教員の資質能力向上に係る当面の改善方策の実施に向けた協力者会議(第1回) 議事録

1.日時

平成24年9月26日(水曜日) 14時~16時

2.場所

文部科学省 5F3

3.議題

  1. 中央教育審議会答申について
  2. 本協力者会議の検討事項及びワーキンググループの設置について
  3. 今後のスケジュールについて
  4. その他

4.議事録

※ 冒頭あいさつ等省略

 

(委員の互選により、村山委員が主査に就任)

【村山主査】  村山です。よろしくお願いいたします。

 私、教職大学院につきましては、もう5、6年前、設置のときから関わっておりまして、それ以来ずっと、教職の高度化ということのテーマについていろいろ考えてまいりました。そういう点で、今回中央教育審議会で答申がまとまりまして、先ほどお話ありましたが、いよいよ将来の修士レベル化に向けて具体的に確実な着実な準備を進めていくということが、この委員会の課題かと思っております。

 この場には、大学関係、それも私立大学、国立大学含めて加わっていただいております。それから、教育委員会関係、また学校関係など、多様な方々が加わっていただいております。実際に短い期間で、当面できること、具体的にやるべきことを早くやらなければならないのでありますが、しかし同時に大事なことは、実際に本当にいい教員養成をしていく、また教師の資質向上をぐんと上げていく、それも今待ったなしに必要なことであります。そういう点では、この委員の皆さんの中で大いに、当面の具体的な処理・処置にこだわらず、どんな教員養成が今必要なのかということを幅広い見地から御議論頂ければ有り難いと思っております。よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入ります前に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

(事務局より、配付資料の確認)

【村山主査】  それでは、議事に入りたいと思います。まず、今回の中央教育審議会の答申につきまして、事務局から説明をお願いしたいと思います。

【藤原教職員課長】  失礼いたします。資料2でございます。先月8月28日に出されました中央教育審議会の答申の概要について、御説明をしたいと思います。その内容につきましては既に御案内の先生方も多いかと思いますので、簡単に説明いたします。

 この答申は、3章構成になってございます。第1章が現状と課題、第2章が改革の方向性、第3章が当面の改善方策となっております。

 まず、第1章の現状と課題でございますけれども、グローバル化など社会が急速に進展していく中で、人材育成像自体が変化をしてきており、その中で、思考力、判断力、表現力など、新しい学びというものが求められているのではないか。そうしたものに対応する教員の指導力の在り方ということも変化をしていくことを考えていく必要があるのではないかという、第1の問題意識がございます。また、学校現場に目を転じた場合に、現場の課題というのは高度化・複雑化をしてきておりまして、初任段階の先生方がその対応に困難を抱えているという状況が深刻化をしているわけでございます。そうした状況を踏まえて、今後、社会の大変激しい変化に対応していくためには、学び続ける教員像の確立ということを図り、生涯にわたって先生方がしっかりと学んでいただくということを支援する体制を構築していく必要があるのではないかという考え方がベースになっているわけでございます。

 その上で、第2章の改革の方向性でございますが、教員養成を修士レベル化し、高度専門職業人として位置付けるということでございます。そして、免許制度の改革ということにつきましては、修士レベルの一般免許状を創設する。併せて学士レベルの基礎免許状も創設いたしまして、学士の段階でも教壇には立てるというふうな、柔軟な制度設計を想定してございます。さらに、専門免許状というものにつきまして、特定分野に関し高い専門性を証明するものとして、併せて創設をしてはどうかという提言でございます。その下の「※」で書いてございますけれども、基礎免許状から一般免許状への取得のプロセスということにつきましては、一番最初に一部議論がございましたような6年制といったことがあったわけですけれども、修士まで行って教壇に立つというスタイルが(i)ということになるわけでございますが、それとあわせて、(ii)といたしまして、学士レベルで採用され、初任者研修と連携・融合した形で修士レベルの免許状を取得するというパターン、それから(iii)で、採用後、一定期間しっかりと勤務実績を積んだ上で、修士レベルの免許状を取得するというふうなパターン、こうしたものを組み合わせながら柔軟に制度設計をしていくべきであるという考え方に基づいているところでございます。

 これが今後の改革の大きな方向性ということでございますけれども、これを実現するためには様々な諸条件の整備が必要であろうということでございまして、そのために当面の改善方策ということが詳細に提言されてございます。とりわけ修士レベルの養成をしていくためには、その質の改善ということを図る必要があるということでございます。質の改善を図り、現場の実践力の向上に役に立つ、寄与できる、そういう修士課程の実現を図りながら、量的な拡大も図っていくということを考えてございます。そして、その際には、生涯にわたる教員の教職生活を支えるという観点に立った場合には、教育委員会・学校と大学がしっかりと連携・協働していくということが不可欠であろうということでございます。

 そういう考えの下で、まず養成段階でございますが、学部レベルでは、学校現場での体験機会の充実等によるカリキュラムの改善、それから課程認定の厳格化といった質保証の徹底を図る必要があるであろうと。それから、修士レベルでは、とりわけ教職大学院が今5年目を迎えて着実にその成果を上げつつあるというふうに認識をしてございますけれども、これがまだ一部にとどまってございます。その内容の充実・見直しも進めながら、量的な拡大も図っていく必要があるということで、提言をされてございます。また、そうした改善を進めていくためには、大学院の設置基準というのがございます。柔軟な大学での組織の見直しを促進していく観点から、大学院設置基準の大くくり化等を進めていく必要があろうということでございます。また、とりわけ中学校・高等学校の免許状につきましては、開放制の原則の下で、一般大学、一般学部、その上に乗る研究科の役割が大変大きいわけでございますけれども、専修免許状の中身の見直しをしていくことも併せて必要であろうということで、一定の実践的科目の必修化の推進といったことが、提言をされてございます。これは養成段階でございますけれども、このほかに、採用・初任者の段階、現職段階、管理職、各段階におきまして、教育委員会・学校と大学がしっかり連携をし、その中身の体系化・高度化を図っていく必要があるのではないかということでございます。とりわけ現職段階に関して申し上げますと、現職研修のプログラム化・単位化ということをうたってございます。修士レベル化ということを言っておるわけでございますけれども、修士レベルの免許状といたしましては、現在、専修免許状というのがあるわけでございますが、その専修免許状というのは必ずしも学位の取得と一致をしているわけではございません。したがいまして、上進制度というのがあるわけでございますけれども、今後の修士レベル化を考えていく場合には、そうした上進制度といった内容も十分念頭に置きながら研修を体系化し、その大学との連携を図る中で単位化できる部分があるだろうと。そうしたものも併せて修士レベルの養成を進めていくという考え方でございます。それから、管理職の段階というのもございます。この段階でも、現在は大変分厚い層の中からオン・ザ・ジョブでトレーニングをして管理職を選ぶということであろうかと思いますけれども、今後その層が大変細っていくわけでございまして、そうした管理職のマネジメント能力というものを体系的に育成していくシステムが必要であろうという内容が提言をされてございます。

 その下の欄でございますけれども、グローバル化への対応ということがございます。とりわけ英語の先生、それを志す学生について議論があったわけでございますけれども、そうした学生が免許を取ろうと考えた場合に、海外に留学すると留年をしないとその免許が取れないという御指摘がございました。今後、学校で教育に携わる先生方自身がグローバルな感覚を持っていただくということは大変重要なことでございますので、そうした海外留学を促進する観点からの制度の弾力化ということを進める必要があるだろうということでございます。また、特別支援教育の専門性の向上ということでは、特別支援学校での専門的な免許状の取得率が依然7割にとどまっているという課題がございます。また、特別支援学校以外の学校でも特別支援教育の重要性が非常に高まっているわけでございますので、そういった内容の充実という課題がございます。

 最後に、学校が魅力ある職場となるための支援、改善を進める上での留意事項ということでございます。最終的に教職にすぐれた人材を得ていくということが大きな目標になるわけでございますけれども、その中で処遇の改善や教職員配置などの教育条件の整備をしっかり進めていくということが必要になってくるということがございますし、また、研修等定数の改善など、それを支援する体制づくりということもございます。また、スクラップ・アンド・ビルドをしっかり進めて現場の負担感を軽減していくということも、併せて付記をされているところでございます。

 以上が、答申の概要でございます。こうした中で今回は、第3章の当面の改善方策、この中でのまず差し当たって必要な制度的な改正に関連する事項について御議論いただくということになっているところでございます。

【村山主査】  少し、この答申自体について何かご質問などありましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 今説明ありましたように、この答申全体の改革の基本的な将来的な方向、三つのレベルの免許、この辺は、まだ今後しばらく、もう少し時間がかかるだろうと。その前に、この資料の下の方の当面の改善方策について、しかもその中でも具体的に修士化に向かって教育機関の量と質を充実していかなければならないと。そこにかかわる制度改正について絞り込んで、できるだけ短い期間にまとめましょうと、こういう趣旨のようでありますが、何か、その辺につきまして、御質問なり、御意見なりありましたら、どうぞ。

 よろしいでしょうか。

 後ほど、具体的な検討事項に議論が入って、説明いただいて、そこでもう少し幅広く、今日の主な討論点として、そこに集中して議論をしたいと思います。

 それでは検討事項の説明をお願いいたします。

【藤岡教職員課課長補佐】  検討事項について御説明申し上げます。お手元の資料3、「検討事項について」という資料を御覧ください。先ほど藤原教職員課長より御説明申し上げましたとおり、中央教育審議会答申の当面の改善方策の中で御提言いただきました中で、省令や告示ということになりますが、制度改正にかかわることにつきまして、御検討をお願いしたいと思っております。

 まず、検討事項1といたしまして、修士レベルの教員養成・体制の充実・改善に関することでございます。こちらにつきましては、大きく3点ございます。まず(1)でございますが、教職大学院の教育課程の見直しについてでございます。四角の点線の枠の中に、中央教育審議会答申での記述がございます。当面の改善方策の中の教職員大学院の拡充というところに、以下のような記載があるところでございます。具体的には、2行目の後ろの方ですが、「その際、共通に開設すべき授業科目の5領域について見直しを図り」と、こういうことを制度改正を行うべきであるというような御提言を頂いております。

 この御提言を踏まえまして、1に議論するポイントということを記載しております。教職大学院につきましては、修士レベル化にふさわしいカリキュラムはどのようなイメージがされ、共通に開設すべき授業科目(現行の告示に定められている5領域)にはどのような内容が求められるか、また中学校や高等学校の免許教科に相当する教科教育の分野は教職大学院においてどのような位置付けが適切であるか、このようなことについて御議論いただきたいと思っております。

 2の参考というところを御覧になっていただきたいのですが、先ほど申し上げました現行の告示に定められている5領域というものでございますが、参考の一番上につけております「専門職大学院に関し必要な事項を定める件」というのがこの告示でございまして、この第八条の一号から五号にかけまして、いわゆる5領域と言われるものを定めているところでございます。

 続きまして、2ページでございますが、(2)教職大学院の教員組織の見直しについてでございます。同じく中央教育審議会答申での記述をまず抜粋させていただいております。御指摘いただいているところは、1の教職大学院の拡充という、先ほどと同じところにございますが、3行目の「さらに」というところでございますが、「実務家教員については、学校現場での最新・多彩な経験を有するだけでなく、これを理論化できる基礎的な素養を求めるとともに、現在4割以上とされている、必要専任教員数全体に対する割合の見直しを検討する」とされております。また、一番下のマルの「その際」というところでございますが、2行目の後半部分からでございますが、「今後の修士レベル化を進め、学部との一貫性を確保する観点から、教職大学院の専任教員のダブルカウント(設置基準上必ず置くこととされている専任教員を他の学位課程の必置教員数に算入すること)の在り方について検討を行う必要がある」という御提言を頂いております。

 これを踏まえまして、議論するポイントといたしまして、新たな領域を取り入れる場合、現行の教員組織や実務家教員の割合は適切であるかどうか。先ほど申し上げましたように、現行は実務家教員の割合は4割以上とされておりますので、その割合が適切かどうかということでございます。また、教職大学院の質を維持・向上しつつ、修士レベル化に向けて教職大学院の規模を拡大させるためにはどのような教員組織や実務家教員の割合が適切かというものでございます。

 2の参考を御覧ください。現在の制度でございます。まず、「専門職大学院設置基準」、これは文部科学省の省令でございますが、こちらの五条で、まず専門職大学院の専任教員の要件を定めているところでございます。次のページ、3ページを御覧になっていただきたいのですが、第2項というところがございますが、前項に規定する専任教員は、大学設置基準の専任教員数、それから大学院設置基準に規定する教員の数に算入できないということになっております。ただし、附則というところを御覧になっていただきたいのですが、第2項でございますが、この専任教員、算入できないとなっておりますが、平成25年度までの間は、この規定にかかわらず、教員の3分の1を超えない範囲で大学設置基準及び大学院設置基準の教員の数に算入することができるという規定が附則で設けられているところございます。

 続きまして、「専門職大学院に関し必要な事項を定める件」、これは告示でございますが、こちらについては実務家教員の割合を定めているものでございます。第二条というところで専門職大学院全体の規定がございまして、こちらについては、アンダーラインを引いているところでございますが、専任教員の数を合計した数のおおむね3割以上という規定になってございます。教職大学院につきましては、第5項というところに規定しておりますが、おおむね4割と読替えるということで、教職大学院につきましては4割以上という規定になっているところでございます。

 続きまして、4ページでございます。「(3)教員養成系修士課程の改善について」というところでございます。中央教育審議会答申での記述をまず記載しておりますが、一番最後のマル、「また」というところでございますが、「教員養成系の修士課程については、大学院設置基準において、教科等の専攻ごとに置くものとする教員の数が定められており、組織の柔軟な見直しや、他大学・学部との柔軟な連携、機能分担の支障になっているとの指摘もあることから、これを大くくり化するなど、教員養成機能の充実・強化に資する教育研究体制の構築が可能となるよう見直しを行う」という提言を頂いているところです。

 続きまして、5ページでございますが、この提言を踏まえまして、議論するポイントといたしまして、修士課程の教員組織につきまして、教員養成機能の質を確保する観点から、どのように見直すべきか。また、後ほどの説明の部分になりますが、専修免許状の在り方の見直し、具体的には専修免許状の実践的科目の必修化の検討に伴って、教員養成系大学院の教員組織等の対応をどうするかというものでございます。

 具体的な制度につきましては参考に書いてあるとおりでございまして、「大学院に専攻ごとに置くものとする教員の数について定める件」という、これは文部科学省の告示でございますが、こちらで「別表第一」というところを抜き出しておりますけれど、そこの教員養成系というところがございますが、このように人数を規定しているところでございます。この規定の在り方につきまして、御議論いただきたいということでございます。

 続きまして、6ページでございます。大きな検討事項2といたしまして、教職課程の質保証等に関することについてというものでございます。こちらにつきましても、大きく三つございます。まず、(1)教職課程に関する情報公開の在り方でございます。同じく中央教育審議会では、教職課程の質保証というところで、全ての課程認定大学につきまして、アンダーラインを引いているところですが、「教員養成の理念、養成する教員像、教職指導の体制、教員組織、カリキュラム、学生の教員免許状取得状況や教員就職率等、情報の公表を検討する」という御提言があります。

 この提言を踏まえまして、議論をするポイントとして、まず、課程認定大学につきまして、情報公開を義務化するか、各大学の自主的な取組を促すものとするか、具体的な情報公開すべき内容としてはどのようなものが考えられるのか、また、情報公開の手法といたしまして、例えば大学のホームページの掲載など、どのようなものが適切であると考えられるのか、このようなことについて議論を頂きたいと思っております。

 なお、2の参考でございますが、「大学の教育情報の公表の促進について」ということで、既に平成22年6月に学校教育法施行規則が改正されておりまして、平成23年4月1日から各大学において教育情報の公表を行う項目を明確化しているところでございます。具体的には、その下の方に学校教育法施行規則第百七十二条の二の抜粋を掲げさせていただいておりまして、その第一号から次のページの第九号までですが、公表すべき内容につきまして規定をしているところでございます。課程認定大学につきまして、これに加えまして具体的にどのような内容の公表を義務付けていくのかというようなことにつきまして、御議論いただきたいと思っております。

 続いて、2番目でございますが、専修免許状の取得における実践的科目の必修化でございます。答申におきましては、現在の専修免許状につきまして、学部段階で一種免許状を取得した者が、教科または教職に関する科目を大学院などにおきまして24単位以上修得することとされまして、必ずしも実践的指導力の向上に結び付くものになっていないという御指摘を頂いております。具体的には大学院でのいわゆる専門的な教科を24単位修得すると専修免許状が取れるということでございまして、必ずしも教科指導などに関連する単位を取らなくても専修免許状が取れるという現状を指摘いただいているところです。専修免許状の課程認定を受けている修士課程におきまして、例えばということで、「理論と実践の架橋を重視した実習ベースの科目を必修化するなどの取組を推進していく必要がある」という御提言を頂いております。

 これを踏まえまして、専修免許状の取得に際しまして、理論と実践の架橋を重視した実習ベースの科目を必修化する場合、具体的にどのような内容とするべきか。また、必修化する場合、その科目の単位数はどの程度が適当なのか。24単位以上でございますので、そのうち何単位程度のものが適当かというものについて、具体的に御議論頂ければと思っております。

 参考といたしまして、現行の小学校一種免許状取得者が大学院等で専修免許状を取得する場合に必要な単位ということを記載しております。専修免許状の必要な単位数としましては、8単位、41単位、34単位ございますが、そのうち括弧で書いてあります8単位と41単位と10単位につきましては、既に一種免許状の取得の際に修得しているものですので、結局、一番右の欄の34単位から10単位を引いた残りの24単位を大学院で修得することになりまして、それを修得すれば専修免許状を取得できるというような仕組みとなっております。

 最後でございますが、3番目でございますが、教員養成課程のグローバル化対応でございます。中央教育審議会答申におきましては、その抜粋部分の2行目の後段部分ぐらいからですが、「例えば教職課程を置く大学において、教職課程の質の維持・向上を図りつつ、要件を満たせば学生が海外に留学した際に取得した対を教職課程に係る単位として認めていくことなどにより、教員を志望する学生の海外留学を促進していく必要がある」というような御提言を頂いています。

 議論するポイントといたしましては、今の制度におきましては、我が国の課程認定大学または海外の教員養成を目的としている大学で取得した単位につきましては、自分が在学する課程認定大学の教職課程に係る単位として認めることが可能となっておりますが、例えば課程認定を受けていない大学であるとか、また海外の教員養成を目的としていない大学で取得した単位というものは認めることができないというような仕組みになっております。その制度につきまして、課程認定を受けてない大学や、また教員養成を目的としていない海外の大学についての、取得した単位を認めるか否かということでございます。また、認められる単位といたしまして、現在は特に教科・教職の区分なく認めておりますが、そのままにするのか、それとも教科に関する科目という形で限定をするのか。また、認められる単位数といたしまして上限を設けるか、設ける場合にはどの程度まで認めるか。また、短期大学で取得した単位の取扱いについてはどうするか、ということでございます。

 現行の制度といたしまして、参考で最後の9ページに記載しております。「教職員免許法施行規則」、文部科学省令でございますが、そこに規定をさせていただいております。先ほど申し上げたような、入学前、入学後も含めまして、他の大学、海外の大学などで取った単位について認めるという仕組みが規定をされておるところでございます。

 続きまして、ワーキンググループの設置につきまして、御説明いたします。資料4を御覧ください。

 先ほど申し上げました大きく二つに分かれる検討事項につきまして、専門的見地から審議を効率的に行うために、二つのワーキンググループを設置して、それぞれで御議論いただきたいと考えております。ワーキンググループの座長及び委員は、協力者会議の主査が指名するということでございます。3番の検討事項につきましては、先ほど申し上げました、まず(1)の修士レベルの教員養成課程の改善に関するものについてのワーキングでございます。(2)といたしまして、教職課程の質の保証等に関するワーキンググループという形で、二つのワーキングを設置してはどうかと考えております。設置期間といたしましては、審議が終了したときまでということでございます。5番、その他ということで、ワーキンググループにおきましての検討結果を取りまとめていただきまして、協力者会議に報告を頂きたいということ。協力者会議から求めがあったときは、検討の経過につきまして協力者会議に報告すること。また、ワーキンググループの判断に応じまして、必要に応じて検討経過を協力者会議に報告することができるというものでございます。

 私からは、以上でございます。

【村山主査】  詳細に検討事項を説明いただきましたが、資料3の検討事項、具体的な中身を見ますと、かなり制度的な個々の点について一定の手を加えていこうというふうに、制度の部分的な改変と思われがちでありますが、実際は、先ほど来説明がありましたように、将来の基本的な方向として修士レベル化をにらんで、そのための準備として具体的に今できることをやりましょうと、こういう趣旨でありまして、そういう点では、一番大事なのは、この答申が出てからもいろいろ議論がありましたが、修士レベルといって、本当に質の高い教師が修士レベルで育てられるのかという、いろいろな声もあります。そういうことも踏まえて、やはり修士レベル、実際に今、教職大学院も、他の一般の大学院も、修士に専修免許状を出している、修士レベルの教育をしているわけですね。それについて、今、このままではなくて、将来の方向を見据えてもう一段レベルアップしましょうと、そのためにできることをしましょうというのが、今回の課題だと思います。そういう点では、修士レベルの教育内容、方法、その中身が大事であると、私は思っております。そういう点も念頭に置いていただきながら、この個々の点につきまして、資料3、それから先ほどの答申についても、各委員の皆さんの方から、この論点についてはこういう問題もあるんだと、課題もあるんだというようなことを、今日は自由に御発言願えればと思います。あるいは、今後の検討課題について、こういう点も踏まえるべきではないかというような御意見などをどんどん出していただきたいと思います。

【加治佐委員】  まず、最初のところですが、検討事項1の修士レベルの教員養成・体制の充実・改善に関することで、その1番目の教職大学院の教育課程の見直しについて、議論するポイントは、修士レベル化にふさわしいカリキュラムはどのようなイメージがされ、共通に開設すべき授業科目にはどのような内容が求められるか、あと教科をどう取り入れるかということがありますが、こういう意味合いも含まれているのかどうかということです。つまり、平成18年答申が資料としてあると思いますが、別添2を開けていただくと、教職大学院のカリキュラムというのは、現在、共通科目というのと、学校における実習と、コースあるいは分野別の選択科目と、こうなっているわけです。我々のイメージとしては、ここに書いてある、見直してはどうかという、この5領域というのは共通部分に当たります。だから、どこの教職大学院も大きく分けて三つの教科群というか科目群があって、共通科目の部分は5領域、あるいはそれプラスアルファを設けているわけです。この検討をするのは、三層構造というか、3群のカリキュラム構造は変わらないのかどうかということです。つまり、私自身は、そこは柔軟にすべきではないかと思っております。実態としてはそういうこともあります。

 といいますのは、まず一つは、教科が入ってくるということになります。そうすると、教科そのものを、5領域、あるいは領域が増える、共通科目の部分が5領域なり6領域に増えることはいいと思いますが、ただ、そこに入れることプラス、やはり自分の得意教科、特に中学校・高校になりますとそれをもっと専門的に深く学ばなければいけないということになると、いわゆる選択科目の部分でよりやるべきだということが出てくると思います。そうした場合に、そういう人々にとって共通基礎科目の部分の単位数がそんなに要るのかなというのが、1点あります。

 二つ目は、現場で一定年数を経験して大学院に入ってくる人々が想定されておりますけれども、こういう人々は、自分の課題なり、あるいは学校や教育委員会から要望された課題というのを持ってきています。そうすると、往々にして共通基礎科目の部分はもういいという意見も結構あるわけです。役に立たないことはないけれども、改めて反省するというか、それにすぎないのであって、むしろ専門的に深く学びたいんだということであると、そういう人にとっては必ずしも必要ではないのではないかということがあります。

 三つ目は、これを専門科目ということとの絡みで考えた場合には、専門科目は文字どおり特定分野についての専門性を高めるためのものですから、その扱いのときに共通基礎科目はどうなるのかということになってくると思います。恐らくまだ専門科目のところまでの制度設計までは入ってないのかもしれませんが、そういうところで、私としては、今の共通基礎科目、選択科目、実習科目、その3群と、それから総単位数45単位、このことについての見直しも、あるいは改善も、検討事項に入れるべきではないかと思います。

【藤原教職員課長】  失礼いたします。今、加治佐委員がおっしゃったことは、正に中央教育審議会の中で議論されてきたことだと思ってございます。現行の教職大学院というのはある意味はん用的なモデルでございますけれども、その一方で、特定の教科教育をしっかりやりたいとか、そういう専門分野を深めたいというニーズには必ずしもこたえられてないのではないかという御指摘があり、その中で、現在の5領域が必ず含まれなければならないという制度自体の柔軟化を考えていくべきではないかということが御指摘の主たるポイントでございましたので、それを含めてカリキュラムの在り方を見直すということだと思ってございます。

【加治佐委員】  わかりました。

【村山主査】  当然広がっていくでしょうと、議論としては。ただ、修正するものとしては1ページの告示の手直しということに技術的にはなるのかもしれませんが、議論としては幅広く議論をすると、こういうことですね。

 それから、ちょっと補足しておきますが、どうしても教職大学院のカリキュラムとか何とかになりますと国立の既にある教職大学院のことだけがイメージに浮かんでくるということになりがちなんですが、そこはちょっと違っていまして、これからの議論は、将来の修士化をにらんで私大も含めて幅広く教職大学院が、教職の高度化の内容として、教育コースとして十分意義あるようにどうやってつくり直していくのかと、こういう視点で捉えていく必要があると、私は思っております。その辺、是非委員の皆様も今後御検討頂ければと思います。

 今日は、できましたら委員の皆様全員からちょっとずつでも御発言願いたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。

【高橋委員】  今、教職大学院の教育課程の見直しにおいて、これから中学校・高校免許の教科のことを含めて考えようとするときに、全ての教科が教職大学院に入る、教科専門の教員が入ることが可能かどうかと考えると、それはなかなか難しいと思います、数的にも。そういう場合、例えば同じ教育学研究科で修士課程に開講している科目も自由選択できれば拡がるのではなかろうかと思います。教職大学院の制度設計をするときに、教職大学院の科目は教職大学院の開講科目で、修士課程は修士課程でそれぞれ取りなさいとしていますが、選択科目の一部は共通して取ることができるとすると、かなり自由に学ぶ可能性が拡がるのではないかなと思います。

【村山主査】  これも課題ですね。

 一問一答的にやりますと無限に時間がかかりますので、今日のところは、事務局に全て答えていただかなくても、今後の課題にして宿題にしていくという方向でいいですね。是非ともというときには、大いにお答え願いたいと思いますが。

 それでは、各委員から、御自分の意見も含めて、希望なども含めて、御発言願いたい。

 高田委員、お願いします。

【高田委員】  高田でございます。素人でなかなかよく分からないのですけれども、専門職大学院である教職大学院の方では、実務家教員要件を少し緩和するような方向に答申では書いてありまして、それから、そこを少し大きくしていって教科担当者の教育も行うような、そんな雰囲気があると聞いています。もう一つ、現行の修士課程については見直しをしていき、特に今の修士課程が本当に教員養成のための修士になっているのかというところが多分大きな問題点だと思いますので、ここのところを、現場に即したような形の、本当に教員養成につながるようなものに持っていくことになると思います。今の修士課程と教職大学院の双方から歩み寄っていき、現場のマネジメントもでき、それから教科についても高度な教育ができると、そういうような教員を育てる修士をつくっていこうと、こういうイメージでよろしいわけですかね。

【藤原教職員課長】  失礼いたします。イメージをどういうふうに表したらいいのかというのは難しいところでございますけれども、基本的には、今御指摘いただきましたように、既存の修士課程、この割合というのは特に中・高に関しては大変大きいものがあるわけでございますので、そこを変えることなくして修士レベルの養成の改革とは言えないということが一つあるわけでございますけれども、そういうことを同時にやりながら、あわせて、一つのモデルとしての教職大学院、それをさらに幅を広げて様々なニーズに対応できるようなものにしていくということで、全体としての改革を進めていきたいという考え方でございます。

【村山主査】  有り体に言えば、教職大学院の中身をスタート5年目にして少し変えようということと、既存の教育学研究科もこのままでは駄目だというのと、二つの問題はセットになっていると、つながっていると、言っていいのでしょうね。それをどうつなげるかは今後の具体的な課題かと、つなげ方はいろいろあろうかというふうに、今日はその辺ぐらいに。しかし、今のことは今後の大きな課題であります。

 そのほか、どうぞ。田中委員、お願いします。

【田中委員】  多分そのことと関係してくると思いますが、検討事項の整理の仕方でかなり鮮明になったと思いますけれども、一つは教職大学院の在り方を見直す。もう一つは、教員養成関係の修士大学院の在り方を考える。もう一つは、専修免許状の位置付けを考える。逆に言えば、専修免許状の取得云々のことは、教職大学院でもないし、教員養成系の大学院でもない大学院、例えば理学研究科だとか文学研究科で専修免許状を出しているような大学院の問題というふうに思いますけれども、端的に言うと、今のこの議論そのものは、全体としての質の保証、あるいは質の向上という観点が前面に出ていると思いますが、もう一面では、言葉としては出ますけれども、量の問題ですね。今現在、教職大学院と修士レベルで専修免許状を出している大学院、定員を合わせても4,000名弱というような中で、実際問題、修士レベル化というふうに考えたときに、毎年3万人近く必要になるわけですね。それぞれのところの質の向上ということと、それから量の問題をどう考えるかということは、教職大学院だとか教員養成系の大学院では比較的考えやすいと思いますが、そうでないところの量の問題と質の向上、例えば文学部の研究科に、今、教職課程の認定を受けているところにここにあるような実習ベースの科目を必修化するということは、確かに質の保証にはなるとは思いますけれども、量の問題から考えると、やや、そごをすると言ったらいいのか、矛盾してくることもあるのではないかなと思います。量の問題と質の問題というのは多分、議論を詰めていく際に、バランス感覚よく議論しなければいけないなあというふうに思うことが一つと、もう一つは、専修免許状の制度ができてからもう相当経ちますけれども、現在でさえ高校でやっと2割強ぐらいしか所持者がいないということを考えると、すごく有り体に言ってしまうと、大学院で教員免許を持つことが教員にとってのどのようなメリットになるのかと言ったらいいのでしょうか、その辺もあわせて検討をしていかないと、これはやや、財政の問題だとか、様々な問題が関わってくるので解決は単純ではないというふうに思っていますけれども、ただ、そういう視点を常に持っていかないと、議論がリアリティーを失ってしまうと言ったらいいのでしょうか、そんなふうにも思います。だから、その辺のバランスを、今回しか全体で話す機会がないようなので、文部科学省の方の考え方の御意見をいただけると有り難いと思います。

【藤原教職員課長】  これも特別部会の方で再三議論をされたポイントだと思ってございます。おっしゃるように、教職大学院というのが一定のモデルを示しつつあるとはいっても、量的には815名という大変限られた定員でございます。また、教員養成系のその他の修士課程を合わせても4,000名強ということでございますので、圧倒的に足りないということを十分踏まえた制度設計を考えていく必要があるということは、そのとおりだと思ってございます。そうした観点からも一般大学・学部の位置付けということをしっかり考えながら全体を進めなければいけないということが一つございますし、それから、御指摘がございましたようなメリット、あるいはインセンティブということになると思うわけでございますけれども、それをどうしていくのかということでございますが、中央教育審議会の議論の中でも、今、一つのモデルとして大学と教育委員会の連携関係というのは一部で進みつつあるという状況はございますが、それは全体の中から見ればかなり限られた状況で、本当に県教育委員会なりが教職大学院などでの学びを教職のキャリアパスの中でしっかり組み込んでいくということをお考えになっている県というのはどの程度あるのかということだと思うのです。それがワークし始めている県も、ないわけではないと思ってございます。そういう関係をしっかりつくるということがいずれにしても全体の制度設計を進めていく上でのベースになるのではないかという考え方でございまして、私どももあらゆるチャンネルを通じて教育委員会の方々とも意見交換を進めてきているわけでございますけれども、そういう関係をつくりながら、また実際の中身もつくり上げながら、今御指摘のような量的な問題も考えつつ進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

【村山主査】  これは、本当に大事な、大きな問題です。きょうは初等中等教育局長も高等教育局長もいらっしゃっていますので、これはじっくり、局としてもそれぞれがっちり対応を考えていっていただくということで。

 それから、先ほどのお話の一般大学の理学部の研究科とか何かの場合、実習課題を義務化すると、逆に専修免許取得者が減ってしまうのではないかと、量と質が矛盾するのではないかと、この問題はワーキンググループの方で具体的に検討をしていきたいと思います。そういう問題があることは確かであります。

 そのほか。寺岡委員。

【寺岡委員】  2点、お聞きしたいと思います。一つは、実務家教員の割合の見直しについて、検討課題として出されております。確かに、4割とか、一定数を決めていくということになると、それぞれの例えば教職大学院とかで弾力的に編成できないというところはあると思いますが、現実に、教職大学院がスタートしたときに、ほかの専門職大学院と違って、教職大学院、4割ということでやってみると、福井の例だと非常に意味がある。むしろ過半数が実務家教員です。いわゆる研究者教員との連携の体制を工夫していくと、非常に意味があるなということ。特に学校とか教育委員会との連携ということで言えば、そういう人がある意味でコア、契機になって、非常にいい役割を果たしていただいているというような感じです。ですから、そこら辺の割合の見直しということが出されている、そこら辺りの、これまでの教職大学院について改めて振り返りながらこういう課題が出てきているのかということについてお聞きしたいということが、一つです。

 それから、4ページの教員養成系修士課程の改善についてということで、一番下の、例えば、5ページにもありますが、指導教員数の必置要員がございますが、これを大くくり化するということがありますが、実際にはそれぞれのところで多様な形で専攻を編成するという場合にはこれはある意味で足かせになっているということも事実ですが、一方で例えば総合大学の中で教員養成系というのが今の大変なリストラ再編の中で草刈り場に、現実にこれまでそういう歴史でもありますし、これからますます非常に大きな現実的な課題としてあるのだろうというふうに思います。そういう意味では、大くくり化をやる、それは必要性があると同時に、ある意味でこれが歯どめになっていたということも事実なので、そこら辺をどういうふうに保障を考えながらこういう大くくり化を図っていくのかということは、本当に教員養成系の学部大学にとっては切実な課題であるわけです。それは非常に大きな課題だろうと思いますが、今のところで何かございましたら、御説明頂ければと。

【村山主査】  これはむしろ、これからのワーキングの中で意見交換をしていった方がいいかと思います。

【寺岡委員】  わかりました。

【村山主査】  それから、教員養成大学・学部の立場からということでしょうが、私もかつてそうだったのですが、この委員会は国立の特に教員養成大学・学部を守るために何か考えようという場ではございませんので、むしろ教員の資質向上を本当に図ると、そのためにどうしたらいいのかという、この本筋の方向で。ただ、非常に切実な問題であろうということはわかります。どうぞ。

【長島委員】  大きな話でなくて恐縮ですが、最初に加治佐委員がおっしゃった教職大学院の教育課程の見直しについてということに関してですけれども、共通の科目5領域と、そのほかの選択に当たる部分と、それから実習ですか。加治佐委員がおっしゃったように、どこの教職大学院も大体その3領域ぐらいで構成されていると思いますが、その見直しの際に、これは当然念頭にあると思いますけれども、ストレートマスターと現職の教員の場合とでかなりその様子が違うといいますか、加治佐委員もおっしゃっていましたが、5領域が必ずしも必要ではないとか、実習が必要なのか、必要でないのかとか、そこら辺も意識して議論をする必要があるのかなということが、一つです。

 もう一つは、ワーキンググループを二つに分けてやるわけですね。例えば、検討事項についての5ページのところで、教員養成系修士課程の改善についてのところで専修免許状における実践的科目の必修化の検討という事項が上がっていて、それから7ページの(2)の専修免許状の取得における実践的科目の必修化、これは、一般の修士課程といいますか、そこでの実践的科目の必修化ということだとは思いますが、これは、別々で議論をする必要があるかと思いますけれども、別々でいいのかなという気もしています。

【村山主査】  これは、連絡をとりながらやらなければいけませんね。それも今後の課題でよろしいですね。事務局の方でも、そこは踏まえていって頂ければと思います。

 それから、先ほどの、最初に加治佐委員からもカリキュラム全体について何を検討するのかということで御意見が出ましたが、机上に配付されておりますかね。実は、現行の教職大学院がスタートするときに、カリキュラムイメージということで、現行の教職大学院はこういうようなカリキュラムでやることが望ましいという、中央教育審議会の方で出したものです。恐らく、私も記憶があるのですが、各大学はこれに基づいてやったのですね。今回、具体的な制度的な検討としては告示というところになるのですが、当然、こっちもあわせて、これの改訂版を出すのかどうかは別にしまして、これも検討してみなければならないということになろうかと思います。

 それから、今のお話の一般大学の専修免許状の在り方と教職大学院のコースの中身の問題とは、一定の整合性といいますか、バランスが必要かもしれません。その辺も今後の具体的な検討で議論をしていきたいと思っています。

 さて、もう少し修士化という点で、いい教師のために何が今必要なのかというような視点を含めまして、どうぞ御発言をお願いいたします。

【竹原委員】  竹原です。この中にいまして、私は多分、地域に一番近く、市民に一番近い立場で出席させていただいています。現場でどんな先生が望まれているか、どういう先生であったらいいかというのを肌で感じておりますが、今、国全体で、街とともにあるとか、地域と連携したというキーワードがありますけれども、幼稚園、小学校段階から大学まで、先生に求められているものというのは、専門性の高さ、教科に対する深い指導力というだけではなくて、異なった文化や異なったセクターの人、それから、もちろん地域の人ときちんと対応したり、子供たちを育てる、違う立場の担い手とともに育てるということが本当にできないと、ただ教室の中、大学の中だけで子供と接するということは、それが高度化されていくのは当然だと思いますけれども、育てた学生たち、子供たちは社会に出ていきますので、そこをきちっとできるものを、とても見えにくいものではあるのですが、それを、実践力ですとか、現場での実習ですとか、そういうところの視点に入れていかないと、いつも、例えば理科が上手に教えられますとか、すばらしいですというだけではなく、本当に子供を育てる先生になっていただきたいというのが、現場での思いです。それで、学び続ける姿というのは、多分そこにキーワードがあるのではないかと思っています。

【野木委員】  野木と言います。私は企業の人間で、昨年まで横浜市の教育委員をしておりまして、どちらかというとIT企業でずっとやってきた者で、最近少し教育の方に携わっているという、そういう者でございます。

 私は、教員の質を高めて、そして教員がみんなから尊敬されるという、今はどうしてもそういう状態がなくなってきて、多分、いろいろ問題があると思うのです。それがもっともっと尊敬される人になるためにこういった修士レベルにするとか、これは非常に賛成でございます。ただ一つ、修士レベルと言っているのですね。修士レベルと修士とは違いますね。これをまず、ひとつ御説明願いたいですね。

【村山主査】  これは、スタートに当たって、少し説明していただいた方がいいですね。

【藤原教職員課長】  失礼いたします。先ほども少し触れましたけれども、修士化ではなくて、修士レベル化と書いてございます。それは、修士というのは大学で取る学位なわけでございますけれども、免許状というのはそれと若干ずれていまして、必ずしも大学で学位を取らなくても免許が取れる場合がございます。それは、現行の専修免許状であれば、上進制度というのがございます。勤務経験3年以上ある場合に15単位を大学院で取れば取得が可能という制度があるのでございますけれども、そうしたものも含めて修士レベル化と言ってあるということでございます。

【野木委員】  レベルって言わないで、きちんとした修士論文を書いて修士になればいいのではないかと思うのですね。ちょっと見たら教職大学院は論文書かなくてもいいと書いてありますけれども、これはちょっとよろしくないのではないかなと思うのですよ。ですから、何ならきちんと修士を目指すということで、一部、修士ではなくても免許はありますよという、そういうような形にしたらいいのではないかと思うのですね。

 それから、今まで教職大学院の卒業生というのはどれくらいいらっしゃるのでしょうか。

【鍋島教員養成企画室長】  毎年大体800人ぐらい入学定員がありますから、一番早いところは20年からできましたので、3,000人ぐらいでしょうかね。

【野木委員】  その方々は、まだ入って2年ぐらいしかたっていないと思うので単純な比較はできないですけれども、さすがに教職大学院を出てきたなとかいうような方々が多いのか、そこら辺はどうなのかということが一つです。これも別に今お答えにならなくてもいいかと思うんですけれども。そうしますと、やはりここを出るといいなとかいうような、比較の参考になるかと思います。

 それからもう一つは、教職大学院は夜とかもやっているのでしょうか。

【村山主査】  はい、夜もやっているところが多いですね。それは現職の先生方のためにやっているという。

【野木委員】  私も早稲田で大学院の授業をもっているのですけれども、それも夜とか随分あるものですから、そういうのがあるといいなと思いますね。

 あと、私は全然違う分野から教育委員をさせていただきまして、そのとき感じたのは、先生の世界というのは狭いなと思いました。そして、校長になりますと急に広くならないといけないというような、そういうことを非常に感じました。もっともっと、ある意味社会人が出ていく。多分、この教職大学院をやろうと、教職大学院というか、いわゆるマスターレベルにするというのは、もっともっと実地を積ませて、そして入って――企業に入ってくる者もそうなのです。コミュニケーション力ほとんどなしとか、そういう人が多いのです。多分、先生もそうだと思うのです。それで、保護者にめちゃめちゃにやられ、周りの先生方にやられ、そしてやめていく方々も多いと思うのです。そういうところを是正しようという感じなのだと私は思っているのですけれども、やはり社会人の枠ですとか、今、民間人校長もありますが、それは本当に少ないので、数がある程度ないとそのメリットは出てこないと思っているのです。ですから、社会人とか、あともう一つはポスドクです。ポスドクがきちんとした仕事に就けないで、しかも非常に高い能力を持っている人が結構いるのです。そういったところに対しての教職大学院ですか、こういうところを何とかうまくできればいいのではないかなと思います。

 以上でございます。

【村山主査】  今の点はもう既に中央教育審議会の特別部会でも結構議論されたところでありまして、課題としては多分、事務局でも押さえているのではないかと思います。

 最初の問題は、結局、レベル化という表現ですね。どういうことなんだろうと、皆さんはそう思われると思うのですが、ただ、背景として、先ほど上進制度のことを言いましたが、その前提に何があるかというと、実際に日本の小中高の教員は私立も含めまして約100万人と言われているんですね。修士を持たなければ一般免許を出しませんよと、いずれ、あと何年か後にそうなるのかもしれません。なるのだろうと思うのですが、そうした場合に、実際にその段階で現職の先生方をどうするのかと。これはやはり、今もやっているのですが、免許法認定講習。という上位の免許状を取得するための講習会があります。各大学がいっぱい開いている。そういうようなことで対応しなかったら、100万人を一気に修士に入れるということは現実的にあり得ないですね。

 それから、新採用の教師だけでも3万人以上いるんですね。その3万人に対して、国立の教育学部が3,300名、教職大学院が815名で、4,000名ちょっとなのですね。ただ、それ以外に専修免許を出しているのが、国公私でたくさんあります。毎年1万5,000名ぐらい、専修免許を取っています。それは当然、今回の修士レベル化の大きな舞台になる。教育機関として想定しなければならない。しかし、それが現状のままでいいのか。だから、よく教職大学院だけの問題だというふうに見られがちなんですが、答申の考え方としては、国公私、それから教員養成大学・学部以外の一般の大学・学部での専門を中心とした修士レベル化というものは大変意義が深いと。そういう中でポスドクの問題も十分、今後考えていかなければならない。その辺は特別部会でもいろいろ議論があったところでございます。

 そのほか、高度化の中身ですね。論文の是非の問題もありますが、それは中身だと思います。どういう実践的な力を、コミュニケーション力と言っている、何をどうやってつけるのかと。これは、カリキュラムの問題、指導方法の問題として、具体化しなければなりません。それもまた、今後、ワーキンググループの方で大いに議論をしていきたいと思います。

【細谷委員】  この中で、安倍委員以外は、私が現職の学校からの代表かなと思います。今、中学校の校長をやっておりますけれども、先ほど竹原委員がおっしゃったように、現場では、今、若い先生に関して非常に危機感を持っております。実際に私が校長として勤めた2校においても、いわゆる初任者レベルでつぶれてしまうのです。原因は何かというと、つぶれる方々は大体若い方、大学卒業してすぐとか、多少、講師経験をして2、3年という方なのですけれども、共通して言えるのは、教科指導は好きなのです。つまり、勉強は好きなのです。ところが、子供に接するとなると、駄目なのです。教科指導が好きなのはいいのだけれども、肝心の、いわゆる子供への理解とか、子供への愛情という部分で、愛情はあるのでしょうけれども、情熱も最初はあるのでしょうけれども、だんだん失せていく。こういった部分について、免許状の検討をするこの部会でそういうものは取り上げられないのかどうか。私は竹原委員と同じ危ぐを持ったのですけれども、それは現場からの感想です。

 それからもう一つは、やめていかない初任者もいるのですが、これは、東京都の場合ですと教員採用の年齢枠がなくなったものですから、30代、40代、中には59歳で新任だという教員もいるのです、東京には。でも、この方々は、順応性もありますし、人間的なバランスもいいですし、即、戦力になるのですね。逆に校長たちは、こういった教員がいないかと、30代、40代、そんなにいないのですけれども、教育委員会の方に求めているというところで、今、野木委員もおっしゃいましたが、社会人経験というのですか、あるいは社会経験というのですか、大切な要素かなと思います。もちろん、全てがいいわけではないのでしょうけれど。そういうようなものが今回のこの会議で何か話題になるのかどうか、その辺についてもしお答えになられる方がいらっしゃれば、お願いしたいと思います。

 もう一つ、今度はまた別の話ですが、最初の教職大学院の教育課程の見直しについてのところに、先ほどから、修士レベル、修士レベルという話がありますが、何をもって修士レベルとしているのかというところですね。例えば教科教育に関する修士レベルというのは何かなというふうに考えたときに、やめていく教員の中で、勉強は好き、教えるのは好きだというのですけれども、決定的に欠けているのは、指導法と教材研究ということが全然できないのです。教材研究というのは、初任者だろうが、ベテランだろうが、授業に臨むに当たって必ずやらなければいけないところ。それから指導法というのも、お給料をもらうような人であれば、ある程度、大学でいろんな実習も含めて訓練をしてこなければいけないところ。それが欠けているのです。したがって、それで授業が成り立たないと。あるいはめちゃくちゃなことを教えているというような結果になりまして、当然それに親の苦情が来るという話です。ですから、修士レベルというまで言うのであれば、この辺の教材研究に関わる教科の内容の、教員が自分の専門としてどれぐらい消化できるのかというところも議論をして頂ければと思いますが、この中で学校・教育委員会と教職大学院との連携という言葉がありますけれども、学校・教育委員会と教職大学院の連携も大事だと思いますが、特に中学校教育、高校もそうですが、教科専門なのです。その場合に、学校レベルの中に、例えば国語科で言いますと、国語教育研究会、これは、全国、各地区、いろいろあります。こういった研究会との連携はもっと大事かなと。この辺は教育委員会の範ちゅうに入るのか。それから、校長会というのがあります。こちらはこちらで一つの専門集団ですので、こういった団体との連携というのも学校・教育委員会との連携の中に含めていただきたいなと、そんな考えを持っております。

【村山主査】  今の最後の点は今後踏まえていただくことにして、最初に、特に新人などの研修なり、そこでの弱点なりをどういうふうに考えていくか、研修の在り方、こういうのは今回検討されるのかという、そこについてはいかがですか。

【藤原教職員課長】  おっしゃったポイントは、先生として教壇に立つ人に何が求められるのかと、それを培うためにどういったカリキュラムがあるべきなのかという観点から議論をされるべきだと思ってございますので、この中に含まれるというふうに考えてございます。

【村山主査】  以前こういう議論があったのですが、大学の中の議論ですが、サプライサイドとデマンドサイドという言葉を、横文字を使うのですね。つまり、サプライサイドというのは、教員を送り出す大学側です。デマンドサイドは、教育委員会とか学校側ですね。こんな教師を欲しいと。どうもこの議論は、ともすればサプライサイドの議論に終始してしまう。だけど、本当の課題はデマンドサイドの方なのではないか。そこから、こういうふうにしてほしいんだと、こういうのでなければ駄目なんだというものに沿って、サプライサイドは考えなければならないと。どうしても大学人の議論というのは、サプライサイドの方からばかり議論をすると。こういうことが大分前に日本教育大学協会などでも随分議論になったことがあるのですね。私は、今回、具体的な制度についての検討はかなり細かい点を急いでやる予定のようですが、課題としてはむしろ、今回、修士レベル化というのが正式に打ち出されて、初めての検討の場ですよね。そこで、今、デマンドサイドで何が求められているのかを押さえない議論は駄目だと思います。そういう点で大いに今後も発言をお願いしたいと、皆さんでそこを踏まえていく必要があろうかというふうに、勝手にでありますが、思っています。

 実際に、具体論として、課題は、教職大学院を柔軟化したり、中身をもっと質よくしてつくりやすくしたり、学生も現職も新人も入りやすくすると。受皿の問題でもあるのです。それから、既存の質、一般大学の大学院の専修免許状の質を上げると。これもデマンドサイドなのですが、だけど、そういう受皿をいっぱいつくっても、来る学生がいるのかと、そういう問題が根っこにあるわけです。デマンドサイドから、やはりこれからの教師は修士ぐらい出てなければ困るぞというので教育委員会がどんどん現職教員を派遣してくれたり、あるいは教師志望の若い学生たちに、よし俺は大学院に行って力をつけてから教壇に立つぞという教員が増えなければ、いくら受け皿をつくっても、また定員割れだとかって一部の新聞に言われるということになりかねないわけで、そこは両方が必要だと。正にサプライサイドとデマンドサイド、両方複眼的にやっていかなければと。特に教育委員会関係の方で、今の研修なり、先ほどは若い先生の話が出ましたが、中堅にしてみても、管理職も含めて、本当にこれで大丈夫だろうかと、研修がうまくいっているのだろうかと、これも特別部会で随分議論になったことなのですね。それはやはり今後も大いに出していただいて、10年先のことではなくて、5年先のことではなくて、当面、来年、再来年の、各県教育委員会が関わっている現場の先生方の資質、初任者も、新人も、中堅も、管理職も、本当にこの資質でいいのかという、そこから議論を組み立てなければ、う遠といえばう遠だけれども、これがやはり正道だろうと、私は思っております。

【早川委員】  前職、岐阜県の教育委員会で義務教育担当の教育次長をやっておりまして、現職、岐阜市の教育長をやっております。デマンドサイドの代表として、話をさせていただこうと思います。論議にきっとつながると思うので、3点だけお話ししたいと思います。

 一つ目は、今、非常に切実な問題として、校長のマネジメント能力をどうつけるかというのが、大きな問題になっています。校長の多くが学校に遅くまで勤務していればその先生は熱心な先生だというような評価をするような状況がまだ現実に続いていますので、それを含めたマネジメント能力をつける土台としての現職教員の教職大学院というのは非常に有効だと思っています。しかし、私ども岐阜県は、優秀な先生をそこに入れて、そこからインセンティブを与えて事務局に入れたりしているんですが、その際に、30代の優秀な教員は、教科指導で燃えている教員なんです。その教員をミドルリーダーとして育て上げて、教職大学院の2年間の間にマネジメントの脳みそをぶち込んで、それを将来、40代後半ぐらいでどうにかマネジメントに目を見開かせて教育界の中心人物にしていきたいという、そうした構想がある中で、本人たちはきっとそこで悩みがあるのです。教科指導をやりたいのに、教職大学院に行って、学校経営、マネジメントについてやると。自分がやりたかったのは、どうやって跳び箱を跳ばせることができるかということを教えたかったのにという。どう説得させるか、どうミッションを与えて行かせるかというのが一つの大きな問題であるから、そのことについて教職大学院が――現職教員のですよ。はっきりと性格を意義付けることが重要だということを思います。

 二つ目は、私どもは岐阜大学と、大学のときの学生の成績、それから、採用時、その後を評価活動いたしました。そうしたら、大学のある学習をしているから、そのことが受かりやすくて、その後いい先生になったという関連性は、全くありませんでした。ただ、唯一あったのは、教育実習です。教育実習でよかった学生は、よかった。これは大きなヒントがあると思います、これから大学院の設計をしていく中で。もう一つは、誠に皮肉な結果ですが、免許をたくさん取った学生ほど、成績が悪かった。

では、どういう学生がよかったかというと、部活動、ボランティアに積極的だった学生。だから、冗談で学生に言うのですけど、免許状はなるべく最低限にして、部活とボランティアに頑張ってくださいと、それから教育実習はいい成績をとってくださいと、そういうことなのですけれども、これも恐らくヒントになっていると思うのですね。しかも面白いことに、高度な教育を受けた学生は、スタート時はスムーズに行くのです。ところが、6年すると全く変わらない。6年して指導主事に評価させると、6年前の評価と6年後の評価というのは全く、どこの大学でどういう関係になっているかというのは関係ないのです。それは何が関係あるかというと、最初、若いうちの6年間は吸収力です。よく聞いて学ぼうとする。だから、このキーワードになっている、学び続ける教師がやはり優秀な教員であるということです。これは面白い結果だと思います。

 3点目です。実務家教授か、研究者教授の割合の問題です。これも、現職教員に、教職大学院が終わった後、いろいろデータをとってみたら、大学の先生方は先行研究というのに大変こだわられると思っていたのですが、しかし、先行研究について徹底的に調べろと言ったのは、実務家教授の方でした。研究者教授の方はむしろ、もっと思い切ってやれと、今までの現場がやったことを思い切ってやれというふうに言っていただいたという。その辺はどっちがどうかという評価ではなかったのですが、お互いにやはり歩み寄りがあって、いい結果は生まれているようです。特にその辺は、免許更新講習は大学の先生ももちろん適切にやっていただいているし、県教委から推薦したメンバーも更新講習のスタッフに入っています。終わるごとに評価順を並べると、ベストテンは、申し訳ないですけど、教員の方でした。下の方に大学の先生が並んでいたのです、1年目は。それが、だんだん大学の先生の成績が上がってまいりました。恐らく実務家教員が免許更新講習の中で、どうわかりやすく話すかとか、そういうことも効果として大きかったのだろうと思います。

 直接問題に関わったかどうかわかりませんが、デマンドサイドとしてはそういう感想を持ちます。

【荒瀬委員】  京都市では6年前から教師塾というのをやっておりまして、大学の3回生を中心にして六百数十名の学生を受け入れて、今期も10月13日から土曜日を中心に講座を始めることになっています。そういったところで、大学生を見ていて思いますのは、教科の力ということもそうですけれども、少なくとも人間的な成熟というのが極めて緩やかであるということです。中央教育審議会の高等学校教育部会や高大接続特別部会で、高等学校卒業段階でどういう力をつけておくべきかという議論をしていますが、正に「学び続ける教師」ということが言われていますけれども、生涯にわたって学び続けるような人間をつくらないと駄目だろうということを話し合っているのです。学校教育に課題があるということで、どのように教員養成をやっていくかということを考えるのが私たちの務めですが、教師のみならず、社会人になってからいろいろと課題があるということが指摘されているのですね。ですから、その意味でちょっと、問題を拡散させる気は全くありませんが、生涯にわたって学び続けるような、そういう若者を育てなければならない。そしてそのような人を育てるという、そういう意味で国家百年の計と言われるのでしょうけれども、大変な仕事をする人をきっちりと養成しなければならない。ところが、残念ながら現在の学生というのは極めて幼いです。ただ、その人たちは、この間、幾つかの大学の教員を目指している学部生の皆さんとお話をしたり、ワークショップみたいなことをやったりしている中で感じましたのは、大変真面目で、大変向上心があって、素直ですし、非常にいい感じの人が圧倒的に多いということです。ところが、また残念ながらその人たちの持っている経験というのは極めて単線的ですね。ですから、当然、初中教育も頑張らないといけないわけですけれども、同時に大学教育の中で教員養成をどうしていただくのかというのも頑張っていただかなければならないと思うのです。やはり、早い段階でどういう学生に育てていくのかというのが、修士課程まで延ばすにしても、あるいは修士課程でなくて何らかの形で修士レベル化を図るにしても、もとになるものをきちっとつくっておかないと駄目なのではないかということを強く思います。

 もう1点、教育委員会に入って思うのですけれども、現在、教育委員会というのはいろんな点でたたかれ続けているわけでありますが、有り体に申し上げれば、その一部のミスとか間違いが、あるいは学校の一部のミスとか間違いが、教育全体に対する不信感につながらないような――今回、8月28日に答申が出て、その1カ月後には具体的にワーキンググループをつくってやっていこうというような大きな動きがあるわけですから、こういったことを是非前向きな形で広報していただいて、教育を対象とした国民的な前向きの議論が起きるような、様々な意見が出てくるような、そういうことにこの取組がなっていくといいなあということを思っております。

【村山主査】  後半の最後のところは、大事なところですね。これだけいじめや何かの問題で、本当に学校や教師は信頼されているのかという問題は、深刻だと思うんですね。それに対して、国挙げて先生方の力をつけるためにこんな検討と努力をしますよっていうアピールですね。それを是非とも積極的にした方がいいと、それが見えるようにということかなあと。深刻だと思いますね。教師不信、学校不信というのが、今、人々の間で潜在的に沈殿しつつあるかなあと。それは将来にとって大変ゆゆしい問題だと思います。

【坂越委員】  失礼します。最初は、本当にすごく初歩的な疑問、修士レベルって何だろうということをずっと思っていまして、今日、いろいろ委員の皆さんのお話を伺いながら、頭が大分整理できかなあと。制度的な面については、私たちが入るワーキングは基本的に教職大学院と現行の修士課程ということなので違うとは思うのですけど、その枠内でということは思うのですが、先ほど最初に課長から御説明ありましたように、将来的には、初任研だったり、10年研、現職経験ということ、ここを単位化するような形も考えていくとすれば、やはりそこは整合性が要るだろうというふうに思います。その整合性というのは何なのかというと、今度は、制度面、内容面というか、資質能力をどう設定するのかという辺りのことが、これは本当にワーキングの中の具体の話になっていくだろうと思うのですけれども、そのときにちょっと思うのが、いろんな方からも出ていますが、現行としては学部養成で現場に出ていますよ。なおかつ、今、教員養成、教職課程を持っているところは、自前のスタンダードをつくって、これができれば教員ですよという。来年は本当に演習が始まりますよね。今度、それが修士レベル化となったときには、そこをどうレベルアップ、どれを高度化するのか。もちろん今回の答申の中にもそういうことがうたわれているとは思うのですけれども、もう一つ具体的に、どういう力、能力として修士というふうに言えるのかというのが今回ポイントになるのかというふうな印象を持って、お話を伺いました。

【熊木委員】  私は、この中で恐らく唯一だと思いますが、教職大学院修了者です。

 平成20年度に、教職大学院に1年間在籍いたしました。現在は、東京都教職員研修センターにおいて、先生方の研修を実施しています。先ほどからの話を伺っていて思い出したことは、どちらかというと授業が苦手な先生方の授業力を高める研修において、一番端的に先生方の共通部分を見つけるとすると、授業の計画である指導案の中に、児童・生徒の反応を予想できていないことが挙げられます。こんな発問をしたら、こういうふうに子供は反応するだろう、ということが予想できないのです。また、予想したとしても、ワンパターンになってしまっていて、多様な子供の反応を予想できていないのです。この点は授業が苦手な先生方の共通部分として捉えられましたので、是非、教職大学院の科目の中にある、生徒指導や学級経営のところで、子供の反応、子供の思考について考える内容を取り入れられないかなと思いました。

 教職大学院のニーズについてですが、小学校、中学校、高等学校と校種による違いがあります。また、先ほど話題になりましたが、学校の中で教科指導を頑張りたいと思う先生もいらっしゃいますし、将来は管理職として学校のマネジメントをしたいという先生もいらっしゃいます。どの辺りに焦点を絞っていくのか、また、どのようにすみ分けていくのかということも、一つ課題になるのではと思いました。

【安達委員】  安達でございます。私、私立大学に勤務しておる者でして、埼玉の大学です。そんな立場から3点ほど、今日の検討事項とは直接結び付かないと思いますけれども、感想ということでお聞き頂ければと思います。

 先ほど主査からサプライサイドというお話がありましたが、そういう意味では、私の大学などは正にそのサプライサイドということになりますが、学生の反応として、今、教職課程を取っている学生も修士レベル化という話は聞いていて、将来、自分がどうなるのだろうということをやや不安に思い出しています。レベル化と修士というのを混同している人が多数おりまして、その辺の概念はしっかり説明していく必要あるだろうなと思いながら、かつこれは、法科大学院ですとか、あるいは薬学部の6年制というようなところと似たようなところがありまして、結局、そこまで出ないと勤められないのかというところで、そんなに長く勉強するのなら嫌だな、ほかへ行っちゃえみたいなようなことも、さもあると思うのですね。そこで、魅力のある教員ということをアピールすると同時に、一方で、特に修士課程の学生ですね。そういう学生に対して、本来、教員採用試験があって、そこをパスしなくちゃいけないということであるのですが、もし落ちてしまったらどうしようという不安も学生の側からするとあるわけでして、そこに対して何がしか、担保するということはまたおかしな話になってしまうのですが、何かうまい方法はないのかなと、指導する側としていつも考えているというところはございます。

 それから2点目は、これは検討事項にもありますが、情報の公開ですね。これも学校種の免許種によって状況が大分違うものですので、これはワーキングの方で議論を進めるべきかなと思っていますけれども、今、いろいろな大学の情報が世の中に公開されていますが、果たしてそれが今回の一番の目途である質の保証というところに結び付くかどうかというところは、慎重に考えなくてはいけないと思っております。

 それから、3点目ですけれども、先ほどもちょっとお話ありましたが、いわゆる教職実践演習が大学の方でもスタートして、そういう中で、大学、教育委員会、現場ですね。教育実習のとき、いつもそうなのですが、とにかくそれの連携の難しさ。実習に送り出す方も「御迷惑をおかけして大変申し訳ございません」から挨拶が入ってしまうというところで、いつも苦慮しているところです。ですから、この議論の行き着く先に、今は連携という言葉で表現されていますけれども、将来は、一体化というような、そのぐらいのレベルまで積み上がっていくといい教育課程ができ上がるのではないかなと個人的に思っておりますので、そんなことも念頭に置きながら議論を進めて頂ければというふうに思っております。

【村山主査】  それでは、皆さん、これで大体御発言いただいたと思います。もうそろそろなのですが、せっかくですので、局長から一言ずつお願いできますか。

【板東高等教育局長】   どうもありがとうございました。大変重要な点をいろいろ、ポイントを御指摘いただいているかなあというふうに思いますし、それから、いろんな御疑問の点は、今、非常に短期的に考えるときの問題と、長期的に、幾つかのステップを踏みながら、どこを目指すのかという問題と、両方含まれているかと思います。この問題は恐らく、かなりステップを踏みながら少しずつ固めていかなくてはいけない、前進していかなくてはいけないという課題で、特に、組織を整備したり、大学院レベルのそういう課程をどう整備、先ほどからお話のように量的・質的に充実していくかというのは、非常にある意味では息長くやっていかなくてはいけない課題であるかと思いますので、これは、そういった短期的・中長期的という両方の視野を持ちながら、御検討いただき、進めていかなくてはいけないことだろうかなという感じがいたしました。

 それから、先ほどから御指摘のように、何人かの委員から御指摘のように、これはいきなり大学院レベルのところだけを見ても、恐らくいい教員は養成されない。やはり学部教育自体の在り方とか、その前からでありますけれども、本当に学ぶということの姿勢というのをどう初中教育、高等教育を含めてつくり上げていくのかというのは、今、教育の中の非常に大きな課題にもなっておりますけれども、そういった方向性とも十分に合わせながらこの教員養成の問題というのは考えていかなければいけないなということを、今改めて感じさせていただきました。非常にいろんな意味の体験とか、いろんな視点とか、そういったことをどう育成していくことができるかという、教育全体の問題としても非常に重要な問題を御指摘いただいたと思いますので、それが端的にこの中で実現されていくように、教育の中身、組織ということも考えていかなければいけないなということを感じさせていただきました。どうもありがとうございました。

【小松私学部長】  今回の一連の御検討、是非よろしくお願い申し上げたいと、文部科学省の事務方の一員として思っておりますけれども、先ほど村山主査からもお話がありましたが、中央教育審議会で答申があってすぐに、今回のような形でより突っ込んで、しかも比較的短い時間でやっていただこうということになるわけです。考えれば考えるだけ、今日もいろんな論点がたくさんありますので、全部追いかけるといつまでたっても議論をしなければいけない、これは永遠の課題だということで、いろんな周りの情勢の違いもある中で、より今の社会を見据えた、しっかりした教員を養成するシステム、一歩脱皮しようよということはみんなが合意していて、かつ、それを大学院のレベルで中身をうまくやっていこうよというところまでは来ているのですけれども、それにも相当時間がかかっていて、時間をかけると何か結論が出るというものでもないところがあるかと思いますので、そういう意味では回数が少ないのは苦しいのですけれども、事務方も頑張るという条件付きで、是非よろしくお願いをしたいと思っております。

 それからもう一つは、今日も盛んに出ておりますが、要は全体を満遍なく議論しようとすれば、みんな見方・考え方が違って、どれもリーズナブルなものですからうまくいかないので、よくとられる方式ではあるのですが、今、局長からのお話にもありましたように、学部レベルでの教員養成をどうするのかとか、そういったことが含まれてこの議論が本当は前提としてはあるのでしょうけれども、ある種、教職大学院とか修士のところをどうするかというところに、それはある意味暗黙、違う意見はあるでしょうけれども、暗黙のものとして、そこのところを具体的に少しやってイメージをつくってみて、そこから逆算して普遍化するということなので、ある種、ここのところは具体的に御議論いただけるといいなと思っております。私学の学校法人とを担当している立場から申しますと、それは実際どうやったら有効にやれるかというのは、この議論の後には、ある種コストをどう見るかということを考えないとうまくいかないと思います。こうあるべきだという議論がないのにコストの議論をしてもうまくいかないので、是非あるべき論というのをお願いしたいと思うのですけれども、このコストというのは別にお金のことに限らなくて、例えば、先生方はどのぐらいいらっしゃるのか、教えられる方はどのぐらい養成されているのか、将来それをきちっと用意するにはどれぐらい先生方の養成にかかるのか、それから、出られた方がどのように就職なり、そこでかけた時間とか、そういったものが処遇に反映されるのかどうか、現役を送り出される学校や、ミッションで行かれる人たちの人生設計にはどうか、そういったことを考えて実現に結び付けなければいけないと思いますので、そのときに、全部ではなくて、骨子というか、ここだけは押さえてというのを是非しておいてくださると、今度、我々行政としてそれに対応するときのコストとか関係方面への説得とかに非常に必要なことになると思いますので、そういう観点で是非とも骨太のところを押さえてくださるように、限られた時間なので、お願いできればと思います。

【髙橋審議官】  本日は、どうもありがとうございました。それぞれのお立場から非常に納得できるような御意見もいろいろと頂きましたし、我々事務方としてもできるだけデータなど示せるものはしっかりと準備しながら、次回以降、今お話がありましたように大変短期間で集中した議論をお願いすることになりますけれども、まずは当面できることをしっかりやっていくということで臨みたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 それから、2点ほど感想ということになりますが、1点は、荒瀬委員からお話がありましたように、今やっていることをもっと、教育はこうなのだということをアピールしていくということはこのワーキングを越えて大事なことですので、そういうことは常に応じていきたいと思いますし、それから、学生さんが不安に思っている状況もあると思いますので、そういうことがないようにしていかなければいけないなということは、もう少し長いスパンの話になりますけれども、これも是非応じていかなければいけないという思いをまた新たにいたしました。

 今日は、どうもありがとうございました。

【常盤審議官】  常盤と申します。今、大学の担当の審議官をしておりますけれども、5年ほど前には実は、ゆとり教育でけしからんと言われていたころの学習指導要領を改訂するという担当をしていまして、私と髙橋課長と学習指導要領の改訂を行ったわけですけれども、そのときにやはり、生きる力を育むということで、これからの特に非常に激しく変化する社会の中でしっかりと自分の頭で物を考えて行動できる子供たちを育てたいということで、ある意味、非常に大議論をやってカリキュラムの改訂を行ったわけですので、それを具現化するためにはやはり、それを指導する先生方が正に同じように自分の頭で物を考えて行動できる先生でなければ困るわけですし、もっと言いますと、その先生方を育てる大学での教師教育がそういうものでなければいけないという関係に立っているのだろうというふうに思いますので、ある種、因果はめぐるというか、初中教育レベルでいろいろ議論してきたことを是非今回の大学の教員養成の改革にも反映できればいいなというふうに思っております。

 それから、今日、教員養成の高度化の議論の中で、いろいろな御要請があるということが改めてわかりました。先生方の中には、大学院で理論を深めたいという方もいれば、教育委員会としては、マネジメント力を高めてほしい、あるいは若い先生方に実習を通じて実践力を高めるということを希望すると。あるいは、教師は幅が狭いので、もっと幅広い教育をしてほしいとか、経験を積ませてほしい。それから、社会人、ポスドク等を教師に転換するということはできないのだろうかと。いろんな要請があるわけですので、その中で、全てにこの修士レベル化というものは直接にこたえられるのかどうか、ある程度絞っていかなければいけない側面もあるかと思います。むしろ大学院がそれを担うことが一番得意とするような分野を選んでいくということも大切かというふうに思いますので、そのあたりは是非また先生方にいろいろなお知恵を貸していただきながらよりよいものに制度設計できればというふうに思っておりますので、よろしく御指導いただきたいと思います。

【村山主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、時間を経過しましたので、最後の方ですが、先ほど説明ありましたワーキンググループの分担につきまして、それから今後のスケジュールについて、事務局から両方一緒に説明していただけませんでしょうか。

【藤岡教職員課課長補佐】  今、お手元に、それぞれの委員の方がどちらのワーキングに入られるかということにつきまして、ペーパーを置かせていただいております。このような形でワーキングを設置させて頂ければと考えております。

【村山主査】  この点、よろしいでしょうか。

 それでは、皆さんに、こういうワーキングの分担で進めるということで御了解いただいたことにしたいと思います。

 それでは、以上ですが、私、途中で何度も言いましたが、それから板東局長からは、短期と中期、長期といいますか、そこを仕分しながらどうやるかということも大事かなと思います。恐らく二つのワーキングとも、検討事項というのはかなり細かい事柄になろうかと思います。具体的な細かいこと。でも、その枠組みに制限しないで、やはり大局的に、最後に荒瀬委員がおっしゃったことは非常に大事なことで、今の日本の中で教師や学校に対する信頼を本当にきちんとつくっていかなければならない、そのための一つの作業であるというふうに、是非とも皆さんそういう気持ちで議論を大いにやっていただきたいなというふうに思います。

 それでは、どうも御苦労さまでした。

お問合せ先

総合教育政策局教育人材政策課

(総合教育政策局教育人材政策課)