(資料1)第4回会議における指摘事項の整理

<小中一貫教育の成果等>

  • 国語、算数、英語の一貫カリキュラムを小・中学校の教員が集まって作成し、子供たちの課題を踏まえた学習指導を行っている。
  • 小中一貫でよかったのは、特別支援の早期発見・早期支援につながること、小・中学校の教員がお互いを理解し、尊敬し合うようになったこと。
  • 小中一貫は、ポリシーをきちんと示し、下から積み上げていって義務教育修了の所で出口保証することが重要である。また、その責任主体は教育委員会であり、しっかりとした支援・指導を行うことが大切である。
  • 多くの教育長は将来的には早くから小中一貫になると考えているが、統廃合がネックである。小学校が地域からなくなってしまうことを、一貫でやるからという説明で地域の人にどこまで理解してもらえるかが課題。
  • 小中一貫が制度化されることによって、自治体にメリットがあるような、やりやすくなるような制度改革を国にしていただき、あとは現場に知恵を絞っていただくことが大切だと思う。

<中学校区単位のコミュニティの課題>

  • コミュニティ・スクールによる学校と地域の連携をどうするか、行政単位で小中の義務教育をどう統括していくかということは非常に大事な問題。
  • 東京、横浜などの課題は、小学校、中学校から私立に行く場合が多く、保護者は中学校に興味も関心もないこと。横浜の場合、3小1中でも必ずしも3小の全ての子供が同じ中学校に行くわけではないため、複雑である。
  • 中学校区で取り組みが進まない一番の理由は複雑な校区。その校区で小・中学校のつながり、物事や子供たちを捉えるためには非常に大きな工夫が必要である。この現状を打開するには具体的な事例を示すことが必要である。
  • 港北ニュータウンの東山田中学校で、一体感を作りたい、中学校区を意識してもらいたいとの思いで、コミュニティカレンダーを作成し、参画する人や関心を持つ人を増やしていくプロセスを踏んだ結果、学校だけではなく地域の意識も高まった。小さなことでも具体的なことをしていかないと地域との連携は難しいと思う。

<小中一貫のコミュニティ・スクールの成果と課題>

  • 三鷹中央学園の場合、3校の学校運営協議会委員も兼ねたコミュニティ・スクール委員会であるため、課題としては年間会議数が増え負担も大きくなったこと。一方、進めていく段階で、学校と地域が少しずつ歩み寄り、一体となって学校運営をしていくことの重要性や義務教育9年間を通じて子供たちを見ていくことの大切さを実感し、意識が大きく変わったことが一番の成果である。
  • 自分の子供が通っていない隣の小学校の子供も、中学になれば一緒になる。中学校全体のことを協議する際、隣の小学校のことも知っておくことは当然だと認識するようになった。
  • 三鷹市は中学1年の不登校出現率が都内で最低であるが、小中一貫による小学校間の連携により、子供たちが中学校に進学したときに全く知らない者同士ではないという状態が好影響を与えているように思う。
  • 大玉村の場合、以前から小・中連携はやっていたが形式的な取組であった。コミュニティ・スクールを導入して、幼・小・中の保護者は重なることが多いため、保護者が中学校3年になったときの子供の姿をイメージして課題等を協議できたことは大きなメリットであった。
  • 小・中が同じ目的を持ってコミュニティ・スクールにならないと、小学校修了段階で取組が終わってしまって成果が出ないし、保護者の学校教育に対する不信感まで高まってしまう。
  • 小中一貫では、学校運営協議会だけではなく、PTA、生徒会と児童会もメンバーが似てくるので、各校に分けない方がうまくいくという話を聞く。
  • 小・中あわせた学校運営協議会を実施する場合、中学校が代表となることが多く、そこの事務局が大変だという話を聞く。
  • 小・中あわせた一体型の学校運営協議会の課題としては、学校単位の話合いが難しくなることである。
  • 上下関係にある小・中で学校運営協議会を作ると議論の焦点がぼやけてしまうので、まずは個別の学校の問題をきちんと協議し、そこで校長の話を聞き、保護者、地域として意見を言い、参画する形がいいと思う。

<中学校区を運営単位とした学校運営協議会の体制>

  • 平成23年の地域とともにある学校づくりの提言では、中学校区を一つのまとまりと考え、学校と地域の関係をつくり出していく核になるのがコミュニティ・スクールだということを示しており、中学校区を単位に全体を動かしていくような小中を一元的に捉える学校運営協議会が出てくるのは必然。
  • 中学校区を単位とした学校運営協議会を進めるために、地域からのアイデアをできるだけいい事例として取上げ紹介することもありうる。
  • 合同設置という形になると、小・中が全部合同で一つの学校運営協議会を設置し、学校ごとの組織は部会的な位置づけになっているところもあれば、各学校の学校運営協議会を設けつつ、その代表者が連絡協議会的なものを設けるという構成など、多様な形が出つつある。
  • 全体のコミュニティ・スクールの下に学校ごとの分科会的なものがある場合と、各学校にコミュニティ・スクールがあって、それをまとめる形でブロックの会がある場合の二つの形があると思うが、こういう重層構造を取らざるを得ないのではないか。
  • 小学校と同様の中身を中学校と合同で設けた会議で議論するというのは、屋上屋を架することになり、何のために設けるのかという目的がぼやけかねない面がある。何のために合同設置するのか、共通理解が必要。
  • 小学校・中学校の学校運営協議会が集まって話合いをする場合、誰が調整するかが大きな課題。教育委員会等が音頭を取ることが重要ではないか。
  • 最初に学校個別の問題があり、それを地域全体で中学校区の一体型のコミュニティ・スクールの中で解決していくということを関係者に理解してもらうことが必要である。
  • 学力向上や特別支援教育など合同で大きなテーマコミュニティ(合同会議)を設け議論しながら、各学校で何をするのか、あるべき一つの子供像を持ちながら各学校の取組を進めていくという形にシフトされてきている。
  • 単に小中一貫だけでなく、就学前の保育所・幼稚園から中学卒業までの連携を中学校区単位で考えていける広がりの核となるのが、小中合同の学校運営協議会という位置づけも考えていく必要がある。
  • 複数の学校で事務職員が連携して共同で事務を行う取組が全国的に展開している。事務職員は学校種の指定もなく、横のつながりもあるので、小中一貫や連携は進めやすいように思うが、業務負担が大きく、どこまで可能かは疑問である。

<審議の整理>

  • この会議での提案としてコミュニティ・スクールをしっかりと推進していただきたいということを座長から大臣等政務三役に話す機会をつくっていただけると、より取組が加速していくのではないか。
  • 「審議の整理」26ページに「学校運営協議会の設置を努力義務化し全国的な拡大を図るべきであるとの意見があった」は、「義務化するなど国民的な拡大を」という趣旨にしていただきたい。

<その他>

  • 町村の場合、モデルがあるとやりやすい。また、それをいろいろな場面でPRし、メリットを伝えていくことが重要である。
  • (コミュニティや社会福祉の取組を進めるためには)校長や教育委員会の指導主事などの理解を深めることが重要であり、これから教員を目指す教職課程の科目の中に、コミュニティやコミュニティソーシャルワーク、社会福祉を学ぶ項目を入れるなど、全体地域を包括できるような養成課程ができるとよい。

お問合せ先

初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付

(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付)