教職員のメンタルヘルス対策検討会議(第5回) 議事要旨

1.日時

平成24年7月6日(金曜日)18時30分から20時20分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室(3階)

3.議題

  1. 中間まとめに向けた意見整理(素案)
  2. その他

4.議事要旨

 冒頭、座長から挨拶がなされた。

議題(1):中間まとめに向けた意見整理(素案)について

【座長】

  本日は前回の議論、意見をまとめるための第一のステップとして、お話を伺いました。今日もその延長線上で、職場復帰の問題について、焦点を当てながら進んでいきたいと思っています。それでは、配付資料の方のご説明からいただきましょうか。

【事務局】

  それでは、配付資料について確認をさせていただきたいと思います。資料1が教職員のメンタルヘルス対策に関する主な意見等の整理ということで、前回までの御議論を整理させていただいたものでございます。資料2がメンタルヘルス不調による病気休暇・休職から職場復帰までの大まかな流れということで、教育委員会において行われている職場復帰までの大まかな流れの概要を示した資料でございます。資料3が教職員のメンタルヘルス対策に関連する文部科学省の主な取組、資料4が前回会議の議事概要、参考資料1が教職員のメンタルヘルスに関する現状ということで、第2回会議で配布させていただいた資料でございます。参考資料2が広島県教育委員会作成の資料で、「教職員のメンタルヘルスの保持に向けて」という資料でございます。参考資料3については、香川県教育委員会作成の資料で、「香川県教職員の職場復帰支援の手引き」でございます。そして、参考資料4が文部科学省作成のパンフレットで、「学校における労働安全衛生管理体制の整備のために」でございます。なお、資料4の前回会議の議事概要につきましては、委員各自でご確認いただきまして、ご確認いただいた後に、後日文部科学省ホームページにも掲載させていただければと思っております。以上でございます。不足等ございましたら、お知らせいただければと思います。

【座長】

  ありがとうございました。先程申しましたとおり、前回は全般としてお話をいただきましたけれども、職場復帰の問題に関しては必ずしも十分ではなかったという気がいたします。今日はどちらかといえば、職場復帰の問題について意見をいただきたいと思っております。それでは、まず文部科学省の方から、資料の説明についてしていただけますか。

【事務局】

  それでは、資料1から説明をさせていただきたいと思います。資料1は教職員のメンタルヘルス対策に関する主な意見等の整理というところで、これまでの議論を整理し、まとめさせていただいたものでございます。前回の整理等の変更点を中心にご説明申し上げたいと思います。

  まず、1.については、教職員のメンタルヘルスに関する現状と課題というところで、第1回または第2回の事務局説明、あるいはその資料から教職員のメンタルヘルスの現状や課題について追記をさせていただいております。また、2.については、前回、精神疾患との背景というところでございましたけれども、全体を通じましてメンタルヘルス不調の背景というような点にまとめさせていただきまして、類似の文章等を整理いたしました。続いて、2ページについては、丸3で教職員の業務の特徴というところで、特に学校では規模に関わらず、一人の教職員が多くの分掌を担当していなければならないといった業務の特徴があるということで、加えさせていただいております。続いて、3ページでございます。予防的取組というところでございます。前回の項目にはございませんでしたけれども、委員各位のご発言や資料等を踏まえまして、まず項目立てといたしまして、セルフケアの促進というところで、メンタルヘルスについての知識あるいはストレスへの対処行動を身につける機会を充実というところを加えさせていただいております。続いて、4ページになりますけれども、一番最初の○になりますが、ストレスチェックについて前回項目立てがございましたけれども、この点についてはこのセルフケアの中で記述させていただきまして、また十分な事後的措置を用意した上でストレスチェックを活用するといった留意点も付して記述させていただいております。続いて、ラインによるケアの充実の2番目になりますけれども、類似の記述を整理させていただきまして、まずは学校において、日常的に教職員の状況を把握し、初期対応を行う。そして、3番目の○になりますが、学校の組織については、鍋蓋型の組織であってラインによるケアが行いづらい事情があるので、主幹教諭等を配置し、ラインによるケアが行われるよう体制を整備する必要があるということについても記述させていただいております。その次の○については、その他管理職の姿勢あるいは対応等について、留意点をまとめたものになっております。続いて、5ページでございます。丸3の業務の縮減・効率化については、まず教育委員会において業務内容の点検評価、そして、縮減・効率化を図るということ。2番目で、校長が学校において、職場環境の改善を図ることについて、記述をさせていただいております。丸4について、相談体制の充実でございますが、まず、これも第1回・第2回事務局資料から記述を転用させていただいたのですが、相談体制について、特に市町村教育委員会における整備状況がまだまだ進んでいないという状況もございますので、その点について追記をさせていただいております。また、スクールカウンセラーの活用について、その活動は重要であるということについて、若干記述を整理させていただいております。続いて、丸5でございますけれども、まず心身ともに健康を保持するための基盤であります労働安全衛生管理の体制が十分実施されていない、整備されていないという指摘がございますので、まずはその基盤となる体制の整備を図ることが急務であることについて、追記をさせていただいております。続いて、6ページの復職支援というところで、復職前の対応は丸1、丸2で復職時における対応や留意点、丸3で復職後の対応ということで、それぞれ重複している表現等を整理いたしまして、記述をまとめております。復職前の対応においては、二つ目の○におきまして、休職期間中にその主治医・家族との連携による状況把握というところを追記させていただいております。また、最後、7ページになりますけれども、その他というところでございまして、養成・採用・研修という教職生活全体を通じた資質・能力の向上といったところでも、教員が学校現場で対応していくために必要な資質・能力の育成というところを追記させていただいております。資料1については、たいへん簡単でございますが、以上でございます。

  続いて、資料2について、ご説明させていただきたいと思います。先程、座長からもございましたように、復職支援についてご議論深めていただくために、ご用意させていただいた資料でございまして、まずは1枚目の概要を説明させていただきたいと思います。これは各教育委員会において、メンタル不調による病気休暇あるいは休職から職場復帰までどういった流れ、関係者の対応があるかということを簡単にまとめたものでございます。まず、左から順番に時系列に並んでおりまして、本人がメンタル不調になり、そして長期の休暇が必要だという場合には、まずは病気休暇を取得され、それでもなお療養が必要だという場合には休職となり、そして、休職によってその間療養に努められ、復職プログラムを経て、勤務に復帰するといった大まかな流れになっております。左の方からでございますけれども、まず、教職員本人あるいは主治医の方で診断書等を添えて、病気休暇が承認をされ、病気休暇によって療養を始めるということになります。療養の間については、本人の了解を得て、校長が状況把握するということになりますが、教育委員会においては、本人の了解を得た上で行うということで、まず初期の段階で非常に主治医との連携が難しいという状況があります。また、その後、病気休暇を取得してもなお、療養が必要だという場合に、診断書を添えて本人が休職の申し出をするということになりまして、それを受けた校長が意見書を教育委員会に出し、そして、休職発令が都道府県教育委員会すなわち任命権者でなされるということになります。その後も、休職発令後も教職員の状況把握については、各学校の校長が定期的に状況を把握するということになりまして、療養に努めた後、病状の回復度合いあるいは本人の復職希望といったものが整いましたら、復職プログラムを作成し、復職の段階に入っていくという状況になります。復職プログラムの作成にあたっては本人と話し合いながら、具体的な本人の状況あるいは学校の状況に合わせてプログラムを作成するということになりますけれども、表の下にございますような、例えば、実施期間で言いますと、2週間から3ヶ月程度で、主な所で言いますと、第1段階から第4段階まで書かせていただいていますけれども、まずは職場の雰囲気に慣れるというところ、そして、仕事の内容に慣れるというところ、3段階目、これは教員特有なのかもしれませんが、児童生徒との対応に慣れる、具体的な対人関係に慣れるというところ、そして、復帰に向けた具体的な準備というような流れになるというところは多うございます。そういったプログラムを経て、最終的に復職審査会での審査を経て復帰ということになるわけですけれども、この復職プログラムについても、実際にどのようなプログラムを組むことが望まれるのかという点については個々の具体的な状況によるかと思いますけれども、この点についても各教育委員会の方で試行錯誤している。校長の方も悩みながら、対応しているというような状況がございます。また、健康審査会で最終的に判断し、復職が可能かどうかというところを判断することになりますけれども、ここにおいても、可能とする際の判断のメルクマールといったものが常に課題となるというようなことを聞いております。さらには、経過観察があるわけでございますけれども、これも各教育委員会によって状況が異なるということがございますけれども、どれくらいの期間、どのような対応を行うべきかという点についても、非常に判断が難しいというところを聞いております。

  2ページ目以降については、各都道府県教育委員会・指定都市教育委員会で、どのような復職支援プログラムが行われているかということについて、概要をそれぞれの教育委員会から回答いただいたものをまとめたものでございます。対象者というのが、だれを対象に行うかということ。復職にあたっての受講義務の有無というものでございますけれども、復職を判断する際にその復職プログラムを受講していることが必須であるのか必須でないのかというところでございまして、「なし」というものについては、強制はできないということでございまして、受講するように勧めてはいますが、最終的には本人が拒否すれば強制はできないというところで、「なし」というような位置づけになっております。復職支援プログラムの内容でございますけれども、網掛けをさせていただいた部分で言いますと、その内容について先程申し上げました段階を追って職場に慣れていくというようなところを実施している内容でございます。この点についても、特に児童生徒との対応あるいはその事業等の対応といったところが教員特有の部分かと思われます。続いて、実施時期についても、先程申し上げましたように2週間から3ヶ月程度ということで、かなりの幅がございます。これについても、何らかのメルクマールといいますか判断基準、あるいは目安というものが考えられないのかというところを思うわけでございます。そして、経過観察についての記述でございます。特に定めのないところもございますので、この点についてはどのように判断していくのかというところがあろうかと思っております。資料2については、以上でございます。

  続いて、資料3でございますけれども、教職員のメンタルヘルス対策に関連する文部科学省の主な取組というところでございます。学校における労働安全衛生体制の整備というところが進んでいない部分がございます。その点についての取組といたしまして、文部科学省といたしましても、まず、(1)でございますが、産業医による健康診断等の適切な実施のための地方財政措置、いわゆる地方交付税措置というのを総務省に要望して行っているところがございます。また、衛生管理者及び衛生推進者の配置促進のための地方財政措置を併せて行っております。また、参考資料でお配りしておりますけれども、学校における労働安全衛生体制の啓発資料というところで、 リーフレットを作成し、配布しているというところがございます。ニポツにつきましても、スクールカウンセラーの配置というところでございまして、平成24年度予算において、小中学校約2万校に配置できるように措置をしているという状況がございます。また、2ページにございますけれども、メンタルヘルスに関する研修というところで、独立行政法人教員研修センターにおきまして、教職員等中央研修にもメンタルヘルスに関する講座を設けているというところでございますとか、その他調査等の見直し、調査研究委託事業によりまして、業務改善の取組、また、地域住民の参画による学校の教育活動の支援といったところについても、取り組んでいるというところでございます。続いて、参考資料の2についてでございます。参考資料の2、参考資料の3については、教育委員会作成の資料でございます。主に教育委員会における取組について、望ましい取組あるいはグッドプラクティスがさらに共有できるかどうかというところもございますので、一つの例として、まずは広島県教育委員会で作成されました教職員のメンタルヘルスの保持に向けてといった学校におけるメンタルヘルス対応事例集をお配りしております。内容についてはご覧いただければ分かるように、例えば一例を申し上げますと、7ページをお開きいただきますと、ここから事例の1から事例の7まで具体的な学校における事例の中で、どのような場面でメンタルヘルス不調といったものがあり、そして、学校でどんな対応をされたか、そして、その事例から学校でそういった場合には、どのような対応が望まれるのかというところを事例研究という形で、まとめられた資料でございます。続いて、参考資料3でございます。これは香川県教育委員会作成資料でございますけれども、職場復帰支援の手引きというところで、この資料についても、7ページ以降になろうと思いますけれども、病気休暇等から職場復帰するまでのそれぞれのステップに応じて、主には校長が、どのような対応をとるのかということについて、具体的に記述をしているというものでございます。これらについても、議論のご参考にしていただければと思っております。簡単ではございますが、説明は以上でございます。

【座長】

  ありがとうございました。大変重要な資料を作成していただいたことに感謝したいと思います。それでは、今日の実際の議論に入りたいと思います。よろしいでしょうか。いずれにしましても、今整理しました参考資料の中を見て発表していただきながら、議論の中で使っていただいて結構ですので。それでは、先程から少し前もってお話ししましたように、今日の議論は前回少し端折りました職場復帰の問題、復職の問題の所に焦点を当てながら進めていきたいと思っています。復職支援というのは、いったいどのような形で現実に行われているのか、それからどういった形で行われるのが望ましいのか、特にこれは教員として復職をするわけですから、前回私もお話ししましたように、教員の場合には復職は0かあるいは100かというような形になってしましますので、復職をするということは十分に仕事ができること、教員としての仕事ができることを一つの目処にするということになると、これはなかなか難しくて、前回の議論の時に7割程度の力があればという、復職の話も出ましたけれども、教員の場合は7割程度というのはどういうことなのかは非常に難しい。線の引き方が難しいということにもなろうかと思います。その辺のところも含めて、皆様方のご議論をいただければと思います。一応、参考でございますけれども、先程お話しが出ました資料1の復職支援と書いている6ページを開いていただいて、前回私が進めましたやり方に従って言えば、この3の復職支援の中の丸1のところ、復帰前の対応というあたりから、ここに書いているもの以外に何かもっと考えなければいけないものがあるかという話の進め方をしたいと思います。そのような形で、丸1、丸2、それから丸3、そのような順番で話を進めたいと思います。最後の方にその他と書いているところは、まさに前回はその他のところに関してお話を伺ったわけではございませんで、その他の所としてまとめていただいたものでございますが、もっと他にあれば議論をしていただく、そんなふうにしたいと思います。なお、復職支援の話を進めているうちに、やはり他の所に飛び火がいくこともあると思いますが、それはそれで結構でございますので、それはまた後ほど整理をした上で、最終的には議論していただくことにします。いずれにしましても、復職支援のところを開きながら、特に今は、これから丸1の復職前の対応というところで皆様方のご経験について、お話をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。

  それでは、実際に、私の方から少し皆様方にご指名させていただきまして、お考えをお聞かせいただきたいと思います。現場を預かっておられる先生の方から、復職前に学校としてどんなことを考えておられるのか、その辺のところから、もう一度お話しいただけませんでしょうか。

【委員】

  学校としては、私も何人かそういう対応したことがあるのですが、病気休職に入っていて、いつから復帰訓練やろうかという相談をして行くわけですが、定期的に本人と電話連絡あるいは面談したりということで、今の状況を把握したりとか、どういった形でこれから調子がよくなるようにやっていきましょうかとか、そういう形で何でも相談できる信頼関係を築いておくことが非常に大事だと思います。そういう中でやはり見通しを持っていただくということもございますし、学校の場合は、管理職の人事異動というのがございまして、その方が復帰しようという時に、管理職が、校長・副校長が変わってしまっていることもありますが、引き継ぎが十分なされないまま、そういう先生がいたのかなという例も聞いたりしますので、その辺りのところをしっかり所属のメンタルヘルスに不安を感じている方にきめ細やかな配慮を日頃から取っておく、報告・連絡を密にしておいて、どういった形で復帰に向けてやっていきましょうかという話をいつでもできるような状況を作っておくということが大事なことだと思っています。

【座長】

  現場では校長先生として、管理職としてそんなふうに考えておられることがこれで分かりました。それを統括という意味での教育委員会としてはどんなふうに考えられているのか。何か統一性というか、学校間のやり方は、それぞればらばらかもしれません。要するに校長によって、当然何か違いがあると思いますけれども、教育委員会としての対応はどうなのでしょう。

【委員】

  基本的には、まず病気に入られた方の主治医の意見を尊重いたしますので、しばらくは校長にお任せするということになります。ある程度経ったところで、福利課に保健師がおりますので、これも本人の同意を得た上なのですが、保健師に相談をするというようなシステムをとっているわけですが、あくまでも本人の同意が必要ですし、校長の方から希望というか、要請があってということになりますので、今座長がおっしゃいました統一的なという所は、どうしてもまず本人と校長の要請というところがあるものですから、なかなか統一は難しいと思います。現実、私どもでは県立学校と政令市以外の小中学校においても、この制度を県でやっているわけですが、現にこの制度を利用しない市町の小中学校もございます。本人が全然会ったことのない保健師と面談するのは怖いという、そういう方もいらっしゃいますので、なかなかこの制度を全員に強制はもちろん、是非使ってくださいというのが言いにくいというのもございます。

【座長】

  本人の了解を得なければいけないということですけれど、本人の了解も必要なのかもしれませんが、本人の了解無しにこういうもので周りが手を打っていくことはできないものでしょうか。

【委員】

  あくまでも本人の了解を得てですね。保健師に聞くことが必ずしもプラスばかりではないケースもございますので、言ったことによってマイナスになることはそうはないと思うのですが、それを考慮するとあくまでも本人がこういうプラスの人たちがいると分かった上で受け入れる気持ちを持たないと難しいのかなと思います。

【座長】 

  分かりました。それでは、先程、診断書の話が出ましたので、こういうときに診断書を書く側として、対応としてどんなことを考えないといけないのか。診断書を書く側として、何か、ご意見ございますか。

【委員】

  先生がおっしゃる診断書は主治医の診断書ですか。

【座長】

  主治医の診断書です。

【委員】

  私自身は主治医の診断書を見る側にも、書く側にもなります。復職の判定をする際に、診断書を見てみると、主治医が必ずしも教職員の業務の特殊性というのを理解されてないということが少なくありません。この点への対策としては、早期に主治医と連携することを勧めています。ご本人の受診に早いうちから、校長先生はじめ管理職の先生が同行し、休業に至った経緯や今後復帰をするためにどんなことを職場が注意したらいいのか等、その辺りのことを主治医の先生と共有しておくように勧めています。もちろん、それはご本人の了承が必要です。診療への同席を遠慮される声も聞かれますが、主治医視点でも産業医視点でも、メリットは大きいと思います。ご本人に勧める際には、スムーズに復帰するためには、主治医の先生も職場のことを理解していただく必要があるし、そのためには校長先生も診察に同席することもあると思うし、それはメリットが大きいから、是非利用していきましょうとお伝えし、場合によってはご家族にも来てもらって対応しています。

【座長】

  今、お話をいただいたことは、どちらかといえば主治医の立場ではなくて、今の主治医の書いてこられる診断書を見る方の立場、そして本人を復職に移られていいのかどうかということを考える立場からだと思いますが、実際に、それぞれの主治医から診断書が出てきたりするのですが、それをどういうふうに判断をしたらいいのか、つまり、主治医の先生方に対して、学校はこういう特徴のあるところですということを知らせるような機会というのは、教育委員会としては考えておられないのでしょうか。

【委員】

  主治医が職場や教職員の特性についてなかなか理解を深めてらっしゃらないことがありますので、まずは休まれたときに、校長から相談等あれば同行受診を勧めています。

【座長】

  なるほど。やはり現場の方からちょっと、話を伺いたいのですが、そうした主治医の診断書が出てくる、その診断書をどう判断したらいいのかというのは当然管理職として考えますよね。そして、その人の復職に関わる様々な相談をどこかにかけられると思いますけれども、その辺のところは具体的にどんな風にやっているわけですか。

【委員】

  東京都の場合には、三楽病院で教員の日頃の勤務の実態ですとか、今どういう状況なのか、そういったところを本当にきめ細やかに把握していただいておりますので、そことの信頼関係ができておりまして、私も何回か同席して、実際に色々とご指導を受けたこともあるのですが、やはりその関係ができていますので、東京都の場合、非常にスムーズに、意見を一致させて復帰に向けて取り組んでいくことができています。また、リワークプラザができまして、色んな復帰プログラム、この後のことで関係してくるのですが、一緒に考えていくというような体制が最近整ってきているので、まあ、そういう中ではスムーズに運ぶのかなと思っていますけど。ただ、三楽病院にかからない人も何人かいるわけで、そこでのトラブルが正直、みんなその診断でいいのかなとか、そんなに休まなくていいのではないかというときも色々ございますけれども、当然、その方が健康になっていただいて復帰してもらうことを考えるのですが、どうしても学校長はまず休む場合には、次の補充のことも考えますので、長く診断書を書いていただきたいなと正直な気持ちもあるときもございますので、その辺のバランスですね、もちろん、本人のことを第1に考えるのですけれど、その辺の主治医の方との信頼関係ですか、三楽病院ではできていますけど、他の病院では日頃あまり交流がないといいますか、こういったところをこれからどう補っていくかというのも、管理職も含めて考えていなかいといけないと思っています

【座長】

  三楽病院の話がでましたが、東京都は、うまくいっているのかもしれませんが、全国的な視点から見たときに、東京都のようなやり方をしているところばかりではないですよね。そういうところで何か問題を感じているところはありますか。

【委員】

  東京都のシステムは非常にきめが細かくて、かなり歴史が古いですし、色々改良されて、今に至っているということで、相当面倒見がいい形で運ばれている。ただ、全国レベルで見ますと、やはり医療施設が限られていたり、試し出勤にしても短期間だったりする。一般的でしょうですけれども、1ヶ月くらいでというところが多い、そうしますと、教員の方の場合、ある程度活動性が向上しているというのが必要条件で、それに加えて、子ども達を指導するという非常にこうハードな部分と言いますか、相当エネルギーが必要で、相当高いレベルの業務遂行能力を求められるので、そこを高めていく期間としては若干短いかなと思います。本当に最終段階として、仕上げで体慣らしさえすれば、復帰後もできるでしょうという状況になってからでないと、1ヶ月では厳しいのかなという気がしています。色んなところを伺うのですが、繰り返し休職のケースの方の問題ですとか、それに関して聞くことが多いですし、具体的な問題ではあるかなとも思います。民間の主治医の診断書の件で先程先生がおっしゃっていたのですが、本当にその通りで、主治医の方の認識もまちまちでいらっしゃるので、システムとして、主治医の診断書によって、復帰訓練に入ったり、あるいは復帰が決まったりしていると思います。復帰訓練に入る場合の前例ではないと思いますので、復帰訓練を希望されない方はおそらく多くの所では、復帰訓練無しでもできると思います。その場合、主治医の先生の診断書がかなり決定的な効力を持っているというような形になっていて、大企業と比べると産業医があまり機能していないという現実がございますので、そこで主治医の先生によっては、本当に学校で通用する前の段階で復帰を決められていることがあります。

【座長】

 少し議論を深めたいと思っていますが、今の話で、三楽病院にかかっている人ではない教員もいますよね、そういうところから持ち込まれてきたケースでの問題、あるいはもう少し一般的な何か情報がほしいという時は、三楽病院にも相談されるか、三楽病院に持っていかれるわけですね。そうすると三楽病院の方はそれを診られているわけですね。その辺を、少しお話をいただかないと、他の都道府県のお話につながっていかないものですから。

【委員】

  少し補足をしますと、三楽病院は一病院ですので、ご本人の受診の意志があってですが、そうはいっても、管理職の先生にお勧めをされても、ご本人が行きたいと思わないといらっしゃらないですし、仮に一回だけいらっしゃったとしてもその後治療にならない形になっています。もし、その場合に利用する相談機関としては、精神保健相談がありまして、場所は、リワークプラザに場所を借りてやっているのですけれども、これが管理職の先生のご相談を受けている。ご本人と管理職の先生の相談も受けていて、精神科医を配置するのですが、セコンドオピニオン的な、教職員の業務を加味したセカンドオピニオン的な助言が受けられる形にはなっています。

【座長】

  今までやってきたこととは別に、他の府県に何らかの形で東京都の経験を普及するとすれば、どこを柱にしてやればいいのでしょうか。例えば、各県に教職員組合立の病院があるわけではありませんし、三楽病院みたいな病院があるわけではありませんよね。そういう拠点病院みたいなものを作るのか、それとも拠点病院ではないけれども、そういう相談機関として、青少年福祉センターみたいなものを使うように、そこをひとつの拠点として動こうとするのか、その辺のところはどうなのでしょう。

【委員】

  一つ考えられますのは、システムは詳しくないですけれども、公立学校共済組合で運営している色んな中央病院が各箇所にあります。そちらの診断で今申し上げましたような精神健康相談、東京都の相談なのですが、それに近いような機能を持つことができれば、都道府県でも活用できる形になるかなとは思います。後は、それぞれの教育委員会の中で、やはりひとつそういった相談機関を設置して、健康診査会等で参加されていらっしゃるドクターを中心に相談的な箇所を作るというのが考えられます。

【座長】

  企業における職場復帰の問題は少し後に回して、お話を伺いますけれども、先生が今拠点されていらっしゃるのは福岡県、少なくとも北九州ですよね。そうなると、そういう地域の中でどういう風にして行ったら、他の所にも普及できそうかということは考えていらっしゃいますか。

【委員】

  私の経験になりますと、どうしても一般企業になってしまうのですけれども、今の議論で行きますと、セカンドオピニオン的な医師を確保すると、特に中小企業の医療系スタッフ、専用産業医系スタッフの足りないところではそういうやり方というのはあるのかなと思います。少し話を変えてよろしいですか。今の流れでは、例えば、主治医が少し現場を理解してくださらなくて、まだ少し無理なのに早く復帰の意見を書いてしまうことについては、さきほど教職員の特殊性を主治医に理解してもらうべくアプローチをするというのがありましたが、これは一般企業では行われていることでして、休んでいる間に職場の方から、うちの職場はこんな特性があるので、それを理解して職場復帰の判断を書いてもらいたいというようなことは出していきましょうとなっている。それは、やはり行うべきだと思います。それと併せて、ひとつ申し上げれば、この試し出勤に至るところで主治医の意見書が出るわけですよね、行けそうかどうかという、ところでですね。以前、企業の中でうまくいかなかった問題がありまして、それは何かというと、以前から一般企業では試し出勤制度というのはあったのです。それは職場復帰前に少し試しでやってみる、そうしますと制度の副作用として、主治医はその試し出勤制度があるということを聞いて、そのお試し期間があるのであれば、少しまだ早いけれども、本人が希望すれば、チャレンジさせようかと。結局、早くそれに乗ってしまって、うまくいかないということがあります。ですから、試し出勤に乗せるレベルを少し明確にして、ここまで教職員に対してレベルが達すれば、試し出勤の制度に乗ってもらえるというものをひとつ決めれば、それを主治医に提示をして、その上で主治医に判断していただくというようにすれば、それですべてうまくいくとは思いませんけれども、少しは事態が改善するのではないかと思います。

【座長】

  少し私の意図よりも少し先に進んでしまってしまいましたけれども、試し出勤の問題なのですが、教員の世界に試し出勤というのが馴染むのかどうか、実はそれが非常に大きな問題なのです。それで、もし、試し出勤というものがどういうものかということに対して、あまりちゃんと説明しないまま、今、試し出勤の話になってしまいましたけれども、仮に試し出勤みたいなものがあるとして、今、先生が言われたような形で、それが教員の中に入った、そういう制度が取り入れられたとしたなら、どうですか。

【委員】

  私は試し出勤という言葉は、この表でいう復職プログラムをイメージして話をしました。

【委員】

  現場としては、ありがたいかなと思いますけれども、ただ、制度的に色んな処遇といいますか、給与とか、どうなるのか、作っていかないといけないものもありますので、そのようなところを整理していく必要があるのではないかと思いますし、文部科学省が積極的に関わっていただくと明らかになるのかなと思います。

【座長】

  先程言いましたように、試し出勤というものがどういったものか、国家公務員の世界でやっている試し出勤ということは、先程先生が言われた、一般企業ではもうすでにリハビリ出勤ということで、現実にはずっとやってこられたその経験、そういうものと合わせた時に、教員の世界で試し出勤みたいなものが可能かどうかいうことだと思います。これに関しては、文部科学省も考えていただかないといけないかもしれません。

【事務局】

  少し補足を申し上げてよろしいでしょうか。資料の2のところで、若干誤解があるといけませんので、補足をさせていただきたいのですが。いわゆる試し出勤という名前ではないのですが、先生がおっしゃったように、教職員の世界で言いますと、教育委員会で復職プログラムや復職支援プログラムなど、名称は色々あるのですが、休職期間中に職場で雰囲気に慣れるとか、その準備をするとかというところで、それぞれ個人に合わせたプログラムを作って、そしてそのプログラムを、復帰をしようとする教職員が実施をして、その状況を見て、正式な復帰につなげるというところで、半ば試し出勤に準じたような形でこのプログラムというのがなされている状況がございますので、まさにこういったところの在り方というのが、この検討課題であるのかなと思っているところでございます。

【座長】

  さきほど、先生が言われて、少し心配されて付け加えられたのですが、試し出勤という時の試し出勤は、出勤という言葉を使うだけに、実際、もちろん100%仕事をしようと言っているわけではありませんし、少なくとも国家公務員の場合なのですが、出勤として扱っているわけではないです。確かに職場の訓練なのですが、訓練的なものだけど、試し出勤という言葉を使うことによって、いわゆる訓練プログラムとは少し違ったニュアンスで、実際に国家公務員の場合には、それをやろうしてきた。それが復職プログラムみたいなものと少し違って、本人の意識の問題なのですが、そういう風に試し出勤でも出勤なのだ、意識的には出勤なのだというところで、職場に出て行く、そういうことなのです。その中で、職場で本人が与えられる仕事はどういう仕事か、試してもらうということをやっている。復職プログラムの中でというと、いかにも訓練的な感じになりますよね。それとは少し違うというところが、私が試し出勤というものを説明しないまま話になってしまったことの問題です。現実に職場の方の話になってしまいましたので、職場の者として、それでは教員というものを頭に置いたときに、いったい復職支援というときに、先程から0か100かという話ではありませんが、本当にどのような復職の仕方が考えられるのか、今までの一般企業の中の復職の問題を考えたときにどうでしょうか。その辺の所は何か、ご意見、いただけませんか。

【委員】

  まず、復職支援とはどういうことなのかということをきちんと管理職に、従業員までも周知しておくことが重要で、もし体の病気、心の病気で休んだ場合には、会社はこのようなステップで復職を勧めますということを一応全員に周知しております。本も作っております。そのステップに則って私どもは実施しております。その際、復職の診断書は会社のフォーマットがありまして、復職する場合は就業規則に定める就業時間内労働ができることを前提として復職を求めます。主治医の先生は産業医に対しては、病名並びに薬物の開示をしていただいて、本人に承諾をもらった上で、サインをもらった上で産業医と面接し、それを復職面談した上で会社へ提出するという形にしております。なおかつ、その復職については、一定の条件が定まった状況で、上司が再度説明をして、上司からきちっと説明を受けたというサインと説明した上司のサインを持って、復職の意見書というものが最終的に作成されます。特に給料の問題等もありますので、きちっとそこは本人の了解をもらうということになります。それから、休業については、当然主治医から私どものフォーマットが出てきますので、それについて疑義があった場合には、必ず主治医の先生に産業医から意見を聞くための意見書みたいなものを先生のところに出させていただきます。それに対して、きちっと回答が出るまでは復職はできません。それはいわゆる復職支援の手引きの第3ステップに記載されているようにきちっとした主治医と産業医の間の医学的な疑義がすべて解決されるという前提の下で、次の復職のステップであります試し出勤も主治医の了解をもらいます。弊社ではリハビリ出勤と試し出勤を明確に分けておりまして、リハビリ出勤は会社の施設を利用しない、状況に応じて、リハビリをまずは主治医の下でやっていただいて、リハビリが完了した時点で出勤ができるかどうか、いわゆる厚生労働省の手引きにもありますように、職場へまず出てこれるかどうかということは試し出勤で、そこで業務命令を発しますと二重契約になりますが、別途時間契約を結んで、賃金支払い義務と通勤手当の支給をするということになりますので、二重契約をしなくてはいけません。それによって再発した場合は、労災の認定になる可能性があります。あくまでも試し出勤という形になると思います。出勤ができるということで、定時に出勤ができるということになります。業務については一切命じないということで、いわゆる会議室なんかを使って、ある一定の時間、本を読んでもらって、ただし、定時出勤できるということは上司が確認する。一定の期間、それが可能であれば、いわゆる補助的な業務ということで、アウトプットはさせないけれどもインプットについてはきちんと行うこと、その分、自分で自発的に新しい職務について、もしくは戻る職務についての本を読んだりとか、それから色んなテキストを読むことは構わないということと、それから自発的に補助業務をすること、例えば、先生の場合、他の先生方の授業の見学をするという補助業務については一応認めております。勤務についての補助業務、自発的なアウトプットは出さないようにということでやっております。試し出勤が無事終わると、その次に正式な復職プログラムが始まっていきます。復職プログラムというのは、いわゆる就業時間内労働が可能である方が対象となり、それがもしできない場合に、再発した場合に、本来、就業時間内労働をできない人を復職させることになってしまうので、その辺りのリスクをちゃんとヘッジしておかないといけません。業務内容についてはきちっと当初、上司が把握している本人のアウトプットに対して、大体5割ぐらいのところから負荷をかけていって、それに対して、出勤等について大きな問題が出ないかどうかということを確認してもらいながら、一月単位で少しずつ仕事量を上げていきます。また、毎月産業医は面談をして、業務量と疾病の関係性を見て、自分であるいは主治医に現況届けという形で、少し面倒なのですが毎月1時間ずつ産業医が面談をしながら、その仕事の程度とか、その回復程度を確認すること。特に私どもはアメリカのDSMのテキストにもあるように、一回目の再発は6割であるということで、1回目の再発を何とか予防しないといけませんので、最初の復職の時点に極めて力を入れて、1時間くらい毎月面談をして、上司に対して私の方から医学的なお話をしたり、主治医からの意見を私たちが代弁するという形をしております。できれば、主治医の先生にそこのことも理解していくために、就業に関する意見書というものを会社で作っておりまして、そこのところにきちっとそういう内容を書いておりますので、そこを理解していただいて、話を進めていきます。そのもう一点は先程少し議論がありましたように、主治医を変えるように指示することなどは判例で、プライバシーの侵害に当たるとされています。ただし セカンドオピニオンを求めることは、企業が安全配慮義務を履行する上で極めて妥当であり、公平性の原理から言っても妥当性があるということで、大学病院の精神科の先生にセカンドオピニオンを求めるという形で、もし主治医の先生の回答に疑義があれば、大学病院の先生に、セカンドオピニオンをお願いしています。これは1回限りです。会社が費用を払って、勤務時間内、若しくは、会社の上司が付き添っていくという形にしています。なおかつ主治医に対しては、基本的には管理職が同行するという形で、本人にすでに同意を求めております。復職に対しては、円滑な復職をすすめるために、どのような業務をしてもらうかということを直接上司の方から主治医に伝えるというシステムをとっていまして、それは、休業の時に本人に通知して、なおかつご家族にも了解をもらうという形をしてます。したがって、その担当の保健師、看護師がきちっと本人にそれを説明して、休職中はその担当の保健師・看護師がフォローするというシステムをすすめています。あんまり大きな問題点がありませんので、一部、同意の問題で、もめることはあろうかと思いますが、現在のところは、その同意について問題はなく、私どもが紹介状を書いたのを本人に持っていただいて、本人から主治医の返事をもらうという形をしながら、それで本人の同意を得たということになっています。もし問題があれば、ご家族の方にも来ていただいて、会社の対応を奥さん、もしくは息子さんであれば、お父さん、お母さんに来ていただいて説明をし、そこでご両親またご家族の方に疑義があれば説明するという形で初期の対応にはかなり時間を割いています。現在そういう形で復職支援をしています。

【座長】

  復職支援という言葉はいろいろな使い方がされるみたいですね。私が言っていた試し出勤という言葉は、国家公務員の制度の中での試し出勤。それと今、先生がおっしゃった試し出勤とはかなり違います。そのいうような言葉は同じでも中身はかなり違う。そういうようなことも、今わかってきましたけれど、そういうところも含めて、文部科学省としてどういう制度をつくっていけば、復職支援につながるのかということで考えなければいけないのかもしれません。とりあえず今、それぞれの方々から御意見を伺いましたので、復職前のことについてはこのあたりで一段落させたいと思います。

  では、丸2の実際の復職時の対応について具体的にどういうことを考えなければいけないか、どういうことをしなければいけないのかということで、やはり現場の方で考える点についてお話を伺いたいのですが。

【委員】

  ここのところが大切なのかなと考えるんですけれども、管理職と部下である同僚たちにしっかりと受け入れ態勢をつくるというようなことが必要です。また、本人ともよく話をして、東京都の場合は、復職アドバイザーという人が一緒にプログラムを考えてくださったりしますけれど、最終的にこういう形で復帰しようというようにしているので、正式復帰に向けて、比較的ゆったりとしたスパンで取り組んでいるのがいいのかなと考えています。また学校の復帰訓練ということだけでなくて、医療機関、病院での復帰訓練を希望する人たちが、そこでの復帰訓練もやるというように、東京都は二本立てでやっていますので、環境的には恵まれているとは思います。やはり本人も不安や自信がないなどの気持ちがあるので、本人が安心して復帰訓練に取り組めるような環境づくり、雰囲気づくりを管理職が、しっかりやって、職場の一人一人にもそういった気持ちを伝えていくことが大事だと思います。また、本人に無理をさせないとか、頑張らないでいいとかそういった励ましの言葉です。負担にならないような形で、あと今日一日どうでしたかと優しく声をかけて、本人が良い顔で、良い表情でいたら良い感じだよと言い、少しずつ自信をつけさせていく。そううまくいかないケースもありますけど、それはそれで、抱え込んだら失敗するからとか、前の状態に戻ってきたよとか話をしていくことは大事だと思います。

【座長】

  これは生徒の問題と関係すると思いますが、本来休職すれば補充の教員がつきますよね。復職したときには補充の教員はすべて切れますよね。その中間はどのようになるのでしょうか。ようするに今復職の支援で、復職の途中ですよね。実際はその途中の補充なんかはどうなりますか。

【委員】

  実際には復帰訓練の時にはまだ正式に戻ってないので、補充の教員にやってもらいながら自分はTTでやったり、少人数のところに入ったり、あるいは授業を見学したりと最終的には段階を経て最終ステージでは、普通に一時間授業をやるという形にもっていきますので、復帰訓練の時にはそれほど負担もなく段階を踏んでやっていけるので良いのかなと思いますけど。

【座長】

  ということは、復職プログラムが終了して、正式に復帰ということになったときに入れ替わるということですね。

【委員】

  その件に関して、その代わりの先生のことなんですけれども、休職の期間によって講師の先生がいらっしゃるか、常勤の先生が来るか変わってまして、実は常勤の先生が来る条件はかなり厳しいものがあるので、けっこう講師の先生が来た場合には、他の先生がつぶれてしまうことがありますね。そうするとどうしても年度いっぱい、新学期に合わせて復帰するというパターンが増えています。忙しい新学期に病み上がりの方が戻るということでひとつ難しい問題がありまして、短期間の休みですと時間講師の先生が来るので、授業はやりますが、その他の様々な校内業務はできないので他の先生が担当していて、復帰訓練中はそれは変わらないんですけれども、その先生が戻ってきたら、待ってましたとばかりに分掌がくるというようなパターンだと思います。

【座長】

  それは、東京都の特徴ですか。

【委員】

  いやおそらく、それは他の道府県も、一般的に短期ですと講師の先生、ある程度長ければ専任の先生が来ると思います。

【委員】

  静岡の場合は一応30日を超える者については常勤講師がつけられます。ですから、それより短い場合については、特別休暇にはつけられませんので学校の先生に負担が強いられると思います。

【座長】

  今度は少し違った観点で、学校の中にはいるけど、外の人間として学校を見ておられる先生の御意見を聞かせていただけないでしょうか。こういった復職の問題で、教員が復職してきた時に、たとえば生徒たちはどんな風に反応するか。それから他の教員たちはどんな状態でいるのか、学校を外から見ていてどうなのかお話しいただけますか。

【委員】

  生徒の場合は、先生が勤務していたときどのような関係を持っていたかがとても大きいと思います。長期にお休みになられている先生の場合、割と生徒との距離が離れてしまうので、淡々とした対応になるだろうなと思います。子どもたちにはそのシステムはよくわからないので、淡々とした対応になるんだろうなと思います。一番気になるのは、同僚や管理職の方がどういう対応するのかが、当の先生には気になるところだと思いますが、正直言ってお休みになる前から、結構大変な状況をまわりの先生方が支えてきていて、それで休暇を取られてその後休職したという状態を気持ち的には支援したいけど、現実的には仕事が降りかかってくる、大変な負担がある。そこを一般の先生が気持ちの整理をするのはなかなか大変なんだなと、遠目で見ていて感じます。

【座長】

  生徒たちは、今までいなかった先生が出てくるというのはどういう感情で見ているのでしょうか。元々担任だった先生がお休みになって、そしてまた出てくるという訳ですよね。

【委員】

  私の数少ない経験の中ですが、復帰をされたときに元のクラスの担任になることは少ないので、そうなるとそんなに子どもとの関係ができない。子どもたちが待ってましたという感じにはならないような気がしています。休暇ぐらいまでなら、子どもたちは先生が帰ってくるのを待っていますから、今までと同じ先生としての期待をしていると思います。

【座長】

  復帰時における対応、留意点という点でお話をお聞きしたいのですが、いったいどこに注意をすればうまくいくのでしょうか。

【委員】

  それが標準化できれば一番困ることはないでしょうけれども、まとめるのはなかなか難しいです。復帰にあたってどこに注意すればよいかということに関しては、その先生ごとの疾患特性の違いもあります。その先生の元気だったときの傾向もあります。さきほど子どもたちの受け入れの傾向という話もありましたけれども、たとえば元気がなくなってくる鬱状態のような状態であれば、生徒たちも抵抗感を抱かないことが多いかと思います。逆に易怒的躁状態で結構学級が荒れてしまって、子どもたちも怖い思いをした。そういう場合、どんなに回復してもやはり怖いと言われてしまう。そういうようなこともあります。やはり、非常に個別性が高いと感じています。「こういう点に気をつければOK」というのは、本当に難しいと思いますけれども、当地では可能な限り休みに入った時点で、ご本人、ご家族、それから職場の管理職と面接して、状況を把握しています。復帰に向けてこの先生の場合には、どんな点に気をつければいいのか見出し、考えていくというように。統一された基準というのはなく、本当に泥臭い話なのですが、そのようにせざるを得ないと今のところは思っています。

  あともう1点は、ご本人のご病状とかいうことだけではなくて、職場の理解、精神保健に関する理解度を挙げておく、受け入れ態勢をつくるということも重要です。休職に入った時点から、管理職の先生に助言をしたりしながら、理解度の高い職場づくりをしていきましょうという話をしています。なかなか標準的な話にはならないですが。

【座長】

  本当に難しいと思うのは、保護者がどういう反応をするかということだと思います。生徒の感情については今、お話を伺いましたけれども、保護者の方が、先生が帰ってくることについてどんな反応をするか、そして、その反応によっては管理職としてはどう対応しなければいけないのか。その辺のところをお願いします。

【委員】

  やはりこれも教員ひとりひとりの生徒あるいは保護者とのそれまでの関係と言いますか、とてもよく頑張っていた先生で早く復帰してもらいたいと願っている保護者もいれば、目立たない先生など、いろいろありますけど、学校として、組織として動いていますので、戻ってきてその先生の授業がどうのこうのと言われてしまいますと困りますので、その辺のところサポートについて、同じ教科で複数の先生がいますから、教科の先生方にもしっかりサポートしていただきながら、事前に管理職としてその辺のところをしっかり話をしておきます。また休職等の場合には学校だよりなどで、保護者、あるいは保護者会にもお知らせします。少し体調不良で休みますので、また、復帰したらよろしくお願いしますと。また、復帰前にも、今復帰訓練をやっていますけど、PTAの役員さんを含めてご理解を得ながら、一生懸命応援してくださいという話をして、少し気持ちを楽にして復帰プログラムに取り組んでもらうということにしています。

【座長】

  保護者からの不安や何かを教育委員会にぶつけてくることもありますでしょう。そういう点については、教育委員会としてはどうすれば良いのでしょうか。

【委員】

  心の病については、外から見ててわからないことが多いものですから、保護者というよりは、住んでいるまわりの方からの電話はございます。休んでいるようだけれどもという内容ございます。直接保護者からと言うのは私が把握している中ではないです。もうひとつ先ほどのまわりの先生がどう対応したらいいのかという点について何ですが、大半の先生方が、その休まれた原因を知らず、どう対応したらいいのかわからないというのが本音のところかなと思います。一度保健師が行ったときに、どう対応したらいいですかとまわりの先生方が聞いてきて、それをアドバイスしたというのはあります。精神科医の先生に聞いたのですが、まだまだ心の病は病気が固まっていなくて変わるものであると、先ほど先生もおっしゃいましたが、個々によって異なるとなると、同じ学校で同じ理由で休まれていても対応の仕方はまったく違ってくるので、なかなか難しいのかなと思います。

【委員】

  保護者の反応ですが、保護者の方も子どもたちもそうですけど、結構表立っては言えないのですが、あの先生何年間も精神的に弱ってしまって休んだということを噂として伝わっています。どこで知ったのかわからないけど、その先生が完全復帰して元気にやっていれば全然問題にならないでしょうけれども、何かあると、あの先生はこういう先生だからというのがけっこう語り継がれていまして、そういう目で見られて保護者の方も不安に思うというのは割とよく耳にする話です。

【委員】

  経験から申し上げると職場復帰訓練の中で、同僚の方、保護者の方に慣れていただくという側面があります。同僚の方は完全復帰するとその方が病気だということは、印象ではだいたい1ヶ月も経たないうちにで抜けてしまいます。もう普通にやってもらって当たり前、その方は仕事ができて当たり前という意識に変わる感じになります。それが復帰訓練や復帰プログラムの中であるとやっぱり少し違うということが認識されやすいのですが、だんだん慣れていただいて、その方のやっている様子を見て大丈夫なのかなとか、少しまだかなとかいうことを確認いただいています。

  保護者については、体慣らしで来ますということをインフォメーションすることが多いですけれども、その中で管理職の先生がこういうことを受け持ちますということをあらかじめインフォメーションされ、当然最初から担任を持ったり、授業をフルでやったりすることはないわけで、その中で少しずつT2で入るという過程を踏むうちに大丈夫という感じを得るということはあります。

  また、先生の授業を実際に保護者の方が参加に来て、一応非の打ち所のない授業であるということを確認して、これなら良いという保護者の方の感想をいただいたこともあります。

【座長】

  これは、私の個人的な考えなのですが、教員のメンタルヘルスの問題でこのような復職プログラムを作成するとき、この中に保護者入っていますか、この点についてはどうでしょう。保護者が実際にどういうような働きかけをする機会があるだろうか、そういう機会を全く設けないのはどうかと。学校の方から見てこの先生はもう戻しても良いというような形で、この復職プログラムを実施するかもしれないけれども、保護者の方から見てこれできるかっていう意見はどこにも出せないですよね。これはやっぱり大きな問題だと思います。たとえば企業の場合だと、いわゆる利用者との対応をしなければいけない窓口業務みたいなのがあれば、窓口業務のようなときには出して、その窓口からいろいろ意見を聞く機会があると思います。そういうようなことを含めて、企業の場合は考えることができるでしょうけれども、実際には生徒の意見は先ほど出ましたけれども、生徒の後ろ側には保護者がいるわけですよね。その保護者の意見というのは、まったく聞かないままで復職の判定というのは本当にやって良いものだろうかということは私自身はとっても気になっているところでございます。復職の最終的な判断の時に、保護者の意見というのはどのように反映させたらいいのかなということについて私は考えていることを付け加えてこの部分は終わらせたいと思います。これに関して、みなさんから意見をいただくということではありません。

  さて3番目ですが、復職後の対応ということで、これについては今までの議論の中でずいぶん重ねてきたことではございますが、実際復職後のフォローをどういうようにしたらいいのかということについて、今日の資料の2として配られましたものを見ながら、一番最後の復職後の対応として、教育委員会、校長、本人、主治医のそれぞれの立場で書いてありますが、これを見ながら議論を深めてまいりたいと思います。

【委員】

  少し元に戻るのですが、先ほど先生がおっしゃられたように、もう少し休まれた方が良いのではないかという方もいると、先ほど御意見がありましたが、私どもは、復職の原点から言いますと復職させても良いのかどうかというのは最も重要なポイントですので、拒否をする例があります。あなたはまだ復職できませんと。管理職の人にも一緒に入っていただいて、ここをきちっとしておかないと後の復職プログラムが非常に不安定になってしまうと思います。そこの機能はいかがでしょうか。主治医の先生がもしOKを出しましても、あなたはまだ通常の業務をできる状態ではないという意見を出して、最終的には管理職と事業者が最終決定することになるのですが、その点は原点ですが、スタートの時点ではどのようになっているのでしょうか。要するに主治医の先生がOKを出せば、全員が復職を許可となっているのですか。

【委員】

  基本的には、そういう形ですけど、もちろん校長と主治医の先生とアドバイザーとトータルで決めていきます。校長の中には、復職することに強い希望を持っている方もいらっしゃいますけど、もちろん主治医がバツを出すこともございます。その辺のところは、われわれも何が何でもということではないとわかっていますけれども、どうですか。

【委員】

  制度的なところで申し上げれば、都の場合は指定医師の診断によって休職と復職を決めるということになっています。ただ、実際には休む方が5百何十人にいて、数が多いので、指定医の診断の代わりに治療に当たっている主治医が代行するものとして、指定医師の診断と見なすという規定が設けられています。ですので、通常の場合、主治医の判断イコール指定医師の判断ということになります。例外的に3年満了に近い場合に今年から、指定医師の診断を受けることが義務づけられました。そこで判断される場合がなくはないと思いますが、まだそういう例はないと思います。それと校長先生とが現場の責任者の判断で、ご本人は休職をあるいは復職を望んでいるけれども、とても無理だろうと言うときに、そのルートに申し立てをして、都の方で主治医とは別の指定医師の診断によって、休職の継続あるいは退職というか、そのまま希望でやめなければ臨時職員になるという制度はございます。でもなかなかこのルートに乗ることは少ないです。

【委員】

  復職の事例の個々のレベルにあまりにも差がありすぎると、あとの復職のプログラムが非常に多様化してしまって、個々の個別対応が難しくなる。そこをきちっとうまくレベル設定しておかないと、再発もおこるでしょうし、いろんなトラブルが山積してくるだろうと思いました。

【委員】

  岡田先生と同じような危惧を持っているのですが、復職プログラムに入る時点の話は先ほど申し上げましたが、復職プログラムを終えて、正式な復職に至るところですよね。これをこのまとめを拝見すると実施期間が2週間から3ヶ月程度とそれがかなり曖昧な部分があって、最終的な判断の部分で、悪い言い方をすると、だらだらとやってきてなかなか仕事ができる力の立ち上がりが悪くて、3ヶ月ぐらいになったときに少し難しいと思ったケースをどうするかです。そこでやはりうまくいかない。そういった場合にもう一度休ませるのか、あるいは無理にでも復職させるのか、あるいは別の第3の道があるのか、その辺のところもきちんと決めておかないと、非常に難しいことになるのではないかと思います。

【座長】

  その通りですね。ちょうど今、言っていただいたことをこれから言おうと思っていました。その一つ前に、さっき言われたことと関連して、主治医も含めて周囲がもう復職しても良いと言ったときに、本人が自分はいやだと自分はダメだと言ったときには問題があります。国家公務員の中でも、今私が言ったことはかなりありますね、本人がどうしてもまだダメですという場合。でもどう考えてもこれは、疾病とは考えられないような、たとえばパーソナリティ障害のみたいなものには、そういうことがよく出てきます。パーソナリティ障害と言われているものでも、実際には鬱病という診断書は出てきていますけれども、診断書通りの中身ではなくてまさにパーソナリティ障害だというケースがありますが、そういうときには特に今のような問題があって、鬱状態とはまったく考えられない、ご本人が自分はまだダメですと言っていますが、日常生活のいろいろな情報を集めてみるとかなり仕事に戻っても良いはずものが、なかなか戻せないでいるというようなことがあります。さっき言った国家公務員の試し出勤をやってて、やっぱり私はダメです、となっている人もいますね。実際に試し出勤をやっててダメな訳ではないです。それは、管理職が見てて、これは大丈夫だと言いますけれど、本人はダメですと言うときにいったいどうしたらいいのか。これは私の今の悩みでもあるわけです。そんなことも含めて、さきほど、本人がダメだと言ったときにどうするのかということについて考えたいと思って加えました。その後に、2週間から3ヶ月と書いてあるとことに、さっき問題提起されたように、本当はどのぐらいの期間が必要なのか、その期間を過ぎてもダメなときは、どうするのかということも決めておかなければいけないだろうと思っています。その辺が何か御意見ありますでしょうか。

【委員】

  特に名案はないですけれども、休ませるには至らない。少なくとも復職プログラムができる段階にはあったということですからね。しかし、本来業務に戻るところまではいかないということなので、そこをみなさんが納得できるような、私は教育現場には明るくないものですから。第3の道をつくるということですけれども、企業の場合だと、例えば後遺障害とか症状の先鋭化によって、休める期間が過ぎても仕事ができない場合には、企業体力によってその人に応じた仕事が提供できるかどうかによって、回復ができるかどうかということが決まっていくということになります。そういう考え方をその教職員に当てはめることができるのか、するのが妥当かどうか、それが問題になってきますね。

【座長】

  その辺のところは、教育という業務の特性もあろうし、どう判断したらいいのかということだと思いますけど。

【委員】

  通常、企業は職種限定雇用の場合、職種を限定せずに雇用した場合、当該業務ができなくなった場合には事業所の規模において、本人ができうる業務を提供しなければならないということが判例上言われています。したがって私どもの企業ですと、自宅での業務なども、考えなければいけないとなっています。労働保障です。先生の場合はいかがでしょうか。教員としての職務を限定して雇用されている場合には、そのほかの職種というのがあるのかどうか、もしあるのだとすると、教員という職種限定雇用の中で、教員という職務の中にどのような多様性があるのかということを考えて、その事業所の規模において、本人に適当な業務を一定期間提供するということです。まさに異動ということになるけれども、それも含めて軽減勤務なのか、教職の中で一定の業務を変更するということをしなければいけないということがあるけれども、その辺はどうですか。

【委員】

  教員以外の業務を提供できるかということですが、学校の場合は、子どもたちがいて保護者がいる。仮の話ですが、メンタル不調が生徒たちや保護者への対応が難しいとなったとき、可能性として教育委員会事務局や青少年の施設や、直接関わらなくても良いところに行って、これも教育職なのですがそういうところはあります。基本は、学校の教員しかないです。

【委員】

  私の関係している会社ですと、人事部にとりあえず一年間預かります。つまり学校ですと、教育委員会でしばらく預かる。保護者と接しない業務でリハビリをそこではかるというような企業もあるわけで、そういう形で一定期間あずかって、そういう機能は一定期間配置可能な職務があるとすれば、それはひとつの先ほどおっしゃったような別のもう一つのルートと言うことになるのかもしれません。たくさんいらしたらそれはもちろん不可能だと思いますけれど。少人数であれば、それは職務可能な配置ということを求められると思いますので、それは実施する義務ということが出てくると思います。私ども企業では労働法上それは求められますので、おそらく先生方にも求められるのかもわからないですが。

【委員】

  私の経験では、西川先生おっしゃったような、現場の学校の先生が、別の教育委員会に配置されたというような経験が無くて、おそらくそういうポストは数が少ないので難しいのだと思います。やはり同じ職場に戻る例がほとんどです。そうなると現場の中で、担任を外して比較的軽いと思われるような副担任になる。高校もそんな感じです。小学校の場合は少人数担当の専科の先生になる場合が多い。ポストがあればできます。無い場合は最悪で、小学校の場合は担任になります。だから現場でできる範囲の工夫をしているのが現状だと思います。

【座長】

  議論としたら佳境に入ったと思いますが、まとめていかなければいけませんので、この辺で復帰の問題は終わらせていただきまして、もう少しこれらのことを含めて、再発の予防ということを含めて考えていかなくてはいけません。再発予防をしなければいけないとなったときに、私たちはどんな工夫をしなければいけないのか、そういうことについて少し議論をしていただいて、最後にしたいと思います。それでは何か再発予防という視点でどうでしょうか。

【委員】

  精神疾患の再発予防というのは、それ自体難しいとは思いますが、重要なのは悪化しやすくするような状況を極力減らしておくということと、悪くなりそうなサインをなるべく早く見つける、この2点だと思います。前者に関して言えば、復職前から職場の受け入れ態勢を整えておくことは大切ですし、業務負担を学校の人事の許す中で可能な限り軽減しておくということです。後者に関しては、悪くなっていくサインを早く見つけるということですけれども、復帰された後、定期的に保健師が訪問しています。大体タイミングとしては、健康審査会で毎月やっていますけれども、その中で復帰後の先生に関して、この先生の業務制限はこのぐらいで良いだろうかとか、次のフォローアップはいつごろが良いだろうかというところを話し合っています。次の審査会にあがる少し前に訪問して状況を確認し、職場の管理職の先生からも情報を得て、ご本人と面接し情報を収集しています。それらの情報をもとに工夫できるところはないだろうかとか、もう少し業務量を増やせるだろうかなど、そのあたりを情報共有し、助言をしながら対応しています。

【座長】

  一般的な企業の中で、再発予防ということについてどんな工夫をしているのか教えてください。

【委員】

  先程先生がおっしゃられた、復帰の時に多忙期であるという問題です。これはもしかしたら仕組みとして変えられるかもしれない。一般企業でも復職は多忙期はなるべく避けた方がよいと言われています。それは周りもサポートしにくいからです。それから周りの環境もわかっていながら、ケアが必要な人が入ってきたとき、どうしてもイライラしてしまいます。ですので、比較的周囲の人に時間的余裕があるときに復帰をするという制度とか仕組みを検討するということがひとつです。もう一つは、この図を拝見すると、フォローアップの時に、本人と先生がうまく仕事ができているか話し合いながらお互い評価して、仕事が進んでいるかどうか見るということが書いてあります。今回のこのまとめでも強調されていていますけれども、その時に間に1人第3者が入ったほうがうまく話ができるのではないかなという印象を持っています。本人がどのぐらいうまくやれているか、校長先生がどのくらいうまくやれていると思っているか、その意見が食い違ったときに第3者が入ることによって、このずれは何なのかということがディスカッションとか問題の全体としての認識が少しやりやすくなるのではないかという感じがしますので、そういうフォローアップの仕組みというか、制度というものを見直すということもひとつできるのではないかなと思います。それともう一つ、職場復帰でうまくいく、うまくいかないは、ひとつ重要なことは、本人が職場に対して被害者意識を持っていないかということです。本人がこの職場のせいで病気になったと思っていないということです。その思いをずっと引きずっていくと、なんかうまくいきません。そこでそれを少しでも払拭するように、休みの間でも我慢し、復職後もフランクに意見が述べられるような仕組みというのがあればいいのかなという気がいたします。私が今申した3つのことというのは、症状の再発・再燃に直接つながるかというのはよくわからないですけれども、何かしら寄与できると思います。

【座長】

  ありがとうございました。時間が迫ってきましたが、今のフォローの問題と深い関係がありますが、学校の先生方は転勤がありますよね。転勤をしていくとき、その先生のフォローはいったいどうするのでしょうか。ご本人は少なくとも自分で背負っていく訳です。自分が主治医との関係があればそれは背負っていけますけれど、学校から学校へのつながりは、たとえば管理職の人は管理職として向こう側の管理職の人に、本人を移すときにどうしたら良いのでしょうか。その伝えることの中身によっては、冒頭に話が出たようにプライバシーの問題がありますよね。それをどうクリアするかということは、さっきプライバシーの問題は少し待ってくださいという言い方をしました。プライバシーの問題というのは本当に職場を良くしようとするとか、本人のことを考えれば考えるほど、実はプライバシーを超えてでもやはり情報は伝えて、そして相手方に考えていただかなければいけないということがたくさんあります。ですから今現実にどういうことになっているのか、その辺のことを少し教えていただけませんか。

【委員】

 異動の原則はありますけれども、復帰訓練を経験された方のことを考えて、たとえば6年で異動しなければならないときでも、まあその方がせっかく復帰して順調にきていると、そういう場合には、校長の意見でもう1年残して、もちろん本人の意見も聞きますけれども、柔軟に対応しています。本人もある程度自信を持って、違った職場でがんばりたいと言うときには、こういうことがあったと配慮事項として、次の校長に申し伝えるというシステムにもなっておりますので、次の職場でも配慮していただくと、そういう経験もしているので温かい目で見ていこうと、また、再発しないように次の職場でも気をつけると、それは管理職として当然のつとめですけれど、そういう連携プレー、教育委員会もそういうことを考えてやっております。私の今まででの経験でも、異動しなくてはならないですけれども、せっかく頑張ってきたのだから一緒にやりましょうよとやられている方もいるので、そういうところは配慮してあげなければいけないのかなと思っています。

【座長】

  そうなると本人の了承を得るということが大前提ですね。本人の了承が得られないときはどうするのですか。問題はそこで本人の了承がないときに校長へ申し送りをするのかということです。そういうところを本当のところ議論していかなければ、やはりできないことだと思います。

【委員】

  本人の了承はいるのでしょうか。私どもは就業上の措置に関しては、上司が変わったときは、本人と上司を両者呼んで私がもう一度説明していますし、異動の時は、異動先の上司を呼んで、異動元と説明していますし、1時間以上過去の歴史も話して全部話しています。そういう連係プレーがうまくできれば、ある程度は解決するのかなと思います。

【座長】

  岡田先生の話に何とかつなげたいと思っています。先ほどから本人の了承といわれた話、ということとつなげて、本当に本人の了承が必要なのかという話、それが問題だと思います。

【委員】

  私は人事部門ではないので直接、校長と教頭の連絡というか、よくわからない部分があるわけですが、健康審査会の状況を見ていると、必ずしもすべての校長が休まれている方の前の学校のことは、把握していないケースがございます。ここはやはり、それぞれの休まれた本人の気持ちがありますので、同僚にも言いたくないという気もあります。だから全部が全部伝えていないという風になっていると思います。

【座長】

  ありがとうございました。このことはもちろんすぐには結論が出ることではありませんので、やはりこういうことが問題になっているということだけは、残しておかなければいけないと考えています。それでは、なにか言い残したことは何かありますでしょうか。

【委員】

  当然、今回の議論も不調を起こした方サイドでの話になるのは当然ですが、まわりの先生たち管理職も含めて、とても大変な思いをしているのが現実にあると思うので、その人たちのことも少し、頭に置いた方が良いのではないかなと感じます。あまりに過重な負担がかからないような配慮をどのぐらいできるかなと感じます。過重な負担というのは、まわりの先生方に対する負担です。あと管理職もそうですが、負担を軽減するのは、人を増やす方法もあるでしょうし、あとシステム的に工夫するという手もあるでしょうし、その学校への業務を減らすということもできるでしょうし、いろいろあると思います。そのあたりの辺の配慮というのも何かないときついと感じます。

【座長】

  私には少し具体的に浮かばないのですが、それだけのことを言われて学校として、教育委員会として負担を軽減する方法はあるのでしょうか。

【委員】

  この前も言わせてもらいましたが、復帰すると臨時講師も切られてしまうというものですから、ここはどれぐらいがいいのかわかりませんけれども、一定期間の臨時講師を続けていくと、多忙の時に復帰するということがありましたが、これも学校の場合は4月が始まりですから、どうしても3月の健康審査会の件数はものすごく多いです。4月から復帰したいというのがすごく多いので、これも継続していけるなら軽減されるだろうし、まわりの先生方も軽減されていくと思います。

【座長】

  それなりに工夫のしようがあるということですね。他に何かありますか。もちろん議論はあって良いと思いますけれど、一応ここまでの議論の中で、最終的な中間まとめ案に関して事務局の方でつくらせていただきますけれど、よろしゅうございますか。もし何かあれば、事務局にメールででも、良いですか。

【委員】

  言い遅れましたが、学校が合わなくて病気を起こされた方も原則元の学校に戻らされるのですが、その制度がまれに良くない場合といいますか、こちらから見ると、場所を変えてさえあげられれば、割と早く戻れるのにというケースも結構あります。この問題も結構指摘されていますけれど、なかなか改善がなくて、まず元の学校に戻るに戻して、別の学校に異動しましょうというのが例外ができてもいいのかなということはあります。現校に復帰しないケースもあっても良いのかなと思います。

【座長】

  ありがとうございました。とりあえずこの辺のところで、議論を終わらせていただきます。

(以上)

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