(資料2)今後の学校運営協議会制度等の在り方に関する方向性

今後の学校運営協議会制度等の在り方に関する方向性(案)

1 学校運営協議会制度等の在り方に関する論点

1.1 現行のCSの機能の取扱い

 (論点1)現行の学校運営協議会の機能のうち、任意となっている「学校運営に関する意見」及び「教職員の任用に関する意見」の位置づけについて。

  • 法律上の学校運営協議会の機能・権限(校長の作成する学校運営の基本方針の承認、学校運営に関する教育委員会又は校長に対する意見、教職員の任用に関する教育委員会に対する意見)について、改めて、それぞれの意義や成果、課題等を整理し、今後の在り方を議論する必要があるのではないか。
  • 制度制定から10年たつ中、自治体等における抵抗感が強く、また、一部の指定校において主活動に位置づけられていない「教職員の任用に関する意見」の位置づけについて議論が必要ではないか。

実態等の整理

  • 法律上の学校運営協議会の機能(学校運営の基本方針の承認、学校運営に関する意見、教職員の任用に関する意見)について、制度制定の背景等を踏まえ、各々の機能に係る具体的な意義、成果及び課題を整理する。

(1)学校運営の基本方針の承認

  • 学校運営の基本方針の承認については、法律上必須の機能である。

(意義)

  • 基本方針の承認を通じ、学校と家庭、地域の三者において育てたい子供像や目指す学校像を共有し、三者が協働して教育の充実に取り組んでいくための目的意識や当事者意識の向上につながるとともに、保護者、地域住民等の意向を反映するという観点から、重要な意義を持つ。
  • また、学校が保護者や地域住民等に対する説明責任の意識を高め、教職員の意識改革につながるとともに、保護者や地域住民等が校長とともに学校運営に責任を負う体制の構築につながる。

(成果)

  • 計画の段階から保護者や地域住民等の参画を得た学校運営ができる、校長の異動に左右されない学校教育の実現が図られる、地域が学校に対して肯定的に見るようになる、説明責任の意識が定着したなどの指摘がある。

(課題)

  • 承認された事項を広く地域全体に知られていない、基本方針の承認等を行うために必要な資質をもった委員の任命が必要であるなどの指摘がある。

(2)学校運営に関する意見

  • 学校運営に関する意見については、法律上任意の機能であり、学校運営協議会制度を導入している教育委員会の約95%において、教育委員会規則にその旨が明定されている。

(意義)

  • 学校の教育活動に対して様々な角度や多様な見方からの意見をもらうことで、教育活動や地域連携に関する点検や見直しを図ることができる、教職員や保護者・地域住民等のコミュニティ・スクールに対する意識づくりにつながるなどの意義がある。

(成果)

  • 学校行事や授業改善、生徒指導等に対し、広く地域住民や保護者等の意見が出されることで、教職員の学校運営への改善意識が高まるとともに、改善に向けて地域住民等が学校を支援する取組につながっている、風通しのよい学校経営、学校と地域の信頼関係の構築につながっているなどの指摘がある。

(課題)

  • 適切な意見をもらうために必要な資質を高めていかなければならない、一方的に意見を述べるだけでなく、委員が何をするのかも含めた意見を述べるよう意識を変えていく必要があるなどの指摘がある。

(3)教職員の任用に関する意見

  • 教職員の任用に関する意見については、法律上任意の機能であり、学校運営協議会制度を導入している教育委員会の約76%において、教育委員会規則にその旨が明定されている。
  • また、実際に教職員の任用について意見が出された学校の割合は、指定校の約16%程度にとどまる状況であり、意見の内容としては「教員人事に関する一般的要望」が約64%と最も多い状況である。

(意義)

  • 学校運営協議会が承認した学校運営の基本方針を踏まえて、実現しようとする教育目標・内容等にかなった教職員の配置を得ることが必要であるとの趣旨から、教職員の任用についても、保護者や地域住民の意向が任命権者に直接的に反映されるようにするものであり、地域に開かれ信頼される学校の実現の観点から意義がある。

(成果)

  • 学校の課題解決や教育の充実のために校内体制の整備充実を図る観点での意見(例:地域との連携による学校づくりにマネジメント力を発揮する校長の留任、社会教育主事有資格者の教員の配置、ミドルリーダーの強化など)が述べられており学校にとって応援的存在となっている、学校運営協議会の思いが教育委員会に伝わり教育委員会との協働化が進みやすいなどの指摘がある。

(課題)

  • 委員が個々の教員の働きや役割について十分に理解することが難しく意見が出てきにくい状況がある、守秘義務を守り慎重に委員の理解を得ながら手続を進める必要がある、任用についての意見を出すことに抵抗がある委員もいるなどの指摘がある。
  • また、未指定校においては、任用の意見の申し出で人事が混乱するのではないかといった課題認識があり、学校運営協議会設置の足かせとなっている実態も存在する。

検討の方向性(案)

<学校運営協議会制度上の位置づけについて>

  • 現行制度が有する意義や成果等を踏まえた上で、学校運営に保護者や地域住民が参画することを通じて、学校と地域の人々が目標や課題を共有し、学校の教育方針の決定や教育活動の実践に地域のニーズを的確かつ機動的に反映させ、質の高い学校教育の実現を図る観点から、学校運営協議会は、法律上の機能である「学校運営の基本方針の承認」、「学校運営に関する意見」及び「教職員の任用に関する意見」の三つの機能を備えるべきである。
  • 一方で、現状においては、各学校・地域の実態に応じ、法律上の機能を柔軟に活用しつつ、学校支援や学校評価など様々な機能を加えるなどにより、地域の独自性を発揮した多様性のある学校運営協議会が設けられている状況であり、現行制度上、任意の扱いとなっている「学校運営に関する意見」及び「教職員の任用に関する意見」については、引き続き、述べることができるものとし、学校運営協議会の判断によることとするべきである。
  • 学校運営協議会が継続的・安定的に発展し活性化していくためには、関係者間で学校運営協議会の役割を適切に理解するとともに、学校への思いや課題意識を共有し、学び合い、文化を地域に定着させていくことが重要である。このため、国は、教育委員会等に対し、学校運営協議会制度の意義や成果等に対する理解を促すとともに、学校の教職員や学校運営協議会委員等の関係者による研修機会の充実が図られるよう財政的な支援を行う。

<教職員の任用に関する意見の取扱いについて>

  • 教職員の任用に対する意見の扱いについては、「任用の意見の申し出で人事が混乱しないか」といった課題意識がある。これについては、コミュニティ・スクール指定前に約23%であった割合が、指定後には約1%に低減されているように、指定により一定程度解消される傾向にあり、課題意識を乗り越え、コミュニティ・スクールになっていくよう、国は、教育委員会等に対して、その意義やメリット等について丁寧に説明し理解を促進する。
  • なお、法律上、教職員の任用に関する意見については、任命権者に対し、学校運営協議会から指定学校の職員の任用について意見が示された場合、当該職員の任用に当たり、意見を尊重する旨の規定があるが、これによって、任命権者の任命権の行使そのものを拘束するものではない。また、学校運営協議会を設置する学校に関しても、市町村教育委員会の内申権、校長の意見具申権そのものに変更が生ずるものではない。国は、教育委員会等に対し、改めてこれらの扱いも含めた周知徹底を図り、適切な理解を促進する。
  • 一方で、教職員の任用に関する意見に対する抵抗感が強く、コミュニティ・スクールに踏み切れない場合もある。このため、まずは、学校と地域との信頼関係・協働体制の構築を目指し、任用等に関する意見を主活動に位置づけない運用から始めるなど、段階的に発展していく姿を示すこと等により、コミュニティ・スクールになっていくよう促していくことが有効であることから、国は、教職員の任用に関する意見の扱いについて、柔軟な制度の在り方について引き続き検討する。

1.2 CS類似の取組の取扱い  ※法律に基づかない自治体独自のCS

(論点2)CSの導入促進に当たり、CS類似の取組の取扱いをどうしていくか。 

  • CSの定義を再確認し明確化するとともに、CSに位置づけられていない類似の取組の取扱いについても検討が必要ではないか。
  • CS類似の取組の中でも、学校運営に参画した取組を一定程度評価すること等を通じ、CSへの段階的な発展・移行を促していく必要があるのではないか。

実態等の整理

  • 子供たちの豊かな育ちを確保するためには、全ての学校が、地域の人々と目標を共有した上で、地域と一体となって子供たちを育む地域とともにある学校となることが重要であり、全ての学校において、地域住民や保護者等が学校運営に参画し、地域との連携・協働体制を構築するコミュニティ・スクールを目指すべきである。
  • 一方、法律に基づく学校運営協議会を置くコミュニティ・スクールのほかにも、学校支援地域本部や学校評議員、学校関係者評価など、地域の人々による学校運営への関わり方には様々な形がある中、類似制度の導入により、コミュニティ・スクールへの不要感・抵抗感を指摘する声もあることから、学校や地域の実情等に応じて、地域の人々による学校運営への関わり方には様々な形があるとの前提に立ち、多様性をもったコミュニティ・スクールの体制構築を進めるべきとの考えもある。

■ 検討の方向性(案)

  • コミュニティ・スクールの推進に当たり、国は、学校運営協議会制度によらずに保護者・地域住民等が学校運営に参画する仕組みを構築している取組についても、一つの段階的な姿として捉え推進し、取組の充実・発展を促す中で、最終的な姿として、コミュニティ・スクールへの移行を促進する。
  • また、国は、コミュニティ・スクールに対する不要感・抵抗感等を指摘する声に対し、同制度の付加価値や成果等について丁寧に説明し理解を促すとともに、以下をはじめとした促進策を講じる。
     ・類似の取組からコミュニティ・スクールに移行する際の財政的支援
     ・コミュニティ・スクール設置の手引きの改訂(類似の取組からコミュニティ・スクールに移行するための具体的な手順の提示等)
  • なお、多様性の検討に当たっては、学校運営協議会の機能として、学校運営の基本方針の承認や学校運営に関する意見等の機能を有していることや、教育委員会が学校運営協議会を置く学校を指定していること等を踏まえた整理とする。

<段階的な姿のイメージ>

  • 地域住民・保護者等が学校運営や教育活動について協議し意見を述べる会議体※が設置されている学校。
    ※教育委員会の規則や教育委員会の方針等に基づき学校が作成する要綱等により設置されている会議体で、校長の求めに応じた意見聴取にとどまらず、主体的に学校運営や教育活動について協議し、意見を述べることができる会議体(任用等に関する意見を主活動として位置づけていない協議会も含む。)
     (例)
     ・学校評議員の発展型(合議体を形成し、学校運営全般に参画等)
     ・学校関係者評価委員会の発展型(評価にとどまらず、学校運営全般にも参画等)
     ・学校支援地域本部の発展型(学校の支援にとどまらず、学校運営全般にも参画等)

1.3 学校評議員制度の取扱い

 (論点3)CSの機能と重複する学校評議員制度の取扱いをどうしていくか。学校評議員制度については、形骸化の指摘、CS指定校での学校評議員制度の廃止の増加等を踏まえ、今後の制度の在り方についての議論が必要。

  • 学校評議員制度の取扱いについては、CSの対象とならない国私立の学校の取扱い、地域ニーズを学校運営に的確に反映させるための手当、CS移行への政策的誘導策の検討と併せて整理することが必要ではないか。
  • 学校評議員制度の形骸化に係る指摘の実態を整理した上で、すぐにCSへの移行が困難な学校について、評議員制度の機能化・活性化の方策についての更なる検討が必要ではないか。

実態等の整理

<学校評議員制度の実態>

  • 学校評議員は、地域住民等の学校運営への参画の仕組みを制度的に位置づけるものとして、平成12年に導入された制度であり、平成24年3月現在で公立学校は80.2%、国立学校は99.6%、私立学校は29.7%の設置率となっている。
  • 同制度は、校長の求めに応じ、学校運営に関し、保護者や地域住民等の意向を把握し反映することができる仕組みであるものの、
     ・会合開催数が少なく、学校評議員が学校の実態を十分に把握しておらず、議論が活発化しない、
     ・地域の名誉職が評議員となるため、地域の御意見番的な性格が強く、組織的ではなく個人的な動きになりやすい、
     ・建設的な意見がなく、形式的で学校が一方的に報告する会議となっている、
     ・様々な助言はもらえるものの、課題解決のアクションを起こすのが学校だけではオーバーワークで機能しない
    など、実質的な制度の形骸化等について指摘がある。平成25年に文部科学省が委託した調査の結果によると、半数以上の学校の校長は、学校評議員制度が形骸化していると認識していた。
  • 一方で、学校運営協議会未設置校では、学校評議員が、校長の相談役、地域のつなぎ役など、学校の活性化に尽力してもらっているとの意見や、既に学校評議員としての合議体を形成しており、すぐにでも学校運営協議会に移行できるケースもあるなどの意見がある。

検討の方向性(案)

<学校評議員制度に関する検討>

  • 地域の声を学校運営に反映する仕組みとして国公私立学校にまたがる重要な制度であり、現在の定着の状況等を勘案しても、制度そのものを廃止することは困難である。一方で、多くの学校で制度が形骸化しているとの指摘もあり、国は、国公私立の置かれた状況等を勘案しつつ、制度の機能化・活性化を促進する。
     ・公立学校については、とりわけ、小中学校を中心に、コミュニティ・スクールへの移行を積極的に促し、学校運営協議会の設置に伴い、学校評議員は廃止する。すぐに学校運営協議会に移行できない学校においては、学校評議員の合議体を形成し、学校運営全般への参画を促すことで、コミュニティ・スクールへの段階的発展を目指す。
     ・国立学校については、ほぼ全ての学校に学校評議員が置かれている状況であり、学校運営全般への参画を積極的に促す。
     ・私立学校については、学校評議員の設置状況が約3割と十分でない状況であり、学校評議員制度の意義等について改めて周知を図る。
  • 学校評議員からコミュニティ・スクールへの移行を促すに当たっては、学校・家庭・地域の三者の組織的・継続的な連携・協働体制が確立される、共通したビジョンをもった三者協働の取組が展開されるなど、移行による魅力・メリットを示すとともに、以下をはじめとした促進策を講じる。
     ・学校評議員からコミュニティ・スクールに発展する取組に対する財政的支援
     ・コミュニティ・スクール設置の手引きの改訂(学校評議員からコミュニティ・スクールに移行するための具体的な手順の提示等)

1.4 学校支援機能の位置づけ(学校支援地域本部との関係)

 (論点4)学校・家庭・地域の協働の促進の観点から、CSと地域による学校支援活動(学校支援地域本部等)の一体的推進の必要性を踏まえ、地域による学校支援活動をCSの機能として位置づけ促進していく方向性について議論が必要。

  • CSと地域住民等による学校支援活動を一体で推進していくために、学校支援の総合的な企画・調整(地域住民等の理解、協力、参画等の促進)について、学校運営協議会の機能としての位置づけの検討が必要ではないか。
  • 学校支援地域本部等の取組からCS移行への政策的誘導策(制度面、施策面、予算面)として、どのような方策が有効か。

実態等の整理

  • 現行制度において学校運営協議会が有する権限は、1)学校運営の基本方針の承認、2)学校運営に関する意見、3)教職員の任用に関する意見といった、学校のガバナンス強化のための権限となっているが、コミュニティ・スクールの設置促進に当たっては、学校と地域の信頼関係や協力関係が築かれていることが重要である。
  • 学校を取り巻く環境が複雑化・困難化している中、学校は多くの課題を抱えている状況であり、学校と地域とが共通した課題意識や目標等を共有するだけでなく、設定した目標の達成に向かって、共に前進し行動していくことで、当事者意識やモチベーションの向上につながり、学校はよりよく発展していく。

<コミュニティ・スクールにおける学校支援に関する企画推進の実態等>

  • 現状としては、各学校・地域の実情等に応じて、学校運営協議会の機能として、教育委員会規則に学校支援の機能を位置づけている割合が約7割と、実態からも支援機能の必要性が整理できる。また、実際に、学校運営協議会の機能として、学校支援活動を実施していくことによって、学校運営の改善や児童生徒の変容等の成果認識に結びつきやすい傾向もある。
  • 学校運営協議会における学校支援に関する企画推進の実態について、その意義、成果及び課題を整理する。

(意義)

  • 協議会において学校運営の方向性を協議し支援を行うという構造を取ることで、評価・改善も一体として行うことができる、学校運営の基本方針を踏まえた教育支援活動が展開できる、学校と地域が課題や情報等を共有することで、保護者や地域の方々による学校支援が活性化されるなどの意義がある。

(成果)

  • 学校支援ボランティア個人の活動ではなく学校運営協議会という組織として活動することで、より開かれた持続可能な学校支援活動が可能となった、子供や学校の役に立つことが学校運営協議会委員の当事者意識や参画意識につながっている、学校運営協議会での提案が実現するよう協力することで、委員の達成感と自己有用感につながっているなどの指摘がある。

(課題)

  • 学校運営に関する協議と学校支援との両立は、学校運営協議会委員の負担が生じる、学校運営協議会委員と学校支援ボランティアを対象とした研修機会が不足しているなど指摘がある。

<コミュニティ・スクールと学校支援地域本部との関係>

  • 地域住民等の学校運営への参画を促す学校運営協議会と、地域住民等の参画により教育活動を支援する学校支援地域本部等の取組とは、共に学校・家庭・地域の連携・協働によって社会全体の教育力の向上を図る仕組みであり、親和性が高い。
  • 両者の関係として、学校運営協議会の組織の一部として、学校支援部といった組織を位置づけ、支援の内容・方法について協議し取組を推進している例、地域教育協議会の委員の大半が学校運営協議会の委員を兼務し、地域コーディネーターが学校運営協議会のコーディネーターも兼務することで、学校支援地域本部との連携を図っている例など、様々な形式がある。また、文部科学省が委託した調査によると、学校支援地域本部等を学校運営協議会の下部組織(実働組織)等に位置づけている割合が約25%、学校運営協議会の下部組織ではないが、連携させている割合が約49%といった状況であった。

検討の方向性(案)

<コミュニティ・スクールと学校支援地域本部等の一体的推進>

  • 学校運営協議会が法律上有している役割の重要性を踏まえた上で、既に両者の仕組みを有している地域においては、それぞれの強みを生かしながら、一体的に取組を推進する。また、いずれかの仕組みを有している地域においても、学校運営協議会から教育活動を支援する取組への発展、学校支援地域本部等の取組から学校運営への参画を促し、学校運営協議会への発展を促すことにより、一体的な取組を推進する。
  • 具体的には、平成27年度予算案において、学校運営協議会と学校支援地域本部等の支援制度が「学校を核とした地域力強化プラン」として一体化されており、国は、本予算の積極的な活用と併せ、地方の現場で両者の一体的な推進が進められるよう、以下をはじめとした促進策を講じる。
     ・コミュニティ・スクールと学校支援地域本部等を一体的に推進する取組に対する重点的な支援
     ・コミュニティ・スクール設置の手引きの改訂(一体的な取組イメージや具体的な運用手順等の提示等)
     ・コミュニティ・スクール推進員(CSマイスター)やCSディレクター、地域コーディネーター等の連携・協力による推進運動
  • なお、各々の権限・機能を超えて一体的な推進を図るためには、教育委員会が関係する組織・団体等との連携・協働体制を確立し、教育委員会が、学校や学校運営協議会委員等に対して目指すべき姿を示し、イニシアティブを発揮していくことが望まれる。

<学校運営協議会制度上の位置づけ>

  • 現在、中央教育審議会において、学校が組織全体の総合力を高め、発揮していくための学校運営の在り方等について調査審議が行われており、学校と地域との連携の在り方を考えるに当たっては、学校運営協議会が、チームとしての学校の総合力を高め、学校を一層活性化させるための基盤であるとともに、学校に対する地域住民等の理解や協力、参画を促し、学校を支える基盤であるという観点を明確化することで、学校と地域との連携・協働が一層推進されることとなる。
  • このため、国は、制度上の学校運営協議会の機能の一つとして、学校支援活動等の総合的な企画・調整の機能を明確化し、地域住民等の理解や協力、参画等が促進されるよう促していくことを検討する。
  • なお、現行制度においても、教育委員会の定める学校運営協議会の規則に、学校支援の部会、企画推進委員会などを設置できる規定を盛り込む等により、学校運営協議会で課題や目標等を共有した上で、学校支援の活動等を企画し、部会等の活動に反映することは可能であり、こうした効果的な運用方法について周知を図ることも有効である。

1.5 学校関係者評価の取扱い

(論点5)学校関係者評価について、実効性の確保が課題となっている状況等を踏まえ、どのような改善を図るか。また、コミュニティ・スクールの機能として位置づけ促進していく方向性について議論が必要。 

  • 学校運営協議会の約8割で学校評価が実施されている実態を踏まえて、その位置づけを明確化する必要があるのではないか。
  • 教育委員会の下部組織である学校運営協議会の活動そのものを客観的に評価する必要があるのではないか。
  • 学校運営協議会が学校支援等の活動を行っている場合、学校運営協議会による評価をどう位置づけるか。

実態等の整理

<学校関係者評価の実態>

  • 平成19年に制度化された学校評価のうち、学校関係者評価は「保護者や地域住民などの学校関係者等が、自己評価の客観性・透明性を高めるとともに、学校・家庭・地域が学校の現状と課題について共通理解を深めて相互の連携を促し、学校運営の改善への協力を促進することを目的として行うもの」であり、学校教育法施行規則上、努力義務として規定されている。
  • 学校関係者評価は、公立学校の約94%(平成23年度)で実施されており、取組は広がっているものの、学校関係者に対して自己評価結果等の情報提供が不十分であったり、保護者からのアンケートの実施にとどまっているなど必ずしも同制度が求めている趣旨が果たされていない状況も見られ、学校と地域の人々との相互の信頼関係や連携・協働を促すコミュニケーション・ツールとして一層の機能化が必要である。また、評価結果が教育委員会の改善・支援等に十分生かされておらず、評価の実効性に関しても課題がある。

<コミュニティ・スクールと学校関係者評価の関係>

  • 現状としては、各学校・地域の実情等に応じて、学校運営協議会の機能として、教育委員会規則に学校評価の機能を位置づけている割合が約8割に至っている状況であり、学校関係者評価委員を学校運営協議会委員が兼務し、学校運営協議会の機能の一つとして学校関係者評価を実施している、学校運営協議会で評価結果と併せて、改善に向けた学校運営協議会としての支援策を協議し実施している、また、学校運営協議会で、コミュニティ・スクールの進捗状況の自己評価も実施しているなどの実態が見られる。
  • 学校運営協議会における学校評価の実態について、その意義、成果及び課題を整理する。

(意義)

  • 学校運営協議会における学校運営のPDCAサイクルの意識化につながる、学校・家庭・地域の三者が学校の現状と課題について共通理解を深め、連携協力を強め、学校運営の改善への協力を促進することにつながるなどの意義がある。

(成果)

  • 学校運営協議会における学校評価を通じ、様々な課題が共有され、そのための具体的な対策を協議会で協議し、具体的な改善にもつながっている、学校運営協議会における学校評価のシステムが整うことで委員も自分自身の果たすべき役割が明確になり、議論が深まっている、次年度の学校運営の基本方針等に着実に生かされており、学校運営協議会委員の参画意識の向上につながっているなどの指摘がある。

(課題)

  • 学校運営協議会委員が学校関係者評価を検討・記載するための時間と労力を要する、財源を多く必要とする課題には限界があり改善できないことが多い、学校関係者評価の結果を公表してはいるが、学校内、校区内での共有や改善に向けた協議が不十分などの指摘がある。

検討の方向性(案)

<コミュニティ・スクールと学校関係者評価の一体的な推進>

  • 学校関係者評価の質を高め、より実効性を高める観点から、また、コミュニティ・スクールの設置促進の観点からも、学校関係者評価委員会を学校運営協議会に発展させていくことが有効であり、学校運営協議会の機能の一つとして学校関係者評価を位置づけ実施していくことによって、学校と地域の人々との双方向のコミュニケーションが深まり、学校運営の改善のサイクルが有機的に機能していくことが期待される。
  • このため、今後、学校関係者評価委員会から学校運営協議会への発展・移行が円滑に進むよう、国は、以下をはじめとした促進策を講じる。
     ・学校関係者評価委員会からコミュニティ・スクールに発展する取組に対する財政的支援
     ・コミュニティ・スクール設置の手引きの改訂(一体的な取組イメージや具体的な運用手順等の提示等)
     ・指導主事の研修等を通じたコミュニティ・スクール発展への働きかけの強化
     ・一体的な取組による成果普及、理解増進、研修機会の充実

<学校運営協議会制度上の位置づけ>

  • 学校評価については、既に学校教育法上明確な位置づけがあることから、学校運営協議会の制度と学校評価の制度を有機的に組み合わせることで、両者を一体的に運用していくことが可能である。教育委員会の定める学校運営協議会の規則に、学校評価の部会などを設置できる規定を盛り込む等により、学校運営協議会の機能として、効果的な学校評価を実施していく運用の方法等について周知を図ることも有効である。
  • その際、学校関係者評価を学校と地域の人々とのコミュニケーション・ツールとして活用することだけが強調されることのないよう留意することが必要であり、学校評価の実施とその結果の公表・説明を通じて、児童生徒がより良い教育活動等を享受できるよう学校としての組織的・継続的な改善・発展を目指す視点や、より透明性の高い広がりをもったものとなるよう配慮する視点が求められる。

<学校評価の目的>

  1. 各学校が、自らの教育活動その他の学校運営について、目指すべき目標を設定し、その達成状況や達成に向けた取組の適切さ等について評価することにより、学校として組織的・継続的な改善を図ること。
  2. 各学校が、自己評価及び保護者など学校関係者等による評価の実施とその結果の公表・説明により、適切に説明責任を果たすとともに、保護者、地域住民等から理解と参画を得て、学校・家庭・地域の連携協力による学校づくりを進めること。
  3. 各学校の設置者等が、学校評価の結果に応じて、学校に対する支援や条件整備等の改善措置を講じることにより、一定水準の教育の質を保証し、その向上を図ること。
  • また、学校運営協議会が部会を設けて学校支援等の活動を行っている場合は、支援に関わっていない別の委員が評価に参画するなど、一定の客観性を確保した形で評価していくことも有効である。
  • 学校運営協議会の取組そのものも適正に評価される必要があることから、教育委員会における定期的な点検・評価の実施を一層推進していく。

※学校評価ガイドラインの見直しも含め、学校評価の実効性を高めるための方策等については、別途、検討。

2 その他の論点  ※資料3(論点メモ)により議論

2.1CSの制度上の位置づけについて

(論点1)コミュニティ・スクール促進の観点から、制度上の位置づけ等についての議論が必要ではないか。 

  • 全国の学校に対してCSを一層促進する観点から、現在任意設置となっているCSの位置づけについて議論する必要があるのではないか。
  • また、現在、公立小中学校の1割(約3,000校)に導入するという目標を掲げているが、3,000校の先を見据えたビジョンの検討が必要ではないか。

2.2 学校のマネジメントの在り方

(論点2)地域とともにある学校を担う管理職、教職員の育成・確保をいかにしていくべきか。 

  • 地域とともにある学校づくりを一層円滑に機能させる観点から、管理職のマネジメントの在り方、教職員の育成等の在り方等について検討が必要ではないか。
  • 管理職のマネジメント力の向上や教職員の意識の向上等のために、どのようにして研修機会の充実を図っていくか。
  • 教員養成の段階から地域との協働の視点をどのようにして養っていくか。

2.3 学校ファンド(仮)の在り方

(論点3)学校ファンドの在り方についてどう考えるか。 

  • 財政的に厳しい自治体や特色ある学校づくりを行いたい自治体の中には、保護者や地域の意思により集められた資金の管理・運営を行う仕組みとして学校ファンドを立ち上げている地域がある。
  • 学校を支援する活動等の継続的・安定的な財源を確保するため、民間資金も含めた学校ファンドの仕組みについてどう考えるか。

2.4 学校を核とした地域づくり

(論点4)地域とともにある学校づくりを進めるに当たり、学校を核とした地域づくりをいかにして促進していくか。 

  • 人口減少等、差し迫った課題に直面している中、学校を核とした協働の取組を通じて、地域コミュニティの形成・活性化を図る「学校を核とした地域づくり」をいかにして促進していくか。

お問合せ先

初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付

(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付)