平成20年度の学習指導要領改定を受け、平成23年度より、外国語活動として、第5学年及び第6学年において、それぞれ年間35単位時間の授業時数を確保。
これまで把握された成果と課題は次のとおり。
○小学生の76%が「英語の学習が好き」と回答。
○小学生の91.5%が「英語が使えるようになりたい」と回答。
(平成25年度 全国学力・学習状況調査)
○中学生の約8割が小学校外国語活動で行ったことが、中学校外国語科で役立っていると回答。
○外国語活動導入前と比べて、中1の生徒に「成果や変容がとてもみられた」「まあまあみられた」と感じる教員が78%。
・外国や異文化に対して興味をもっている。
・英語の音声に慣れ親しんでいる。
・英語を使って積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度が育成されている。
・中学生の聞く力が高まった。
(小学校外国語活動実施状況調査(平成24年))
【児童】
○小学校高学年は、抽象的な思考力が高まる段階であるにも関わらず、体系的に学習を積んでいないがために、学習内容に飽き足らない児童が見られる。
・中学生の7割以上が小学校で「英単語・英語の文を読むこと」、8割が「英語の単語・文を書くこと」をしておきたかったと回答。
○児童には、自らの考えを英語で表現するための十分な語彙や表現を身に付けることが困難であるが、コミュニケーションに積極的に関わろうとする態度は育ってきている。今後、小学校中学年から学習を開始することに伴い、英語学習への動機付けを更に高め、コミュニケーション能力の素地を養うことで、小学校卒業時までに表現の幅が広がることが期待される。
【指導者】
○外国語活動の実施に当たっての課題として、「準備や打ちあわせの時間の確保」(51.3%)、「教員の指導力」(44.9%)、「ALT等の外部人材との打合せ」(30.0%)、外国語活動に関する教員研修(23.8%)が挙げられている。
【小中連携】
○小中連携では、小学校において中学校での指導を意識した指導が、中学校においては外国語活動を踏まえた指導が不十分である。
○小小連携、小中連携の研修では、「学級担任等による外国語活動の参加・協議」や「外国語活動の在り方に関する共通理解、具体的な活動についての共通理解や体験」などに関する研修が4~5割程度の学校で実施。一方、年間指導計画や単元計画指導案の作成、検討などを実施している学校は全体の1~2割弱。
(小学校外国語活動実施状況調査(平成24年))
【参考:指導者の状況】
○小学校教育で中心となる指導者は、学級担任が73%
また、外国語指導助手(ALT等)から学級担任が増えている(2006年→2010年)
○小学校の外国語活動等の総実施時数のうち、ALTを活用している時数の割合は54%、英語に堪能な日本人や中・高校の英語担当教員等が参加している時数まで含めると67%が外部人材を活用
○外国語活動に関わっている外部人材は、外国人指導助手(ALTなど)が約8割、保護者・地域人材や外国人ボランティアが1~2割
○第5、6学年の教科担任制(専科教員)は5~6%
小中連携による外国語教育の在り方(外国語教育の早期化や授業の増加等)について研究開発。
(平成23年度)
・香川県直島町立小学校 外1校
(平成24年度)
・埼玉県深谷市立明戸小学校 外28校
・岐阜県多治見市立笠原小学校 外1校
(平成25年度)
・北海道教育大学附属小学校 外7校
・徳島県鳴門市林崎小学校 外2校
*平成26年度は、「英語教育強化地域拠点事業」において18件開始
○開始学年、学年ごとの授業時数及び総合時数
小学校 |
1年 |
2年 |
3年 |
4年 |
5年 |
6年 |
中学校 |
北海道教育大附属 |
17 |
35 |
140 |
||||
教科型 |
|||||||
徳島県鳴門市立林崎小 |
6 |
6 |
35 |
35 |
35 |
50→70 |
140 |
活動型 |
教科型 |
||||||
埼玉県深谷市立明戸小 |
|
35 |
35 |
35 |
35 |
140 |
|
活動型 |
教科型 |
||||||
香川県直島町立小学校・中学校 |
35 |
35 |
35 |
35 |
70 |
70 |
160 |
活動型 |
教科型 |
||||||
岐阜県多治見市立笠原小 |
35+週2回15分 |
35+週2回15分 |
60+週2回15分 |
60+週2回15分 |
70+週2回15分 |
70+週2回15分 |
140 |
活動型 |
教科型 |
○目標
外国語活動:
・「コミュニケーションを図ろうとする態度の育成、外国語への慣れ親しみ、言語や文化についての気づき」、「コミュニケーション能力の素地を養う(3~4年)」
教科:
・「コミュニケーションを図ろうとする態度の育成と聞くこと、話すこと、読むこと、書くことなどのコミュニケーション能力の基礎を養う(3~5年)」
*現行の学習指導要領:
小学校外国語活動(5,6年)「コミュニケーション能力の素地を養う」
中学校外国語科「コミュニケーション能力の基礎を養う」
高等学校外国語科「コミュニケーション能力を養う」
○内容
・低・中学年の開始学年は「聞く」「話す」の音声中心の学習。
・高学年では文字学習(アルファベットの読み・書き導入)、4技能を総合的に育成。
・ALT等のネイティブ等による英語に触れる機会が多い実践的な内容。
・他教科等(総合的な学習の時間、社会、国語など)、学校や地域の行事等と関連した学習内容や活動を設定していることが多い。
○指導体制
・ALT等の来校回数が多い。
・指導主事等の訪問指導、及び校内研修が充実している。
・小学校・中学校の間で情報交換、小学校と中学校との接続したカリキュラムがつくられている。
・長期にわたる取組の中で教材等が充実している。
○評価の観点
・コミュニケーションへの感心・意欲・態度(低学年~高学年)
・外国語への慣れ親しみ(低学年)→外国語理解の能力、外国語表現の能力(高学年)
・言語や文化についての気付き(低学年~高学年)
○評価方法
・教員による文章記述が主となっている。
○成果等
・外国語の学習を肯定的にとらえている児童が増、教科化したことで児童の理解力や表現力が高まり、学習意欲が向上。
・高学年において文字学習導入により、児童の意欲維持に一定の効果。
○課題
・教科を掲げている中で、現行学習指導要領に記載されている外国語活動の目標・内容がみられ、教科とはいえない。
・小中連携が十分でない。
先進的な英語教育に取り組んでいる小学校(全小学校のうち約14.6%)の現状は次のとおり。
○年間授業時数は、学年が上がるにつれて増加傾向。1学年~4学年までは、週1コマ未満(年34コマ以下)の学校が多く、5,6学年は週1コマ以上、2コマ未満が多い。
○指導内容は、各学年ともに、おおむね7割の学校が、現行学習指導要領に記載されている外国語活動の目標や内容に準じて指導を行っている。教科として目標・内容を掲げている中にも外国語活動と同様のものがみられる。また、中学校と連携している学校は少ない。
○指導者の体制は、1~6年生の各学年とも「学級担任のみ」が1割。その他は「学級担任+ALT等」が6割、「学級担任+ALT等+地域人材」が2割となるなど外部人材を活用。
○評価方法は文章による記述が多い。
○指導上の課題は、順に「指導者の指導力」、「指導内容」、「小中連携」、「教材・資料」を選択する学校が多い。
○現行の外国語活動の目標・内容以外のものを取り入れて低学年から先進的な取組を行っている学校では、各学年ともに、およそ7割の学校が、現行学習指導要領に記載されている外国語活動の目標・内容に準じて指導している(教科となっていない)。
○小中連携の内容は、情報交換が多くカリキュラム連携等は、余り行われていない。
*現行学習指導要領に定める外国語活動の実施学年や目標、内容によらない、先進的な取組を行っている小学校(3,094校:全学校2万1,000校)に対し、研究開発学校や教育課程特例校等において実施している英語教育に関する先進的な取組の状況を調査(調査期間:平成25年7月22日~8月30日)
初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室