【資料3-1】小学校における英語教育に関する主な論点(案)

 英語教育の充実強化は、我が国にとって極めて重要な課題。  これまでの多くの議論を経て、現行の学習指導要領が着実に実施されており、その成果と課題を踏まえながら、平成32(2020)年度を見据え、新たな英語教育を順次実施できるよう検討を進める。  並行して、これに向けた準備期間の取扱いや、現行の制度内での先取り実施も具体化する。

1 目的(必要性)

○ グローバル化が急速に進展する中で、子供たちの将来の職業的・社会的な環境を考えると、外国語、特に英語によるコミュニケーション能力は、これまでのように一部の業種や職種だけでなく、様々な場面で必要とされることが想定され、今まで以上に、その能力の向上が課題となっている。

○ 現在の学習指導要領は、英語によるコミュニケーション能力を確実に養うことを目標としているが、英語を外国語として学ぶ諸国における英語教育の状況を改めて踏まえることが必要である。
 その際、英語教育を通じて育成すべき資質・能力を明確化し、これらの資質・能力についての達成状況を明確化するための小・中・高を通じて一貫した目標を設定するとともに、学校として、英語の授業以外でも英語に触れる機会や環境を整えることが求められる。

○ また、国際社会に生きる日本人として、日本人のアイデンティティを育成するため、我が国の歴史・伝統文化等に関する学習の一層の充実が必要である。 

2 目標・内容

○ 個別の教科等を横断した観点から、児童の思考力、判断力、表現力等をはぐくむため、言語に対する関心や理解を深め、言語に関する能力を育成できるよう、言語活動を充実することが必要である。

○ 小学校における発達段階に応じた、育成すべき資質・能力をどのように整理するか。また、これらの資質・能力についての達成状況を明確化するための小・中学校を一貫した目標の在り方、示し方をどのように考えるか。

 (参考) 「育成すべき資質・能力を踏まえた教育目標・内容と評価の在り方に関する検討会-論点整理‐」(平成26年3月)

○ これまでの成果・課題を踏まえ、今後の小学校中学年における外国語活動の導入と、高学年でのより系統性を持たせた指導を考えた場合、どのような目標・内容の方向性が考えられるか。

○ 4技能を踏まえた目標・内容の系統的整理をどのように考えるか。

(小学校中学年)

○ 小学校中学年における外国語活動を導入する場合、これまでの先進的な取組の成果・課題を踏まえ、その目的をどのように考えるか。

 ・ 例えば、英語学習に対するモチベーションや、聞き取り、発音に関して効果があると考えられること、また音声を中心に体験的に理解を深めることは、小学校中学年の児童の発達段階により適していると考えられる。

(小学校高学年)

○ 小学校高学年において、より系統性を持たせた指導を取り入れる場合、これまでの先進的な取組の成果・課題を踏まえ、その目的をどのように考えるか。

 ・ 例えば、中学年で、外国語への慣れ親しみと体験的理解を中心とする「外国語活動」(活動型)を行い、高学年においては、中学年と高学年の学びの連続性を持たせながら、4技能を扱う言語活動を通してより系統性を持たせた指導(教科型)を行うことが考えられる。
 ・ その際、単に中学校で学ぶ内容を小学校高学年に前倒しするのではなく、学校内外の影響を踏まえながら、小学校の発達段階に応じた「読むこと」、「書くこと」を含めた初歩的な運用能力を養うことが考えられる。
 ・ 文構造など、言葉の規則性に関する気付きを意図的に促す指導や、文字の認識、単語への慣れも加えることで、発達段階に応じて、知的好奇心に応えるものとすることが考えられる。

【現行の小学校学習指導要領の「外国語活動」の目標・内容】

目標:
 外国語を通じて、言語や文化について体験的に理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養う。

内容:
1.外国語を用いて積極的にコミュニケーションを図ることができるよう,次の事項について指導する。
 (1) 外国語を用いてコミュニケーションを図る楽しさを体験すること。
 (2) 積極的に外国語を聞いたり,話したりすること。
 (3) 言語を用いてコミュニケーションを図ることの大切さを知ること。
2.日本と外国の言語や文化について,体験的に理解を深めることができるよう,次の事項について指導する。
 (1)外国語の音声やリズムなどに慣れ親しむとともに,日本語との違いを知り,言葉の面白さや豊かさに気付くこと。
 (2)日本と外国との生活,習慣,行事などの違いを知り,多様なものの見方や考え方があることに気付くこと。
 (3)異なる文化をもつ人々との交流等を体験し,文化等に対する理解を深めること。

3 指導と評価

○ 小学校段階においてどのような観点から指導を充実するか。

 ・ 目標・内容の改善の方向に伴い、指導内容をどのように見直すか。

○ 小学校における効果的な指導方法について、これまでの先行的な取組や「英語教育強化地域拠点事業」(平成26年度~)での状況に関し、以下の観点から検証する。

 ・ 児童の発達段階に留意した指導
 ・ 体験活動や実践等をとり入れた指導
 ・ 他教科等との連携を強化した指導
 ・ 小学校と中学校の連携を意識した具体的な指導の在り方

○ 育成すべき資質・能力の明確化も踏まえ、小学校段階における評価の在り方をどのように考えるか。

 ・ 活動型、教科型における評価について、これまでの先行的な取組や「英語教育強化地域拠点事業」での状況を検証する。その際、評価が学びの改善につながるようPDCAサイクルの構築について検討する。
 ・ 活動型、教科型における評価の観点や具体的な基準をどのように考えるか(他の教科の場合、数値等による評価を行っている)。

 (参考)平成20年中教審答申
 小学校における外国語活動の目標や内容を踏まえれば一定のまとまりをもって活動を行うことが適当であるが、教科のような数値による評価はなじまないものと考えられる。

 ・ 小学校での外国語は、学習の初期段階であり、過度の負担とならないように配慮をどう考えるか。

4 教科書・教材

○ 今後の外国語活動・外国語教育において求められる教材・教科書の内容等についてどのように考えるか。

 ・ 小学生向けに、本年度、新たな補助教材を開発することとしており、それを先進的な取組を行う学校で活用しながら、その効果を検証する。
 ・ 児童の発達段階を踏まえた指導の充実のため、今後どのような工夫が求められるか。

○ 効果的な学習方法として教科書・教材におけるICT活用を促進する。

 ・ 先進的な活用事例の共有
 ・ 学習効果の高いコンテンツの導入
 ・ ICT活用を推進するためのハードウェアの充実

 (参考)平成26年度予算:小学校における外国語活動・外国語教育の教材整備
 ・小学校における英語教育強化のための補助教材の開発
 ・小学校外国語活動教材Hi,friends!作成・配布 等
 ※教育用コンピュータ、電子黒板機等の整備の推進及びICT支援員の配置等 

5 指導体制

○ 小学校における英語指導に求められる指導体制の強化の観点から、求められる学級担任と外部人材の資質・能力・資格要件などについて、どのように考えるか。

 ・ 小学生への指導に当たっては、英語教育に関する専門性を前提としながらも、児童理解の観点、他教科等と連動した学習内容・活動を行う観点、学級経営を基盤とした授業の実施等に対応できる指導者が求められる。
 ・ その際、学級担任が重要な役割を果たすこととなるが、あわせて、小学校教育に対応できる専科教員を積極的に活用することも必要である。
 ・ 加えて、ネイティブスピーカーによる外国語講師、外国語指導助手(ALT)、地域人材の活用・指導力向上を推進することが必要である。
 ・ そうした外部人材の活用に当たっては、適切な人材に対しては、特別免許状を積極的に授与するための方策を講じるべきである。
 ・ 小学校における学級担任と外部人材の連携をどのように考えるか。

 (例)
 ・学級担任、外部人材に求められる役割の明確化、連携の在り方
 ・外部人材として、外国語指導助手(ALT)、地域人材などの活用促進方策(配置拡大、ガイドラインの策定等)
 ・ALT等向けの研修強化・充実 等

 ・ 英語指導におけるICTの活用(再掲)

○ 教員の養成・確保の在り方について、どのような内容・取組が求められるか。

 ・ 教員養成課程において、どのような履修内容や方法が求められるか。教科型導入の場合、履修内容として、英語の指導法等が考えられるが、どのような内容に重きを置くことが適切か。
 ・ 養成・研修の段階において大学と教育委員会それぞれの強みを生かした一貫した教員養成の在り方はどのようにあるべきか。
 ・ 英語教育における小学校と中学校の連携・接続の強化を推進する観点から、どのような養成・採用が考えられるか。

 (参考)教育再生実行会議、教員養成部会における審議の状況

○ 教員の指導力向上のための研修等の在り方について、どのような内容・取組が求められるか。

 ・ 今後の英語教育の指導の充実に当たり、現職教員のどのような資質・能力を向上させることが求められるか。
 ・ 全ての教員が指導力・英語力を高められるよう、現職研修等をどのように充実させていくか。その際、教育委員会と大学・外部専門機関等との連携の在り方をどのように考えるか。
 ・ 教員養成大学に、どのような現職研修を期待するか。

 (例)
 ・国における英語教育推進リーダー中央研修(外部専門機関と連携した英語指導力向上事業) 
 ・各地域・学校における中核教員
 ・初任者研修、10年研修
 ・教員免許状更新講習

 ・ 今後の新たな方向性に向けて、研修の質の改善のためにどのような取組が求められるか。

 (例)
 ・実践的な指導法や研修教材、ICT活用
 ・実践力を高めるためのワークショップ等の手法
 ・研修の事前・事後の自己評価方法の開発
 ・外部検定試験の活用など英語力の達成状況の検証 等

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初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室

(初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室)