平成23年9月29日
文部科学省初等中等教育局児童生徒課
キャリア教育における外部人材活用等に関する調査研究協力者会議の最終取りまとめを作成していくにあたり、本会議の後半の議論の叩き台を作成するために、学校(小・中・高等学校)、教育委員会、地域・社会/産業界の方々で、本会議の委員の方も含めて、現場での実践経験を積まれている方(協力者については別紙ご参照)にお集まりいただき、ヒアリングを実施した。
学校教育の場において、学校外部の教育資源を活用したキャリア教育を推進していく際に生じる壁や困難と、それらを乗り越えるための解決策、ヒントなどを、学校(小・中・高等学校)、教育委員会、地域・社会/産業界の協力者の方に、それぞれの視点でお話しいただいた。
本資料は、実践経験者からのヒアリングで、協力者からのご発言についてまとめたものである。
なお、本日の会議を踏まえ、10月上旬に再度の実践経験者からのヒアリングを予定している。
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課題 |
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解決方法 |
1. |
学校におけるキャリア教育を協働で行う際の役割分担 |
・学校においてキャリア教育を推進していくに当たり、学校と地域社会や産業界とがどのような役割分担をするべきなのか。 |
・「役割」分担を明確に行う必要がある。 |
2. |
学校と学校外部の教育資源とを結ぶコーディネーターの必要性について |
・学校と産業界等が協働してキャリア教育を行う必要があるが、それぞれの業界における文化は全く異なり、それぞれの常識が互いの常識とはならないケースなども多く見受けられ、そのことが理由で調整が難しいこともしばしばある。 |
・キャリア教育の実施主体は学校であり、学校の教員がコーディネーターの役割を担うことが原則である。 |
3. |
キャリア教育コーディネーターやキャリア・コンサルタントが学校と学校外部の教育資源を繋ぐコーディネーター的な役割を担うことについて |
・キャリア教育コーディネーターやキャリア・コンサルタントが学校と学校外部の教育資源を繋ぐコーディネーター的な役割を担うことは出来ないだろうか。 |
・キャリア教育コーディネーターやキャリア・コンサルタントで、民間企業の経験もあり、また学校現場についても精通している者などの活用は考えられる。 |
4. |
学校支援地域本部が学校と学校外部の教育資源を繋ぐコーディネーター的な役割を担うことについて |
・学校支援地域本部が学校と学校外部の教育資源を繋ぐコーディネーター的な役割を担うことは出来ないだろうか。 |
・地域によって活用の方法は異なっており、必ずしもキャリア教育のコーディネーターとしての役割は担っていないが、例えば仙台市教育委員会や大田区の学校においては、学校支援地域本部を活用して、職場体験活動の職場開拓や講師派遣の調整を行ってもらっている。 |
5. |
学校におけるキャリア教育に参加、協力してくれる機会や人材の確保 |
・職場体験先やインターンシップ体験先、職業人講話などを担うことができる人材をいかに確保するか。(学校によっては、職場体験活動先を確保するために、相当な時間を費やしているところもある。) |
・教員自身が常にアンテナを高く持って、外部人材として招聘することが出来そうな人材を見付けておくか。(教員自身の大学時代の友人等もその候補となり得る。) |
6. |
外部人材を活用したキャリア教育の質の確保 |
・学校側と外部人材との間でプログラムの質に関する十分な議論が出来ていない。 |
・外部人材が効果的に授業を実施するためには、事前に教員と外部人材の間で授業の目的を共有した上で、それぞれの「役割」を明確にし、終了後は必ず「検証」を行う。 |
7. |
キャリア教育を公立学校において取り組む際の基盤となる地域について |
・小・中学校においては、職場体験活動等を行う際、当該学校区に企業等が少ないケースもあり、職場体験活動の体験先の確保に困難を感じている学校も多い。 |
・小・中学校において外部人材を活用したキャリア教育を行っていく際は、原則的には、学校区をベースとして、地域や家庭からの協力を得て、学校が主体となって、基盤をつくっていく必要がある。 |
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課題 |
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解決方法 |
1. |
キャリア教育に対する教員の意識のより一層の醸成 |
・キャリア教育の重要性が全教員に理解されてないため、組織としてキャリア教育に取り組めていない。(担当者任せとなってしまっている。) |
・都道府県・市区町村教育委員会や、各学校において地道に研修を行うなど、徹底してキャリア教育についての研修の機会を提供する。 |
2. |
キャリア教育に対する認識が共有されていない |
・校長・教頭等の管理職と現場職員との意識にずれがあるケースがある。 |
・年初などに学校の教職員全員が集まり、キャリア教育に取り組む意味、目標、キャリア教育の活動を通してどのような力を身に付けさせたいのかなどについて、十分な議論を行い、学校として共通認識を持つ必要がある。 |
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課題 |
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解決方法 |
1. |
地域におけるリーダーの不在 |
・キャリア教育を推進していくに当たり、地域の中核となる人材(各都道府県や市区町村教育委員会の指導主事など)が育っていない。 |
・教育委員会でキャリア教育を担当する指導主事について、ノウハウを蓄積させ継続的に取り組む必要があることから、業務分担の変更を頻繁には行わないよう配慮する。 |
2. |
学校組織におけるリーダーの不在 |
・学校長のキャリア教育に対する理解の不足から、キャリア教育をやろうと考える教員がいたとしても、組織的に取り組むことが出来ないなどの問題が発生している。 |
・都道府県・市区町村教育委員会が校長会に出向いていくなど、周知に向けた地道な活動を行う。 |
3. |
キャリア教育を行うことが各教育委員会や学校の方針や計画に明文化されていない |
・教育委員会や学校の全体計画や、年間指導計画の中にキャリア教育の文言が記載されておらず、教育委員会や学校全体でキャリア教育を推進していくことが明確となっていない。 |
・都道府県・市区町村教育委員会の方針や計画においてキャリア教育に明確な位置づけを与えることが、まず重要である。 |
4. |
キャリア教育を推進する責任者・担当者がいない、窓口がない |
・学校にキャリア教育を責任を持って推進する立場の教員がいない。 |
・前提として、学校に外部人材と連携・協働しようという「意識と姿勢」が必要。(外部人材の受け入れは普通のことだという学校現場における雰囲気の醸成。) |
5. |
継続性の担保 |
・キャリア教育の取組が単年度で終わってしまうケースがある。体系的・系統的に、継続して取り組む必要がある。 |
・PDCAに基づいたキャリア教育推進体制の確立が不可欠。 |
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課題 |
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解決方法 |
1. |
地域・社会や産業界が一体となってキャリア教育を推進していく機運の醸成 |
・学校のみならず、地域・社会や産業界が一体となって次世代を担う人材を育成していくことが重要であるという意識を醸成する必要がある。 |
・地域にある様々な教育資源を効果的に活用しキャリア教育を推進していくために、幅広い関係者・関係団体に協力を仰ぎ、それらの者が一堂に会し連携・協働する仕組み(コンソーシアムや協議会等)が必要。 |
2. |
地域・社会がキャリア教育に参加することの意義 |
・地域・社会にとって、学校におけるキャリア教育に参画することの意義が明確でない。 |
・現代の子ども・若者については、職業人としての基本的な能力の低下、職業意識・職業観の未熟さなどが多く指摘されている。次世代の日本の地域社会を担う若者を育てることは、地域社会にとって極めて重要なことである。 |
3. |
企業等がキャリア教育に参加することの意義 |
・企業等にとって学校におけるキャリア教育に参加するメリットが明確でない。 |
・現代の子ども・若者については、職業人としての基本的な能力の低下、職業意識・職業観の未熟さなどが多く指摘されている。 |
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課題 |
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解決方法 |
1. |
一つの企業や団体が受け入れることの出来る学校数について |
・キャリア教育を受け入れる企業数がまだまだ少ないために、質の良いキャリア教育プログラムを展開する企業には、様々な学校からオファーがあるが、そのプログラムを行うことが本業でないため、受け入れることの出来る数は限られている。 |
・福井商工会議所青年部の実践例では、PTAとの協働を行っている。 |
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課題 |
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解決方法 |
1. |
「キャリア教育」という言葉の分かりにくさ、言葉の意味の多様性 |
・「キャリア教育」という言葉の意味について、各人ごとに思っていることが違うなどということがある。 |
・学校や地域の実態に応じ、当該学校や地域に相応しいキャリア教育とはどのようなものなのか、その活動を通してどのような能力を身に付けさせたいのか、まずは関係者間でしっかりと議論をし、分かりやすい言葉で明文化することが重要。 |
2. |
教育的効果についての検証 |
・キャリア教育を行うこと、職場体験活動やインターンシップ活動を行うことによって、どのような教育的効果があるのかが見えにくい。 |
・都道府県や市区町村、各学校において、こまめにアンケート調査などを行い、学力検査などと比較させて分析をすることが考えられる。 |
○大田区立教育センター就学相談員(元大田区立御園中学校校長) 大塚 洋 氏
○荒川区立諏訪台中学校校長 清水 隆彦 氏
○大阪府立布施北高等学校教頭 中嶋 義博 氏
○川崎市立田島小学校総括教諭 藤田 智恵子 氏
○福岡県立早良高等学校教頭 和田 美千代 氏
○湯沢町立神立小学校校長(元上越市教育委員会学校教育課指導主事) 鬼木 英幸 氏
○大分県立大分上野丘高等学校校長(元大分県教育庁教育次長) 南 雅量 氏
○北海道教育庁学校教育局高等教育課指導主事 宮岡 勝郎 氏
○文部科学省生涯学習政策局社会教育課連携支援係係長(元仙台市教育委員会学校教育部確かな学力育成室指導主事) 長田 徹 氏
○清川メッキ工業株式会社専務取締役 清川 卓二 氏
○大阪商工会議所人材開発部人材育成担当課長 廣田 雅美 氏
○東京商工会議所中小企業部副部長 森 まり子 氏
初等中等教育局児童生徒課