小・中・高等学校を通じた英語教育の目標等の方向性[検討のための資料]
英語教育の充実強化は、我が国にとって極めて重要な課題。 |
○ 小・中・高校を通じて、言語や文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、聞くこと、話すこと、読むこと、書くことなどのコミュニケーション能力を養成することをねらいとしている。
○ このねらいを実現するため、
また、指導語彙を充実するため、高等学校で「コミュニケーション英語1」、「コミュニケーション英語2」及び「コミュニケーション英語3」をすべて履修した場合、高等学校で1,800語。中学校・高等学校を通じて3,000語を指導することとした。
○ 小学生の76%が「英語の学習が好き」、また91.5%が「英語が使えるようになりたい」と回答 するとともに、中学生の約8割が小学校外国語活動で行ったことが、中学校外国語科で役立っていると回答 。
また、外国語活動導入前と比べて、中1の生徒に「成果や変容がとてもみられた」「まあまあみられた」と感じる英語担当教員が78%となっており、英語の基本的な表現に慣れ親しんでいる、英語を使って積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度が育成されている、英語で活動を行うことに慣れているといった指摘がなされている。また、小学校で外国語活動を経験した中学生の聞く力や話す力が高まったという指摘もある 。
○ 先進的な事例においては、小学校低学年、中学年から外国語活動に取り組むとともに、中学校とのカリキュラム上の接続を意識した取組などが行われており、生徒の英語学習に対する意欲が中学校以降も維持されたり、英語力が向上している取組が見られる。
○ 中学校では、言語活動の「聞くこと」において、概要や要点を適切に聞き取とること、文法はコミュニケーションを支えるものであり、言語活動と効果的に関連づけて指導すること、活用することを通して定着を図る取組において生徒の英語力向上が見られる。また、教師と生徒の親和関係の構築、授業を英語で展開すること、ペアワークなど活動を中心とした授業の展開などの成果が見られる。
○ 先進的な実践事例においては、単元目標と関連付けながら、考えながら話す言語活動や、小学校・高等学校との接続を意識した授業、高校と連携した学習到達目標の作成が行われている。
○ また、教育委員会が中心となって県下の全中学校が「CAN-DOリスト」の形で学習到達目標を設定することで、年間指導計画を見直す視点や、指導と評価の改善につなげる視点を持つようになるなどの成果が見られる。
○ 高等学校では、情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりするコミュニケーション能力を養うことを目的としており、聞いたり読んだりしたことに基づいて英語で表現するなどの機会を多く持たせる言語活動を通じて、生徒の英語力向上がみられる。
○ 生徒が英語に触れる機会を充実するため,授業は英語で行うことが浸透しつつある。普通科等の授業において,発話を「おおむね英語で行っている」又は「発話の半分以上を英語で行っている」教員は,平成22年度の「英語1」では16%だったが,平成25年度の「コミュニケーション英語1」では53%,同「英語表現1」では47%と大きく増加している。
○ 授業を実際のコミュニケーションの場面とするため,生徒の英語による言語活動を授業の中心としようとする姿勢がみられる。普通科等の授業において,「おおむね言語活動を行っている(75%以上)」又は「半分以上の時間,言語活動を行っている(50~75%程度)」のは,平成25年度の「コミュニケーション英語1」担当教員が41%,同「英語表現1」担当教員が42%となっている。
○ 外国語を用いて何ができるようになるかという観点から,各学校においてより具体的な学習到達目標を設定しようとする傾向が見られる。「CAN-DOリスト」の形で学習到達目標を設定している普通科等の学科は,旧課程の平成23年度は4%,新課程の平成25年度は33%と増加している。
○ 先進的な事例においては、「CAN-DOリスト」の形式の学習到達目標を作成することによって、教科書や教材を、目標を達成するために積極的に活用したり、教員間で指導や評価の内容・方法が均質化された例や、英語力が向上した例が見られる。
○ また、教育委員会が中心となって県下の全高等学校がCAN-DOリスト形式による学習到達目標を設定する取組を推進するとともに、中学校・高等学校の接続を意識した研修を実施することで、年間指導計画を見直す視点や、指導と評価の改善につなげる視点を持つようになるなどの成果が見られる。
○ 現行の学習指導要領は、「コミュニケーション能力」の育成を外国語科の目標として掲げており、多くの学校において、その目標に沿った授業が行われている。
○ そのような中、「国際共通語としての英語力向上のための5つの提言と具体的施策」(平成23年)等が示されたこともあり、中学校・高等学校において「英語を用いて何ができるようになるか」という観点から、4技能に関する学習到達目標を、いわゆる「CAN-DOリスト」の形で設定する取組が進んでいる(平成25年度末までに、中学校の17%、高等学校の34%で作成されており、これから設定する予定の学校を含めると6~7割に達する)。このような取組を進めることを通して、一部の中学校・高等学校において、指導計画と関連した授業改善や英語力の向上などの成果が見られるようになった。
○ 外国語活動への取り組みが充実してきたものの、地域や学校、教員によりその取り組みに差があるという指摘がある。また、ALTの労務管理上、学級担任等とALTとがティーム・ティーチングができない状況もあり、ALTに指導を任せてしまうという状況も指摘されている。
○ 小学校高学年は、抽象的な思考力が高まる段階であるにも関わらず、外国語活動の性質上、体系的な学習ではないため、中学生の7割以上が小学校で「英単語・英語の文を読むこと」、8割以上が「英語の単語・文を書くこと」をしておきたかったと回答するなど、学習内容にもの足りなさを感じている状況が見られる。
○ 外国語活動は、児童が、自らの考えを英語で表現するための十分な語彙や表現を身に付けることは意図されていないが、コミュニケーションに積極的に関わろうとする態度は育成されている。今後、小学校中学年から学習を開始することに伴い、英語学習への動機付けをさらに高め、コミュニケーション能力の素地を養うことで、小学校卒業時までに慣れ親しみや体験的理解に加えてコミュニケーション能力の基礎を身に付けさせることも期待される。
○ 小・中連携の観点からは、小学校において中学校での指導を意識した指導が、中学校においては外国語活動を踏まえた指導が不十分である。
○ 小・小連携、小・中連携の研修では、「学級担任等による外国語活動の参加・協議」や「外国語活動の在り方に関する共通理解、具体的な活動についての共通理解や体験」などに関する研修を4~5割程度の学校で実施している。一方、年間指導計画や単元計画指導案の作成、検討などを実施している学校は全体の1~2割弱となっている。
○ 中学校では、英語を理解し考えながら表現できるコミュニケーションが図られるかどうか、伝統文化や自然科学など現行の学習指導要領に示された題材の扱い、単元ごとの適切な目標設定が行われているかどうかといった観点から、英語を理解し英語で表現できる実践的なコミュニケーション能力が十分ではないという指摘があった。
○ また、
となっており、生徒が英語に触れる機会を充実する観点から、一層の取組を推進する必要がある。
○ CAN-DOリストの形での学習到達目標は、17.4% の学校が設定し、その中で、達成状況を更に把握している学校は66.8%にとどまっており、全ての学校において設定する地域と設定していない地域があることから今後の指導における影響が大きく、学校の指導改善等につながる取組として促す必要がある。
○ 教員の英語の使用状況は、全体的には改善されつつあるものの、「発話をおおむね英語で行っている」教員は、平成25年度普通科等の「コミュニケーション英語1」では15%、同「英語表現1」では14%にとどまっており、なお一層の推進が必要である。
○ 英検準1級以上等を取得している教員の割合は、平成22年度が49%、平成25年度が53%で、3年間で4%の伸びにとどまっており、授業を英語で展開するためにも、教員自身の英語力を更に引き上げる必要がある。
○ CAN-DOリストの形での学習到達目標の設定は、平成25年度の4%から平成25年度の34%に増加はしているが、域内全ての高等学校において設定を終えている地域と現時点でほとんど設定が進んでいない地域があるなど、ばらつきが大きいことから今後の指導における影響が大きいと考える。
○ CAN-DOリストの形で学習到達目標を設定はしていても、それが実際の指導や評価において十分には活用されていない現状がある。学習到達目標を設定する意義や方法とともに、年間指導計画・単元計画の作成や評価において活用されるよう改善する必要がある。
○ 中学校・高等学校でそれぞれどのような指導と評価が行われているかについてお互いに情報不足で、中・高等学校の連携が不十分であるとの指摘もある。
○ グローバル化が急速に進展する中で、子供たちの将来の職業的・社会的な環境を考えると、外国語、特に英語によるコミュニケーション能力は、これまでのように一部の業種や職種だけでなく、様々な場面で必要とされることが想定され、今まで以上に、その能力の向上が課題となっている。
○ 現在の学習指導要領は、英語によるコミュニケーション能力を確実に養うことを目標としているが、英語を外国語として学ぶ諸国における英語教育の状況を改めて踏まえることが必要である。
その際、英語教育を通じて育成すべき資質・能力とともに、これらの資質・能力についての達成状況を明確化するための小・中・高を通じて一貫した目標を設定するとともに、学校として、英語の授業以外でも英語に触れる機会や環境を整えることが求められる。
○ 個別の教科等を横断した観点から、児童生徒の思考力、判断力、表現力等をはぐくむため、言語に対する関心や理解を深め、言語に関する能力を育成できるよう、更に言語活動を充実することが必要である。
外国語教育の充実に当たっては、学習者が、言葉の性質・仕組み・働きを理解することにより、母語の効果的な運用能力を向上させ、さらに外国語の効果的運用に必要な能力を伸ばすという観点も重要である。
○ これらの取組と併せて、国際社会に生きる日本人として、日本人のアイデンティティを育成するため、我が国の歴史・伝統文化等に関する学習の一層の充実が必要である。
○ 小・中・高等学校を一貫して外国語の「コミュニケーション能力」を養うため、「聞くこと」「話すこと」「読むこと」及び「書くこと」の4技能を踏まえつつ、各学校段階における発達段階に応じた育成すべき資質・能力を育む観点から、教育目標・内容の明確化や、目標・内容に沿った指導方法の見直し、学習評価の改善等を一体的に図るという方向で検討する。
○ また、これまでの英語教育の成果と課題を踏まえ、各学校が適切に学習目標を設定し、これらの資質・能力についての達成状況を明確化できるようにするため、国として、小・中・高等学校において達成を目指すべき教育目標を、「CAN-DOリスト」の形で4技能ごとに一貫した指標として示すこととする。
○ 小・中・高の連携、中・高の連携などを意識した目標・内容を具体的に検討するとともに、中・高等学校の高度化を踏まえ、それぞれの段階において言語の使用場面や働きを更に広げた言語活動を行うこととする。
○ 学校における学習が、生涯にわたって、自ら外国語を学び、実際にコミュニケーションで使おうとする動機付けに結びつけ、維持するようにする。
○ 現在、各学校において策定されている学習到達目標は、学習指導要領に基づき、「英語を用いて何ができるようになるか」という観点から目標を具体化し、それらに基づく指導及び評価を行うことにより、英語によるコミュニケーション能力を確実に養うことを目的としている。これらは各学校において生徒の学習状況や地域の実態等を踏まえた上で設定することを通じ、生徒が身につける能力を明確化し、教育活動を行う際に、具体的な指導及び評価の改善に活用するものである。
○ 小・中・高を通じて体系的な教育活動を行うとともに、学習到達目標を設定した指導等の改善をさらに進める観点から、今後、国において、これまでの取組を検証しつつ、小・中・高において達成を目指すべき教育目標を、4技能ごとに一貫した指標の形で設定し、その実現に向けて検討を進める。このため、次期学習指導要領の改定における、教育目標の見直しに資するため、現行学習指導要領を基にしたこうした4技能ごとの一貫した教育目標を試行的に作成し、研究開発学校等における取組を促すとともに検証を行う。
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聞くこと |
話すこと |
読むこと |
書くこと |
高等学校卒業時 |
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中学校卒業時 |
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小学校卒業時 (高学年) |
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○ 具体的な学習到達目標は、学習指導要領の教育目標等を踏まえつつ、各学校において、それぞれの実情に応じて作成することが想定される。
その場合の効果として、以下を挙げることができる。
○ 一方で、学校における学習到達目標の作成に当たっては、以下の留意点が挙げられている。国や教育委員会は、そうした活動が円滑かつ効果的に進むよう支援していくことが必要となる。
○ 各学校においては、学習指導要領の内容に基づき、生徒に求められる英語力を達成するための具体的な学習到達目標をCAN-DOリストの形で設定する。その際、教科書・教材、生徒の学習状況、授業時数等を踏まえつつ、学校及び各科目の単元ごとの学習到達目標を具体的に設定し、指導方法や評価方法の工夫・改善を図る。
○ 各学校において、生徒の学習意欲を高めながら英語力の向上を図るため、各学校における取組も踏まえつつ、今後のグローバル化に対応した世界標準の英語力育成を目指す。
○ これまでの成果・課題を踏まえ、今後の小学校中学年における外国語活動の導入と、高学年でのより系統性を持たせた指導を想定し、次のような目標・内容の改善を図る。
その際、英語だけに限らず、世界には多くの言語があることや、国語教育との連携も通じて、言葉への関心を高めることが重要である。
○ 小学校中学年における外国語活動を導入する場合、これまでの先進的な取組の成果・課題を踏まえ、
○ 小学校高学年において、より系統性を持たせた指導を取り入れる場合、これまでの先進的な取組の成果・課題を踏まえ、
○ 義務教育終了段階として小学校の学びの連続性を図りつつ中学校において身近な事柄についてコミュニケーションを図ることができるようにするとともに、高等学校における高度化に向けた基礎を培う観点から、次のような改善を図る。
○ 高等学校段階における英語教育の多様性に対応した目標・内容の設定、及び高度化を図るとともに、中学校との円滑な接続を図る観点から、次のような改善を図る。
(参考)指導体制等の前回までの論点
指導、評価、教科書・教材、指導体制については、指導体制の小委員会及びこれまでの議論を踏まえ、次回以降、検討を行う。
○ 小学校段階においてどのような観点から指導を充実するか。
○ 小学校における効果的な指導方法について、これまでの先行的な取組や「英語教育強化地域拠点事業」(H26年度~)での状況に関し、以下の観点から検証する。
○ 育成すべき資質・能力の明確化も踏まえ、小学校段階における評価の在り方をどのように考えるか。
(参考)平成20年中教審答申 |
○ 中学校・高等学校段階において、どのような観点から指導の充実を図るか。
○ 中学校・高等学校における効果的な指導方法・評価方法について、これまでの先行的な取組や「英語教育強化地域拠点事業」(H26年度~)及び「外部専門機関と連携した英語指導力向上事業」(H26年度~)での状況に関し、以下の観点から検証する。
○ 育成すべき資質・能力の明確化も踏まえ、中学校・高等学校段階における評価の在り方をどのように考えるか。
○ 今後の外国語活動・外国語において求められる教材・教科書の内容等についてどのように考えるか。
○ 効果的な学習方法として教科書・教材におけるICT活用を促進する。
(参考)平成26年度予算:小学校における外国語活動・外国語教育の教材整備
※教育用コンピュータ、電子黒板機等の整備の推進及びICT支援員の配置等 |
○ 今後の外国語において求められる教材・教科書の内容等についてどのように考えるか。
○ 効果的な学習方法として教科書・教材におけるICT活用を促進する。
○ 小学校における英語指導に求められる指導体制の強化の観点から、求められる学級担任と外部人材の資質・能力・資格要件などについて、どのように考えるか。
(例)
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○ 教員の養成・確保の在り方について、どのような内容・取組が求められるか。
(参考)教育再生実行会議、教員養成部会における審議の状況 |
○ 教員の指導力向上のための研修等の在り方について、どのような内容・取組が求められるか。
(例)
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(例)
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○ 中・高等学校における英語指導に求められる指導体制の強化の観点から、求められる英語担当教員と外部人材の活用(資質・能力・資格要件)などについて、どのように考えるか。
(例)
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○ 教員の養成・確保の在り方について、どのような内容・取組が求められるか。
(参考)教育再生実行会議、教員養成部会における審議の状況 |
○ 教員の指導力向上のための研修等の在り方について、どのような内容・取組が求められるか。
(例)
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(例)
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初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室