公立義務教育諸学校の学級規模及び教職員配置の適正化に関する検討会議(第5回) 議事録

1.日時

平成23年7月25日(月曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省東館16階 16F特別会議室

3.議事録

【木村主査】  それでは、ほぼ時間になりましたので、ただいまから公立義務教育諸学校の学級規模及び教職員配置の適正化に関する検討会議を開催させていただきます。今回が5回目ということになります。

 本日は、委員の皆様、お忙しい中、また、大変お暑い中ご出席を賜りまして、ありがとうございました。まず、教育関係団体等に文書でかねて照会しておりました意見照会の結果等につきまして、ご報告を申し上げたいと思います。続きまして、これまでのヒアリング等を踏まえて、主な指摘事項について、事務局が資料にまとめておりますので、それをご披露いただいた後にご議論いただきたいと考えております。

 それでは、事務局から本日の資料についての確認及び説明をお願いいたします。

 なお、追加資料として、1点資料が追加されておりますが、これについてもご紹介いただくことになっております。よろしくお願いします。

【谷合企画官】  それでは、失礼いたします。お手元の資料のご確認お願いいたします。まず、議事次第がございまして、資料1が本検討会議の名簿。資料2が今後の日程。そして、資料3-1、3-2が、教育関係団体、あるいは地方3団体等合計27団体に意見照会をいたしました結果でございまして、資料3-1がその概要、そして、3-2がその出していただいた意見そのものを束ねた資料ということでございます。そして、資料4が、前回まで3回にわたりまして行いましたヒアリングの結果を事務局にて整理した資料でございます。

 そして、資料5が、これは追加資料ということで、簡単にご説明をさせていただきたいのですが、資料5を1枚おめくりいただきまして、この資料でございますが、児童生徒の学力格差に関するデータでございます。1ページ目が、ベネッセが昨年の8月から9月にかけて実施した調査でございますが、数年前と比べて、最近の児童生徒はどう変わっていると思いますかという問いに対して、小学校教員の60.6パーセントが児童間の学力格差が高まったと回答しております。そして、同じく中学校でも、2つ目、生徒間の学力格差が高まったというのが66.5パーセントになってございます。

 そして、次の2ページ目でございますが、同じくベネッセ調査でございますが、これは小中学校の校長へのアンケートでございます。新学習指導要領への不安と対応ということについて聞いたところ、新学習指導要領では、学習内容の充実、あるいは授業時数の増ということもございます中で、教員の多忙化の加速化、あるいは人員の不足という懸念がかなり強いとともに、小学校で言えば、3つ目、児童間の学力格差の拡大が70.7パーセント、中学校では、4つ目にございます生徒間の学力格差の拡大、63.8パーセントと、いずれも学力格差についての懸念が高い状況になってございます。

 そして、最後、3ページ目でございますが、これはお茶の水女子大学への委託研究での結果でございますけれども、学力の格差の要因というのはさまざまあると思われますが、その1つといたしまして、経済格差についてのデータでございます。これによれば、小学6年生の保護者に対する調査で、その家庭の世帯年収と全国学力学習状況調査の平均得点との関係を示したグラフでございますが、世帯収入が増えるについて平均得点も上昇するという結果が得られてございます。

 以上が追加のデータでございます。資料の説明は以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。何かご質問ございますか。よろしゅうございましょうか。

 耳塚先生のデータの数字がこれでいいんですか。横軸300、500、700、900、それから、1,200になっていますね。横軸のとり方、3、5、7、9、それから、200万未満というのがちょっと。

【谷合企画官】  失礼いたしました。確認させていただいて、また報告いたします。

【木村主査】  よろしくお願いします。

 よろしゅうございましょうか。ご質問等ございましたらお願いしたいと思います。

 ご質問ないようでございますので、早速でございますが、教育関係団体等への意見照会の結果の報告をお願いいたします。伯井課長、よろしくお願いします。

【伯井課長】  教育関係団体の文書による意見照会の結果でございます。資料3-1、それから、現物が資料3-2でございます。今年の6月から7月にかけまして、教育関係団体、あるいは知事会等地方団体に対して、計27団体に対して文書による照会を求めたところ、23団体から回答がまいりました、それを掲載いたしておりますのが資料3-2でございます。本日、これを事務局のほうで検討事項として示しているものにある程度即しまして、概要をまとめたのが資料3-1でございます。また、お時間の許す限り資料3-2もご参照いただければと思いますが、本日はこの資料3-1に基づきましてご説明をさせていただきます。

 意見の概要でございます。まず、少人数学級の推進や指導方法工夫改善の在り方についてでございますが、四角で囲っておりますが、新学習指導要領に対応して、きめ細かで質の高い教育を実現するためには、小学校2年生以降についても35人以下に見直すべきという意見が大勢を占めております。少人数学級の推進とともに、チームティーチングや少人数指導の推進も行うべきとの意見もまた多かったというものでございます。

 具体的には、35人以下学級の推進というふうに括弧でくくっておりますが、新・教職員定数改善計画(案)に基づいて、計画的に学級編制の法改正を速やかに行うべきというのが多くの教育関係団体、それから、全国知事会からも出されているところでございます。

 また、新学習指導要領への対応といたしまして、新学習指導要領による言語活動の充実などの改善事項に対応していくためには、40名の一斉指導を想定したものではなくて、学級規模を縮小して、これが実現が容易になるというのが、都市教育長協議会以下の団体から提出されております。

 それから、少人数学級・少人数指導の関係におきましては、きめ細かで質の高い教育を実現するためには、少人数学級と指導方法工夫改善等による加配措置のどちらもが重要であるというご意見が、指定都市の教育長会、あるいは全日本中学校長会などから提出されておるところでございます。

 そのほか、少人数学級・少人数指導の関係のご意見が出ております。

 2ページですけれども、基礎定数と加配措置に係る定数の適切な組み合わせによる教職員配置につきまして、基礎定数の充実に当たっては、加配を減らすのではなく、学校に必要な教職員定数は、純増により確保すべきという意見が非常に多く出されております。

 その一番下の加配定数と基礎定数の関係と書いた都道府県教育長協議会、指定都市教育長協議会等、教育関係団体からそうした意見が提出されております。一方で、加配定数は、地域や学校の状況に応じた特別な配慮が必要な場合に限定し、少人数指導、専科指導などの教員配置というのは、基礎定数により措置すべきというご意見も提出されているところでもございます。

 また、小学校における専門的な指導、特別支援教育などに関する加配の在り方といたしまして、指導要領改訂によって、より小学校高学年等における専科指導が必要となって、それに伴う加配定数が必要であるとするご意見などいただいております。また、特別支援教育についても、その充実、加配措置の充実についてのご意見が提出されているところでございます。

 それから、東日本大震災への対応として、加配定数を長期的に措置すべきであるとか、学校事務職員の加配も必要であるといったようなご意見が出ているところでございます。

 それから、3ページの(3)設置者や学校の意向を十分反映した学級編制、教職員配置の在り方については、地域や個別の学校の実情に応じた教員配置にするため、市町村教育委員会、あるいは学校の裁量を拡大するべきであるというご意見が多数いただいているところでございます。市町村へのさらなる権限移譲と、学級編制権、教職員定数決定権等に係る市町村へのさらなる権限移譲についてのご意見も、市長会、あるいは中核市教育長等から出されているところでございます。

 それから、今後に向けた計画的・安定的な学級規模・教職員配置につきましては、1年生から2年生への進級時におきまして、学校生活への適応、学級経営への充実等の面からも、その学級編制基準が段差ができてはならないと。段差ができて、その機械的なクラス替えを強制されるようなことは望ましくないので、24年度において小学校2年生への学級編制基準を確実に引き下げるべきであるというご意見。それから、学級編制基準の引き下げは、早急に中学校にも拡大するべきであるというご意見。さらには、早急に定数改善計画を策定、提示するべきと。義務標準法の学級規模による教員定数の乗数、学級数に乗ずる数、基礎定数における学級数の乗数の見直しを行うべきであるという意見が提出されているところでございます。

 それから、複式学級の改善、解消に関するご意見、それから、特別支援学級における学級標準についてのご意見や、特別支援教育コーディネーターの定数措置に関するご意見、それから、国と地方の役割分担という関係から、義務教育費国庫負担金の負担割合2分の1復元等に関するご意見、また、その中学校の免許外教員による指導が行われないよう、中学校の基礎定数を見直すべきというご意見。

 それから、(5)のその他学級規模、教職員配置の適正化ということで、正規教員の割合を高めるべきというような仕組み、国において確実な財源保障を行うとともに、正規教員の割合を高める仕組みを構築すべきであるというご意見。心理士やカウンセラーなどの専門スタッフを充実すべきであるというご意見。

 その他で、定年延長、公務員の定年制の延長を見据えた教職員配置、学級担任のあり方について検討するべきというご意見であるとか、高等学校の学級編制基準についてのご意見。それから、学級編制基準の今後の改正作業に関しまして、法律の成立時期等について、年度末までに成立が担保されて、各自治体での人事作業がそごが生じないようにするべきというご意見などが提出されております。

 詳細は、3-2にそのものの原文、そのものの意見書そのものが出ておりますので、そちらもごらんいただきながらということでございますが、とりあえずまとめたものは以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。ただいまご説明いただきましたとおり、詳細は3-2に出ておりまして、その概要版が3-1でございます。代表的な意見をまとめて、それをどういう団体が意思を表明したかということについて、括弧に書いてありますが、何かご質問等ございますか。よろしゅうございましょうか。

 それでは、この件は以上といたします。今後、少人数学級、少人数指導等きめ細かな指導を推進する上で学校の特性を考えていくべきであるというご意見が、前回小川副主査より出ております。そのご指摘を受けまして、全連小と全日本中学校校長会からお話を伺うつもりでありましたが、全連小、小澤先生、本日はご都合がつかないということで、とりあえず、久保田先生からお話を伺いたいと思います。久保田先生、恐れ入りますが、15分程度でお願いしたいと思います。資料はないんですね。

【久保田委員】  そうですね。はい。すいません。

【木村主査】  よろしくお願いいたします。

【久保田委員】  それでは、ちょっと時間をいただきましたので、資料はないんですけれども、中学校の現状から見た少人数学級、あるいは少人数指導についての私なりの意見を言わさせていただければと思っております。

 3つの視点から述べさせていただきたいと思いますけれども、第1は、学級経営の視点からでございます。中学校は、小学校とは異なって、教科ごとに教師が入れかわる教科担任制をとっておりますけれども、基礎的な生活単位は学級でありまして、学級の果たす役割は小学校と同様に大きいものがございます。学級の一員としての生徒は、担任の意図的、計画的な学級運営に基づいて、担任と生徒、あるいは生徒同士の交流の中から望ましい人間関係のあり方や生活態度を身につけていきます。これが学級づくりと呼ばれる教育活動であります。

 担任は、4月当初、学級開き、学級目標の設定、学級内の組織づくりや仕事の分担を行います。そして、毎日の朝の会、呼び方はいろいろございますけれども、あるいは帰りの会、給食指導、清掃指導、週1時間あります学級活動、あるいは道徳の時間、そして、自分の教科の時間を通して生徒と深くかかわり合いを持っていきます。

 さらには、運動会や合唱コンクール、この2つが今、中学校では大きな学校行事になっているんですけれども、こういう学校行事を活用しながら、学級のよりよい生活づくりに貢献する態度を育てます。進路相談や教育相談はもとより、生活面で気になる生徒に随時声をかけ、面談を行い、日常的に発生する生活上の諸問題について、学校の組織や家庭と連携しながら健全育成に努めております。生徒にとっては、学級はある意味、家庭に次ぐ集団生活の場でございます。この学級で社会生活に必要な規範意識、あるいは礼儀、思いやりの心、協調精神などを身につけ、義務教育最終段階を終えるわけでございます。

 最近は、人間関係をつくる力の未熟な生徒が増えまして、一段ときめ細かく一人一人に対応することが必要になってきております。また、LDやADHDなど特別な支援が必要な生徒、これは、文科省の調査では、通常の学級に6.3パーセント程度在籍しているとなっておりますけれども、そうした生徒への対応や連携がとりにくい家庭、最近は家庭からの苦情に近い問い合わせが激増しておりまして、それらの対応にも担任は多くの時間を使っています。

 また、放課後には、部活動、あるいは生徒会活動があり、学級づくりのために生徒と向き合う時間の確保が課題になっております。最近、学校にスクールカウンセラーが入るようになりましたけれども、担任と相談をしたいと思っても、担任が忙しくて時間がとれないとよく申しております。担任との効率的な連絡のとり方がカウンセラーの話題になるほどの状況がございます。特に学校週5日制の中、各教科の授業時数が1割以上増えているということで、ますます学級について考える時間の確保が問題になっているという現状がございます。

 次に、学習指導からの視点でございますけれども、どの教科であっても、授業は少人数であるほど教師の目が行き届きます。中学校の授業は、教師による指名や生徒の挙手による問答、あるいは教室内を回って生徒の様子から理解度を見たり、声がけをしたりして進めていきます。学級の人数が少ないほど問答や教室内を歩く回数が増えるので、その分、生徒も集中し理解度は上がります。

 もう一つ、授業を行う場合に授業規律が重要になります。最近は大学生でも私語が多いというお話をお聞きしますけれども、一般的には、生徒数が多いほど学習に向かう姿勢が維持しにくい状況になります。体験的には、35人を境にして様相が異なってまいります。35人を割る人数になると生徒に目が行き渡るように感じます。通常教室の中では、生徒の机は横6列に並んでおります。6掛ける6で36人ですから、36人を超えると、縦が7列、こういう列が出てまいります。体格のよい中学校3年生になると、教室いっぱいの状況になってまいります。授業規律に乱れが出てくると、考えさせたり、あるいは発表させたりする授業が難しくなるため、一斉指導の教え込みとなり、ますます生徒の学習意欲を失わせることになります。少人数学級は、新学習指導要領の実施と密接に関係していると思っております。こうした体験的に感じている学級人数と学習状況の関係は、前回報告ございましたけれども、国研の調査と合致するのではないかと思っております。少人数学級のほうが明らかに学習行動がよくなります。

 最近、指導方法工夫改善の加配教員を活用した授業が行われるようになりました。教科では、数学、英語、理科が中心になっております。工夫・改善の方法としては、2人の教師で指導するチームティーチングと学級を分割して行う少人数指導があります。少人数指導では、均等に分ける場合と習熟度によって基礎クラスと発展クラスのように分ける場合がございます。チームティーチングは、特別な支援が必要な生徒への対応や個別指導の充実の観点から見ると、教師が生徒の傍らにいるので、小さなつまずきにすぐに対応できて効果的でございます。少人数指導のほうは、少ない人数で行うので授業に対する集中度が増し、習熟度別の場合には、生徒の学習状況により近い授業展開になるので理解が深まる利点がございます。このように、指導方法の工夫は、学校で、年度ごとに教師や生徒の実態が異なりますので、最適な方法がとれるよう学校の裁量を重視することが重要であると思っております。年度によってかなり生徒の状況というのは異なってまいります。

 ただいま学級経営と学習指導の両面から少人数の効果をご説明申し上げましたけれども、中学校にとっては、それぞれが必要なことでありまして、どちらかではなく、どちらも重要なことであると思っております。

 最後3点目になりますけれども、ちょっと視点が異なりますが、教員数の問題でございます。結論から申せば、現在の教員数では不十分であるという印象でございます。実感としてそういう気持ちを持っております。中学生は、小学生や高校生よりも心身の成長が著しい、発達段階としては非常に難しい時期に当たります。中学1年生になって生徒指導上の諸問題が吹き出してまいりますけれども、これは、ある意味当然のことだと思っております。中学校は、このような青年前期の中学生に共通する悩みや不安を解決していくために、教科担任制の利点を生かして教師全員で生徒にかかわるようにしています。生徒の悩みは多様化し、家庭の状況、いじめや不登校など人間関係に起因する問題の解決にも、教師の介在が欠かせなくなっております。実際には、学級担任が対応することになりますけれども、担任だけでは解決できないケースも多く、学年、あるいは学校全体で生徒指導を進めていきます。

 全日本中学校長会の平成22年度の調査でございますが、例えば学級数が12、これは学年4学級平均ということになりますけれども、12ですと、教員定数を見ますと、少ない県で19人、多い県では22人となっております。この数字には、校長、教頭、養護教諭が含まれておりますので、それらを除きますと、16人から19人ということになります。必要な担任数は、12学級ですので12人なので、そのほか、いわゆる副担任が4人から7人となります。学年構成を考えると、1学年4学級に対して教師が5人しか配置できない場合も出てまいります。これは非常に厳しい状況でございます。

 既に述べましたように、担任も副担任も、教科の授業だけでなく、学級指導、生徒指導、進路指導、学校行事、部活動、そして、家庭や地域との連携を通して一人一人の多様な生徒の育成に努めているという状況であるところから、非常に厳しいという言葉を使わせていただきました。こうした指導というのは、非常勤講師では難しいということでございます。学校は、指導工夫改善の加配措置を、学力向上の効果を期待して申請するわけでございますけれども、実は、教員数を確保するということにも意義を感じているというところが実際はございます。

 一方、学級数のほうで見ますと、1学級増えると、週29時間分の時数枠が発生してまいります。そうすると、教員が1人増えるだけでは29時間を賄い切れませんので、全体は窮屈になってまいります。現在の教員定数は、1学級増えると2人増える場合もございます。例えば東京都の基準でございますけれども、校長、副校長、養護教諭を含めて、11学級では19人ですけれども、12学級になりますと21人と2人増えます。その後、13学級、14学級では1人ずつ増え、15学級になるとまた2人増えます。教員数が2人増える境目の学級数の場合は、学級が増えることは教育活動の充実という点でプラスになるということでございます。

 先日、私の勤務する学校に近隣の小学校6年生を招いたんですけれども、6年生に中学校で何を一番期待するかと聞いてみますと、ほとんどが部活動という答えが返ってまいります。部活動の充実を図るためにも一定の教員数が必要になってまいります。全日本中学校校長会のほうでは、学級掛ける2の教員定数が必要であるというふうに考えております。

 今、3つの視点から、中学校の現状と少人数学級、あるいは少人数指導についてご説明申し上げましたけれども、新学習指導要領が来年度から本格的に始まりますので、この機会に少人数学級の中学校の導入と合わせまして、意見書にもいろいろ出ておりましたけれども、工夫改善の加配の充実というものをお願いしたいと思っているところでございます。

 以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ただいまの久保田先生のお話に対しまして、何かご質問ございますか。今、おっしゃった学級数掛ける2ということは、先ほど例に出された学級数12の場合24ということになりますね、理想的には。

【久保田委員】  そうですね。

【木村主査】  それが現状では19から22ということですね。

【久保田委員】  そうですね。

【木村主査】  よろしゅうございましょうか。はい。ありがとうございました。

 先ほどご案内申し上げましたように、全連小のほうは次回ということにさせていただきます。ありがとうございました。

 それでは、先ほど冒頭ご紹介いたしましたように、これまで数々のヒアリングを行いまして、そこで出た意見をを事務局でまとめていただいておりますので、それについて伯井課長からご説明をいただき、それに基づいて議論をしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

【伯井課長】  これまでのヒアリングにおける主な指摘事項ということで、資料4をご参照いただきたいと思います。資料4の一番後ろ、裏の資料に第2回、第3回、第4回におきまして、それぞれヒアリングにご出席いただいた方々のリストがございます。これらヒアリングの結果を、これも事務局のほうで検討事項に即した形である程度雑駁なまとめではございますが、とりあえずまとめてみたのが資料4でございます。何分まだ不十分な点が多いと思いますが、ご意見等でご指摘いただければと思います。資料4に基づいて説明をさせていただきます。

 まず、少人数学級の推進や指導方法工夫改善の在り方についてということで、新指導要領が求める思考力・判断力・表現力等と少人数学級等ということにつきまして、国語科を例に挙げながら、正解到達主義的な読解を改め、試行錯誤しながら学ばせるためには、人数が多過ぎては多様さやプロセス、個は生かせず、丁寧な指導ができないと。一方、多数、多様な意見を確保するためには一定の規模も必要であるとする意見であるとか、あるいはその一つ飛んで、新学習指導要領のねらいを実現する理想的な学習指導過程の時間配分として、75分対45分と、理想が75分で、実際の時間配分が45分になったという、国立教育政策研究所のほうで、各教科に応じて指導案をシミュレートしていただいた、別紙にも、後ろから2枚目に、前回出していただいた理科の振り子の1往復する時間の学習についての、本来の想定時間と実際の時間の比較ですけれども、そういうふうになったと。少人数学級になれば、こうしたことを解消して、確かな学力の定着向上を図ることができるようになるというふうな指摘。

 それから、少人数学級等と指導方法の改善につきましては、既に先行して少人数学級を実施しておられる自治体から、例えば山形県では、少人数学級で行うきめ細やかな指導と指導方法の工夫改善を一体として推進していくことの効果であるとか、秋田県教委さんからも、同じく少人数学級を実施しながらも、少人数指導という形で実施することによる指導方法改善の取り組みについてご紹介をいただきました。

 それから、次のページでございますが、少人数学級の効果について、少人数学級を導入後、学習行動がよくなった生徒の割合が高い学校が多いという国立教育政策研究所からのデータの紹介でございます。中2で33人学級を実施した県におけるデータで、授業中集中する生徒の度合いであるとか、授業に積極的に参加する生徒の多さというようなことを比較しております。

 それから、逆に進級に伴い学級規模が大きくなると、家庭学習をはじめとする学習に対する取組に悪影響を及ぼすということで、進級に伴って子どもの数が増えた学校の、その家庭学習の取組状況が悪くなっているというデータでございます。

 それから、京都府教委さんのほうからは、少人数学級、少人数授業、チームティーチング、いずれの方法も学力向上には効果的であるが、基礎学力の定着には、TTや少人数授業が特に効果的であるというデータ、その次の3ページですけれども、あるいは学級経営上は少人数学級が特に効果的であるというようなデータをご紹介いただきました。

 それから、兵庫県教委さんのほうからは、学習面でのつまずきのある児童への素早い、即効性ある対応という意味では複数担任制が、入学当初の時期の子どもの心の安定など、一人一人に応じた生活指導については、少人数学級の評価が高いというようなデータをいただきました。

 それから、大阪府教委さんからは、少人数学級を導入した後の欠席率の減少についてのデータをいただいております。

 それから、次の4ページですけれども、上から2つ目の丸ですが、単純に少人数学級であれば学級経営がうまくいくとは限らないが、学級規模の大小はより機能的な学級経営にとって一定の効果があるというご意見。

 それから、少人数学級が効果のある対象グループ、附帯条件などを検証することが重要であると。学力への効果があるとすれば、中学校よりは小学校だが、過大な期待をしてはいけない。学力だけでなく生徒指導等への影響も重要であるとするご意見。

 それから、教職員定数配置の在り方については、学級規模では捕捉できない特別な課題を抱える学校において、教育水準の保障のためにはきめ細かい定数措置が必要であるというご意見。

 それから、小中学校の連携による児童生徒の交流事業の運営や多様な人材の参加をコーディネートできるような教職員の加配が必要であるとする意見。

 それから、財源制約ということを考えながら、中学校における少ない時間数教科担当教員の複数校兼務というものも検討することが有効ではないかとするご意見。

 それから、小中学校の通常学級に在籍する発達障害のある児童生徒への対応の観点からも少人数学級は重要であると。また、その通級指導への要望というのは極めて高い。特別支援教育コーディネーターの加配措置というのも必要であるとするご意見。

 それから、5ページの上から3つ目ですが、足立区教委からのヒアリングでは、就学援助率と学力調査平均点との相関を示していただきまして、そのことをもとに、基礎学力定着に課題のある児童生徒の対応のため、少人数学級や、あるいは低学力層の児童生徒への支援のための加配など、少人数指導、個別指導の徹底を推進しているというご紹介をいただきました。

 それから、設置者や学校の意向を十分反映した学級編制、教職員配置の在り方について、京都府では、市町村に一括して総定数を配当するという仕組みをとって、設置者の裁量や学校の実情で少人数学級、少人数指導、TTを選択できる方式をとっておるわけでございますけれども、そんな中で学級を基盤とした弾力的な学習集団の編成など、校長が柔軟に選択・判断できることの意義について提案がございました。

 そのほか、評価や検証の必要性について、予算編成過程で学級規模縮小が他の予算よりも優先する価値のある施策であることを十分説明することが必要であるというご意見であるとか、次のページですけれども、最もその費用対効果の高い政策の選択を支援するというのが、政策の費用対効果をよく見きわめるということが必要であるというご意見。あるいは少人数を最大限生かすための柔軟な学級編制をしていることについての評価であるとか、国の制度改正が与える自治体への影響というのを検証というのを十分しながら進めることが必要であるというようなご意見がございました。

 以上、ほかにも多数ご意見がございましたが、一応主なご意見をまとめたのがこの資料4でございます。以上でございます。

 ちなみに、先ほど久保田委員のほうからございました、学級の数と教職員配置の関係でございますが、12学級の中学校ですと、国の法律上、標準法上は、教員が19.9人、これは校長、教頭、教諭を入れて19.9人になっております。これに養護教諭と事務職員をプラスしますと21.9人ですので、標準法上は、教職員がおおむね22人と、1クラスで21.9人という形でございますので、それぞれ県の実態は、先ほどご紹介いただいたような形で、その乗ずる数というのをいろいろ活用しながら、いろんな形で教職員配置をやっておるというふうに理解しているところでございます。

 とりあえず、以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。いかがでございましょうか。資料4について簡単にご説明いただきました。皆さん、お聞きになっててヒアリングの状況を思い出されたと思いますが、何かありましたらお願いします。本日は時間がたっぷり取ってありますので、よろしくお願いいたします。いかがでしょう。

 これだけまとめていただくと、何か結論が出たような気がするので。(笑)少し困ってしまうのですが、いかがでしょうか、どうぞ、藤崎委員。

【藤崎委員】  ちょうど4ページに教員をサポートする専門スタッフの配置ということで、心理士やカウンセラーなどの専門スタッフを充実すべきとの意見があったということについてなんですが、私は、本業が不登校の訪問相談員ということでやっておりますが、実際学校で考えていきますと、この心理面のスタッフより、やはり教員、正式に授業もできて、そして、生徒指導もできるという教員の数を増やしていくことがより不登校の解決にも役立つのではないかというふうに考えます。例えば藤沢市ではスクールカウンセラーを週1回派遣しておりますが、週1回、しかも、契約も1年ごとの更新です。そういったスクールカウンセラーに常に頼って学校の教員が対応していくというのは非常に難しい。また、もちろんそのスクールカウンセラーによって救われる子どもいますが、やはり子どもが求めているのは担任の先生だったり、学校の先生が手当てを厚くすることによって、もう少し不登校というのは解決されていくのではないかなと思いますのでこういった専門スタッフよりも、まず、教員、正規教員の数を増やしていくのがいいのではないかというふうに私自身は考えております。

 以上です。

【木村主査】  はい。ありがとうございました。

 これは文科省に意見を求めても、簡単には答えられませんね。

 教員の数というのも大事なんですが、日本の学校の場合、サポーティングスタッフの数が少な過ぎる。大学もそうなんです。ものすごく少ない。先進国の中では、日本の大学は非常に少ない。小学校、中学校等の高等教育以外の学校でも、サポーティングスタッフの数が日本は少ないですね。ですから、そういうスタッフもぜひ増やしてほしいという主張をすべきだと思っているのですが、それを増やす代わりに教員を減らすという話しになる恐れがある。それは非常に困ると私、思っているのですが、ご意見はよくわかります。

 また今出たスクールカウンセラーの話ですが、随分前の中教審でいろいろ議論があっりしました。スクールカウンセラーは、あんまり効果がないのではという御意見の方もいらっしゃいましたが、亡くなった河合隼雄先生は、絶対そんなことないとおっしゃっていました。効果が出ているというデータを幾らでも見せてあげるとおっしゃっていました。スクールカウンセラーを導入してから随分いろいろ状況がよくなったとおっしゃっていました。その辺はどうですか。今、1週間に1遍じゃどうにもならないというふうに聞こえましたけど。

【藤崎委員】  スクールカウンセラーその人となり、人次第というところで、正直申し上げて、臨床心理士という資格ではなく、やはりその人の人柄で、学校の先生と保護者をうまく結びつけられる人が配置された学校ではやはり効果を上げているのではないかと思います。

 また、学校の先生が頼りにするという面においては、教員の仕事の内容を深く理解している方が必要になってくると思うんですね。藤沢市にも教育相談センターがありますが、異動で指導主事がどんどんかわります。ですから、ほんとうは教員の中で専門家を育てるという道が重要なのではないかと思います。

 それから、現時点での結論では、サポートスタッフももちろん大切ですし、育てていくことも重要ですが、まずは、この少人数学級というのをもっともっと進めることを優先していったほうが学校現場にとってよいのではないかと思います。

 以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。どうぞ、井上委員。

【井上委員】  今回は、今年度おかげさまで全会一致で成立した標準法の改正に基づいて、第2年度の改正として、具体的にどういう内容にするかということのご議論をいただいていると思うんですが、通常の場合ですと、確かに平常時には、多々ますます弁ずるで、できるだけ教員定数とか、サポーティングスタッフとか、そういうものを増やす必要があるということで、そういう結論というのは結構だと思うんですが、今年は特に東日本大震災、あるいは原発事故等で非常に異常な事態で、それに対する復旧・復興に対する予算というのがどうしても優先されてしまうのではないか。そういう中で、昨年は、大体7月にこの定数改善計画についての、中教審の初等中等教育分科会の報告がまとまった段階でした。今年はまだこれから検討課題の整理とか、それから、その内容について議論を進めていくという段階で、昨年のペースより非常におくれている、これもすべて東日本大震災等の影響が出ているのではないかと思うわけでございます。

 そうしますと、概算要求基準というのがまだ定まってないと、概算要求基準がどうなるかということによって、平常の概算要求と同じような要求ができるのかどうか。特に東日本大震災の復旧・復興を最優先でやるとすると、文科省関係の予算でも、そういう関連が優先されてしまうのではないかという危惧の念はあるのですが、ただ、この定数改善計画については、全会一致で国会で成立させていただいていますから、そういう点ではその心配はないのかなという気もします。今、政策見直し等いろいろ与野党で話し合いが行われているという状況もありますので、この辺、どういう状況になるかというのはちょっとまだ不透明じゃないかと思うのです。

 ただ、そうは言いながら、教育は、政治とは別に中立的に、今、来年度についてやるべきことを議論しているのだと言えば、それは非常に説得力が出てくると思うわけで、そういう意味で、たとえどんなことがあっても、このこれまでのヒアリングにおける主な指摘事項、資料4の2ページですが、2ページの少人数学級の効果の2番目の丸にありますように、小1について35人学級が実現しているわけですが、進級に伴って学級規模が大きくなると、家庭学習をはじめとする生徒の学習に対する取組に悪影響を及ぼすという、これ、山形県の実際の例を分析した国研の報告だと思うのですが、こういうことがある以上、最低限でやはり小学校の2年、学年進行で2年生については少人数学級を推進すべきというのは、これはどうしても最低限の要求としてはそう言うべきではないかと思うわけでございます。

 もちろんそのほか、指導方法改善の加配、あるいは生徒指導についての加配とか、いろいろ現場から要望とか、関係団体からの要望がありますから、そういうものとの十分な整合性というものを図りながら、この少人数学級の進行を進めるべきだというのが最低限の要求として出していくべきじゃないかと思っているわけでございます。

【木村主査】  ありがとうございました。事務局、その辺、何かありましたら、お答えいただければと思います。

【伯井課長】  ご指摘いただいたとおりでございますけど、政府全体としての予算編成作業の状況がまだ現段階では未確定な要素が多うございますので、また、その辺も踏まえながら、それはそれとして、この会議における議論をどうやって、来年度、さらにその先に反映していくかということで、検討を進めていきたいと思います。

【井上委員】  そうしますと、昨年の初中分科会の提言で、一応教職員定数改善計画で8年計画ですね、35人学級を進めて、その後、小1、小2を30人学級にするという、全体計画は一応昨年提言がまとまっていると思うのですね。そうすると、来年以降はもう一度それを完成年度まで、完成状況まで見通して、ここでもう一度議論するというのか、あるいはそういうことを念頭に置いて、とりあえずは来年度の改善内容について議論するのか、その辺はどうなのでしょうか。

【伯井課長】  これもご議論いただけると思いますが、一応、今、ご指摘出た後者のほうで、中教審としては、一応、昨年7月の提言をいただいておりますし、それをベースに文部科学省としての定数改善計画(案)がありますので、そうしたものをベースにここでご議論いただいて、当面どうしていくべきだということをご提言いただければと思っておりますのが、特に小2の関係につきましては、今日はちょっとご意見いただけなかったんですけれども、現在、全連小のほうでも、小1と小2のその進級についての実態であるとか、あるいは今回小1に全国的に35人学級が導入されたわけでございますけれども、そのことについてのアンケート、効果というようなものをまとめていただいておりますので、次回はその辺も紹介していただきながら、さらに議論を進めていきたいと思っています。

【井上委員】  はい。ありがとうございました。

【木村主査】  ありがとうございました。

 どうぞ、米田さん。

【米田委員】  ちょっと質問になると思います。この資料4の5ページの一番の下になります。私、出席してないときの土居先生、それから、赤林先生の話についてなんですが、予算の編成過程や予算要求の段階で、この学級規模の縮小が他の予算よりも、要するに優先する価値のあることなんだということを説明することが必要だというのは、もちろんそのとおりだと思います。それに関しまして、やっぱり大変な点がいろいろあるのではないかなと思いますが、具体的にどういうふうな点でいろいろご苦労なさるのか。そして、また、赤林先生のほうの費用対効果はやはり見きわめることが必要、これも当然そうなわけですが、やはり具体的な折衝等の段階でうまく説得できない、いろいろネックをそこで感じるというふうなところ、何かあると思います。もし差し支えなければ、具体的にどういうふうな点で優先すべきであるというところをうまく説得力をもった説明できなくなってしまうのか、その辺、教えていただきたいんですが。

【木村主査】  どうでしょうか。この問題はなかなか難しいんですよね。

【伯井課長】  まあ、そういうご意見も当然あります。我々としては、こういう少人数学級の効果、(3)で挙げているような効果を積み上げていくということともに、後年度負担というのをどうしても財政当局は主張してきますので、その後年度負担が、片一方ではさほど自然減であったり、教職員の新陳代謝といいましょうか、高齢者が多く退職していく中で新人を確保していくという状態ですので、それによって、できるだけ後年度負担が少ない形で合理的に定数を改善していくというような説明をしていく中で、説得していくということになろうかと思います。

【木村主査】  どうぞ、局長。

【山中局長】  あるいは財政審議会とか、そういうところで出されている財務省の資料ですとか、ほかの資料等もございますので、大体どういうふうな形で少人数学級という政策というものが、ほんとうにそれだけの政策効果があるのかということについて疑問を呈するといいますか、そういう資料もございますので、ちょっとそういう資料は、こういうふうな形で議論が展開されるという、例えば財政審の場ではこんなふうな議論が今まで展開されていたというものもございますので、また、お出しして、そういうものを見ながら、どういうふうにこういうものについて説得することが必要になってくるのかというところも議論いただくとありがたいと思います。

【米田委員】  実際検証できるものをより多く出せばよろしいのかと思いますが、その辺どこまで、しかも、できるだけ客観的なデータ等を出せるのか、そして、出せばいいのかというあたり、我々、県レベルにおいてもなかなか苦労しているんですが、国の場合はもっといろいろ大変なのかと思います。その辺、なかなか数値できちっと表現できない部分も多いものですから、私などは、経験的には十分効果あるというふうなのはもうわかっているんですが、実際それを話として持ち出すときに、なかなか一つの大きな武器にならないというところがやっぱり苦しいところだと思うんです。やっぱりそういうふうなものでしょうか。

【山中局長】  似たような感じはあると思います。私どもも、例えば保護者の方、あるいは先生方の感じている、どのぐらいの規模が一番教育していて、現実にやっていて教えやすいのかとか、保護者から見たどのぐらい規模だと非常に教育が充実して行われているのかという感覚というようなものは、まさにその教育効果を考える上で、教える人、それで、また保護者の家庭教育をやっている方ですから、非常にそこが安心してというか、充実してできるという環境をつくるということが非常に重要だと思うんですが、そういう感覚的なアンケート調査だと、効果の測定ではないというふうな感じで受け取られまして、全国学力調査もやっておりますけれども、これと学級規模との関係というのも、これ、学級規模だけで学力が反映するかというと、そういうものでもないというのは、いろんな諸外国の調査でも出てきているところでございまして、同じように、どうやって説得するのかというところは問題がございます。学力以外の、例えば不登校の数ですとか、校内暴力だとか、そういう点では、反映できているという資料等もございます。そういうものも使いながら説明はしているんですけれども、おっしゃられるように、短期的な学級規模と教育効果というものを数字的に示す資料というのがすぐにはあまり直接的には出てきにくいというところがございます。

 そうは言いながらも、今回も、国立教育政策研究所のほうの幾つかの学年進行していく場合のものであるとかいうのがございますので、こういうようなものも使いながら、あるいはまた、それぞれの都道府県でも、財政当局とやるためにつくられている資料等も参考にさせていただいて、また、できるだけ国民の皆さんにも説得できるような、そういうものが展開できればと思っております。

【木村主査】  ほかにご意見ございますか。

【井上委員】  ちょっとよろしいですか。

【木村主査】  どうぞ。

【井上委員】  この教職員定数に絡んで、学級規模をどの程度にすれば一番教育効果があるかというのは、今まで諸外国でもいろいろな実施をして、その教育効果とか、そういう実態の報告というのはあると思うのですが、私の経験でも、最適の学級規模が何人かというのは、これは出てこないのですよね。そうすると、財政当局は、量的に少なくすればそれだけ教育効果があるのかと。それはどういうふうに具体的に効果があるか、数量的、量的に説明しろということになると、この量的説明は不可能なのですね。担当教員がそれぞれ確かに40人学級より35人学級のほうが学習指導の上でも、生活指導の上でも非常に効果があるから、クラスサイズを小さくするほうが、それは教育効果があるという主張はできると思うのですけど、財政当局はおそらく、じゃあ、最適規模は幾らで、何人にすればいいのかという質問を絶えずするのではないかと思うのですね。

 その場合に、昨年の中教審の初中分科会の提言で、とりあえずは小中が30人、あるいはそのほか小学校3年から中学校3年までは35人というのが、現在の中教審の提言の内容だと思うので、それをやはり主張する以外ないと思うのですね。だから、それ以下にするのかと言われても、ちょっと今の国の財政状況からいってできるはずがないという感じがしますので、とりあえずはそこまですれば、かなり小学校にしても、中学校にしても、先生方が児童生徒に向き合う時間もできるし、いろんな意味できめ細かい指導ができるということを主張せざるを得ないのではないかというのが感じで、これもあくまでも感じで、それが実証できるか、エビデンスがあるのかと言われるとあまりないのですけど、そういうふうに思います。

【木村主査】  小川委員、何か一言。

【小川副主査】  井上先生の言っているとおりで……。

【木村主査】  私も全く同感です。これについてはやはりいいプラクティス。グッドプラクティスを集めるよりしようがないと思います。必ずアンチデータが出てくるんですね。ここの国じゃ、こうだ。この県じゃ、こうだよ。財政当局はそれをどう説明するのかと必ず言ってくる。さきほど局長からご発言があった、学力ということだけじゃなくて、その他、不登校問題だとか、暴力事件とか、そういうものを全部ひっくるめてできるだけたくさん、我々が今、主張しているようなことをサポートしてくれるデータを集める以外にないと思います。しかし、その逆のデータも必ずあるの困ってしまう。

 一時英国では、どんどんクラスサイズが小さくなっていった時期があります。随分いろいろ反対の声が出ました。個々の子どもに対するケアは行き届くようになったが、クラスルームティーチングが崩壊したというような批判がかなりありました。ちょうど私、そのころ、英国にいたのでよく覚えているのですが、スモールクラスになってそんなにうまくいってないかといったら、やっぱりうまくいっている。

 なかなかつらいところですが、とにかくまめに評価をし、観察をして、確かにこういう効果があるよということを少しでも多く拾い出すということでしょうね。それしかないのではないかなと思います。

 ほかに何かご意見ございますか。どうぞ、貞広先生。

【貞広委員】  今のご意見にさらにつけ足すことになりまして恐縮ですが、私、日常的にはエビデンスに依拠した研究をしていますが、学級規模の効果は、多様な要因が関連しているため、直接的効果を検証するデータを得ることが非常に難しい問題であると思います。京都市さんからのご報告の中で、学級規模縮小についてはその効果の有無を議論するのではなくて、学級規模縮小がそもそも必要であるという前提で考えてくださいというご提言がありましたが、これはまさに非常に重い言葉であったと思います。数値にこだわって構造化していくことに逆にリスクを強く感じます。むしろ、もろもろの不明、不確実なものというのがあるという前提で、状況証拠的なデータといわれようとも、こんなことも、こんな報告も、こんな経験知もありますというふうにして、地道に示していくことで、国民を味方につけるような方法のほうが長期的には近道のように思います。

以上です。

【木村主査】  全く同感です。どうぞ。

【小川副主査】  今の問題に関して言えば、全く少人数学級の効果がなかなか説明できないということではなくて、少なくとも日本のように、生活指導と教科指導を一緒に学級で行うという、そういう仕組みの中でやってくる中で、地方自治体のいろんなデータを見ますと、少なくとも生活指導面では明らかに少人数学級の教育効果は見られる、不登校が減っているとか、いろんな校内暴力事案が減っているとかという。その辺のところは、うまく因果関係をまだ説明し切れませんけれども、相関関係はあるということは生活指導面のところでは、言えるのかなと思っています。それはきちっと主張していっていいのではないかなと思います。

 問題は、学力に対する影響というのは、これは学力向上にかかわる要因というかな、変数というのが非常に多いため、その多い変数をコントロールしながら、学級規模一つだけでそれを説明し切るというのは、それはもうほとんど難しいと思うんですよね。ですから、それは、実証的な検証、分析は今後も継続してやるとしても、少なくともそういう複雑な要因というか、変数の絡みの合いの中で学力というのは変動するんだというふうなことを押さえた上で、先ずは、学力面に及ぼす多くの変数の中で重要な変数の一つとして教員の授業や学習指導の創意工夫であるとして、少人数学級化にすることによりそうした教員によるいろんな授業や学習指導等の創意工夫や教育活動の取り組みがやりやすくなったということを実証する作業をすることが大切かと思います。少人数学級化により、子どもの状況に応じてさまざまな教育指導、学習指導がしやすくなったという、そういう少人数学級によって教師が取り組めるいろいろ教育活動の選択肢というかな、可能性が広がっているのは事実なんですよね。学力向上と少人数学級を媒介する変数の一つとしてそうした教員の授業、学習指導の創意工夫が少人数学級で広がるということを実証していくことで、「間接的」に因果関係を説明していくという工夫も必要ではないかと思います。そういうところを教員の実感調査、意識調査等でも明らかにしていけば、少人数学級が教員のそういう多様な創意工夫の授業づくりの可能性を広げたというふうなところを説明できれば、間接的に学力向上にそれはプラスに作用する要因としては説明できるんで、今の段階ではそういう説明の仕方がベターなのかなというのは感じます。

 ですから、都道府県がやっている教員に対する実感調査というのは、決して軽視すべきではなくて、そういうふうな趣旨の文脈の中で活用できるのかなと思っていますので、その辺のところは白旗を簡単に揚げてなくてもいいのかなと思っていますけれども。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ほかに、どうぞ、中川委員。

【中川委員】  私は、きょう、ご発表いただいた久保田委員さんのもう発言の中に、今の問題、凝縮されるような気がします。特に学級経営の視点から最初おっしゃいました、この学校現場の問題ですね。人間関係の未熟さとか、あるいは発達障害が多くなってきている現状、それから、家庭が非常に難しくなってきている現状を、こういうのからも加えても、今のままでは対応できないのじゃないか。これはもう大きな学校現場からの声だと思います。こういうことでしていけばいいし、それから、学力のファクターというのはほんとうにもうたくさんありますのでね。確かに学級規模だけでは、断言できないんだけれども、特に我々は、不登校の問題と絡めてよく言うんですけども、不登校の子たちの多くは、勉強がわかって、あっ、勉強がおもしろいぞということになったら、学校にき出す。こういう実態をよーく我々はつかんでおります。だから、勉強をわからせるためにはどうすればいいのか。もうまさに今のクラスサイズでは難しいというような、その現場の声を大事にしたい。次回、小学校のほうからもまたあるということですので、非常に楽しみにしておりますので、現場の声を大事にしたいと思います。

 以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。ほかに、どうぞ、藤崎委員。

【藤崎委員】  先ほど小川委員がおっしゃった教師が教育活動をどんどんできるようにといった意見に、私も意見を述べさせていただきたいんですが、ちょうど三鷹市からコミュニティ・スクール型の小中一貫の説明もありました。藤沢市でも、学校が地域の人々の力をおかりできると、子どもが体験できる機会が広がるので、現在、学校スクールコーディネーターというのは市民の中から任命してやっておりますが、なかなかこれがうまく進まない。実際薄謝で、ボランティアなんですが、そういったときに三鷹市の例からいきますと、学校の先生がちゃんとコーディネーターとして存在して、それで地域の人たちの力をおかりして、学校で先生と地域の人が協力し合って教育活動の幅を広げていっています。今は学校だけでは解決できない問題があまりにも多いので、その地域力を生かすとすると、コーディネートする人、また、そのコーディネートする人は市民では難しいというのは、藤沢市の実践でも今、実証できるんではないかなとふと思いまして、ぜひそういったことに先生が使える時間、そして、地域の人たちと一緒につくり上げていくような、そういった教師の幅をつくるためには、やはり少人数、その先に少人数学級の実現というものがあるのではないかなと思いました。

 以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。ほかにございませんか。どうぞ、久保田委員。

【久保田委員】  今までの調査研究の中で、なぜ実証されないかというのは、一つの学級を小さくしたときに、もとのものと比べてどうかという研究がなかなかできない実態があると。とにかく調査は、すべてA校・B校と比べるとか、違う年で比べるとか、そういう調査なんですね。この間出されたあの国研の調査は、唯一たまたまそういう状況になったものだから、同じ学級で小さくしたときに比較できると、こういうのはそうはないと思うんだけれども、こういう調査というのはすごく大事な調査になってくると思うんですね。したがって、今後、そういう状況があちこちで出てくると思うので、そういう調査も大切にしたいと思っております。これもまた感覚的な問題ですけれども、ある学年をあえて小さい学級に分けて、次の年やったら、かなり生活面で落ちつきが出てきたということを何度も経験しております。したがって、学年によって、年によって生徒の状況というのは大きく変わりますので、学校によっても大きく変わっていますので、それを比べるというのはなかなか難しい。だから、同じ集団を比べていくような調査でないと、なかなか科学的な話というのはできにくいんじゃないかなと思っております。

【木村主査】  ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。どうぞ。

【藤崎委員】  すいません。ちょっと前後して申しわけないんですが、先ほど中川委員がおっしゃった不登校の子どもが勉強できるようになると学校に戻りやすくなるというお話に、意見を言わせていただきたいと思います。子どもが、例えば教室に入って頑張ってみようかなと思ったときに、ぱっと先生が動いて、その子を迎えに行ったり、あるいはちょっと別室に連れていって落ちつかせて、練習をさせて教室に戻させたりという、そのタイミングをうまくつかめば、子どもの人生が変わるほど、学校復帰、教室復帰ですね、そういったものにつながる場合があります。ですから、学力だけでなく、そういった教師が判断して動けるような教育の実現には、やはり教員の数を増やしていくことが欠かせないのではないかと思いまして、意見を述べさせていただきたいと思いました。

【木村主査】  ありがとうございました。ほかに何かございませんでしょうか。

 私は、いろんな面から判断してどうしても先生方の数、増やさなければいけないと思っています。少し前になりますが、東洋大学の学長されていた神田先生がおまとめになった、科学研究費の報告書で、「女性校長の実態」というレポートがあります。それを拝見して、非常に驚いたのは、皆様ものすごく働いていらっしゃることです。当時は土曜日は休みではなかったと思いますが、土日まで含めて平均の睡眠時間が6時間ぐらいしかない。殊に大都会の学校の校長先生は通勤に時間かかりますから、もっと睡眠時間が少ない。それで、子育てをされて、立派に学校経営もされているというデータを拝見して、これは幾ら何でも、働き過ぎ、働かせ過ぎだと思いました。ご自分たちは使命感があって働いておられので、働かせ過ぎというのはないんでしょうけど。働き過ぎは働き過ぎだと思います。そういう余裕のない生活を立派にやっておられるのですが、これではほんとうに良い教育というのは生まれてこないのではないのでしょうか。

 フィンランドの話ですが、フィンランドでは、先生のステータスが非常に高いのですが、先生に限らず、すべての働いている人の勤労時間は8時から16時までになっていて、ノキアのような大会社でも残業はゼロ、ほとんどないそうです。16時になったら皆一斉に帰宅する。先生方も同じです。だからこそ、フィンランドの社会慣習になっている読み聞かせ、家族との交わり、それが充分出来る。そういうことからいってもね、社会全体で考えたときに、忙し過ぎるというのは、大問題だと思います。そういう視点も、主張していいのではないでしょうか。

 フィンランドでは、私、随分学校をあっちこっちの学校を訪問しましたが、休み時間に先生方、戻ってこられますね。その場合と、自分の部屋、準備室というんですけれども、そこには帰らないで、コモンルームにみんな集まってくるのです。そこでは、仕事の話は一切だめということになっています。それが伝統的なルールになっているようです。そこで、わずか20分か、25分ですが、コーラスをやったり、だれかがつくってきたビスケットを食べたり、そういう、何というんでしょうか、非常にゆとりのある生活をしておられる。しかも、勤務時間が8時から16時でしょう。日本の先生方とは全然違う。これじゃあ、太刀打ちできないなという気がしましたね。

 あまりにも日本の先生方、忙しいという状況になっていますから、井上委員、しょっちゅうそのことをおっしゃっているんですが、どうしても教員の数を増やしていかないと思います。何といっても子どもに与える影響が大事ですから。

 ほかに何か。ほかの視点でも結構です。

【小川副主査】  これも先ほど井上委員がおっしゃったことを繰り返すんですけれども、学校現場からは、少人数学級も、加配もと、いろいろ要求が出てくるのは、当然だと思いますけれども、それを今の財政状況とか、予算編成方針の中で、この検討会議として何を優先順位として現実的にどこまで提案できるのかというのは、やはり先ほどの来年度予算の編成方針、まだ非常に不明確な中で、どういう議論の仕方をこの検討会議でやればいいのかというのは、非常になかなか難しい。確かに復興財源を捻出するという中で財政事情が非常に厳しいため、おそらくあれもこれもという多様な要望をやるというふうなことは難しいと考えた場合、最大限、最優先すべきものは、井上委員がおっしゃったように、小学校1年の35人学級に続いて、次の小学校2年生の35人、これは絶対要求としてすれば、最優先でするというのは当然だと思います。小学校2年生の35人学級化を実現できないと小学校1年生の35人学級の効果を相殺することにもなりかねないと考えます。ただ、今の財政事情を考慮した場合、それ以上の要望と優先順位をどういう論理で行っていくのか、その辺のところの意見交換が必要なのかなと思っています。

【井上委員】  ちょっとよろしいですか。

【木村主査】  どうぞ。

【井上委員】  ただいまの小川副主査のおっしゃっておられる問題は、第1回のとき、ちょっと私が発言したんですが、当面はやはり東日本大震災による被災地の学校に対する特別な配慮というのがどうしても必要で、改正法の附則で教職員の加配措置というのは、これは当然被災地学校の置かれた今の状況を見ると、必要不可欠だと思うし、また、スクールカウンセラーも、先ほどあまり効果がないんじゃないかというご意見もありましたけど、これは、阪神・淡路のとき、かなりスクールカウンセラーが子どもたちの相談に応じて効果を上げたという実績も出てきておりますので、そういう点についてはどうしても配慮をお願いせざるを得ないと思っているわけでございます。

 財政事情がどこまで許容されるかというのは、非常に不透明でわからないのですが、そのほか、今、せっかく配置適正化会議で検討しているようなことで、当面緊急に整備を必要とするような教職員の定数の改善事項について、さらに詰めた議論をして、それを提言していくということもまた必要じゃないかと、このように思っています。

【木村主査】  はい、ありがとうございました。その辺も私、非常に気にはしています。まだ事務局と打ち合わせるところまでいっていませんが、事務局と雑談している中でも、事務局も同じように非常に困っております。概算要求の方針が決まらないと、きちんとした要求はできないので、それがある程度見えた時点で、今のようなことを議論していくのかなという気がしております。一体それがいつごろになるかというのが、また、これがわかりませんで非常に困っているのですが、9月の声を聞くころには少しはどうなるかが分かるのかなとも思っています。その時点で今の議論をもっと詰めていくことになると思います。

 宮﨑委員、何かありますか。

【宮﨑委員】  今、小川先生、それから、井上先生のお話の方向なんだろうなと思いながら、お話を伺っていたんですが、私、このまとめでいただいた、指摘事項の5ページの3の3つ目の丸のところ、これ、兵庫県教育委員会、小野市の教育委員会等からお話があったこととちょっと関連をするんですが、少人数学級制を進めていくということの重要性はもうそのとおりだろうと思っているんですが、特別支援教育の観点からすると、特別な配慮を要する子どもというのは、散らばって学級にいるわけではなくて、非常に多く集中する場合もあったりするわけです。そうしたときに、やっぱり一人の担任の先生でなかなか対応し切れないところが多いので、そういった場合の配慮として複数担任制を、例えば高学年であっても導入をしていくとかいうような、そういった何か対応策というか、そのあたりをぜひやっぱり考慮していく必要があるんじゃないかと。

 これまでのヒアリングを聞いていて、特別支援教育にかかわる要望というのはかなり多いということも、実態としてお話を伺ったんですが、今、全国コーディネーター研究会、あるいは全国の情緒障害教育研究会の方に通級指導がどのぐらい要望があるかということの実態を調べてもらっているんですが、やっぱりニーズがかなり高くて、できることならば、通級指導を進めていきたいという要望が高いんですね。そういうことなどを考えると、今、結果的に通級指導に通えなくて通常の学級にいるケースというか、そういったことも多いので、このあたりは少し弾力的な学級運営ができていくような仕組みを同時に、少人数学級とあわせて検討しておいていただくとありがたいなと思っております。

 で、先ほど、もう一つ、私のほうから申し上げたいことは、学校の外部人材の活用の問題なんですけど、これは、学校間格差もあるとは思いますが、学校の教員だけですべてができるという状況にはこのごろなかなかなっていないのではないかと思われます。特に、特別支援学校に寄せられるいろんなご意見とか、相談事を伺っておりますと、医療的な問題や、あるいは子どもたちの心的な問題なども含めて対応していく仕組みを、これは、各自治体の教育委員会の中にきちんとした組織整備をして、学校支援の体制をつくっていくような必要性があるのではないかと思われるケースが大変多くなっているような気がします。その点でも、学校の教員の支援の仕組みを別途つくるというか、特別支援教育の推進状況によりまして、各教育委員会の一段の学校支援体制の整備をお願いできたらいいなと思いました。

 これは、後の部分は、直接今回のものとは少しずれていると思いますが、以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。兵馬委員、何かありませんか。

【兵馬委員】  いろいろ聞いていて、そのとおりだなと思うことばっかりなんですね。それで、先ほども教師の多忙感という話が出て、自分の学校も考えると、確かに8時間の勤務時間があっても、特別支援学校の場合は、子どもが登校するのが大体9時ぐらい、それから、帰る3時半まではずうっと一緒にいなきゃいけない。目を離すことはできない。で、終わってから、3時半から45分間の休憩をとる。昼に休憩をとるわけではないんですね。その後ろにとる。で、45分とると、もう4時少し回る。で、そこから何をするかとなると、要は、翌日の授業の準備である、それから、教員間の連携である、それから、若手の教員がいますから研修をする。場合によっては、保護者との連絡をする、地域との連絡をする。一体この45分間の中でどうなんだろう。

 私も、小学校の場面にもいたことがあるんですけれども、こういう言い方をすると語弊があるのかもしれませんが、一般の小中高等学校であれば、学習指導要領という学習内容が決まっていて、教科書があって、教科書の指導用、先生方のためのテキストもある。ワークブックもある。プリント教材もある。ですから、一生懸命授業を組み立てる中でも、ある程度そういう補助教材的なものがそろっていて、それで授業を進める。そうはいっても、自分も小学校にいたときに、やはり先生方、遅くまで残っていて、8時、9時までいる。それから、先ほど女性校長先生の話が出ましたけど、土日もやはり職員は出てきています。ゆっくりと平日の中では処理し切れない仕事がどうしても残る。それから、最近は個人情報の取り扱い、それから、パソコンの操作、こういったものにも気を使わなきゃいけない。となると、なかなか持ち出して仕事をすることはできない。となると、やはり限られた職場の中でやる。でも、職場の中というのは、今、言いましたように、子どもに接している時間がほとんどですから、それ以外の時間は一体どこで捻出するのかとなると、ある部分はその頭数を増やさないと、仕事は減らないわけですから、それを分担するということが一つ考えられるのかなと思っています。

 先ほどからいろいろと教員の数を増やす、それから、また、学級の子どもの数を減らしていくということは、量的な部分かと思うんですけれども、もう一方は、最近の先生方に求められる要素というんですかね、これは非常に多岐にわたっている。なおかつ教員を希望する人は非常に少ない。私も実際、今、これから夏、教員採用の面接を行うんですが、ひどい言い方ですけれども、倍率が低ければ、需要・供給からすれば、それほど質の高い先生が求められない。12人いて、上から7人採りましょうとなると、当然上からの順番ですので、なかなかその実力を伴ってない方がいる。結果的には自分の学校にそういう人が来る。7番目の人が来るとなると、非常に指導力不足、力のない先生がいると。これは当然保護者から指摘を受けて、また、そこで中で教育をするという部分もありますから、一つ量の部分がここでも話題になりますけれども、やはり教員の質の部分、それから、先ほどもその外部人材、これはある程度質を補完していくいろんな人材が必要なんだろうということもあるんですけれども、検討会議の中の方向性としてはね、学級をどうしましょうかということがメーンですので、ちょっと今の私の発言自身はね、日ごろ思っていたことということでの参考意見にお聞きいただければありがたいなと思っています。

【木村主査】  ありがとうございました。確かに教員の質というのは大問題ですね。今、兵馬先生おっしゃったように、世の中、非常に複雑になってきており、いろんな考えの人がおり、親、子ともに要求がさまざまになってきています。これは大学でも同じです。ですから、そういう多岐にわたっている要求にどう答えていくかということを考えなきゃいけなくなっている。それには相当の高い能力が要求されるということになります。日本人は、研修という言葉が好きで、研修をきちんとやりさえすればいいような、雰囲気があるのですが、私は、今の世の中なかなかそれではうまくいかないと思っています。要は能力のある人をどうやってリクルートしてくるかということを考えなければいけないとかねがね思っています。これはどの分野についても当てはまるのではないでしょうか。

 ほかに何かご意見ございますか。どうぞ、中川委員。

【中川委員】  来年度以降のことですけれども、おそらく伯井課長さんのところでは、もう既に2年生を35人にしたときのシミュレーション、プラス中学校1年生に拡大したときのシミュレーションというようなのはもうできていると思うんですけども、どれくらいのその負担が増えるのかとかね。それから、もう一つ、その中に加えてほしいのが、指導法工夫改善から今年1,700名ですか、転用があったんですけれども、これは非常にその評判がよろしくないです。たまたまきょう、この下で町村教育長会長さんにお会いしたんですけれども、直接頼まれました。もう我々は、町村の学校は、35人にしてもらったって恩恵はないんだと。恩恵のあるところはほんとう少ないんだと。逆にそういう指導法の工夫改善をはがれたということのほうが大きいと。これはぜひやめてくださいというようなことをぜひ言ってくれいうことを、先ほど頼まれましたので、伝えますけども。ほんとうに現場では、その辺のシミュレーションをして、そのシミュレーションで出した数字が実現可能なのかどうなのかというようなことを早くお示ししてほしいなというような気がしますけども、以上です。

【木村主査】  どうされますか。何かおっしゃいますか。

【伯井課長】  いや、この会議での議論を踏まえながら検討していきたいと思います。

【木村主査】  この点については、良くわかっているんですよね。わかっているんですが、背に腹はかえられないというところがありまして、いろいろ苦労されているようです。よろしゅうございますか。

 きょうは、小澤先生からもヒアリングいただく予定で時間をとってありましたが、小澤先生、ご欠席ということで、15分か20分時間が浮いてしまいました、もしこれ以上ご意見がなければ、少し早目に終わってもいいと事務局から聞いていますので、よろしゅうございましょうか。

 それでは、谷合さん、次回以降の予定につきまして、よろしくお願いいたします。

【谷合企画官】  それでは、次回以降の予定でございますが、資料2をごらんいただけますでしょうか。資料2が次回の日程でございます。次回第6回につきましては、少し時間があくのですが、8月19日月曜日の13時から15時を予定しております。この次回会合では、本日ご議論いただいた点を踏まえ、さらに議論を深めていただきたいと考えております。また、先ほど主査からございましたように、小学校の実情について小澤委員からお話を伺いたいと思っております。さらに、全国都道府県教育長協議会のほうでも、独自にアンケートを行っているということを聞いておりますので、そちらについても取り扱うことを検討したいと思っております。

 それから、すいません。最後に、1点だけ。冒頭主査からお尋ねがありましたこの資料5のグラフの件なんですが、資料5をもう一度お開きいただけますでしょうか。資料5の3ページのこの折れ線グラフでございますが、一番右側のこのドットが家計年収が1,500万円以上、右から2つ目が1,200万円以上、右から3つ目が1,000万円以上、で、以下1個ずつ100万刻みでおりていって、一番左下が200万円未満ということになります。 以上でございます。

【木村主査】  よろしゅうございましょうか。私、エンジニアなので数字が非常に気になります。こういう数字が違っていると物議を醸すことがあるので、きちんとしておいたほうがいいと思って伺ったのですが、このデータはすごいですね。今まで保護者の収入と成績等の関係については、あまりオープンにならなかったのですが、最近、ぼつぼつその辺を研究する研究者が出てきて、オープンに発表するようになりましたね。

 それでは、本日はどうもありがとうございました。次回、よろしくお願いいたします。

── 了 ──

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