参考資料3 平成25年12月 中央教育審議会答申「今後の地方教育行政の在り方について」(抜粋)

3 今後の地方教育行政の在り方について

3.学校と教育行政、保護者・地域住民との関係の在り方について

(1)コミュニティ・スクールや学校支援地域本部の重要性

● コミュニティ・スクールや学校支援地域本部等の活用を通じ、社会総がかりで学校教育の質を高めることが重要である。

  •  我が国の教育が様々な課題に直面する中で、これらの課題を克服し、教育再生を実行していくためには、教育委員会制度の改革を行うとともに、教育に関わる様々な当事者が連携・協働する体制を構築することが重要である。
  •  このため、教育行政における適切な役割分担等を図ることとあわせ、多様な地域や子供の実情に応じた質の高い学校教育の実現に向けて、校長のリーダーシップのもと教職員がチームとして力を発揮するとともに、保護者や地域住民の参画を得ながら学校運営の改善や学校支援の充実を図り、社会総がかりで子供たちを育むことが重要である。
  •  保護者や地域住民が一定の権限と責任を持って学校運営に参画する学校運営協議会制度(コミュニティ・スクール)は、平成25年4月現在、導入校が1,570校に達し、多くの学校で学力向上や不登校の減少などの成果を上げてきている。これは、学校と地域が学校運営に関して共通の理解と目標を持ちつつ、地域との様々な関わりの中で教員が一定の緊張感を持って授業改善に努めることや、地域からきめ細かな学校支援を得ることにつながった結果であるとの意見があった。
  •  また、地域住民等による学校支援ボランティアなどへの参加をコーディネートする学校支援地域本部は、平成25年8月現在、3,527本部、公立小中学校の約28%に達し、授業の補助や部活動指導の補助、学校行事の支援等の学校支援活動が幅広く行われている。これにより、子供たちが多様な知識や経験を持つ地域の大人と触れ合う機会の増加や、地域の教育力の向上に成果を上げている。
  •  今後、学校運営の充実や、学校・家庭・地域の協働体制の構築に向け、コミュニティ・スクールや学校支援地域本部等の一層の拡大と充実が必要である。

(2)地域とともにある学校づくりの推進方策

● 国は、コミュニティ・スクールや学校支援地域本部の未設置の地域に対する支援、マネジメント力向上に向けた教職員研修等の在り方の検討及び地域人材の資質向上策などを推進する。
● 教育行政部局は、自主的・自律的な学校運営の促進や、マネジメント力を持った教職員の育成及び配置などを行う。
● 学校は、地域と連携・協働するための体制整備や学校に関する情報の積極的発信などを行う。

1) 国の取組について

  •  本年6月に閣議決定された第2期教育振興基本計画においては、コミュニティ・スクールを全公立小中学校の1割(約3,000校)に拡大すること、また、すべての学校区に学校支援地域本部などの学校と地域が組織的に連携・協働する体制を構築することとしている。
    目標達成に向けて設置数は共に順調に増加しているが、導入の状況には地域差もあることから、引き続き未導入の地域を中心とした支援を着実に推進することが必要である。
  •  コミュニティ・スクールや学校支援地域本部の導入や運用上の課題として、学校・家庭・地域の連携・協働に関する校長や教職員の理解や実践経験の不足及び実務の負担の在り方を挙げる意見があった。
     このため、地域とともにある学校づくりに必要なマネジメント力の向上に向け、教職員研修等の在り方を検討することが必要である。また、文部科学大臣優秀教職員表彰制度におけるコミュニティ・スクール関係者等の表彰を推進するなど、学校と地域の連携・協働に組織的に取り組む教職員が積極的に評価される取組を充実することが重要である。
     また、教職員等の体制を充実すべきとの意見もあり、地域との連携・協働の担当の配置を促すなど、組織的・継続的な取組に向けた支援が必要である。
  •  あわせて、学校運営協議会の委員やコーディネーターとなる地域の人材の育成や確保に向けた支援も求められる。コミュニティ・スクールの制度創設以来10年近くが経過し、次代を担う人材の育成が必要との意見もあった。
     このため、教育委員会等が行う、学校運営協議会の委員やコーディネーターの資質向上及びそのネットワークの構築等の取組に対する支援を推進することが必要である。

2) 教育行政部局の取組について

  •  教育行政部局は、地域とともにある学校づくりを進めるため、学校への権限委譲等を通じ学校の自主的・自律的運営を促進するとともに、各学校の運営上の課題を踏まえたきめ細やかな支援を行う。また、事務機能の強化や、マネジメント力をもった管理職・教職員の育成及び配置とその積極的な評価などを推進することが求められる。
  •  また、保護者・地域との連携・協働が進んでいない学校に対し、その取組を促し支援する。あわせて、保護者や地域住民に対しても、取組の必要性や成果を広く周知するなど、学校への理解と参画を促す環境づくりが重要である。その際、PTAや自治会などの既存の団体を活用することも考えられる。
  •  都道府県は、県費負担教職員の適正配置と人事交流の観点から、最終的に自らの権限と責任において任命権を行使するものであるが、地域とともにある学校づくりのための人事上の工夫に努めることが求められる。
     例えば、都道府県が、コミュニティ・スクール導入校を対象とした教員公募制を採用し、意欲や力量のある教員を配置することにより、地域とともにある学校づくりを人事面で支援している例もあり、このような取組の推進が期待される。

3) 学校の取組について

  •  地域とともにある学校づくりを推進するため、地域との連携・協働の機能を校務分掌で明確に位置づけ、実働できる体制を整備することが重要である。また、学校事務の共同実施を通じて、事務機能の強化を図ることも有効な方策と考えられる。
  •  また、学校は、学校公開や学校ホームページにより日々の教育活動の情報発信を行うことがまず重要であるとの意見があり、取組の充実が求められる。

(3)今後の展望

● 今後は、学校運営協議会を基盤とした、学校・家庭・地域の三者の協働体制の在り方を検討すべきである。

  •  学校運営協議会と学校支援地域本部などの学校支援活動を連携させたり、また一体的に運用したりする事例が増えている一方、両者の連携不足を指摘する意見もあった。
     学校・家庭・地域がそれぞれの役割を果たしつつ、より一体となって子供たちを育むため、国の関連施策の一体化も含め、学校運営協議会を基盤とした三者の協働体制の在り方を検討すべきである。
  •  なお、学校評議員、学校関係者評価、学校運営協議会など、保護者や地域住民の意見を学校運営に反映する仕組みについては、法令の規定に従いつつ、例えば、新たに学校運営協議会を置く場合には、学校評議員を置かないなど、それぞれの学校の実情に応じて、効率的・効果的な活用を図ることが重要である。今後、上記と併せ、学校評議員制度の在り方についても検討すべきである。

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初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付

(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付)