教職課程の質の保証等に関するワーキンググループ(第2回) 議事録

1.日時

平成24年10月30日(火曜日) 13時~15時

2.場所

文部科学省 6F2

3.議題

  1. 専修免許状の取得における実践的科目の必修化について
  2. 教職課程に関する情報公開の在り方について
  3. その他

4.議事録

【高橋座長】  ただ今から第2回教職課程の質の保証等に関するワーキンググループを開催いたします。

 前回に引き続きまして、専修免許状の取得における実践的科目の必修化について検討したいと思います。

 まず、細谷委員から、資料を提出していただきました。実践的な科目の必修化の視点ということで、御意見を頂戴できればと思います。よろしくお願いします。

【細谷委員】  今日お持ちしました資料は、2年前に、私が勤務しておりました江東区の中学校の先生方が、夏休み中に、初任者研修の宿泊研修に行くのですが、そのときに作成した資料です。

 資料1の方は、23人の中学校の先生方がいましたけれども、この方々に、事前に研修に臨むに当たってという自由記述の文を書いてもらいました。それを読んで、キーワードでくくって、ジャンルで分けたという資料です。これを見ますと、やはり学習指導に関する彼らの課題というよりも、悩みと言い換えた方がよいかもしれませんけれども、学習指導に関するものが非常に多い。その次に生活指導、そして、その他となっております。

 これを見ながら、私は幾つか資料を持って、この研修会に臨んだわけですけれども、2枚目の資料2が、実は、その中の一つの資料です。これももう既に御案内の方がいらっしゃると思いますが、2年前にやはり千葉市の教育センターで研究をいたしました「教師力に関する研究」、サブタイトルが、「授業の達人に学ぶ」という、ちょっとおもしろい研究です。

 これは、千葉市の一つの事業ですけれども、市内に授業の達人と呼ばれる、授業にかなり定評のある方々が、29人いらっしゃるそうです。この方々からいろいろと聞き取り調査を幾つか行った中の一つが、あなたは何を授業で重視しているかという質問の中で、一番上のタイトルにありますが、授業に関すること、自分のこれまでの教員としての経緯、その他の要因と、それぞれコンピテンシーに分けて、聞いていく。

 さらにそれを細かく分けると、その表にあります1から14の項目になりますけれども、この中で、29人の授業の達人が、いわゆる1番目に挙げたといいましょうか、それが一致しているというものが、その右側の一致率です。全員が一致したものは、実は13番目の教材探しということです。さらにこの数字を見ていきますと、一致率が高いものが、ほとんどは一番下のコンピテンシー、授業をつくり出す部分に集中しています。つまり、彼らが、授業において、事前の教材探し、教材研究、授業構成をどうするか、そして、終わってからの省察に重きを置いているということが、よく分かる資料です。

 そのほかに高い率のものを見ますと、6番目にあります一瞬の対応、つまり、子供が突然、予期もしない質問をしたときに、どういうふうに対応するかということにかなり重きを置いているとか、あるいは、興味、関心、ユーモアをどういうふうに入れるかというところがありますが、意外と低いものが、話す力とか見る力、いわゆる基本的なコンピテンシーということです。

 達人なので、おそらくこの辺は、もう既にもともとそういうものはある方々なので、こういう数字が出たのかもしれませんけれども、こういうものを見て、第1回の協力者会議で申し上げましたが、やはり、今の初任者を見ていまして、教材研究、教材づくりに、まだ重きというか、そこまで到達しないのかどうか、まだそこまでいかないというところが、こういう達人たちと比べてみても分かる。

 逆にいえば、これから修士レベルをという教員免許状の中の教育課程を考えるときに、やはり修士レベルですので、こういったつくり出す基本的なコンピテンシーを、教職大学院なり、大学院の方で考えていただければ、現場としてはありがたいなと、そのような思いで、今日この資料を持ってきた次第です。

【高橋座長】  それでは、前回の議論を踏まえまして、実践的科目の必修化のための座長私案のモデルを、資料として準備しましたので、これを説明させていただいた後、細谷委員の資料も含めまして、検討することでよろしいでしょうか。

 それでは、資料を御覧ください。資料1です。「『実践的科目の必修化』検討のためのたたき台」としております。一番最初に趣旨と書いていますが、今回の中央教育審議会答申を踏まえて、新たな学びを支える教員の養成と学び続ける教員が、キーワードであると思います。特に一般免許状を将来的に構想するときに、探究力とか学び続ける力、新たな学びを展開できる実践的指導力が重要と考えました。

 もちろん、教科や教職に関する高度な専門的な知識やコミュニケーション力は、当然必要なことですけれども、今回の実践的科目の必修化という意味においては、アンダーラインを引いている「探究力、学び続ける力と新たな学びを展開できる実践的指導力」が大事と考えました。

 今回の専修免許状における実践的科目の必修化について、当面の改善方策として何を保証していくのかということを検討する上で、前提として、研究科の学生は既に一種免許状を取得しており、教職実践演習で、学部レベルの到達目標に達していることを踏まえる必要があります。

 しかし、前回の資料にもありましたように、学部時代の教育実習は、主に実習校で、それぞれ指導してくださる先生方が準備した教育実習だと言えると思います。自らが主体的に学校教育に参画しているものではないというところを、押さえておきたいと思います。

 これまでの専修免許状に不足していた視点として、例えば、私が勤めております教育学研究科では、教職に関する科目、教科専門に関する科目を様々とっているわけですが、一般の修士課程では、専門科学中心の理論を学んでおられると思います。現行の専修免許状では、それをそれぞれ学ぶということであって、それぞれの理論を教育実践につなぐ学習が保障されていないというところが、課題と考えます。

 専門職というのは、やはりその実践の場で、そのとき、そのときの判断をし、あるいは、主体的にその状況にかかわって、変えていくものだと思っております。その新たな学びを支える、学び続ける教員という、専門職としての教員を養成する上では、やはり、理論と実践の架橋の視点が不足していると思います。

 それで、専修免許状の取得に当たっては、先ほど細谷委員の御指摘もありましたが、教員としての自己課題を認識して、学校や子供の実態と課題を把握した上で、主体的に学校教育活動に参画するというインターンシップが、学部での教育実習とはレベルの違ったところで、教育実践を行うことが必要でないかと考えます。

 この教育実践の課題を解決していくプロセスを身に付けるということで、実践的指導力を養成する仕組みを、専修免許状につくる必要があるのではないか、保証すべきことではないかと考えました。

 では、そういう実践的な科目の内容についていえば、実践的な科目の構成は、インターンシップをするだけではいけない。今回の目的を達成するためには、仮称ですけれども、「教職実践に関する科目」(仮称)を位置付けて必修化し、その中身として、主体的に、学校教育活動に参画するインターンシップと、そのインターンシップを指導し実践の事例研究を行うという研究科での授業科目、「教職実践研究」(仮称)というふうに名前をつけました。その二つ、両面が必要であると思います。

 そういう両面が保証されるべきです。次に具体的な内容として、大学院で学ぶ授業科目としての「教職実践研究」(仮称)の内容としては、インターンシップの事前に、自らの教員としての自己課題の明確化、協力校の児童生徒の実態や教育課程をしっかり学んでおくこと、学校課題等の理解など、インターンシップの意図的・計画的な事前準備をする必要があると考えます。

 インターンシップ中または事後においては、そのプロセスを振り返り、実践研究の成果を言語化して報告書を作成するという、そこのフォローが必要だろうと思います。

 インターンシップは、学生が学校教育活動に主体的に参画するというところが非常に大事なことですし、また、教育実践研究のフィールドとも言えます。

 主体的に参画する態度は、絶対必要なことだと思います。期間として、学部では、集中型の教育実習が行われておりますが、研究科でのインターンシップは、長期とか年間を通してのインターンシップが望ましいと思っています。

 一つには、これは特に大事だと思いますが、学校における年間の流れを理解するということが、教員となるときに、非常に重要なことでございます。大体4月に勤めはじめて、もう7月ぐらいには退職してしまう教員がいますが、4月、5月の忙しい時期を乗り越えられないのです。学校における年間の流れが理解できていたら、乗り越えやすくなると思います。

 また、児童生徒と長期にかかわるということで、成長過程を実感することができるし、同時に、学習指導や生徒指導の成果や課題を認識することが可能となると思います。

 学級経営など、年間を通じて協力したり、参画したりすることで、児童生徒や教職員との人間関係が深まったり、生徒集団の変化も理解ができるということで、できれば、長期から年間を通してというインターンシップが望ましいのではないかと思います。

 4)の指導体制ですが、これは前回にもお話があったと思いますが、そういう「教職実践に関する科目」(仮称)の指導に当たりましては、学生が所属する研究科の教員とともに、教職専門の教員、例えば、各大学の教職センター等に、現職経験のある実務家教員の方々が所属されていると思います。そういう方々と協働して行うということで、例えば、教科専門の深さを研究科の教員が担当する。それを、やはり指導法、子どもの反応を見るところで、教職専門の教員と協力して行うことが、いいのではないかと思います。

 評価については、これも仮称ですが、成果を言語化して教職実践研究報告書を作成するということが、大事ではないかと思いました。

 これは学部段階での教育実習においては、教育実習の記録のレベルであり、何を行ったかという記録です。それでは、専修免許状では不十分であろうと思います。

 今回の私の提案は、授業科目とインターンシップの組み合わせであるということ、ある程度長期的にと考えると、通年で週1回程度のインターンシップで半日行くとして、学校は年間35週ありますので、半日掛ける35回で、17.5日となります。これは実習の3.5単位分となり、その他、事前訪問、授業準備などにもかかるから、繰り上げて4単位としました。通年で週1回、半日行くとして、4単位というところです。

 それをフォローするための授業科目としては、前期、後期ということで、実態把握等の準備をするための前期、例えば学校で授業をするための準備ということがあろうかと思います。後期は、その振り返りとか、教職実践研究報告書を作成するなどということで、前期、後期合わせて2単位となります。

 教育学研究科であれば、2年次前期以降にかかるようなこともあるでしょうが、一般の修士課程のことを考えると、1年次でとれない場合、2年次も取得可能ということで、インターンシップ4単位と教職実践研究2単位をたたき台として、提示させていただきました。

 細谷委員の御説明、私の私案のモデルについて、また、前回の議論も踏まえまして、各委員から御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【大槻委員】  この案は非常にすばらしいと思うし、実践できたら、よりよい教員が育つと思います。学部の学生にやらせてもいいくらいの案で、学部の学生もやはり1年間の流れは知っておいた方がいいわけです。逆にどこに修士において学んだことを生かしていくかということを、文言として入れておいていただければと思います。

 例えば、実践的な授業を行うというところで、自分の専門性を生かしたとか、そういったことを文言として入れていただければ、よりよい案になると思います。

自分の専門性を生かして、指導教員と共同作業をしてというところ辺りがいいんですかね。

【高橋座長】  1ページの実践的科目の構成のところに、先ほど私も説明を抜かしたのですが、上記の目的を達成するために、専修免許状に、「教職実践に関する科目」(仮称)を位置付け、必修化する。その上で、各研究科は、それぞれが目指す教師像に向けて教職課程を改善すると記述しています。そこで、それぞれの研究科によって、目指す教師像は違うと思います。その専門性は、十分発揮していただいた方がいいということが、前回の御意見にもありましたよね。

【大槻委員】  はい。ただ、研究科と言ってしまうと、研究科が主催で、例えば、理工学研究科だったら、理工学研究科といっても、物理だったり、化学だったり、いろいろと領域があるわけで、もう少しスペシフィックに各研究科ではなくて、指導教員、もしくは、そういったような実際指導に当たる先生がやるのか、それとも、理工学研究科が教職用の科目を提供して、それを割り当てられた先生がやるのか、ここがちょっと曖昧な気がするのです。

【高橋座長】  そうですね。課程認定を受けているのは研究科だと思うので、研究科のレベルで保証することと、指導する先生方が個人的に保証することとは、少し違うでしょう。

 ということは、インターンシップとか、2ページの(2)教職実践に関する科目の内容のところに、それぞれの個性を生かしてという文言を入れたらどうでしょう。

【大槻委員】  それぞれの個性というか、専門を生かしてということを、どこかに入れていただければ、意図が読み取れると思います。

 質問ですけれども、インターンシップは通年になっていますが、最近、私の大学は秋学期入学など、留学生に配慮した、グローバル30のプログラムに参加し、全部セメスターに切っています。通年という科目自体は、大学として、非常に扱い難い状況にあります。ですから、通年科目というのは、大学のカリキュラムとしては、あまりよくないと私は認識しています。

 なるべくセメスター制に移行し、秋から始めて、春に終わっても構わないという形で、今後進めていこうということが目下のところで、ほぼ完成しつつあるのが現状なので、ここは通年ではなくて、半期にしたときのメリットとデメリットを議論していただければと思います。

 特に一つの学校で、果たしてやるべきなのか。公立と私立でも半期ずつやって、公立と私立の違いを学んでも構わないと思いますし、秋から始めて、春になっても構わないということです。でも、デメリットもあると思うので、そこら辺は、ここで皆さんのお知恵を拝借したいなと思います。

【高橋座長】  そうですね。これはあくまでも例示でありまして、各研究科によっても、それぞれ違うでしょうから、委員の皆さんの御意見をいただければと思いますけど、どうでしょう。

【寺岡委員】  まず、全般的にたたき台についての意見ということでよろしいでしょうか。

 前回の議論を踏まえて、特に大槻委員から、教員養成ではない専門の学部での実習の在り方について御意見をいただいて、私も教員養成サイドとは違う形で改めて認識しましたが、そこのところで、専門の場合に最先端の内容を学んだ、それを実習の中で、体験的授業的なものとして取り入れることをメーンとする。ただし、そればかりではなくて、いろいろ、例えば教職センターとか、そういうところでのアフターケアといいますか、そういうことが出されたと思いますが、前回そういうものを受けて、高橋座長あるいは東京学芸大学の田中委員の方から、補完する意見が出されたかと思います。

 今回出された、たたき台は、そういう意味では、その内容です。単に狭義の実習ではなくて、授業科目とセットということで、改めてきちんと整理されているのかなと私は思いました。

 今、その中で幾つかですが、一つは、大槻委員からただ今出された、学校における年間の流れということでいえば、前回、福井大学の取組として紹介させていただきましたが、これは1年間のインターンシップということで、やはり学校の場合は、1年サイクルで動いているということで、基本的に実践的な指導力を形成するためには、原則として、理想的な形では、そういう形での実習を組むということはいいのだろうと思っております。

 ただ、実際には、いろいろ、それをすべて画一的にやれるかというと、それはそうではないので、ある意味で、弾力的に組むということで、今の意見については、また検討されるのでないかと思います。

 いずれにしても、考え方として、1年間になるかどうかは別として、ある程度長期にわたってのかかわりを考えるとすると、学部レベルでの、例えば4週間とか、2週間とか、そういう実習での大学と学校とのかかわりとは、かなり違うものが出てまいります。

 それこそ中央教育審議会の答申の基本的なところでありますように、あわせて教育委員会との協働の中での教育実習を、どう考えるかということは必要なのだろう。つまり、こういう実習を組んだときに、学校と教育委員会という、そこら辺りを、どういうふうに考えるのかと思います。

 指導体制については、前回も出されましたけれども、これは教職専門の人がコーディネーター的な形でかかわる。その人が配置されていないとすれば、やはり配置は必要なのだろうと思います。そこは強く措置する必要があるだろうと思います。

 ただし、この指導体制というのは、個々の大学が、こういう教育実習を運用するための体制をどうとるかということなのですが、それだけでは、なかなか不十分なところもあるだろうと思います。

 大学院レベルで、学校における長期にわたっての、しかも狭義の実習に限らず、科目をあわせてやるとすれば、御提案のように、具体的な科目構成と単位のモデルを上の授業科目をどうするのかということで考えると、原則としては、個々の大学でやる、人員も配置しながらやるということが望ましいわけですが、場合によっては、大学間の連携ということもあり得るのでないかと思います。

 今年度のGPで、兵庫教育大学が世話役になって、兵庫県内でいろいろ連携体制を組んで、教育実習の先端的なものをやり、教育委員会とも関係をとりながらという体制があります。例えば、それは一つの参考とするモデルだろうと思いますが、そこら辺はできるだけ、個々の大学でそういう体制を組めればいいのでしょうけれども、あわせて、そういう大学間の連携ということを図りながら、ともかく実習を、大学院レベルでの実践的な指導力を研修させるための実習を充実していく体制を組んでいくということは、必要なのかなと思っています。

【高橋座長】  ある程度長期にわたってということ、具体的には、大学によって、弾力的な運用ということと、もっと大事なことは、それをつくる学校や教育委員会との連携の体制が、実は難しいということでございますよね。

【安達委員】  確認と質問があります。今回の名称が、教職実践ということで挙がっているわけですが、座長の御提案にもあるように、実践の意味です。やはり、これを明確にしておく必要があるだろうと思います。

 つまり、非常に理解が不足していると、実践が実習と読めてしまったりして、単に学部でやる教育実習と変わらないと。でも、そうではないのだというところで、実践という意味が、非常に大きな意味を持っていると思いますので、今、大槻委員、寺岡委員からもお話があったとおり、それぞれのところで、うまくできるような体制をとっていただければと思います。

 質問ですけれども、1ページ目の下の方に、「教職実践に関する科目」(仮称)という位置付けがされているわけですが、これは従来からあります教職に関する科目、教科に関する科目、あと、又は科目です。それとの関係の中では、まず、どういう位置付けになるように想定されているのかということです。

 つまり、今回、教職実践に関する科目が6単位分、トータルで用意されているわけですが、それを現行の教員免許法の中で、どの部分の単位として考えていくのか。内数と考えるのか、プラスアルファと考えるのか。あるいは、プラスアルファで、又は科目の外に、実践に関する科目というカテゴリーができるというか、そういうイメージがあるのかということが1点あります。

 もう一つ質問を。今、寺岡委員の方からもお話があったとおり、やっぱり現場との関係性の構築は、大変重要なことだろうと思っています。

 ただ、一部大学というと、非常に語弊があるかもしれないのですが、そうした連携が、苦手なというか、なかなかうまくいってない大学も、全国を見回すと、あるのかなという感じがしております。そういう中で、大学間連携をとりながら、特に旧国立大というか、そちらが中心になっていただけると、大変助かるなと思います。

 その場合、2ページ目の4)の指導体制にあります、教職専門の教員、こうした実務家の教員の先生方に、今後、教員養成の現場にどんどん入ってこられるという状況だと思います。そうした先生方の教員としての配置です。

 従来は、当然、大学が教職課程を持つということであれば、その審査とがあるわけですけれども、そうしたような手続が必要とされるようなレベルを考えるのか、あるいは、この授業のために、ある意味、協力者というか、連携者というか、そういうレベルを想定していけばよろしいのか。それが、実現という意味では、やや気になる部分がありますので、質問させていただきます。よろしくお願いします。

【高橋座長】  私は、24単位の内数で考えております。

 ここでは、やはり教職実践に関する科目ということで、理論と実践の融合をしていくという精神で、こういう名前をつけさせていただきました。24単位の中で、ある意味では、専門職である教員を育てるために、ここがコアとなると思っています。だから、内数として位置付けています。

 指導体制について手続的なことを言えば、研究科の指導教員という立場は、やはり業績など設置審で認められることが必要です。

【安達委員】  現行法ですね。

【高橋座長】  現行だったら、そうですよね。そうすると、そこの研究科に位置付けられている教員がメーンとなり、教職経験のある方にそれを手伝っていただくということの方が、現実的かなと思います。

 もちろん教職に関する科目を持ってくださっている先生で、研究科に位置付いている先生がいれば、そういうことは必要ないかもしれません。それがすべての研究科にいるかどうかといったら、難しいと思います。協力者ということもあるだろうし、一緒に研究科の構成メンバーであるということもあるだろうしとは考えております。

 ただ、実際に教職大学院でも、県教育委員会から交流人事で来ていただいた先生と一緒に仕事をしてみて、本当に力があると感じました。

 私は、やはり、教員は現場で働くわけなので、理論だけ勉強して現場に行くようなことでは、役に立たないのは当たり前だと思います。臨床家といいますか、現職経験のある方に御指導いただくというところは重要だ、ポイントだとは思っております。私は医師出身なので、特にそう思います。

 また、学校現場との連携の構築は、実際、具体的にいくときには、なかなか大変なことだと思いますが、これが始まることによって、また、大学も、教育委員会とか学校に、協力してもらわなければならず、相互の関係が始めるということもあろうかと思います。

【安達委員】  分かりました。

【高橋座長】  その他の委員の御意見をいただければと思います。

【安倍委員】  十分理解していない中での質問と意見になってしまいますけれども、実際に、具体的な科目構成と単位数のモデルという最後のところを見ますと、通年、週1回程度のインターンシップということです。例えば、理学とか工学研究科の学生というか院生が、私は地方の県ですので、例えば、地方の母校研修でないにしても、自分の出身県に行くとすると、週1回、半日、年間35回通うということを想定していると思います。

【高橋座長】  出身県とは考えていません。

【安倍委員】  出身県とは限らないわけですね。大学の近隣の学校だということで考えているわけですね。

【高橋座長】  そうです。

【安倍委員】  分かりました。

 もう一つは、冒頭の細谷委員の資料から見ると、若干ここのところで、二つどうなのかなという。細谷委員の資料との間での整合性というか、同一性ということから考えますと、先ほどいわゆる授業の達人と呼ばれる人は、12、13、14というところを非常に重視しているというお話がありましたけれども、やっぱりこういうものは、ある程度集中した期間で、同じような教材を短期間にやることによって、例えば、Aというクラスでやって、その反応を踏まえて、Bクラスでやるという形の中で、初めてこういうところの力はついてくるのかなと。

 これが週1回のこういう形の形態の中で、いわゆるスポット的にいきますので、1回授業をやりますと、もう終わってしまうという状況の中で、果たしてこういう力は、長期の中で身につくかどうかというところは、若干、疑問なところがあります。

 それに関連していえば、やはり学校の1年の流れを理解するということも、もちろん大事かもしれませんけれども、ある程度2週間、4週間の短期集中型で、その学校がどういう生活をしているのか、子供たちがその中でどうやって生きているのかを見るということも、ある意味では、週1回行くことよりも効果的なのかなという感じが、私はしております。

【細谷委員】  現場から。今の御意見は、現場にとって、非常にありがたいと思います。

 今日、高橋座長から提案していただきました、これにつきましては、現場の人間としては、基本的に賛成です。というのは、やはり長期間でやっていただかないと、教員の仕事の大変さとか、逆にすばらしさは分からないと思います。

 ですから、1年間というのは、貴重な提案だと私は思います。

 2ページ目の一番下に科目構成、単位数がありますが、インターンシップと大学での研修に分けてありますが、そこで、ちょっと問題になることは、いろいろな実習生が学校に来ます。2週間やっていると、大体いいか、悪いか、すぐ分かります。それを1年間やられると、学校としては大変なことになりますので、例えば、1年間の最初の2週間はお試し期間、試行期間のような形をして、もちろん大学の先生も来ていただきますけれども、やはり、学校の評価をそこで1回出して、悪いけど、お引き取りくださいというものを設けていただかないと、これは現場が非常に困るということです。

 もう一つは、先ほど安倍委員がおっしゃってくださった、やっぱり教材研究を重視した中では、集中的にやっていただきたい。それで初めて、教材の持つ意味の重さとか、教材研究の楽しさが分かるのです。

 そういう意味では、週1回というよりも、年間で来るのであれば、年間で大体2週間を一つの期間として、年2期間、授業の期間で来てもらう。大学では、2回分で、2単元分の授業の教材研究を前もってしていただく。それはもう大学の先生あるいは教員経験の先生方が一緒にくっついて、教材研究、教材探しのところから始めていただいて、その二つの指導計画と指導案を持って、中学校なら中学校に、この期間とこの期間、この単元ですのでやらせていただきますという形の方が、本人のためにも、現場のためにも、はるかにいいかなとは思います。

 あと残りの期間を、例えば学級活動の担任の補助だとか、部活動の顧問の補助だとか、学校はいっぱいいろいろな細かい仕事がありますので、いくらでも仕事がありますので、そちらの方で、また学校現場に来ていただくという形であれば、これはかなりいい成果が出てくるのかなという気がいたしました。

【高橋座長】  インターンシップの期間の持ち方は、やはり学生本人の力と学校との間で調整をしないといけないなと思います。

 これは、ほぼ週1回、半日だったら、3.5単位分になって、4単位ぐらいにはなるなという一つの例だと思っていただいて、それぞれ柔軟に考えていただいた方がいいと思います。

 やはり前もって、集中して教材開発する時間は、大学で準備をすべきところが大分あると私は思います。それと、学生の実態も考えておく必要がある。

 そこの学校の先生の授業を見せていただくということも、いろいろな経験の中にあるので、それはやはり本人と学校の方で調整していかないといけないと思います。これは、なかなか大変だと思います。

 モデルとしては、様々なものが考えられるということでいかがでしょうか。これは、一応のモデルを示したもので、学部の教育実習においても単位数は決めていますけど、どういうパターンでいきなさいということは決められていません。それぞれの大学、大学院が、学校、教育委員会と相談して決めていくということだと思います。

 重要なことを御指摘いただきましたのは、これはどうにもだめだと思った学生は、学校側はノーと言うぞというお話でございますよね。

【細谷委員】  いや、長期間であれば、あるほどという前提です。

【高橋座長】  そこら辺が単位数にも絡み、指導の方にも絡んでくることですよね。やはり、ノーと言われないような指導をしていかないといけないということですよね。

【大槻委員】  でも、1年生の前期ですよね。他大学からも来る学生がいるわけなので、先生もその学生のことはよくわかってない段階で、送り出さなければいけないということが、今の原案になっているので、しかも2週間のマッチングがうまくいかなかったら、通年科目なので、これで終わってしまうということで、何か緩衝剤を入れたらいいというか。

【高橋座長】  例えば、五、六月という、少し落ちついたぐらいのときに1週間行ってからとかも考えられるように、集中的なときと、ばらばら行くときもあるということは、それぞれの研究科で考えられたらいいのではないでしょうか。

 集中タイプもあれば、分散タイプもあれば、それを合わせたタイプもあるということで、私が先ほど一番最初に言いましたインターンシップは、学部と違って、学校教育活動に主体的に参画するものだということを確認していただければ、あとは、バリエーションがあっていいのではないかなと思います。

【大槻委員】  実際に、このモデルに沿っていくとしたら、多分、教職課程の課程センターの先生が中心になって、学部長を集めて、学部長会で相談するなり、評議会で提案するなりして、こういう方針になったので、よろしくお願いしますということが教員に告げられて、実際にこれを希望する学生は、課程センターに修士に入った入学式の次の次の日くらいに集まって、説明を受ける。

 その希望者を指導している先生も、その後、課程センターから連絡を受けて、こういう方針で学生を指導してあげてくださいという形になると思いますが、単位を出すのはどうするのかとか、この4単位は、やっぱり大学というか、研究科が出すわけですよね。

 そうすると、出席の把握、実習を行ったかどうかの確認は、やはり教員が行って、その場合に科目の登録を誰にするのかと誰が単位を出すのか、そこら辺、細かいところはかなり詰めないといけない気がしています。

 例えば、指導教員が単位を出すのか、それとも、別の形でもっと大くくりなもので単位を出すのかなど。

 それと、先ほども申し上げましたように、流れからすると、1年の前期にいきなり2週間どこかに行くということは、自分が行きたい学校、受け入れてくれる学校を、あらかじめ選ばなければいけないわけです。

 1年の前期に可能かということが疑問でして、それは、教育実習は4年生の時にやって、2年、3年生のころから、自分はどこに行くかということは十分にわかっているわけですが、今、大学院を変わる学生が結構多いのです。学部がこの大学で、大学院は別ということは、よいことだと思って目下積極的に動いています。

 そういった学生にとって、不利がないような制度設計をしないと、理科系の場合はいけないということを、今、感じています。通年というのと、1年の前期からということが、私はひっかかっています。

【高橋座長】  主体的に参画するということと、ある程度長期にということで、4単位ということであって、4月、5月の、4月などは特に、学校現場が、実習に来られたら困りますから、入学して、慣れられてから、理系の方だったら、調整をして、6月とか7月に顔合わせに行ったりということをして、9月に集中するとか、それは、それぞれの学部で、学校と連携をしていかないといけないと思います。

【大槻委員】  分かりました。

 4月の最初から半日行くようなニュアンスにとれてしまったので、それで、ちょっと難しいのではないかと思ったのですが、そうではないのですね。

【高橋座長】  ええ。大体4単位というと、通年行くとすると、半日行くような量ですよみたいなことです。

【大槻委員】  その半日分を使って、最初の四、五週間は、大学でいろいろと準備をしても構わないということですね。

【高橋座長】  四、五週間以上、準備をし、慣れる1週間ぐらいは、そこの学校に行かせてもらいとか、いろいろなパターンがあるのではないでしょうかと考えるのですけど。

【大槻委員】  分かりました。必ずしも4月の入学式の頃から、高校に半日ずつ行くということでないわけですね。

【安倍委員】  私も、例示として、積算の根拠として、通年週1回程度ということで出されておりますけれども、もしできれば、やはり4単位ということで、20日分という形にされた方がいいのかなという感じがいたします。

 と申しますのは、主体的に学校教育活動に参画するインターンシップというと、例えば、先ほど授業のことも申し上げましたけど、生徒指導上の問題でも、何か、今でいいますと、いじめの問題が起きたときに、それを把握して、どう解決していくということは、やっぱり連続した日にちの中でかかわることによって、初めて理解できるというか。

 これを週1回行って、前回起きたことはどうなりましたかと言って、結果だけ知るというのでは、やっぱり実践力というか、そういうものは身に付かないと思いますので、私は、基本的にやはり継続的に集中して行って、そのところで一つのテーマでも、二つのテーマでも理解するという方が、同じ20日間を使うのでしたら、効果的かなという感じが私はしております。

 もう1点は、失礼な言い方ですけれども、教職についたことのない、こういういわゆる専修免許状を取る方が、学校や子供の実態と課題を把握した上で云々という、本当にここのところが、日々、子供たちと闘っている初任者の教員でも、そういう学校のことに、課題を把握して、主体的に学校教育活動というところは、なかなか大きなテーマかなと思います。

 理念的には非常に分かりますけれども、本当に実現できるためのいろいろな工夫なり、体制なり、一ついえば、大学のそういう職員の方、例えば、一緒にこういう実習校というか学校に行って、そこでいろいろな課題を、指導教員も共有化してくれるかどうかという体制も必要かなと思います。

 実際、今、学部の教育実習の場合でも、大学の先生が来て、一緒に研究授業を見るという風景はなかなかなくて、失礼な言い方をすると、せいぜい御挨拶して、そのまま帰られるという形で、本当に自分の担当している実習生の研究授業がどうであって、その後の最後の報告会に参加するということのない中で、果たしてこういう課題が、実りあるものに課題解決できるかというところは、体制的なもので、かなり汗をかかないといけないのかなという感じはしております。

【寺岡委員】  先ほどの4月かなとか、そこら辺りは、高橋座長の言われるとおり、いろいろなパターンがあり得るということで、そのとおりだと思います。

 ただ、例えば、理学部とか文学部とかではなくて、教員養成の福井大学の場合には、4月から入るのですが、もう前年度の末から、大体、校務分掌などを決めますから、そこのところにある意味で、参加し考慮していただいて、4月からスタートできるような体制を組んでいます。

 ただ、実際には安倍委員が言われるように、多くの場合、大学はなかなかそうではありませんので、実情とすれば、総体的には学校に迷惑をかけてしまうということになってしまいますけれども、改善の方向として、本当に1年間でやるとすれば、幾つかのパターンの中では、4月から、教員がそのクラスを持って、クラスづくりをどうやるかなど、年間の行事の中で、初めの行事をどういうふうに学校は行うのかなとか、それは本当に大事な部分もあるのです。

 だから、現状ではなかなか難しいところではありますが、パターンの中には一つ入れておくことは、それなりに意味はあるのかなと思います。

【高橋座長】  その実習の在り方のところは、やはり学校現場の様子もありますので、いろいろそこは柔軟に考えていただければいいのではないかなと思います。

 主体的にやるということは、実際にできるのかということに関して言えば、やっぱり、できる気持ちで指導しないと、いつまでも、行って、何か教えてくれることを待つような教員にしてもいけませんから、それはもうそういう態度を身に付けるようにしたいと思います。

 岡山大学では、学部の4年で教職実践演習をしますときに、インターンシップをくっつけて、フィールド活動をしようと考えています。来年度から教職実践演習とインターンシップを、280人が全員必修で行うわけですが、教員も280人を見に行かないといけなくなるわけです。実際に難しいのです。

 それで、福井と同じように、教職大学院ではなくて、学部で、今、拠点校を近くでさせていただいています。近くも遠くもありますけれども、出身の地域ということも踏まえて、10中学校区に、20~30人ずつ入るように考えています。

 校長先生が、週1日でも、毎日2人ずつだったら、10人の実習が可能で、面倒が見られる。そういうやり方をしてくれと言われました。水曜日だけに10人来て、あとは来ないではいけない。そして、例えば半日だったら、午前中から大学で勉強していて、研究授業の準備ができたら、学校でできる。授業の他にも、いろいろなことが経験できる。時間を決めて来てくれるのだったら、取り出しの授業とか、そういうところも経験してもらえるので、そういうことであれば、来てほしいぐらいだと言われています。

 そういうことを、市教委、県教委と、校長会に何度も伺って説明をしました。こういう半日のことでも、役に立つなということで、お互いに協力していける話にはなっています。ただ、インターンシップをするということは、このような相談をしていかないといけないということになります。

 だから、授業を全然見に行かないとかということでは済みません。我々は拠点校をつくって、グループで先生方が見に行くシステムを検討しています。

【荒瀬委員】  教育実習の話で、大学の先生が来られても、御挨拶だけで帰られるということは、逆にいえば、御挨拶だけで帰っていただいた方がよかったり。

 でも、多分、これは進んでいけば、一々、毎回、毎回、そういった挨拶をしないでも、直接、教室へ行っていただくみたいな関係ができないと、きっと、やった意味がないと思います。

 先ほどからお話を聞いていまして、大学によっても、きっと経験のある、なしで、変わるのだろうと思います。

 来てもらった学生、大学院生にどこまで何をしてもらうのか。今のお話を聞いていましたら、これは京都市がやっているのですけれども、京都市内とか、京都市の近郊の大学と協定を結んで、月に1回とか1週間に1回とか、ボランティアに来てもらっている。

 だから、イメージとして、そことそれほど大きな差がないように感じています。それなら、深く入り込まないで、何となく学校の雰囲気は分かるかもしれませんが、先ほどからお話が出ていましたような、自分に教員としての適性があるのか、ないのかということも、きっと分からないのではないか。

 なまじ何となく子供たちが好きだとか思ってしまって、教員になって、それこそもう春のうちに、自分は向いていないということになるだろうと思います。そうかといって、いろいろな個人情報もいっぱいあります。学校がすぐ隠ぺいするとか、隠ぺい体質といったら、それで済むみたいにおっしゃる方もいらっしゃいますけれども、隠ぺいする部分は駄目ですが、しかし、出せないものもあります。

 だから、どこまでかかわるのかというときに、本当に一から生徒の個人の情報とか、学級づくりをするということは、正に生徒の個人の情報が飛び交うような場面です。きっと教育実習ではやっていないです。学部の教育実習では、そういうものは見せません。生徒の名簿も見せないと思います。だから、大学院の場合は、どこまでやるのかということは、少し詰めておかないと、きっといけないのだろうということを思います。

 教職大学院と限らないので、難しいところがあるのですが、私は、学校を1年間、どのぐらいのペースで通すのかは別としましても、学校を見ていただくのは、後期から次の年の前期というのは、時期としては、大変いいような気がいたしますし、準備の期間も、1年生の前期でできるのではないかということも思いました。

 私も、適性という点で、これは単位ですから、申し訳ないのですけど、適性がない場合には単位を認定しない。それによって、残念ながら、なれないということは、厳しく見ておかないといけないのではないかということは思います。

【高橋座長】  評価のところで、例えば、学校の方で評価するとなると、また、学校の先生は大変困るということで、私どもは、学校では可否だけをつけてもらうように考えています。学校に行ったかどうかということに関しては、インターンシップの時に、行ったという証拠で、判子を押してもらいます。やり方も、いろいろあると思います。

 評価は発表であるとか、点数化は、経験したことを言語化したもので、文字で評価するということをしております。

 守秘義務等ですが、私どもは、学部の教育実習のレベルの時から、観察参加実習の時に、守秘義務の法的なことから、何のためにするかということは教えております。

 教職大学院では、私どもは、職員会議にも出させていただいたりということをしておりますので、もちろん守秘義務は守るということを前提に、教員として免許もありますし、一緒にやらせていただいているということで、それは大学院のレベルですから、違うのではないですか。

 福井大学ではどうでしょうか。

【寺岡委員】  同じです。

【高橋座長】  だから、できるところと、できないところがあると思います。

【荒瀬委員】  それも見せている部分は、学校が判断していると思います。

【高橋座長】  もちろんそうです。

【荒瀬委員】  そうでないと、問題になります。

 申し上げようと思ったことは、それではなくて、評価のお話を今なさいましたが、今、経験年数の豊富なベテランの教員たちが、管理職も、大量退職しています。そういう人を雇えるようなシステムを、是非つくっていただけないのでしょうか。ずっと受け入れる学校は、そういう形の人をやっぱりつけていただいて、お金は文部科学省の方で出していただいて。

 そういう形をつくらないと、つくれば、実践的な部分でいえば、きっと経験のある人たちが持っている、先ほど細谷委員から御紹介いただいたような、正にこういうベテランの方々の知見とか経験が、ストレートに伝わる部分が出てくるのではないかなと思います。

【高橋座長】  それは文部科学省の方に答えていただきましょうか。

【藤原教職員課長】  おっしゃるように、趣旨はよく分かるのでございますけれども、それは全体として考えていかないといけないのかなと思います。

 一つには、こういった研修あるいは大学院での学びと研修を、これからどう考えていくのかという話があって、そういうシステムをどうつくれるのか。

 それは、今、初任者研修があって、初任者研修には加配がなされているわけでございますけれども、そういったものをどういうふうに今後活用していくのかという観点もあろうかと思います。

 退職教員の再雇用の話は、また全体のシステムとしてのそういう話が、別途進んでいるわけでございますけれども、そういう中で、学校を支えるような支援の在り方ということを考えていきたいと思います。

【細谷委員】  一つだけ、今のことに関連して。今、荒瀬委員の方から、いわゆる再任用、退職された方の人材活用という話がございました。これは、今日、大学の先生方がたくさんいらっしゃるのでお聞きしたかったのですけれども、やはり内地留学、つまり教員、指導主事、あるいは、管理職候補者が長期研修ということで、内地留学の形で大学院の方に研修に1年間行くという制度が、全部の大学ではありませんけど、あるかと思いますが、あの評価は、大学院の方では、どういう評価なのか。

 私の友人が、今、大学院の方で教授をやっているので、そこから漏れ聞く話では、非常に効果が大きい。現場の生の情報だけでなく、指導主事をやった人は、大体そういった人ですから、授業についても、先ほどの授業の達人ではないですけれども、そのクラスの人たちが来るので、いわゆる一般の大学院生にとっても効果もあるし、大学の教職課程の先生方にとっても、非常に効果があるという話を聞いていますけど、その辺の評価がどうなのかということをお聞きしたかったのです。

 そういった人たちを、もっと、もっと教職大学院、何なりに、いわゆる長期研修生として受け入れて、一般の大学院生と交流させるという形を、一方で、こういった実習関係とは別にやるということも、検討していった方がいいのではないか。

 そうなりますと、当然、現場を離れる教員とか指導主事が出てくるわけですから、その辺は後補充といいましょうか、そういうものの予算の関係は、また出てくので、私も意見を言おうか、言わないかと迷っていたところ、今、荒瀬委員に言っていただいて、ついでに申し上げてしまいました。

 これは、今日の話とちょっと次元が違うかと思いますけれども、そういう現場あるいは教育委員会にいる、そういった人材を大学院の中に交流させるということも、一つの提案といいましょうか、意見ということで受け止めていただきたいと思います。

【藤原教職員課長】  今のお話でございますけど、教職大学院を今やっておりますけれども、正におっしゃったような趣旨で、現職の派遣された先生方とストレートマスターの学生が、いろいろな形で交流しながら、影響を与え合っているという形。特にストレートマスターの方には、本当に力のある先生方の考え方とか指導の在り方を、直接聞くような機会が得られるという効果もあるとは伺っております。

 今後、全体として修士レベル化ということを考えていく上で、今おっしゃったような形での現職教員の派遣のシステムを、もうちょっと充実させていくということは不可欠だろうと思ってございます。

 財政状況が悪いこともありますので、なかなかにこれはそう簡単にはいかないのでございますけれども、来年度の概算要求でも、増要求という形でお願いはしてございますし、計画的に充実を図っていきたいとは思ってございます。

【荒瀬委員】  教育委員会の予算の状況は、どこも非常に厳しいと思います。だから、大学院に派遣したいと思っても、なかなか難しい。だから、自分から申し出てくれて、お金を自分で払ってくれて、夜間に行ってくれるということが、一番ありがたいみたいな。

 でも、そういう人たちは、良し悪しはちょっと置きまして、学校の中で欠くことのできない人であったりすることも多いですから、夜遅くまで、大学院に行けるような時間には、なかなか仕事が終わらないと思います。あるいは、若手の指導をしているといったことがあります。

 ですから、本当のところを、教育委員会としたら、力のある人にさらに力をつけてもらって、裾野を広げていくということをしていきたいと思っていますし、それは、また、修士レベル化ということの拡大解釈になってしまうかもしれませんが、現にもう働いている人たちにとっては、大変いい影響があると思います。

 その意味で、これはまたお金の話になりますけれども、是非頑張っていただいて、たくさん予算を取っていただいて、今の義務教育の負担の部分とか、そういったことも考えていただきたいです。

 これは個別の話になってしまうので、よくないかもしれませんが、それぞれの教育委員会では、独自にいろいろな取組をしています。工夫をしている。例えば、京都市でしたら、小学校の2年生も、35人学級をいち早くやっています。でも、この35人学級をこれからやっていくということをお決めになりましたけれども、既にやっているところは、お金が出ないのです。

 だから、そうなると、よりきめ細かな教育をと思ってやっているところは、どんどん苦しくなる。そこだけが苦しくなるわけではありませんけれども、トータルとして、いろいろな今の文部科学省の政策の中で、各教育委員会の取組なども、またアピールをきっとなさるでしょうから、見ていただいて、お金の使い方を考えていただけると、大変ありがたいなと思っております。

【高橋座長】  今回、実践的科目の必修化が課題について、御意見を頂きました。大体この私案の基本的な考え方ということはお認め頂いて、現実化する上での課題はたくさんあるということで、まとめさせて頂いてもよろしいでしょうか。

 これまでの議論と、今回の意見を踏まえて、まとめに向けて、報告案のたたき台を、また事務局と相談して、作成し直してまいりたいと思いますが、それでよろしいですか。

【大槻委員】  その際に、6)ですが、仮称という名前がついているので、ここは仮称だと分かるわけです。逆に仮称がついてないと、もうこれが提案で、例ではない気がしてしまいます。

 ですから、何かこれは例として、こういうものを挙げておきますとしないと。

【高橋座長】  ここのところに、例えば、集中型であるとか、様々な形がある。この下は括弧で結んでいますように、大体の量的な雰囲気を出したものであるので、そういうふうな表現にすればいいですか。

【大槻委員】  そうしていただければ。

【高橋座長】  今日の御意見をいただいて、訂正したいと思います。 それでは、次に、教職課程に関する情報公開の在り方について、事務局より説明をお願いします。

【藤岡教職員課課長補佐】  失礼いたします。資料3でございます。教職課程に関する情報公開の在り方についてという資料を御覧いただければと思います。これにつきましては、第1回の全体の教職課程会議でお配りした資料を、若干修正をさせていただいたものでございます。

 恐縮ですが、資料3の最初の2の「参考」を、まず御覧になっていただければと思いますが、大学等の教育情報の公表の促進について、四角で囲まれた部分があると思います。

 既に大学等につきましては、学校教育法施行規則が改正されておりまして、平成23年4月から、教育情報の公表を行うということになってございます。具体的にどのような情報を公表するのかということにつきましては、その下に学校教育法施行規則の172条の2という条文があると思いますが、そこで具体的に掲げさせていただいているところでございます。

 大学の教育研究上の目的であるとか、基本的な組織。また、裏面に行きまして、正に教員の組織であるとか、また、各教員の学位や業績。入学者の受け入れ方針であるとか、入学者の数、また、卒業者数。また、就職者や進学、また、就職等の状況に関すること。年間の授業計画であるとか、授業料であるとか、そういったいろいろなことを、具体的に学校教育法施行規則という省令で規定をして、各大学での情報公表ということが、既に実現というか、実施されているところでございます。

 それを踏まえまして、中央教育審議会の答申におきましては、教職課程の質保証という観点から、課程認定を受けている大学、すなわち、免許を出している大学におきまして、正に大学の社会的使命といたしまして、教職課程に係る情報の公表について、検討すべきだという御提言をいただいております。

 具体的に議論するポイントといたしまして、1でございますが、まず、公表すべき情報といたしまして、教員養成の理念や養成する教員像、また、指導の体制、教員組織、カリキュラム、学生の教員免許状の取得状況や教員の就職率等、そういったものが考えられるところでございますが、教職課程の質の保証や向上の観点から、どのようなものを公表するということが適当であるかということを、御議論いただければと思っております。

 また、次の中黒でございますが、情報の公表の手法ということでございまして、例えば、ホームページで公表するであるとか、刊行物で公表するなど、さまざまな手法が考えられるところでございますが、どのようなものが適当であると考えられるのかということでございます。

 最後の中黒でございますが、通常、既に課程の認定を受けている大学がございます。そういった大学が、例えば新しい学科などで、別の教科に係る免許状を出したいということで、課程の認定を受けようとする場合に、既に認定を受けている学科等での教職課程に係る情報の公表の取組状況を、確認することとするか。確認して、その課程、新しい別の教科等に係る課程の認定についての考慮材料とするかどうか。そういったことにつきましても、御議論をいただければと思っております。

 続きまして、資料4でございますが、先ほど御説明をいたしました、学校教育法施行規則に基づきまして、もちろん、この条文がある前から、各大学におきましては、様々な情報の公表をしていただいているところでございますが、既に行われているホームページで、我々の方で、大学に御在籍の委員さん方の大学の例ということで、恐縮ではございますが、参考例ということでお出しさせていただいております。

 詳しくはお時間のある時にでも、御覧になっていただければと思いますが、各大学、国立、公立、私立ともに、先ほど申し上げた学校教育法施行規則で、いわゆる大学の理念であるとか、正に教員の組織体制であるとか、また、カリキュラム、就職の状況等につきまして、既にホームページ等で公表をいただいているところでございます。

 例えば、岡山大学のものであれば、まず冒頭に、大学の理念ということを既に公表されておりまして、2枚目の裏でございますが、アドミッションポリシーという形で、岡山大学は、正に教育学部で教員養成を行っているところでございますので、教育学部でどういう教員を養成するのかということを、既に御公表いただいているところでございます。

 また、後ろの方に参りませば、シラバスであるとか、また、大学の教員組織、どのような教員がどれぐらいいらっしゃるのかとか、そういったものもございます。

 岡山大学であれば、最後のページでございますが、免許・資格と就職状況という形で、学部卒の方の就職状況という形で、円グラフでパーセンテージでお示しいただいているとともに、特に教員養成課程の教員就職率などにつきましても、その円グラフの下の文章で記載をいただいているものでございます。

【高橋座長】  それでは、今お話しいただきましたように、教職課程に関する情報公開の在り方ということで、公表すべき情報、教職課程の質の保証、向上の観点から、どういうものが適当か、また、公表の手法はどうか。また、課程認定作業のときに、情報の公開の取り組み状況を、少し条件に入れてみようかということの御提案がございました。

 委員の皆様から、御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

【荒瀬委員】  これら全てを公表していただけたらなと思います。ほかも、また、それぞれの大学のお考えをいただいて、公表していただくということもいいと思いますが、最低限、これは公表いただければいいなと思っています。

 方法としては、当然のことながら、大学がお出しになる刊行物、これ的なものとホームページは、是非お願いしたいと思っています。

 課程認定を受ける場合には、確認をすべきである。そうでないと、言いっ放しになっています。課程認定をするということは、全てではありませんけれども、チャンスですので、そういうチャンスを是非生かすべきだと思っております。

 その際にかかわってくる話かもしれませんが、これは是非大学の皆様に御考慮いただきたいと思っておりますことで、中学生が読んで分かるような内容にしていただけないか。将来の進路という狭い話ではなくて、世の中には大学というところがあって、その大学というところは、どのようなことをやっているのかということが、全てをそうしてくださいと言うわけではありませんが、読んで分かるようなものに。読んで分かるようなものということは、日本語としての複雑さを私は申し上げたいのではなくて、片仮名を、中学生が分かるレベルの片仮名にしていただきたい。

 だから、例えば、ディプロマポリシー、これはこういう意味ですということはいいのですけれども、それがコミュニケーションとかコースとか、そういった言葉は中学生でも分かりますが、それ以外の、これ、どういう意味なのだろうというものについては、できれば、日本語の説明を振っていただくということです。

 少しでも早い段階から、これは新しい学習指導要領が、キャリア教育ということも考えますので、行き先としての大学ではなくて、社会の中の存在としての大学を認識できるようにしていただけるとありがたいと思っております。

【大槻委員】  こういった内容は、ほとんどの大学が公開はしていると思いますが、どの大学がどこに書いているのかということは、全然分からない。本校を希望する学生はこちらを御覧くださいという場所に、将来の進路として、教職にどれぐらい就いたかとか、就職先がどうだったかということがあるかもしれない。御父兄の方へという場所だったり、卒業生への方へだったり、在校生の方へだったり、もう各大学で、ホームページが、ばらばらなのです。また、書いてある内容も、教育理念なのか、教員養成理念なのかということも、ホームページにいきなり行っただけでは分からない。私の大学のホームページから、ここの情報をピックアップすることは、打ち出してみてしまえば、簡単ですけれども、実は膨大なホームページの中から、この情報だけを取り出すということは、ものすごい難しくて、中学生・高校生にやれと言っても、ほとんど不可能なわけです。

 それを各大学にどうこうしろというわけではなく、やっぱり統一的なデータベースみたいなものを、つくった方がいいと思います。例えば国の予算をもらう科学研究費は、データベースがあって、どの研究者がどれくらい与えられたかというものが、一目で分かるような形になっているわけで、そこに行けば、全ての情報がある。

  何かしら、そういった教職課程データベースのようなものがあって、各大学に情報提供をお願いして、その内容に合った情報を集める。もしくは、リンク先でもいいので、ここに行ってくださいというリンク先を集めたようなもので、情報の質を統一し、形式を統一しないと、この内容に従って、各大学がやるようにと言われても、もうやっています、公開していますという返事が来るだけで、改善にならないと思います。もちろんお金がかかることかもしれませんが、そういった様式の統一化とデータベース化は、是非とも考えていただければと思います。

【安達委員】  今の話に関連してですが、現在、文部科学省の方から、大学改革実行プランが出ていまして、その中に大学ポートレートという名称で、仮称とありまして、そこで、大学情報のいろいろなデータベースのようなものをつくりましょうという案があると思いますが、その話と今回の教職課程の話は、相当リンクすると考えておいても構わないでしょうか。

 そうだとすれば、今の大槻委員がお話しなっている部分は、フォーマットでポートレートの方にも、反映できるのかなと思いついたのですが。

【池田大学振興課長】  ポートレートのどこまで内容を提供するかという議論が、本格的に始まりつつありますので、その中で少し教職課程の話も議論していただく必要があるかと思います。

 ただ、どうも今現在の状況ですと、国立と私立とでは随分違いますし、短大も含めてということになると、いろいろ議論があるようですので、一律にすんなり項目が決まるかということは分かりませんけれども、ただ、ポートレートの議論する中でも、ここでの議論も、我々からも少し情報提供したいと思います。

【安達委員】  分かりました。

 そうしたときに、今、公表すべき情報ということで、幾つかの点が挙がっていますが、気になることが、教員養成を主体としている学部、学科と、やはり、そうでないところがありまして、これは、あと大学での統計データのまとめ方ということもあると思いますが、つまり、学科とか学部です。そちらの方を切り口としていくのか、それとも、教員免許からデータをとっているのかというところで、見せ方とか見え方が変わってくる。

 恐らく、今、大学のホームページで出ているものは、入試単位である学部、学科です。これも、やはり広報宣伝というところが大きいですので、そこの視点から見やすいということがあります。

 一方で、教員養成ということを考えれば、その大学で、どのぐらいの人が、どういう免許を取って、先生になっているのかという話になるので、ちょっと縦軸から見るか、横軸から見るかという違いが出てしまうとは思います。取得状況とか特に教員就職率の集め方は、検討が必要で集めること自体は結構だと思いますが、検討が必要かなという感じはしております。

【高橋座長】  安達委員がおっしゃられることは、例えば、学部でも、研究科でもでございますけれども、免許を全員が取るわけではないとか、その中から教員になる人がどれということで、絶対値、何人なら書けるけれども、率になったときに、非常に微妙な問題があるということですか。

【安達委員】  はい。極端な例というか、私どもの大学の例をお話ししますけれども、私は、高校の教科情報の指導も担当しているのですが、現状、実は、これは教員採用試験の影響が大きいと思いますけれども、今、東京、埼玉地区ですと、情報の教員免許だけですと、公立学校の採用試験が受けられないという状況になっておりまして、もう1個、高校のほかの免許がないといけない状況です。

 学生には、本学ではもう一つ公民などがありますので、では、一緒に取りなさいと指導はするのですが、これはやっぱりなかなかハードルが高くなって、でも、将来に備えて、情報の免許は取りますが、公民は取らないという学生もいます。ただそうなると、実質は門前払いを食らうような状況になるので、残念ながら、採用実績が、現役生ではないということがあります。

 ところが、つい今年の話ですが、卒業した後に埼玉県の公立で非常勤をずっと勤めていまして、5年ぐらいかけて、通信で副免を取った卒業生がいるのですが、その後に、今年、採用試験に受かりまして、1名教員が出たということがありました。その卒業生はOGになりますから、大学の実績としてはありますけれども、多分これは表立ったデータには何も出てこないことというか、そういう話になると思います。

 ですから、特に採用、就職率で難しいところは、教員採用で、特に中高免の場合ですが、やはり現役でストレートで教員になる人ばかりではないという状況がありますので、そこの取り扱いを少し慎重にしていただいた方がいいのかなという感じはしています。

 逆に、今、小学校の方は、ほぼ倍率がないと言うと、大変失礼ですけど、低率倍率ですので、ほぼ学部卒あるいは大学院卒で教員になられるという方がほとんどですので、状況が相当に違うということです。

 ですから、そこのところは、やや工夫が要るのかなという感じはしています。どうしても数字のデータで並べてしまいますと、全部同じに見えてしまって、数の大小で比較されるということにはなりがちなので、そこは気を付けたいなと思います。

【細谷委員】  大学のこういった教職課程に関する情報公開ということで、今、施行規則でもこういう項目が決められていると、私も初めて見たものですから、興味深く見ていました。

 これを自分の中学校のホームページと関連させながら見ていたのですが、大学の場合は、いわゆる中学校、小学校でやっている、高校でもやっていると思いますけれども、学校評価の結果は、公表はしなくていいのですか。

【高橋座長】  しています。

【細谷委員】  別にしているのですね。では、ここの項目には、それらしい項目がなかったので、別なのですね。分かりました。

 例えば、中学校は、うちはやっていませんが、生徒から授業評価をした結果も載せているところもありますけど、そういうものも載せているのですね。

【高橋座長】  はい。

【細谷委員】  分かりました。ありがとうございます。

【高橋座長】  これは、教職課程に関する情報の公表ということなので、課程認定を受けたところが、教職課程について公表するというところだと思います。

 先ほど御意見をいただきましたように、公表すべき情報は、ここにあるものは、全てという御意見と、非常に微妙な点もある、就職状況に関しては微妙な点もあるという御意見は、確かにあるだろうなと思います。

 だから、教員就職率等というところ、教員就職率となってしまうと、それだけ数字が、ひとり歩きするのではないかなという御意見ですよね。

【安達委員】  はい。やっぱり学校種、免許種によって、相当に事情が違うという。そこを危惧しているところです。

 高校の免許種でも、一種でくくってしまえば、丸められてしまうところもありますけれども、教科自体が、教員の数が非常に少ないような教科もありますので、その部分を細かく出せば、出すほど、だんだん差がついてしまうような感じはしています。

【高橋座長】  そういう意味でいうと、いろいろな事情があるにしても、教員は輩出していないという事実は、事実ですよね。

【安達委員】  そうですね。

【高橋座長】  だから、そこのところが、教員養成が主ではない学部ではない場合、もっとほかに売りがあって、教員免許はプラスアルファで取られているのではないかと思います。

【安達委員】  それが率に反映するという点でいえば、どちらもそれを公表して、比較すればというところがありますけれども、だからといって、それで、数字だけを見てしまうと、客観的に見て、どうなのかなという問題はあると思います。その説明があれば、これは教員養成中心の大学だから、もちろん率が高くて当然だろう。こちらはそうではないのだから、これはいたし方ないだろう。そういう見方があればいいのですけれども、そうではなくて、単に優劣で語られてしまうと、ちょっと困るなという感じはします。

【高橋座長】  大学にはそれぞれのミッションがあって、やっているにもかかわらず、教職課程だけを取り出して、それだけで比較されるということが、非常につらいところはありますよね。

【藤原教職員課長】  今、御議論があったような話なのでございますが、この学校教育法施行規則の改正をやりましたときに、該当している部分は、第4号ということになるわけでございますが、そこはかなり議論がございました。

 特に大学、一般の学部全般という話になりますと、就職したかどうかが、なかなか把握し切れない。例えば、デザイン系であれば、個人でやっているのか、就職していないのか、何かそこは判別がつきにくいという問題もあって、最終的にそこは就職者、その他、進学及び就職等の状況に関するという形になったということなのでございます。

 今回、教員養成課程についてということでございますけれども、こちらの方は、比較的、事柄自体は明らかです。免許を取ったか、取らないか、その中で、教員になったか、ならないかということは、それ自体は客観的にかなり明確になる部分ではございます。

 そこは若干状況が違うのかなということはございますけれども、一方で、今、御議論がございましたように、特に少数免許といった類いのものだと思いますけれども、これについては、就職状況も非常にまちまちでございますし、そこら辺について、どうなのかという御議論は確かにあると思います。

 ですから、就職率という形で答申ではあるわけでございますが、そこが、データ、数字として、あまり実態と違うような形になってしまう、世間に見えてしまうということにならないように、十分配慮した形で進める必要があるということだろうと思ってはございます。

【高橋座長】  今まで御意見をいただいてないところで、課程認定の時に、こういう情報の公表の取組状況を確認していくということについてはいかがでしょうか。

【安達委員】  課程認定のとき、そもそも取組状況というよりは、実績で評価をするということがあるのではないのかなとは思ってはいるのですけれども、そのことと情報の公開ということは、何かリンクする関係はあるのでしょうか。

 つまり、公開はしてなくても、当然、今までの実績はどうですかということは、課程認定の評価の中では、入っているはずだと思います。

【藤原教職員課長】  ここでの趣旨につきましては、正に情報の公表を、仮に免許法の施行規則などで義務付けをした場合に、その義務の履行をきちんとしているかどうかということを、確認させていただくという趣旨でございます。

【安達委員】  もしそれを課程認定でやっておかないと、認定していませんと言われたらば、みんなやると言えば、やることにはなると思うので、だから、取組状況を確認するとすれば、それで済むなら、済むし、そういうことを言っておけば、みんなやるだろうから、それもいいだろうなというか、ある種の強制力が働く内容かと思います。

 ただ、繰り返すようですけれども、率だけで見ては危ないところも感じますので、これは、公表してあればということですから、いいと思います。

 文部科学省の課程認定の各大学の申請書類があると思いますが、それについては、どこかで見た記憶があるのですけれども、全ての大学のものが全部データベース化されて、閲覧、参照できるようになっていたかと思いますけれども、それは、一般には公開はされていないものでしたか。

【松本免許係長】  教職課程を担当しております、松本と申します。

 課程認定に係ることとしましては、課程認定審査と教職課程実地視察と、大きく分けて二つあります。

 課程認定の際には、申請書を出していただくわけでございますが、その際に出していただく資料は、既にその大学で認定を受けている学部、学科の名称と免許状の種類、新しく申請をしようとしている課程のカリキュラム、教員組織、その先生方の業績、課程認定を受けようとしている学科の考え方と、なぜ免許状かということの考え方の説明を受けているというところでございます。その他の既に認定を受けている学科の就職状況や学生の免許状取得状況は、関係の資料は求めていないところでございます。

 一方で、教職課程実地視察がございます。これは既に認定を受けた大学に対して、実地視察を行っているところでございます。年間50大学ほど回っておりますけれども、その際には、それぞれの学科で、過去5年間で何名の方が免許状を取得したのか、そのうち何名の方が就職したのかという情報を聞いておりまして、その情報については、実地視察に関する情報として、文部科学省、教員養成部会に配付をし、結果として、ホームページに公表しているというところでございます。

【安達委員】  確認です。ここで言っている情報の公開の取扱いの確認は、今の課程認定の申請書類の中に、そういう様式が、1個増えると考えてしまって構わないということですか。丸するか、バツするかみたいな、あるいは、そのままつけろとかという話になる。

【高橋座長】  ミッションの再定義が、今、国立大学では始まっていますが、そのときには教員就職状況という文言で書いてあります。教員就職状況、教員免許取得状況という文言で、提出をすべき資料一覧で出ております。だから、教員就職状況、教員免許取得状況という表現でも、いいだろうと思います。

【安達委員】  率だとそぐわないところも出るので、実数というか、数でもいいのかなというところは思います。

【高橋座長】  だから、率としてしまうと、もう率になってしまうので、教員就職状況、教員免許取得状況という表現でもいいかなと思います。

 それぞれの大学の養成教員像だとか、教員養成の理念というところは違いがあり、そこで個性を出していくということも、当然できるわけです。数値だけにとらわれないで、もっと自分の大学の教員養成の理念、養成する教員像を、しっかりと宣伝するというか、アピールすることが大事かもしれません。

 それでは、先ほど公表すべき情報ということで、最後の教員就職率等というところは、教員就職状況という表現を使うことにしたいと思います。

 情報公開の手法として、分かりやすい言葉でということと、ホームページはもちろんでございますが、データベース化する、大学ポートレートと一緒にするなどということも含めて検討したらどうかということでございました。

 課程認定に関しては、御意見としては、こういう情報の公開の取組状況については、今まで確認されていないことでしたので、それは、そのときに確認してもいいということです。そのようなところで、議論をいただきました。

【高橋座長】  以上をもちまして、本日の議題は全て終了となりました。

 それでは、本日はこれで閉会としたいと思います。ありがとうございました。

 

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