【資料2-1】これまでの意見の概要

前回の議論(能力記述文の形で示した国の学習到達目標)について

1.これまでの取組

○ 現行の学習指導要領は、外国語科の目標に「コミュニケーション能力」を養うことを掲げており、多くの学校において、その目標に沿った授業が行われている。

○ そのような中、「国際共通語としての英語力向上のための五つの提言と具体的施策」(平成23年)等が示されたこともあり、中学校・高等学校において「英語を用いて何ができるようになるか」という観点から、4技能に関する学習到達目標を、いわゆる「CAN-DOリスト」の形で設定する取組が進んでいる(平成25年度末までに、中学校の17%、高等学校の34%で作成されており、これから設定する予定の学校を含めると6~7割に達する)。

○ そうした取組を更に進める観点から、今後、国において、小・中・高で一貫した学習到達目標を設定し、その実現に向けて検討を進めることとしている。
 その一環として、文部科学省において、現行の学習指導要領(外国語)に基づき、その学習内容を「~することができる」の形式で編集し直したものを「能力記述文の形で示した国の学習到達目標(試案)」として提示している(別紙)。

2.学習到達目標を設定する効果

○ 具体的な学習到達目標は、各学校において、それぞれの実情に応じて作成することが想定される。
 その場合の効果として、以下を挙げることができる。

 (1) 学習到達目標を通じて、児童生徒にどういう英語力が身に付くか、英語を用いて何ができるようになるか、あらかじめ明らかにすることができる。また、そうした情報を生徒や保護者と共有することでゴールが明確になる。
 (2) 特に、学習指導要領に基づいて目標を設定し、指導と評価を設定する際に、文法や語彙等の知識の習得にとどまらず、それらの知識を活用してコミュニケーションが図れるよう、4技能の総合的な能力の修得を重視することが期待される。
 (3) ともすれば、校内でも教員により指導方法が大きく異なることがある中で、学習到達目標の策定を通じて、教員間で、指導に当たっての共通理解を図ることができる。
 (4) 評価が、面接・スピーチ・エッセイ等のパフォーマンス評価などによって「言語を用いて何ができるか」という観点からなされることが期待され、更なる指導と評価の一体化とそれらの改善につなげることができる。 

3.留意事項

○ 一方で、学校における学習到達目標の作成に当たっては、以下の留意点が挙げられている。国や教育委員会は、そうした活動が円滑かつ効果的に進むよう支援していくことが必要となる。

 (1) 学習到達目標に掲げられた内容を形式的に達成すればよいのではなく、授業を通じて教員が児童生徒の状況を把握しながら、英語力の向上を支援していくことが必要である。
 (2) 学習到達目標を作成すること自体が目的となってしまわないように、研修等を通じて、教員の共通理解を図ることが求められる。
 (3) 小・中・高を通じた学習到達目標の設定に当たっては、早期の段階から高度な水準を求めることがないよう計画し、児童生徒のモチベーションを維持・向上させるような配慮が必要である。

4.その他の論点

○ 教科書について、児童生徒の言語活動の充実と総合的なコミュニケーション能力の育成を重視した形で編集されるよう、どのような工夫が可能か検討する必要がある。

○ 教員養成課程において、児童生徒の4技能を伸ばすための指導や評価の方法などの教授が充実されることが期待される。

○ 学習到達目標が設定されていく中で、それと入学試験や外部試験との関わりがどうなっていくか検討する必要がある。

お問合せ先

初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室

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(初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室)