教職員のメンタルヘルス対策検討会議(第3回) 議事要旨

1.日時

平成24年4月17日(火曜日)18時半から20時半

2.場所

文部科学省13階13F会議室

3.議題

  1. 教職員のメンタルヘルスの現状について
  2. 委員からの意見発表について
  3. その他

4.議事要旨

冒頭、吉川座長から挨拶がなされた。

議題(1):教職員のメンタルヘルスの現状について                     

【事務局】

 まず、お手元にお配りしております配布資料の確認から、お願いしたいと思います。議事次第の配付資料にございますように、資料1から7までの資料をお配りしております。資料1が後ほどご説明申し上げますが、ただいま座長からご紹介ございました教職員のメンタルヘルスに関する委託調査の実施方法の案ということで、お配りしたものでございます。資料2については、この会議のスケジュールの案ということでございます。続いて資料3については、前回の会の議事録概要でございまして、ご確認いただきたいと思います。そして、資料4から資料7については、本日発表いただく委員の先生方から提出していただいている資料を順次、配布していただいているところでございます。以上でございます。

【座長】

 どうもありがとうございました。それでは、これから議題に入りたいと思います。文部科学省の方から先ほど申しました教員のメンタルヘルスに関する委託調査をさせていただきますが、今後のスケジュールについて、ご説明していただきたいと思います。

【事務局】

 それでは、資料1と2についてご説明申し上げます。この会議のスケジュールと委託調査の関係でございます。まず、資料2の方をご覧いただければと思います。この会議と後ほど申し上げます調査研究委託事業のスケジュールについて示したものでございます。これまで、この会議においては、2回の会議を開催させていただきまして、そして本日3回目ということでございます。今年中に何らかの結論をまとめていただくような形で考えておりますが、その際にこの教職員のメンタルヘルスに関する調査というものを会議での検討に役立てるような形で調査を進めたいと思っております。後ほどご説明申し上げますが、教職員のメンタルヘルスに関するアンケート調査を行うということと休職者に関する調査について、教育委員会を通じて行うというものでございまして、それぞれ中間的な報告、最終的な報告をそれぞれ議論のポイントとなるような時点でお示しをする形でいたしたいと思っております。

 この中身については、資料1にお戻りしていただきたいのですが、調査の趣旨にございますように、これまでの文科科学省において、休職の状況については毎年度の調査で把握してきている状況がございますけれども、これまでの調査において把握できていない事項でありますとか、教職員のメンタルヘルスに関する意識等については調査等を行っておりませんので、そういったことについて調査を行い、分析を行いたいと考えております。この調査の実施方法は、2番にございますように必要な業務と分担ということで、表にまとめたものがございますけれども、具体的な調査の内容、具体的な調査項目であるとか、調査の設計といったものについては文部科学省の方でとりまとめと、一方で実際の業務調査表を発出したりですとか、調査票をまとめたりとか、あるいはデータを集計したりという点については委託先に委託するというような形で考えております。 

  続いて、2ページをご覧いただきたいと思います。前回の説明の中では、調査の規模等ついては今後の検討ということでいたしておりましたけれども、(3)にございますように調査規模といたしましては全国的な状況を把握するという観点から、国際学力調査でありますTIMSSであるとか、あるいは平成18年度に文部科学省が行いました教員勤務実態調査と同様の手続きを行いまして、約180校を規模別に無作為抽出を行いまして、全国的な状況が把握できるような抽出を行って調査を行いたいと思います。具体的には(4)にございますように、学校にも規模がございますので大規模・中規模・小規模といったところの学校数の割合を勘案いたしまして、それぞれ学校種ごと、学校規模ごとに対象校数を決定する。 その後は乱数を用いましてランダムサンプリングを行うというものでございます。

 続いて、3ページ目を見ていただきたいのですが、こちらについては休職者に関するデータとして、これまで把握していないものについて、文部科学省としてこの会議の検討と合わせまして、調査をしたいと考えている項目等でございます。一つ目が休職者について、学校の状況との関係、学校の規模であるとか、生徒指導上の課題等の関係においてどういった傾向が見られるか、2についてはその個人に着目してどうかという点、特に校務分掌等仕事の面でどういった関係があるのかということ、さらには教育委員会の休職者、メンタルヘルスに関する取り組みについて、どのような取り組みがなされているかについてより詳細な調査を行いたいと考えているところでございます。

 4ページ以降については、それぞれ職種等の別でアンケート調査を行おうというものでございまして、それぞれ4枚ものが4種類ということで校長用、教頭・副校長用、教諭等、それから事務職員等ということで4種類ございます。この4種類のアンケート調査については、抽出された学校の中でそれぞれの該当する方がアンケートに答えていただくということを考えております。特にメンタルヘルスに関する項目ですが、特にストレスの状況をどう感じているかと、またストレスの軽減方法はどうか、職場の雰囲気はどうか、職場の雰囲気作りに関する取り組みはどうかということで、セルフケアに関すること、ラインケアに関すること、特に職場の雰囲気なども含めまして、職場関係とメンタルヘルスの関係についてはこの会議の研究がされているところございますけれども、まとまったデータが学校に関してないということでございますので、学校や教育委員会に対しましてこういったデータを示すことによりまして、現場での意識啓発であるとか、取り組みの充実、またこの会議で議論していただく際にもそのデータが役立つのではないかと考えているところでございます。なお、項目については事前に委員の先生方からいただいたご意見等を踏まえさせていただいてというところでございますけれども、また詳細な部分については今後調整させていただきたいと考えている案でございます。簡単ではございますが、説明は以上でございます。

【座長】

 どうもありがとうございました。何か先生方からご質問なり、ご意見なりいただけますでしょうか。前もって一応は皆様方のところへメールでお知らせはしてございますけれども、何か今の時点でお話があれば、いかがでございますでしょうか。

【委員】

 今のご説明についてのご質問なのですけれども、これを拝見しますと、対象の事業実施校は180校というということですね。

【事務局】

 はい、180校でございます。

【委員】

 ということは、180校の校長先生から副校長先生、教員の先生方と事務の方々、180校全員に書いていただくということですか。

【事務局】

 対象となります180校の教職員の先生方全員に書いていただくことを念頭においておりますけれども、中には都合があって書かれない、回答できない人もいらっしゃるかもしれませんが、基本的には全員に書いていただくということを念頭においています。

【委員】

 そうしますと、教職員の方とか事務職員の方は計何名くらいになるということでしょうか。

【事務局】

 まだ、規模によりまして異なる部分がございますので、何名かということについてはなかなか確定的な数字は難しいのですけれども、3千、4千、5千弱位までの、3千~5千位の数のオーダーになるかと思います。

【委員】

 私が資料を探すのが遅れて、提出が遅れたのですけど、先日提出したと思うのですけど、労働関係研修所が2006年にかなり大規模な教職員の健康についての調査を行って、その回収数が2千5百位だった。ですので、それよりは少し多いにしても、結構いい数ですよね、比較ができる位の数のデータがそこにひとつある。その中でかなり詳細です。ストレスの細かい理由だとか、それと抑鬱の関係だとかそういうことも結構見ている。ちょっと言い方が悪いかもしれませんが、今素案を作っていただいたものよりも少し詳しいかもわからない。ですので、そのデータを委員の先生方に見ていただいて、あわせてもう一回今の調査票について、吟味いただくことやプラスアルファが必要かどうか、ご検討いただければと思います。

【事務局】

 その点については共有をさせていただいて、吟味をしていただければと思いますが、我々としても引き続き検討したいと思います。調査についてはおおまかな枠組みとして、どの部分を委託業者に委託をし、我々がどこまで設計するかというところでの分担をして、あとは入札等の手続きが事務的にさせていただいた上で、中身の部分については引き続き調整する時間もございますので、また委員の先生のご意見も踏まえて対応したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【座長】

 よろしいでしょうか。

【委員】

 はい。ありがとうございました。

【座長】

 それでは、4人の先生方のお話をいただいた後でその間にいろいろとお考えがあったならば、最後の方で、またこの調査に関してのご意見をいただくようにしたいと思います。それでは、次の話題の方に移りたいと思います。

議題(2):委員からの意見発表について                           

【委員】

 私の方から資料4として出させていただいています。上の方をご覧ください。一番目に書いてあるとおり、北里大学では相模原市と連携して、学校を訪問しながら、教職員の皆さんの支援活動を平成18年位から継続して行っております。今日はその活動を通して、まず相模原市の教職員の現状と、それから支援活動を通しての考察と、それからどんな対策案、問題点をどのように解決していくべきかというところまでお話をしたいと思います。下のところにあるのが相模原市の教職員の現状です。学校数、教職員の数としては平成23年度でこのような値になっております。2枚目の上にあるのは、相模原市の平成14年から22年にかけての全休職者数と精神疾患休職者数のその占める割合の推移を表したものです。文科省のデータと同じような形で出させていただきました。右肩上がりにその割合が増えていっている傾向は全国とほぼ同じなのかなと考えております。それから、その下にあるのは、精神疾患による病気休職者数と精神疾患以外の病気休職者数の推移を表しておりますけれども、平成19年度と平成20年度にかけて、その数が逆転しております。

 ページをおめくりください。上にあるのは平成22年度休職者数、休職開始日と異動との関連を表したものです。やはり1年未満とか、1年以上2年未満、異動から発病までの期間が短く、異動後に発病される方の事例が多い印象を受けております。これも全国の傾向と同じかなと考えております。下のスライドですけれども、相模原市の教職員支援活動をどうしているかを簡単にまとめてみました。学校訪問相談は開始当初から継続して行っております。当初は、管理職の先生方に職場の状況をうかがう活動がメインでしたけれども、徐々に当事者の教職員の先生方との面談も行うようになっております。管理職の先生方に相談している場合の面談であるとか、それから治療を開始しているが、休職には至っていない、ただお仕事をする上でどんな点に配慮した方がいいのだろうか、そういう点で助言を求められながら活動をしております。それから、休職中、復職検討中とか、復職後の各フェーズにおける面談を行っております。 こういった活動は教職員課の保健師さんが単独で訪問や電話相談をすることもあるのですが、多くの場合は精神科医が同行して学校に赴いて実施しております。ただ、職場だとなかなか話しづらいケースも結構あるので、希望に応じて学校外で面談することもある状況であります。

 ページをおめくりください。それ以外には復職予備の面談もやっております。主治医の診断書を持ってきていただいて、そこで簡単に話をするということだと、せっかくの機会ですし、復帰後のことも見据えた話をしたいという考えもありまして、1時間ほどかけて通常の初診をとるような形で対応しております。その上でご家族、職場の管理者、ご本人からお話をうかがって復職に向けてどんな点に配慮していったらいいかというところまで助言をするようにしております。それから、私も含めてですけど、精神科医2名と他の科のドクターが入って復職の可否の判断根拠をとりまとめる健康審査会でも関わっております。ここでは、予備審査の報告書と主治医の報告書、職場の報告書を中心に議論しながら、人事上の配慮などが必要かどうか、こういった点に関しても議論をしております。支援活動としては、このような現状となっております。こうした活動を通して、どんなことが見えてくるかというところを次からお話ししたいと思います。

 ページをおめくりください。大きくいくつかに分けてみました。労働環境、対人関係、業務量、社会とのとの関係性、さまざまな部分で考えております。労働環境、実際に学校の方に行くと、ここに書いてあるとおり、本当に基本的なことなのですけれども、先生方は休む場所がないのです。職員室は保護者の方とか生徒が入ってきますし、なかなか少し息抜きをする場所がない労働環境だと思いました。それから、空調設備もどの学校も本当に良くないです。私も冬場行くと、寒くて困ってしまう状況がありますけれども、こういった労働環境にもひとつ問題点があると思います。

 ページをおめくりください。対人関係、それから下の業務量に関しては、もうすでに今までの会議でも意見が出されていますけれども、対人関係上のストレスが非常に多岐にわたって重層的であるというところがひとつの特性かと思います。それから、学校の先生の職務というのが割と抱え込みやすい傾向があるという意見が今までも出てきたと思いますけれども、そういった点も対人関係上のストレスにうまく対応しにくい状況が生まれやすいのではないかと思っております。それから業務量ですけども、これも今までの会議でも出てきた重複する話ですけれども、校務分掌の業務量が非常に多い、それからパソコンでの作業が増えて、メールでどんどん依頼がおりてくる、終わったかと思うとまた次の文書処理業務が増えていくという業務量が非常に多いという状況があると思います。それから、様々な研修会とか、研究会とか、といったことへの時間を割く状況というのも日々続いている状況があります。残業という認識を持ちにくい。もう始めたら終わりが見えないというような毎日のようです。もちろん、休日も部活動の指導などがあって、なかなかプライベートな時間が確保できない。休養する時間もないというのが学校の先生方の業務量の特徴と思っております。

 ページをめくりください。それから、社会との関係性という部分では、社会全体が学校に求めるものが厳しいものが出てきていると思います。それから、以前は先生というだけでその権威を認められるという傾向があったと思いますが、今はそういったものもないに等しいと思います。地域差がありますけれども、極端にいうとここに書いてありますように、権威を取り上げられて要求はされ続け、責任も求められ続けるというような非常にまいりやすい状況にあるのかなと思います。それからモンスターペアレントと言われるようなケースはそれほど多くはなくて、もちろん遭遇することはあるけれども、むしろここに書いてあるような家に帰ったこどもが膝を擦りむいていて、その連絡などがすぐくるとか、以前だったらあまり考えられなかった保護者への対応というのが細々と山積しているという状況が社会との関係性という点ではいえるのかなと思いました。それから、個人の状況としては学校の先生も家族を抱えています。核家族化というのはどの世帯もそうだと思いますが、親の介護であるとか、こどもの世話とか、協力してくれる家族の構成員がいないと状況というのが学校の先生もあるかと思います。こういった状況は、先生の年代によって加わってくるストレスの質も変わってくると思っています。

 ページをおめくりください。管理職の先生も非常に大変な状況があると思います。若い校長先生も増えてきていて、ベテランの先生にお願いしたい仕事があるけどお願いしづらいとか、そういう管理職の先生にとっても対人関係上のストレスというはありますし、責任は重くて学校の中では支援が少ない状況があると思います。相模原市でもメンタルヘルスに関心をもって、いろいろ考えていかないといけないという校長先生たちが集まって、年に何回か勉強会をやっていますけれども、なかなか関心を持っていても職場マネジメントの方法論を身につけるというのが難しいのではないかとみております。管理職の先生方も大変な状況にあると思います。下に移ります。職務特性としては今までお話ししてきたとおりですけれども、 燃え尽きやすい職務であるということは異論がないのかなと思っております。

 ページをめくってください。それから、学校の先生の育成システム、採用という部分でも少し触れてみたいと思いますけれども、医者の育成システムと、それから採用、その後の研修システムというのも十分ではない部分も指摘は時々ありますけれども、学校の先生はなおさら、研修システムも十分なのかなと思っています。採用されると即、担任を持たされますし、指導する教官はいるが、学校によってはそんなに頻繁に指導する教諭と会って相談ができる状況ではなかったり、指導教官が掛け持ちだったりすることもありますし、そういった中では採用後間もない先生にとっては、非常にストレスのかかる状況が1年続くのではないかと思っています。それから、採用に関しては、採用はいろいろ限界があると思うが、たとえば、その採用面接の場面で問題解決能力を試すような質問をしたりとか、少し工夫が必要なのかなとも思います。実際に初年度に休業に入られる先生の中には、元々の状況がどうだったのかと思う先生も中にはいらっしゃるので、そういう場合には採用後、十分配慮をしていくということもあるでしょうし、採用にあたって検討をする必要もあると思います。その後、休職教員増加傾向の背景について考えてみました。

 今までの対策検討会議でも意見が出されておりましたけれども、休業する先生方の診断書で多くあがってくるのはうつ状態であるとか、適応障害の方が多いです。適応障害はここに書いてあるとおり、先生方には個体因、環境因のふたつの要因で考えていくことになると思います。個体因が変化しているとはあまり思えない、もちろん変化はあると思いますが、非常にわずかだと思います。むしろ、環境因の方が背景因として重視すべきかと思っています。下のページに移りますと、ここに色分けして過去、現在にかけて、学校の先生を支えてきたものとそれから学校の先生を消耗するものがどのように変化しているのかなと考えてみると、学校の先生を支えていたのは、生徒との時間、それからわずかばかりの権威性、これは年々業務の多忙化、社会の変化によって減ってきていると思います。消耗する要因である事務的用務、研修、研究、保護者対応など、生徒との時間を減らす要素がますます増えてきているのかなと思います。こういった中で、ここに異動であるとか、職場内の対人関係といった負荷が加われば、容易に事例化するのではないかと考えております。これだけではなくて、社会の中でうつ病の概念の拡がりであるとか、診断意識の低下、治療開始時期の低下、こういったものも多少なりとも関わっているだろうと思っております。

 ページをおめくりください。こういったことを考えながら我々の方では、教室内で、それから相模原市の教職員課といろいろと検討したり、あるいは訪問先の校長先生から意見をいただいたりしながら、対策案を考えております。下のところにある3次予防、2次予防、1次予防の視点として、3次、2次に関してはすでに行っていることですけれども、より大事になってくるのはやはりまいらないようにしていく予防的な1次予防の視点が大事なのかなと思っております。ページをおめくりください。1次予防策の検討として、環境因への介入と個体因への介入ということで二つに分けて考えております。環境因への介入としては、業務量の適性化、これはできるといいなと思います。それから人員配置に関しては復職とか、回復水準は十分ではないが、ご本人の思いとか、職場の考えもあって復職に踏み切ろうというときに、もうちょっと人員に余裕があってその復帰する先生をサポートする、あるいはその先生が十分仕事ができない可能性があるのでその分をカバーする先生の配置があればいいなと思いますが、配置数の規定がひとりかわるだけで大分変わるようですし、こういった部分に手を広めるような配慮ができるといいなと思いながら活動しています。

 それから組織マネジメントに関して、組織心理学を含めて学校管理職の先生方に対する研修を一部行っております。昨年度は グループ学校中心に行いながらやっていますけれども、まだまだコマ数も時間も十分ではないので、ここも充実させていきたいなと考えております。 それから採用するのは校長先生とかが多いと思いますが、採用する先生が採用時にどんなことに配慮すべきかを話し合う場も必要ではないかと思っております。それから、個体因への介入としては、学校の先生の育成システムを考えていく、それから、個人の対処スキルを高めるような研修、市の中ではこのような部分を今年度以降、1次予防策として検討を進めていくような状況です。市の中でできることと、それから業務量の適性化とか、人員の配置などについては市の中でいくら検討しても、それは無理ですという話になってしまいますので、こういったところはこういった検討会議の場で考えていただけるとありがたいなと思っております。私の方からは以上でございます。

【座長】

 どうもありがとうございました。お話がありましたように、これは相模原市というひとつの市が対象でありまして、市をひとつの事例と考えて、こういうことがあるということをかなり具体的にお話がでたと思います。これはこれでまた皆様方の検討にお任せしたいと思いますけれども、とりあえずご報告は終わらせていただきます。

【委員】

 前回、大企業のメンタルヘルス対策のひとつの見本のような形を詳細にご説明いただきました。私の役割は何にしようかと考えたのですけれども、比較的小規模事業所も含めて、これまでの職場のメンタルヘルスの研究だとか、実践のなかで出てきた成果、こんなことをやっていけば比較的うまくいくのではないか、だいたいそんなものがいくつか出てきておりますので、それを少し整理してお話をしたいと思います。内容については、今回は職場復帰支援の問題と職場環境の改善、言い換えれば仕事上のストレスを軽減する方法について、この2点に少し見ていきたいと思います。最初の2枚のスライドはデータですので、飛ばさせていただきます。4枚目のスライドなのですが、まず職場復帰についてですが、厚生労働省が2004年、それから2009年、これは改訂ですが、職場復帰支援の手引きというものを出しています。 これそのものは過去の精神的な取り組みをしている事業所をまとめたものといえるかと思うのですけれども、その内容を私なりに整理したものがこの画面です。

 どんなことが書いてあるかといいますと、職場復帰については 制度とか仕組みというのをきちんと構築することが重要だということ、それから職場復帰支援というのは、ご本人が休み始めた時点から始めて、復職後、職場再適用を果たしていくまでの長い期間を見ていくものです。復職前後のものをいうのではなくて、長い期間の支援というのが重要だ。それから3番目が 復職の可否等を主治医任せにするのではなくて、主治医の意見を尊重しながら、職場として判断しないといけないことがあるということ、それが明確になっています。それから4番目として、主治医との連携をきちんと重視をする、連携の仕方もきちんと工夫をする、それから最後が個人情報管理をきちんとやる、これが国の手引きですけれども、それに加えて民間での試行錯誤の成果がいくつか出ていまして、それを加えて今どういうことが職場復帰支援としてやれるのかというのをひとつの図にまとめたものが5番目のスライドです。

 治療が始まって順調に進めば症状はだんだん良くなっていく、すこし遅れて仕事をする力、業務遂行能力も回復してくる、この回復が進むと職場復帰が実現して、職場復帰した後はその職場に再適用していく、この過程の中で現在やれることとしてリワーク・プログラム、試し出勤、職場調整、復職判定の適切な実施、それから就業上の配慮というのがある。次の画面に、それぞれについて簡単に見ていきたいと思います。リワーク・プログラムにつきましては、何かといいますといくら症状が良くなって仕事ができそうに見えて、そこで職場復帰ということになっても、結局また職場に戻るとうまくいかない、そういう人が非常に多いということ。これはなぜだろうということで、主治医の方もいろいろ考えた結果として、患者さん、労働者の方々の側に少しやはり難しい点があるのだろう、例えば、仕事に対しての職業感であるとか、職場の中での立ち回りの問題、仕事の優先順位をきちんとつけられるか、時間管理ができるかとか 自分の思いをちゃんと主張できるかとか、疲労を回復する手だてをもっているか、もう少し幅広く言えば、認知とか、思考パターンを考え直すべきではないか、個人側の要因があるのだろう。それに対して少し働きかけをして、よりその職場復帰への準備性を高めるような取り組みが必要であるということで、公的機関、それから民間機関でリワーク・プログラムというのが始められているということです。

 それから、次の試し出勤は企業の方の取り組みです。正式な職場復帰前に、少し試しに仕事を、あるいは仕事に近いようなことをしてみる期間を設ける。これは誤解が多いのは、その出勤を精神科リハビリの一環として行うのだという誤解があるが、そうではない、本当に仕事はできるという段階になって、長く仕事を休んでいるため、仕事に戻れるかどうか不安が高い、職場の方も本当に彼がやれるのだろうかという心配がある、その部分を少しでも解消して、そういう位置づけで行われているものです。これも適切に行えば、比較的有効に作用するのではないかという報告が多いと思います。次、復職判定については、先ほど申しましたように主治医と職場の役割がある、これを明確にしようということです。主治医は症状を、それから生活リズムがどのくらい回復してきたかということをどう評価して、職場はその次に仕事が本当にできるのかどうかという部分を評価して、情報交換の中で復職についての判定をしていくということ、情報交換ということでいえば、うちの職場ではここまで良くなれば復職は認められますという要件を事前に出して、ご本人が休んでいるうちにこういうものを出して主治医の理解を求めていくという取り組みも有効ではないかと言われてきているかと思います。

 次の画面ですが、復職後の配慮についてですけれども、復職後に職場でできる対応はそんなに多様なものではありません。50通り、100通りもあるのではなくて、いくつかのパターンに分けられるだろう、であるならば、そのパターンを職場の方から示して、主治医に対して目の前の労働者の方にはこのうちのどのパターンで支援していけばいいでしょうかと問いかける。そのコミュニケーションツールがひとつ考えられるのではないかということで、この対応類型表というものを開発しているところです。それを使ったアルゴリズムがその下の図に書いてあります。これは後で見ていただければと思います。その次の12枚目が類型表のひとつのパターンの例です。対応の仕方というのが、7種類くらい作っていけば、どれか近いのが当てはまる。プラス、個別の細かい配慮についても主治医からアドバイスがもらえれば、有意義ということがいえるのではないか。

 それから、職場に戻った後、しばらくは仕事を軽減していくわけですが、その仕事の軽減の仕方、業務上の配慮の仕方についても、いくつかの視点が出ていました。大事なことは何のためにその業務の軽減をするのか、目的を明確にすべきだという考え方、ここにひとつ就業時間の短縮ということについて、例を挙げています。以前の考え方として、例えば、うつ病の場合には日内変動があって、症状は午前中に強いから、それに配慮して職場復帰の当初は勤務時間を遅らせればいいのではないかという考え方、こういったものは職場で取り組まれていたのですが、どうもうまくいかない、なぜだか考えてみますと、日内変動が明らかにある段階ではまだ復職には早すぎるという考え方です、ですから就業時間を短縮しようというのは、症状の日内変動に対する配慮というよりは長く休んで職場復帰した際に疲れやすいだろう、疲労の蓄積が症状を再現させる、そういったことにつながることがあるのだろう、その配慮です。ですので、何のために就業制限、就業上の配慮をしていくかということを考えていけたら、考えていく必要があると思います。

 それから、復職後のフォローアップについても、軽作業を与えてそのまま様子を見ていくというのではなくて、その軽作業のひとつひとつをきちんとこなせているかということを、本人と上司、管理者の方が話し合いながら、チェックをしながら一歩一歩進めていくことが重要ではないかと言われている。そのために職場再適用のチェックリストというものも開発されてきております。こういったところが復職に関して、支援で使える考え方、ツールであると言えるかと思います。次に職場改善。次のふたつのスライドは比較的職場改善に使える一般的なモデルです。ちょっと時間の関係で、これは省かせていただきます。

 17番目の画面をご覧ください。この職場改善活動のトレンド、動向ですが、ここに専門職指導型から現場中心型へという形で書きましたけれども、専門職あるいはその上の方からのトップダウン、こういうことをやりなさいということだけではなくて、むしろ現場の話し合いの中で出てくる改善策というのを大切にしていこうという考え方が最近出てきています。すなわち、現場のことは現場が一番よく分かっているだろうという考え方です。これを効果的に実施していく、そのための手法ということがいくつか考案されている。具体的な事例として、そのあと4枚の画面を出しています。例えば、一枚目、職場改善好事例の丸1を見ていただければと思うのですが、ある職場ではコミュニケーションに問題があるのではないか、職場全体のコミュニケーションに問題があるのではないかということで、ここの部分を改善しようということになりました。それで、小グループで話し合いをして、そのコミュニケーションといっても、漠然としているので問題をもうちょっと絞り込んで問題がどこにあるのかということを議論したのですが、そうしたところが、いくつかある部門間の連携のところがぎくしゃくしてうまくいっていないのではないか、みんなのストレスが高まっているのではないかということになりました。

 なぜ、そこに連携がうまくいかないのかというと、さらに議論が進んでいきますと、仕事が一人一人の担当者に降ってくるのですが、その流れが二つある。上司から指示があるものともうひとつは周囲の関係の部署の担当者からダイレクトにくる、この二つのルートが混在している。そのために、ふたつのルートからくるものの優先順位が分からなくなってしまったり、あるいはその指示がお互い矛盾していたとき、どうすればいいか分からなかったり、そういったことでストレスがたまりやすい仕事を抱え込みやすいといったことが明らかになってきました。これについては上司に問題提起をして、このふたつのルートの内容をもう一回整理をして混乱が少ないようにしました。

 こういった取り組みがその次の仕事の量についての問題、それから仕事の裁量権についての対策、お互いのサポートを強化していく取り組み、こういったものについて、それぞれ現場での話し合いによって現状を良くしていくということができるのではないかと考えられます。ただ、現場でやってくださいと言ってもそう簡単には進みませんので、順序がありまして職場のトップがこういうことをやりますということを宣言して、その手順もモデルみたいなものを見せて、かつ現場での話し合いのファシリテーターみたいなものも作ってやるのがいいのではないかなどの手法がいくつか提案をされております。

 23枚目の画面を見ていただきたいですけれども、職場改善の手順例。まずは仕事のストレスの評価ツールです。ひとつひとつの職場のどこがストレスになるのか、大きいストレスを招いているのか、その辺を評価するツールがいくつか開発されているので、そういうものをまず利用して職場の問題点を大掴みして、その結果をみんなで共有して、今度は職場内の小グループ単位でディスカッションをして具体的な改善活動を絞りくんでいく。その際にも使えるチェックリストというものが開発されています。そして、自分たちでできる活動と上層部にお願いしないと解決できない活動に分けて自分たちでできる活動は具体的な活動を作って、活動を行っていく。そして、その活動の評価を必ず行って、次の活動につなげていくというものです。

 例えば、こういった手順で作業を進めていく。その次の3つの画面、それからその次の画面は、その手順で使えるチェックリストの例です。メンタルリストアクションチェックリスト、それからメンタルヘルス改善意識調査(MIRROR)、こういうものは現場で具体的な改善活動を決めていく際に使えるツールとして開発されているものです。最後の画面ですが、そういうチェクリストとか、職場のストレスを評価する評価表を使って、職場の改善をしていく際に、やみくもにやっても副作用が結構多いということで、どういうことに注意すべきかというガイドラインが出ています。これは外国のものを持ってきたのですが、日本でも最近こういったものを作ろうという動きがあって、この春に一応完成するのではないかという情報を得ています。こういう注意事項をよく確認しながら、職場改善活動を進めていくことが効果的だというのが今言われてきています。

 その細かい字ですけれども、最後の画面をご覧いただくと、例えば、職場の評価を行う場合、それを職場の成績表みたいなものと考えてしまうと、そこの管理者を責めることになってしまって、あまり前向きにいいことにはならない。それから、職場のストレス因がいろいろと出てきたりしても、ひとつ、それは仕事の一部として変更不可能なものと変更可能なものがあるだろう、そこをきちんと区別をして、変更可能なものに対して働きかけをしていかないといけない。ちなみにこの後半分の職場環境改善ですけれども、今国家公務員に向けてもこういう取り組みができないかどうかという動きが進んでいます。人事院で吉川先生を座長とされている国家公務員のメンタルヘルスに関する委員会があるのですが、その下部組織に職場環境改善の委員会ができて、今後こういったものも国家公務員で取り入れていく。国家公務員に入れるのは難しいのではないかと一時期言われていたのだが、それぞれ国家公務員向け、一般企業向けに少し内容を変えていけば、やれるのではないかということになっています。教職員についてもやれなくはないのかなと思います。かなり急ぎ足で雑ぱくな話になってしまいまして、恐縮です。

【座長】

 どうもありがとうございました。お話があったことについて、教育の現場でどう考えるか、教育の現場の特性というのがありますし、その特性を踏まえた上で今のお話をどういかしていったらいいのかということになるのかもしれません。その辺のことはまた議論をさせていただきたいと思います。

【委員】

 私は専門家ではございませんので、経験日頃思うことを、意見とさせていただきます。資料に数字的なものを出させていただいたのですが、静岡県の場合、休暇の管理は学校人事課で行っており、福利課で所管している病については、病気にかかってからの数字でございますので、これが静岡県の傾向なのかと思っていただければと思います。あともうひとつ、もうちょっと細かい校種別、性別のデータを載せればよかったのですが、個人情報的になりますので、大きなくくりになっております。ご了承ください。健康診査会から見る再発者の状況ですが、これにつきましては健康審査会にかかったものの数字でございます。この中で意外だったのが、イメージ的には小中学校の方が大変なのかなとイメージがあったのですが、県立学校が、再発率が高いという数字が出ています。これは、推測ですが人間関係かなという気がいたします。

 それから、再発までの期間はそこに書いております。それから、精神疾患を理由とした離職教員数は先日の文部科学省の資料にもありましたが、調べてみたところ、小中学校の若手女性教諭の退職が多い。男性教諭は校種を問わず、小中高特別支援40代、50代の方が多い。若手女性教諭の退職が多いというのは、職業観、理想と現実が違っていたのかなと思います。それから、原因分析ですが、これは健康診査会における、校長の観察報告書というものがあるわけですが、それをまとめたもの、もしくは福利課に保健師がおります、その保健師の聞きとりになりますが、やはり教職員の中にはあまり知られたくないという気持ちが働きますので、なかなか本音のところは見えてこないところでございます。保健師等聞き取りの中では、意外というか、先ほどから多忙の話がでていますが、理由としては職場内外の人間関係 環境、業務内容、職場外では家庭の問題等が出てきております。ここで多忙感が拍車をかけるというような症状があるのかなと感じます。心配なことがあり、多忙になるとゆとりができなくなりますので、そういうときに発症しやすいのかなと思います。

 2枚目に行きまして、それぞれ取り組んでいる状況等がございます。今、若い人から40代・50代の人まで幅広くメンタルヘスを行っておりますけど、年代別研修ということで、20代・30代・40代・50代という形でやっております。ラインケア研修としては、安全衛生管理者研修。安全衛生管理者研修についましては、県立学校は副校長・教頭もしくは事務長、市立小中学校等においては、ここは希望制になります。基本的には市町村で対応すること。それから新任管理者メンタルヘルス研修、これは管理者研修の中の一環ですので、その一こまの中で小中学校も含めてやっております。健康情報の提供はメンタルヘルスブック、健康診断結果活用ブック。昨年からひとつ始めたのは、やはり体の健康面からメンタルになる方もいらっしゃるので、メタボリックシンドロームもあるわけですが、まず体の健康からということで、管理栄養士を雇いまして、まず体の健康をつくりましょうというところで、ひとつ防げればと取り組んでいるところでございます。後は、支援事業に関しては今お話がございましたので、省かせていただきます。

 3ページ目に行きまして、自分で感じているところをお話しさせていただきます。県、市町村、教職員自身、管理職の意識というところで、こんなことを自分なりに感じております。まず、県の段階では直接管理している校長にある程度任せざるを得ない。なかなか教職員個々に伝わりにくい。それから、いろいろな通知等出しているわけですが、結果としてはあまり効果がないということかなという気がいたします。それから、市町村につきましては、県費負担教職員については市町村職員ではなく、県の職員であるという認識がありまして、なかなか健康面まで手が回らないのかなという気がしております。教職員自身の意識としては、まず体の方なのですが、健康診断未審受診者が何人かおり、本人より家族の方が私は心配です。教職員自身は自分のことは自分で守ることができますけれども、家族にとっては、どういう状況で労働しているか分からないので、そういったことで家族の方が心配なのかなと思います。

 それから、健康診断を受けない理由としては、自分は大丈夫だとか、子供と離れたくないとか、忙しいとか、そういうことが理由なのかなと思います。それからメンタルも含めてなのですが、いろんな研修をやっても、なかなか自分のこととしてとらえていないということがあるのかなと思います。確かにメンタル疾患になる方は人数的には少ないわけですが、そうはいっても増えている中で自分としての意識というのがちょっとないのかなという気がいたします。昔と職業観が変わっているのかなという気がするわけですが、先生になるとプライドが高く、自分で頑張って気軽に相談ができないという、プライドという言い方は適切ではないのかもしれませんが、頑張りすぎるところがあるのかなという気がいたします。

 若手で悩んでしまうというところは、最初の壁にあたるのかな、社会人としての壁にあたるのかなと思います。管理職の意識としては、職員の健康に関する危機管理の欠如があることと頑張っている先生に頼ってしまうところがあって、部活動も含めて業務ではありますけれども、サービス残業的なところを容認している部分もあるのかなという気もいたします。それから、対策と課題というところですが、研修につきまして、比較的受講タイプが多かった。1時間ないし2時間のものは、ちょっと苦痛なるのかなというところがあって、自分の意識として持っていただくためにも、自分が参加しているというような研修を実施すべきなのかなという気がいたします。国・県・市町村の役割として、先ほど少し言ったのですが、配布した通知した、これでやっているとはなかなか言いにくい。評価と検証が必要ではないかと気がします。

 県の教育委員会の教育委員からも、「通知しているだけではだめだよ、もっと個人に伝わるようなものをやりなさい」と言われていますので、そういった意味でも、なかなか文書をただ送っているだけというのは効果としてはどうなのかな。それから健康相談窓口、これにつきましては、教職員に健康相談窓口の一覧表を渡しているわけですが、これはむしろ、家族・同僚の方に知っておいていただきたい。最初に家族の方が気づかれる場合もありますので、この辺は相談窓口一覧を家族の方も知っておく必要があるのかなと思います。職場内での声掛け、これは先ほどから出ておりますが、コミュニケーション不足というところで、これが重要になっていく。

 それから労働者の疲労蓄積度チェックリスト、これにつきましても今本人のチェックリストというのはある一部の学校ではやっているわけですが、これも家族から見たチェックリストもあるべきなのかな。次のチェックリストと個人情報の壁のところでございますが、今メンタルヘルスチェックの健康診断の中での義務づけが検討されておりますが、ここでいつも出てくる個人情報の壁というものを感じております。個人情報で本人の同意がないと事業主に提供できないということになると、重症化してからの対応というのが事業主に課せられてしまうのかな。ここは何とかならないのかなという気がいたします。労働時間の把握と産業医の指導・助言のところですが、多忙でゆとりのある定員管理という話もあったわけですが、一部でこういう考え方もあるのかな、人が増えれば仕事も増える、また人を増やしてほしいということになると、仕事そのものを見直す必要があると思います。そうすると、人を増やして仕事も増えて、また人を増やす、これで解決になっていくのかなという気がいたします。

 部活動指導で言われてくる保護者・生徒のニーズに答えるとか、いろいろあるわけですが、これはよく私も職員団体に言ったことがあるわけですが、児童・生徒・保護者がどんなニーズを求めているのか、話し合いをしたことがありますかと話をしたことがあります。確かにニーズがあるのかもしれませんが、それなりの話し合いも必要なのではないのかな。それから、面談が最近行われていますが、今本県の場合、校長の面談が評価につながるわけではないですが、評価につながっていく不安をもつ者もおります。その辺が面談の課題かなと思います。

 それから、教職員へのプライバシーの配慮につきましては、あまり踏み込んではいけませんが、ある程度踏み込んでいかないとなかなかその人の悩みのところは見えないと思います。最後にひとつお願いがございまして、先日公立学校共済組合事務局長会議というのがございまして、その場で大分県の事務局長から要望がございまして、この会議において是非現場の声を聞いてほしいと、届けてほしいと言われていました。専門家である病院の関係者の声も聞き、とにかく現場を中心に考えてほしい。そこで共済組合本部の福利課長の方から、委員の中にはドクターもおりますというところはお話をしたわけですが、その人はホームページを見ていますので、情報はあるわけですが 是非現場中心にというお話がありました。

 また、静岡県があまりよろしくない話ですが、不祥事が続きましてその中で、現場の声と思っていただければ思いまして、養護教諭とか専門家の方から聞いた情報をお話したいと思うのですが、まず学校においては、コミュニケーション不足がある。教員関係の人間関係作りが重要、孤立している教職員を作らない。ちょっと不祥事の関係ですので、不祥事とメンタルがイコールではないですが、ちょっと共通部分がありますので、紹介をさせていただいております。気まずさから、注意することに遠慮するのもございました。若い人から空気を読み過ぎて本音で語れない。これは独特な個性になりますが、周囲の意見を聞き入れない。社会の波に追いつかない。また、多忙感はやはり出ております。時間がない、持ち帰り仕事、学校・地域・PTA等以外の仕事。教職員用の学校スクールカウンセラーの配置をしてほしい。先ほどお話ししましたが、本県の教育委員の中からこういう話が先日ございまして、不祥事がなかなかなくならないものですから、ある民間の会社の話を詳しくいただきまして、何を言っても効果は出ない、けれども同じことを何回も繰り返す反復連打が必要なのだということ、1万回以上やるということを言っていました。1万回はエジソンが失敗した回数だそうですが、研修も受講だけだと面白くないという意見もございますが、やはり同じことでも何回も繰り返すことが必要なのかなと思います。以上でございます

【座長】

 どうもありがとうございました。県の立場から考えた教員のメンタルヘルスのあり方ということからいいますと、3枚目のページでずっと説明していただきましたように、対策と課題、それぞれ県としてどうすべきかについてお話をいただきました。実際の現場で今度は市町村で言えば先ほどの相模原市のことに関して、お話をいただいた。それぞれやはり立場によって、どういうふうに考えていったらいいのかということが大分明らかになってきたような気がします。

【委員】

 よろしくお願いします、私の役割としては、やっぱり現場に入っていって、どういうことを感じているかというところが一番の役割かなと思ったものですから、そこを中心に発表させていただきます。レジメをご覧下さい。私がスクールカウンセラーとして現場に入った感覚、それから教育相談員として入った感覚、それから教育委員会とか、教員の方、同じ職場にいるものですからその人たちから話を聞いた感覚でまとめてみました。実感としては、こんなところです。職員室で支え合う雰囲気があると、直面している問題がすごく大変でも何とか乗り越えられる。つまり、どんなに大変なことでも、周りで「先生、大変だね、一緒に考えていこうよ」という雰囲気があるとかなりのトラブルでも、仕事量が多くても何とか乗り越えていけるということを多く感じます。

 それから、もともと対人的なコミュニケーションがうまくいかないことがある人とか、前任校で不調傾向があった人は不調になりやすいと思います。それから、他の人に悩みを話せない人、自分で感じているうまくいかなさを他の人に話せない人が不調になりやすい、この不調というのは休職まで行ってしまうということです。それから、異動後、前任校との違い、特に児童・生徒が自分の指導に反発してくる状況とか、今までの先生として、教師としてのやり方が否定される状況に、戸惑っている先生方が非常に多く見られます。

 それから、東京都では復職プログラムというものがありまして、実施していただいているのですが、復職した後、プログラムが終わった後も、職員室で周りの先生方のサポートがないとかなり厳しい現状があるということを感じています。これは、休職したり、離職したり、かなり大変な状況になる先生方もそうですが、学校現場にはそうなる前の状態の事例がいっぱいあります。そういう先生方の特徴として、私が特に感じることを書いてみました。まず、仕事の境界があいまいというところですが、3つ書いてみました。教師としての仕事上の必然性から出てきている教師の特徴だと思っています。だから、教師がこういうことを思っているのが悪いというのではなく、仕事を一生懸命頑張ればこういうふうにならざるを得なかったのかなと思っています。

 ただ、先ほど色んな先生方から言っていただきましたが、非常に仕事の境界があいまいな中に色んな所で求められる力というものが非常に多様になってきていて、例えば、膝小僧を怪我したらどうしてくれるのという話から、非常に大変な状況を示している保護者の方、精神的な疾患にかかっている保護者の方が非常に多くなっている中で、そういう方への対応も求められる、仕事の境界があいまいな中でまたそこを求められるというところが非常につらいところと思っています。

 それから、教師独特の考え方があるように感じていますが、教師というのは子どものために熱心に取り組むという理想の教師像が先生の中にありまして、正しいことを教える役割というのが非常に大きくあります。こういうところは先生方のイラショナルビリーフ、不合理な考え方にもつながりますし、それから周りからも先生は完璧にやって当たり前、みんな、子どものために身を粉にしてやってくれるという期待もあって、それも感じていると思います。このことは正しいことを伝えなければとか、先生の中で正しいことを教える役割なので、子どもたちに正しいことを伝えなければならないという思いは、結局は理想的にできない自分を責めることにもなります、一方で正しいことをストレートに言うことがいいことだという先生の考え方が非常に学校の中で強いように感じていまして、そこで、保護者の方とか、子供達にストレートに正しいことを伝えようとするあまりに、保護者や生徒が傷ついてしまったということで攻撃を受けるということが非常に多いように感じています。

 先生方が伝えようとすることが間違ったことではないが、言い方が、非常に工夫が足りないな、先生らしい言い方をしてしまうことで、対人的なトラブルに発展するということが非常に多いように感じています。それから、個々の教師の独立性が保たれているということで、逆に自分が援助要請しなければ他の人が手を出せないということがあります。それから、経験から判断することがすごく多いように感じています。忙しいこともあるのですが、特別支援教育とか、保護者の色んな事例が飛び込んできた中で、新しい事態が出たときに今までの経験で考えて、本当に具体的に言うと、自ら本を読まないというところをすごく感じられます。

 ここで、実際にはすごく忙しいこともあるのですが、どう新たな知識をどう入れていくかということがひとつ大きなポイントになるように思います。次は教師のバーンアウト、校長先生のリーダーシップについての調査をちょっと入れてみましたが、ここは省きます。やっぱり抱え込まずにだれかが支援しやすい状態にするといいいだろうということが言いたかったので、ここは出しました。次、教師の特徴から考えられる対応策のところに行きます。ここでは、先ほども委員からもお話がありましたけど、通知のような文書がいくら来ても学校現場はなかなか、今の現状を変えるというのは難しい。努力目標ではなくて、具体的な手だてを提示しなくてはいけないのではないかということを感じています。

 それで、実際にどのぐらいでどう仕事を手伝ったらいいのか、その人の精神状態がどのくらい難しい状態なのかと非常に判断をしかねる状況が管理職にもありますし、精神的に大変なダメージを受けてしまった人に対して、気の毒だなと思いますが、一面、忙しい時にそういう状態になったときに、もっとこうすれば、自分がこんなふうにするのだ、こういうふうにやればもっとうまくいくのに、他の人に迷惑がかかるというような批判的な気持ちも内心ある中で、どう気持ちが疲れてしまったときにみんなが協力するかということは何となくみんなで努力目標があるだけではダメなような気がしています。そこで、教師の特徴から考えられる対応策、キーワードをいくつか書きました。

 まず、職務内容の整理・軽減はよく言われていることです。それから、他職種との連携というのは専門的なアドバイスとか、役割分担、客観的な視点、行動を具現化するとか 先生が抱えきれるかどうかというところで少し教師以外の視点を入れてみたらどうかと思って書いてみました。それから教師自体の自分の特徴を自覚し、コントロールする。ご自分の特徴を自覚することもすごく大事なことだろう。それから、チーム援助、ケース検討ということもキーワードとして挙げてみました。つまり、教師自体の認知を変えるとか、実際の行動を変えるというところで何とか対策ができないかと考えたわけです。それで対応策を考えました。4つの対応策を考えました。

 その中で1番については、色んな職務内容の整理、軽減についてはあまり専門ではないので、詳しいことは省きます。1番私がお伝えしたかったのは、2番目の予防的対応というところです。基本的にどんなものを目指すのかというと、非常に雰囲気的なことを書いてしまいましたが、お互いにサポーティブな職場の雰囲気、それから、教師自身のコミュニケーションの力、教師自身の精神的なしなやかさ、それから、具体的にどう周りから援助を受けるかという道具的支援、そこを考えてみました。

 まず、研修・啓発というところですが、先生方自身のストレスの対処の仕方、ストレスマネジメントの研修、どうストレスを自分で気づいて、どうそれに対して対処していくか、これを研修することによって、先生ご自身がストレスについてうまく自分でマネジメントするとともに、それから、子供達にもこういうことを伝えていく力をつけてもらうことがすごく大事だなと思っています。次に、教師のコミュニケーションアップというところですが、ここは先ほど申し上げましたが、思っていることをどう相手に伝えたらいいか、自分のつらいことをどう相手に分かってもらったらいいかとか、色んな意味でのコミュニケーション力アップがあると思うのですが、例えば、アサーション・トレーニングをするとか、具体的なコミュニケーション力アップのための研修を実習するということが必要ではないかと思っております。これもストレスマネジメントの研修と一緒で、子供達の指導とか、それから保護者、子供達への対応にも有効になってくることではないかなと思います。学校の先生方の中にこういった感覚を入れていかないと、今新たな実態に対処しきれないのではないかと思っています。

 それから、スクールカウンセラーの活用というのは、私の立場から入れさせていただきたかったので、入れました。ここは、もちろんスクールカウンセラーは東京都で中学校では全校配置になっていますが、スクールカウンセラーというのは、教師自身の精神的な支援というのはできないことになっていますが、子供達にどう対応するかというコンサルテーション、保護者にどう対応するかというコンサルテーションはできますので、その中で相互コンサルテーションと書きましたが、これは、筑波大の石隈先生のお言葉ですが、相互コンサルテーション、つまり、先生とカウンセラーが一緒にケースを話し合うことによって、お互いにコンサルテーションし合うことになる、そうすることによって、教師というのは情報的・評価的・道具的・情緒的支援が得られると同時に、一方的にコンサルテーションを受けるのではないので、自尊感情を低めないのがポイントかなと思っています。

 それから、チームで取り組むというところは、具体的な、直接的な手助けとして、道具的支援のことを考えていますが、その職員室の教職員同士で、チームで取り組む、それから、他職種専門家と一緒に子供達、保護者の対応を考えていく、こういうことで、指導主事がコーディネートして、外部機関とうまくつないでいくというようなことが増えていますが、こういうこともすべて先生ご本人がこういうことになっていきたいということを考えて行動するのがちょっと難しいところがあると思うので、管理職とか、教育委員会などが積極的に進めるお膳立てをしていくことが必要ではないかなと思います。そういう意味も含めまして、管理職が現場の環境をきちんと見直しして、どういうところでどういう手だてをする必要があるのかということを分かっていただくということがすごく大事だなと思います。

 その管理職に対して、具体的に例えばチェックリストやこんなときはこんなふうにしたらいいというフローチャートみたいなものを提示するとか、専門家による管理職へのアドバイスというようなことの体制を整えて予防的対応を校長が組織作りをすることが大事なような感じがしています。それが予防的対応です。次にメンタルヘルス不調の教職員の早期発見、早期対応ですが、ここは早めに対応すればするだけ、その個人がうまくいくと思います。また、実際にもうかなり大変な状況になっている先生はもう周りが何をアドバイスしても入らない状況、特に子供の指導に関しては周りがどう言っても入らない状況になって、ますます職場でみんなが混乱するという状況が見えるので、そういう意味でも早期発見、早期対応というのが非常に重要なような気がしています。健康診断チェックリストをするとか、非常に大変なストレスフルの状況下立ったときに、教職員がどんな状態かを管理職がチェックするためのチェックリストというものを作ったらどうかと感じております。

 管理職もやっぱり教員なので、先生方と同じですが、なかなかどの程度まで行ったら危険なのかということを見定めるのが難しいと感じています。元気でいてほしいという希望があるので、そちらのぎりぎりまでなかなか手が出ないというのを現実に感じています。4番目の職場復帰プログラム、再発防止のところは、最初に申し上げましたように復帰プログラムも大事ですが、やっぱり戻ってきてしばらくの間、先ほど長期の受診が必要という話がありましたが、しばらくの間、周りから支援しないと厳しいということを感じています。以上です。

【座長】

 どうもありがとうございました。今日、4人の方に色々とお話をうかがいました。前回もお話をうかがったのですが、前回の話とまたちょっと違った形で今日は色々と現場の話が出たように思います。この現場の話を現場の中で、実際に近く体験していらっしゃる先生に、私は今日のこの話に関してどんな感想を持たれたか、お聞きしてみたいと思いますが、少しお話をいただけませんか。

【委員】

 それぞれの委員の立場で発表していただきました。とても勉強になりました。企業、自治体で色んな取り組みがあるのだなと思いましたけれども、基本的には十分学校で通用する部分もあるのかなと、管理職もしっかり系統だったそういった理解をして、そういう関わり方をしていけば、休職者も減るだとか、その後の復帰訓練もうまくいくのかなと感じました。基本的にお話を聞いて、大事にしたいと思ったのは、体調不良の先生達に対して、ここでのサポートで限界があるということ。学校では管理職があるいは親しい教員だとかで対応している学校がありますが、やはりそれではなかなか定着しないのかな、復帰等も定着しないのかなと思っています。いわゆる組織的な対応です。職場の雰囲気とかが出ていますけれども、管理職がしっかり理解をしてその先生方を受け止めるそういう職員室、学校の雰囲気があるかどうなのかなと思っております。

 本校では、実際に体調を崩して休まれて復帰した方が二人ほどおりますけれども、その方々の了承を得て発言をしていますが、毎朝、校長と副校長と主幹教諭、6名で幹部会というのを8時から8時15分ほどやっているのですが、その中で必ず生徒の問題ももちろん取り上げますが、先生方の体調はどうですか、今調子悪い先生はいませんか、何か悩んでいる先生はいませんか、若手の先生はどうですかという話をさせていただいております。その中で主幹教諭の方から、この先生は保護者のクレームを受けて、最近元気がないような話があったときには、すぐに話を聞いて一緒に対応したり、あるいは、学年主任に指示を出して一緒に対応するようにという話もさせていただいておりますので、それはコミュニケーションにつながっていくのかなと感じております。

 若手の先生方、初任者に対しては、東京都はもう4年くらいになりますが、今小中学校全部でやっているのですが、採用が決まった段階で3月の中旬から3月の終わりまで1週間から2週間程度、任用前体験というのをやってもらっております。その中で子供達と接したり、あるいは先生方と接して一緒に仕事をする中で、お互いに名前と顔をしっかり覚えて、ある程度性格的なものも把握して、管理職もこの先生はできそうだなとか、分掌も講師の経験があるからこれくらいはやってもらえるかな、あるいはまだ人間関係的なものだとか、基本的なところで不安があるので最初は副担として、徐々に教育の方を覚えていってもらうということをやっておりますので、段階的な形での指導というのもできているのかなと思っております。本当に有意義なお話をいただいまして、勉強になりました。

 本校のスクールカウンセラーもとてもよく頑張ってくれておりまして、もちろん保護者や生徒の相談ですけども、教職員の悩みも聞いておりますし、前にいた区では東京都でスクールカウンセラー1人、週1回やっていただいているのですが、やはりカウンセラーの必要性を強く感じて、区独自で予算を出して半分の中学校にはスクールカウンセラー週2日来ていただいている、区の持ち出しでやっていただいている部分もありますし、小学校では不登校生徒は少ないですけど、小学校にも区の予算で全校にスクールカウンセラーを週1日配置しているというようなことで、子供、保護者だけでなくて、時には教員のアドバイスをしてもらっていることで、先生方も安心感もありますし、先生だけということではなくて、スクールカウンセラーを含めた他の方も色々と関わっていただいて、また気持ちも楽になるのかなという気がしております。以上です。

【座長】

 現場の方でどう考えているか、今日色々とお話をうかがった中で私はとても気になりました。それで、先生にちょっとお話をうかがってみたいと思いました。もう一つですが、今日のお話に対して、要するに一般職場と言いますか、学校職場ではないところで考えている職場のメンタルヘルスの問題と学校現場の問題とどんなふうにつなげて考えていったらいいのかということで、ご意見をいただければと思います。

【委員】

企業と学校とは違うと思うのですが、今日、お話を聞かしていただいて共通のところもあると思います。基本的には職場で起こった問題は職場で解決しない限り、ほとんどいい方法というのは見つからない。例えば、EAPという外部の機関に出したとしても、結果としてそこで解決できる問題は何もない、結果としてフィードバックして職場で解決していかないといけないと思います。

 それから、私どもの従業員でも加重労働があったり、職場のコミュニケーション不足で夜眠れないということで精神科の先生に相談したとしても、睡眠薬が出る、それでも眠れないとすると、また薬が出る、結局薬だけで本体のところの問題が解決されない限りは、ずっと不全感があって、しんどい思いをしているという問題がやっぱりあるのではないかと思います。だからやはり、現場の問題の中で 校長先生、副校長先生、それからご本人、カウンセラーが入って本音で話し合うような機会を持っていかない限りはとても自分の言いたいことも言えないし、自分が抱えている問題もはき出すこともできないし、というような問題が出てくるのではないかと思います。そこをうまくコミュニケーションを図って組織の問題としてきちっと解決していかない限りは、おそらくますます増えていくだろう、安易に相談したら解決するのかなということではいかない時代にきているのだろうと思います。

 そうすると学校の中で時間外の問題もあろうと思いますけれども、やはり組織とご本人とつながるようなコーディネートする人が必要になってきて、健康に関する研修と言っていますけれども、そうではなくて、やはり学校の中で健康の問題、メンタルに非常に詳しい知識をお持ちの方と学校の労働性をちゃんと理解された方がそこでコーディネートしながら、うまく解決していく方法を、学校の中で解決していくような術を持たない限りは、それぞれの学校の特性はあると思いますが、それを一律にこうだと言って通知・通達等で解決できるとは私は思っていません。私どもの会社には2万人位おりますが、それぞれの事業所の特性があって、会社の副社長が残業を全部辞めなさいと言って、スクラップアンドビルドをやれと言っても、できるところとできないところがあって、それは各事業所で解決していかないといけない。

 そのサポートできる人が必要で、全部その支店長がかなり強い力を持って決断していかないと、スクラップアンドビルドできないわけですから、そこのシステムを作っていかない限りはおそらく問題が起こってくるのではないか、私どももようやく副社長初め、産業医、色んな管理職を巻き込んで、ようやくスクラップアンドビルドのもとでメンタルヘルスの受傷者がどんどん減ってきていますので、傷病手当金が激減したと喜んでもらっておりますけれども、そこは思い切って取り組まないと仕事は減らないし、心が病んでいる方がいると会社としても生産性がどんどん落ちていく、悪の連鎖がどんどん進んでいく、どこかで大鉈を振わない限りはこの状況は改善しないのではないかと思います。

【座長】

 やはり、一般職場の方から見て学校というところはある意味での特性というみたいなもの、そういうのを考えると一般職場の中でこういう問題について考えてこられた廣先生、岡田先生、そういう先生方をこの場にお迎えしていることが私は非常に大きいことだと思います。そのように考えて、お話をいただきました。今日、大石先生の方から、現場としてのいわゆる相模原市という一つの事例も考えながら、サポーターとして、つまり相模原市に出入りしている精神科医として、サポーターとしてお話をいただいたような気がいたします。そういう意味とはちょっと違いますけれども、東京都全体の問題ではありますけれども、ある意味でのサポーターとして、特に精神的によりもっと問題を抱えて、そして入院治療までしなければいけないようなそういう方々を抱えている先生の方から見て、今日の話はどんなふうに感じられたか、ちょっとご感想をいただければと思います。

【委員】

 先生方の有意義なお話、ありがとうございました。大変勉強になりました。まず、先生のご発表では非常に共感できるところばかりで、とても納得でき、臨床に携わっている実感と一致していて、どこの場所でも似たような状況なのだと再確認いたしました。先生方のお話をうかがって、私なりに考えたことをまとめて申し上げますと、これまで言われていることの繰り返しになりますが、ひとつには組織的な取り組み、現場の支えのあるなしによる教員個人のメンタルヘルス、逆境に対しての打たれ強さがずいぶんと違ってくること、何人もの先生がおっしゃっていたことですが、現場の組織的なメンタルヘルス支援の体制作りは非常に大事だと思います。

 そして、それに当たって管理職の存在、管理職の方の意識が非常に大きく、そのあたりをどうやって形成していくかが重要で、そういう意味では管理職研修のあり方が大事。大体管理職研修に来られて熱心に聞かれる方はもともとそういう意識が高い方が多い。そうでない管理職の方は通常の子供達への教育活動に関しての視点が強い方、あるいは管理職は教員をある種手段として教育活動をなさっているので、そういった側面で見る意識が強い方がいます。そうした先生方に、どうやってメンタルヘルスの支援対策を実施するのか、あるいは組織的な取り組みが必要なことと、どのようにすればそれができるのかという具体的な方策を伝えられることができれば、また現場が変わってくるのかなと感じました。

 それと同時に、教員個人の意識もゆるがせにできないところで、色々な状況があっても、最終的には個人が発症するものですから、その教員個人がどうやってご自身のメンタルヘルスを保っていくかに関して、ひとつは大石先生の指摘がありましたが、もともとの適性の問題を抱えた先生に対してどうするか、採用の時点で確かに1回の面接ではなかなかみきわめにくいところがあって、これは今後もおそらく、問題になっていくかなと思います。それから教師としての技量・技術の向上を図ることによって、メンタルヘルス不全に陥るような状況を回避できる場合もある。その辺の個人としての取り組みに関しても、高めていく具体的な手だてが見いだせればいいのかなというふうに感じました。

 それから、学校現場で業務をうまく進めるために、現場の業務遂行に対する支援も不可欠だと感じます。このための、どのような方策を立てていくかというのもこの会議で是非話題になるといいのではないかと思っているのですが、先ほどのご指摘で、現場の問題は現場でないと解決できないというお話があったのですが、全くそのとおりでやっぱり現場で解決できると問題が一挙に消失するということが多々あります。

 そうはいっても、学校の組織というのは、学校内で解決できるものもありますが、それ以上のレベルでないと解決できない問題も結構あると思います。学校の現場としては、現場が万能ではなく、全権を握っているかというと、必ずしもそうではなくて、教育委員会という組織の中で学校が存在しているという面もありますので、個々の学校での取り組みだけでは解決できないもの、個々の中で解決しなければいけないもの、この峻別が必要かなと感じました。以上、私の感想としてはこんなところです。ありがとうございます。

【座長】

 ちょっと弁解させていただきますが、それぞれの先生のお話をうかがいながら、この先生だったらどう考えたかなと私は聞きたくて、今それぞれの先生方にわざわざ振って、ご感想をいただいたということで、座長としてのわがままだと思ってください。今日は8時半までの時間で、後10分くらいしかなくなりましたけれども、おそらく今日の話の中で他の先生方のお話をお聞きしながら、やはり何らかの形で注文をつけたいという人が、私はどうしても先生を指名したい。

【委員】

 それぞれの立場からご意見いただきまして、私もすごく勉強になりました、参考になりました。おそらく、先生方がおっしゃっているのは同じで、現場で解決できる問題というの、手法をまとめていく作業と、もうひとつはもっと大きい所で取り組んでいくものを整理して、上手に全体像をマップみたいな形で整理できればいい成果として現場に出せるかと思います。

【座長】

 ありがとうございました。先生は悪い意味ではなくて、そういった件で的確なことを言われるものですから、今日もこうして、他の先生方のお話を聞いた上でどういうふうに感じられたか、特に学校現場ということではなくてお話をまとめられましたので、学校現場以外の人間として学校現場からの話を聞きながらどういうふうに感じられたかということをおうかがいしたかったというのが、私の聞きたかったことでございます。そろそろ時間ということになりますけれども、他に今日のお話をうかがった先生同士でも構いませんので、お話が何かあればいただければと思います。どうですか、何かご感想は。

【委員】

 感想ではないですが、任用前研修ですが、身分はどうなっていますか。事務的なことですが。

【委員】

 一応、保険の方は都の方で入っていただいて、実際社会人の方もいますので、その方は3月31日まで勤務という方もいらっしゃるので、その方は対象にしないで純粋に学校に参加できる方から希望をとりながら、子供達と向き合う場面もありますし、あるいは先生方の仕事をちょっと手伝ってもらうということです。もう4年、5年目位になります。最初は小学校だけだったのですが、小学校が好評だったので中学校へも広げてということでやっています。

【座長】

 何か、お聞きになられていかがですか。

【委員】

 感想ですけれども、市でどういう予防策を考えていったらいいのかを検討している中で、今日、うかがった職場内の改善の取り組み、改善活動をどのように進めていったらいいかという視点は非常に今後に向けて参考になったと思います。やり方とか、その活動の進め方、マニュアルのようなものは先ほどの話ですとこれからパブリックされるということですか。

【委員】

 一部はもう世に出ている、メンタルヘルスアクションチェックリストとかといったものは出ていますし、一部方法論みたいなものは整理して、おそらくこの春に出されるかと思います。おそらく、一般企業向けに近いみたいなものなので、教職員向けに少しアレンジする必要はあるかと思います。参考になるものとしてはあるということあります。

【座長】

 ありがとうございました。今まで発言されていましたから、ちょっと一番最後にと思っていました。ご感想が何かあれば。

【委員】

 参考になりました。ありがとうございました。客観的にどう評価するとか、具体的はチェック表みたいなものができたらいいとすごく感じました。そう思う一方で、新たなことが起きると、校長の負担が増えるのだろうな、新たないいことがどんどん増えていって、前のものが消えないから、学校現場というのはどんどん増えていってしまって、これで校長がストレスでつぶれなければいいなということまで考えながらの対応でなければならないと考えました。

【座長】

 スクールカウンセラーは学校の正規職員ではもちろんありません。でも、スクールカウンセラーが出入りする、いわゆる職員ではない人間として、学校の中の問題をある意味で斜交いに見ているという意味では、非常によく見ているはずです。ですから、やはりスクールカウンセラーその他のそういった斜交いに見ている人の意見というのはやっぱり大切でないかなと思って、是非ともこれからも大切にしたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。というわけで、実は座長としては本当に聞きたかった話をそれぞれ皆様方からお聞かせいただいたということですが、冒頭の方に話が出ました委託調査の関係で何か、こういう問題があるからということであるようでしたら少しご意見いただいて、最後の締めくくりにしたいと思います。いかがでございましょうか。

【委員】

 抽出の関係で是非入れてほしいのが、そこに該当者がいるだろうかというのは分からないのですが、新規採用者の方を是非入れてほしい。 先ほど、静岡県の状況をお話させていただいたのですが、どうも採用してその年に辞めていく方が非常に多いので、この辺が状況的にどういう悩みを持っているのかというのを、そこだけは確認したいと思います。

【座長】

 ありがとうございました。他に何か、文部科学省の方にご注文はありませんでしょうか。いれずにしても、今日すぐでなくても結構ですけど、メールでも何でもご連絡いただければいいと思いますが。

【委員】

 学校の先生方が新任もしくは異動したときに、どういう対応ができるのかという ことを、できたら聞いていただきたい。きっちりできているのかどうかいうこと、今、厚生労働省の方でも、異動時が、一番リスクが高いということを表現していまして、同じような結果が出ていると思いますので、異動した場合はきちっと上司がコミュニケーション取って新しい職場に適用できるような期間を非常に長く設けて、そこから離脱することがないようなシステムになりつつあるのですが、学校においてもそういうことがきちっとできているのかどうか、やっているところとやっていないところの差があれば、そのシステムはきわめて有効に動いているということになりますので、そういうところも、もしくは今後の取り組みも含めて、そういう希望があれば、そこに盛り込んでいただいて聞いていただければと、予防対策につながるのではないかと思います。

【座長】

 ありがとうございました。それでは、時間が来ましたので、これでもって、今回の会議は終わらせていただきますが、最後に日程、その他のことで、よろしくお願いします。

【事務局】

 本日も熱心に議論していただきまして、ありがとうございました。最後に日程等についてご説明させていただきます。次回の日程については、先ほどスケジュールにもございましたように6月中旬を予定しております。また、別途、委員の先生方にメール等でご連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。それから、調査の件について、先ほどもご意見を頂戴いたしましたけれども、また具体的な内容につきましては、これも委員の先生方にご連絡申し上げまして、ご意見頂戴し、しっかりした調査になるようにまとめたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。以上でございます。

【座長】

 これで、閉会とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

(以上)

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課

教育公務員係

(初等中等教育局初等中等教育企画課)