育成すべき資質・能力を踏まえた教育目標・内容と評価の在り方に関する検討会(第12回) 議事要旨

1.日時

平成26年2月25日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. これまでの議論を踏まえた論点整理(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

安彦座長,無藤副座長,天笠委員,市川委員,奈須委員,西岡委員,松下委員,村川委員,吉冨委員

文部科学省

前川初等中等教育局長,義本大臣官房審議官,塩見教育課程課長,大金教育課程企画室長,橋田教育課程企画室専門官
勝野国立教育政策研究所教育課程研究センター長,西辻主任視学官

5.議事要旨

(1)これまでの議論を踏まえた論点整理(案)について,事務局より説明があり,その後,意見交換が行われた。

【委員】 まず学力論があり,その後目標論,内容論,方法論,評価論という流れを踏まえた目次構成となっており,前回よりもすっきりした印象がある。

【委員】 論点整理(案)の対象は誰を想定しているのか。ホームページ等で公開する場合は一般の方も読むことになるが,字句や表現が難解である。また,様々な学校現場でも読まれることを考えると,(1)や(2)の下の丸を通し番号(丸1丸2丸3・・・)にした方が,議論の際に有効ではないか。

【委員】 今後検討すべき課題が余りにも多い。文末が「必要である」や「すべきである」,「重要である」,「求められている」という形の文章がほとんどであり,本検討会においてもう少し絞るべきではないか。

【委員】 多くの資質・能力観が挙げられているが,交通整理が十分になされていないため,読み手が困ってしまう。原案では,本検討会の議論がどこに集約されていくかが見えにくい。本報告書の読み手とその性質について,改めて確認したい。

【文部科学省】 論点整理(案)については,2ページの一つ目の丸に記述しているとおり,今後,教育課程の改善の検討を行う際の基礎的な資料等として活用されることを想定している。この前提において丸,御発言いただいた内容等をしっかりと盛り込み,検討の際の基礎的な資料として活用してもらいたいという座長の御意向も踏まえ,委員間で一定の合意が得られた事項については本文に書き,見解の異なる意見等についても「主な意見」として枠囲みした中に掲載するという形で整理している。

【文部科学省】 論点整理(案)は,関係者はもちろんのこと,一般の方にも読んでいただくことを念頭に置いている。

【委員】 目次の整理は全体として良くなっている印象であるが,本来一つの象徴的なキーワードになるべき「カリキュラム・マネジメント」がまだ浮かび上がっていない。3で育成すべき資質・能力と目標論・内容論との関係について,4で学習評価・教育方法との関係について整理するならば,その並びで学校経営・学校運営との関係についても柱を立てる必要があるのではないか。目標や内容,方法についてはこれまでも様々に展開されてきているが,それらを学校という組織体としてマネジメントし,授業や教育活動の中になじませていくことが現在の課題となっている。よって,例えば5と6の間に「資質・能力と学校運営の関係」というような柱を設けて,その中でカリキュラム・マネジメントなどについても触れてはどうか。前回の中教審答申では,PDCAサイクルの確立についても言及はされているが,観念的なレベルにとどまっており,現場にその内実が伝わっていない。より踏み込んだ内容にする意味では,例えば,(1)をカリキュラム・マネジメント,(2)を学校評価という構成にすべき。文部科学省で行われた学校評価のフォーラムでも,学校評価の「地域との関係作りのツールとしての側面」ばかりが重視され,本検討会で議論しているような「カリキュラム・マネジメントの一環として学校評価」という側面が弱いように感じた。この観点からも,学校評価を独立した章立てにするよう検討いただきたい。

【委員】 私も同様に,5と6の間にカリキュラム・マネジメントの内容を入れてほしい。今回の学習指導要領改訂においても,育成すべき資質・能力を学習指導要領の中に何らかの形で組み込めないかという議論が行われたが,もしそれが示されたとしても,最終的には各学校において,児童生徒や地域の実態と育成すべき資質・能力とを踏まえて学校としての具体的な目標を設定し,その実現のための指導内容や指導方法,具体的な授業の展開と評価の在り方を一体的に捉え,PDCAサイクルを回していかなければならない。このサイクルが機能しないことには,学習指導要領を改訂しても,学校の門や教室の扉までしか届かない。資質・能力を大事にした教育課程を作ってほしいという点だけでなく,最終的にそれを考えて実行するのは各学校であるということも明記していただきたい。資料1の49ページには,「カリキュラム・マネジメントを促進する資料を国として作る」ということが書かれているが,これをもう少し前面に出し,例えば,5の次に6を立てて,カリキュラム・マネジメントに関連する項目を分けるなど,目次にも分かるように工夫してほしい。

【委員】 4(2)として「最近の教育課程編成や教育評価の理論と実践」というタイトルがついているが,書かれている内容は実質的には教育目標・内容の構造と学習評価の対応についてであり,タイトルを変えた方がよい。

【委員】 6を設けるという意見について,同意したい。用語としては「カリキュラム・マネジメント」か「教育課程編成」かなどの検討が必要ではあるが,分けて記述した方がよい。また,49ページの二つ目,三つ目の丸や,45ページの三つ目の丸にある「ミクロな設計とマクロな設計を往復させる」という記述も,カリキュラム・マネジメントに関係する内容といえるため,6に入れた方がよい。そもそも,「逆向き設計」論自体がカリキュラム・マネジメントの一つの理論であるため,教育課程編成の方に入れた方が適している印象がある。

【委員】 カリキュラム・マネジメントについては,柱を立てるほどの議論を行ったかという懸念があったが,今の御意見を生かし,目次構成においてもはっきり出す形としたい。

【委員】 2ページに,「国立教育政策研究所の学習指導要領実施状況調査」とあるが,これはこれまでの「教育課程実施状況調査」のことか。

【文部科学省】 従来は「教育課程実施状況調査」という名称であったが,現在は,「学習指導要領実施状況調査」という名称で実施している。

【委員】 学習指導要領では,各学校における教育課程編成については言及されているが,教育委員会の役割については一切触れられていない。教育委員会の役割についてはどのように考えればよいか。

【文部科学省】 市町村は設置管理者として教育課程に関する指導を行っており,都道府県も方針を示すなど,教育課程行政に携わっている。本論点整理(案)の中では,論点が拡散する懸念から,教育委員会の役割や位置付けについては触れていないが,全体の整理の中で触れる必要があるということであれば,御議論いただきたい。

【委員】 各学校におけるカリキュラム・マネジメントの重要性を強調するのはよいが,実際問題として,大抵の公立小中学校のカリキュラムの在り方を決めるのは,教育委員会の役割が非常に大きい。予算や人員,時間割編成等々について,実際にはほとんど教育委員会が決めているケースも多い。この点についても,本検討会には限らないが,どこかで議論を整理する必要がある。

【委員】 新たに6にマネジメントに関する項目を設けるという議論があったが,その流れでいくならば,教育委員会の役割については,その他の中に位置付けるか,あるいは各学校に対する指導,行政面という意味でもう一項目立てるかということになる。ただし,時間的制約もあるため,その他の中で教育課程行政の在り方についても言及するという組立てになるのではないか。

【委員】 52ページの6(1)でもカリキュラム・マネジメントについて言及されており,三つ目の丸に「教育課程行政」と極めて遠慮がちに書いてあるが,学校運営やカリキュラム・マネジメントを項目として立てるのであれば,教育委員会の果たす役割についても併せて書くことが必要。カリキュラム・マネジメントを促すという意味においては,教育委員会の役割も大きいと考えられる。小さな市町村ほど,教育長の見識や学力観,教育観が大きな影響を与えている。教育委員会の議論は別途行われているが,小中学校における市町村の教育行政の果たす役割は,資質・能力に着目した教育を進める上でも大きいといえる。

【委員】 これまでに提言された資質・能力の代表例として列挙されているが,現行学習指導要領においてそれを明示したのが「総合的な学習の時間で育てようとする資質や能力及び態度」である。これまでに示された法令や学力観,生きる力,学士力などの資質・能力以上に,現在の学校現場において理解され活用されている学力観であるため,どこかに明記する必要がある。

【委員】 12ページに「統合的・文脈的アプローチ」に関する記述があるが,例えば,縦軸に統合的と要素的,横軸に文脈的と脱文脈的というふうに象限を分けて考えたとき,「要素的・脱文脈的」「統合的・文脈的」という二つの象限を取り出すと,残り二つの象限についてはどう捉えたらよいか。「統合的で脱文脈的」や「要素的で文脈的」ということは考え得るのか。

【委員】 現在の教育学におけるコンピテンシー概念は,経営学の概念がルーツになっているが,経営学のコンピテンシーと教育学的なコンピテンシーは理念が異なるということを明確にするため,「要素的・統合的」,「脱文脈的・文脈的」という対比を行っている。コンピテンシーは,職業人養成をルーツとした概念ではあるが,DeSeCoのキー・コンピテンシーは様々な観点から検討された,より豊かな概念になっている。私個人としては,「要素的・文脈的」や「統合的・脱文脈的」という組合せは考えていない。「統合的」とは,資質・能力を要素として取り出すのではなく,望ましい学習活動,教育活動という文脈の中で育んでいくという考え方を意味している。

【委員】 用語はともかく,ここで言う「要素的・脱文脈的アプローチ」の必要性については,既に学習指導要領改訂の理念の中にも入っていると理解している。平成20年1月17日の中教審答申において「車の両輪」という表現が用いられているように,習得とは必ずしも要素的なものだけではなく,基礎的・基礎的な知識・技能の習得が活用や探究の中で使われて,また習得に戻るというサイクルが大事。全体としては「統合的・文脈的アプローチ」と呼んでもよいが,部分的には要素的・脱文脈的な習得も必要になる。例えば,中学の英語教育であれば,活動という文脈を通じて身に付けるとしても,個別の単語のスペルの暗記がなければ成り立たない。統合的・文脈的アプローチを重視しながらも,部分的には習得や要素的な学習活動が必要であるというように,両面に配慮した言い方をすべき。

【委員】 現行学習指導要領の作成に関わった立場としては,統合的・文脈的の方に引っ張りすぎると,いわゆる「ゆとり教育」として批判を受けた前学習指導要領において,思考力ばかり強調された時代に後戻りしてしまう危惧がある。現行学習指導要領は,基礎・基本と思考力等とのバランスを重視し,思考力に重点を置き,こちらに重点移動をすることが大事という考え方に基づいている。このとき,「転換」という言葉を用いると,基礎・基本から足を離してしまう懸念があったが,両方を押さえつつ,思考力の方に重点を置くという方向性で改訂してきた。今回の論点整理(案)において,この流れを前に戻すようなイメージを与えるのはよくない。確かに,統合的アプローチは習得を強める効果があるが,発達的な観点からは,特定の時期に脱文脈的な学習が必要なこともある。脱文脈的な学習を価値のないもののように位置付けるのではなく,部分的な重要性を示しておきたい。

【委員】 個別の知識やスキルを教えることの重要性を否定しているわけではなく,それらを27・28ページに書かれているような「重大な観念」や「本質的な問い」と結び付けて教えることが必要と考えている。統合的・文脈的アプローチが個別の知識やスキルを軽視しているということではない。

【委員】 今の議論は,12ページの最初の段落にも書かれているように,「コンピテンシーなどの汎用的な資質・能力の育成は統合的・文脈的に取り組もう」という議論であり,領域固有知識の学習という議論とは異なる。かつて,資質・能力の育成は純粋に形式陶冶的・脱文脈的に行われるという信念があり,いわゆる「ゆとり教育」の初期にもそうした誤解があったが,現在の学習科学の成果としては,汎用的な認知スキルや意欲などを含めた資質・能力は,個別的な領域固有知識の習得なしにも育成可能であると考えられている。すなわち,領域固有知識の学習と併せて,文脈的に学び取ることが重要ということであり,要素的な領域固有知識は領域固有知識として,資質・能力は資質・能力として分けて学ぶというような相反関係ではない。資質・能力の育成と個別のコンテンツの学習を分けて行うという誤解を避けるためにも,丁寧な説明が必要。

【委員】 28ページに「本質的な問い」や「重点的指導事項例」といった用語が使われているが,特に「重点的指導事項例」については,今までの使い方と異なるため別の語に変えた方がよい。「重点的指導事項例」を転移可能な概念や複雑なプロセスを指す用語として使うこと自体は構わないが,平成20年の中教審答申の中では,この語は「基礎的・基本的な知識・技能の一層の習得を促す」という意味で用いられていた。単なる用語の問題ではあるが,違う言い方にした方が混乱しない。

【委員】 「統合的・文脈的アプローチ」について,22ページの下から二つ目の丸に「なお,今後求められる資質・能力を育成していく上で留意する必要があるのは,こうした資質・能力は,個々の教科等の目標の達成に向け具体的な内容を学ぶ『統合的・文脈的アプローチ』を通じてこそ,効果的・効率的に育成される」という記述があるが,全体と部分の関係が引っ掛かる。例えば,フィギュアスケートでは,演技全体を成立させているのは個々の技であり,それらが更に小さな技やコツによって構成されている。全体を成立させるためには,個々に目を向けて砕いていくこともまた必要であるため,「こそ」という表現は言い過ぎている。趣旨としては,資質・能力の育成は「最終的には様々な文脈に即して資質・能力を統合的に発揮できるように行う必要がある」というように,表現を工夫することが必要。

【委員】 この修正は,文の調子を弱めればよいか,それとも,個々の能力をきちんと押さえるという一文を加えて,バランスを取った方がよいか。

【委員】 これまでの経験から,分析的に具体化していく作業を止めると思考停止に陥る危険があるため,両方を含めた記述にした方がよい。例えば,関西大学初等部では,思考スキルの研究として,スキルを細かく砕き,それを「シンキングツール」を用いて育てるという研究を行っている。細かなものを深めた上で,最終的にはトータルとして状況に応じて存分に発揮できるということが必要であり,両方のバランスを取った誤解のない記述とすべき。

【委員】 22ページの一番上の丸について,「以上を前提に」という一文に続き,ア,イ,ウ,エと並んでいるが,これらはいずれも大事であり,その上で,全体の構造化として「統合的・文脈的アプローチ」によって方向付けるということであるため,ア,イ,ウ,エの部分に何らかの構造化を想定した表現があるとよい。

【委員】 上から読み進めていくと位置付けが分かりやすいが,段落で区切れているため,単独で読むと一面的に見えてしまう。全体の流れとともに,関係性を示すような文言を入れた方がより明確になる。

【委員】 総合的な学習の時間について,6ページに記載すべきと考える。「生きる力」の理念の最後の丸に「平成20年の中教審答申の検討過程では,育成すべき資質・能力を踏まえた教育課程の構造についても議論が行われたが,諸般の制約により十分な成果を得るには至っていない」とあるが,「総合的な学習の時間で育てようとする資質や能力及び態度」については,きちんと学習指導要領に明記されている。これを,丸のレベルではなく,丸3として「総合的な学習の時間で育てようとする資質や能力及び態度」という項目を立てて記述することが必要である。そして,新しい丸4には,「生きる力」の理念並びに「総合的な学習の時間で育てようとする資質・能力」以外の資質・能力という流れで,その他の資質・能力についても記載をすべきではないか。同様に,9ページについても,キー・コンピテンシーの概念は「総合的な学習の時間の育てようとする資質や能力及び態度」と重なっているため,この関係についても追記すべきと考える。

【委員】 丸3として別に立てると,「総合的な学習の時間」が「生きる力」の外に独立しているかのような見え方になってしまう。丸2の「生きる力」の理念のうち最も重要な部分として,総合的な学習の時間とそこで育てる力が位置付いている。その意味で,総合的な学習の時間を独立させるのではなく,全体の概念である「生きる力」の理念の中に書いた方がよいのではないか。

【委員】 「教育課程全体には反映されていないが,総合的な学習の時間の中では育成すべき資質・能力が具体的に示された」という書き方であればそれでもよい。

【委員】 総合的な学習の時間に育てようとする資質や能力,態度はとても重要であるが,その中身を示さなければ,その他の資質・能力が全て具体的な中身を記載しているのに対し,バランスが悪くなってしまう。

【委員】 前回の検討会の議論では,26ページの丸の3番目,4番目,5番目について,「個々のスキルやコンピテンシーを強調しても,資質・能力だけを取り出して教えることはしないということ」「○○能力トレーニングにならないようにするということ」について合意が得られた。今回は,「統合的・文脈的アプローチ」が論点となっているが,先ほどの関西大学初等部の例でも,思考スキルは何らかの文脈の中で教えてられているのではないか。例えば,フィギュアスケートの場合も,全体の演技をする中で,スピンのところだけ取り出して個別に練習するといったことはあり得る。資質・能力の育成というと,特定の能力だけを取り出して教えるということが起こりがちであるため,その防御策として「統合的・文脈的アプローチ」を出している。

【委員】 「統合的・文脈的アプローチ」という用語自体が難しい。議論の趣旨としては,習得型のものも文脈に載っている必要があるという前提で考えてきたが,実際にはそう理解されない可能性もあるため,説明が必要。

【委員】 22ページの一つ目の丸に列挙されているアからエの順序について,アとエは教科・領域横断,イとウが教科固有のものであるため,エをアの上に持っていった方がよいのではないか。アとエはいずれも総則レベルの話をしている。

【委員】 メタ認知から始まるのは違和感があるため,その逆ではどうか。

【委員】 これは議論がある。アからエの順番については,小さい方から並べると,領域固有知識であるウが1番,教科の本質は教科の目標や「重大な概念」,「本質的な問い」を含むものであるため,イが2番。続いて,教科横断のものとしてアが3番,その上位にエという順番になる。

【委員】 難しい用語には解説が必要。アには「問題解決,論理的思考,コミュニケーション,チームワークなどを可能にするもの」とあるが,実際には問題解決や論理的思考,コミュニケーション,チームワーク自体が汎用的スキルに当たる。例示として書く場合は「などを可能にするもの」は取るべき。

【委員】 メタ認知についても,「自分の認知に関する認知」という定義を書いた上で,「これによって自己調整や批判的思考,創造的思考等が可能になる」という説明を加えるなど,定義と機能や例示との明確な整理が必要。

【委員】 メタ認知については確かに定義を書いた方がよい。「一般に『認知』と言われている通常の思考や学習よりも一段上位のもの」という位置付けを示す必要がある。同時に,メタ認知で大事なのは,いわゆる「オンラインモニタリング」と言われるような,今自分が行っている操作をもう一人の自分が監視・制御していくスキル的なものと,自分の持つ認知リソースに関する正確な判断に基づいた「メタ認知」とを区別すること。例えば,子供が,漢字を覚えるのに無理な目標設定をして意欲を落としていくのは,メタ知識が間違っているために起きることである。アン・ブラウンの初期の研究でも,メタ知識が間違っているためにうまく学べないということが明らかにされているし,学習障害やLDの研究でも同様のことが言われている。研究によれば,これらは実際に経験させ,自らの認知能力や認知リソースを正確に把握させることで,早くに改善されていく。メタ認知というと「オンラインモニタリング」のイメージが強いが,後者の意味でのメタ知識も大事。後者は,自分の学習適性や学習リソースを知った上で,それをうまく制御していくことであり,教えたり指導したりすることでできるようになるもの。こうした特徴について,丁寧に書く必要がある。

【委員】 教科・領域を横断する汎用的なスキルやコンピテンシーについては,その要素として何を書くかが大事。DeSeCoの中に出てくるものなど様々に考えられるが,認知的なものやソーシャルなものに加えて,意欲などの情意的なものをどう扱うか。例えば,自己調整についても,メタレベルのものから習慣化した能力まで幅広く含まれる。ある遂行をうまくやるために自分の感情を抑制したり,相手の言うことを最後まで丁寧に聞いたりすることは,メタ認知よりむしろある種の汎用スキルと捉えられる。そうした情意的なものや行動調整に関するものも,汎用的スキルの中に含めてよい。

【委員】 ジェネリックスキルとメタ認知の区別は難しい。大まかにジェネリックスキルを問題解決や論理的思考のためのスキルと捉えると,クリティカルシンキングも含まれるように考えられるため,微妙なところ。

【委員】 メタ認知についても,例えば,「思考過程の調整や自己調整,情意や感情のコントロール,意思の形成や維持の問題」など,一般の言葉にした方がよい。最近の脳科学では「実行機能の調整」や「エグゼクティブコントロールの問題」,経済学者のヘックマンは「情意面を含めた自分の感情維持をうまくコントロールして学習に持っていける力」について「パーソナリティスキル」と呼ぶなど,様々な言い方がされている。ただ,ここ十数年の研究成果として,そうした意欲や態度は教育可能なものであると捉えられている。これを反映させると,意欲や態度の方がメタ認知よりも広い概念といえる。特にこの10年,情意面のコントロールの方がより重要と捉えられてきた点を記述に含めてほしい。

【委員】 本論点整理(案)には専門的な用語が飛び交っており,読み手にとっては非常に難解だろう。これに対し,解説を付けたらどうかという議論があるが,用語の解説には,研究者によっても考え方が異なる中で正確さも問われるため,非常に難しい問題といえる。答申では,太線を引いてその下に説明を加えるなどしているが,実際のところ解説を付けるのは難しいのではないか。

【委員】 最近の報告書にはよく最後に用語集が付いており,読み手としては助かる。誰が用語の解説を書くかという問題や読み手が誰かという問題もあるが,委員が書くか,あるいは辞典からの引用だけでも,あった方がよい。

【委員】 研究や論争レベルの厳密な定義ではなく,大まかな意味を伝えるためのものであることを最初に断った上で,読む上での理解の助けになるよう解説を付すというのではどうか。

【委員】 先ほど議論した12ページの「統合的・文脈的アプローチ」の該当部分では,5行目以降に解説がなされており,基本的なスタイルとしてはこの形が大切ではないか。後ろにまとめて解説を付すよりも,その用語の近くに数行の説明を付すか,ページの下の方に脚注という形で示すようにしなければ,文章自体が読んでいてよく分からなくなる恐れがある。文言を詰めれば詰めるほど難解さを伴うため,用語の扱いには特に気を付ける必要がある。

【委員】 用語集は作らない方がよい。用語集には厳密さが問われるため,中教審の答申のように,線を引いてその下に説明を加える形の方が安全と考える。

【委員】 下線を引いて説明を付す方法でもよいが,頻出する用語の説明が初出のところにしか書かれていないと,途中から読み始めた人には,注があるのかないのかすら分かりづらい。後ろに集めないのであれば,説明の該当ページだけでも示した方がよい。いずれにせよ,どこかに用語の解説を入れるとともに,その解説の位置が明確になるとぐっと助かる。

【委員】 用語の解説については,これまでの答申や報告書の書き方に合わせつつ,分かりやすさの点にも留意する必要がある。

【委員】 22ページについて,情意や意思に相当するものも加えるべき。順番はこのままでよいと考える。飽くまで今後の検討の視点を書いているものであり,ウ,イ,アの順に入れ替えてしまうと,教科では教科のみを教えていればよいということになりかねない。そもそもの問題意識として,思考力などの資質・能力の育成は,総合的な学習の時間だけでなく,各教科もそれぞれの役割を果たしていくべきという点が出発点としてあった。この考え方を表すためには,今の順番でもよいのではないか。

【委員】 この部分は例示としての整理の仕方であるため,厳密に考える必要はない。他の例や分類もあり得るということで,言葉の上での解説を加えつつ,原案通りでよいのではないか。

【委員】 順序については原案通りでよいのでは。書き方の問題として,21ページの最後の丸と22ページの最初の丸,24ページの最初の丸は,言葉は異なるが同様の内容となっており,整理する必要がある。枠囲みの中は出された意見をそのまま生かし,囲みの外はある程度共有できた部分を整理するという仕切りであるならば,少なくとも21ページから22ページにかけての二つの丸は整理した方がよい。

【委員】 23ページの上から三つ目の丸では,いわゆる○○教育や現代的な課題について書かれているが,言いたいことが分かりにくい。検討すべき内容として,主な意見を追っていくと,31ページにその中身が書かれているが,本文と中身とが離れすぎている。資質・能力と各教科との関わりについても問いかける必要があり,○○教育もその一つであるが,「教科の論理と現代的な課題について丁寧な検討が必要」という記述にとどまっているため,見直しが必要。また,汎用的スキルについても,それ自体は丁寧に記述されているが,これを各教科ではどう受け止めていくかという点については検討が必要。各教科の関わり方についても,明確に言及すべきではないか。

【委員】 ○○教育や現代的な課題については,31ページの主な意見を整理した結果,外に出せる表現がこの程度に抽象的になった。○○教育や汎用的能力などの育成すべき目標と各教科との関連についても,今後の検討を促す言葉を加えた方がよい。

【委員】 17ページの三つ目の丸にあるキー・コンピテンシーの解釈について,OECDの著作の翻訳本で確認したところ,非常に有能な企業人だけがモデルではなく,文化的活動への参加や社会形成的な関心・意欲・行動についても,全ての個人にとって重要なものとして位置付け,全ての人の能力の開発に投資することに全面的にコミットしているとのことであった。また,個人の自己実現も重視する一方で,他人にも敬意を払い,できる限り公正な社会の創出に貢献すべきということも意味しているため,これらを踏まえた修正が必要である。

【委員】 これはある個人の発言であり,それが誤解だとか解釈が違うというのは困る。例えば,修正意見を出していただき,それを皆さんに諮るのではどうか。

【委員】 キー・コンピテンシーは国際的にも影響力の大きい学力観であり,他の学力観とは重みが異なっている。

【委員】 「モデルにしているのは非常に有能な企業人」というところは,「非常に」を削除し,「有能な企業人」を「有能な職業人」とした方が妥当。OECDのDeSeCoのキー・コンピテンシーは,有能な職業人を念頭に置いて作られたものだと捉えているが,それは決してわい小化しているのではなく,むしろ,それまでの学校教育がアカデミック色が強く,また,実技教科ではスポーツや芸術に優れた人をモデルとしていたところから,より社会生活に焦点を当てたという点で大きな進歩と評価している。
ただ,社会生活の中でも職業生活で使われる能力という側面が強いため,市民生活や文化生活への参加の志向性が抜け落ちてしまう可能性がある。DeSeCoのコンピテンシーには,人間関係力や協働する力,問題解決力なども含まれているが,職場の中で仕事をする際のミクロな社会的スキルにとどまっている。それに対して,他のキー・コンピテンシー概念には,社会的・市民的なコンピテンシーや,文化的参加への志向性なども入ってきており,時代とともに広がりを見せていると言えるのではないか。
これらを踏まえると,そもそも「志向性」というものが資質・能力に含まれるのかが疑問になってくる。例えば,ボランティア活動への参加や投票行動への志向性などは,育てたい側面であることは確かであるが,資質・能力と言えるのか。少なくとも,興味や関心,態度には含まれていると考えられる。今後,残された検討課題とも言える。

【委員】 意見の示し方として,各意見のすぐ下に,その意見に対する類似の意見がつながっている場合と,対照的な意見が並べられている場合がある。丸同士を見出しや番号などで分節化し,議論のまとまりが分かるように示すことが必要。一目で両論併記になっていることが分かるとよい。

【委員】 11ページの二つ目の丸の4行目について,原案では,具体的な力の列挙の最後に,地球環境問題に関する二つを「ほか」として後ろに出している。これを,最近の環境問題の深刻さの観点から,教育課程を考える際に正面から検討する必要がある事項として,独立した丸の形で明記したい。

【委員】 20ページの参考4について,21ページの最初の丸に書かれた説明に加えて,人間を丸ごと捉えた際にどう整理できるかについて,検討しようとした旨補足すべきかどうか。イメージ(案)では,「確かな学力」と「健やかな体」の下地に「豊かな心」が配置されていることを踏まえ,例えば,21ページの最初の丸の次に「イメージ案では,豊かな心を基盤として,確かな学力と健やかな体が示されているように,三者の関係についても検討を試みようとした」という趣旨の説明を加えた方がよいか。

【委員】 イメージ(案)については,これまでも私は「豊かな心や人格性が全体,学力や体力などは部分」という位置付けとして説明してきた。この点は解説として加えるべき。

【委員】 解説を加えることは賛成。その際,11ページの「地球環境問題に関わる地球的視野・価値観」や「持続可能な社会づくりに関わる実践力」とイメージ(案)との関係についても,併せて解説を加えるべき。イメージ(案)を次の展開としてバージョンアップし,各項目の相互の関係を再確認していくことが必要。

【委員】 20ページのイメージ(案)には大きな枠があるが,それが豊かな心を指し,その中に狭い意味での豊かな心,確かな学力,健やかな体があると解釈すればよいのか。個人的には,外の大きな枠が「生きる力」であり,その中にある3要素が確かな学力,健やかな体,豊かな心であると解釈していた。今の議論では,豊かな心がベースとしてあり,その中に確かな学力などが位置付いているという解釈になり,両方の解釈が可能になる。

【委員】 これは重要な問題。5ページから6ページの説明では,「生きる力」の理念として,「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」の順で明確に示されている。個人的には,「生きる力」とは明治期から言われてきた知・徳・体の現代版であり,順番もこれに倣っていると解釈してきた。すなわち,この三つは包含関係ではなく並列の関係にあり,「生きる力」を全体として,三つはその中に含まれるものだと考えていた。もし,「豊かな心」を基盤として解釈するのであれば,かなり大きな解釈の変更が必要となる。

【委員】 豊かな心を全体,学力・体力を部分とする説明はこれまでにはなされていないものの,趣旨としては理解できる。ただ,イメージ(案)から読み取る限りでは複数解釈が可能であるため,今回は深入りしない方がよい。

【委員】 27ページから28ページについて,「重大な観念」(重要な概念)と「本質的な問い」というタイトルで説明されているが,用語が混在しているため,読み手に混乱を与えやすい。今回,big ideasという原語を示すことで,前回と比べて分かりやすくはなっているが,「重要な概念」や「重要な観念」について,指している中身が同じであれば,「重大な観念」で統一した方がよい。

【委員】 「重大な観念」には英語が加えられたが,「重要な概念」は「重大な観念」と同じものか,あるいは異なるものか。

【委員】 最近の議論ではbig ideaのことを指していると考えられるため,統一してもよい。

【委員】 29ページに記載されている東京学芸大学附属国際中等教育学校の例では「重要概念」という用語が使われていたため,これは残しておく必要がある。

【委員】 「重要概念」は国際バカロレア(IB)の概念であり,big ideaとは原語が異なっている。

【委員】 40ページの参考5について,一番奥の部分に「ポートフォリオ評価法」と書かれているが,一見,パフォーマンス課題や実技テストなども全て含めてポートフォリオ評価法のように,カテゴリーの包含関係を示しており,かつそれが通常の使い方と逆転して見えてしまう。少なくとも,パフォーマンス評価が様々にある中で,ポートフォリオはそれを時系列にファイル化していく手法であり,カテゴリー関係とは別の軸になるのではないか。

【委員】 「パフォーマンス評価」とは,41ページの説明のとおり,知識やスキルを「活用・応用・総合する」ことを求める評価方法のことである。スローガンとして登場した用語でもあるため,どこまでを「パフォーマンス評価」と呼ぶのかについては見解が分かれる。ただ,単なる暗記や再生ではなく「使いこなす」ことを重視する評価方法であるという点は,共通して強調されている。ポートフォリオ評価法もパフォーマンス評価の一種であるが,ポートフォリオの場合は,成果物をファイリングしていくことになるため,実際には客観テストの結果なども含まれる場合がある。そこで,包含関係ではないことを表すために破線にしているが,御指摘の点は悩ましいところ。説明で書かれている文章の方が正確であるため,図と説明とをセットにしておかなければ分かりづらい。

【委員】 図中の「ポートフォリオ評価法」という語を外した方が,誤解を招かないのではないか。

【委員】 41ページの下から2番目の丸の「『ポートフォリオ評価』とは,『パフォーマンス評価』の一つの方法」という説明も,カテゴリーとして観点が異なるのではないか。ポートフォリオ評価とパフォーマンス評価は,多くの場合に重なっているが,ポートフォリオには客観テストや質問紙の結果などパフォーマンス評価以外のものも含まれるため,「一つの方法」という包含関係を連想させる表現は改めるべきでは。

【委員】 少なくとも,図中の「ポートフォリオ評価法」の「法」は取るべきと考える。その他は全て「法」が付いておらず,誤解を招きやすい。場合によっては,パフォーマンス評価法の「法」も付けなければならなくなり,不ぞろいになる。

【委員】 これらの修正については,西岡委員に一任したい。

【委員】 東京学芸大学附属国際中等教育学校では,教科の枠を超えた共通の重要概念を,どちらかというと教師側から提供していくという実践であった。一方,上越市立大手町小学校で提案されていた「学びの時間」は,子供たち自身が各教科や道徳,総合的な学習の時間あるいは日常生活の中での様々な学びを,現在議論しているような資質・能力の概念に結び付けていくという評価方法を開発している。資質・能力を重視した本検討会における評価に関する事項として,「学びの時間」における「知の総合化」という評価方法は外せないと考えるため,論点整理(案)の中に意見として残しておきたい。

【委員】 27ページのbig ideaとessential questionについて,原語を入れたことでかなり明瞭になったが,単一のものを指すわけではないため,big ideas,essential questionsのように複数形にしておいた方がよい。

【委員】 27ページの最後の丸と28ページの二つ目の丸は重複しており,「重点的指導事項例」という表現は誤解を招くという指摘もあったため,28ページの二つ目の丸は削除してよい。また,4番目の丸の「重点的指導事項例(「転移可能な概念」や「複雑なプロセス」)」についても,「重点的指導事項例」という語と()の中の「」を削除し,両者を「・」でつなぐように修正すべき。「『本質的な問い』や『転移可能な概念』・『複雑なプロセス』を明示することが有効」という表現の方が適切。

【委員】 34ページの点線囲みの次の丸について,「評価については,総括的な評価だけでなく,形成的な評価の重要性を認識する必要があり,『何を知っているか』にとどまらず,質的な評価が必要」という趣旨の記述があるが,この中には二つの内容が含まれている。前半の「評価については,総括的な評価だけでなく,形成的な評価の重要性を認識する必要がある」という点は,指導やカリキュラムの改善のために評価をすることの重要性が改めて確認されたということ。後半の「『何を知っているか』にとどまらず,『何をできるようになったのか』を評価するために,実際に知識を活用する過程の質的な評価が必要」ということと,丸を分けて示すべき。

【委員】 41ページの二つ目の丸の「『パフォーマンス課題』とは,様々な知識やスキルを総合して使いこなす(活用する)」について,「(活用する)」は削除してほしい。続く三つ目の丸のルーブリックの定義についても,「成功の度合いを示す」の後の記述を「数レベル程度の尺度と,それぞれのレベルに対応するパフォーマンスの特徴を記した記述語からなる評価基準表」と修正した方がよい。「段階」というと,ステップ・バイ・ステップの時系列のようにイメージされがちであるため,レベルという方が適切と思われる。

【委員】 6のその他について,冒頭に議論した学校運営・学校経営の項目に集約すると,その他の内容が中途半端になるのではないか。書き方によっては,教育委員会の在り方など多くのものを入れ込むことになり,本検討会の趣旨と離れるだけでなく,そもそも「その他」の項目は必要なのかという問題になる。原案の52ページを生かす場合は,先進事例の分析や成果の共有・普及に限定するというのも一つの方法である。資質・能力の向上・支援については,学校運営とカリキュラム・マネジメントの中身そのものであるため,そちらに移すことで整理できる。その上で,教員研修や教員養成等との関係についても言及するか,その記述が難しいようであれば,情報の共有・普及のためのシステム整備の必要性を指摘するにとどめるという方法もある。

【委員】 6(1)の教師の力量向上の支援に挙げられている三つの丸の扱いはどうするのか。

【委員】 学校運営やカリキュラム・マネジメントの中に加えてはどうか。6(1)は,その中身の指摘とも捉えることができる。

【委員】 御提案のとおりに修正すると,その他には丸二つだけが残ることになる。

【委員】 共有すべき情報としては,教員研修に係る情報も該当しうるため,6(1)の二つ目の丸も加える余地があるのではないか。

【委員】 教員研修の問題は大きな論点であるため,丸の行き先がないのであれば,例えば,49ページの枠囲みの中の「国が指導方法を示すことについて」の最後の丸に,ウェブサイトなどを使って事例を挙げていく必要性が挙げられているため,そちらに移動してはどうか。

【委員】 枠囲みの中と外では性質が異なってしまう。

【委員】 新しい項目が節などに出てきた場合に,これまで下位項目の中に散らばっていた要素を再度集めるよう検討する必要がある。

【委員】 その他に記載されている支援体制については,49ページの指導方法の提供とは別個に述べた方がよい。むしろ,49ページに書かれている参考資料の提供については,指導方法に限定したものではないため,6のその他に動かす方がよいのではないか。

【委員】 支援体制をその他に動かす場合は,6(2)のタイトルを変える必要がある。いずれにせよ,49ページの一番下の丸は,一種の先進事例の話に限ることとしたい。

【委員】 20ページ・21ページの知・徳・体の議論について,参考4のイメージ(案)を作った当初は,「豊かな心」の枠はもう少し左寄りにあったが,検討過程の中で右端まで伸ばすように修正された。そこには,包含関係というよりも,上から見たときに「豊かな心」という下地があり,身に付けた「確かな学力」が発揮されるという考え方が基となっている。それぞれの人間が方向を定めるに当たっては,心の部分も大きく作用すると考えられる。この関係性について何とか議論していくために,現在のような形になったと理解している。結局,このイメージ(案)は完成しなかったものであるため,その解釈を本論点整理(案)に記載すべきという意見は撤回するが,知・徳・体の相互の関係性については,資質・能力の議論においても検討すべき論点と考えている。

―― 了 ――

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

電話番号:03-5253-4111(内線2369)