英語教育の在り方に関する有識者会議(第9回) 議事録

1.日時

平成26年9月26日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 英語教育の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

吉田座長、石鍋委員、大津委員、佐々木委員、藤村委員、松川委員、松本委員、安河内委員

文部科学省

山中文部科学事務次官、小松初等中等教育局長、伯井大臣官房審議官、榎本国際教育課長、圓入外国語教育推進室長、直山教科調査官、平木教科調査官、向後教科調査官、葛城英語教育プロジェクトオフィサー

5.議事録

【吉田座長】 定刻になりましたので、第9回英語教育の在り方に関する有識者会議を開催いたします。お忙しいところを御参集いただきまして、まことにありがとうございます。
 本日の第9回は、前回に引き続き、これまでの議論を基に作成いたしました「今後の英語教育の改善・充実方策について 報告(案)~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~」について御議論いただきたく思っております。
 なお、今回は、事務局より各委員に報告書を事前配付して、本日御欠席の方を含めて、皆様に頂きましたコメントを反映させたものを事務局でまとめましたので、そのような前提で本日の御議論を頂きますようにお願いいたします。
 それでは、まず事務局より配付資料の説明をお願いいたします。

【圓入室長】 それでは、お手元の資料を御覧いただければと思います。議事次第、1枚おめくりいただきますと資料1でございますが、先ほど座長から御説明ありました報告の概要の案を御用意しております。A3の資料になっております。
 資料2が報告案本体となっております。報告案に関係が深い資料といたしまして、その後ろに「小・中・高を通じた目標及び内容の主なイメージ」ということで、前回までに配付させていただいていたもの、それから「観点別学習状況の評価と学習到達目標との関係」ということで、資料を配付させていただいております。
 不足等ございましたら、事務局までお知らせいただきたいと思います。以上でございます。

【吉田座長】 ありがとうございます。今回の議論の進め方としましては、初めに事務局より全項目の説明、その後全体を通じての御質問、議論をお願いしたいと思っています。
 それでは、事務局より「今後の英語教育の改善・充実方策について 報告(案)~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~」について説明をお願いいたします。

【圓入室長】 それでは、資料2に基づきまして、御説明させていただきたいと思います。
 資料2の1ページ目を御覧いただければと思います。表紙でございますが、まず報告の名称でございます。「今後の英語教育の改善・充実方策について」とし、これは昨年12月に発表した「グローバル化に対応した英語教育改革の実施計画」を踏まえながら、会議で先生方に御議論いただいたということがございまして、「グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言」として、有識者会議の中でまとめていただくという副題を、座長と御相談の上書かせていただいております。
 構成といたしましては、まず英語教育の改革を1番目にまとめさせていただきまして、2番目に必要な改革ということで、五つの提言となっております。
 更にローマ数字3番目でございますが、英語教育の在り方に関する有識者会議における議論の詳細ということで、これまで9回にわたりまして御議論いただいたこと、それから小委員会が二つございました。その小委員会の審議のまとめを頂いておりますけれども、こちらを全て盛り込ませていただきます。ローマ数字2の方に、簡潔にわかりやすくなるべくおまとめさせていただいたものを、そして更にどのような議論を頂いたかという詳細についてローマ数字3の方に書かせていただいているという構成でまとめさせていただきました。
 それでは、内容に入らせていただきたいと思います。1ページおめくりいただきますと、ローマ数字1の英語教育改革の背景というところでございます。前回にも、こちらを前提としたものを書かせていただいておりましたが、前回から大きく変更したところを御紹介させていただきますと、まず上の囲みのところでございます。
 グローバル化の進展の中で、国際共通語である英語力の向上は日本の将来にとって極めて重要と、それからアジアの中でトップクラスの英語力を目指すべきということを最初に書かせていただきました。これは、前回三木谷委員から御発言を頂いたところでございます。その上で、今後の英語教育改革においては、その基礎的・基本的な知識・技能と、それらを活用して、主体的に課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等の育成が重要な課題であるということを一つ目に書かせていただいております。
 二つ目は、これも前回も書かせていただいておりましたけれども、今後学習指導要領の改訂に向けての検討が、専門的に中央教育審議会で行われるということになろうかと思います。その間、東京オリンピック・パラリンピックの2020年ということも見据えながら検討を進めるということと並行して、これに向けた準備期間の取組を先取りした改革を進めるということで、この報告を頂きましたら、直ちに取組を進めるということを少し段階がわかるように書かせていただいております。
 1ページ下の方は、前回から先ほど御説明したような趣旨を加えさせていただいております。
 それから、右側の下の方に、前回大津委員から御意見いただきました、「ことば」への関心を高める工夫によって、更に外国語の効果的運用に必要な能力を伸ばすという視点が重要ということも、併せて追加させていただいております。
 次のページをおめくりいただければと思います。2ページ目には、この会議における検討ということで、先ほど申し上げましたように、ローマ数字3については、幾つかの論点はまだ検討が必要なものもございますけれども、そのような様々な御意見というものは、3の方に詳細に記載しているということを書かせていただいております。
 さらに、この会議の中で頂いた御提言は、引き続き中央教育審議会などにおきまして、専門的に検討を要するものがございますので、そういったこともここに書かせていただいております。
 それから、3ページ目に移らせていただきたいと思います。ここから五つの提言の内容に入ってくるところでございます。3ページ目の囲みを御覧いただければと思います。
 学習指導要領の今回の改訂に向けたポイントといたしまして、2点、最初に書かせていただいております。小・中・高を通じて各学校段階の学びを円滑に接続させるということ、それから英語を使って何ができるようになるかという観点から、一貫した教育目標、4技能に係る具体的な指標の形式の目標を含めた形で示していくことが必要ではないかということでございます。
 こちらについては、前回までに配らせていただいていました、このA3の小・中・高を通じた目標及び内容の主なイメージというものを資料に併せて添付させていただきまして、今後の検討に資するものとして付けさせていただきたいと思っております。
 それから、次の丸でございますが、前回は高校卒業時の英語力の目標設定というところで、CEFRも参照しながらということで書かせていただいておりましたけれども、佐々木委員からも御意見いただきましたように、高校生、かなり多様な幅がある英語力ということも想定しますと、丁寧に書かせていただきました。生涯にわたり4技能を学習するというのは基盤が培われるということだと思いますが、積極的に使えるような英語力を身に付けるということをまずは目標とすると。
 あわせて、その目標設定ということでございます。その趣旨といたしましては、きめ細かく調査・把握・分析を行いまして、指導改善や生徒の学習意欲の向上につなげるということを目標とした、ゴール設定という御意見もありましたけれども、そういうものを掲げていくということを書かせていただいております。
 その次には、これまで第2期教育振興基本計画に明記されております中学校卒業段階、それから高校卒業段階の目標を書いております。それだけではなくて、更に高校生の特性、例えば留学というコメントもありましたように、進路等に応じた目標設定を上げるということで、英検2級から準1級、TOEFL iBT57点以上ということを書かせていただいております。そういった生徒の多様な英語力の把握・分析・改善につなげることが必要であろうというように、少し丁寧に書かせていただいております。
 その下、丸1、丸2、丸3は、小・中・高ということで、きょうもお配りしております目標のイメージを簡潔にまとめさせていただいております。なお、小学校につきましては、学習に系統性を持たせるため教科として行うことが適当ということと、前回も少し御意見がございましたように、今後でございますが、授業時数や位置付けにつきましては、教育課程全体の議論の中で検討が必要ということを書かせていただいております。
 中学校につきましては、これは後ろの指導と評価の方にも出てまいりますけれども、前回、「内容に踏み込んで」という言葉での御議論がございました。そこを少し丁寧に書かせていただくということで、文法訳読に偏ることなく、お互いの考えや気持ちを英語で伝え合う学習を重視するということで、若干修正させていただいております。
 そういった形で、3の囲み以外のところも併せて修正をいたしております。
 3ページの右側の方、上から2行目、囲み以外のところを御覧いただきますと、ローマ数字3詳細18ページを参照と書いております。そのまま後ろ18ページをおめくりいただきますと、例えば国の一貫した教育目標の議論に関しては、どのような議論があったかということを書かせていただいております。ここだけ少し御紹介させていただきますと、18ページから19ページにわたりまして、効果や留意点ということも含め、最初の方で御議論いただいたことをまとめさせていただいております。
 戻りまして、4ページ、5ページをお開きいただければと思います。こちらにつきましても、4ページの上段の方、19ページには高校卒業段階の目標設定ということの御議論の詳細を書かせていただいております。4ページにつきまして、小学校における取組、中・高における取組ということを書かせていただいておりますが、これは前回御説明させていただいた内容と、先ほど御説明いたしました小学校のコマ数のお話ということを少し丁寧に書かせていただいておりますので、御説明は省略させていただきます。
 それから5ページに移りまして、最後に、外国語教育に当たり、母語に関する教育との連携を通じて、「ことば」への関心を高める工夫が重要ということで、大津先生からも発表も頂いておりますけれども、御指摘いただいたことについては20ページに書かせていただいております。
 次に移らせていただきたいと思います。6ページから、学校における指導と評価の改善ということでございます。こちらにつきましては、前回から少し修正させていただいたところだけ御紹介いたします。囲みのところは少し丁寧に書いておりますが、特に先ほども御説明いたしましたように、中学校のところで内容に踏み込んで言語活動を中心とする授業を行うためというようなところを、もう少し具体に書くべきという御指摘を頂きましたけれども、6ページの左側の下の丸のところに書かせていただいております。
 中・高では英語の教科書の本文や、そこで取り上げられる題材、言語材料といったところを、生徒が関心を持てるように指導すべきであると。例えば、他教科での学習内容、学校生活における活動、地域行事、生徒の体験等を関連付けることで、文法訳読に偏ることなく、お互いの考えや気持ちを英語で伝え合う言語活動を中心とする授業を構成することが重要であると先ほど申し上げましたが、ここでは可能と、可能にするというように書かせていただいております。
 そのためには、次の6ページの右側の方でございます。英語を使って何ができるようになるのかという観点からの到達目標と評価を一体的に行い、改善を図っていくということを6ページ以降に書かせていただいております。
 なお、CAN-DOリストのお話がございましたときに、CEFRとの関係、御意見を様々頂いております。7ページの左側下の丸から少し書かせていただいておりますが、頂いた御意見につきましては、後ろの3番の詳細の23ページに書かせていただきました。
 それから、評価のお話につきまして、これも様々な御意見を頂いておりました。きょうは御欠席でございますが、髙木委員からもこれまでの学校における学習評価の経緯という御説明を頂いておりました。それを踏まえまして、特に英語についてはどのような評価が必要かということを、7ページの上から一つ目の丸に書いてございます。
 主体的な学びにつながるコミュニケーションへの関心・意欲・態度を重視し、観点別学習状況の評価におきましては、例えば何々ができるというところを、何々をしようとしているという形で、生徒自らが主体的に学ぶ意欲や態度を含めた多面的な評価方法ということがあり得る。それを検証して活用していくということを今後まとめたいというような御意見だったと思いますので、ここにまとめております。
 それ以外の御意見につきましては、24ページに併せて詳細を書かせていただいております。
 その下から、小学校の評価の扱いですが、こちらにつきましては、引き続き検討ということで書かせていただいております。ただ、「また」以降に、今後の外国語学習の初期段階という、発達段階に応じた形で、語彙や文法の知識の量だけではなくて、パフォーマンス評価を通じてきちんと関心・意欲・態度、それから技能まで計るということを重視することを書かせていただいております。
 その下に「なお」というところ、丸がございますが、前回御意見ございましたところといたしまして、小学校の高学年、教科化するに当たりまして、中学校における入学者選抜に外国語を課すことは望ましくないという御指摘がございました。こちらにつきましては、そのような趣旨も、小学校のそもそも外国語学習の趣旨を踏まえながら、過度な負担とならないように十分に配慮して検討するということで書かせていただいております。こちらについても、恐らく今後議論が行われる教育課程の中でも、他の教科も併せてこのような話もあるかと思いますけれども、検討することが必要であるということで書かせていただきました。
 続きまして、9ページに移らせていただきたいと思います。こちらからは、前回入試ということでテーマ設定をいたしましたけれども、改革3につきましては、高等学校・大学の英語力の評価及び入学者選抜の改善というテーマ設定をさせていただいております。そもそも、4技能の総合的なコミュニケーション能力が適切に評価されるということを促していくというところから、現在ではアドミッション・ポリシー、大学等のポリシーとの整合性を図ることを前提に、入学者選抜に4技能を測定する資格・検定試験の更なる活用促進と、そのための協議会の設置におきましては、これから直ちに情報提供や指針作り等が早急に進められるべきというように書かせていただいております。
 前回、御意見といたしましては、そもそも小委員会のときの議論がどうだったかというようなやりとりを頂いたと思います。今回のこちらの9ページの方におきましては、入試の小委員会のところで御議論いただいた内容を少し追加させていただいております。前回、もう少し協議会で行うことを明確にすべきという御意見を頂いておったかと思います。
 9ページの下の方、囲み以外のところを御覧いただければと思います。追加いたしましたのは、ふだんからの英語力の評価ということもあります。最初の丸に、生徒の4技能の英語力の測定及び学習状況に関する現状・把握・分析、その結果の指導改善や英語力の向上ということで、入試の小委員会では御説明いたしましたけれども、文科省におきましては、今年高校3年生の英語力調査授業というのを始めております。そういった内容も書かせていただきながら、下のポツの方では4技能を測定する資格・検定試験の活用ということで、前回との変更点でございますけれども、協議会の構成はどのようになるのかというお話がございました。その関係ですと、丸の次の段落、「そのため」というところに、大学や高校、中学校の学校関係団体の方々、それからテスト理論等の専門家ということで、専門家の方も入られるというような位置付けを書かせていただいております。
 それから、9ページの右側にございますが、大学入試センター試験との関係という御意見、それから各大学との入試の関係という御議論も前回あったかと思います。真ん中の丸を御覧いただければと思いますが、入試の小委員会でまとめておりましたものでございます。今後、具体的な検討が行われます達成度テストについて、恐らく関係してくるのは発展レベルの方になると思いますが、並行して今議論が進んでおります。更にそれを具体的に検討する際には、協議会などの取組を参考に、資格・検定試験の在り方について検討が求められるということで、今後の在り方について触れさせていただいております。
 その下でございますが、これも前回から追加をしているものでございまして、大学及び高等学校入学者選抜における学力検査等の在り方の改善ということで、例えば現在の問題の在り方を調査・分析を行い、得られた結果というものを活用いただくというような情報発信を行うということで、これも入試の小委員会でのおまとめにございましたものを書かせていただいております。各学校での英語の4技能を計るというところについては、このような取組を直ちに行うということを、具体的な取組として挙げさせていただきました。
 そのほかの御意見につきましては、27ページ以降を御参照いただければという形でまとめております。
 10ページに続けて移らせていただきたいと思います。四つ目の改革、提言ということで、教科書・教材の充実ということでございます。こちらの方は余り変更点ございませんけれども、一つありますのは、囲みの中に教科用図書検定の基準の見直しに取り組むというところを挙げていただきたいという御意見を頂いておりましたので、追加をさせていただいております。ほぼ前回と同様ということでございますので、こちらの説明は省略させていただきたいと思います。
 それから、改革5の方でございます。学校における指導体制の充実ということでございますが、まず囲みの方を御覧いただきたいと思います。変更いたしました点としましては、御意見として最初の丸のところです。高学年では、ここは「専科指導」という出だしで始まっておりましたけれども、御意見といたしましては、やはり学級担任の役割が重要で、担任の先生方がこれから専門性を高めて、英語の指導力の専門性を高めて、やはり指導をしていただく、それと併せて専科指導を行う教員を活用するという、韓国の例を挙げていただいておりましたけれども、そういった指導体制を構築するということを明確にさせていただいております。
 その修正点に加え、そのような体制にしていくためにはということで、中学年はALTの確保と、高学年につきましては、小学校の学級担任の先生方が専科指導にも教科指導に当たれるようになるようにするということで、免許法認定講習の開設支援ですとか、それから研修の充実ということもあろうかと思います。そういったことについて、今回明記をこの中ではさせていただきました。
 それから、指導体制の強化につきましては、11ページの囲み以外の下のところを御覧いただければと思いますが、これも先生方から頂いた御意見を追加したところでございます。上の二つ丸、左側でございますけれども、地域の中で研修ですとか、それからこれも御意見いただきました、地域の指導的立場にある教員の先生が、指導主事の方々、それから専門家の方々とチームを組んで指導に当たるということで、地域全体で指導体制を強化するという必要性、それから今年からもう始まっておりますけれども、各地域の中心となっていただきたい英語教育推進リーダーの養成ということで、そういった方々が年間通じて、研修の企画・運営、それから巡回指導に当たれるような方になっていただけるように定数措置や、それから補助ということでは、外部専門人材の活用も必要ということも加えております。そこが、新しく追加させていただいた点でございます。
 11ページの右側でございますけれども、囲みで御説明いたしましたように、小学校の学級担任の先生の役割の修正をいたしました。それに合わせた形で修正をこちらもしております。また、中学校・高等学校につきましても、高校段階におけるALTの活用が重要という御指摘を頂きましたけれども、ティーム・ティーチング等の実施を通じてということを、下の丸の方にも書かせていただいております。後ろの詳細の方にも、併せて書かせていただきました。
 12ページにつきましては、これは小委員会の資料からそのまま転記をさせていただいておりますけれども、教員養成というところでございます。小学校の教職課程、それから中・高の教職課程というところを、細かくカリキュラムのイメージまで含めて書かせていただいております。後ろの34、35ページにその内容につきまして、小委員会でたくさん御意見いただきましたものをまとめてございますので、御覧いただければと思います。こういった形で、大学の教職課程・養成の在り方の改善を図っていただく。そのときには、地域におきまして教育委員会と実質的に連携をしていただきたいというような内容になっております。
 そのほか、採用ということでも御指摘いただきましたけれども、そちらの方も外部試験の客観的基準というのを挙げながら、英語力の向上等の取組について進めていただきたいと、奨励するというようなことを少し修正もさせていただきました。
 本体については以上でございますので、後ほどの議論の中で、適宜御質問があれば、またお答えさせていただければと思います。御説明は以上でございます。

【吉田座長】 どうもありがとうございました。これまでの議論と今の御発表を踏まえて、皆様方からまた御質問なり御議論をお願いしたいと思います。資料を踏まえて、まず御意見のある方、あるいは質問のある方どうぞ。
 じゃあ、大津委員どうぞ。

【大津委員】 最終回の冒頭ぐらいは和やかにいきたいと思うので、単純な誤表記辺りから指摘したいと思います。34ページの右の段の注31でしょうか、CBIというのがあって、英語でContent-based Language Instructionと表記されています。あたまの部分ですが、対応する日本語が、「コンテンツ」というのはちょっとずれがありますので、「コンテント」と直された方がよろしいかと思います。
 それから、20ページの左の段の下から3行目にHi, friends!とあります。御承知の小学校での外国語活動というか、実質的には英語活動の共通教材ですが、ここでの表記は文字が立ってそのまま括弧などくくられずにありますが、他の場所ではこれが括弧でくくられていたり、さらにはかぎ括弧でくくられた上に文字がイタリックスになっていたりもします。ここは表記を統一した方がいいですね。
 私個人としては、書名ですので、かぎ括弧なしでイタリックスがよいと思っているのですが、多分文科省の今までの表記としては、立ててかぎ括弧でくくるというやり方なのかと思います。いずれにしても統一が必要かと思います。
 それから、4ページの左の段の下から右の段にかけて、ここだけボールド体が使われているのですけれども、これは意図的ではないと思うのですね。意図的でなければこれは当然直した方がよろしいかなと。和やかな御指摘をいたしました。

【吉田座長】 非常に平和に事が進み始めておりますが。ありがとうございます。
 ほかにも御指摘、御質問何かございますでしょうか。ほかの委員の方、いかがですか。
 松本委員、どうぞ。

【松本委員】 では、続いて和やかに。私も表記のことについて申し上げると、二重括弧になっているところのゴシックは意図的だと思いますが、1ページだと、「今後の英語教育においては」でゴシックが終わっています。それから11ページも、「高学年では」、「による指導体制を構築」という箇所がゴシックになっていて少々統一性がないような気がします。ただ、ゴシックを増やしすぎると、どこが本当に重要なのかわからなくなるので、例えば1ページの場合には、提言というように今回銘打つのであれば、「アジアの中でトップクラスの英語力を目指すべき」というところだけゴシックでもいいのかなと思います。一つ目の丸ですね。以上です。

【吉田座長】 ありがとうございます。まだまだ細かい点で、今のような誤植なども含めてあるかと思いますが、御指摘の点について、お気づきになった点はどんどん言っていただいていいと思いますが、ほかにも何かございますか。
 では、佐々木委員、どうぞ。

【佐々木委員】 すいません。3ページですけれども、改革の1の四角の囲みの丸の二つ目のところ、丁寧に書き込んでいただいたということで、有り難いなと思っています。ただ、そこの丸のところの最後の方で、高校生の特性・進路等に応じて、高校卒業段階で英検2級からうんぬんとあるのですけれども、そこで概要版の方を見ると、そこに同じような事柄のところに、「例えば」という言葉が一つ入っているのですけれども、これ非常に大きな印象を受けるなと思うので、私からすると、ここにも「例えば」と入れていただいて、お話しされたように、幅広い高校の現状の中で理解できるようにしていただければなと思いました。

【吉田座長】 御指摘、なるほどなと思いますね。ほかに何かございますか。
 じゃあ、松川委員。

【松川委員】 12ページの左上のALTについての記述のところですが、四角の上と下の文章がつながっていないと感じます。四角の上は、ALTについては格差があるということが前段で書かれていて、後段ではALTに指導を任せてしまう事例もあるという、二つの違うことが書かれています。そして、四角を経て、「そのため」と続いて、最終的に全ての小学校にALT等が確保できるようにする必要があると書かれています。格差があるから全ての小学校に確保する必要があるというのはつながりますが、小学校でALTに指導を任せてしまう事例もあるから全ての小学校にALT等が確保できるようにする必要があるとはつながらないと思いますので御検討いただきたいと思います。

【吉田座長】 はい、わかりました。今のは確かにつながりが悪いような気がしますので、そこは再考させていただきます。
 ほかにいかがでしょうか、ほかの方で。
 では松本委員、どうぞ。

【松本委員】 11ページです。小学校の先生方の多忙感という点ですが、左側の下から2行目に、授業準備の時間確保というところに書かれているのかなと思うのですけれども、それを受けて右側に、「そこで」と書いてあるところに、教員の指導力とか小・中学校の連携の具体的な課題ということについては答えているように思いますが、授業時間準備等の時間確保という点が、まだ抜け落ちているという気が若干します。小学校の先生が、教科になると評価について記述しなければならないという更なる負担が生じるので、もう少し何か書き込めないかなと思います。

【吉田座長】 ちょっと説明が足らないのかもしれませんね。もう一回、詳細の方にはいろいろ書いてあると思いますけれども、もう少しその辺についても考えてみたいと思います。
 ほかの方、ほかのところはいかがですか。
 じゃあ、安河内委員。

【安河内委員】 佐々木先生の意見と、少々かぶると思うのですけれども、この英検2級から英検準1級、TOEFL iBT57点という部分ですね。この57点の根拠がはっきりわかりません。そして、こういう数字というのは出てしまうと、メディアの中で一人歩きしてしまう可能性があると思うのですね。例えば、言い方として、「例えば英検2級から準1級、TOEFL iBT60点前後など、4技能を計ることができる検定試験におけるCEFR B1レベル」の達成目標、評価とか、スコアなど。そういう形で、もっと解釈の幅を大きくして、少し柔らかくした方がいいのではないかなと思いますね。

【吉田座長】 ありがとうございます。確かに57って、非常に限定的な数字になってしまうというのはあるかもしれませんね。そこを少しまた考えさせていただきたいと思います。
 ほかに、じゃあどうぞ、お願いします。

【石鍋委員】 21ページの一番下の枠囲みなのですけれども、平成25年度英語教育実施状況調査で、中学校、「発話をおおむね英語で行っている」うんぬんの数値が52.5、47.0と出ています。私の記憶が定かでないのですけれども、この52.5、47.0というのは、授業の中で言語活動を実施している割合でなかったかなと思うのですね。もしも確認いただいて、違っているのであれば直していただいた方がいいと思います。

【吉田座長】 今おっしゃったとおりだと思います。言語活動の割合だと思います。
 ほかに間違いも含めて何かありますかね、誤植など。
 じゃあ大津さん、どうぞ。

【大津委員】 少しずつ実質的な話をしたいと思うのですが、3ページの「改革1」の囲みの最初の丸で、更に丸囲みの2があって、「英語を使って何ができるようになるかという観点から一貫した教育目標を示す」とあります。これは「改革1」は国が示す教育目標、学習指導要領の話だと私は理解しています。
 それで、この部分で、前回、前々回あたりから話題になっていた質的なというか、内的なというか、関心・意欲・態度ですか、そこら辺の観点がないのが私にはちょっとひっかかったのです。しかし、この点について事務局から先ほどちょっと御説明を頂きました。6ページの囲みのすぐ後に、「現行学習指導要領における外国語の目標は」として、丸1、丸2、丸3が掲げられている。先ほどの「改革1」の丸2の部分というのは、こことあわせて、つまり両方が補完し合うことによって、一つの考えが示されていると理解すべきところなのだ。そのような理解でよろしいかどうかという確認をさせていただきたい。あわせて、その現行の学習指導要領における外国語の目標として掲げられている部分は、少なくともこの段階では基本的に維持するという姿勢であると理解してよろしいか。その点を教えてください。

【吉田座長】 榎本課長、どうぞ。

【榎本課長】 御指摘のとおりと理解しております。

【吉田座長】 ありがとうございます。ほかの方で何かほかにございますか、御意見。
 じゃあ、大津さん、どうぞ。

【大津委員】 ほかにも幾つかあるのですけれども、一つずついきます。今度は5ページに行って、ここは左の段しかありませんが、囲みがあって、その後に丸があって、その3行目に、「その際、文法訳読に偏ることなく」という文言があります。ここはとても私は重要な部分だと考えます。先ほど室長も強調されましたけれども。つまりここで主張されていることは、文法訳読というものが英語教育にとってよろしくないものである、避けるべきものであるというような認識は全くなく、問題は、文法訳読に偏ってしまうというところに問題があるのだという理解でよろしいでしょうか。

【吉田座長】 じゃあ、榎本さん、どうぞ。

【榎本課長】 そう理解しております。

【吉田座長】 ということです。ほかはいかがですか。
 はい、どうぞ。

【大津委員】 今度は6ページに行きまして、「改革2」の囲みがあります。そして、その3行目の太字になっているところの最後の部分ですが、「という観点から、学習達成目標(例:CAN-DO形式)を設定し」とあり、ここで先ほどの佐々木さんの話じゃありませんけれども、「例」と書いてあるのは、とても大きな意味があると思っています。
 私は、これが正しい表記というか書き方だと思うのですが、本文に行きますと、例えば同じページの右の段の下から2行目には、「学習到達目標(CAN-DO形式)」となって、「例」という部分が抜け落ちます。同様のことは、次の隣のページにもあると思うのですが、これは囲みの部分が、言ってみればまとめですから、おおもとにあって、本文のその以下に書いてあるところは、それぞれ「例:」を補って読むという理解でよろしいでしょうか。

【吉田座長】 じゃあ榎本課長、どうぞ。
【榎本課長】 ここの文言に関しましては、先生方に確認していただいた上でこのようになっております。

【大津委員】 「確認していただいた上でこのようになって」いるというだけだと、ちょっと私はわかりにくいので、私の質問に直接答えていただきたいのですが、本文というか囲み以外のところで、「学習到達目標(CAN-DO形式)」となっている部分は、実際に読むときには、「学習到達目標(例:CAN-DO形式)」と理解してよろしいでしょうか。

【榎本課長】 そのように理解しております。

【吉田座長】 ありがとうございます。ほかは。それじゃあ大津さん、続けてどうぞ。

【大津委員】 続けて、今度は7ページに行きますが、7ページの左の段の下の方でCEFRについて書かれているところです。これは要望なのですが、最後の行で、それが我が国では学習到達目標として用いられているという指摘があったということが書いてあります。主に言ったのは私だと思うのですが、誤解があるといけないので、「我が国では、実質的な議論なしで」という趣旨のことを加えていただけたらいいかと思います。CEFRに書かれている内容とか方法を日本の英語教育に生かすということがいけないというふうに言っているのではなくて、そのまま何の議論もなしに直輸入するというのがよろしくないというのが私の主張ですので、それがわかるように加えていただけたらとてもうれしいのですが、いかがでしょうか。

【吉田座長】 榎本さん、いかがですか。

【榎本課長】 先生の御指摘に関しましては、議事録において記録に残しておいてはどうかと考えております。

【吉田座長】 内容的には多分、今大津さんがおっしゃった内容だと思います。

【大津委員】 議事録に今の座長の言葉が残れば、それで私としては十分です。

【吉田座長】 はい。

【大津委員】 今度は9ページに行きますが、左の段の下の方で、協議会うんぬんの話があります。最後の段落で、「そのため、大学、高等学校及び中学校の学校関係団体、テスト理論等の専門家、資格・検定試験の関係団体等からなる協議会が設けられ」という部分で、まず、前回ですか、前々回ですか、申し上げたように、資格・検定試験の関係団体等が、この協議会に入るということについては、私はとても強い違和感を抱きます。ただ、ここではそのような強い違和感を抱くということだけを指摘しておきます。
 それで、その上でのお願いというか、質問なのですけれども、「報告」では、まず、学校関係団体、専門家、それから、試験の関係団体等という順番になっています。一方、今度はこのA3ですかね、「概要」の方の「改革3」に行きますと、その3番目の丸の2段落目になりますか、「そのため」というところで、「学校、資格・試験関係団体、専門家等からなる協議会」なっています。このあたりの順序というのは、私はとても重要だと思うので、本文というか「報告」の方に合わせていただいて、「学校関係団体、専門家、それから資格・試験関係団体等」という順番に差し替えていただけたらと思いますが、それによって何か問題が生じますでしょうか。

【吉田座長】 いかがですか。

【榎本課長】 概要のところは、字数の関係もありまして、基本的に言葉は圧縮しております。その範囲の中で対応できるか検討したく思います。

【大津委員】 そうすると、お答えとしては、この順番は変えられないということですか、それとも変える余地があるということでしょうか。

【吉田座長】 榎本さん、どうぞ。

【榎本課長】 順番について、本文との整合性も含めて検討したく思います。

【大津委員】 では、その理解の上で、私の提案なのですが、課長がおっしゃった字数うんぬんの話であれば、ここはその次の行に空白がたくさんがありますから、多少字数が増えても支障はないと思います。しかし、どうしても字数は増やせないとおっしゃるのであれば、「専門家」を前に出す。そうすると「専門家、学校、資格・試験関係団体」となり、字数は増えませんので、そう御提案いたします。

【吉田座長】 それも併せて検討していただきたいと思います。
 ほかにも何かございますか。
 じゃあ、松本委員。

【松本委員】 先ほど大津委員が御指摘した6ページの左下の丸のところですが、私は別の意味で気になっていました。「文法訳読に偏ることなく」というのは、現行の学習指導要領の「英語で授業することを基本とする」ということから考えると、この説明ですと、文法訳読をやってはいけないということを、やっていいということになってしまうという解釈ができ、それはまずいのではないかなと思います。要するに、「英語の授業は英語で行うのを基本としますよ」と宣言しておきながら、「文法訳読でもいいですよ」と、ここで、先ほどの課長の御説明だと、認めるということは、ちょっと矛盾を起こさないかなと思い、御質問させていただきました。

【吉田座長】 これはいかがですか、事務局の方でその辺については。では室長、お願いします。

【圓入室長】 松本委員から御指摘いただいたのは、学習指導要領の書き方にも関わってくると思うのですが、そこはまた次の検討の中で整理をしていく必要があると思います。ここでの表現は、大津先生が先ほどおっしゃっておられましたけれども、実態として今授業の中でどのようになっているのかという課題の指摘がございまして、それを踏まえて書かせていただいたものでございますので、少し整理をしていく必要があると思っています。ただ、ここは授業を英語で行うことを基本としているという、6ページの右側に書いておりますが、そこと矛盾しないような形で、もちろん言語活動をきちんと重視するということを表したいために、このような表現振りになっております。そのような理解のもとでどのようにすればいいのかという御意見をいただければと考えておりました。

【吉田座長】 はい、松本さん。

【松本委員】 コンテンツとして文法を教えることは一切問題ないと思うのですけれども、「文法訳読」と言うと、指導法をイメージしていると思います。その辺については御配慮いただければと思います。

【吉田座長】 それについては、議事録に残して、あと今後これを具体的にしていく段階で、検討させていただくということになるかなと思います。
 じゃあ大津さん、どうぞ。

【大津委員】 どうもそこに関する私の発言はやぶ蛇だったようですが、蛇を出した以上、もうちょっと松本さんのお考えを聞いておきたい。松本さんは日本における英語教育において、訳読――文法はちょっと置いておきましょう、ここは絶対必要だとおっしゃると思う――訳読というものは、なるべく避けるべきであるとお考えなのか、お考えであれば、それはなぜかということを教えてください。

【吉田座長】 松本さん、どうぞ。

【松本委員】 ここで個人的な英語教育観について話すのはいかがなものかと思いますけれども、私が申し上げているのは、国の方針がぶれないことをお願いしたいということです。現場が混乱してしまうので。その点だけです。個人的な学習として訳読をする必要性をすべて批判するわけではないですが、教室という場でみんなで訳読するという指導法は減らしていく方向で今まで現行の学習指導要領下では皆さん御努力されているので、それに対してストップをかけるようなことはしない方がいいのではないかということです。

【吉田座長】 ということですが、じゃあ大津さん、どうぞ。

【大津委員】 そうすると、要するに「偏ることなく」というのを、文字通り理解すれば、全くの問題のない御見解だというふうに理解できると思うのですが、それはいかがでしょうか。

【吉田座長】 松本さん。

【松本委員】 教室での指導ということであると、少なくとも今は避けるという方針であるということは間違いないと思います。

【吉田座長】 はい、大津さん。

【大津委員】 教室の中での訳読は避ける方針というのは、国の方針なのでしょうか。仮にそうだとすると、その根拠はどこにあるのでしょうか。

【松本委員】 私ですか。

【吉田座長】 はい、じゃあ松本さん、どうぞ。

【松本委員】 飽くまでも私は学習指導要領に書かれてあることについて説明しているつもりですので、私が説明してもよろしいのでしょうか。事務局の方で引き受けていただけますか。

【吉田座長】 事務局の方で、はい。今の学習指導要領の文言の問題で、また解釈の問題ですよね。その辺はいかがですか。

【圓入室長】 少し細かくなって恐縮ですが、学習指導要領、お手元にありますので、御確認いただければと思います。こちらの紙ファイルのタックがついている三つ目に学習指導要領とありまして、高等学校の学習指導要領の解説、外国語編、英語編でございます。この43ページを御覧いただきたいのですが、授業は英語で行うことを基本とするということを、この解説の方で丁寧に書いてあるところでございます。ここも前に御説明いたしましたように、これは方針を変更するということではなくて、現行を維持するという説明をさせていただいておったかと思います。
 で、43ページの後段の方になります。ここに書いてありますのは、授業を英語で行うことを基本とするということは、英語による言語活動を行うことを授業の中心とするというように書いております。ですから、以前も御説明いたしましたけれども、全て英語だということを言っているわけではございません。ただ英語の科目の特質というのをここに書いておりますけれども、言語に関する技能そのものの習得を目的とするところであるが、しかしこのような技能習得のため必要となる英語を使用する機会は、生徒の日常生活において非常に限られているので、そのようなことを踏まえれば、英語に関する各科目の授業においては訳読や和文英訳、文法指導が中心とならないように留意し、生徒が英語に触れるとともに、英語でコミュニケーションを行う機会を充実することが必要と書いてございます。ここを解釈いただければということでございますので、多分先生方がおっしゃっていただくのは矛盾はないかと思います。

【吉田座長】 よろしいですかね。多分、ここの偏ることなくという解釈でよろしいのではないかなと私は思いますが。
 じゃあ大津委員、どうぞ。

【大津委員】 私がここにこだわっているのは、実際に教室で英語を教えられている先生方にとって、ここの部分というのはとても重要だと思うからなのです。で、今室長に読んでいただいた43ページの項目4の本文2段落目、下から2行目、「訳読や和文英訳、文法指導が中心とならないように留意し」という、ここがとても重要で、つまり一言も訳読というものを教室で行ってはいけないというようなことは書いていないという、ここのところは是非ここの場で確認しておきたいと思います。それでよろしいですよね。

【吉田座長】 はい、それでいいのではないかと思います。よろしいですか。
 はい、じゃあ石鍋委員。

【石鍋委員】 今の解説と同様の趣旨を、実は中学校などの現場でも伝えているところです。実際に文法訳読をやっている教員、いなくはありませんが、やはり発話で英語を多くしようという教員が増えている事実はあります。今の解説の43ページの一番下の段から、次のページに行くくだりなのですけれども、文法について説明することに偏っていた場合は、その在り方を改め、授業においてコミュニケーションを体験する言語活動を多く取り入れていく必要があると。
 中学校のように語彙数の少ない、特に中1ぐらいの非常に語彙数が少ないものを扱うときに、文法訳読とかそういったことをやると、英語を使う時間がなくなってしまうのですね。やはりそういったときほど、やはりきちんと英語を使ってやっていく。文法訳読が違う捉えをされると、中1の段階から非常に難しい状況に陥る。そんなような気がしていますので、やはりここの今の室長が説明していただいた部分をきちんと伝えていく、そのことが非常に重要になるのだろうなと思います。

【吉田座長】 じゃあ室長、どうぞ。

【圓入室長】 補足させていただきたいと思います。今御説明したところは高校の現行の学習指導要領の解説でございます。報告案の方につきましては、中学校、高校ではという形でまとめさせていただいております。つまり、こちらで先ほど申し上げましたけれども、今後どうするかということにおきましては、中学校についてもそのような方向で、更に専門的な中教審の場になると思いますけれども、議論を行っていただくということでまとめさせていただいております。以上でございます。

【吉田座長】 ありがとうございます。ほかに何か皆さんの御質問とか御意見ございますか。

【大津委員】 別件でよろしいですか。

【吉田座長】 別件でも、お願いいたします。はい、どうぞ。

【大津委員】 すいません、別件が二つほどあって。一つは、これは確認なのですけれども、1枚の色刷りの資料がありますね。A4縦の印刷で、「学習到達目標」と書いてあるところで、それで真ん中あたりに四つ書いてあって、「コミュニケーションへの関心・意欲・態度、外国語表現の能力、外国語理解の能力」とあり、まあもう一つあるのですけれども、この間から気になっていたのは、「外国語表現の能力」、「外国語理解の能力」という具合に、ここの部分は「能力」とだけ記されていて、「関心・意欲・態度」という文言はありません。しかし、前回からの議論で、外国語の表現や理解といった技能に関する部分についても、「関心・意欲・態度」という視点が重要だということになっていたと思うのですが、その理解でよろしいのでしょうか。

【吉田座長】 じゃあ室長、お願いします。

【圓入室長】 資料の24ページを御覧いただければと思います。今、大津委員がおっしゃった外国語表現、外国語理解の能力というところをどう評価するかということで、前々回で髙木委員からお話がございましたように、この四つの観点は、例えば単元における学習と一体的に評価が行われる必要があるということで、現行も既にそのような方針になっております。切り離して、例えばこの外国語表現、理解の能力を技能だけで何々ができるということを評価するのではなくて、同じことをやっておられても、しようとしているとか、関心・意欲・態度の面も一体的に評価をする、そういった多面的な評価を検討していくということが、今回の7ページの右上の1、丸の方に書かせていただいております。今までの御議論をこのような形で集約をさせていただいたという形になっております。

【吉田座長】 ありがとうございます。ほかに何か。ほかの方はいかがですか。

【大津委員】 もしほかのかたからなければ。

【吉田座長】 じゃあ大津さん、どうぞ。

【大津委員】 これは多分、「改革」の5なのかな、学校における指導体制の充実ということで、教職科目に関する記述があります。私が伝え聞いているところでは、この教職科目の在り方について、この有識者会議の中で議論をするというのはどうもできないらしいということらしいので、ここは将来どこで議論されるのかわかりませんけれども、希望として是非こういうことを伝えておいていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 一つは、「英語学」というのがありますけれども、英語学といったときに、もう少し具体的な記述というものがないと、これは担当者によってそれぞれ違った英語学になってしまいます。その中にどうしてもなくてはならないのは音声を扱う分野、つまり、英語音声学というものですよね。これは、「英語学」とは別立てで「英語音声学」と書かれることもありますが、形としては英語音声学は英語学の一部と位置づけた方がよいと思います。
 ついでに申し上げておけば、単に英語音声学だけじゃなくて、音韻論といったものも英語教育にとって重要な視点になるかと思います。音韻論とは何かという話をしてもいいんですけれども、ここは講義の場ではないので、いずれもし必要でしたら、喜んで解説に伺います。
 それからもう一つは、「英語形態論」と呼ばれている分野で、言葉は仰々しいのですけれども、要するに単語の世界ですね。単語がどういう成り立ちになっているか。例えばbooksと言ったときに、bookという語とその後に-sという接尾辞がついているというようなこととか、coffee shopのように名詞が二つ並んで複合名詞ができるとか、といった単語の世界の話、これも必要だと思います。
 それからもう一つは、「統語論」と呼ばれているもの。これも仰々しい名前ですけれども、要するに文の世界で、文がどういう成り立ちになっているか、そしてどういう機能を果たすのかという分野です。総じて、音声、形態、統語というのを英語についてきっちりと教えるということが大切です。
 もう一つ、加えて大切なことは意味の世界で、今言った音声、形態、統語というのは主に形式に関わったことですけれども、形式に対応した意味の世界というものがあるわけで、その対応関係は一体どうなっているかということをきっちりと教えることも大切です。
 あわせて、英語史ですね。英語というのがどういう歴史を持っているか。これは単に、懐古趣味の話ではなくて、今の英語、「現代英語」と呼ばれますけれども、現代英語も英語の歴史を反映した部分が結構たくさんありますので、このあたりのところも先生は十分に心得ておく必要があります。
 それからもう一つ大切なのは、言語学の世界がやはり必要で、これは私が常々言っている一般的に「ことば」ということですよね。英語というのは、そういう一般的なことばの一具現化形式ですので、一般的にことばというのがどういう音声を持ちうるのか、どういう単語の成り立ちを持ちうるのか、どんな文の成り立ちを持ちうるのか、どんな意味を担い得るのかといったようなことは、やはり先生方に知っておいていただかないと、例えば国語教育、国語科との連携だなんていうときに、にっちもさっちもいかなくなってしまいます。
 それから、「コミュニケーション」ということが話題になっていて、今回の「報告」にもコミュニケーション関係のものが出てきますが、コミュニケーション理論というものをやっぱりきっちりと教えていただきたい。ここは、安っぽいコミュニケーション論ではなくて、コミュニケーション理論というものを教えていただきたい。ちなみに、今の「安っぽい」というのは制限的な用法で、非制限的な用法ではありません。
 ついでに、「第2言語習得理論」というのが出てきますが、これも第2言語習得理論だけでは駄目で、第1言語習得理論というものも併せて教える必要があります。
 最後に、もう一つ大切なのは、言語の運用についての運用理論ですね。理解をしたり、あるいは発話をしたりするときの理論で、このあたりのところも、当然英語教育に携わる先生方には十分心得ておいていただきたいことです。盛りだくさんではありますけれども、そういったようなことが教職課程で学ぶ間に、将来の先生に対して何らかの形で与えられるべきだろうと思っています。御参考までに。

【吉田座長】 ありがとうございます。議事録にも残りますし、今後中身を考える際の参考にさせていただけるのではないかと思います。
 ほか。それでは藤村委員。

【藤村委員】 11ページの指導体制の強化というところなのですけれども、最初の下の丸、各地域の大学や外部専門機関との連携というのが書いてあるのですけれども、このここに出ている地域というのは、どういう範囲を考えられているのかなと。要するに、捉え方が多分、それぞれ違うのではないかなという気がするのですけれども、私なんかが考えるには、地域とぱっと聞きますと、小・中連携というのが頭にありますので、そういった非常に小さい地域というのを考えてしまうのですけれども、恐らくそういうことではないのだろうなと思うのですが、できれば小・中の接続連携を、あるいは小・小も含めて充実させていこうとすれば、非常に小さい単位でのいわゆる英語推進リーダーの定数配置というのが非常に重要ではないかなと思っているのです。ただ、予算との関係もありますので私がここで言うことではないのですが、難しいだろうなということは思うのですが、少なくともここで書かれている地域というのは、どういうあたりを想定されているのかということを、ちょっとお聞きしたいのですが。

【吉田座長】 事務局、いかがでしょうか。

【圓入室長】 3番目の方には、少しそのようなニュアンスで、今まで頂いた御意見をまとめさせていただいております。先ほど藤村委員がおっしゃったように、小・小連携、小・中連携が重要ということをたくさん書かせていただいております。その範囲につきましては、もちろん市町村の教育委員会の単位もあろうかと思います。それから今回のテーマといたしましては、小・中・高一貫して目標を設定して、その学びがつながるようにということも一つ大きなテーマになっておりますので、地域といいましても、都道府県の大きな単位ということもその場面によっては出てくると思います。両方大事な場面を少し詳しめに書かせていただいたものは、3番目の中に入ってございますので、そのニュアンスが必要でしたら、議事録にもきちんと書かせていただきたいと思いますけれども。

【吉田座長】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 ほかの方で、また。それじゃあ石鍋委員。

【石鍋委員】 ページは同じく11ページなのですけれども、枠囲みでないところの指導体制の強化の二つ目の丸の、各学校では校長のリーダーシップの下でうんぬんというのがありますね。これ、当たり前のことが書かれているわけです。学校というのは、校長のリーダーシップの下に組織を活性化させてというのは当たり前のことなのですが、実は中学校、高校もそうかもしれませんが、教科担任制になってくると、どうしても英語教育は英語の先生、ここ頼むよというような実情があるのも否めない。ですが、この校長のリーダーシップ、今回しっかりと持たなければ、このレベルの英語改革は進まないだろうと思っています。私は今、地域の校長たちとも話をしますが、やはり英語科以外の校長には、まず情報提供というところから始めて、ああ、こういうことなのねという理解を得ているという状況です。
 ですので、この校長のリーダーシップというところを、この報告書に書いてくれということではないのですけれども、やはり今後文科省がいろんなところで情報を発信するときに、全体図をきちんとお示しいただいて、英語科以外の校長であっても、ある程度のイメージを持って学校の組織をうまく使っていける、そんなような方向に持っていっていただきたい、と思っています。以上です。

【吉田座長】 ありがとうございました。
 ほかには。じゃあ佐々木委員、どうぞ。

【佐々木委員】 同じページですが、四角囲みの中のまた右下のところに、現職の研修の充実ということが盛り込まれております。小委員会、又はこの委員会でも申し上げてきましたけれども、現職研修に関しては、充実とともに自治体が主体となった研修を受ける環境作りというのが非常に重要だなと思っています。多忙もありますし、今後これだけの大きな改革をやっていく中では、それぞれの学校の現場の先生方が意識を変えて、その授業方法を学び、実際の生徒と直面する先生方が変えていかないと、この改革自体がやっぱり文言だけで終わってしまうということで、その辺の現職研修、又は教員養成も並行して、非常に重要な部分だなと思うので、書き込めるかどうかはわかりませんけれども、何らかやっぱりその辺の重要性は伝えていただいて、自治体主体でそれが実施できるようにしていただきたいなと思います。

【吉田座長】 ありがとうございます。ほかの方でいかがですか。
 佐々木さん、どうぞ。

【佐々木委員】 すいません、別件ですが、ちょっとひっかかるところでよろしいでしょうか。9ページ、大学の入試に関してですけれども、左の下のところで、4技能を測定する資格・検定試験の活用というところの3行目、英語力を測定する資格・検定試験のうち、4技能を適切に測定するものの活用が奨励されるべきであると。ちょっとうがった見方かもしれませんけれども、概要版には単純に、4技能を測定する、できる英語資格・検定試験の活用ということが書いてあるわけですけれども、さっと読んでしまうと、大学入学試験を全て資格・検定試験に置き換えるとか、そういうふうな感覚で捉える、誤解を招くと困るなと思っています。
 一番前提は一番上に書いてあるように、4技能測定型に大学入学試験をしていただきたいということが前面に出るべきであって、この後の協議会でいろんなことが決まっていくのですけれども、それは決して大学入試を資格・検定試験に置き換えていくという作業ではないということが、メッセージとして伝わらないといけないかなと思いますので、ちょっと何か文言が適切に伝わるような形にしていただければと思っています。

【吉田座長】 ありがとうございました。今、おっしゃったとおりの解釈としては合っていると思います。
 ほかにいかがですか。大体よろしいですかね。
 もし、ほかに御意見などがございましたらおっしゃっていただきたいのですが、おおむね今お話を伺っていて、この案に賛成していただけるのではないかなと思います。修正しなければいけない細かい点というのは、先ほどから指摘されていますので、それは修正すると。それから、またいろいろ御意見いただいたものに関しては、議事録にきちんと載りますし、次の会議体にも伝わっていきますので、それで何とか処理できるのではないかなと私は思っております。
 もし、そういうことで、私の判断が間違っていないようでしたら、この報告書にまだ「案」というのが付いているのですが、今申し上げた細かい点などは全部修正した上で、また議事録を参考にしながら今後進めていくと、それも今後伝えていくということで、この「案」を取って、一応報告書という形にさせていただいてよろしいでしょうか。よろしいですか。

(「異議なし」の声あり)

【吉田座長】 ありがとうございました。したがいまして、今回の報告書を正式な報告書として扱わせていただきます。ありがとうございます。
 最後に、文部科学省の山中次官と、それから初等中等教育局長の小松局長もおいでになっておられますので、それぞれ一言御挨拶をお願いしたいと思います。
 まず、山中次官の方からお願いいたします。

【山中次官】 文部科学省の事務次官の山中でございます。英語教育につきまして、長期にわたりまして御検討いただきまして、本当にありがとうございます。きょうは報告書をおまとめいただきまして、これらのものに基づきまして、英語教育についての今後の改革、改善を検討していきたいと思っております。
 グローバル化への対応が今迫られているわけでございます。その基本にあるのはやはり、生徒にいかにして発信していく内容をまず持つかということ。発信するものがなければ、発信する能力だけあってもしょうがありません。その基本になるのは国語の力であったり、あるいはいろんな教科の力であったり、こういう力というものをしっかりとつけていく。その上で、国際化する社会の中で実際上英語が使われておりますので、発信する力を含めた四つの能力というものをしっかりと身に付けていくということが、これからの日本の社会にとって、あるいは日本で教育を受けた人たちが世界で、国際的に貢献し、活躍する上で必須の能力であると思っております。
 ここで目標として、アジアでトップクラスというのが掲げられましたけれども、TOEFL、2013年の結果ですと、アジアで31か国中、日本はモンゴルと一緒で26ぐらいの順位です。これをトップクラスに持っていく。PISAというOECDの学力調査で、OECD34か国の中で、日本は数学的能力が2番、理科的能力、読解力はトップですし、英語だけがそんなに低いはずはないと思いますので、これはトップクラスに持っていけるのだと思っております。
 それから、目標の内容、指導評価の在り方、これをしっかりやっていくということと、それから大学入試の在り方というのがございます。今まで4技能、4技能と、小・中・高の段階では言いながら、大学入試のところでそれが評価されていなかったというところ、特に二つの能力に重きが置かれていなかったというところが大きいかと思います。そういう中で、外部試験の活用等も図りたいと思います。
 きょうスーパーグローバル大学というのを、今年から新しく世界のランキングの中で100番以内に10校、それから国際化を進めるという、そういう30校を選定するという作業をやっていまして、37大学を指定する方向でございます。この37大学で大体55万人の学生がおりまして、日本の大学の学生の数の2割に当たります。
 ここで、いろいろな目標をグローバル化の中で掲げておりますけれども、入試の際に外部試験を活用して、この4技能を使う外部試験を活用しようというところが非常に多くなっております。3分の1以上が、入学者選抜にそれを使っていこうという形になっていますし、更に伸ばしていくという方向でございます。
 大学入試の在り方自身もグローバル化の中で、大学自身の改革の中で大きく進んでいくということを期待しますし、また文部科学省としてもそういう方向をしっかりと支援していきたいと思っております。
 また指導体制の充実という面で、日本の指導体制のところでは、聞くとか話す能力のところが欠けておりますので、これについて既存の指導者に足りないと思われているところについて、今の指導者の能力を高めるということ、プラス、ネイティブの方などを補強するという形での政策というものをしっかりととっていきたいと思っております。ALTの活用というところになりますけれども、このあたりについても積極的な充実を図っていきたいと思っております。
 いずれにしても、小・中・高を一貫した形での姿を示していただきまして、これを更に大学につなげて、大学の教育の中でもこういう能力をしっかりと活用できるように、あるいは大学に入学する際に小・中・高の段階で育んできた能力、それがしっかりと評価される。そうした一貫した形で日本の英語教育全体というものを充実していきたいと思っております。その基礎となる提言を頂きまして、本当にありがとうございました。

【吉田座長】 どうもありがとうございました。
 続きまして、じゃあ小松局長、お願いいたします。

【小松局長】 お忙しい中を長い期間にわたりまして、熱心に御議論いただいてありがとうございました。
 このおまとめにつきましては、より具体化の方向へ詰めていっていただいたと思っておりますが、要は今後でございます。更に詰めていかなければいけませんし、きょう御指摘もありましたように、先生方の養成も大事な点でございますし、そういったことをまた中教審にしっかり御議論を引き継いで、具体化を図っていかなければならないと思っております。
 進めていく政策の方向は、今、山中事務次官の御挨拶にありましたとおりでございますけれども、それを進めていく上で、また引き続きいろいろお知恵を拝借したりすることをお願いしたいなという場面も出てくるかと思っております。引き続き、どうぞよろしく御助力くださるようにお願いいたします。本当にありがとうございました。

【吉田座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、これをもちまして英語教育……。

【松川委員】 もう少し言わせていただいてよろしいでしょうか。

【吉田座長】 じゃあ、一言どうぞ。

【松川委員】 終わりになって申し訳ありませんが、本日が最後ですので。この報告書の方向性については全く異論がありませんが、今事務次官と局長から今後のことについてお話がありましたので、せん越ではりますが、少し言わせていただきたいなと思います。
 1点目は、この会議の第1回目のときに申し上げたのですが、英語教育の改革・充実に最も大事なのは教員の英語力と指導力の向上です。このことについては、今後教員養成部会等々で議論されると思うのですが、特に小学校の高学年の教科型の導入に関しては、きちんとした教員養成、それから免許制度についても考えていただきたいということで、今回の報告にもきちんと書き込んでいただいておりますけれども、大学の教員カリキュラムをしっかり精査していただきたいということも含めて、よろしくお願いしたいということです。また、小学校においては、これまで学級担任の先生が大変頑張ってこられました。今後も研修を受けられるのですが、単に研修を受けるというだけではなくて、今回も書き込んでいただいていますけれども、免許更新講習とか、免許認定講習を通して、できれば中学校の免許が取れるような形で、ステップアップできるような道を選んでいただきたいということが1点目でございます。
 それから2点目に、中・高の教育の改革については深い議論ができなかったと思っております。私自身も反省ですけれども、客観的なデータがなくて、印象だとか限られた経験の中から意見を言うしかありませんでした。本日の資料によりますと、高校3年生について、しっかりした英語力調査とか学習状況調査が行われるようですが、中学生についても、全国学力・学習状況調査に英語がないということもあり、是非中学校3年生の英語力の評価、それから先生、生徒の学習状況調査を何らかの形できちんと実施していただきたいというのが2点目でございます。
 それから3点目でございますが、大学入試改革です。これは、大変インパクトがあることでありまして、変えていくことはやぶさかではありません。私、今日新幹線で参りましたら、グリーン車の中にあります『WEDGE』という機内紙に大学入試の改革のことが、幕末維新を迎えた受験英語という見出しで大々的に記事として掲載されておりました。その記事には、榎本課長や安河内委員のコメントも載っており、内容的に大変センセーショナルに取り上げられていました。これから協議会等で御議論いただくのでしょうが、このような記事が出ると非常に浮き足立つわけです。読んでいますと、国立大学の何々大学はこういうものを採用するようだということが多く書かれていました。大学入試改革というのが、数ある英語教育改革の中でもインパクトがあり過ぎるぐらいあるものだと思います。私は、改革するのは結構でありますけれども、中途半端な情報が流れることによって、現在もあります地域格差ですとか、保護者の経済力による学力格差というのに拍車をかけるような動きになっては困ると思うのです。例えばTOEFL塾、TOEIC塾というのが盛んになったり、その関係の教材が盛んに売れるようになったりするということが予想されるわけです、このような記事や情報が出てくると。
 したがいまして、大学入試改革は結構ですけれども、きちんとした歯止めをかけていただきたいというのが最後のお願いでございます。
以上、せん越でございますけれども、せっかく来させていただきましたので、言わせていただきました。失礼いたしました。

【吉田座長】 ありがとうございました。
 これをもちまして、ようやく今回の英語教育の在り方に関する有識者会議、閉会とさせていただきます。
 9回を通じまして、議事進行、ときどき私の頭上をいろんな議論が行き交ったりしておりましたけれども、皆様の御協力を得ましてようやくここまで到達できたと、本当に感謝しております。これからが本当に一番大変だと思いますが、ひとつ皆様の今後の御協力もよろしくお願いしたいと思います。また文部科学省に対しても、今松川先生からもありましたけれども、是非いろんな点を考慮しながら、これを本当に実現できるように努力していただきたいと思います。
 本当に皆さん、ありがとうございました。

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初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室

(初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室)