ばかりでなく、マイナスの面もありまして、スピーキングが入試に入ってくると、「受験スピーキング」というようなことが出てきてしまわないかどうかというチェックをしていく必要もあると思います。私の前任は京大でしたけれども、京大の同僚が英語の語彙調査をしておりまして、受験勉強でいくら語彙を覚えても、受験終了時がピークだということが京大生でも見られるそうです。受験勉強をいかにしても、語彙の量は徐々に下がっていくということがあるわけですから、それを食い止めるためには、何らかの英語教育環境をそこに準備していくということがむしろ入試よりも重要なことなのかもしれないと思います。いわゆる高校教育、入試、大学教育の接続の全体を常に視野に入れてモニターしていくということが求められると思います。その際に、この連絡協議会の意義というのがあるように感じてきておりまして、ここには、全ての領域の人が来られていますから、そういったモニター調査も本格的に積み重ねていくことができるのではないかと思います。
そういうところに気づいてみると、いろいろな問題は含まれていたとしても、とにかく何もやらないと何も起こらないですので、できることからやっていくということが大事だと思いますが、そのやったことに対するモニター調査の体制を、こういった協議会などを核にして並行してしっかり整えていくということが、これから求められることではないかなと思います。以上です。

【多田座長】  では、奥田委員。

【奥田委員】  日本私立短期大学協会の奥田でございます。意見を申し上げる前に、少し前回の会議の後、少しマスコミに報道されたことでちょっと御報告したいんですけれども。実は私、最初に前回の発言で、賛成ですということで申し上げまして、入試制度としては、短期大学では導入するのには少し時間がかかりますということを私は申し上げたんですけれども、5大紙の1つの新聞社が、ネット上で「教育関係者から漏れる英語教育不要論」というふうに書かれてしまいまして。全然英語教育不要論などは申し上げていませんし、取り上げられたのは私と公立短期大学協会の代表の方が取り上げられてしまいまして。マスコミの方、同席されていると思いますけれども、これはちょっとお願いなんですけれども、私たちが発言する後ろには、たくさんの現役の学生と卒業生がいまして、できましたらそれだけ過激なことを報道されるのであれば、せめてインタビューを、そういうことですかというのはしていただきたいなということで、ここにいらっしゃる皆様方と文科省の方々には、私がお詫びするのも変なんですけれども、英語教育不要論なんて全く思っていませんし、私は大阪国際大学という英語を推進している側の理事長をしていまして、まさかそんなことを言うはずもないんですけれども。是非そのあたりは、せめてちょっとインタビューするなり、非常にこれは重要な会議ですので、そのあたりをよろしくお願いします。少し長くなりましたけれども。
 今回の話なんですけれども、先ほどちょっと申し上げましたように、入り口だけで、今回の話は結論ではなく、出発点であるという吉田委員の話が非常に私も大事に思っていまして、生かせる英語を国民というか学生たちにしっかりとつけてもらうためには、やはり試験制度だけではなくて、いかに小・中・高・大学とどういう形で教育をしていくかというところが本当に大事だと思っております。ですから、教員養成であるとか、環境作りであるとか、そういうところを早急に進めていただきたい。中教審で話し合われているということも書かれているんですけれども、それを早く現場に下ろしていただきたい。プラス、中学校の先生からのお話もありましたけれども、現場の意見をしっかりと上げていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。
 我々短期大学としても、先ほど入試制度としては時間はかかるとは言いましたけれども、国の方向性に従って、しっかりとその環境作りには協力していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。

【多田座長】  尾関委員、お願いします。

【尾関委員】  くどいようですが、国立大学の2次試験については、アドミッション・ポリシーに基づく多元的評価を重視した個別選抜の確立と書いてある、ここの部分を徹底してやっていただけるように強調していただきたいと思います。でないと、本当に入試が変わらないと思うんですね。
 あともう一つ思うのは、大学入学希望者学力評価テストは、CBT(Computer Based Test)だと書いてあるんですが、今、高校とかに行くと、一応コンピューター室とかあるんですね。でも、そのコンピューターを使える時間というのは非常に限られていて、高校ですが、2時間ぐらいしか使えないって学生たちは言っているんです。なので、例えばライティングの練習とかできないんですね、コンピューターで。全員の学生がコンピューターを持っているわけではなく、家庭にコンピューターのない学生もいるので、少なくとも国公立の中・高では、コンピューター室を夜の8時なら8時まで、自由に使えるようにしていかないと、Computer Based Testというのは非常にやるのが難しくなるのではないかなと思います。コンピューター慣れしている子は、やっぱり有利だと思うんですね。以上です。

【多田座長】  清原委員、お願いします。

【清原委員】  公立大学協会の清原でございます。本日は行動指針の御説明をいただきまして大変ありがとうございました。参考にさせていただきたいと思います。私ども、英語の資格・検定試験の活用ということについては前向きに考えていきたいと考えておりますので、また協会の方に戻りまして、その具体的な検討方法について考えたいと考えております。ただ、大学の現場から申しますと、1つ2つ問題がございます。
 1つは、高校の学習指導要領の内容に入試は当然制約されますし、高校の学習指導要領、つまり高校のカリキュラムと大学のカリキュラム・ポリシーとの間に必ずしも接続性というものははっきりしていないと、こういう問題がございます。ですから、我々としては、大学におけるカリキュラム・ポリシーの見直しということをしっかりしないといけないと考えております。
 それから第2点は、大学というのは、専門領域によって非常に多様です。文系、理系等々専門教育の内容が相当に違いますので、その中で英語教育をどのようにカリキュラム・ポリシーの中に位置付けていくか、これはかなり統一した認識というのが現在もできておりませんし、なかなか難しい問題かなというふうに思っております。
 それから3番目、ディプロマ・ポリシー、つまり大学が卒業生を送り出すときに、英語教育の成果をどの程度そこに保証していけばいいのかという問題がございます。これについても、これは社会の側からのニーズもありますので、その辺バランスをもって研究していきたいと思っておりますので、また今後ともよろしくお願いします。以上です。

【多田座長】  では、日下部委員、お願いします。

【日下部委員】  私、国立高専から来ておりまして、それで作業部会にも2回出席させていただきました。多様な御意見を聞かせていただいて、吉田先生はじめ大変すばらしいまとめができたかなということで感謝申し上げたいと思います。特に私ども、高大接続という言葉からは外れたような、直列型の教育ではありませんので、往々にしてこういう文言の中には高専の名前が抜けているんですけれども、ちゃんと明記していただきまして、私、国立高専に戻っても大きな顔ができるなということで感謝をしております。
 先ほど申し上げましたように、私どもは中学からすぐに入ってきて5年間の教育をしております。それで中学の卒業生の1%という、大変小規模な学校種でございますけれども、大変優秀な学生を抱えていると私は思っています。そしてまた、学習指導要領に準拠しない教育ができるということが制度上認められていますので、今御議論のような高大接続というような視点から、我々は将来どういう役割をするか、あるいは今後議論があります新テストをどういうふうに活用するか、あるいはそのあたりを十分考えなきゃいかんなと思っていますが、私どもは3年を終了しますと大学入学の資格がありますので、そこから大学に行く学生も少なからずいるわけですけれども、大多数は5年間終わって、1年間で1万人の学生が出るわけですが、そのうちの40%が大学に編入をいたします。2年生、あるいは3年生、多くは3年生ですが。そこのときに、大学に入るときに、高校の今の新テストの2つが必須となると、大変重荷になるなという気がしておりますので、編入をするという学生に対して、新テストがどういう役割をするかというあたりについては、今後の御議論を注目していきたいと考えております。以上です。

【多田座長】  塩崎委員。

【塩崎委員】  英検の塩崎でございます。弊会、大学や、中・高の現場の教職員様とお話をさせていただく機会が非常に多うございますが、特に大学入試改革の議論が進んでいく中で、この連絡協議会のお話を含め、いろいろと資格・検定試験の活用を含めて説明しにきてほしいということで、よく御説明の方に行かせていただいている中で、やはり求められていることというのは、まず1つはお話にもございましたが、いろいろな試験の生涯にわたる一貫性のあるスコアというところがございましたので、こちらは今、弊会の方でCommon Scale for Englishという、CEFRに準拠したものでの研究を進めさせていただいております。こちらの研究結果が出ましたら、またしっかりと提起をさせていただきたいという点が1点。
 それから、作業部会での論点のまとめの39ページのところに、5つの観点、妥当性・信頼性・波及効果・実用性・真正性でございますが、こちらの観点を引き続き他団体の皆様と協力していただきながら、先ほど石鍋先生の方から、どう現場の先生に分かりやすく伝えるかということが必要ということがございましたので、この観点、皆様に分かるような言葉で引き続き伝えていくことで、資格・検定試験の最も波及効果の高い活用方法というのを提供できるのではないかと考えております。引き続き公益財団法人として、前向きにこういった動きには協力していきたいと思っております。以上でございます。

【多田座長】  島村委員、お願いします。

【島村委員】  日本商工会議所の島村です。近年産業界では、大企業だけでなく、中小企業も、海外への進出や、海外との取引が増えております。私どもも海外のメーカーに直接商品を発注していますので、そういう意味でも、いわゆるグローバル人材、国際語である英語でコミュニケーションが図れる人材がいないと困る状態になっております。したがって、採用の面で言えば、グローバル人材確保の手段として、日本人だけではなく、日本に留学している外国人留学生の獲得にも企業の注目が集まっており、東京商工会議所で実施する企業と留学生のマッチング事業においても、企業ニーズが非常に高まっております。本来、日本人学生で英語力のある人材を採用するということが優先的に考えておりますが、外国人留学生の採用に注目する企業も増えてきているのが現状です。
 昨年からスタートした「トビタテ! 留学JAPAN」など、文科省の取組も始まっておりますが、現状では海外留学する日本人学生が少ない現状と合わせて考えれば、今後の日本人の新卒採用にも大きな影響を与えるのではないでしょうか。日本の若者人材の雇用確保という点でも、外国語による十分なコミュニケーション能力を備えた人材の育成が急務だと考えております。この連絡協議会において、今回行動指針が取りまとめられたことは、第一歩を踏み出したと思いますので、是非改革をスピーディーに進めていただきたく、期待しております。よろしくお願いいたします。

【多田座長】  新庄委員、お願いします。

【新庄委員】  私は、中学校長の立場で参加させていただいております。多くの中学生は、中学校で教科として初めて英語を学ぶわけですけれども、英語を使いたい、外国の人と会話をしたい、話せるようになりたいという、そういう希望を持って入学してきます。そういうことから、今議論になっていますが、4技能をバランスよく育成していくということは、大変重要であると考えています。
 学校内での試験だけでなく、検定試験を活用していくということは、授業の成果を客観的に知る上でも必要であると考えています。今回、様々な調査データの報告がありましたが、検定試験を活用している教師が、どのように授業に生かしているのか、できればそういうところをもう少し知りたいと思います。なぜなら、教員自身が資格・検定試験を活用していく意味とか意義をよく理解することが大切で、そうすると活用が進むのではないかなと考えております。
 もう一つお話しさせていただきたいのは、学校を検定試験会場として実施するところも多いというデータも示されていますけれども、担当するのはほとんどが英語を担当する教員です。授業時数外でこの試験を実施しています。そうすると、教員については、負担というのも否めないと考えます。作業部会の論点の中にも、相互協力については、その仕組みをどのように行っていくかということが出ていました。実施の方策については、今後も引き続き検討をしていく必要があるのではないかなと考えます。以上です。

【多田座長】  はい、髙橋委員。

【髙橋委員】  ありがとうございます。高校の側からの発言となりますが、よろしくお願いいたします。英語については、今回新しい学習指導要領に向けた審議においても、交渉力というところまでその力の育成を高校に求められていくというようなことで、そういったことでは、本当に4つの技能をバランスよく育成するというのは、高校でも本当に大事だと思っているところでございます。生徒のことを考えますと、義務教育の9年間を終えた後の高校、その高校の実態が意外と世間で分かっていただけないというところがあります。9か年の中で学力や様々な体験が生徒一人一人それぞれにおいて多岐にわたっておりまして、本当に生徒は多様です。その一人一人の生徒をどうやって自信をつけさせていこうかと取り組んでいるのが、今、高校の現場でございます。その点においては、生徒が選択できる多様な学校を用意して、一人一人の生徒に自信をつけさせているというのが実態であります。
 さらに大学でも学び直しをやっている大学がある実態についての紹介を見ましたが、そういったことも多様な高校、多様な生徒の実態の中、当たり前のことと思っています。しかし、現在の大学について、そういったところを見ていただけていない部分があると思います。今後も、小・中・高・大のキャリア教育を含めた学習等、様々な連携というのはすごく大事と思っています。そういう中で、この英語教育の在り方も考えていかなければならないと思っています。
 先ほど、英語の各外部テストの得点の統一化のご意見がありましたが、生徒によって、実は生徒それぞれに違いがあって、それぞれの生徒がそれぞれの試験の特色を見つけて自分の得意とするところを生かせる試験にチャレンジすることで、英語に少しずつ自信をつけていく、そういったところもあるということも、御理解いただきたいと思っています。
 実際に、先ほど試験がたくさんになるという話もありましたが、今後実施されていく大学入学希望者学力評価テストと高等学校の基礎学力テストにはその内容等が重なっているところがあるのですが、一番生徒一人一人の学力が多様な中堅校と言われている学校では、結局2年生のときから試験を受け始めるということ、それも複数回ということで、6回受験するのではないかという話も出てきているわけです。さらに、こういった検定、様々な試験を踏まえた時学校としてはどうやって単に試験対策のみにならないで、学校の教育を担っていくかが大きな課題だと思っています。そのことでは、作業部会での、佐々木委員が述べている部分を参考にしていただきたいと思っています。
 また、受験料・受験機会といった部分については、本当に地域差がありまして、私たちは東京に住んでいて、東京で考えてしまうのですが、地方は大学入試センター試験を受けるために宿泊をしなくてはいけない学生生徒がたくさんいます。ですから、試験を受けるというのは、単に受験料だけではなく、そういった受験機会、公正性とか、先ほど信頼性の部分を含めて、どこを試験会場をするかという議論において、ぜひ地方での生徒の受験の実態も、踏まえておかなくてはいけないと思っています。
 また、御議論の中にありましたが、豊かなコミュニケーションの中には、やはり読書や社会体験、自然体験を豊かにしていくということもとても大事なことで、授業と授業がつながっていると私もずっと言い続けてきたことですが、色をあらわす、自然をあらわす豊かな日本語、そういったところも含めて学びながら、コミュニケーションの力を育てていくということを考えていかなくてはならないと思っています。よろしくお願いいたします。

【多田座長】  では、田原委員、お願いします。

【田原委員】  公立高専協会から参りました田原と申します。今日は膨大な資料等をお示しいただきましてありがとうございます。私どもの学校は、先ほど日下部委員の方から御紹介ありましたように、中学校を出て5年間で、主に技術者教育をやっている高等教育機関というふうに位置付けられている学校でございます。学習指導要領がないとか、もちろん大学入試というのもないわけですけれども、我々は今考えているのは、高等教育機関として、国際通用性をどう持たせるかということです。高専卒は、卒業して6割ぐらいが就職していきますけれども、かなりの学生が海外に出ていきます、技術者として。そうしたときに、海外で高専というものが余りにも知られていませんし、極めて特殊な教育機関というふうに見られています。ですから、彼らの通用性をどう担保するかというのは、高専としての存在にも関わる部分だと思っております。
 もう一つは、質の保証です。今、大学の質保証等は議論されていますが、高専の質保証をどうするかというのは、やはり高専として考えなければならないと思っています。今回のこの議論がそういったものにつながっていければと思っております。以上です。

【多田座長】  次に、内藤委員代理の関さん、お願いします。

【関氏】  ありがとうございます。新経済連盟の関でございます。私の方からは、高大接続改革の御説明のところに関連してコメントをしたいと思います。先ほどの御説明で、新テストにつきましては、大学等の判断により、必ずしも4技能を備えた試験とならないという可能性があるというふうに理解いたしました。そうだとすると、この部分については大きな問題があるというふうに考えております。
 そもそも4技能の外部試験を導入するということの発想は、それによって4技能を伸ばし、実践的な英語の能力をつけさせるということにあったと思います。そういう意味では、そういった方向を促進するような方策をとるべきだというふうに思います。仮に例えば1技能とか2技能の試験になったりとか、あるいは形だけ4技能であって、実は1技能、2技能が非常に重視されるというような試験にもしなったとすれば、受験生から見たら、その部分を重視せざるを得ないということになりますので、結果として4技能という部分はおろそかになりかねないと考えます。
 したがいまして、是非とも制度設計の検討におきましては、こういった4技能の外部試験を導入するという趣旨を阻害しないような、あるいはむしろそれを促進するような制度設計に是非していただきたいと強くお願いしたいと思います。以上です。

【多田座長】  中村委員。

【中村委員】  公立短期大学協会の中村でございます。先ほど奥田先生からお話があったように、何か批判的なことを発言したというふうに書かれてにびっくりしたんですが。私はこの検定試験を導入するということに関しては決して批判的ではございませんでして、是非促進してやっていただきたいと。ただ、地方の格差、学力的な格差とか経済的な格差については十分配慮してお願いしたいということで御発言を申し上げたわけでございまして、今回まとめていただいた資料を拝見して、その辺を十分御配慮いただいているというふうに拝見いたしまして、大変安心した次第でございます。
 私どもの大学のことで恐縮ですけれども、私どもの大学は、高大接続の点で言えば、開学以来、新テスト的なことをずっと苦労しながらやっておりまして、今でもやっております。そういう意味で、それが実現されるような方向にいくということは大変歓迎しておりまして、むしろセンター試験がどうなるかということに大変関心を持っております。また一方で、私、学長になりましてから、私、岩手県立大学ですが、前回にもお話ししたと思いますけれども、英語力が非常に弱い地域だというふうに、私自身もそこの出身ですので感じておりまして、英語の教育を何とかしたい。当時、4技能という言葉は私は知りませんでしたが、4技能的なものを伸ばす必要があるのではないかということで、英語のカリキュラムを検討していただきまして、来年度から改革をいたします。
 その中に、学力評価を、こういう資格試験を使ったらどうかということの提案が現在ございまして、今回、いろいろなお話を伺いましたものですから、是非これを参考にさせていただきながら、この4技能のテスト、学力評価、あるいは子供たちが英語が好きになる方向に持っていけるかどうかについて、大いに注目しながらやらせていただきたいなと思いました。どうもありがとうございました。

【多田座長】  では、根本委員。

【根本委員】  CIEE、TOEFLの根本と申します。今回、議論に加えていただいて本当にありがとうございました。膨大な資料をまとめていただいて、非常に大変な作業でいらっしゃったと思います。
 先ほど梅澤委員の方からもありましたけれども、今回アメリカのETSという団体が作っている試験が入っておりますけれども、今日もETSから職員が来ておりますが、ETSとしても今回の日本の英語改革に向けた動きを支援していくという意思を表明しておりますので、今後もETS、それから各テスト団体関係者の皆様等含めてどういうふうな活用ができるか、また進めることに協力をさせていただきたいと思います。
 今回、作業部会等で論点が幾つか上がっておりますけれども、109ページに上がっている内容で、特に日本人の英語力の現状を踏まえたテスト開発ということで、その向かいのページの108ページが新しいテストの概要になると思いますが、今回意見も私どもの方から寄せさせていただいておりますけれども、やはり4技能、CBTとなるのは非常に困難を含む部分もありますけれども、そういったところも何らか今後御協力ができればと思っております。
 また、各試験の換算というところも話に出ましたけれども、TOEFL iBTについては導入された際に各それぞれの大学と、それから団体が協力してカットスコアを、特にアメリカ、カナダでは設定をしておりますので、今後日本においてもそういったことがあれば、私どもとしても是非御協力をしていきたいと考えております。
 最後にちょっと補足なんですけれども、先ほど安河内先生の方からTOEFLの500点という問題が出ましたが、これは私どもで行っているTOEFLのiBTテストのことを指していらっしゃると思います。これはいろいろな大学さんで新入生、4月に入ったばかりでテストを活用されているケースがあります。これはもともとはTOEFLが紙だったころの問題を作って団体向けに利用しているものなんですが、各大学さんの平均点というのはコンフィデンシャルなものですので、これが500点がどこの大学さんの平均点なのかというのはちょっと私どもの方からは申し上げられませんけれども、一応500点というものの基準について申し上げますと、このTOEFL ITPのテストのCEFRの基準としてはB2が543点から、B1が460点からになっておりますので、ちょうどB1とB2の中間ぐらいというところとなります。これはもし全学部の平均ということであれば、英語が得意じゃない学生さんも多々受けていらっしゃる上での平均点と思います。
 それと500点といいますのは、昔の基準でいいますと、アメリカの州立大学に何とか入っていけるぐらいなのかなというところの基準であります。もちろんスピーキングとライティングが入っておりませんので4技能テストではありませんけれども、いろいろな大学さんTOEFL ITPテストを使っていらっしゃるので、500点というスコアについてはそのぐらいのレベルということで補足をさせていただければと思います。以上です。

【多田座長】  平方委員。

【平方委員】  私立学校の立場から一言発言させていただきます。英語に関して言えば、今日CEFR基準の話が随分あったと思いますけれども、CEFRは多分1989年ぐらいにきちっとできているんだと思いますが、それは英語が世界言語としてどういうふうにこれから取り扱われるかという、そういう観点が多分あったんだと思いますし、その後、例えばブレアやクリントンの教育改革が欧米を中心にしてずっと行われてきて、オバマもこれはやっていると思いますけれども、その中で日本がかなり教育改革が遅れたという、その焦りが日本国の中に蔓延しているんだと思います。
 それを受けて文科省は、特にグローバル人材ということを視点にしながら進めていると思いますので、英語に関して言えば、素直にグローバル市民のコミュニケーションツールとしての英語というふうに考えたら、4技能をやるしかないんだろうと。当然それは入試に関してもそれをやらなければいけないので、もうやると言った以上は、どういう形になるにしても必ずやってほしいというのが高校現場からの意見です。多くの学校は、そこに向けて舵を切ろうというふうに動いていると、少なくとも私の周りではそうなっていると思います。
 それから、高大接続の大学のテストのことですけれども、一方通行型のレクチャー型の授業はまずいということで、これは中・高、小学校もそうかもしれませんけれども、中・高・大学とアクティブ・ラーニングを取り入れるというふうにいろいろなところで明記されております。すなわち一言でアクティブ・ラーニングといっても、成長年代が違うと同じようなアクティブ・ラーニングをやるわけには絶対にいかない、いけないというふうに思います。そのことが余り議論されていないのはちょっと不思議だなというふうに思っているわけですけれども。
 大学生のように一定の知識を習得したときのアクティブ・ラーニングと、中学生、高校生を考えたときには、そこまでいってませんから、当然そこではレクチャーも入らなければいけない。そうなったときに、単なるPBLだけのアクティブ・ラーニングではまずいというふうに私たちは思っておりまして、PIにLをつけてPIL(Peer Instruction Lecture)ということを中学校、高校の中のアクティブ・ラーニングではやらなければいけないと思っています。
 それが91ページのところに、大まかにテストの、大学入学希望者学力評価テストの図が出ておりますけれども、これはその前の達成度テストと、ただ入学希望者学力評価テストというふうに名前を置きかえただけだと思いますけれども、これを見ると本当にアクティブ・ラーニングをした後に、この表のような試験でアクティブ・ラーニングがいいのか。アクティブ・ラーニングというのは、当然エンパワーメント評価をしていくわけですから、エンパワーメント評価は当然ポジティブに評価をするということなので、1点刻みの評価ではないということですよね。
 そうなってくると、この中で縦軸の方は一番上の方にいっていますけれども、横軸の方は右の方にいっていないですよね。横軸の分け方も、知識・技能、それから思考力・判断力・表現力、主体性・多様性・協働性というふうな分け方ですけれども、右側のところは個別の大学がやりなさいというような形になっていると思います。左側の縦軸のところを見ると、テストの難易度は低い方から高い方にというふうに大まかなものしか書いてありませんから、アクティブ・ラーニングでどういうふうにやるかということをきちっとコードを示していかないと、この試験が非常に混乱するんじゃないか。このあたりはまだこれからの議論なのかもしれませんけれども、是非その辺のことも含めて今後検討していただきたいと思います。以上です。

【多田座長】  既に会議予定時間はオーバーしておりますが、非常に貴重な御意見を伺う機会ですので、このままちょっと続けていきます。
 続きまして、松本委員。

【松本委員】  様々な英語教育の改革が実行されてきたと思うんですが、ここ一、二年の動きというのは非常にスピード感があって期待が持てるなと思っています。ですから、我々教育界に携わる者には、これを何としてでも成功させなければいけないと思っております。
 立教大学は、今回の外部試験活用に関しては、全ての学部・学科、そして一般入試で4技能テストを活用するという点に関して、実施計画を発表した大学の中ではフロントランナーになったわけですけれども、気がついてみたら、後ろから誰もついてこなかったということにならないということを願うばかりです。そうなった場合には、4技能テストの採用が社会的なムーブメントにならないわけですので、ほかの大学には是非ついてきていただきたいと思います。
 私の発表で使いました資料のスライドの8にありましたように、スーパーグローバル大学の構想調書において、全ての旧帝大、それから幾つかの有力大学が、この4技能外部試験の活用に消極的であると言わざるを得ません。ですから、この大学に対して今後この協議会がどのように働きかけていくのかというのが、とても重要な点ではないかなと思います。
 独自に作成するのか、外部テストを英語の場合利用するのかは別にして、「大学入学希望者評価テスト」がどういう内容になるのかということがすごく大事で、どういうものを採用するのか、英語については4技能になるのかどうかというようなことについては、早急に発表していただきたいと思います。以上です。

【多田座長】  三島委員、お願いします。

【三島委員】  それでは、高大連携と、それから英語4技能についてちょっと思うところをお話しいたします。高校の学習指導要領が変わるというようなところで、47ページに何を教えるかではなく、どのような力を身に付けるか、あるいはそうした力を確実に育むため、指導内容に加えて学習方法・学習環境について明確にしていくというふうにございます。これは実は高大連携を考える上では、大学にとって同じことが全く要求されるわけで、そういう意味で、先ほど清原委員もおっしゃっていたディプロマ・ポリシーであるとかアドミッション・ポリシーといったところ、カリキュラム・ポリシーもそうでしょうか、そういったところを大学がしっかりと高校の新学習指導要領の狙いですね、これをちゃんと受けた形で大学も作っていかないといけないというふうに思います。
 そのときに、その高校、大学の教育で続けて非常に重要なことは、やはり学生が何のために勉強するのか。それから、自分は将来どんなことをやりたいのか。それから、そういうことを考えたり、人といろいろな会話をしながら自分の考えをしっかりと持つということで、それがないと英語の能力だけ高くても、自分の考えを英語では言えないということになりますから、そういう子供たちに考える力、それから学ぶことの、何というんですかね、動機をしっかり持たせてあげること。そして、それをできたときに手段として4技能の、特に話すことができるようになるというような形でいくとすれば、やはり大学に入る時点でB1ぐらいの力までを持っていたらいいし、それをやはり高校だけでというんじゃなくて、小さいときからつけていくようなシステムを考えると、それが重要かというふうに思います。以上でございます。

【多田座長】  はい、三宅委員。

【三宅委員】  経団連のメンバーとして参加いたしました。英語の4技能は、ビジネスの世界では非常に重要だと考えており、経団連といたしましても、4技能の重要性と、それをはかるための外部の英語検定試験の活用というのも1つの考え方であるという提言を13年6月にいたしました。その意味では、今回、こういう方向付けがされたということは大変ありがたく思います。関係者の方々、大変困難な議論だったと思いますが、ありがとうございました。
 一方で、英語のコミュニケーションを考えますと、単に語学力だけの話ではなくて、そもそもコミュニケーションの前提となる思いや自分の強く思っている気持ちをどう積極的に発信していくかという、この発信力の部分も我々日本人にはまだまだ弱いところではないかと思っており語学的な4技能に合わせて、積極的にコミュニケーションをとる姿勢を育成するようなカリキュラムを是非お願いできればと思っております。
 また、ビジネスの世界では、英語はもはや海外に駐在する人だけに必要なものではなくなっております。卑近な例で申し上げますと、隣の席に海外出身の人間が座っているというようなことは、余り珍しくありません。更に、ICTの領域ではオープンイノベーションという言葉が、今盛んに言われています。企業や国を超えて、ある技術やアイデアを持った人間が、インターネットを通じてバーチャルなプロジェクトチームを作り、新しいアイデアを生み出していくという動きです。そのアイデアがおもしろければファンドがつくというようなことが現実の世界にも起き始めておりまして、そのときに使われる言語は当然英語です。
 このような場で何も発信せずに見ているだけだと仲間には入れないわけであり、やはり英語で自分の思いをぶつけるというスキルが、イノベーションという領域では不可欠なものになっております。これはどこで仕事をするかに関係ない要素だと思っております。
 いずれにしましても、英語によるコミュニケーションをとる力は、仕事の質を高めるために非常に重要な要素だと思いますので、是非この議論を実行に移していただきたいと思っております。以上でございます。

【多田座長】  では、村田委員。

【村田委員】  私は私立の高等専門学校協会から出席させていただいておりますが、先ほどから高専の話、二、三出ておりますが、高専はまさに中学校を卒業して5年間、専攻科を入れると7年間の一貫教育を行っており、高大接続を既に実践している教育制度であると思っております。実際、一般科目というか、数学、物理、化学を勉強し、その後専門科目、あるいは大学で言えば2年生で卒業研究をやるということになりますので、こういった接続については非常にうまくいっております。専攻科に入学した場合、つまり大学の3年生、4年生では研究開発に携わったり、学会発表をしたりというような経験を行っております。
 ただ、英語に関しては、必ずしもうまくいっているわけではないかなという印象を受けており、これを機会に4技能の資格・検定試験を活用すべきと考えております。ただ、話すというこの技能の試験については、非常に難しいところもあると思っておりますし、入学者選抜の試験への活用という点では、やはり中・高と高等教育機関の連携が必須であるというふうにも感じます。以上でございます。

【多田座長】  安河内委員。

【安河内委員】  今日は非常に膨大な情報と、そしてよい取りまとめができたと思います。そして、国立大の二次試験の英語を現状のまま存続させてしまうと改革は中途半端なものに終わってしまうだろうという大きな課題が、誰もに認識できたと思います。そして、1つ非常にインパクトのある、新しい情報も出てきたと思うんです。それは2020年の大改革に向けての官民共同でのA1、A2レベルの4技能テストの協働開発の可能性です。これは事務局がはっきりおっしゃいましたけれども、これはすごく可能性のある大事業だと思うんですね。現在センター試験でLとRを試しています。SとWが入ってくると、Rに混じっている文法問題や発音問題は必要なくなり、純粋なRにできるでしょう。現在五十数万人を試しているセンター試験のLとR、これは非常にすばらしいシステムですよね。ICプレーヤーを使い、公正に試すことができる。これを生かしながら、SとWを付け足す。これは、一遍にどばっとマークシートで試すことはできないですね。だから、時間的、組織的、地域的な分散をしないと、とても五十万人を年に複数回試すことはできるはずがないと思うんです。
 これは単純に私の考えなんですけれども、LとRは十分に今のシステムを稼働させれば、A1、A2レベルに関して年に3回実施できると思うんです。一方でSとWは、今の仕組みの中でできるということは、現実的には考えにくい。とすれば、官民の協働の中で、L、RとS、Wを分担し合って4技能を試していくという、こういう方向性もあるんじゃないかなと思いました。以上です。

【多田座長】  ありがとうございます。山﨑委員。

【山﨑委員】  検定団体、そしてテストの会社ということで参加をさせていただいております、ベネッセの山﨑でございます。本日はこのような検討の場に参加をさせていただきありがとうございます。
 英語教育の改革ということはずっと叫ばれていたわけですが、非常になかなかスピードというか、効果が出ていないというところがあったかと思うんですが、今回の改革は、やはり評価ということも冒頭にすごくテーマにはなっているんですが、先般御報告もありました指導要領の改訂、いわゆる指導ですね。日々の学校の授業と一緒に、この評価ということを一体でやっていくということが非常に期待が持てますし、5年、10年後に大きな成果になるのではないかなと思っております。
 また、先ほどいろいろありました保護者、それから子供たちの負担ですとか地域の格差、そしてテスト、検定等が多岐に及んでいるといったようなことに関しましては、私どもといたしましても、できるだけの配慮と御協力をしながら、これからも進めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

【多田座長】  吉田委員。

【吉田委員】  先ほどからいろいろな方の御意見を伺っていて、なるほどなと思うところがたくさんあるんですが、1つは先ほど出てきました4技能テストといっても、クリティカル・シンキング・スキルズのようなものが果たしてどこまではかれるのかと。この表を見ても、書いてあるところ、書いていないところといろいろあると思うんですが、やはり大学入学希望者学力評価テストというところと関連させていくのであれば、そのあたりがきちんと評価できるような形の英語の4技能テストが必要なのかなというふうに私は思います。
 少なくとも学校現場においてこれから求められることというのは、まさにここにあるような思考力・判断力、そういうものを育成していくということなわけですから、それがきちんと身に付いたかどうかということを、まず試す。それがあれば、当然ながら大学の授業、大学で行う教育というものにも当然接続していくわけですから、そのあたりがうまくこの4技能のテストの中に入っているということが大事かなと思います。そういう意味で、この大学入学希望者学力テスト、評価テストというのを官民で一緒に作っていくという、そういう方向性ができてきたとしたら、これはやはりまず1つは、民が持っている今までの4技能テストのいろいろな技術だとかそういうものを本当に活用しながら、官が持っている学習指導要領、日本の教育との接続性ですよね。そういうものをやはりうまく合致させながら協議していく必要があるかなと思います。形が最終的にどうなるにせよ、今後非常に大きな課題として楽しみな部分もあるなと思います。でも、大塚委員がおっしゃったように、大変だなというのは私もすごく思います。以上です。

【多田座長】  では、最後に四方委員。

【四方委員】  今回、英語の資格・検定試験の活用促進という点での、本当にたくさんの情報といい議論が出て、ここまでまとまったのはすばらしいなと思っています。ただ、やっぱりこのレベルを測るという部分というのは入り口であって、本当に何をしなければいけないか、英語教育に何が求められるかというと、中学生・高校生の皆さん、もちろん大学生も入りますが、学生が究極的に英語力を身に付けて初めて効果があるものです。大事なのは、現場でそれを教える先生が、ふさわしいレベルがそろうことだと思います。そうなると、そういうレベルの先生をどうやって採用していくのか、どうやって教育していくかというのが一番の肝だと思います。そこが一番時間がかかりますし、難しいところでしょう。
 後半、高大接続改革のところでも、英語力だけではなくて、思考力・判断力・表現力という、今まで余り日本の教育の中で先生方が重視してこなかった、もしくは先生方もそういう能力が求められなかった故に先生にも備わっていないかもしれません。これからそれらを指導していくときに、教える先生の力量、もしくはそういう先生に対して教育をするというのが、最低でも5年、10年かかるでしょう。そんなに時間をかけている間に日本は、世界から置いていかれますし、本当は受けてもらいたい子供が、もう大人になってしまいます。1つお願いは、そういう部分を見越しながら、同時進行で、本当にそれを実行する現場のところの評価も、早目早目に同時進行で手を打つということが非常に大事かなと思いました。以上です。

【多田座長】  どうもありがとうございました。今回は本当に多くの皆様方から、多岐にわたる御意見をいただきました。この検証に関する御意見に関しましては、座長預かりということで取りまとめさせていただきたいと思いますが、宜しいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【多田座長】  ありがとうございます。それでは、いただいた御意見を踏まえまして作業を行い、まとまり次第共有させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 では、今後のスケジュールについて、事務局の方から説明をお願いします。

【圓入外国語教育推進室長】  それでは、ただいま座長からお話もございましたように、本日いただきました御意見と、それから作業部会でもかなり専門的・技術的な御意見もいただいているということもありまして、それをおまとめさせていただいて、個別にちょっと御確認させていただきたいところは別途させていただきたいと思いますが、座長に御相談の上、おまとめさせていただきまして、4月以降の高大接続システム改革会議のいずれかの場に、連絡協議会としての御意見ということで御報告をさせていただきたいと思っております。
 なお、本年度、委員の皆様方に御就任いただきましたのは、委嘱の期間が年度末、3月末をもってということでございますが、また別途手続などは御連絡もさせていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

【多田座長】  議論は以上になりますが、最後に文科省から御挨拶があるということですので、御挨拶いただきたいと存じます。国際教育課の小林課長、よろしくお願いします。

【小林国際教育課長】  本日は、こちらの事務局の方の幹部が、国会の関係で出たり入ったりになりまして大変失礼いたしました。本当にお忙しい中、この会議につきまして、協議会に御参加いただきましてまことにありがとうございました。短い時間の中で、本日おまとめいただきました行動指針など、非常に大きな成果をおまとめいただきまして、大変感謝している次第でございます。
 引き続き高大接続の改革に関する全体的な議論、これは2つのテストの開発の方法ですとか、あるいはどういった実施方法にするのかなど、そういったことを含めまして、また全体的な高大の方の議論が進む中で、さらに皆様にまた御意見をいただく機会もあるかと存じますけれども、とりあえず今回一区切りということで、本当にお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

【多田座長】  ありがとうございました。では、本日はこれにて閉会といたします。皆様、お忙しいところまことにありがとうございました。

── 了 ──

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