資料1 検討事項「専修免許状の取得における実践的科目の必修化」検討のためのたたき台(修正版)

 専修免許状については、免許を取得する際に、学校現場の実践性を備えた教育が十分でないとの指摘があり、中教審答申においても、「例えば、理論と実践の架橋を重視した実習ベースの科目を必修化するなどの取組を推進していく必要がある」と指摘されているところである。そこで、専修免許状の取得にあたって、実践的指導力を向上させるため必修化する実践的科目のモデルを示すものである。

1 趣旨:下記の中教審答申を踏まえて

 ○教育委員会と大学の連携・協働による教職生活の全体を通じた一体的な改革、新たな学びを支える教員の養成と、学び続ける教員を支援する仕組みの構築(「学び続ける教員像」の確立) 

 ○一般免許状(仮称):探究力、学び続ける力、教科や教職に関する高度な専門的知識、新たな学びを展開できる実践的指導力、コミュニケーション力等を保証する。

 

2 目的:当面の改善方策として、専修免許状で何を保証するのか

 これまでの研究科では、教科に関する科目と教職に関する科目で、それぞれの専門的知識の深化は保証されている。しかし、「新たな学びを支え、学び続ける教員」を養成するためには、それだけでいいのかという問いに応える必要がある。

(1)前提

 研究科の学生は、既に一種免許状を取得しており、教職実践演習で学部レベルの到達目標に達していることが前提である。しかし、学部時代の教育実習は、「実習校で準備された教育実習」であり、自らが主体的に学校教育に参画するものではない。

(2)これまでの専修免許状に不足していた視点

 教育学研究科では「教職+教科専門」中心、一般の修士課程では「専門科学」中心の理論を学んでいるが、現行の専修免許状では、それぞれの理論を教育実践につなぐ学習が保証されていない。つまり高度専門職業人としての教員を養成する上では、「理論と実践の架橋」の視点が不足しており、新たな学びを展開できる実践的指導力は保証されていない。

(3)専修免許状で、何を保証すべきか

 専修免許状の取得にあたっては、「学校や子どもの実態と課題を把握した上で、主体的に学校教育活動に参画するインターンシップや学校現場をフィールドとする活動を通して、教職として課題を解決していく力やカリキュラム改革を推進できる授業研究力などを身につける」ことで、新たな学びを展開できる実践的指導力養成に結びつける仕組を作る必要がある。

 

3 専修免許状の取得における実践的科目の内容について

(1)実践的科目の構成

  1 課程認定を受けている各研究科は、それぞれが目指す教師像に向けて教職課程を改善するが、上記の目的を達成するためには、専修免許状の取得に必要な24単位の中に、「教職実践に関する科目」(仮称)を位置づけ必修化する必要がある。

  2 「教職実践に関する科目」(仮称)には、

   ・主体的に学校教育活動に参画するインターンシップ学校現場をフィールドとする活動と、

   ・その教職実践を指導し、実践の事例研究を行う研究科での授業科目:教職実践研究(仮称)

が考えられ必要である。

(2)「教職実践に関する科目」(仮称)の内容

  1 「教職実践研究」(仮称)の内容としては、インターンシップやフィールド活動の教育活動を高めるため事前に、学校の児童生徒の実態や教育課程、学校課題等を理解するとともに、それぞれの専門性を生かした実践的指導力を養成するためのインターンシップなどに関する意図的計画的な事前準備を行うことが考えられる。インターンシップなどの終了後には、プロセスを振り返り、その実践研究の成果を言語化する作業を行うため、例えば報告書を作成させることが考えられる。(学部段階での教育実習記録のレベルでは不十分と考えられであり、実践を研究的に振り返るものである)

  2 学校における活動には、(i)主体的に学校教育活動に参画するインターンシップや(ii)学校現場をフィールドとする活動などが考えられる。

  (i)インターンシップは、学生が学校教育活動に主体的に参画しながら、実践研究を行うものである。そこでは、学校教育活動に主体的に参画して実践を行う形態や、特定の単元におけるカリキュラム改革について実践を行う形態などが考えられる。

 下記の理由から、期間は半期や年間を通しての実施が考えられるが、それぞれの自己課題や専門性や学校現場の状況を踏まえて、数週間にわたり集中的に行うことなども考えられる。

   ・学校における年間の流れを理解することが可能となる。(年間の学校における教育課程、学校行事などを学ぶことができる。)

   ・児童生徒と長期に関わることで、成長過程を実感したり、学習指導や生徒指導の成果や課題を認識したりすることが可能となる。

   ・学級経営などに年間を通じて協力・参加することで、児童・生徒や教職員との人間関係が深まり、また生徒集団の変化を理解することが可能となる。

  (ii)学校現場をフィールドとする活動においては、特定の教科の授業改善について、学校における研究授業などへの参画と大学院における事例研究を組み合わせる仕組みなどが考えられる。(例えば、学校訪問、授業見学、研究授業指導案の作成過程・教材作りへの参画、研究授業やその後の評価作業への参画、新たな授業づくりのプラン作成など)

 

4 指導体制について

 「教職実践に関する科目」(仮称)の指導に当たっては、学生が所属する研究科の教員とともに、教職専門の教員(例えば各大学の教職センターなどに所属する教員など)が協働して行う。その際、大学間で連携を図り、指導体制を構築することも考えられる。

 

5 評価

 「教職実践に関する科目」(仮称)の評価は、提出された「教職実践研究報告書」(仮称)によって行うことが考えられる。

 

6 具体的な科目構成と単位数のモデル例

教職実践に関する科目(仮称)

配当年次のイメージ  単位数

単位数

1年次前期

1年次後期

教職実践研究(仮称)

:授業科目

実態把握・課題分析、授業実施のための教科内容構成など理論と実践を架橋する内容

インターンシップの振り返り、課題解決の方策の検討、教職実践研究報告書の作成

2

学校における活動

(i)インターンシップ

10日~20日分

2~4

(ii)学校現場をフィールドとする活動

 

※インターンシップについては、 1年次の後期から2年次の前期にかけて行うことも考えられる。

 

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初等中等教育局教職員課