英語教育の在り方に関する有識者会議(第7回) 議事録

1.日時

平成26年8月8日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 英語教育の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

石鍋委員・大津委員・佐々木委員・髙木委員・多田委員・藤村委員・安河内委員・吉田委員

文部科学省

小松初等中等教育局長・德久総括審議官・伯井大臣官房審議官・榎本国際教育課長・圓入外国語教育推進室長・太田視学官・向後教科調査官・葛城プロジェクトオフィサー

5.議事録

【吉田座長】 それでは定刻になりましたので、第7回英語教育の在り方に関する有識者会議を開催いたします。お忙しいところ御参集いただきまして、まことにありがとうございます。
 審議に入る前に、文部科学省の人事異動がございましたので、御挨拶をお願いできればと思います。まずは小松局長、お願いいたします。

【小松局長】 失礼いたします。7月25日に初等中等教育局長を拝命いたしました小松でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 こちらでいろいろ御審議願っております英語教育の在り方のことでございますけれども、政策提言ももとよりいろいろあり、それから、関係の方々の間でも議論が積み重ねられてくる中で、新しいグローバル化時代の子供たちにどういう能力を身に付けてもらっていくのか、様々な観点から御議論を頂いての7回目ということであると認識いたしております。大変重要な課題を引き続きお願いすることになりますけれども、どうぞよろしく御指導くださるようにお願いをいたします。

【吉田座長】 ありがとうございました。続きまして、伯井審議官、お願いいたします。

【伯井審議官】 同じく7月25日付けで大臣官房審議官(初等中等教育担当)を拝命いたしました伯井と申します。どうかよろしくお願いいたします。

【吉田座長】 よろしくお願いいたします。
 それでは、本日は第7回ですけれども、前回に引き続きまして、小・中・高等学校を通じた英語教育の目標等の在り方について御議論いただく予定です。
 まず事務局から、配付資料の説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【圓入室長】 それでは、お手元の資料を御覧いただければと思います。本日お配りしておりますのは、第7回の議事次第、1枚目に添付されております。その中に資料1、資料2-1、3がとじ込みになっております。それとあわせまして、今日御議論いただくために、前回とかなり近いものですから、A3の目標・内容ということで、小・中・高を通じた目標及び内容のイメージの図がございます。それから、資料2-2でございますが、本日の御参考資料、少し厚めですが、配付させていただいております。そのほか、いつもドッチファイルにとじさせていただいているのですけれども、それぞれ今日後ほど御説明いたしますが、小学校から高校まで、評価方法等の参考資料ということで、23年以降に国立教育政策研究所でおまとめいただいたものを配付させていただいております。更にCAN-DOリストのお話が前回ありましたけれども、25年3月に初等中等教育局でまとめさせていただいております、各中・高等学校の外国語教育におけるCAN-DOリストの形での学習到達目標設定のための手引をお配りしておりますので、適宜御参照をいただければと思っております。
 資料の過不足がございましたら、事務局の方にお知らせいただければと思います。資料の御確認の方は以上でございます。

【吉田座長】 それでは、続きまして、説明の方をお願いいたします。

【圓入室長】 それでは、続けて御説明の方に入らせていただきたいと思います。まず、前回御議論いただいておりますので、そこの中で特に御議論いただいたこと、それから、もう少し今後のまとめに向けまして御議論いただきたいことをかいつまんで御説明させていただきたいと思っております。ページでいきますと、議事次第の資料の資料2-1の方になりますけれども、34ページをお開きいただければと思います。
 小・中・高等学校を通じた英語教育の目標等の方向性(検討のための資料)ということで、これは前回お配りしたものを少し頂いた御意見を踏まえて修正し、御検討を頂くための資料として配付させていただいているものでございます。ですので、これに沿ってまず変更点や、御議論いただきたいことを御説明させていただき、その後、少し参考資料の御説明をさせていただきたいと思っております。
 それでは、34ページ以降の説明に入らせていただきますが、34と35ページは、ほぼ変更点ございませんので省略させていただきたいと思います。
 38ページに飛ばせていただきます。現状と成果と課題ということを整理した構成になっておりますけれども、38ページから課題ということで始まっております。特にこの間の御議論では、A3の資料も使いながら、目標設定について御議論いただいたと思います。本日また御議論いただきたいと思いますのは、それぞれの目標の内容の設定につきまして、例えば小学校であれば三、四年生から、今のところ活動型ということを想定しております。また、高学年には教科型。中学校、高校になりますと、より充実、高度化していくというような前提で御議論いただいておりますけれども、今後まとめに向けまして、ではなぜ三、四年生から導入する、それから中・高には高度化をするという方向性を打ち出すのかというところでの大前提として、委員の先生方からも課題や成果の整理をする必要があるということでございましたが、そこの起点のところを、今回目標と、その内容を御議論いただいたときには御意見いただければと思います。
 前回少し足りなかったと思いましたものを加えておりますのが、38ページの真ん中の○でございまして、特に小学校の低学年、中学年のお話につきましては、事務局の方からも、これまでの全体の傾向と、それから2万1000校のうち、3000校ほど先進的な取組を行っているという事例から、そこから見えてくる課題や成果というものを御説明いたしました。
 その中で少しありましたのは、先進的な事例のところでございますけれども、低学年、中学年から高学年まで外国語活動に取り組む学校の中には、6年生まで外国語活動ということを続けますと、どうしても高学年で学習意欲が低下する傾向が見られるというのが出てきたと。その中でも更に経験を重ねて、課題として、高学年の中で文字指導というもので取り入れているところについては、児童の例えば表現力や理解力が深まるということがありましたり、それから、学習意欲の向上が認められるという事例があったということがございました。そういった全体の傾向と先進的な事例ということで、今まで整理をさせていただきましたけれども、その上で三、四年生がどうあるべきか、五、六年生がどうあるべきかということを、いま一度少し丁寧に御意見を頂戴したいと思っております。
 また、中学校、高校につきましても、前回も御意見いただきましたが、39ページに委員の先生から御意見を頂きましたところだけ御紹介いたしますけれども、上の○の二つ目でございます。特に加えましたのが「例えば」というところで、6行目でございますが、単元の目標にコミュニケーション能力を身に付けるということを設定しながら、例えば終わりになってくると、コミュニケーション能力ということではなくて、文法や文型の知識等を問うような、これを覚えているかどうかというような評価というようなところに終始してしまうのではないかと。そういう傾向がまだまだ見られるということで、指導の改善が必要だというような御意見を多々頂いておったかと思います。これにつきましては、少し同じような御意見、高校にも共通するところがあったかと思いますが、40ページの最後の○を御覧いただければと思います。
 そういうことで、今まで頂いた御意見を総括的にさせていただきますと、中学校、高等学校におきましては、英語教育の目標としてコミュニケーション能力を身に付けるということを、かなり今回の学習指導要領でも打ち出しをさせていただいておりますけれども、いまだに現状としては、先ほど申し上げたような状況になっておるということで、何ができるようになったかというよりも、文法や語彙等の知識を身に付けさせたかを中心としたような授業が行われているという指摘が多くございます。この場合、学習を通じて、今後は知識として何を知ったかということが重視されがちということではなくて、もう少しコミュニケーション能力育成を意識した取組というのが十分ではないところを、更に伸ばすためにはどうしたらいいかという観点から、中・高における充実について、後ほど目標や内容について御議論いただければと思っております。
 41ページに移らせていただきますが、前回頂いた御意見の中で、小・中・高だけではなくて、生涯にわたって学び続けるという御意見を頂きました。最初の○の目的のところで、今後の英語教育においては、生涯にわたる様々な場面で必要とされる英語力というところで、グローバル人材育成ということはたくさん御指摘いただいておりますけれども、今まで以上に英語力の向上というものが課題となっているということで書かせていただいております。
 また、次の○でございますけれども、改めてということになりますけれども、現行の学習指導要領につきましても、18年の教育基本法、それからその後の学校教育法の改正におきまして、41ページの下の方に学校教育法の第30条第2項を抜粋させていただいておりますが、生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、まずは基礎的な知識、それから技能を習得させるとともに、これらを活用して、課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力その他能力を育み、主体的に学習に取り組む態度を養うということがうたわれております。前回、関心・意欲・態度をどのように捉えていくか、目標として設定していくか、それから評価していくかという御議論があったかと思いますが、いま一度前提としてのことについて、こちらの方に加えさせていただきました。後ほど御議論いただければと思います。
 それから、御意見いただきました、英語教育の中でもう少し国内で閉じるような話ではなくて、多文化・多言語、多民族の人々の交流の中で競合と協調が求められるグローバル社会の中での議論、視点が必要ではないかと。その中で特に必要なものは、例えば自立した人間として、他者と協働しながら課題を解決する能力、情報を活用する能力などを更に重視することが必要であるというようなことも加えさせていただいております。
 以下、幾つか○を加えさせていただいておりますが、こちらは上三つのところでございますが、新しい文章でございますけれども、ここでは今も御説明申し上げましたような小・中・高のこれまでの取組におきまして、成果や効果、それから課題というものが少しずつこの会議でも整理を頂いておるところだと思いますが、それらに基づいた上で、今後の新たなる英語教育の在り方というものを、いま一度丁寧に御議論をいただければということで、少し整理をしております。
 特にございましたのは、前回の御意見をお伺いして思いましたけれども、目標と内容を御議論いただきながら、どうしても評価のことも一体的に御意見、御議論いただいたという状況がございました。後ほどまた改めて御紹介いたしますけれども、次期学習指導要領の参考ということで、別途別の場でも御議論がありまして、次の今後の検討におきましては、これまで教育の目標や内容、学習指導要領を設定した後に、その評価の在り方ということを議論しておったわけでございますが、その次につきましては、求められる育成すべき資質、能力とともに、それらを育成するために必要な目標と内容、それから学習評価の在り方について一体的に見直していくという方向が打ち出されております。ですので、こちらの会議におきましても、そのような観点から、後ほど御議論いただきたいと思っておりますので、本日の2-1につきましては、後段部分は小委員会の資料でございますけれども、指導と評価の在り方の論点についても、改めて添付させていただいております。
 それから、最後に今回の資料で御紹介いたしたいのが、43ページを御覧いただきたいと思います。前回、一番たくさん御意見を頂きましたのは、A3の資料に基づきまして、目標の設定の在り方であったかと思います。これまで本日お配りしているCAN-DOリスト、これは各学校において、生徒さんに求めていく学習到達目標ということでございましたけれども、目標の中にも、これまでの取組を参考にしながら、何々ができるというようなことも含めて、具体的な目標設定をしてはどうかというような提案をさせていただいておりました。それに対しての御意見を本日また深めていただくと思うのですが、43ページのところに新たに加えさせていただいたのを参考にしていただければと思います。
 上の二つ目の○でございます。上4行は、前回と趣旨は一緒でございまして、それぞれの成果、課題を踏まえまして、各学校が適切に学習到達目標を設定していただくということで、国においてもより具体的な4技能ごとに一貫した目標の指標として示すという方向で検討するということが書いてあります。その次を追加しておりますけれども、その際、各学校における学習到達目標の設定・評価の取組による成果・課題を踏まえまして、例えばコミュニケーションへの関心・意欲・態度については、観察等による定性的な評価が行われるということが、今現在でも行われているということでございますけれども、そういった定性的な評価で適切に行われるものが必要なものと、「~ができるようにする」という形で設定しているものというのがございます。それらの中ではより効果を上げているという事例を発表いたしておりますように、このようなことを設定することによって、より効果的な目標設定の在り方になるのではないかということも、両方御意見いただいております。それらを両方併記しまして、引き続き検討を行うという形で、一旦は整理をいたしました。本日は、後ほどこの続きの御議論もいただければと思っております。
 以上、論点メモについては御説明を終わりにさせていただきたいと思いますが、参考資料としていま一度御覧いただきたいのが、A3の資料でございます。最初の表のページに目標ということで書いておりますが、ほとんど修正しておりませんで、本日後ほど御議論いただきたいのは、論点の方にも同じく書かせていただいておりますけれども、先生方で一番共通して御意見ありましたのが、小・中、中・高の学びが円滑に接続していないという御意見がございました。そういうことを想定しながら、この目標も横軸で見ていただきましたときに、とりあえずイメージでございますので、実際は今後の専門的な検討という場に移っていくかと思いますが、こちらの会議の中では、小学校から高等学校までのイメージとしておまとめをいただければと、本日御議論をいただければと考えております。
 また、横軸とともに縦軸も大事かと思います。それぞれの小学校の例えば高学年から、その下の英語等の目標というところで、アンダーラインを引いているところは新たに追加をするようなイメージで記載しております。ここも上の最初の教科等の目標から、英語等の目標というところを立てて見ていただいたときに、4技能に係る目標のところだけではなくて、上のところから少し眺めていただきまして、御意見を是非いただければというように考えております。その上で、その裏のページの恐らく内容や指導計画の作成、内容の扱いというところも規定されていくものかと思いますので、特に最初のページを御意見いただけたらと考えております。
 また、参考資料の方を少し御紹介させていただきたいと思います。資料2-2でございますが、新しく添付させていただいている資料を御紹介させていただきますと、前回から増えております17ページ、今後の学制等の在り方について、第五次提言ということで、教育再生実行会議の資料を添付させていただいております。
 それから、27ページでございますが、これは7月29日でございますけれども、中央教育審議会で新たな諮問がなされました。こちらについては少し御紹介いたしますと、直接学習指導要領ということではないのですが、例えば28ページでございますけれども、まず一つの審議の指針としては、小・中一貫教育の制度化をはじめとする学校段階間の連携の一層の推進についてということでございます。29ページには、「中1ギャップ」というところで○が始まっておりますが、その中にも例示として、「小学校への外国語活動の導入をはじめとした学習内容の改善への対応等を考慮し」ということで、こちらの会議でも議論の中心となっております、各学校間との学びの接続というところについて、関連した一つのポイントが出ております。
 それから、29ページ、「第二に」というところがございますが、ここでは意欲や能力に応じた学びの発展のための高等教育機関における編入学等の柔軟化ということであります。高等教育というところはまたありますけれども、ここにも冒頭にありますように、意欲や能力に応じということで、関心や意欲、態度というところを前提にしているということでございますので、是非後ほどの御議論でも参考にしていただけたらと思っております。
 それから、新しく参考で御紹介したいところは、50ページ以降の指導と評価というところでございまして、小・中・高等学校におけます外国語活動・外国語科の学習評価の、これは現状の御説明ということで資料を御用意させていただきました。最初の1.学習評価の趣旨ということで、51ページに基本的な考え方というものをお示ししておりますけれども、三つ考え方があります。最初に、きめの細かな指導の充実や、児童生徒一人一人の学習の確実な定着を図るため、学習指導要領に示す目標に照らして、その実現状況を評価するということが書いてございます。またもう一つございますのは、その趣旨や改善事項等を学習評価に適切に反映すると。
 さらには3番目に、学校や設置者の創意工夫を一層生かすことということが大前提になっておりまして、前回も少し髙木委員からも御紹介いただきましたけれども、(2)にございます観点別評価というところでは、「関心・意欲・態度」、「思考・判断・表現」、「技能」及び「知識・理解」に評価の観点を整理して、それぞれ設置者や学校において、これに基づく適切な観点を設定するということになっております。
 次のページ、52ページが、今現在、観点例ということで示されているものでございます。小学校から高校までということで、小学校の目標に沿った形で、小学校のときは三つの観点が出されております。また中・高は四つということで整理いたしておりますが、53ページを御覧いただきますと、実際に観点別学習及び評定の記入方法というのがございますが、指導要領上の評価の基本的な形というものを添付させていただいておりまして、各教科の場合でございますが、小学校におきましても、各教科の観点別学習状況というのは、A、B、Cということで段階的に評価をし、それから評定の方につきましても、1、2、3というように段階が示されております。なお、外国語活動については、今現在は教科ということではございませんので、従来から御説明いたしますように、児童にどのような力が身についたかを文章で記述するということが示されております。それから、中学校につきましては五つの観点。それから、高校につきましてもそのような形になっております。
 54ページから55ページの方を御覧いただければと思いますが、少し御紹介させていただきたいのが55ページでございます。聞くこと、話すこと、それぞれ四つの観点別に取組例と評価規準の例というのがございます。特に中心に御覧いただきたいのは、コミュニケーションへの関心・意欲・態度につきましては、その関心・意欲、特に態度の方がかなり例を拝見すると多くございますけれども、例えば簡単な言葉や動作などに反応しているとか、相手に聞き返すなどして、言われたことを確認しながら聞き続けているというような状態を挙げております。一方で、外国語表現の能力や、それから外国語理解の能力というところを御覧いただきますと、いわゆる何々をすることができるというような形になっております。
 56ページには、読むこと、書くことというところもありますが、同じく事例を挙げさせていただいているものでございます。
 更に57ページでございますが、CAN-DOリストというものを前回御議論いただきましたけれども、改めてでございますけれども、観点別学習状況の評価とCAN-DOリストの関係性というものを、これまでの資料から少し用意させていただいております。学習到達目標は、繰り返しになりますが、各学校で設定していただくと。そのうち観点別評価、これは中・高を想定していますが、四つございますうちの外国語表現の能力、外国語理解の能力というところを中心として、英語を使って何ができるようになるかという観点から、各学校で学習到達目標を具体的に記述するという形になっております。ただ、横に矢印を引っ張っておりますように、観点別学習の状況の評価におきましては、当然のことながら、コミュニケーションへの関心・意欲・態度から、言語や文化についての知識・理解というものまで評価をするということになっております。
 それから、続けますが、58ページ以降でございますけれども、幾つか例を少し添付させていただきました。58ページは中学校、59ページは高等学校の例でございます。それぞれ年間指導計画とシラバスというところでございますが、例えば中学校の評価の観点、上段にございますその趣旨にもございますように、それぞれ整理をしつつ、評価の資料のところを御覧いただきますと、コミュニケーションへの関心・意欲・態度につきましては、先ほども少し御説明いたしましたように活動の観察ということを書いております。そのほか三つの観点では、定期試験がございますが、特に何ができるようになるというところにつきまして、インタビューやスピーチテスト、インタビューテストなどの、多くの学校がパフォーマンス評価を行いつつあるという状況かと思います。59ページも同じような例なので、是非御覧いただければと思います。59と60ページを御覧いただければと思います。
 それから、61ページは、前回多田委員から、少しウェイト付けをして評価をしたらどうかというような御提案がありましたけれども、その御参考にと思いまして、これは学校の判断で取組をされているものでございますが、観点別評価のマトリックス表というものを整理しまして、評価の方法から、例えば四つの観点ごとにどのような評価をするかということ。
 それから、62ページを御覧いただければと思いますが、評価方法といたしましては、例えば、定期試験のところを見ていただきますと60%、日常の学習活動は40%ということで、それぞれの教科の中でもかなり細かくといいますか、整理をしながら学校の中で共有をして、指導の改善に結びつけようとされているという事例を頂いておりますので、御紹介をさせていただきました。
 最後に、済みません、説明が長くて申し訳ないのですが、35ページに戻らせていただきたいと思います。育成すべき資質・能力を踏まえた教育目標・内容と評価に関する検討会の論点整理でございます。こちらにつきましては、今までにも少し御説明もさせていただいたのですが、改めて今回、目標と内容を御議論いただくということで御紹介したいと思います。こちらについては、次期指導要領に向けての基礎的な資料を得ることを目的にして検討されたものでございまして、主な提言のところ、繰り返しになりますけれども、今後の学習指導要領の構造を、「児童生徒に育成すべき資質・能力」を明確化した上で、目標・内容、それから学習の評価の在り方を一体的に議論するということを提案されております。
 36ページを御覧いただきますと、その中でも1に、どのような育成すべき資質・能力というものが想定されているか。2につきましては、それぞれその資質・能力に対応した教育目標や内容につきましても、教科と横断する汎用的なスキル等に関わるもの、それから本質に関わるもの、固有の知識や個別スキルに関するものということで整理していくということが言われております。特にコミュニケーションというのが共通するところだと思いますが、アのところを御覧いただきますと、ここにはコミュニケーション、意欲などということで、関係する部分というものが指摘されております。
 このような方向で、恐らく9月にこちらで一旦おまとめいただいた後になると思いますが、中央教育審議会に議論が移るということを想定しているというような御説明を以前にもさせていただいたかと思います。本日御議論いただく中では、こちらの資料につきましても、本体はどちらにもあるのですが、御参考にしていただければと思います。
 資料の御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【吉田座長】 ありがとうございました。それでは、今の御説明の中でも大きく分けて二つの観点で、これから御議論をしていただきたいと思います。
 最初は、前回もかなり皆さんから御意見いただきましたけれども、このA3の表で見ると、いわゆる目標と内容について、更に深めていただきたいと。特に今、最初の方でお話がありましたが、小・中・高の連携の話というのは非常に大きな話題の一つになっていますので、またそれぞれの小・中・高における到達目標というものを、より高度化していくだとか、それを更に発展させるというようなことに関しても、いろいろお話が出てきていると思います。まずその辺から少しお話をさせていただいて、その上で次に、最後に御説明がありました指導と評価の問題について、前回も評価について少し出てきましたけれども、これをもう少しまとめて皆さんの御意見を伺えればと思います。
 それでは、最初の目標の内容についてなのですが、どなたからでも御自由に御発言いただければと思います。いかがでしょうか。では、大津委員、どうぞ。

【大津委員】 目標に関しては、前回から、あるいはその前からCAN-DOというのが話題になっていて、「意見の概要」にも、CAN-DOに関するいろいろな意見が整理されていますが、私が申し上げた中でとても重要なことが、ここには記載されていないと思います。それはどういうことかというと、CAN-DOというのは、もともとヨーロッパの共同体の複言語主義を背景にCEFRというものが提案されて、その中でCAN-DOというものが位置付けられているという点です。
 これは数回前に申し上げたように、その中でCAN-DOというのは、達成指標(Progress Indicators)と位置付け、特徴付けられているわけですが、それが日本に入ってきて、議論されているうちに、いつの間にか達成目標になり、さらに、評価基準という具合にその性格付けが変わってしまったということかあります。
 そこでお尋ねしておきたいことは、このCAN-DOステートメントというものを積極的に学習指導要領の中に導入しようとお考えの方は、今言ったCAN-DOステートメントの性格付けの変更というものをきちんと認識した上でのお考えなのかどうかということをお尋ねしたい。これが1です。関連して2は、もしそういう認識があった上でのお考えであるならば、なぜCAN-DOステートメントを評価基準と特徴付けし直した上で、学習指導要領の中に取り込むことが有効というか、必要であるとお考えなのか教えていただきたいということです。
 関連して補足をしておきますと、「概要」の中にもありますように、CAN-DOステートメントだけを目標と設定してしまいますと、目に見える部分、つまり行動だけが評価の対象ということになる。これは半世紀以上も前に葬り去られたはずの行動主義への回帰というものにほかならず、これは教育の根幹を揺るがせかねない、とても危険な動きだと私は思っています。
 先ほどの室長のお話の中に、関心・態度というものを評価の中に取り込むということがありました。多分そこらあたりが前回私が申し上げたことが反映されている部分かと思うのですけれども、もちろん関心・態度という見えない部分の評価も大切ですが、コミュニケーション能力という文脈からいけば、「推論」というとても重要な心、脳の働きがあって、その部分が必ずしもきちんと認識されていないと思います。
 今日の資料で言いますと、資料2-2の先ほど御説明があった部分ですね。57ページの上の部分に表があって、そして「コミュニケーションへの関心・意欲・態度」、それから右端の「言語や文化についての知識・理解」という部分については、見えない部分の評価というものが重要だということはおっしゃったとおりです。問題は真ん中の「外国語表現の能力」ないしは「外国語理解の能力」、つまり、理解と産出に関する部分ですけれども、ここでもやっぱり重要なのは見えない部分なのです。知識の蓄積と、それから知識と連動する推論能力の育成ということが重要で、この部分についても、やはり行動だけではなくて、見えない部分を正しく評価するという見解を是非反映させていただきたいと思います。
 余り長くなるといけないので、もう一つだけとても重要なことなので申し上げておくと、私が最初から言っている「ことば」というものですが、今回のまとめを見ても、例えば議事次第の12ページを見ていただくと、下から2番目の○に、「グローバル社会、グローバル人材育成を」というところで始まる○ですが、2行目に「母語と違った言葉」というのがあります。それから、3行目のところに「言葉は重要な手段であり」というのがあります。いずれも「言葉」という言葉なのですけれども、最初の方の「母語と違った言葉」というのは、日本語とか、英語とか、スワヒリ語とか、日本手話といった「個別言語」を指しますけれども、3行目のところの「言葉」というのは、これは抽象的にことば一般を指します。このあたりの区別というのがとても大事だということを、私は一貫して申し上げているわけで、もしこのあたりの理解がとても難しいということであれば、機会を設けていただいて、講義をしても構いません。是非ここのあたりの認識はしっかりとやっていただきたいなと思います。ありがとうございました。

【吉田座長】 ありがとうございます。最初の方は、委員に対する質問という感じだと思いますが、後の方は事務局に対しての質問ということになるのかな。まず、事務局の方から、今、大津委員から提案されたことについて一言言っていただければ。

【圓入室長】 今、座長がおっしゃっていた後半の部分ということでございますが、資料1は本日御説明しておりませんけれども、今度9月4日ということで後ほど御紹介しますが、9月以降になりますと、一旦まとめをさせていただく段階になってくると思います。そのときにはこの資料1に書かせていただいているもの、ずっと積み重ねがございますので、当然全体を洗い直して、かつ小委員会の検討もまだ行われている部分もありますので、それとあわせまして文章校正をしていきたいと思っておりますので、また別途御相談をさせていただければと思います。

【大津委員】 是非よろしくお願いいたします。

【吉田座長】 それでは、前半の部分のCAN-DOに関してですけれども、どなたか御意見おありの方ございますでしょうか。いかがでしょう。今日は松本委員がおられないというのも、一つあるのですが。どなたかございますか。
 じゃ、私が一応CAN-DOに関して今までいろいろな委員会をやってきましたので、私なりの見解を少し述べさせていただきます。今、大津委員がおっしゃったように、CAN-DOというのはヨーロッパではCEFRというより大きな目標より具体的にする一つの指標として出てきたという、これはそのとおりだと思いますし、日本においても、それが目標化するといっても、基本的には例えばこの3にある教科等の目標というのがございますけれども、この目標自体より具体的に具現化するものとして設定されるというふうに考えていただくのがいいのかなと思います。現在の学習指導要領においても、具体的な学習活動の内容だとか、コミュニケーション活動の内容であるとかというのが示されているわけですけれども、それをCAN-DOという形で行動的に、実際にこういうことを目指しているのだよということを明確にするために、今回はCAN-DOの形に変えて明示していこうというふうになっていると考えております。
 それからもう一つ、行動主義という話がございましたので、確かに表面だけを見ればそういう解釈ができないことはないと思いますけれども、例えば自分の考えていることをきちんと論理的に表現することができるということの裏には、先ほど大津委員もおっしゃっているような、より見えない部分の知的な活動であるとか、認知的活動ということに関わらざるを得ないわけですから、そういうものを前提とした上での行動でなければ、CAN-DOはほとんど意味がないと私自身も思います。そういう意味で、言葉というふうに先ほどおっしゃった点ですが、その言葉に対する感覚というもの、それをきちんと使っていくということ自体が、CAN-DOに反映されるものであるというふうに私は理解しております。
 そういう意味で、ただ今までのように知識として単に言語的な規則などというものを蓄積するのにとどまってしまうようなことにならないような、より具体的にそれがコミュニケーションの活動の中で具現化されていくような形で、目標をより明確化していこうというのが、このCAN-DOを導入する大きな目的であるというふうに私は理解しております。
 どうぞ。

【大津委員】 CAN-DOというのが達成指標として位置付けられている場合と、目標ないしは評価の基準として位置付けられている場合では、まるきり性質が違うのですよ。つまり、達成指標として設定されているときは、これは学習者の方を向いているわけです。学習者は、このレベルまでいったらこんなことができるということが分かるわけで、それは学習者にとっては、とても分かりやすいし、むしろ、見えない部分でこんな状態になるというのを指標として提示したって、余り効果的だとは思えない。ところが、目標だとか評価という話になると、学習者の側ではなくて、視点は教師、先生の方にくるわけです。そのときに見えない部分の評価というのがとても重要になってくるというのが、私の論点なのです。
 先ほど吉田さんが後半におっしゃったように、できるということがあって、つまり行動としてあらわれるということがあって、その裏には、いろいろな知的活動があるはずだという点。それはそうですよね。だけど大切なことは、知的な活動がなければ行動として外には出てこないという点の認識です。つまり、学習のある段階では、外には出てこないけれども、知的な活動とその成果があたまの中で、心の中で蓄積されているという状態があるわけです。そこのところをやっぱり評価しないといけない。
 もちろん見えない部分の評価がとても難しいというのはよく分かるのですが、前回、どなたか忘れてしまいましたが、そういう見えない部分を評価の対象にするのは「おこがましい」とおっしゃって、それが私にはとてもショックでした。少なくとも教育に関わる人が、見えない部分の評価というものを考えるのはおこがましいというのは、これはあってはならないことだというのが私の教育観です。ですから、先ほど吉田さんがおっしゃったことにもかかわらず、CAN-DOということで目標を全て仕切ってしまうというのは、教育を間違った方向に導いてしまう危険性があると言わざるを得ない。
 一応念のために申し上げておくと、私はCAN-DOステートメントの類のものが、学習指導要領に目標として組み込まれるのはいけないと言っているのではないのです。全てがそれで仕切られてしまうということがいけないと言っているので、その点も是非誤解のないようにお願いしたいと思います。

【吉田座長】 ありがとうございます。どなたかほかに御意見ございますか。じゃ、石鍋委員。

【石鍋委員】 今、大津委員が、CAN-DOで目標を全て仕切るというようなお話があったのですが、私、そういうふうに今まで受けとめておりません。中学校で授業をする側、授業を受ける側は、CAN-DOだけで何々ができるというもので、全て授業を構築するというふうには受け取っていないはずです。そのために今までも、関心・意欲・態度ですとか、外国語表現の能力ですとか、理解の能力、知識・理解と、学校では四つの観点で学習評価をしてきましたけれども、今のお話だと、それもなしにして、CAN-DOで全てを仕切っていくというふうに捉えてしまうと、方向が違うなと。私の捉えが違うのであれば、また考えなきゃいけないのですけれども、私はCAN-DOは幾つかある評価の中の一つにすぎなくて、一つ明確な目標が今回できましたから、授業作りにも生きるのではないかという意見を今まで申し上げてきたところです。そんなふうに感じております。

【吉田座長】 ありがとうございます。ほかの方はいかがでしょうか。では、安河内委員。

【安河内委員】 私も今、先生が言われたのと全く同じで、全てがCAN-DO、目標オリエンテッドになると、これはちょっと違うと思うのですね。大津先生のおっしゃるとおり、定量的な評価と定性的な評価の組合せというのが非常に重要になってくると思うのです。大津先生に質問なのですけれども、教える側として、定量的な評価というのは非常にしやすいです。CAN-DO的な評価ですよね。しかし、見えない部分を正しく評価。具体的にどういった手法で評価されることを前提にお話をされているのでしょうか。

【吉田座長】 大津さん、どうぞ。

【大津委員】 こういうことが観察されたらば、心の中でこういう変化が起きているということを、例えば定義のような形で述べることができないというのが、行動主義を否定したときの一番の大切なことなのですよ。だから、熟達した先生方というのは、校長先生もいらっしゃるから聞いていただければ分かるのですけれども、熟達した先生方というのは、子供たちの心のこういう変化を見るのだなんていうことを特段意識することなく、子供たちの内的な変化をほぼ正しく捉えることができます。私はそこの部分を特に教育の中で大事にしなきゃいけないと言っているのです。
 だから、安河内さんの質問のように、おまえは見えない部分を評価しろというけれども、それはどうやって評価するのだと問われたときに、答えは一つには決まってこない。一人一人の先生方がそれぞれの経験に基づいて評価をするということになるわけです。
 次に安河内さんがおっしゃりたいことは大体分かっていて、その評価というのには主観というものが大いに入り込む余地があって、評価の客観性というものが揺らぐのではないかということだと思います。評価をできるだけ客観的に、評価の基準をできるだけ客観的なものにして、主観をできるだけ排除するというのは当然のことですけれども、先生の主観、評価者の主観というものが完全に排除されてしまったら、それはやっぱり教育の在り方として不都合だと思います。見えない部分の評価に評価者の主観が入るということ自体に特段の問題があるとは認識していません。

【吉田座長】 ありがとうございます。安河内さん。

【安河内委員】 大津先生、ありがとうございます。私自身は、やはり定量的な評価もあった方が、先生方も生徒も目標を持って励めるので、経緯はいろいろあると思うのですけれども、CAN-DOリストは、非常に便利だというふうに認識しています。ただ、大津先生のおっしゃるように、定性的な評価をしっかり加えていくということは、私も非常に重要だと思いますので、それは是非実現していただきたいのです。私自身は、ある程度主観が入ることも悪いことではないと思います、子供たちの意欲を見るのに。ただし、教員の先生方は何万人もいらっしゃるわけであって、生徒の意欲であるとか、コミュニケーションに対する姿勢であるというのを評価するのが、熟達した先生であれば可能だと思うのですが、一般の大学を出たばかりの先生がそれを実現するというのは、非常に難しいことでもあるというふうに私は少し認識するのですが、その点に関してはどうお考えですか。

【大津委員】 もちろんそういうことはあるかとは思います。ただ、関心とか評価という見えない部分を評価しようということについては、先ほどの室長のお話にもあったように、いずれにしても取り入れざるを得ないわけです。だとすれば、御指摘があった問題は必ず出てくるわけですよ。そこで、そういう問題があるからそれはやめようという発想ではなくて、その問題をどうやったら解決できるかという議論をするというのが、生産的な議論だと心得えます。

【吉田座長】 ちょっといいでしょうか。この指導と評価に関して、後でもう少し具体的にやりたいと思いますので。ただ、先ほど石鍋委員もおっしゃっておられたとおり、もとに戻しますけれども、CAN-DOだけが全ての評価とか、あるいは教育における大事なポイントだとは誰も多分思っていないと思いますので、その辺も一応ある程度踏まえた上で、もう1回ちょっと戻りたいと思うのです。小・中・高の連携の問題、またそれぞれの目標の設定の仕方について、更に御意見がもしございましたら、今の段階で少し頂きたいと思うのですが、いかがでしょうか。

【大津委員】 CAN-DOステートメントで全てを仕切るということがないということであるなら、安堵(あんど)します。にもかかわらず、やっぱり危惧は消えない。先ほどちょっと言いましたけれども、この2-2の資料の57ページで、「外国語表現の能力」とか「外国語理解の能力」とか、こういう部分については見えるところだけで評価するのだという考えが出てくると困る。こういう技能部分については、見えないところの評価と親和性がないとか言って、CAN-DOだけで仕切るべきだなんて議論がまた出てくる危険性を私は感じているのです。しかし、そういうこともないということであれば、私はこれ以上強くこの点にこだわるつもりはありません。

【吉田座長】 座長として、私はそういうことはまずないというふうに、ここの場ではお答えしたいと思います。
 それでは、目標その他についてですが、佐々木委員、いかがですか。何かございますか。

【佐々木委員】 ここのところの目標で、大判のところにありますように、これまでのところから幅広い話題について、情報や考え方など的確に理解したり、適切に伝えたりするコミュニケーション能力を養うということですけれども、これまでの議論にありますように、コミュニケーションそのものをもう少し丁寧に探っていくとすると、危惧されていたコミュニケーションとか英語について、相手を責めるとか、英語の議論だけによって論破するとか、そういった危惧をするのであれば、ここの辺のところで、もう少しコミュニケーションの本当の基本ですので、これは書かなくても当たり前のことかと思いますけれども、やっぱり相手を尊重するとか、相手を思いやるとか、そういったところを高校の段階でもやはり入れておいた方が、これまでの議論の中での危惧が払拭されるのではないかなという感じはしますけれども。

【吉田座長】 ありがとうございます。今のは確かにいい指摘ではないかなと思いますね。単なる人を責める道具ではないという、もっとコミュニケーションを通して人の輪を築いていくための、そういうものとして捉えていくという、そういう観点は必要かと思いますね。
 ほかの方はいかがでしょうか。では、どうぞ、石鍋委員。

【石鍋委員】 今の佐々木委員の件は、中学校、小学校もそうなのでしょうけれども、心の発達の非常に重要な時期ですので、大変大きなポイントだろうと思っています。英語の時間は相手を思いやらなくてもいいよなんてことは絶対ないわけで、やはり英語を使いながらも、相手にサンキューと一言言えるだけで、相手と自分との心が開いてくる。それを体験させてあげることが、英語に対する意欲も伸ばすことになるでしょうし、その後の学習に対する考え方も変わっていくだろうと。是非中学校、小学校にも、今、佐々木委員のおっしゃったようなことは取り入れていただきたい。更に高校以上に入れるべきかなと、私は思っています。以上です。

【吉田座長】 ありがとうございました。ほかにいかがですかね。今の点に関しては、じゃあ小学校、藤村委員、いかがですか。

【藤村委員】 前にお見せした資料だったかと思うのですけれども、やっぱり子供たちは自分たちの言ったことに相手がほほ笑んでくれる、うなずいてくれるという、そういうことをすごくうれしく思っているのです。ですから、相手が言ったことも自分がどのように受けとめて相手に返すかということが、やっぱり大事。それなくして、単なるスキルの学習をしてしまうと、絶対駄目だというふうに思っています。ですから、改善点のところに相手意識というのが書いてあると思うのですけれども、特に小学校では相手意識というのは大事で、やっぱりそういうコミュニケーションをする楽しさ、その相手の気持ちが通じるということを、すごく子供たちは楽しみに思っていますので、そこは是非大事にしていくべきではないかというふうに思います。ですから、中学年の当然外国語活動にも、そういう要素がなかったら駄目だろうというふうに思います。

【吉田座長】 ありがとうございます。一つの本当に小・中・高一貫した考え方を通すためには、今皆さんがおっしゃっていることはまさにそのとおりではないかなと思いますね。一つの大事な観点ではないかと思います。また、スキルだけではないという観点を、今、藤村委員に言っていただきましたけれども、これも皆さん共通している考えではないかと思いますので、それはやはり重要視したいと思いますね。
 ほかの委員の方はいかがですか。今の点に固執する必要はありませんけれども。もう一つ、先ほど室長からありましたけれども、小学校中学年から、いわゆる改善案で見ますと、いわゆる素地を養うということから、現行の学習指導要領によれば、中学校で基礎を養うというのが、小学校の高学年で基礎を養うというところにおりてくる。更に高等学校でコミュニケーション能力を養うというふうに今現在書かれているのが中学校におりていき、そして高等学校では、今少し話がありましたが、より幅広い話題について更に深めていけるような、そういう言ってみれば高度化というのですかね、それぞれの目標が現在のものよりも少しずつ上に上がっていくという、そういう状況がこの中に見られるわけですけれども。そのあたりについての御意見とかございますでしょうか。基本的には、目標が高くなるというよりも、より充実させるというふうに考えた方がいいのかなというふうに私は思っているのですが、いかがでしょうか。何かございますか。じゃ、安河内委員。

【安河内委員】 多分関連していると思うのですけれども、私が大きく進化しなければならないなと思っているのが教科書検定なのです。内容が高度化するということは、4技能全てにおいて高度な能力を要求されるということですよね。今、コミュニケーション英語の教科書を見てみても、その前のオーラルの教科書を見てみても、文法問題が入っていたりとか、読解が中心になっていたり、結局、今ある受験との親和性が高いようなものが先生方に選ばれているという状況があるのですね。更に教科書に関しても、音声は教師だけにしかCDが配布されない。つまり、生徒一人一人が音声にアクセスできない状態で、でたらめな発音で家で勉強しているということです。
 この高度化ということにおいて、学校教育だけではカバーできず、家庭学習も含めてという話が前にあったと思うのですけれども、そういった教科書検定の在り方に関しても変えていかなければ、全体の高度化は図れないのではないだろうかというのが私の意見です。

【吉田座長】 ありがとうございます。以前からも、この教科書についてはお話がありましたし、それから、音声に関しても、これからのITの導入などを通して、その辺も充実させていく必要があるという御意見は今まで出てきていると思いますけれども。
 ほかの方、いかがでしょうか。では、佐々木委員、どうぞ。

【佐々木委員】 高度化という捉え方ですけれども、前にもお話ししたように、高校の場合には非常に学力差があり、幅があるといったところで、前に出たハイエンドみたいな、技術が高い、能力の高いところとその高度化に限らず、やはり学校の状況、生徒の状況に応じた高度化という柔軟な捉え方ができたらいいなというふうに考えています。
 そういう面では、先ほど定性的な評価だとか、意欲・関心・態度といったものを十分評価していくということは、英語能力そのものはそんなに高くなくても、その生徒にとってみたら、非常に関心が高まり、態度が向上したといったところも高度化の一つではないかなというふうに考えるのですけれども。その辺の柔軟性があると、非常に目標そのものが幅広いところにおさまるという感じがいたします。

【吉田座長】 ありがとうございます。先ほど私も少し言いましたけれども、高度化というのは、より充実した、より中身のあるきちんとした教育という意味に捉えると、今おっしゃったことがそのまま入ると思いますね。
 大津委員。

【大津委員】 この会議は、英語教育の在り方に関するということですので、そういう制約があるからかと思うのですが、今回の学習指導要領では、コミュニケーション能力を含めた言葉の力、言語力の育成というのは、教科等横断的に培っていくとされていて、私はそこをとても重要な点だと思っています。ただ、国語とか外国語とかといったような、ことばを直接の教育対象とする以外の教科等にあっては、言語力の育成、言葉の力の育成とどう結びついてくるのか、どうしたらいいかという戸惑いを感じている先生方も少なくないように思います。そのあたりのところを、先ほど言ったように、この会議の文脈では無理なのかもしれないけれども、是非どこか頭の片隅に置いておかなければいけないかなと思うのが一つです。
 それからもう一つは、「目標の高度化」というのがあって、例えば英語でスピーチとかプレゼンテーション云々(うんぬん)ということが書いてあります。それは本当に結構なことではあるのですが、日常的に大学生に触れている身としては、本当に英語でスピーチとかプレゼンテーションだなんていうことを目標に設定できるような生徒が、どのぐらいいるのかしらというのが率直なところなのです。私としては、目標の高度化も結構なのだけれども、やはり、特に中学校段階での英語教育を重点的に充実させるというところが大切だと思います。そこの部分の議論は、今まで余り出てこなかったように思うので、いつかどこかで時間を割いてくださるといいかなと思います。

【吉田座長】 ありがとうございます。私も大津委員に大賛成で、語学の科目以外全てにおいて言語力を育成するということも書かれている割に、果たしてどこまでそれができているのかという非常に大きな疑問があるし、それから、今最後に大津委員がおっしゃった英語でスピーチうんぬんというのも、やっぱりきちんとした形でほかの教科においても、日本語できちんとそういうことをやっているということがものすごく大切なので、それについて何らかの形で、この報告の中にどこまで入れられるかどうかちょっと分かりませんけれども、今後一つの大きな検討課題としては是非含めていっていただきたいなと、私もそう思います。
 はい、どうぞお願いします、髙木委員。

【髙木委員】 今、各教科等における言語活動の充実について少し御意見があったのですが、皆さんちょっと誤解されているようで、各教科等における言語活動というのは、これはある意味でいうと、後で評価のところにも入ってきますが、思考・判断・表現をするときに、記録・要約・説明・論述・討論といった形で活動を行う手立ての話でありまして、言語活動の充実ということを、例えば国語で本当に全部でやるとか英語でやるとかそういう話ではないので、そこのところはきちんと、この後でも少しお話ししますが、平成22年3月24日に出た児童生徒の学習評価の在り方についての報告の中でそれはきちんと書かれておりますのでね。それぞれ皆さん、言語活動というのを自分勝手に解釈しないで、一応書かれていることを使ってやらないと大変な誤解を受けますので、そこのところはちょっと明確にしておきたいと思って、ちょっと途中ですが、発言いたしました。

【吉田座長】 ありがとうございます。多田委員、いかがですか、今までの御議論の中で。

【多田委員】 今のお話をずっと聞いておりまして、事務局に対するこれはお願いになると思うのですけれども、今回の改革における高度化とか進化の背景には、今日、室長が最初にお話しいただいたところのグローバル化に対応した英語教育改革についてというところで2点出されておりますよね。一つは、まさにこれまでの英語教育改革の進展を踏まえた内容。もう一つは、これは私の方からも何度も申し上げているように、社会における急速なグローバル化の進展というのがあると。
 これが今回、頂いた資料1の方にはよくまとまっているのですが、ただ、例えば2ページから3ページにかけての部分、先ほど大津委員が御指摘された12ページ目のグローバル社会に対する記述、それから、41ページに飛んで、今度は改善の方向性の目的というところで、これを全部読むと非常にいいことが書いてあるのですけれども、これをできましたら今回は文科省らしくないような斬新なまとめ方で、問題意識を高めていただく。その中で、実際の現場で教育に当たられる教員の方々に対して、問題意識を提示することによって、今御議論いただいている高度化、進化がより教育意欲を高めながら浸透していくのではないかというふうに思いましたので、御参考まで。

【吉田座長】 ありがとうございます。今回はグローバル化ということは、非常に大きな一つの言葉になっていますし、今おっしゃったこと、非常に大切な部分だと思います。
 では、大津さん、どうぞ。

【大津委員】 さっき髙木さんが、言語力、言葉の力の育成ということが、みんなそれぞれ勝手な解釈をしているとおっしゃって、私もその点については同感で、「言語力の育成」という言葉が結構頻繁に使われる割に、それが一体何かというのが余りはっきりしていなくて、人によってばらついている。もちろん正直に告白してしまえば、私は私なりの言語力、言葉の力の考えを持っていて、それに基づいて発言してきたわけですから、それはよろしくないという御指摘であれば、それは甘んじて受けたいと思います。さっきおっしゃっていた、最後の方かな、何か関連する文書があってということでしたよね。それを教えていただけますか。

【吉田座長】 じゃ、お願いします。

【髙木委員】 これは実は、この後お話ししようと思っていた評価のところと重なるのですが、実はちょっと語ると長くなるのですが、各教科等における言語活動の充実が出てきた背景がありまして、これは平成16年の2月に文化審議会の答申で、これからの時代に求められる国語力ということで始まったのです。その後、PISAの調査があって、リーディングリテラシーの問題があって、文科省でも国語力向上指導者講習会というのをずっと行ってきて、その中で国語力と言ってきたのだけれども。
 その会議の中で国語の先生がいらして、他の教科でそれが通用しないのだというお話で、これは国語力向上指導者講習会の中で、私どもがもう国語力じゃ通用しないだろうというので、各教科等における言語活動の充実という言葉を作り出したのです。それが平成19年11月7日の中教審の審議のまとめ、ここから使いだされていて、そして平成20年1月17日の答申の中で、各教科等における言語活動の充実というのが出てきたのです。
 それはまだあいまいで、それを明示化してきたのが平成22年3月24日の中教審の、児童生徒の学習評価の在り方についての報告の中で、評価の中でこの言語活動を使うというので、思考・判断・表現のところで記録・要約・説明・論述・討論という活動をさせましょうと。それによって思考・判断・表現を評価しましょうというところに今きていて。それがだから、学校教育の中の言語活動の充実というものの使い方だという、そういう話なのです。

【吉田座長】 ありがとうございました。大津さん、いいですか。

【大津委員】 分かりました。最後におっしゃった「思考・判断・表現」でしたっけ、それは文科省のサイトに載っかっている、今度の学習指導要領の解説のパンフレットにもそういう表現が使われていたのを覚えています。じゃあ、あれが決定版だと思えばいいわけですね。

【髙木委員】 平成22年3月24日の児童生徒の学習評価の在り方について(報告)、これが一番。要録の改善のためのものなのですけれども、一応そういうルールでやりましょうというのが、中教審から出ているということです。

【大津委員】 ありがとうございました。

【吉田座長】 どうもありがとうございます。
 それでは、そろそろ評価の話も出てきていますので、2番目のテーマである指導と評価の方に議論を移していきたいと思います。四つの観点別の評価の問題。先ほどから既に大津委員からも幾つか出ていますけれども、まずそちらに移りたいと思いますが。髙木委員、どうぞ。

【髙木委員】 今申し上げた中教審の委員会にも出ていますし、私は今まで教育方法として評価の話をずっとやってきていますので、まず一つは誤解を解きたいというところからです。評価について、二つ大きく話しますが。1点目、ちょっと長くなると思います。
 まず、関心・意欲・態度ということを、皆さんこれは誤解されていまして、一般的な辞書的な意味で使われている関心・意欲・態度とは違います。興味・関心があるとか。これは平成3年から観点別評価が入りまして、平成13年の時点、これは4月27日の局長通知で出ている話ですが、ここで関心・意欲・態度というのが明示化されていくわけで、翌年平成14年2月28日に、国研から評価規準及び評価規準の在り方というので、各教科でどういう評価をしようかというのが出てきています。
 実は平成3年のときに出た観点別評価というのは、知識の習得の有無の評価から転換しようということの趣旨の中で出てきたもので、例えばそれはPISA調査であったり、DeSeCoであったり、リテラシーとか、キー・コンピテンシーとかということを日本の学校教育に入れようという形の中で出てきたものなのです。今現在の関心・意欲・態度の到達点、これは昭和52年から関心・態度というのがあって、ずっと変遷しながら今まできているのですが、この中で今回、先ほど申し上げました平成22年3月24日の児童・生徒の学習評価の在り方についての報告では、こう書いてあるのです。これが一番大事なところなのですが、関心・意欲・態度は、他の観点に係る資質や能力の定着に密接に関係する重要な要素。ということはどういうことかというと、一般的な関心・意欲じゃないということです。4観点の観点別評価をするときに、他の観点、思考・判断・表現、技能・知識・理解、その単元の他の観点をつけるときに必要なものですから、一番簡単に言えば、例えば技能をつけたかったら、技能に書いてあることをコピーペーストして関心・意欲とかに持ってきて、しようとしているという言葉を添えればいいのです。
 これは一番簡単に説明するのは、私、よくやっているのは体育の逆上がりというのですけれども。例えば、技能で逆上がりが、あそこはできるのですね、表現。CAN-DOリストの話と一緒になる。できるという表現になる。じゃあ関心・意欲はというと、逆上がりをしようとしているということで、関心・意欲・態度がそこで持っていく。だから、そこには宿題を出すとか、ノートを提出したとか、目がきらっと光ったとか、そんなことで関心・意欲・態度ははからない。要するに、単元の中の他の観点の育成すべき学力との関係の中で、関心・意欲・態度が出ているのだと。ここを抑えない限り、非常に抽象論。
 だから、例えば逆上がりだったら、簡単にできちゃうことは、Aということはあり得ないから、実現状況ではBだから、ある子は簡単にBだ。僕はできるからといっていいかげんなことをやっていたら、関心・意欲・態度はCになるかもしれない。逆上がりのできない子は、一生懸命練習する。それでもできない。でも、関心・意欲はもしかしたらAになって、技能がCになる。今回、一人一人の子をそれぞれの観点に分けていいところを見ていきましょうねという支援のための評価。だから、今やっている評価はアセスメントの評価で、エバリュエーションの評価じゃない。だから、値踏みしなくていいわけで、アセスメントのためにどういうふうに支援をしてあげられるかという観点から見るから、この4観点を見て、今やろうと。私はこの評価はとてもいいと思うのですね。
 それで、それはなぜどこから出てきたかというと、今行っているのは目標に準拠した評価という言い方をしているのです。この目標に準拠した評価というのの目標というのも、皆さんお分かりだと思うけど、今朝も午前中、それを言ってこないと工業高校の先生方は分からなかったのだけど。そういうところでちょっと講演会やってきたのだけれども、目標というのは学習指導要領の目標のことを指しているのですよね。目標と内容と、もっと言えば指導事項なのだけれども。よく評価の研究者は、これはクライテリア評価と似ているとかって、全く別物です。
 平成13年には、これが目標に準拠した評価の後に、「いわゆる絶対評価」とついちゃった。ここからがメディアの誤解が生じたところなのです。今回、それを取りました、私たちは。だから、今言っているのは、「いわゆる絶対評価」は抜けちゃっているから、絶対評価じゃないのです。絶対評価と認定評価と到達度評価と個人内評価で、今、個人内評価は入っていますが、いわゆるかつていう認定評価、主観による評価なんてというのはやっていない。にもかかわらず、絶対評価という人がいまだに、文科省の内部にもいらっしゃいますよ。絶対評価と言っちゃいけないと私は思っている。あくまでもこれは目標に準拠した評価。それをやろうとしているときに、ですから、関心・意欲・態度というのは、繰り返しになりますが、先ほど言っているように、他の観点との関係の中で、しようとしているという関心・意欲・態度を見るものであるということを、まずこれを大前提に話さないと、議論が興味・関心と一緒になっちゃうかなというふうに、まず一つ思いました。そこが大事なところだと思います。
 それからもう1点。実は8月6日に中教審の教育課程部会がありまして、この中で特別教科、道徳の話が出てきまして、その中で、要録、文章記述の評価という話が出ました。皆さん御覧になると分かりますが、今日の資料の2-2のところに、小学校の要録が出ているのですが、これを御覧いただくと、今、小学校の先生はどこで苦しんでいるかというと、外国語活動の記録でこの記述をするのに、大変苦労しているのです。しかもその後ろを見ると、総合的な学習がこんなにたんとある。これから今度、道徳が加わるのですね。
 そうなると、これはどこかで、その場で私は最後で申し上げましたが、評価を含めて、どういう評価をするのかをトータルでやらないと、先生たちは要録を書くのに、それこそ40人学級、40人持った先生はえらいことになると思うのです。ですから、そういう中で今回の英語の評価をどうするのかなということも、やっぱり考えていく必要がある。バランスの問題だとは思うのですけれども、そこが今、一番気になっているところです。以上です。長くなって済みません。

【吉田座長】 ありがとうございました。非常に明快に規定されている内容について、定義についてお話しいただいたと思います。最後の二つ目でお話しいただいた点も非常に大事だと思いますね。確かにこれを見ていると、先生、大変ですよね。これ全部記述してやっていったら、えらいことになるなというのがよく分かりますので、その辺に関して、どういうふうな評価の在り方を考えていくか、非常に大切な議論だと思いますが、どなたか御意見ございますでしょうか。指導と評価についていかがでしょう。
 藤村先生、小学校の立場から、今の髙木先生のお話から何か御意見ございますか。

【藤村委員】 今の外国語活動は、全部記述式で評価をしています。髙木委員がおっしゃったように、担任はその活動を通して文章で表現するわけですから、時間がかかることは確かです。ただ、CAN-DOのように、できるできないかだけでいくと楽なのですが、でもやっぱり子供が評価を見たときに、その評価が生かされないと駄目だと思うのですよね。
 だから、自分がそれを見て、ここは確かにできないけれども、こういう部分では自分は頑張れているなという。例えば、うまくしゃべれないのだけれども、しゃべろうとする努力をしているという、そこを先生は評価してくれているのだなということが分かることは大事なことだと思うので、記述式は確かに時間はかかるのだけれども、そういう子供に、できるできないという評価だけではなくて、自分が頑張っている姿が何らかの形で子供に分かるという、そういう評価でないといけないのかなと思います。

【吉田座長】 ありがとうございます。特に現在の五、六年生で行われている外国語活動としての英語の場合は、まさに今、藤村委員がおっしゃったとおりだと思いますが。今回は五、六年生は教科ということで、今までとは多少違った面も出てくるのではないかというふうに考えられるわけですね。だから、一応指導いただいたものの中にも、A、B、C、あるいは1、2、3という形での評価のあらわし方も案としては出てきていますが、何かほかの方でも何か御意見ございますでしょうか。どなたかおられますか。石鍋委員、いかがですか。

【石鍋委員】 記述うんぬんの小学校については、私、ちょっと頭の中で整理しきれていないのですが、ただ記述が大事だということは、小学生の段階では当然なのだろうなと思っています。ただ、その背景とか根拠は何だと言われると、まだ私の中ではまとまりきれていません。
 ただ、今話題になっていた関心・意欲・態度については、この評価が入ってから、人によって違いはありますが、授業は変わったと私は思っています。これは英語だけではありませんけれども。やはり関心・意欲・態度をはかるためには、その場を設定しなければならないのですね。例えば、○○について進んで話をしようとしているというような評価規準を持った場合には、話をする場面をきちっと授業の中で作らざるを得ない。作っていくことによって、授業は今までの知識偏重から変わってきたわけです。これがここ20年ぐらいの流れだろうと、現場にいて感じています。それを今後更に明確にして、子供たちが身近なものについて話していくとか、書いていくとか、相手のしゃべっていることを前向きに聞いていく、そんなような姿を評価することで、更に子供の英語学習に対する姿勢は変わっていくだろうと思っています。
 ですので、そのあたりをいかにポイントとして全国の教員に伝えていくか。そのあたりがうまくできれば、今の授業はかなり変わるのだろうなと思っています。CAN-DOはもちろん一つの手法ですが、そこに関心・意欲・態度をどう入れていくか、この辺のミックスは非常に重要なポイントになるだろうなと。また、そうしていかなければならないだろうなと思っています。

【吉田座長】 ありがとうございます。佐々木委員、いかがですか。

【佐々木委員】 小学校の方については、石鍋委員と同じように判断がしかねるところですけれども、ただ、やはり記述式というのは非常に小学生の発達段階においては大事な部分であって、数字なりアルファベットの評定として一つのものが出たときの影響、また受け取り方を考えると、非常にこの辺は慎重に扱わないといけないのかなというふうに考えています。
 高校については、これも石鍋委員がおっしゃったのと同時に、同じように関心・意欲・態度というところでの評価をしようという教員の姿勢というのが非常にここ数年高くなってきているので、それで授業を変えざるを得ないということが高校でも言えると思います。まさにCAN-DOでの実技、技術だけを評価する、点数だけを評価して、高校でいうと定期試験と小テストの点数だけで評価してということは、今はまずほとんどないと思うのですね。授業の中での活動や、生徒との対応の仕方とか、そういう状況を見ながら、それを評価に加えていくということは、既に今、されていることであると。その辺を整理していく必要があると思いますけれども、意欲・関心・態度といったところも大事な要素だというふうに思っています。

【吉田座長】 ありがとうございます。今、皆さんの御意見を頂きましたけれども、最初に大津委員からも出ていたCAN-DOの問題とすごく絡んでいる部分で、大切な部分だと思いますね。やはりそういう具体的な形でどういうことをすることが目標なのかということが分かれば、それをするような努力をどうやって生徒がしているか。あるいは、それをしようとしているかということが、きちんとはかれるということ自体が非常に大切だと思いますし、単なる議論としてのCAN-DOではなくて、より深いコミュニケーションを目指す一つのものとして、より正確に定義していけるのかなと、お話を伺っていて思いました。
 何かほかの方で御意見ございますか。ほかにはございませんか。よろしいですか。
 それでは、残りの時間は、全体を通して更に御意見を頂きたいと思います。評価だけですと、余りこれ以上の意見が出そうにありませんので、もう1回ちょっと全体に戻りまして、更に御意見がございましたら自由に御発言いただきたいと思います。全体を通して発言いただければと思いますけれども、いかがでしょうか。どなたからでも。じゃ、安河内委員。

【安河内委員】 小中高の英語教育を経て、最後の評価である大学受験ですね、これは私の専門分野なのですが、これに関して御報告と、そして事務局の皆さんにお願いがございます。まず小委員会の方で、4技能試験に積極的に大学入試を代替していくという話がありました。そういう決定になったと思います。究極の目標は、国立、私立、センターを問わず、全ての大学入試を4技能試験に代替していくと。これが究極の目標として、三木谷委員の方からも上がった。事務局の方からも、それに賛同するような声があったと思います。しかしながら、それは究極の目標であって、段階的に進めようということで、みなし満点であるとか、あとは換算方式、様々な方法が提案されて、これが結論として議事録に残ったのではないかと思います。
 ここからは報告なのですが、それに応じてなのか、独自の判断なのかは分からないのですが、非常に大きな国立大学が2017年度を目処(めど)に、4技能試験に基本的に全部の試験を代替しようという動きになってきています。そしてまた、複数の国立大学が、センター試験でみなし満点を導入するということをほぼ決定しているという状況です。使用する試験に関しては、多様な4技能試験を織り交ぜて生徒を評価していこうという方向で動いているようなのですが、使用する試験を見てみると、まだまだTLUですね、使用言語領域が指導要領と異なっているものであったり、2技能であったり3技能であったり、文科省の方針と違った試験を選んでいる大学も多々見受けられます。
 ここからは、事務局の皆さんへのお願いなのですが、この前の小委員会でも「スピード感」という言葉があったと思うのですね。このスピード感、意外なことに大学側がスピード感を持ってこのように動かれている。一方で、4技能試験、検定試験協議会ですね、これの設置が、もしも遅れてしまうと、適切な試験に対する信頼性、国際通用性、様々な評価が大学の方にフィードできないまま、大学側が使用する試験や、使用する試験のレベルであるとか、あとは得点設定が定まらないまま、いろいろな方向に暴走してしまうということにもなりかねないと思いますので、事務局の皆さんに、4技能試験協議会、検定試験協議会の設置を急いでいただき、それぞれの試験の審査を早速開始していただきたい。そして、大学側に適切な情報をフィードしていただきたい。「急いで」というのが、まず一つのお願いです。
 あとはこの議事録を、試験を作成されている様々な試験作成機関の方も読まれていると思います。現在ある4技能試験というのは、ハイエンドの学生をはかるには非常に適したものが多いのかもしれませんが、このままいくと、上からある一定ラインまでの学生しか4技能を評価できないということにもなりかねません。よく言われる、下位切捨てという結果になる可能性もあるのではないかと思います。そうならないように、多様な学生、そして高校入試、それからハイエンド部分だけではなくて、多様な大学の入学試験にも対応できるような、そのような4技能均等試験の開発を急いでいただきたい、一刻も早く。そうしなければ、上位だけしか変わらないという結果になりかねないのではないかというふうに危惧しておりますということです。

【吉田座長】  ありがとうございました。協議会のお話に関しては、そのとおり早めにやっていただくということなのかもしれませんね。では、大津委員、どうぞ。

【大津委員】 議事の進め方について伺いたいのですが、小委員会で議論された、何とか協議会ということをおっしゃいましたね。そこで何かを決定した。小委員会として決定したというのはそれでよいのですけれども、本来だったら、そのあと、この場で議論されるべきことだと思うのですが。私がすっかり健忘症になってしまって、そういう機会があったのを忘れてしまったのでしょうか。

【吉田座長】 前回だったと思いますが、一応小委員会の報告はさせていただいていると思うのです。それから、そのときの報告案も、たしか皆さんにお渡ししていると思います。ただ、議論そのものは確かに大津委員のおっしゃるように、まだ本委員会ではそれほど行われていないように思います。

【大津委員】 ここは是非議論していただきたいと思います。端的に私の意見を言ってしまえば、私はそういう協議会の設置には反対です。

【安河内委員】 まず、この議論がされていたかどうかということですが、私はここが専門なのでよく覚えているのですが、前回圓入さんの方から、どのぐらいですか、1時間40分ぐらい経過したぐらいでしたかね、前回の小委員会の報告として決定事項を読み上げされて、先生方からの意見を吉田先生が伺う機会があったと思います。

【吉田座長】 ですから、一応報告はありました。ただ、大津さんのおっしゃるとおり、それについての本会議での議論というのは煮詰まっていたとは必ずしも言えないとは思いますね。もしそれについて……。ただ、その報告書を皆さんが持っているというわけではないので、現段階ではちょっと難しいかもしれませんが。では、大津さん。

【大津委員】 少なくとも設置を急ぐというのは、いろいろな御事情があるのかもしれないけれども、それはちょっと慎重にしていただきたいと思います。

【吉田座長】 分かりました。安河内委員。

【安河内委員】 私が言いたいのは、とりあえずは協議会の設置を急ぐべきだということです。大学側が適切な試験に関する情報を持たないまま、4技能を測定しなければならないということで、独自の判断基準でいろいろな試験を使用しているのですが、その使用している試験の内容や、その基準を見ると、適切な情報を得ていないなと思うのです。これが協議会であるにしろそうでないにしろ、やはりそれぞれの試験の妥当性を検証して、その情報を正しく大学側にフィードしていくというのが事務局の役割ではないかというふうに考えています。

【吉田座長】 協議会に関しては、一応提案として出ているというふうに解釈いただければと思います。この場でもしこれについての御意見がございましたら、もちろん続けて構いませんが、ほかのことに関しても、全体として。じゃあ圓入さん、お願いします。

【圓入室長】 済みません、資料の方なのですが、重たくて恐縮ですが、ドッチファイルの第6回の最後の方に概要を添付させていただいておりますので、御参照いただければと思いますが。第5回の直前についております。これの基本的考え方の次のページ、8ページに、具体的方策というところで協議会の設置という御提案があったことを書かせていただいているかと思います。
 また、安河内委員がおっしゃっていただいたのは、8ページの○の四つ目のところに指針をお示しして、適切な形でスタートしたというようなお話を頂いておったものですから、多分そのことも急いでということをおっしゃっていただいたのかと思いますが。確かにこれは小委員会の御報告で、あと9月、今、2回ほど先生方に行っていただいておりますが、そこの中でも含めて議論を頂くというようには認識しておりますし、今日お配りしている資料1の26ページ、27ページあたりが、ちょうど高校入試、大学入試の在り方というところで、前回大津委員からも御意見いただきました。そういった御意見も、とりあえず今は列挙させていただいておりまして、今まで頂いた御意見を更に深めた形で、最終的な報告をさせていただくということでございますので、よろしくお願いします。

【吉田座長】 ありがとうございました。
 では、ほかにも何か皆さんから御意見。では、大津委員、どうぞ。

【大津委員】 済みません。今、こっちの分厚い方の資料の8ページのところで、「協議会等において」と書いてありますよね。つまり、もう特定の形態を持った協議会というものが提案されているというわけではないのですね。

【圓入室長】 少し補足で御説明しますと、前回少し御紹介いたしましたけれども、まだ全くない状態でございますが、イメージとしては小委員会では議論がありまして、単に高校、中学校の関係者の方だけではなくて、大学の方々にも御参画を頂き、かつ試験の関係機関の方々、それから専門家の方々が幅広く参画をいただけるようなそういう場で、例えば正確な情報というお話を頂きましたけれども、情報交換を行っていただいたり、その上でいろいろと、先ほど4技能のお話もありましたがそれだけではなくて、経済的な状況に配慮した受験料と書いてありますように、いろいろなそれぞれの各試験の違いがあります。その正確な情報をもとに、それではどのような形で進めていったらいいかという議論を頂いて、その上で丁寧に、これは自主的なものということだと思いますが、指針をその場で議論していただいて、まとめてはどうかということです。かなりスピード感を持ってということではございますが、きめ細かくその場で一気に決めてしまうということではなくて議論いただくような、そういう場の新たな設定ということを御提案いただいたのかと思います。

【吉田座長】 今、室長から説明いただいたことだと思います。では、安河内委員、どうぞ。

【安河内委員】 スピード感を持ってということに誤解があったと思うのですけれども、それはスピード感を持ってパッパッと、どの試験を使うか決めるということではなくて、まずは話合いの場をスピード感を持って設定して、話合いを始め、情報、調査、審査を始めていきましょうということでございます。

【吉田座長】 じゃ、大津委員、どうぞ。

【大津委員】 今のお話の中で、関係するテストというか試験の関係者とおっしゃいましたよね。つまり、いろいろな種類のテストを開発し、実施している団体の関係者もこの協議会に入るということですか。

【圓入室長】 小委員会の中でのまとめの中には、そういう形でまとめさせていただいております。

【大津委員】 それはとても大きな問題だと思います。大きな問題というのは、それをどう判断するかは別にして、慎重に議論する必要があるだろうと思います。ちなみに私個人としては、前から申し上げていることなのですけれども、センター試験というのがあって、あれは共通一次試験以来、長い間、多額の予算が投下されているし、何しろ英知を寄せ集めて、いろいろな努力、困難を乗り越えながら今の形になってきた。もちろん安河内さんがおっしゃっている4技能対応という形になっていないというのは事実なのですけれども、もし4技能対応の試験というのが大学入試にとって不可欠だということであれば、いろいろな種類の4技能対応試験を実施しているところから知恵を貸していただいて、センター入試を4技能対応型に変えていくというのが、本来あるべき姿だと思います。

【吉田座長】 ありがとうございます。じゃ、安河内さん。

【安河内委員】 センター試験を4技能型、次の達成度テストにおいても4技能型に変えていく。そのために国内、場合によっては海外から英知を結集して作るというのは理想的な形だとは思います。しかしながら、大学入試センターで対応できるのかというと、それは体制的に厳しいのではないかと思います。とすれば、実現しない目標に向かうことになります。あと何十年かかるか分からない目標に向かって走るよりは、やはりここで段階的にまず検定試験を利用し、最終的には大津先生が言われたような、国家的な4技能試験の作成が実現できればというふうに私は考えます。

【吉田座長】 事務局側、ちょっと説明を加えた方がいいかな。お願いします。

【圓入室長】 小委員会では、大学入試センター試験と、各大学の個別学力検査の話が両方あったかと思います。それは大学入試センター試験だけということではなくて、それぞれの大学も全て一斉に、現状を踏まえると、4技能の試験を独自に用意するのは難しいのではないかという意見をたくさん頂いたというように記憶しております。
 今、安河内先生がおっしゃっていただいたように、すぐは難しいけれども、本来であれば各大学、それから入試センター試験でも、4技能を小・中・高で学んできたことを適切にはかっていただけるような評価を、学びがつながるようにしていただきたいというのも御意見があったかと思います。まず当面は、外部試験の活用を推し進めさせていただきながらも、大学や高校で、4技能をきちんと学んだことがつながるという意味で、協議会は学校側にとって有益になるような場にできたらという趣旨のものとしてまとめさせていただいたと思いますので。大津先生がおっしゃっていただいた御意見は非常に重要だと思いますので、また9月にございますときにも、その観点も含めて御議論をいただければと思います。

【吉田座長】 どうもありがとうございました。ほかに。では、髙木さん、どうぞ。

【髙木委員】 今の話と少し変わりますが、私、一番心配しているのは、今、大学入試のことなのですが、今日の資料の7回の議事次第の13ページの後半です。小学校のことをとても心配しています。それで英語ってできると、私も英語ができなかったけれども、英語ってできたらもっといいなと思うところがいっぱいあるのですね。小学校のときに英語嫌いを余り作りたくないなと。これを見ると、最後から下の二つ目の○とか、そういうことや、次のページにいろいろ入ってくることを見ると、かなり高度な英語教育、さっき高度化ということも出ていましたが、小学校で入ってきたときにどうなのかなというふうに思っています。英語はできないよりできた方がいいと。
 もう一つそこで心配が出てくるのは、中学校入試に英語が科目として出ないかどうかということなのですね。そうすると、それはどんどんどんどんエスカレートしていって、難しい英語が出て、訳せみたいなことや、英語ができないと受験して中学へ入れないというのが出てきちゃったり何かする。そういうことも含めてここで考えておかないと、社会に対する影響が、小学校の特に英語という科目になったときには、非常に重要になってくるかなと思うので、そのあたりをきちんと考えておかないといけないなと思っております。

【吉田座長】 ありがとうございます。今おっしゃっていただいた点に関しても、かなり議論を小委員会の方でもやっておりましたので、中学校入試に英語が入るうんぬんというのは、非常に大きな問題になりますので、その点は今おっしゃったとおり気をつけないといけないと思いますね。
 はい、安河内さん。

【安河内委員】 現在の中学入試の問題を見てみると、各科目、大学入試のミニチュアのような形になっているのですね。つまり、やはり中・高一貫校の私立が、大学入試における進学率というものを非常に意識したカリキュラムを組んでいるという現状からして、今ある難関大学の入試のミニチュアを出題しているわけです。ということは、今の大学入試のまま中学入試が始まると、最悪の事態になると考えられますから、その点も皆さんに理解していただき、スピード感をもって進めていただければと思います。

【吉田座長】 ありがとうございました。ほかの方で。別に今の話題についてでなくても構いませんが、何か。では、石鍋委員。

【石鍋委員】 全く違う話で、今日の前段に戻りますけれども、小・中・高を通じた目標及び内容のこのイメージのA3判をちょっと見ていまして、教科等の目標よりも下の英語等の目標の方が具体化されているので、ちょっと私の感想なのですけれども、伝えやすいかなと思っています。今、この有識者会議等が始まって、マスコミ等でいろいろな記事になっていますが、そこでは英語教育の高度化とか、前倒しとかという言葉が非常に出ていて、それを読んだ、例えば保護者ですとか、周りの校長などが私と雑談をするわけですね。そんなときに、こうなると英語嫌いが増えてしまうのではないかというような声は、やっぱり出てきます。
 そんなことはないよということで、今、話合いが進んでいるよということで答えるのですけれども、私、これを見て非常に明確になったなと思っているのは、この英語等の目標のところで、小・中は、小の高学年と中は、身近で簡単なことについてうんぬんということでくくられていくのですね。高校の基礎科目のところでも、身近な話題というのでくくられていって、実は中学生の実情を見てみますと、やはりかなり大きな社会問題等を捉えて英語で勉強しても、なかなか食いついてこない。やっぱり主体的に英語を使ってみようという場合は、中学生のレベルであると間違いなく身近なもの、自分に関わるもの、友達に関すること、そんなことなのですね。これをきちっとつないでくださったこの目標には、私は大賛成です。
 これをどのように小・中で接続していくかを、是非国全体ですとか自治体とかで、今後話をする必要があるのだろうと思っています。もちろん教科書もそうですし、教材もそうです。特に指導の内容やカリキュラムについては話合いもできるのですが、私が一つ危惧しているのは、指導法なのですね。いわゆる小学校の外国語活動における指導方法と、中学校における指導方法、また高等学校における指導方法にはまだまだギャップがあると感じています。そのギャップをどう埋めていくかを、この身近な話題ということを一つの話題にして、やはりディスカッションしていくというのも、これからの日本の英語教育を作っていく上で非常に重要なポイントではなかろうか、そんなふうに思っています。感想ですが、申し上げました。

【吉田座長】 ありがとうございます。この設定の仕方からすると、CEFRでいうとA0からA1、A2、そして高等学校になって初めてBのレベルになっているのかなと。つまり、身近な話題から、より社会性のある話題に入っていくという。そういう意味での並びとしては、非常によくできていると私も思います。今、石鍋委員がおっしゃったような、継続性をどうやって保っていくかという指導法の問題だとか、その辺についてきちんと今後整理していく必要があると思いますね。
 ほかの方はいかがでしょうか。じゃあ藤村委員から。

【藤村委員】 済みません。CAN-DOのことなのですけれども、小学校では今、英語についてはCAN-DOでやっていないですし、記述の評価をしていると。今、中学校、高校のCAN-DOをしている状況、率ですかね、低いですよね。余り多くやっていないというか、報告があったと思うのですけれども。それは何か余り浸透しない原因というのがあるのですかね。やりづらいとか、何かその辺はどうなのでしょうか。

【吉田座長】 CAN-DOについてですか。まだ根付いていない、理解されていないという、ほとんどそうだと思います。ですから、リストを作るのも、せいぜいやっと作ったけれども、どう使ったらいいか分からないというところがほとんどですね。ですから、本当に進んで先進的にやっているところ以外は、使い方が分かっていないし、作り方もまだ分かっていない。概念そのものが余り理解されていない部分もあるのではないでしょうかね。

【石鍋委員】 よろしいですか。私のいる自治体では、現実問題をお話ししますと、この夏休み、研修会を教育委員会主催でやって、CAN-DOの作り方、意義、その辺を指導してもらいながら、実際にほんのわずかの部分ですけれども、チームになってCAN-DOリストを作ったと。それをベースにして、今年度中に何とか作り上げようと、そのような自治体もあるということです。

【吉田座長】 佐々木委員。

【佐々木委員】 済みません。話は戻りますが、先ほどの大学入試の件ですけれども、最初に外部試験の話をしたときに、私はそれについては相当慎重に取り扱わなければいけないという話をしたと思います。かつセンター試験についても全く否定するわけではないし、改善の結果、一定の評価がされているということがあったと思います。先ほど大津先生が言われたような形で、理想的なものはやっぱり国力を挙げて4技能をはかるということを目指すのが大事だと思います。私の認識ですと、この間、いろいろな外部検定試験の推奨に関しての課題が幾つか挙げたと思うのですけれども、その辺をクリアしてどう取り上げていくかという慎重な姿勢をとるための協議会だというふうに認識しています。その中で、かつスピード感を持ってという認識でございます。

【吉田座長】 私も主査でしたが、その認識でおります。安河内さん、どうぞ。

【安河内委員】 慎重であることも大切だと思いますし、しっかりと試験を審査するという姿勢が大事だと思うのですが、我々が思うよりも早く、大学側がどんどんどんどん進んでいくという状況が今起こっているのではないかと思います。大学側がそれぞれの試験の妥当性を知らぬまま進んでしまうということにならないようにも、慎重かつスピード感が必要ではないかなということを申し上げました。

【吉田座長】 どうもありがとうございます。では、大津さん、どうぞ。

【大津委員】 安河内さんの言葉を使うと、「ハイエンド」の大学というのがあるようですが、私の今の勤務先というのは、少なくともいかなる意味でもハイエンドに属するような大学ではありません。つまり、少なくとも私の勤務先では、安河内さんが心配しているようなことは起きていない。
 さっきの安河内さんの発言でとても気になったのは、ハイエンドでない大学の場合には、名前が挙がっているような外部試験では、受験者の間の差別化ができないというので、そういう受験者たちに対しても有効であるような外部試験の開発を進めるというようなことをおっしゃっておられた点です。結局そうなっちゃうと、外部試験を開発するために事が進んでいるのかなと思うのだけど、そうじゃないのでしょう。大学入試をよくしようとして努力する、それは安河内さんの基本的な姿勢ですよね。

【安河内委員】 確かにそのとおりです。

【大津委員】 そうであれば、そんな新しい外部試験を作るだなんていう方向に向かうのではなくて、むしろ各大学が、安河内さんが理想となさっているような4技能に対応した入試を実現できるような、そういう体制づくりに事を進めていくというのが筋じゃないでしょうか。

【安河内委員】 それも一つの案であるというふうに私も思います。各大学が4技能を適切にはかることができる、妥当性のある試験を作成できるのであれば、それはすばらしいことだと思います。しかしながら、日本には大学は何百とあり、その何百もの大学が学部別に入試を作成しています。この状態で4技能を適切にはかることができる試験を、各大学が作ることができるのかということを現実的に考えた場合に、それはまず不可能です。だから、多様な大学に適した、各大学が選択できる様々な4技能試験があれば、それは選択肢としてよいことだろう、というふうな観点で意見を申し上げました。

【吉田座長】 じゃ、榎本課長、どうぞ。

【榎本課長】 先ほど少し御紹介いたしました、前回第6回の資料の中で、小委員会の審議のまとめを入れております。先ほど圓入室長が御紹介申し上げた概要の手前に文章が入っています。第6回の資料4と書いているところでございます。少し御覧いただければと思うのですが、資料4を1枚めくりまして、今、担当の者がサポートにまいります。
 資料を1枚めくりまして、2.基本的な考え方というところがございます。この下のところで見てまいりますと、まず議論の前提としまして、小委員会の名称自体が、英語力の評価及び入試というようにしていまして、入試の前段階として、学校における評価のことも念頭に置いております。そのことも念頭に置きまして、資料4の2ページの一番下でございますけれども、総合的な英語力を向上させるためには、小・中・高を通じてコミュニケーション能力に必要な4技能が総合的に育成されて評価されることが必要ということで、まず学校段階における4技能の評価を掲げております。
 次のページ、3ページにまいりまして、「また」ということで、高校・大学へ進学を希望する者については、こういった4技能が入学者選抜においても適切に評価されることを基本としてと。その上で、入学者選抜を改善していくことが重要ということで、ここは入学者選抜そのものの改善を掲げているところでございます。
 その次のところで、既に広く認められている資格・検定試験を活用することは意義のあることと考えるということで、これは資料にも少しつけておりますが、現在でも学校あるいは大学によっては、こういった外部試験を生徒の英語力向上における活用として用いている例。あるいは、入試における換算方法を既に取り入れる例がございます。
 既に個別の例がある中で、こういったことをよしと思って取り入れている学校があり、これに関して、こういった事柄が更に使いやすくするためにはどうしたらよいかということで、これはページをめくりまして5ページでございますけれども、協議会(仮称)における検討の例として挙げているところでございますが、幾つかこれも議論の中で、外部試験に関してそれを活用するかという点で御議論になった、指導要領との親和性、測定可能性、評価の妥当性、それから換算方法、受験のしやすさ、それから適正・公平な試験実施体制、国際的な通用性等、こういった論点がそれぞれの試験にあり、こういったことについて個別に議論していくというよりも、協議会のようなところが設けられ、そこが試験団体、あるいは大学、高校の関係者も入っていきながら議論していくということに関しては、意義があるものというような議論だったというように記憶しています。
 したがいまして、まず高校、大学入試そのものの改善ということがあった上ででございますけれども、既に行われている資格、検定試験の活用に関して、こういった協議会において議論を深めていってはどうかという議論でございました。

【吉田座長】 どうもありがとうございます。というように審議のまとめに書いてあるとおりなわけです。では、室長、どうぞ。

【圓入室長】 一つ補足でございますが、大津委員がおっしゃっていただいたとおりで、そもそも大学、高校の入学者選抜の中で、4技能を評価するということが大事なのだという前提がございましたので、続きまして6ページの最後の(2)にございますけれども、ここは4行しか書いていないので、少し叙述した方がいいかと今思いましたが、そもそもは第2回に竹岡先生から発表いただいたように、大学入試問題が、本当にこれがいいものか悪いものかというような形で例示も挙げられて御説明をされまして、もう少し変わっていくべきだと。そのためには、ここに書いてありますように、学習指導要領に沿った英語の能力を総合的に評価する学力試験を奨励するために、この協議会等において、今の学力検査等における英語問題の在り方の調査とか分析とかを行いまして得られた結果というのが、大学や高等学校の入試における英語というところでの科目の、より充実につながるようにという趣旨でここが書かれていると想定しておったのですが、少し言葉が足りなかったのかなというように思いましたので、次の回に引き続いて、この全体の報告書の中では充実させていきたいと思いました。済みません、失礼いたしました。

【吉田座長】 ありがとうございました。ということで、また来月、9月に2度ありますけれども、そのときにもまた少しこれに関しても突っ込んで話ができればと思います。
 それでは、そろそろ時間にもなってきましたので、今後のスケジュールについて事務局の方からお話しください。

【圓入室長】 それでは、議事次第の資料の最後のページで、資料3がございます。こちらに今後のスケジュールを記載させていただいております。第8回、次回でございますが、9月4日の1時から3時ということで、場所はこちら、同じ3F1特別会議室になります。また、その次の第9回も日程を設定させていただいておりまして、9月26日ということでございます。場所は同じくこちらの方になります。その前になりますが、指導体制に関する小委員会(第3回)が8月19日にございまして、こちらの方については、指導、評価ということも入っておりますが、どちらかというと指導体制の強化の在り方について、本日御議論いただいたことも含めて御報告し、今後の方向性についてまとめていただきたいと考えておりますので、また第8回、第9回に御報告をさせていただきたいと考えております。以上でございます。

【吉田座長】 どうもありがとうございました。
 これをもちまして、本日の会議は終了したいと思います。お忙しいところまことにありがとうございました。

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