英語教育の在り方に関する有識者会議(第6回) 議事録

1.日時

平成26年7月16日(水曜日)17時00分~19時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 小・中・高等学校を通じた目標等の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

石鍋委員・大津委員・佐々木委員・髙木委員・多田委員・藤村委員・松本委員・安河内委員・吉田委員

文部科学省

前川初等中等教育長・義本大臣官房審議官・榎本国際教育課長・圓入外国語教育推進室長・平野大学入試室長・太田視学官・向後教科調査官・平木教科調査官・直山教科調査官・葛城プロジェクトオフィサー

5.議事録

【吉田座長】 それでは定刻になりましたので、第6回英語教育の在り方に関する有識者会議を開催したいと思います。お忙しいところ御参集いただきまして、まことにありがとうございます。
 本日の第6回は、小・中・高等学校を通じた英語教育の目標等の在り方について御議論を頂く予定です。また、多田委員よりJETプログラムについて御意見の発表がございます。また、英語力の評価及び入試における外部試験活用に関する小委員会の審議のまとめについての報告もございます。
 それでは、まず、事務局より配付資料の説明をお願いいたします。

【圓入室長】 それでは、お手元の資料の御確認をお願いしたいと思います。本日お配りした第6回の議事次第の一番表紙になっているもの、こちらにつきましては資料1と資料3-1、4と5が一括のとじ込みをさせていただいております。併せて資料の3-1の関係でございますが、本日、御議論いただく資料として、メーンテーブルではこちらのA3の資料というのがございます。資料2につきましてはカラー刷りで、JETプログラム参加者と企業経営者の懇談会ということで、後ほど多田委員から御説明いただく資料になっております。それから少し分厚い資料といたしまして、資料3-2でございますが、これがいつもの参考資料でございます。それから資料4は別刷りになっておりまして、後ほど御紹介させていただく小委員会の審議のまとめがございます。それから机上資料といたしまして、後ほど御議論いただくに当たりまして、小・中・高の学習指導要領の解説がございます。併せて12月の文部科学省から発表させていただいた英語教育改革実施計画も置かせていただいております。これらは後ほどの御議論の際に活用させていただきたいと思いますので、過不足等ございましたら事務局にお知らせいただければと思います。
 この後、カメラ撮りの方がいらっしゃるとお伺いしております。恐縮でございますが、カメラの方の撮影を今お願いさせていただければと思います。
 以上でございます。

【吉田座長】 ありがとうございました。
 それでは、最初に、今、説明もございましたけれども、多田委員からの意見の発表を頂いた後に、本日の審議の主な議題としている小・中・高等学校を通じた英語教育の目標等の在り方に関する議論を行いまして、事務局の説明の後に具体的な議論を進めていきたいと思っております。そして最後に英語力の評価及び入試における外部試験活用に関する小委員会の審議のまとめについて報告をしていきたいと思います。
 それでは、まず、多田委員より意見発表をお願いいたします。よろしくお願いします。

【多田委員】 ありがとうございます。双日総研の多田です。これまで5回、非常に多種多彩な関係者の方から英語教育にする御議論を側聞しておりまして、ちょうど5回終わったところで、そろそろ本会議の全体像の再確認という意味で、私からは経済界から見た問題提起を3点ほど差し上げたい。と同時に先月の5回目の会議の後から、この本会議に関わる重要な検討追加事項が二つ出てきたのではないかということで、これはおいおい後の方で御説明させていただきたいと思います。まず私は、経済同友会におきまして、昨年は米国を中心とした米州委員会の委員長、これは日米関係を中心にいろいろな政治、経済、社会問題を討議してまいりました。また、今年はその発展形であり、経済界として初めて地域・政策横断型の取組である知日派・親日派拡大プロジェクトチームの委員長として活動しております。これからの議論というのは、そこでの経済界の議論であるということをお含みおきください。
 使用しますのは資料の2で、これを眺めていただきたいのですが、そもそも論として、この1回から5回までの議論の中で、少し私が違和感を抱きましたのは、グローバル化人材に対する認識というところで、これまでのこの会議ではオールジャパン、日本人だけで英語教育を論じているということに少し違和感を抱きました。どうも今の教育界といいますのは、いまだに我々経済界が二、三十年前の日米経済摩擦時代に持っていたグローバル化の認識でいる部分があるのではないか。つまり日本、日本語、日本人というものを必ずこちらの1極に置いて、対比するところに海外がいるという、いわば仕切り境界線がありながらcoexistence、共存しているという、経済界で言えば、言ってみれば日本とアメリカの市場は分割型で共存しようというような相互不可侵のすみ分けがあるような感じなのですね。しかし、実際、我々が身に感じる現在のグローバル化社会というのは、いわゆる自然生態系で言えばsymbiosis、いわゆる共生です。多文化、多言語、多民族の人たちが境界もなく入り乱れて、競合と協調をしている。これは弱肉強食の世界であって、機会もあれば痛みも伴う。よくグローバル人材とかを話すときに、一番の恩恵を受けるのは経済界、ビジネスであるというふうな議論を教育界の方から伺うことがあります。確かにビジネスの場というのは機会・恩恵も受けているけれども、一方で大きな生存・存続の危機もあり、そういったリスクも感じるのがグローバル社会というのが一つ我々が持っている認識なので、これは前提条件として、一言お伝えしたかったというところです。
 続いて問題提起の第1点ですけれども、これは本日の資料2に入りますが、私の本会での立場というのは外部人材の活用、なかんずくALTの中でJETというものに注目していただきたいということです。これは、経済同友会という自由闊達(じゆうかったつ)な議論の場で出てきた結論とも一致します。経済同友会では昨年度、2013年度の米州委員会の活動で、日米の2国間の人的交流を通じた相互理解・関係強化を図る方針の一つとしてJETの参加の幅広い活用に注目いたしました。そこで次世代の知日派・親日派・外国人層の養成及び日本企業のグローバル化促進に向けた外国人社員及びJET参加者の活用に関するアンケート調査を行ったのが、資料2の、番号を振っていなくて恐縮なのですが、6ページの次の部分ですね。見開きの反対側ですけれども、知日派・親日派・外国人層の養成と日本企業のグローバル化促進に向けて、今年の1月に公表したアンケート調査です。ここで皆さん御承知のJETに関して取り上げてみたのですけれども、一般的に日本の企業の中でJETの存在を知っている企業は大体16%と非常に低い。ただしJETの存在を説明すると、これを次世代のグローバル人材として活用していきたいという企業は非常に多い。一方で、比較調査として、日本に来ている外資系企業及び大使館で同じような調査をしましたところ、80%以上の認知度であり、かつ80%以上のところで採用が進んでいる。やはり日本に来て、日本とのビジネスを進めていく、日本との関係を強化する上にはJETは必要である、不可欠であるという認識が外資系企業・大使館ではあるというようなことがこのアンケートから分かりました。
 これを踏まえまして、今年度新たに経済同友会の中では、先ほど御紹介した知日派・親日派の拡大プロジェクトの活動に当たり、まずはJETの参加者及び元JETの企業経営者との懇談会というものを5月16日に開催いたしました。これが資料2の最初のページから出ている報告概要版でございまして、最初のページにちょっと注目していただきたいのですけれども、この写真、真ん中に安倍昭恵総理夫人がおられて、周りにいわゆる財界のトップの方及びJET経験者、現役JETの方がいますが、これで実は半分の人数なのですね。最後に記念写真を撮ったので、もう大分帰られた方があったのですけれども、例えばその次の3ページ目、これも見開きになりますが、参加者の方、来賓方及び各国大使館の方、こういった方々が来られました。ほとんどの方が最後まで残って非常に熱心に、やはりJETの必要性、JETの可能性ということに対して大きな議論をいたしました。こういったことも踏まえて、経済同友会としては更に今度は各地方、例えば長崎であれば九州全域のJETを集めて、岡山であれば四国・中国地方及び、仙台であれば東北地方といったところで同じような懇談会をやろうという議論が進んでおります。これが申し上げたかった第1点です。
 第2点は、これは前回の本会議で発表された内容に対する私なりのコメントなのですが、御承知のように前回は非常に発表の内容が多くて、コメントしたかったのですけれども、残り時間がなかったものですから、あの状況を思い出し出し聞いてください。これまでの重要な課題であった評価の問題に関して、民間の方から見ますと少し違和感がありました。評価には、定量評価と定性評価がありますね。定量評価は外部試験の導入とか4技能だ、CAN-DOリストだという、非常に分かりやすい様々な方法論がありまして、またそれを比較データとか、例えば一つの外部試験で何点取ったかという意味で外的な評価も分かりやすいし、統一比較もできると。一方で、また東北地方とかいろいろなところのクラスの様子を説明していただいたときに出された、真のコミュニケーションといったような定性評価となると、学友同士のペアワークで生徒の意欲が増したとか、笑顔が増えたとか、あとはそういった英語の歌や英語の映画を見るようになったというようなプラス評価、一方で現場の先生方は不安や不平不満が出てくるといったマイナス評価もあったという、定性的な評価としては比較ができない部分というのが多くあります。ですからその辺を踏まえて、どういうふうに指導体制に反映していくかという、もう少し一歩踏み込んだところの具体的な議論が必要なのではないか。
 更にもう一つ言いますと、これまでの議論を聞いておりますと、英語教育の出口というのが大学入試というところであるような印象も受けます。一般的な社会での英語の活用というのは実は様々で、これからお話しになる小・中・高を通じた目標・目的というだけではなくて、大学から生涯教育、企業の実務教育まで生徒の英語教育の意欲と興味が、本来は実社会への入り口である大学入試で燃え尽きないような継続的な指導体制というものをやはりどこかで議論していただきたいというのが2点目です。
 3点目は、官民学で外部人材といった活用、何ができるかということを考えまして、冒頭で触れました6月16日の会合以降に出た本件に関わる追加検討事項の一つを挙げますと、6月24日に安倍政権の「日本再興戦略」-未来への挑戦-という、去年の6月に出た成長戦略の改訂版が出ました。その中には外部人材の項目が多数含まれております。つまり外国人企業の機会を増やす、そのための規制緩和とか関係省庁が横断的にその機会を進めていく。経済界もインターンとか雇用の創出といった、女性も含めた幹部の登用といったことも相当今回の成長戦略の中には含まれております。その中には、実は、例えば51ページ、第2の大学改革グローバル化に対応する人材力の強化に関しましては、53ページ目ですね、グローバル等に対応する人材力の育成・強化ということで、まさに小学校における英語教育実施学年の早期化に向けた学習指導要綱の改訂を行うことを目指し、指導体制の強化、外部人材の活用・促進など、初等・中等教育段階における英語の教育の在り方について検討を行う云々(うんぬん)と書いてあります。ですから、まさに我々の行っている議論が、そういった国家戦略の中でも反映されているということも踏まえ、より一段の幅出し、深掘りというものが必要ではないかと思いました。
 と同時に、先ほど述べた経済同友会での問題意識です。知日派・親日派の外国人層の育成と日本企業のグローバル化促進の観点から見ますと、JETを外部人材活用のパイロットプログラムと考えて、小学校での英語教育の指導体制の補強を考えた場合に、ALTの中ではJETというのは実は幾つもの縛りがあります。事前に審査がある、筆記もある、面接もある、そして資格要件が幾つかあって、なおかつ二、三年の現場経験がある。JETをALTの中の一つのパイロットプロジェクトとして考えた場合には、ある程度の英語教科に関する必要資格要件を満たせば、特別免許状を授与して教員として登用する。もちろん、それはいわゆる一般社会人も対象にして、例えば企業の元海外駐在員の社会人にも開放して、例えば自動車で言えば原付免許とかオートマ限定免許というのがありますし、登用期間も限定する。そういうふうに活用したらいいのではないかという議論を実は、経済同友会の中でここ数か月やっていたのですね。そうしましたら、文科省が先月6月19日に、この今私が言ったような特別免許状の指針が出されております。これがきょうの配付資料。論点に関する参考資料3-2の64ページから、「特別免許状の授与に係る教育職員検定等に関する指針」、これは後で文科省の方から補足いただきたいと思いますが、これはJETの人にとっては非常に新たな可能性になるし、これを一つの外部人材登用に対する切り口として、これは6月19日に出たばかりということなので、是非大々的に宣伝して活用していただければと思います。
 以上、英語教育の課題というものを全て解決するのが外部人材ALTで、その代表例がJETであるとはまだまだ今のJETの体制では言い難い現状ではあります。ただし、経済界から見ていますとJETの可能性というのは非常に大きく、なおかつ今年度で4,500人、予算で300億円、これが63か国から累積で5万8,000人というものの累積のデータがある外部人材のプールですので、今回の議論では学校教育という、JETを学校教育や教育界という限られた領域だけの判断ではなくて、こういった英語教育から日本社会全体を改善していく、変化の触媒から積極的な架け橋というような機能も備えた「JETの質と量」を拡大していく。それをまた経済界が応援していくというような、官民学の切り口で取り上げていただければと思います。以上です。

【吉田座長】 どうもありがとうございました。
 今の多田委員の御発表を踏まえて御質問とか御意見がございましたら挙手の上、御発言いただきたいと思いますがいかがでしょうか。

【大津委員】 はい。

【吉田座長】 じゃあ大津委員、どうぞ。

【大津委員】 2点ほど伺いたい。英語教育の早期開始、今よりももっと早く始めるという意味での「早期開始」と、それから外部人材の活用、例えばJETの活用というのがグローバル人材の育成に大きな意味を持つというのがお話の前提だったかと思うのですけれども、この根拠は何なのかということを伺いたいのが1点。
 それからもう一つは、経済同友会というお立場でも結構ですし、あるいは1企業の関係者というお立場でも結構なのですけれども、最近の大学卒業生の母語力というものについてどういうお考えをお持ちなのか。この2点をお聞かせいただけたらと思います。

【多田委員】 まず1点目ですけれども、根拠は何かということは、また様々あると思いますが、私が見るときにまずニーズがあると。要するに小学校での早期開始となりますと、まさに今までここの論点でお話しされているように、では誰がどう教えるのかと。小学校レベルで英語教員をどうやって増やしたらいいか。これはもう、数万人単位で必要になってくるというときに、これまでJETの人が5万8,000人いたというところにいますと、その教員免許や入管制度といったものを多少クリアすれば、これが一つのニーズにこたえる人材ではなかろうかというのが1点ですね。
 あとは、これまでのJETの人たちというのは、実はほとんどの方が日本に関する仕事に就きたい、日本で生活したいという方が多かったと思うのですけれども、それが日本の経済のていたらくということもありまして、それがかなえないということで外国の自分の国に戻って別の仕事に就く、若しくはアジアの別な国に行って、日本にしてみれば非常に税金を使っていい人材をそろえた割には使いこなしていなかったという、言ってみれば今まで使っていなかった筋肉を活用して、補強していくという意味においても、これは非常に大きな力になり得るのではないかというのが1番目のお答えになるかと思います。
 2点目の企業から見たというところで、私の双日という商社から見ますと、海外に希望して、海外との接点が多い企業に応募してくる大学生の質、これは実は非常にかつてよりはかなりいいですね。やっぱりやる気がある。しかも、ですから先ほどの2点目でもお話ししたように、大学に入って燃え尽きていないのですよ。ですから大学に入って、そこからNPOの活動でアフリカに行ったりとか、海外に行く、若しくは国内で外国から来たような人を受け入れたり、友達になったりというような人たちが割と元気に、そういった海外との取引がある企業に来ている。ですからそのレベルは、実は20年前、30年前から比べると非常に高いと思います。ですからこれは一般的な答えにはならないかもしれないですけれども、非常にハイエンドの部分は、かなりいいのではないかと。ですから例えば大学生の質を、大学レベルのことを上げていく場合に、真ん中から下ぐらいの人たちをどうやって関心を持たせるか、若しくはボトムズアップにしていくかというものが多分、指導大綱の中でちょっと検討していただければなと思うことだと思います。

【吉田座長】 今の大津委員の2番目の、日本語のお話でしたよね。母語の力はというお話だと思うのです。

【多田委員】 母語。

【吉田座長】 はい。ということなのですけれども。

【多田委員】 日本語の力。日本語の力……。日本語の力というのは二つありまして、いわゆる文章が正しく書けるとか、日本語の会話ができるという部分が一つと。あとはロジックですよね。いわゆるちゃんとした内容が話せるということに関しては、新人は話し言葉で言うと大分砕けた人が多いですけれども、それでもまともな文章がそこそこ書けるような人が来ていると思います。またこれはOJT、オン・ザ・ジョブ・トレーニングというもので訓練は可能、必ず企業に入った段階でメーカーならメーカー、金融は金融、商社は商社というところで、それなりの業界用語なり、言葉遣いとかいうものが出てきますから、入ってくる段階においてはそれほどの心配はしていないと考えております。

【吉田座長】 ありがとうございました。
 じゃあ大津さん。

【大津委員】 余り深追いするといけないと思うので、これでやめますけれども、最初の点に関しては、私が理解した限りでは、要するに外部人材の活用ということに対するニーズというものがあって、それに対応するということにまとめられるかと思います。それは必ずしも外部人材を活用しなくてはいけないという根拠にはならないというのが私の考えです。
 それから母語力については、私は前から申し上げていますけれども、少なくとも最近の大学卒業生の母語力というのは、とても落ちてきていて、さっきの多田さんの話の中に「ハイエンド」という言い方と、それから「真ん中から下」という言い方が出てきました。私はハイエンドの学生がどういうのか分かりませんが、少なくとも真ん中から下の学生たち、そしてその割合というのはとても大きいと思うのですが、この日本語力、母語力というものの低迷、低落というのは、かなり深刻に考えなくてはいけなく、また企業にとってもとても重要な問題だと考えています。

【吉田座長】 ありがとうございます。
 ほかに御意見とか御質問とかございますか。
 じゃあ安河内委員。

【安河内委員】 質問です。特別免許状に関してなのですけれども、これっていうのは日本人も対象として、日本に住んでいる外国人も対象として発行するものなのでしょうか。日本人で英語の達者な人が英語教育に外部人材として参加するということも意味されているのでしょうか。

【義本審議官】 日本人も外国人も対象です。

【安河内委員】 じゃあ、外国人でも日本人でも英語に堪能な方が、小学校や中学校に行って英語教育のお手伝いをするということで理解してよろしいのでしょうか。

【吉田座長】 じゃあ義本さん。

【義本審議官】 そのとおりです。

【吉田座長】 ありがとうございます。
 ほかにございますが。

【佐々木委員】 すみません、学校という立場からですけれども、JETの活用については非常に有意義であって、これまで少し東京では数が減りましたが、かつてはJETを採用していたとき非常に効果的であったと認識しております。今後また拡大するということで、非常に期待も大きいわけですけれども。ただ、JET青年たちが、基本的にはやはり英語指導員であるというベースがあって、経済界と結び付いているということの英語指導員という力そのものはやっぱり担保していかなければいけない。現地なり日本に来てからの研修というものはしっかりやっていかなければいけないと確認をさせていただきたいと思います。
 あと、やはり現場の方で、JET青年が来たときに、前回のときも活用方法においては学校とか地域で差があって、活用し切れなかった部分もあると思うのですね。ですからその辺は現場の教員も併せて、活用法について、これから拡大するにおいては相当力を入れてしていかなければいけないと思っております。

【吉田座長】 ありがとうございます。今の御意見なども含めて、今、多田委員から発表いただいたJETプログラムのお話については、指導体制に関する小委員会がまだ25日にございますけれども、そのときにより具体的にお話をさせていただくことになると思います。ですからそのときにきょうのお話も参考にさせていただければと思います。それで一応よろしいでしょうか。
 それでは続きまして、小・中・高等学校を通じた英語教育の目標等の在り方に関する議論に入りたいと思います。それでは事務局より説明をお願いいたします。

【圓入室長】 それでは資料3-1と、それから先ほど申し上げましたA3の資料を中心に御説明させていただきたいと思います。また、お手元の学習指導要領の解説で、附箋を貼らせていただいております、高等学校の方に附箋を貼らせていただいております。それもお手元に御用意いただければと思います。
 それでは3-1でございますが、27ページからでございます。こちらの資料は、構成といたしましては、まず、これまで小・中・高を通じて、それぞれの段階で現状から課題、それから現時点で見られる、先ほど多田委員からもございましたように定量的・定性的な評価というものが可能な範囲で議論いただいたり御説明いただいたりしてまいりました。そういったことを最初の27ページから、お開きいただければ28ページ、ここから小学校の成果、中学校の成果ということで続いております。それをお示しさせていただきながら課題を整理し、その上で本日、御用意させていただいているのが小・中・高を通じた目標の在り方ということでの少し論点のような形で、きょうの御議論のために座長と御相談させていただきながら御用意させていただきました。
 まず27ページからでございますが、ここはもう現行の学習指導要領の大きな目標を最初にまず書かせていただいて、これは省略いたしますけれども、この狙いの実現ということで、下の丸では、今回の現行の改訂のポイントというものを一旦まとめさせていただいております。
 28ページ以降を御覧いただければと思います。小学校の成果におきましては、第3回、第4回で御説明、プレゼンいただきました定量的な数値も含めまして書かせていただいております。23年度から、小学校については外国語活動が始まっておりますので、この活動を経験した中学生、中1の生徒というのを最初の丸の真ん中に書いておりますけれども、生徒の変容が見られるということで、おおむね評価をしていただいているということであったかと思います。特に英語の基本的な表現に慣れ親しむとか、積極的なコミュニケーションを図るという態度が育成されているというようなことであったかと思います。また小学校で経験した方は、中学生では聞く力や話す力が高まったという指摘ということをまとめさせていただきました。
 また、その次の丸は先進事例のことも書かせていただいておりますけれども、効果が上がっているところは小・中連携ということで実質的な連携が図られておりますが、後ほどの課題の方では、なかなか小・中連携が図られていないというようなことも指摘させていただいております。意欲や英語力が向上している取組ということがございました。
 次の中学校の成果ということでございますが、順番に24年度、25年度、中・高ということで始まっておりますので、まだまだ定量的な評価ということはなかなか難しいかと思いますけれども、前回、事例発表もさせていただいて、見られる変容といいますか、成果ということをここからまとめさせていただいております。中学校では言語活動の「聞くこと」において、概要や要点を適切に聞き取ると、それから文法はコミュニケーションを支えるものということで位置付けられておりますけれども、言語活動と効果的に関連付けて指導すること、それから活用することを通して定着を図る取組というようなことで、これは先進事例を通じてのお話でございましたが、英語力の向上が見られたりするということでございます。
 また定性的な評価といたしまして、教師と生徒の親和関係の構築、それから授業を英語で展開すると、それからペアワークなどの活動が見られるというような成果を書かせていただいております。
 29ページに移らせていただきますけれども、少し時間がございませんので、高校とまとめてお話しさせていただきます。それぞれ先進的な事例の中には、CAN-DOリスト形式の目標というのを各学校において作成して、例えば指導計画を見直すとか、それから教員の先生方が課題を共有するという実例が中学校と高校、共通して御報告があったかと思います。そういったことを少し書かせていただいております。
 続けて高校の成果でございますけれども、高等学校におきましては、また目標の段階が変わります。情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりするコミュニケーション能力を養うということが目標になっております。聞いたり読んだりしたことに基づいて英語で表現するという機会を多く持たせる言語活動というものが以前よりかなり増えてきていると。そういったことを通じて先進事例などでは資格・試験団体さんの協力も得ながら生徒の英語力向上が見られるという御報告があったかと思います。
 次の下三つは、省略させていただければと思います。前回、発表させていただいた内容になっております。
 30ページに移らせていただければと思います。先ほど申し上げましたように中・高を通じてCAN-DOリストの成果というのがございまして、またそれを推進された教育委員会の取組ということも少し30ページの上の二つ目に書かせていただいております。
 それから次の学習到達目標でございますが、全体といたしましては、なかなか中学校、まだまだ進んでいないという御指摘もあったかと思いますけれども、高校でもありますが、県によっては域内の全中学校・高校、全て作成をして、どんどん取組を進めていらっしゃるというような御指摘があったかと思います。
 次の30ページの下の後段から課題ということで書かせていただいております。小学校の課題につきましては、先ほどJET、ALTの話もございましたけれども、ALTとチームティーチングできていない学校さんがあると。十分に活用できていないという御指摘だったと思いますが、そういったこともここに指摘させていただいております。
 31ページ以降でございますが、小学校のまず外国語活動が導入されました高学年につきましては、抽象的な思考力が高まる段階であるにもかかわらず、外国語活動の性質上、現在は体系的な学習ではないということもございまして、経験をされた中学生の7割以上が小学校で英単語、英語の文を読むこと、それから8割以上が英語の単語を書くことをしておきたかったということで学習内容に物足りなさを感じている状況が見られたという御報告をさせていただいておったかと思います。
 次の丸でございますが、そういった中で、すみません、ここはちょっと修正文言があります。児童「に」「が」という「てにをは」でございます。児童「に」でございます。自らの考えを英語で表現するために十分な語彙や表現を身に付けることは意図されていないという現状がございますけれども、成果といたしましては、コミュニケーションに積極的に関わろうとする態度が育成されていると。今後につきましては小学校中学年から学習を開始することということを前提といたしまして、英語学習への動機付けを更に高め、コミュニケーション能力の素地を養うことで、小学校の卒業時までに慣れ親しみや体験的理解に加えてコミュニケーション能力の基礎を身に付けるということをここで書かせていただいております。
 それから次の丸でございますが、先ほど申し上げましたように小・中連携の観点からは、まだまだ少し課題があるということを書かせていただいていますし、また次も小・中連携、小・小連携というお話がございましたが、そのような課題を書かせていただいております。
 次の中学校の課題でございますが、中学校では英語を理解し、考えながら表現できるコミュニケーションが図られるかどうか。それから伝統文化や自然科学など現行の学習指導要領に示された題材の扱い、それから単元ごとの適切な目標設定が行われているかどうかという観点から、まだまだ英語を理解し、英語で表現できる実践的なコミュニケーション能力は十分ではないということが指摘されたと思います。
 次のページ、32ページ以降でございますが、「また」以降の数字的なところは前回の御説明の内容ですので省略させていただきます。特に今回の目標に関わるものといたしましては、やはりそのCAN-DOリストの形での各学校における学習到達目標の設定ということでございますが、17.4%ということでございまして、かつ数字としては当日御報告できておりませんけれども、都道府県間の差を見ますと、100%作成されているところと、まだまだ1割弱というような地域もございまして、地域間でばらつきがあるという答えがございます。そういったところはこのまま進みますと、地域間によっては学校の指導改善につながるという取組を期待されているところがありますけれども、それぞれのばらつきが出てくるのではないかということを書かせていただきました。
 それから次の高等学校の課題でございますが、最初の数字のところは御報告させていただいたところなので省略いたしますけれども、CAN-DOリストのことにつきましては中学校と同じような指摘をさせていただいております。岩手県の御説明がありましたけれども、域内全ての高等学校で設定をして、更に研修ですとか、それから例えば参考として県の方で県版のCAN-DOリストを策定されて、例えば普通科の学校、いわゆる進学校とおっしゃっていました学校の版と、例えば工業高校などの専門学科向けのものを作られているというような取組があったかと思います。そういった取組をかなり熱心に全県的に取り組んでいらっしゃる地域と、やはり高校におきましても、地域によってはまだまだ進められていないというところもございましたので、中学校と同様の指摘があるかと思います。また中・高の連携ということで、まだまだ不十分であるということがあったかと思います。
 次以降が改善の方向性でございますが、時間がないので、恐縮でございますが、先にこちらのA3の資料も併せて御説明させていただきます。これまで御説明させていただいた現状それから課題、成果、ございますけれども、そういったこともまだまだ議論が必要だと思いますが、整理しながら次のステップとして新しい小・中・高を通じた目標及び内容の主なイメージということで、このA3の資料を御用意させていただきました。この内容に関連することを33ページ以降に記載させていただいております。少し先にこのA3の構造だけでも説明をさせていただきたいと思います。
 まずこのA3の1ページ目でございますが、横に見ていただくと、小学校・中学校・高等学校と並べさせていただいております。小・中・高を通じて、それが前回の御意見にもございましたけれども、うまくつながりという御発言でした。接続という言葉も頂いておりますけれども、それがきちんと明確にすべきであるという御意見を頂いておったかと思います。そういったことを検討いただくために小学校・中学校・高等学校ということで、まずは横に並べさせていただきました。
 一番上が一番大きな教科の目標ということでございますけれども、この見方といたしましては、少し黒塗りになっているところが現行の書きぶりの抜粋となります。その上に改善の例ということで、必ずしもきょうで決まるということではないかと思います。議論していただくということで、検討のための案文を用意させていただいております。現行から大きく異なるところにアンダーラインを引かせていただいております。
 まず一番左の中学年でございますが、そもそもこちらについては今現在行われていないということで、新規に改善例のところに入れさせていただいております。ただ、こちらについてはいろいろ御議論ありました。最後のところとちょっと読ませていただきますが、「外国語の音声等に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養う」ということで、高学年、今現在行われている外国語活動のものを参考に書かせていただいております。ただ、後ろの方にも書いておるのですが、飽くまで五、六年生というよりは三、四年生の発達段階に応じた、やはり目標なり内容なり取組がなされるということを前提にさせていただいております。ポイントのところに今回の改善の方向性ということで、少し簡略化して書いておりますが、「言語や文化についての体験的理解」、それから「積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度」、「コミュニケーション能力の素地」を養うということが今回の大きなポイントになってくるのではないかと書かせていただきました。
 それが一つ右の列にずれていただきますと、高学年でございますが、今現在コミュニケーション能力の素地を養うという目標になっております。アンダーラインを引いております、「身近で簡単なことについて外国語の基本的な表現に関わって聞くことや話すことなどのコミュニケーション能力の基礎を養う」ということを一旦書かせていただきました。
 少し下の方も御覧いただければと思いますが、英語等の目標の改善例で、三つ目の列でございます。全部アンダーラインを引いておりますが、1点、今回の現行とちょっと異なるところで申し上げますと、まず目標のところには、身近で簡単なことについて、例えば話すや聞くということもございますけれども、先ほど課題で申し上げましたように、物足りなさを感じているという児童がいるということで、例えばこの真ん中の英語の(3)「アルファベットや単語に慣れ親しみ、英語を読むことに対する興味を育てる」。それから(4)でございますが、「アルファベットを書くことに慣れ親しみ、英語を書くことに対する興味を育てる」ということで、読むと書くということを、少しこの五、六年生の発達段階というイメージを持って書かせていただいております。飽くまで初歩的な英語でということでございますが、中学年のその次のステップとして高学年段階で読むと書くということに対してどのような方向性を出していただけるかということについて、後ほど御議論いただければと思います。
 また中学校の場合も、ちょっと続けて、横にずれていただければと思いますが、今現在のコミュニケーション能力の基礎を養うというところから、一番上の段でございますが、「身近な話題についての理解や表現、簡単な情報交換ができるコミュニケーション能力を養う」と。今は基礎を養うということになっておりますが、少し高度化するということをイメージして書かせていただいております。ポイントのとおりでございまして、下の真ん中の方にアンダーラインを引いておりますけれども、ここも「身近な」ということはありますが、話題について話される英語を聞いてということですが、話題について書かれたり、それから自分の考えなどを書くことができるようにするということで高度化を少しイメージした内容にさせていただいております。
 また少し右の方、高等学校の方にずれていただきますと、更に高等学校についても高度化ということで、昨年の実施計画の中には言語活動の高度化の例として発表、討論、交渉という言葉がございました。そういったことも、それから前回までに発表させていただいたスピーチやディベートの活動がかなり活発に行われて成果を上げられているということを前提に、真ん中、上から三つ目の欄でございますけれども、字が細かくて恐縮ですが、それぞれの科目ごとの目標を挙げさせていただいております。「ディベートやディスカッション等の場面において、情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりする能力を養う」ということで、現行から少し加えておりますのが、例えば時事的な話題、社会問題などについてということで、かなり幅広い話題について情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりするコミュニケーション能力を養うということで、高度化に向けた目標ということを御議論いただければと思っております。
 こういった目標の下に、もう少しブレークダウンしまして下の段、4段目になりますが、4技能に係る目標の例、これは一つ「話す」ということでイメージの案をそれぞれの学校段階で挙げさせていただいております。前回の御意見の中にCAN-DOリスト形式の学習到達目標という言葉でございましたが、学習指導要領の中に位置付けるべきであるということと、少し慎重に考えるべきであるという御意見を頂いておったかと思います。それを前提にしながら、ここには目標を前提とした、少し何々ができるという形での、一つの「話す」ということの例示でございますが、これで、それぞれの文言で見ていただくというよりは、この目標の中での行動上のものでございますが、是非これも含めて御議論いただければと思い、挙げさせていただいております。
 ただ、ここについては少し説明させていただければと思いますが、これまで、前回も発表いただいた学習到達目標につきましては各学校において取り組んでいただく、設定いただくということであったと思います。ここに書かせていただいているものは、今の指導要領の下に、目標の中の一部として指導の一つの何々ができるということを明確にしていくという少しの試みとしてお受け止めいただければと考えております。
 次のページに進めさせていただければと思います。恐らく目標をしっかり御吟味いただいた上で、次のページの内容、それから3番目に指導計画の作成と内容の取扱いというところに進んでいただくということもあろうかと思いますが、一旦少し御説明させていただきます。小学校の中学年・高学年、それから中学校・高等学校というところでございますが、目標に合わせて、これもアンダーラインを引かせていただいたところを現行から少し変えさせていただいたものがございます。またポイントも、その目標に沿って一旦書かせていただいております。
 指導計画の作成と内容の取扱いというところも、これも併せてアンダーラインを引いているところは特に今回の、例えば小学校中学年から開始するところ、それから高等学校につきましては高度化ということで詳しめに書かせていただいております。
 なお先ほど、多田委員から御意見がございました、生涯にわたって外国語を学んでいく動機付けということの前回までにも御意見を頂いておりましたので、例えば下から2段目の高等学校の中のポイントの、下から四つ目に書かせていただいております。前回、学校教育法の施行規則でも、もちろんそういった精神が改正時に規定されているという御説明をさせていただきましたが、例えば一つの例として、こういうところをどのような位置付けをしていくのかということも一つの論点に挙げていただいておったかと思いますので書かせていただきました。
 少し説明が長くなって恐縮でございますが、資料3-1の本文の方に戻らせていただければと思います。そういったことを前提に、3番、改善の大きな方向性ということを書かせていただいております。先ほど大津委員からもグローバル化におけるニーズという御意見がございましたが、今、33ページの最初の丸に、目的でございます。目標の前に目的というところでございますが、今まで頂いた御意見の中で、少し簡潔になり過ぎているかもしれませんが、産業界のニーズということも触れさせていただきながら書かせていただいておりますので御議論いただければと思います。
 また、その下の丸も、これまでに頂いた御意見ということで書かせていただいておりますが、例えば三つ目の丸につきましては、児童生徒の思考力、判断力、表現力等を育むために、言語に対する関心や理解を深め、言語に関する能力を育成できるよう、更に言語活動を充実するということと、それから今後、英語教育の充実に当たりましては、学習者が言葉の性質・仕組み・働きを理解することにより、母語の効果的な運用能力を向上させ、更に外国語の効果的運用に必要な能力を伸ばすという観点も重要ということを加えさせていただいております。
 それから続けて、34ページ以降を御覧いただければと思います。これが先ほど御説明してきました小・中・高を通じた目標の在り方の議論の素材ということで御覧いただきたいと思います。少し時間が掛かりますので省略させていただきたいと思いますが、一つのポイントは、小・中・高それぞれの学校間における連携・接続が十分ではない、明確にすべきということを御指摘いただいておりましたので、そういったことを一貫して書かせていただいております。35ページのところを御覧いただきたいと思いますけれども、まず、こちらのA3で御説明させていただいた目標の、先ほどの御説明でございます。小・中・高等学校に一貫した指標の形での教育目標の設定ということで一旦書かせていただきました。現在のCAN-DOリストの形での学習到達目標というのは、学習指導要領に基づきまして、英語の内、何ができるようになるかということで目標を具体化し、それぞれに基づいて指導それから評価を行うことによりコミュニケーション能力を確実に養うということを前提に設定されていると思います。これらは各学校において生徒の学習状況や地域の実態等を踏まえた上で設定するということで、様々な効果も上がってきているということでございましたので、更に活用するというようなことを整理させていただきました。
 ただ、一方で今回お示しさせていただいた目標との関係でございますけれども、こういった学習到達目標の成果なども踏まえながら、今後、国におきまして、これまでの取組を検証しながら小・中・高において達成を目指すべき教育目標を4技能ごとに一貫した指標の形で設定し、その実現に向けて検討を進めるということでまとめさせていただいております。次期学習指導要領の改訂におきましては、教育目標の見直しということがございますけれども、そういったものにも資するというものとして、この4技能ごとの一貫した教育目標を試行的に作成し、現在、今年から始まっておりますが研究開発校などにおける取組を促すとともに検証を行うということも少し詳しめに書かせていただきました。今年から研究開発校、前回までに御説明差し上げました18ほど地域を指定させていただきまして、全てではないのですが小・中・高でこういった取組を始めているところもございます。
 更に35ページ以降は、各学校における学習到達目標を設定する効果ということでまとめさせていただきました。ここは前回までの資料に書かせていただいておりましたので、省略させていただきます。恐縮でございますが、適宜、御参照いただければと思います。
 37ページ以降を御覧いただければと思いますが、ここからがそれぞれの小学校・中学校・高等学校における改善の方向性ということでございまして、ここにつきましては先ほどのA3の方にも連動させて文章化をしているという内容でございますので、恐縮ですがこちらの方も省略させていただきます。
 38ページ、39ページまでが、それぞれの学校段階における改善の例ということでございます。
 なお40ページ以降は、当然、きょうの御議論の中で目標を議論いただきますと指導の在り方とか評価の在り方ということも御意見があろうかと思いますけれども、御意見を頂きながら、指導体制の小委員会の中での専門的な御検討を頂くという範囲になっておりますので、ここからは参考ということで添付をさせていただいております。
 資料3の関係につきましては、少し補足いたしますが、お手元に、先ほど御説明いたしました高等学校の指導要領の解説というのを御覧いただければと思います。附箋を貼っているところを御参照いただければと思いますが、例えば、3ページそれから4ページを御覧いただければと思います。こちらが改訂の趣旨ということで、例えば高等学校の改善の具体的事項ということが4ページの列挙されております。その中でも(カ)を御覧いただければと思います。例えば英語表現1につきましては、「基本的な言語規則に基づいて、様々な場面に応じて適切に話すことや書くことができるようにし」ということで、既に「何々ができるようにし」というような考え方といいますか文言というのは入ってございます。次の(キ)の方も御覧いただけると思いますけれども、英語表現の2につきましても、「スピーチやプレゼンテーション、ディスカッション、ディベートなど、高度なコミュニケーションを行うことができるようにすることや複雑な文構造を用いて正確な内容のまとまりがある多様な文章を書けるようにすること」というような形で、「何々ができる」ということがございます。
 あと、もう一つの附箋でございますけれども、8ページ、コミュニケーション英語3でございますが、ここの目標の中の囲みのところを御覧いただければと思いますが、2行目に、「社会生活において活用できるようにする」というような目標の書きぶりというものも入っております。ただ、全ての目標に、このような整理がされているというわけではなくて、少ないのですけれども何か所かはこういった表現がもう既に現行でも指摘されている、書かれているということで少し御参考ということで御紹介させていただきました。
 長くなって恐縮でございますが、説明は以上でございます。

【吉田座長】  どうもありがとうございました。今の御説明の中でも、特にこのA3の1ページ目のところがきょうの議論の中心になるのかなと思います。今、細かく説明していただいたとおり、ほかの資料を参照していただければ、ここに書かれているものがよりよく理解できるかなと思います。ここにありますのは、先ほど説明がありましたけれども、例えば教科の目標というので現行がこういうふうになっているという、ちょっと色が塗ってあるところがありますが、その前後に今回、こういうような改訂をしてはどうだろうかという案としてここに出されているわけです。
 それではあと、残りの時間をできるだけ有効に使うために、今の御説明につきまして御意見などございましたら、どうぞ挙手の上、御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。
 じゃあ大津委員、どうぞ。

【大津委員】 三つほど申し上げたいのですけれども、まず第1点は、資料のどこを見ていただいてもいいのですが、A3を見ていただくと、「言語や文化」ということが繰り返しでてきます。これはこの会議でも私、何回も申し上げているとおり、日本語の「言語」ということばは曖昧で、個別の、日本語とか英語とかスワヒリ語とか日本手話とかという個別の言語を表す場合と、「ことば」一般ということを表す場合の両方があって、英語教育においては後者がなかんずく重要です。学習指導要領の中でそこまできちんと書くのが難しいのであれば、少なくとも指導要領の「解説」では、その点についてきちんと説明をしていただきたい。個別言語としての英語という世界で閉じさせてしまいますと、そうすると多くの子供たちの母語である日本語やその他の言語とのつながりというものがとれなくなってしまいますから、これは言語教育にとって決定的な欠陥となる。同様のことが文化についても言えますので、そのあたりも御配慮いただけたらと思います。
 2番目はCAN-DOですけれども、前回、学習指導要領の中にCAN-DOという形を入れるというのは反対だと申しました。先ほど室長は「少し慎重に」とやわらかく言ってくださったのですけれども、私は絶対に反対で、それは、例えば今回のA3を見ていただくと、それを反映して「何々することができる」という文言が繰り返し出てきます。CAN-DOですから「することができる」と何か外に見えないと駄目なのです。例えば、「あることに対して関心が持てるようになる」だなんていうのは、これはCAN-DOにはなじまないですね。
 誤解のないように申し上げておけば、私は達成目標が学習指導要領の中で明示的に提示されるということは重要なことで、その点については全く異議ありません。ただ、その達成目標というものがCAN-DOという形にまとめられるものに限定されるというのは、これは教育という行為を矮小(わいしょう)化させてしまう危険があるので、とても注意が必要だと主張しているのです。
 3点目は、前回、私が質問させていただいたことで、中学校・高等学校で授業の展開に関して、中学校に関しては「英語で行うことを基本とする」というふうに「基本とする」という文言があるのに対して、高等学校では「基本とする」というのが欠けているが、これが意図的であるかという質問をさせていただきました。今回のA3では、これ2枚目に当たるのでしょうか、下の方に、中学校の英語についても「英語で行うことを基本とする授業」となっていますので、この理解でよろしいのですねということを確認したい。さらに、私の意見としては、この「基本とする」というところがとても大切で、何が何でも英語で全てを展開しなくてはいけない。先生も生徒たちも全て英語でやりとりしなくてはいけないというようなことはあってはならないことです。その点について確認をさせていただきたいと思います。
 以上3点。

【吉田座長】 ありがとうございました。今の3点につきまして、十分に、ほかの方からの御意見も含めながら議論を進めていきたいと思います。ほかの方で御意見ございますか。
 じゃあ、松本委員、どうぞ。

【松本委員】 私は基本的に、この案に賛成します。平成23年の6月の5提言でもCAN-DOのことが言われておりまして、かつ昨年12月の文科大臣が発表した案の中にもCAN-DOリストのことが、一貫した目標を立てるという形で示されています。こういった流れからして、今回こういう踏み込んだ形で案が提示されたのは大変よいと思います。
 問題は、これをどこに提示するかということです。以前から申し上げているように、学習指導要領の本体に入れ込むことが可能なのかどうかということですね。そうしてほしいという立場なのです。解説の中とか、補遺という形ではなくて「本体」の中に是非入れてほしいと思います。呼び方については大津委員が前からおっしゃっている「学習指標」で構わないと思います。いずれにしても、先ほど室長がおっしゃったように、これに基づいて学校の種別とか地域の事情に応じて、各学校が到達目標を設定するという方向性を打ち出せればよろしいのではないかと思います。
 それから大津委員が心配されている、表出されることしか評価しかないではないかということですが、多田委員がおっしゃったような点も考えると、表出するものを評価する方向に行かざるを得ないと思います。「表に出ないものは能力としてみなされない」という状況もあるということを考える必要があると思います。また、学校で5、4、3、2、1を付けることについては観点別評価があります。そして、関心・意欲・態度も評価対象になるわけで、ここにCAN-DOに表出しないことがないからといって、「シゲルくんがコミュニケーションに対して興味・関心があるどうか」とかいうことを無視するわけではないのです。学校で評価されるわけですから、関心があるどうかということについては、CAN-DOリストに書き込まなくても、評価の点については問題がないと思います。
 ですから、ここ何年かの議論の流れ、それから文科省の指示の下に各県がCAN-DOリストを設定し、活用しているということを考えると、当然、学習指導要領の本体にこういう記述があっていいのではないかと思います。細かい記述に関してはこれから精査するのだと思いますが、基本的な方針としては賛成します。

【吉田座長】 ありがとうございます。
 じゃあ石鍋委員。

【石鍋委員】 今、学習到達目標、CAN-DOの話が出ましたので、中学校現場からの考えを申し上げますと、私も基本的には賛成です。今、中学校の教員がコミュニケーションを意識した授業作りをしようという姿はたくさん見られるようになっていますが、実際に現場を見てみますと、例えば一つの単元を例にとったときに、単元の狙いとしてはコミュニケーションの能力を身に付けると書かれているのですけれども、ゴールの部分、単元の終わりのところになると、なぜか文型とか文法の知識を問うような評価で終わってしまう。そのような現場は確かにたくさんあります。そうなってきますと、やはりこのCAN-DOで示すことによって、教員は、例えばその単元、1単元を通して柱がきちっとしてきて、何々ができるということを目指した授業作りがしやすくなるであろうと考えられます。そのようなことから私はひとつ賛成をしたいなと思っております。
 また、学校の中でCAN-DOを作っていくというのが、やはり学校それぞれ特色がございますので、子供たちの実態に合わせたCAN-DO作りができていくのだろう。これは教師としての責任であろうと思っています。自分たちが目の前にしている子供たちの力をどう付けるか。これは学校の教員が責任を持ってやっていく。各学校でそれができていけば、かなり学校の授業は変わっていくのだろうなと私は期待をしております。
 最後に、先ほど松本委員からもありましたけれども、大津委員からの関心・意欲・態度については、やはり現在四つの観点で評価をしている。その一番初めにコミュニケーションへの関心・意欲・態度というのがあって、その関心・意欲・態度を評価する場面を授業中に設定しなければ評価できませんから、授業を変える非常に大きなポイントだと私は思っているのですね。ですので関心・意欲・態度などは4観点の中で、授業中の学習場面を中心に評価していく。そして外国語表現の能力、理解の能力の部分はCAN-DOなどを生かしながら実際に授業を作っていく、そういった形ができれば中学校としては非常に授業改善が図れるだろうと思っています。
 以上です。

【吉田座長】 ありがとうございました。
 ほかの委員の方、いかがですか。今、中学校が出ましたが。
 大津委員、どうぞ。

【大津委員】 議論をしないといけないと思うので申し上げますが、先ほどの松本さんの話は、松本さんはディベートをおやりになるから、こんなことは言わなくてもお分かりだと思うのですけれども、私の論点を外しておいでである。私が一番問題にしたかったのは、目標設定をCAN-DOという形に限定してしまうことによって、可視化された部分だけ、その能力だけしか評価の対象にならないというのはとても危険だというところです。でもCAN-DOリストを使って評価をするというところが、ここしばらくの流れになっているから当然だというのは、私の反対意見に対する反対の議論にはならない。なるとしたらば、最後におっしゃった、可視化されていない部分も評価の対象となることは、ほかの部分で保証されているのだというだけです。議論のために仮にそうだと仮定しても、目標として明示的に設定されている部分とそれ以外の部分では、当然、学習指導要領を読んだ方の印象も違ってくると思うので、やはり危険です。
 「コミュニケーションに対する関心・意欲・態度」というお話が、今、石鍋さんの方からありましたが、関心・意欲・態度の中で一番根本にある、これがなかったらほかの二つは成立しないというのは「関心」なのですね。コミュニケーションに対する関心。これは見えません。関心があっても、すごく関心があっても、それは見えないことがある。あるいは、ある人がある時間にコミュニケーションに対する関心を持っていました。それが次の、例えば何年かたったときに別の状態になりました。つまり、関心の在り方が変化しました。しかしその変化というのは見える場合もあるだろうし、見えない場合もある。そのときに、見えないところについて、それは評価の対象にしないというのは、教育の在り方からして根本的に間違った態度だろうと思う。コミュニケーションに対する関心というものが正しく評価されるようにもっていかなくては駄目です。その意味で達成目標をCAN-DOという形で矮小(わいしょう)化させてしまうのはとても危険な動きだと考えます。

【吉田座長】  ありがとうございます。
 ほかの方で。
 じゃあ松本委員、どうぞ。

【松本委員】 可視化するということが必ずしも悪いことではないという立場をとりたいと思います。可視化することが悪いとなると、全ての資格試験などを全否定することになります。教育においては、もちろん可視化できることだけでなく、様々な人間性を育むといったような意味で我々は仕事をしているわけですが、その中でこと英語力ということに関して言えば、各段階において代表的な力として挙げられるということを示したのがこの案だと思うのです。これの網羅性、一貫性については、今後更に討議する必要があると思います。これはあくまでも例として、きょう提示されたので、今後、学習指導要領を書かれる人たちがこれを精査していくわけです。
 このことがいいか悪いかは別として、「可視化することで英語力のあるなし」を評価することは絶対的にいけないという立場をとってしまうと、どういう方向に英語教育を引っ張っていくのかというのが分からなくなるのではないかというのが私の一つの考え方です。そして、英語力そのものと学習に対する力とか、そういうものは分ける。あの教室における学習ということと、その人の英語力というのは分けて考えて、学習やコミュニケーションに関する評価・成績については観点別評価があるのだ、という話をさせていただきました。
 それから関心というのは確かに見えない部分が大きいので、それを評価することについては更に研究を進めていく必要はあると思います。これは基本的に関心・意欲・態度の3点セットで考えるべきですし、それについての研究は今までも行われているし、実際に小・中・高の先生はこれで評価をしているわけですから、これ自体を否定してしまうと、「じゃあ今までの評価は何だったのだ」ということになりかねないので、この部分については踏み込むのは今回はやめておいた方がいいのではないかと思います。別の会議で議論すべきことではないかなと思います。

【吉田座長】 ありがとうございます。
 大津さん。

【大津委員】 今の松本さんの意見は、私の考えを必ずしも正しく理解していただいた上のものとは思いません。可視化されている云々(うんぬん)について、私は達成目標を可視化されているものだけに限定してしまうというところに問題があるということを言っているのであって、ですからCAN-DOステートメントに置き換えられるようなものが目標として設定されるのは全てよくないと言っているわけではないのです。大切なことは可視化されない部分も正しく評価の対象になるような立場をとらなくてはいけないということを申し上げているわけです。

【松本委員】 それは英語力に関してですか。

【大津委員】 英語力に関してもそうですし、それから教育に関することだったら私は全てについて当てはまるものだと思っています。
 それからコミュニケーションに対する関心・意欲・態度というのは、それをセットとして考えるというのは結構なのですけれども、ただ関心がないのに意欲・態度があるというのはあり得ないわけです。関心はあるのだけれども、意欲・態度がないというのはあり得るわけで、その意味で関心というのが、関心・意欲・態度という3点セットの中の一番根本にあるわけで、そこのところが正しく評価されるようになっていなければ、これはコミュニケーション能力というものを正しく評価する出発点から間違ってしまうと申し上げているわけです。

【吉田座長】 ちょっと私も一言。今までCAN-DOに関するいろいろな委員会などの仕事させていただいていましたので一言言わせていただきたいと思うのですが、生徒たちが何々に対して私はできるという、Yes, I can.という答えを出すことができると、それによって自信が生まれるケースが非常にある。自信が生まれることによって、更にもっとやってみようという関心とか態度というものが生まれる可能性が非常に高くなる。つまりCAN-DOというのは単なる技術的な問題、可視化された何か一つの技能の問題ではなく、それにYes, I can.と答えることによって生徒自身が自信を持つことができ、関心を持つことができ、そしてそれに対するより肯定的な態度が生まれる可能性が高いというような解釈をしているわけですね。ですからCAN-DOステートメントについて云々(うんぬん)という話をしたからといって、関心・意欲・態度に関して全く無関係なことをやっているわけでは決してないというのが私の考えです。一応、一言だけ言わせていただきたいと思いましたので。
 ほかの方も何か御意見等がございましたらどうぞお願いしたいのですけれども、いかがでしょう。
 じゃあ佐々木さん、どうぞ。

【佐々木委員】 高校の方ですけれども、今、御説明のあったイメージについては、おおむねこういう形に私も賛成しております。ただ、目標のところにありますように、新しく入った幅広い話題ですとか、ディベート、ディスカッションの高度なレベルといったところはやはり小学校・中学校の積み重ねがあって高校でできることなので、そういったところの小・中・高の連携がやはりもっと明確に積み上げていくことが見えると、具体的に見えてくる必要があるかなと思います。
 先ほどのCAN-DOですけれども、私も高校ではCAN-DOが模索しながら浸透しつつありますので、そういう作成については賛成ですが、こういった目標、またイメージが最終的には全ての教員が理解しなければいけないというところでは、全ての教員が同じように理解して、きちっと授業の中で展開できるということの文言、その表現を気を付けていっていただければなと思います。
 以上です。

【吉田座長】 ありがとうございます。
 ほかの方。
 じゃあ多田委員、どうぞ。

【多田委員】 冒頭で私がお話ししたことの繰り返しになるのですけれども、CAN-DOリストということ、これは圓入室長からも使っていただきましたが、評価には定量評価、定性評価があって、やはり可視化できる部分、これは定量的にはいける。ただ、私が申し上げたのは、潜在力とか関心といったものは、私は個人的には非常に重要だと思っていますから、そうした定性評価をどうやって取り上げていくかというのを、ここで御議論いただけないかなということを申し上げたつもりです。例えば定性評価30%、定量評価70%というような一つのベンチマークを作って、それは教科若しくはその地域、先生方の、小学校・中学校でその辺の割合を変えていくとか、そういった評価法の方が実際の現場の先生方にとっては分かりやすいのではないかなと考えております。以上です。

【吉田座長】 ありがとうございます。評価の問題として非常に大事な観点ではないかと思いますが。
 ほかの方で御意見。
 じゃあ安河内委員。

【安河内委員】 もっと現実的な、現場のレベルのお話をしたいと思います。中学校とか高等学校の先生とお話をいたします。そうすると、先生ごとにやっていることがばらばらなのですね。ある先生は例えば受験問題に向けてやる。ある先生はコミュニケーションの中の一部分に特化して授業をする。つまり先生と生徒の共通の目標がないまま、ばらばらに走っているというケースが多いのですね。もちろんコミュニケーションに対する関心のような、気持ち的なものは絶対に重要だと思うし、その部分を評価するというのは大事だと思うのですけれども、やはり具体的なCAN-DOリストのような目標が定まっていないと、みんなが、独自の解釈でばらばらの方向に向かって統一されないまま進んでしまうのです。そのようなケースを多々目にします。そういった意味でCAN-DOリストのような共通の目標があった方が、私たち教える側としてはレッスンプランも立てやすいし、チームワークも構築しやすいのです。単純に現場で働く側からの意見としては、CAN-DOリストのような目標があった方が、現実的には、絶対に便利だというのが私の意見です。

【吉田座長】 ありがとうございます。
 それでは……。
 じゃあどうぞ、お願いします。

【藤村委員】 小学校の方は、今は記述式で評価を実はしているのです。一つ心配なのは、CAN-DOリストという形で表したときに、できるできないということになるので、どうしても教員は、例えばアルファベットを書けるようにするというところに意識が働くと思うのですね。だから今までは子供が、そこに縛りがないので、英語に対する親しみとか楽しみというのをすごく感じていたのですけれども、余りにもそれが強調されると、要するにできるできない。僕はできないというふうに。先ほど吉田座長がおっしゃいましたけれども、自信になればいいのですが。そうすると、ちょっと考えていたのは、小さいスパンで考えていかなあかんのかなと。例えばアルファベットが、読むことが全部できるという、26文字ができるとやってしまうと、26文字を覚えられないという子も出てくるので、各校でというようなことであればいいのですけれども、ちょっと到達目標を高くしすぎないというような工夫が要るなと思いました。以上です。

【吉田座長】 どうもありがとうございます。
 じゃあ安河内委員、どうぞ。

【安河内委員】 大津先生にちょっと質問なのですけれども、大津先生が最初2番目に述べられたことに関してです。「何々することができる」ということに対して異議を唱えられたのですが、目標を設定すること自体は問題ないとお考えですか。「すること」という目標であればよろしいのでしょうか。

【大津委員】 質問の意味がよく分からないのですけれども、最初に申し上げたように、目標をできるだけ明示的に設定するということに関しては異議ありません。ただ、明示的に提示されているものが、「~することができる」、つまり、外から見えるものだけに限られてしまうというのは、これは教育の在り方として決して望ましいものではない、どころか間違っていると思います。

【安河内委員】 ということは、外から見えるものに加えて定性的な評価も加えるべきだという御意見でよろしいのでしょうか。

【大津委員】 加えるというよりも、見えない部分が最初に変化するわけですよ。そして見えてくるところに行くのです。さっき吉田さんが言ったYes, I can.って子供たちが言える、それが自信につながるというのは、私はそのとおりだと思います。だけどそのYes, I can.と言えるようになるまでに内的な変化が起きるわけですよ。Yes, I can.と言えるようになるまで何も起きていないわけじゃなくて、そこは見えないのだけれども心の変化があるのです。だから例えば、自転車に乗ろうとする。小さい子供がね。練習するのだけれども、初めは何回やっても失敗するわけですよね。ところが、ある瞬間、何だか分からないけれどもある拍子に乗れるようになるわけですよね。しばらくの間、全然乗れなかった。やって倒れちゃうのだけれども、その間、何にも変化が起きていないかというとそうじゃなくて、そこは変化が起きているわけです。だけど外からは見えない。それは知的な発達もそうで、外からは見えないのだけれども内的な変化が起き、それがあるところに行ったときに、質とか量とかというのだったら量的なものに変化していく。でもそれは0から1への変化じゃなくて、実際のところは連続的に変化している。そこのところを教育というのは評価しなきゃ駄目です。それは難しいですよ。外から見えないのだから。だけどそこのところがとても大切なのだ。それを忘れちゃったら教育だなんていうのは、私はあり得ないと思うのだけれども、どうもお話を聞いていると、私が間違っているのかなという錯覚すら覚える。私はいま申し上げた考えで教育というものをずっと考えてきたし、そうじゃない考え方というのは、どうしても納得がいかないというのが正直なところです。

【吉田座長】 ありがとうございます。
 髙木委員、いかがですか。今までいろいろございましたが。

【髙木委員】 ほかのことのところで意見があるのですけれども、今、ここではすみません。

【吉田座長】 そうですか。はい。
 じゃあほかの方、どなたかありますか。

【松本委員】 はい。

【吉田座長】 じゃあ松本委員。

【松本委員】 見えない部分を大切にするというのは当然のことだと思うのですが、それをどう評価するかといったときに、評価すること自体おこがましいと私は思います。評価には限界があると思うのです。何か提出されたものとか、活動中の動きとか表情とか、発話内容とか、あるいは筆記テストだとか、何か表に出てきたもので評価せざるを得ないです。学校教育が評価をやめてしまえば、またそれはそれで方法としてはあるのでしょう。ただ、表出したことを評価の対象にしているということと、見えない部分を大切にしていないということとは一致しないと私は思います。間違っていますかね。

【吉田座長】 ありがとうございます。
 ほかの方は何か御意見ございますか。
 一応、今は案の1ページ目、大きな目標についてですが、もちろんきょうだけで全て終わるわけではありませんけれども、おおよそこういうような方向で今進んでいると解釈ください。さらに、この2ページ目により細かくなっていますが、これについても先ほど室長の説明から、まだ詳しいところまではできていないと思いますけれども、多少方向は示されたと思います。もし何か2ページ目の内容についても御質問なり御意見がございましたら、ちょっと細かいですが、何か、どなたかありますか。
 なければきょうはいろいろな御意見が出されまして、多田委員からの御意見もございましたし、それから今までの説明などについてもありましたけれども。
 室長の方から。

【圓入室長】 補足で御説明させていただければと思います。今回、ドッチファイルを使っていただいて申し訳ないのですけれども、実は前々回から、評価の資料というのを送らせていただいておりました。前回、前々回におきましては指導要録の説明のみとなっていたのですが、例えば第5回の方に、真ん中からかなり厚めのもので評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料というのが付いておりまして、これは国立教育政策研究所で、小学校の方もあるのですが、検討してまとめさせていただいたものでございます。通知も出しております。
 1枚おめくりいただきますと、当時のセンター長、はじめにというところに趣旨も書いておりますが、こういうところ御覧いただきながら、少し飛びますけれども、例えば3ページ以降、学習評価の在り方ということで、新学習指導要領と書いておりますが、現行の評価の考え方でございます。そこから、余り時間がないので次、4ページ以降を御覧いただきますと、観点別学習、評定及び特別活動の記録ということの下の、通知を出しておりますけれども、その補足として主な内容と考え方というのを書いております。当然、学習評価における観点ということで、関心・意欲・態度、それから思考・判断・表現・技能及び知識理解に評価の観点を整理して、それぞれ、これは英語に限らずですが評価をするということで、例えば5ページ以降、今の中学生の生徒指導要録のところに定性的という言葉が、正しいかどうかというのはありますが、例えばA、B、Cということで評価を行うということで、これまでも説明させていただいた指導要録の話がございますので、私の説明が十分でなかったのですが、こういった積み重ねの中で、その内の一部として四つの技能の中にどこまでCAN-DO的なものまで取り上げるのかどうかという当然土台があるということを前提に、引き続き御議論いただければ。これは始まったばかりで、23年に出したばかりですので、こういったことも当然御議論、それから評価につきましては「指導体制に関する小委員会」でも御議論の対象に多分させていただくということになりますので、本日頂いた御意見につきましては、是非参考にさせていただきながら次回7月25日にも御意見を頂ければと思います。
 以上でございます。

【吉田座長】 ありがとうございました。
 それじゃあ髙木委員、お願いいたします。

【髙木委員】 今の観点別学習状況の評価を、私は英語についてはほぼ素人だというような観点から申し上げますと、観点別学習状況の評価で、私、一番大事なのは、4観点の内の関心・意欲・態度だと思っています。これはできるできない評価ではなくて、何々しようとしているという、ここが非常に大事なところですので。今、英語に関して言うとCAN-DOということだけで議論がされていますが、全体の中から見ると、この関心・意欲・態度、これは昭和55年の要録の改善通知で関心・態度から変わってきて、変化しながら現在に至ってきています。ですからこの点を一つ大事にするということが重要だと思います。
 あわせまして、少し観点がずれるのですが、これはやりますか。資料4の方はまた話の展開で。次に行きますか。

【吉田座長】 この後やります。

【髙木委員】 じゃあそこで発言いたします。

【吉田座長】 ありがとうございました。
 それでは資料4の方ですかね。英語力の評価及び入試における外部試験活用に関する小委員会の審議のまとめの部分ですね。それについて事務局から御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【圓入室長】 それでは資料4を御覧いただければと思います。先ほど座長から御案内がありました小委員会の審議のまとめでございます。小委員会設置から御報告させていただきましたけれども、2回ほど会を設けていただきまして、一旦まとめさせていただいた内容になっております。
 1ページ目は経緯ということでございますが、ここは省略させていただければと思います。2ページ目が、先ほど申し上げましたように2回開催させていただいた小委員会の内容を書かせていただいております。2ページ目の2番以降、基本的な考え方から小委員会での御議論というものをまとめさせていただいたものになっております。そこから御説明させていただければと思います。
 まず一つ目の丸でございますが、グローバル化の中で総合的な英語力を身に付けることは、まず子供たちが各界で活躍する可能性を大きく広げるということで、一つの重要な要素になっていると。
 そういった中で、次の丸の中で書かせていただいたことでございますけれども、総合的な英語力が向上するということにつきましては、これも御意見がございます。ゴール設定をやはり置くべきだという御意見がございました。世界標準を視野に入れた目標設定を行い、小・中・高を通じてコミュニケーション能力に必要な四つの技能が総合的に育成され、各技能が適切に評価されることが必要ということでございます。
 3ページ以降、これも本当に随分御議論いただいたことですので、今更の御説明でございますけれども、そういった中では当然、小学校・中学校・高校で身に付けた四つの技能というものがございますので、例えば高校の卒業段階、それから大学入試ということを選択される方にとっては、それまでに学んできたことが適切に評価されるということが重要であるということだったと思います。そういった趣旨から、有識者会議の中でも入学者選抜における改善が必要というような御指摘がございましたので、そういったことをここに書かせていただいております。特に入学者選抜における評価の内容や方法、それから中学校・高等学校在学中の4技能を総合的に身に付けるための英語学習や入学後の海外留学といった場面も想定して、これは入学者選抜だけでなくて、ふだんからの英語力の評価というところも含めて、それから海外留学ということを選択される方にとっても活用されるという意味での英語力の評価というものが重要であると。学んだことが、そういったものできちんと連動して信用性を確保されながら評価するということが重要であるということを書かせていただいております。
 ただ、1番御意見が多かったのは、入学者選抜ということでございました。この入学者選抜につきましては当然、大学、高校という教育理念・内容というものがまずあって、そういった方針の下で各大学におきましても、高校は少し違いますが、入学者受入方針というものに基づいて、それぞれの試験を設けていらっしゃるということでございますので、そういったものを踏まえながら、既に広く認められている資格・検定試験を活用するということに意義があるということをまとめさせていただいております。
 さらに、その資格・検定試験を活用する際につきましては、有効性と課題というのがまだまだあるということで、そういったものを明確にした上で、生徒さん、学生が自ら主体的に学び、英語によるコミュニケーション能力向上を図る一つの客観的な指標として、4技能をバランスよくはかることができる効果的な試験を活用するということではどうかということでございます。
 御意見の中で、資格・検定試験の有効性、それから課題というものが挙げられておりますが、まずは4技能の総合的な測定が可能かどうか。それから試験の一貫性。実施可能性の確保。続けて生徒・学生の学習への動機付けとなるか。これも生涯にわたっての学習の動機付けという御指摘もございました。
 また、「聞く」「話す」を中心に教員の指導改善の手段ともなるのではないかという有効性の明確化というのはまだまだ必要だということだと思います。
 それから資格・検定試験の課題ということでございますが、様々な試験がございます。目的、それから難度、それから換算方法ですとか受験環境、実施場所、実施時期、それから受験費用というような課題を、それぞれありますけれども整理をして確認しておいた方がいいのではないかということでございます。
 こういったものを踏まえながら、生徒・学生の意欲・適性を含めた多面的・総合的に評価される仕組みですとか、それからこれが、繰り返し御指摘いただきましたけれども、単に英語力のテストの点ということで評価されるだけではなくて、人間性を養う重要な時期に、こういった例えば高校生の方が試験を何度も目的化して受けるということがないように、その生徒やその学生さんの生活の意義も踏まえた、例えば実施時期についての検討、これは留意事項にも入っておりますが、必要であるというような御意見を頂いております。こういったいろいろな御意見を踏まえながら、更に具体的な方策として現段階でまとめさせていただいたものが4ページ以降ということでございます。
 (1)資格・検定試験の活用・促進というところでございますけれども、まず前提として、活用におきましては学習指導要領に沿って中学校・高等学校卒業時までに学習した4技能が総合的に育成されているという観点から適正に評価するということが必要ということを書かせていただいております。まず、この大前提のその観点から、英語力を客観的に評価するために、例えば国による資格・検定試験団体と連携した生徒の英語力調査を進めるということ。それから2番目でございますけれども、そういった試験の内、CEFRとの関連を考慮しつつ、一つの観点としては国際的に広く受けられている試験、それからもう一つは国内で開発され広く受けられている試験、様々な目的や難度ということ、レベルという話をさせていただきましたけれども、そういったものを基本としては入学者選抜だけではなくて在学中の英語力の評価に積極的に活用するということを促進するということにさせていただいております。
 それから、こういったいろいろな試験があるということでございますけれども、これは後ろの、10ページの方に主な資格・検定試験という一覧表を付けさせていただいております。これを適宜、御参照いただければと思いますが、こういったもののそれぞれ独自に各試験団体さんが英語力の測定の方法ですとか、それからいろいろ活動されておりますけれども、情報公開ということもございますが、それぞれにやっていらっしゃるという中で現状や課題というものがあると先ほど御指摘させていただきました。早くこういったことを把握・分析し、結果を活用するということが生徒さんの学習意欲を喚起するということと教育の指導改善に生かすということにつなげるものを具体的方策として提案をさせていただいてはどうかということとなっております。
 5ページ以降に列挙させていただいております。まず一つ目の具体的方策でございますけれども、先ほど申し上げました大学等の入学者受入方針との整合性を図ることを前提に、各、例えば大学の入学者選抜における資格・検定試験の活用を奨励すると。このためでございますが、例えば具体的な活用方策として後述で書かせていただいておりますが、協議会(仮称)を設けさせていただいて、大学入試センター試験や各大学の個別学力検査の成績と資格・検定試験の結果を公正に比較して換算する方法などを検討すると。この換算する方法以外にも様々な取組が考えられるのではないかということで、下の5ページの後段の方に書かせていただいております。小委員会におきましては、本日、申し訳ございません、添付されておりませんが、安河内委員からも換算表のイメージということで資料も御提出いただいておりますので、そういったものを参考にしながらということを書かせていただいております。今現在、例えば大学の方で活用されている方法といたしましては、例えば出願要件ですとか、いわゆるみなし満点ということで、これは安河内委員からも御提案がありました換算の在り方。それから点数加算というのもございましたし、基準点を設ける方式で、これだけの点数をクリアしないと次の試験に進めないというような方法もございますし、又はAO試験なども、推薦試験なども含めまして判定優遇という様々なやり方があるということがございましたので、そういった資料も御用意しておるのですが、きょうは省略させていただいております。そういったものを踏まえながら協議会の中で検討するということを最初に書かせていただいております。
 それから併せてということでございますけれども、協議会におきましては、例ということで書かせていただいておりますが、具体的な指針と、その有効性、留意すべき点ということを指針ということで検討していただき、お示しをすると。その上で、先ほど申し上げましたように試験の活用を奨励するということで例示を列挙させていただいております。
 次の丸でございますけれども、この資格・検定試験、それぞれで御提供いただいているということでございますが、客観的な質保証を図る観点から、これから推進するに当たりまして資格・検定試験が、例えば学校において適切かつ効果的に活用されるための環境整備の一環としまして、大学、高等学校、中学校の関係者の方々、それから資格・検定試験の関係団体、それから専門家の方々が参画する協議会、先ほど後述ということで説明いたしましたけれども、そういった協議会を設置しまして、次期学習指導要領の改訂までに、次のページでございますが、一定の方針として、前にお示ししましたような指針のようなものをこういった中で検討いただき、それから国際標準となっているCEFRとの関係も考慮した4技能を測定する試験としての妥当性に関する検証を行うといったことですとか、それからそういった結果を世の中に対して情報発信をしていただくということをスピード感を持って行うべきであるという御意見が多ございました。
 それから次の丸でございますが、今現在、中央教育審議会の中で、高大接続部会、検討が進められておりますけれども、その中で達成度テストについての検討が続いておりますが、こういった中にも試験の活用ということが英語を例示しながらございます。その検討を行う際には、前日の協議会のような取組を含めましてそれらを参考に、その活用の在り方について検討することが望まれるということも書かせていただいております。
 さらに、資格・検定試験を活用するということにつきましては、様々な奨励策を推進するということで三つほど書かせていただいております。一つは、今現在、大学や高校でも活用・導入しようとするというものがございます。そういったものに対する支援、それから事例を余り御存じないというような状況も頂いておりますので、情報提供して普及をするということ。それから次にスーパーグローバルハイスクール、その次のスーパーグローバル大学ということで、文部科学省のいわゆるグッドプラクティスとなるような取組というものをスタートしておりますけれども、その中で入試改革の観点から積極的に活用を推進するということも書かせていただいております。
 最後に(2)でございますが、1回目のときに、英語教師の竹岡様からもヒアリングさせていただきましたけれども、そこでは様々な大学の実際の試験の問題がどうなっているかということを具体的に挙げながら課題を提起いただきました。それを踏まえて書かせていただいているところもございますけれども、大学及び高等学校の入学者選抜における学力検査等の在り方の改善ということで、今現在学習指導に沿った英語の4技能を総合的に評価する学力検査等というものを奨励するということは申し上げましたが、なかなかそういった試験というものが少ないと。中には、例えばライティングにつきましても、それからリーディングにつきましても、かなり様々な課題を抱えているものがあるというようなことがございました。こういったものを前述の協議会、申し上げましたけれども、そういった場などにおいて在り方の調査、それから分析というものを行いまして、得られた結果などを各学校において活用が図られるよう広く情報発信を行うというようなことも提案として入っております。
 以上が本文の方になるのですが、次のページ、7ページ以降を、それを基に概要ということで御用意させていただいております。基本的な考え方から、後段の方は活用の状況ということの数字でございます。
 次のページ、8ページでございますが、その具体的方策、御説明いたしましたものを1枚にまとめさせていただいたものがございます。更に9ページ以降でございますが、別紙といたしまして、実際にふだんからの英語力向上における活用例とその入学者選抜試験における活用例というものを例示として挙げさせていただきました。
 10ページからは主な英語の資格・検定試験の概要ということでございますが、11と12ページは御提言の中に提案にありましたようにCEFRとの関係ということを頂いておりますので、その参考資料。12ページには各試験団体の方から情報提供いただいております、公開になっている、それぞれの団体さんが行う試験の難度といいますか、CEFRとの関係という意味での対照表というものをまとめさせていただいたものでございます。ただ、これはそれぞれの団体さんが発表されているものということですので、提言の中では今後、このCEFRとの関連付けというものを検証するといった取組が考えられるのではないかということで位置付けさせていただいておりますので、御参考資料として添付させていただきました。
 御説明につきましては以上でございますが、これを更に次回以降、最後の取りまとめに向けて有識者会議でも御意見を頂ければと考えております。以上でございます。

【吉田座長】 ありがとうございました。
 今の御説明に関して御意見、御質問などございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。
 じゃあ大津委員、どうぞ。

【大津委員】 二つほど伺いたいことがあるのですが、資料の5ページの冒頭に書いてあることで、これはとても慎重な言い回しなので慎重に理解しなきゃいけないと思うのですが、「各大学等のアドミッション・ポリシーとの整合性を図ることを前提に、各大学の入学者選抜における資格・検定試験の活用を奨励する」とありますよね。第一に聞きたいのは、これは全ての大学、さっきスーパーグローバル大学だなんていう話も出てきましたし、それから「ハイエンド」だなんて言葉も出てきましたけれども、そういう大学だけじゃなくて、日本における全ての大学について、ここに書いてあることを当てはめようと意図されているのかということを知りたいというのが第1点です。
 2点目はCEFRが、ここだけじゃなくてきょうの会議の中でも何回か出てきましたが、CEFRは御承知のようにヨーロッパという特定の環境における複言語主義というものを前提にして作られたもので、それを日本の英語教育、言語教育に当てはめるというか応用するというか、ということであれば、それはそれなりのアダプターというものを付けなくてはいけないと思うのですけれども、そのあたりの配慮というものは十分になされているのかという2点を伺いたいと思います。

【吉田座長】 それじゃあ事務局から、これはお話ししていただいた方がいいのかな。

【圓入室長】 小委員会の先生方もいらっしゃるので、後ほど御意見があれば補足していただければと思いますが、1点目につきましては、全ての大学に当てはめるという前提での御議論ではなかったと思います。最後の方に便宜的にCEFRとの対照と書かせていただきましたけれども、別の会議でも御報告いたしましたように、例えば高校生の英語力でございますが、例えば英検の試験を活用させていただいて、文部科学省でも調査させていただいております。例えばこのA2というところに7割ぐらいの方がいらっしゃるというようなこともございますので、例えばTOEFLの方を見ていただきますと、A2のバンドで見ますと空欄になっておりますけれども、必ずしも全ての例えば高校生に当てはめられるような状況ではないということも認識しております。また、そのアドミッション・ポリシーというのを書かせていただいておりますが、各大学におきましては、それぞれの入学者受入れの方針に基づいてTOEFLを選択されるのか、英検を選択されるのか、又はそのほかの団体さんの試験を活用されるのか、独自に今、試験も用意されていますから、その大学で4技能をはかるものを介されるというのもございますでしょうから、そこはそれぞれの入学者の選抜方針ということをまず前提としてという動きに基づいてまとめさせていただいております。
 2点目でございますが、CEFRとの関連付けというのは、確かに専門的にはすごく難しいということも伺ってはおるのですが、例えばということで、何らかの一つ柱、軸というもので、こういった対象となる各学校でも活用されるときには参考にできるような軸というものが一つあったらどうかということでの御提案ですので、これからまず関係者の方に集まっていただいて、CEFRのアダプターとおっしゃいましたけれども、それだけにとどまらず、いろいろな方法について関係者の方が広く集まって御議論できる場が協議会という形で設定させていただけたらどうかということでまとめさせていただいております。
 以上でございます。

【吉田座長】 ありがとうございます。
 ほかの方。
 じゃあ大津さん、どうぞ。

【大津委員】 簡単に話させていただきます。最初の点についてはよく分かりました。大学の関係者の1人として、全ての大学にこれが当てはめられるということになると、対応できない大学というのも現実として出てくる。しかもその数はそれほど少なくないだろうと考えています。だからこの文言ですと、最後の「活用を奨励する」という部分の運用を是非慎重にお願いしたいというのが1点です。
 それから2点目のCEFRについては、やはりCEFRを安易に日本の場合に当てはめるというのはとても危険なので、そういう傾向が私は見られると思っていますので、是非そのあたりは今後慎重にしていただきたいなと要望いたします。
 ありがとうございます。

【吉田座長】 ありがとうございます。
 ほかの方、どなたか御意見、御質問。
 じゃあ松本委員。

【松本委員】 今の「奨励する」というところを慎重にという点なのですが、前回の小委員会での会議においては、もう少し突っ込んだ話も出ていたと思います。8ページの具体的方策の最後の丸になると思うのですが、小・中・高一貫だけじゃなくて大学も入れた一貫した英語教育を考える上で、やはり現在、竹岡先生が御発表されたように、国公立大学の個別入試に多くの問題点があるということが小委員会で討論されました。この最後の丸のところに、「英語については、少なくとも国公立大学の個別入試において廃止ということも視野に入れた議論をすべきである」ということまで小委員会では議論したはずですので、それを是非入れてほしいと思います。

【吉田座長】 ありがとうございました。
 ほかに御意見なり。

【大津委員】 すみません。

【吉田座長】 じゃあ大津さん、どうぞ。

【大津委員】 今、松本さんがおっしゃったことが本当なのだとしたら、これはとても大きな論点なので、ちょっとほかの委員の方もそれで正しい理解なのか確認いただけますでしょうか。

【安河内委員】 はい。

【吉田座長】 じゃあ安河内委員。

【安河内委員】 将来的には、国立二次試験とセンター試験の英語科目の全廃を目標にして進めていくということは、議論の中で確かに出ていますので、事実です。

【吉田座長】 私も、事実その話はちゃんと出ています。問題は今、松本委員がおっしゃったように、これは現状における大学だけの問題ではなくて、小・中・高の英語教育の改善の上にのっとった大学の入試の問題という捉え方をしているわけですね。ですからもちろん今現状の話をすると、大津委員がおっしゃっていることはそのとおりだと思いますが、それをどう改善していくかということを考えた上での御提案と私は理解しております。
 じゃあ安河内委員。

【安河内委員】 大津先生が言われた、大学のレベルに関してお話しさせていただきます。ハイエンドだけではなくてという話なのですけれども、たしかに現在ある4技能試験の大きな問題点は、全て難度がかなり高いということなのですね。ハイエンドでない多様な大学で使用できる4技能試験というものの開発が遅れているというのが非常に問題視されてきました。しかし今、英検協会をはじめとする、様々な試験機関に要請をして、中学生ぐらいのレベルから4技能スコア型で評価できるような、そういった資格試験の開発が進んでいます。関係各所に聞くと、そういうことが近く実現されるだろうという確信が持てます。つまり多様なレベルの4技能試験の開発が急ピッチで進んでいる、ということを一言付け加えさせていただきます。

【吉田座長】 ありがとうございます。
 ほかの方も何か御意見とかございますか。
 じゃあ髙木委員、どうぞ。

【髙木委員】 今の議論とは少し観点を変えてよろしいでしょうか。1回目のこの会議の折に、この冊子の中に入っておるのですが、平成27年度大学入学者選抜実施要項というのが、これは高等教育局からのもので出ております。実はこの中に調査書という欄がありまして、ここには、英語に限ったことではないのですが、観点別評価が入らないのですね。それで、今現行では観点別評価を行っていますし、それからここに実は、この1番の問題は評定平均だと思うのです。各教科の評定平均というのがあって、実は高校の現実で申し上げますと、評定平均があるために、平均値を出したり、A、B、C、Dに割り振りを高等学校では行っています。言い方を変えれば学習到達目標、先ほども出ていた形で、全員が到達することが目標になったときに割り振りをするというのは、現行の指導と評価の一体からするとおかしな論になってくるのが、この評定平均という形で大学入試の調査書にいまだに残っているのですね。これは昭和40年代からずっとあるものであって、こういった評価を考えるときに、是非この大学入学者選抜実施要項の中の調査書の在り方そのものを変えていきませんと、現実の授業の在り方にかなり大きな影響を与えていると。ここを是非、高等教育局と初中局とが評価の観点のすり合わせをしていただきながら考えていかないと、せっかくこういった議論をしながらも、最後は内申書の問題になってしまって、現実は点数の割り振りになっていくという。先ほどのCAN-DOと併せそうなのだけれども、できるようにしてあげたいとか、何とかみんなができていくのだけれども、この調査書によって現実は平均点で割り振りをさせられてしまっているという状況がありますので、是非この辺も、指導要録にはない項目が、この評定平均という形で出ておりますので、整合性をとるような形で何とか検討をしていけたらいいなと思っております。以上です。

【吉田座長】  ありがとうございます。非常に大事な点だと思いますし、これは入試のような一時的なテストの問題よりももっと根本的な問題なので、これについても是非何らかの、どっかの機関で検討する必要があると思います。
 時間もほぼなくなってまいりましたけれども、先ほど申し上げましたように小・中・高等学校を通じた英語教育の目標の在り方について、本日、皆様から頂いた御意見を踏まえて、その論点の整理を事務局の方でしていただきまして、次回は更にこの議論を深めていきたいと思います。
 何かあった? ごめん。

【松本委員】 次回、欠席するので、気になっていることが1点だけお願いします。大きなポイントなので。

【吉田座長】 はい。

【松本委員】 今まで英語科、外国語科、国際科といった普通科ではない科の英語教育について全く議論されていません。学習指導要領解説の第2部に英語編というのがあって、総合英語、英語理解、英語表現、異文化理解とかいろいろ科目が並んでいるのですけれども、これについては前回の学習指導要領の改訂作業のときにも十分に議論されたという覚えがないものですから、今回議論すべきではないかなと思います。コミュニケーション英語1については必履修という形で普通科と同じような扱いにして、あとは各学校で、それぞれのニーズに応じ学校設定科目を可能な範囲で考えていただくといったようなことを、次回私は欠席しますが、是非議論していただければと思います。

【吉田座長】 ありがとうございます。今の御意見もちゃんと記録にとっておいて、次回、議論をしたいと思います。
 それじゃあ今頂いた意見も含めて、事務局の方で整理をしていただきたいと思います。
 それでは今後のスケジュールについて事務局から説明をお願いいたします。

【圓入室長】 それでは議事次第の一つとじになっている資料の最後のページを御覧いただければと思います。資料5ということで、1枚47ページ目にございます。今後のスケジュールでございますが、先ほど次回の話がございましたけれども、8月8日金曜日で1時から3時ということで、場所はいつもと同じように3F1特別会議室のこちらになります。
 それから、その前になりますけれども、指導体制に関する小委員会、第2回、第3回ということも設定させていただいておりまして、こういったのも並行させていただきながら8月、9月に今後のまとめに向けた御議論も頂きたいと思っております。
 以上でございます。

【吉田座長】 ありがとうございます。
 本日はこれにて閉会といたします。お忙しいところ、まことにありがとうございました。

お問合せ先

初等中等教育局国際教育科外国語教育推進室

(初等中等教育局国際教育科外国語教育推進室)