参考資料 外国語教育における「CAN-DOリスト」の形での学習到達目標設定に関する検討会議(第3回)主な意見

平成24年10月11日
 

  • フローチャートの書かれ方が、授業を行ってその後に何かしらの評価を行うという流れになっているが、授業を行う中で評価を行うような示し方もできるのではないか。
  • 卒業時の学習到達目標を設定しておろしていくという考え方と同時に、入学時にどういった能力の子が入ってきているかを踏まえて、卒業時に向けて手だてを講じていくことも重要ではないか。また、学習者による自己評価という使い方についても、それを必須のものとするかについては検討が必要だが、記載があってもいいのではないか。
  • その場で「できる」ということと、ほんとうの意味で習得がなされたかどうかは別の話で、アウトカムを見るということで考えると、出口のところでほんとうの意味でできるようになっていることと教師が教えたと思っていること間に結構距離があるのではないか。
  • 教科書の選定は重要であるが、CAN-DO作成ののどの段階に入るのか。高校の場合には、1年ごとに教科書をかえられるので、このチャートの中でどこで来年度の教科書を選定するのかという点も視野に入れて考えたほうが良い。また、フローチャートの最後に「単元計画への反映」というのがあるが、それで終わらせず、毎年検証していくというPDCAサイクルの要素があることを書き加えるべきでは。
  • 教科書をうまく使うことできるような力量を教員が身に付けることが重要。
  • このCAN-DOが指導・学習のためのCAN-DOなのか、評価のためのCAN-DOなのか明確にしなければならないが、指導改善に役立てるほうに重きがあるのだろう。
    また、CAN-DOリストについて、単純に「できる」で終わる文であると受け取る人もあり、CAN-DOの精神である「言語を用いて何ができるか」という観点がなかなか伝わりにくいので、フローチャートの冒頭に加えるべきではないか。
    既存の枠組みの活用については、学習指導要領を用いることも可能ではないか。
  • やはり手引では、CAN-DOとは何かということをちゃんと説明するのが必要。そうしないと、言葉の語彙や文法の複雑さのような、本来はパフォーマンスの条件になるはずのものが目標になってしまうおそれがある。
  • 設定方法のところで、各学校で実際に行われている学習活動をベースに設定するとあるが、これは危険な部分もあるのではないか。今まで和訳をやっていたのだから和訳をやっていけばいいとか、旧来の偏った指導をベースにCAN-DOがつくられてはいけない。
  • 学習と指導のためのCAN-DOなのか、評価のためのCAN-DOなのかという、その視点は非常に大事。現場で「CAN-DOリスト」=「チェックリスト」ととらえられ、これができるかできないかをチェックすることをそのまま評価としてしまうことが危惧される。
    また、外部試験の活用をあまりに強調すると、結局は検定試験の何級に何%合格させるとか、何点とらせるということが指導者の目的になり、本来の学習活動の狙いがだんだん薄れてきてしまうのではないか。
  • 今、このCAN-DOを必要としている理由は、英語教育において「4技能を総合的に育成する指導がされていない」ことを打開するということだけではなく、もっとマクロな問題として、そもそも指導者の間でゴールが共有されていないことによって長期的な指導計画が立てられないという状況を変えることにある。何ができるようにするためにその指導をしているのかということが話されないまま、ただ教科書のこの単元をいつまでに終わらせるということしかしていない学校が多いのではないか。
  • 現場では、「検証する」という文言が非常に大きく捉えられているようだ。例えばフレームワークの検証であるとか、客観的スコアを持ってきてとか、科学的に統計的にというところまで求められているのかと誤解している所もある。「検証」そのものではなく、「把握」することが大事であり、目の前の生徒の能力を日頃の授業で見取ることの大切さにより留意する必要がある。
  • CAN-DOを設定するスパンとして、学期ごとというよりは、少なくとも学年の最後くらいで考えた方がよいのではないか。時期が短期的になればなるほど、授業との直接的な関連性が強く出てきて、本来的なCAN-DOの意味とずれてしまうように感じる。
  • 中学校はかなり評価規準が徹底して行われ、かなり定着しているため、評価基準とどこが同じでどこが違うのかということは明確に示さなければならない。また、中学校は文法に沿って指導が行われることが多いこと、教科書が地区で決まっており通常4年間同じものを使用するということも留意が必要。
  • どのぐらいのタイムフレームでやるのかを検討する必要があるのではないか。色々なやり方があるとは思うが、幾つかバリエーションを示すようなことがある程度あってもいいのでは。
  • CAN-DOリストを作成する際に、ある程度信頼性とか妥当性のある外部指標を参考にする必要はあるのではないか。また、話すことに関して、CEFRもCEFR-Jも必ずSpoken Production(一方的に話すこと)とSpoken Interaction(やりとりをしながら話すこと)とに分かれている。現在各学校で作成されているCAN-DOリストを見ていると、話すことはほとんどスピーチとかロールプレーとか、前もってスクリプトを用意して準備した話すことになっている。学習指導要領でも、準備をせずに話すことに重点を置いているので、「話すこと」のCAN-DOでは、準備せずに話すことにも力を入れるものにしてほしい。
  • CAN-DO用の特別な評価を行うのか、あるいは定期試験などの通常の評価もその中に組み込むのかについても記載が必要ではないか。
  • 外部の検定試験を活用するというのは非常に大事ではないか。外部の検定試験はテスティングの専門家によって作成されているので、妥当性という意味でも活用されるべき。
  • 検討体制について、外国語科だけではなく、管理職がどういうふうにかかわるのかとか、他教科の先生との連携をどうするのかとか、ということは何らかの形で書くべきではないか。また、県はどういうサポートをするのかについても考えるべき。
  • 外部試験の活用に関しては、とりあえず受けさせて安心ということでは困る。活用する外部試験で何を測ることができるのかをちゃんと理解した上でうまい使い方をする必要がある。
  • 各学校で実際に行われている学習活動を基に「CAN-DOリスト」の形での学習到達目標を設定するかどうかは、その学校の授業改善の取組がどの程度、進んでいるかにもよるのではないか。

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