資料2-2 教職員のメンタルヘルスに関する調査結果(案)(概要)

1.調査概要
 ○文部科学省から、入札を経て、株式会社三菱総合研究所へ委託
 ○調査期間:平成24年9月~10月
 ○調査対象:200校(公立の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校)、約5000名(校長、副校長・教頭、教諭等、事務職員等)
  ※学校種、学校規模対象校を無作為抽出

2.調査結果について (※括弧内のページ番号は調査結果(案)本体資料における該当ページ)
[学校用アンケート結果]
(1)単純集計結果
 ○ストレスの状況について
  ・校長は、「学校経営」、「保護者への対応」に強いストレスを感じている割合が大きい。(p.5)
  ・副校長・教頭は、「業務の量」、「書類作成」、「学校経営」、「保護者への対応」に強いストレスを感じている割合が大きい。(p.13)
  ・教諭等は、「生徒指導」、「事務的な仕事」、「学習指導」、「業務の質」、「保護者への対応」に強いストレスを感じている割合が大きい。(p.21)
  ・事務職員等は、「業務の量」、「業務の質」に強いストレスを感じている割合が大きい。(p.29)

 ○ストレスの軽減方法について
  ・いずれの職種も家族にストレス(不安、悩み含む)を相談することが多い。(p.6,14,22,30)
  ・校長や副校長・教頭は、それぞれお互いにストレスを相談することが比較的多い一方、教諭等や事務職員等は、同僚や同業種の友人にストレスを相談することが多い。(p.6,14,22,30)

 ○職場の雰囲気について
  <全体>
 ・校長や副校長・教頭は、職場内の雰囲気や職場におけるコミュニケーションについて、良好でないと感じる割合がかなり小さいが、教諭等や事務職員等は、良好でないと感じる割合が比較的大きい。(p.7,15,24,32)
 ・教諭等や事務職員等は、上司に対して仕事上のストレスについて相談しにくいと感じている割合が大きい。(p.24,32)
 <校長>
 ・「教職員同士で協力し合って仕事をする雰囲気」は「ある」が45%、「どちらかといえばある」を含めると100%近い。(p.7)
 ・「自校の副校長、教頭との相談しやすさ」は90%弱、「自校の教職員(副校長、教頭以外)との相談しやすさ」は90%強。(p.7)
 ・「自校の教職員のストレス状況を把握している」は75%。(p.8)
 ・職場において業務の効率化等の改善を図る動きがあるのは75%。(p.9)
<副校長・教頭>
 ・「教職員同士で協力し合って仕事をする雰囲気」は「ある」が30%強、「どちらかといえばある」を含めると95%。(p.15)
 ・「自校の校長との相談しやすさ」は90%弱、「自校の教職員との相談しやすさ」は90%強。(p.15)
 ・「自校の教職員のストレスの状況を把握している」は80%。(p.16)
 ・職場において業務の効率化等の改善を図る動きがあるのは80%。(p.17)
<教諭等>
 ・「教職員同士で協力し合って仕事をする雰囲気」は「ある」が35%、「どちらかといえばある」を含めると90%弱。(p.24)
 ・仕事上のストレスについて相談しやすいのは、職場の同僚や先輩(75%)、職場外の同僚や先輩(65%)、上司(50%弱)の順。(p.24)
 ・職場において業務の効率化等の改善を図る動きがあるのは50%強。(p.25)
 <事務職員等>
 ・「教職員同士で協力し合って仕事をする雰囲気」は「ある」が30%弱、「どちらかといえばある」を含めると80%強。(p.32)
 ・仕事上のストレスについて相談しやすいのは、職場の同僚や先輩(70%)、職場外の同僚や先輩(60%弱)、上司(50%強)の順。(p.32)
 ・職場において業務の効率化等の改善を図る動きがあるのは70%。(p.33)

○その他
 ・平均入校時間、平均退校時間について、校長は、7時~7時30分、18時~19時の割合が大きい。副校長・教頭は、6時30分~7時30分、19時~21時の割合が大きい。教諭等は、7時~8時、18時~20時の割合が大きい。事務職員等は、7時30分~8時30分、18時以前の割合が大きい。(p.4,12,20,28)
 ・教職員としての理想像について、校長は、「明確にある」が60%強、「ある程度ある」を含めると100%近い。副校長・教頭は、「明確にある」が40%弱、「ある程度ある」を含めると100%近い。教諭等は、「明確にある」が20%強、「ある程度ある」を含めると90%強。事務職員等は、「明確にある」が10%弱、「ある程度ある」を含めると80%弱。(p.10,17,26,34)

 

(3)クロス分析・多変量解析結果
1.校長
 <クロス分析結果>
 ・「保護者への対応」に強いストレスを感じる割合(常にある又はときどきある)は、小規模校がもっとも小さく、中規模校がもっとも大きい。ただし、常に強いストレスを感じる割合は、学校規模が大きいほど高い傾向が見られる。(p.35)
 ・全体的に、強いストレスを感じる割合は、大きい順に中学校、小学校、高等学校となっている。(p.35)
 ・「自身の私的生活」に強いストレスを感じる割合は、女性の方が男性より大きい。(p.36)
 ・「地域社会、地域住民との関係」「自身の私的生活」に強いストレスを感じる割合は、いずれも現任校在籍年数3年がもっとも大きく、次いで2年が大きい。現任校在籍年数4年以上の校長で、「自身の私的生活」に強いストレスを感じる割合は5%未満である。(p.36)
 ・「教育委員会とのコミュニケーション」「書類作成」「業務の量」に強いストレスを感じる割合は、全体的に平均退校時間が遅いほど大きい傾向が見られる。(p.37)
 <多変量解析結果>(p.38)
 ・ストレスを有意に強める変数は見られない。
 ・ストレスを有意に弱める変数は、「自校の教職員(副校長、教頭以外)とのストレス相談頻度(が高い)」、「教職員同士で協力しあって仕事をする雰囲気(が強い)」の2つ。

2.副校長・教頭
 <クロス分析結果>
 ・「保護者への対応」に強いストレスを感じる割合は、学校規模が大きいほど高い傾向が見られる。(p.39)
 ・「書類作成」に強いストレスを感じる割合は、「常にある」「ときどきある」の合計回答割合を見ると学校規模による差は見られないが、「常にある」については大規模校が小規模校・中規模校の2倍以上である。(p.39)
 ・「業務の量」に強いストレスを感じる割合は、「常にある」「ときどきある」の合計回答割合を見ると中規模校がもっとも高いが、「常にある」については学校規模が大きいほど高い傾向が見られる。(p.39)
 ・「学校経営」「上司とのコミュニケーション」に強いストレスを感じる割合は、特別支援学校がもっとも大きい。(p.40)
 ・「部下とのコミュニケーション」に強いストレスを感じる割合は、高等学校がもっとも大きい。(p.40)
 ・「地域社会、地域住民との関係」に強いストレスを感じる割合は、50歳未満がもっとも大きい。ただし、「常にある」については、59歳以上がもっとも大きい。(p.41)
 ・「保護者への対応」に強いストレスを感じる割合は、現任校在籍年数3年がもっとも大きく、1年がもっとも小さい。(p.42)
 ・「学校経営」に強いストレスを感じる割合は、平均退校時間20時以降が20時以前よりも大きい。(p.42)

 <多変量解析結果>(p.43)
 ・ストレスを有意に強める変数は、「小学校勤務」「中学校勤務」「異業種の友人とのストレス相談頻度(が高い)」の3つ。(ストレス相談頻度は、逆のベクトルの可能性あり)
 ・ストレスを有意に弱める変数は、「小規模校勤務」「中規模校勤務」「旅行・娯楽でストレス解消」「自校の校長との相談しやすさ」「自校の教職員との相談しやすさ」の5つ。

3.教諭等
 <クロス分析結果>
 ・「学習指導」「生徒指導」「部活動指導」「校外行事への対応」「保護者への対応」に強いストレスを感じる割合は、中規模校、大規模校、小規模校の順で大きい。(p.44,45)
 ・「業務の質」「同僚との人間関係」「上司との人間関係」に強いストレスを感じる割合は、学校規模が大きいほど高い傾向が見られる。(p.45)
 ・「学習指導」「保護者への対応」「事務的な仕事」に強いストレスを感じる割合は、小学校がもっとも大きい。(p.46,47)
 ・「生徒指導」「部活動指導」「校外行事への対応」に強いストレスを感じる割合は、中学校がもっとも大きい。(p.46,47)
 ・「事務的な仕事」「業務の質」「同僚との人間関係」「上司との人間関係」「自身の私的生活」に強いストレスを感じる割合は、特別支援学校がもっとも大きい。(p.46~48)
 ・いずれの事項についても、強いストレスを感じる割合は、60代以上がもっとも小さく、その他は全体的に年代が高いほど大きい傾向が見られる。ただし「部活動指導」に強いストレスを感じる割合は、30代をピークに年代が低い/高いほど小さい傾向が見られる。(p.48,49)
 ・「学習指導」「生徒指導」「業務の質」「同僚との人間関係」「校外行事への対応」「上司との人間関係」「保護者への対応」「自身の私的生活」に強いストレスを感じる割合は、女性の方が男性より大きい。(p.50~52)
 ・「部活動指導」に強いストレスを感じる割合は、男性の方が女性より大きい。(p.51)
 ・「生徒指導」「部活動指導」「事務的な仕事」「業務の質」「同僚との人間関係」「校外行事への対応」「上司との人間関係」「保護者への対応」「自身の私的生活」に強いストレスを感じる割合は、全体的に現任校在籍年数が長いほど大きい傾向が見られる。(p.52~54)
 ・いずれの事項についても、強いストレスを感じる割合は、教職経験年数31年以上を除いて、全体的に年数が長いほど大きい傾向が見られる。ただし「部活動指導」に強いストレスを感じる割合は、11-20年をピークに年数が短い/長いほど小さい傾向が見られる。(p.55~57)
 ・「学習指導」「生徒指導」「事務的な仕事」「業務の質」「校外行事への対応」「保護者への対応」に強いストレスを感じる割合は、学級担任ありの方がなしより大きい。(p.57,58)
 ・「部活動指導」に強いストレスを感じる割合は、学級担任なしの方がありより大きい。(p.58)
 ・「事務的な仕事」「上司との人間関係」に強いストレスを感じる割合は、平均入校時間6時30分以前がもっとも大きい。(p.60,61)
 ・「部活動指導」に強いストレスを感じる割合は、平均入校時間7時~7時30分がもっとも大きい。(p.60)
 ・「保護者への対応」に強いストレスを感じる割合は、平均入校時間7時30分~8時がもっとも大きい。(p.61)
 ・「業務の質」「自身の私的生活」に強いストレスを感じる割合は、平均入校時間8時~8時30分がもっとも大きい。(p.60,61)
 ・「学習指導」「生徒指導」「同僚との人間関係」「校外行事への対応」に強いストレスを感じる割合は、平均入校時間9時以降がもっとも大きい。(p.59~61)
 ・「学習指導」「生徒指導」「部活動指導」「事務的な仕事」「業務の質」「同僚との人間関係」「校外行事への対応」「上司との人間関係」「保護者への対応」に強いストレスを感じる割合は、全体的に平均退校時間が遅いほど大きい傾向が見られる。(p.62~64)
 ・「自身の私的生活」に強いストレスを感じる割合は、平均退校時間21時~21時30分がもっとも大きく、20時~21時がもっとも小さい。(p.64)

 <多変量解析結果>(p.66)
 ・ストレスを有意に強める変数は、「教諭・助教諭・講師」「保健主事」「平均退校時間(が遅い)」「同僚とのストレス相談頻度(が高い)」「上司とのストレス相談頻度(が高い)」「医療機関とのストレス相談頻度(が高い)」「好物を飲食してストレス解消」の7つ。
(ストレス相談頻度は、逆のベクトルの可能性あり)
 ・ストレスを有意に弱める変数は、「職場を離れての同僚・先輩とのコミュニケーション(の頻度が高い)」「上司との相談しやすさ」「教職員としての理想の強さ」の3つ。

4.事務職員等
 <クロス分析結果>
 ・「業務の質」に強いストレスを感じる割合は、50代がもっとも大きく、60代以上がもっとも小さい。(p.67)
 ・「同僚との人間関係」「自身の私的生活」に強いストレスを感じる割合は、40代をピークに年代が低い/高いほど小さい傾向が見られる。(p.68)
 ・「上司との人間関係」「自身の私的生活」に強いストレスを感じる割合は、女性の方が男性より大きい。(p.68)
 ・「同僚との人間関係」に強いストレスを感じる割合は、現任校在籍年数3年以上が2年以下より大きい。(p.69)
 ・「業務の質」「業務の量」に強いストレスを感じる割合は、在職年数31年以上を除いて、年数が長いほど大きい傾向が見られる。(p.69,70)
 ・「同僚との人間関係」に強いストレスを感じる割合は、在職年数11-20年をピークに年数が短い/長いほど小さい傾向が見られる。(p.70)
 ・「事務的な仕事」に強いストレスを感じる割合は、平均入校時間が遅いほど大きい傾向が見られる。(p.70)
 ・「事務的な仕事」「業務の質」「業務の量」に強いストレスを感じる割合は、平均退校時間が遅いほど大きい傾向が見られる。(p.71)
 ・「保護者への対応」に強いストレスを感じる割合は、平均退校時間18-19時がもっとも大きく、18時以前がもっとも小さい。(p.71)

 <多変量解析結果>(p.72)
 ・ストレスを有意に強める変数は、「事務職員」「平均退校時間(が遅い)」「上司とのストレス相談頻度(が高い)」の3つ。(ストレス相談頻度は、逆のベクトルの可能性あり)
 ・ストレスを有意に弱める変数は、「上司との相談しやすさ」の1つ。

 

[都道府県・指定都市教育委員会用アンケート結果]

 ・今回の休職発令時点の勤務満年数に関して、15年以上30年未満の年数が最も多く、過去に2回以上休職を経験した人数も多い。

 ・今回の休職発令時点の現任校における勤務満年数に関して、年数が多いほど、病気休職となっている割合が大きい。

 ・病気休職の回数が多い者ほど、再び病気休職に入るまでの間隔が短い。

 ・小学校においては、病気休職者が所属する学校の方が、暴力行為発生、いじめ認知、不登校児童生徒の在籍に関する学校数の出現率が比較的高いという結果が出ているものの、その他の学校種においては相関関係が見られない。

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(初等中等教育局初等中等教育企画課)