資料2 中間取りまとめに向けた議論について

今までのご発言と座長提案を論点別に整理したもの

1.  なぜ「キャリア教育」が必要なのか。(本会議が発信していくメッセージ)

  • 「キャリア教育」を通して、どのようなメッセージを今投げているのか、これまで投げてきたのか、これから投げていかなければならないのか、ということを考えなければならない。
  • もっと直接的なメッセージを大人社会が子どもたちに発しなければならない。
    • 世の中で君の能力を発揮して欲しい。
    • 勉強が得意な人もいるが、不得手な人もいる。それぞれが自分にあった職業を選び、社会のためにやっていく必要がある、というメッセージが必要。
    • 将来、日本や国際社会を担うような子どもたちに対しては、一生懸命勉強することや、活躍する場所を指し示す。一方で、そうではない子どもたちに対しては、「君が持っている個性はこんなところで発揮できる」と導き、「社会で君の持っている個性を発揮するためには、最低限ここまで勉強するべきだ」と示す。それぞれ持っている能力、個性はあって、それは社会の様々なところで役立ち得る、そのことを一人ひとりの子どもたちに理解して貰えるような「キャリア教育」であるべき。
    • 「キャリア教育」というのは、学びと仕事、そして生きることを結びつける教育である。子どもたちは、自己有用感を持ち、社会の中で生きていることを考えて欲しい。社会の役に立つために自分に何ができるか、今学んでいることがそれにどうつながっていくのかについて考えて欲しいというメッセージ。
  • 「キャリア教育」とは、全ての教育活動を通して、社会人、職業人、地域人を育成することだと理解している。
  • 国際的な競争環境は非常に厳しい。この競争社会の中で子どもたちは生きていかなければならない。それに対応するために、学校教育も変わらなければならない。
  • 教育活動の中から学ぶこと、働くこと、そして生きることに力を見いだしていくというのが「キャリア教育」の本筋と考える。
  • 「キャリア教育」は、中学、高校、特に高校の進学校で、地元の企業を知る、地元の技術力を知る、地域の産業が世界でどういう役割を果たしているかを知ることが非常に重要になってくる。
  • 各学校、地域が「キャリア教育」を推進するに当たり、必ずしも「キャリア教育」という名称にこだわる必要はないのではないか。(座長提案)
  • 今後、産業界、経済界を巻き込もうとすると、「キャリア」という言葉の定義について、全関係省庁が誤解なく理解し、地方や現場におろす必要がある。

2.  どうすれば学校で「キャリア教育」をするようになるのか。

  • 文部科学省は、職場体験や「キャリア教育」、企業の出前授業をどの科目でやれと言っているのか。今、それぞれの授業時間は決められていて、学校ができる範囲は極めて限られている。その中で、こういう中身で、総合的な学習の時間を使って、1年に3回でもいいからやりましょうなどの指導がなされているとは思えない。文部科学省からそういう指導がなされれば、学校現場はそのとおり実施すると思う。しかし、そういう指導は一切なされていない。
  • 職場体験活動やインターンシップ活動は、総合的な学習の時間で実施されているケースが多く見られ(全国の中学校で85.2%、全国の高等学校で24.2%)、また特別活動を使って実施されるケースも一部見られる(全国の中学校で7.9%)。高等学校では、夏休みなどの長期休暇期間中に自由参加で行われているケースも多く、学校の教育課程の中に位置付けていないケースが多いというのが特徴的。
  • 高等学校における「キャリア教育」の推進を図るためには、(高等学校)総合学科で実施されている「産業社会と人間」を参考に、中核となる教科・科目のカリキュラムの開発を進めるべきではないか。その際には、外部の組織や人材との協働と連携に十分留意することを盛り込むべきではないか。(座長提案)
  • 今、日本の労働市場はどうなっているのか、企業の採用慣行がどうなっているのか、学校から社会に出て行く人が、最低限身に付けておかなくてはならない知識だと思うが、このようなことを教えていかなければならない。

3.  どうすれば学校の「キャリア教育」が動き出すのか。

1.学校や教員について(求められることなど)

  • 各学校が、「キャリア教育」の目標と指導計画を作成することが大切。(座長提案)
  • 学校が主体的に、企業、NPOなど外部の組織や人材との協働と連携を進めることが重要ではないか。(座長提案)
  • 体験的な活動や職業人講話など、学校外部の方々と生徒との接点を、児童生徒の知的発達、情緒的発達、社会性の発達につなげていくのは教師の役割。その様な視点で、「キャリア教育」を見てみる必要がある。そうすれば、学校に足りないものが見えてくる。皆様に知識、知見等を出していただくだけで終わってはならない。
  • 教師を育てなければならないが、どうやって育てるかというところに産業界の協力が必要。教師には時間がないから「キャリア教育」が出来ないので産業界の方々と分業をするというのでは、子どもが混乱するだけ。
  • 学校側の「キャリア教育」に対する理解度には、大きな格差がある。ただ、うまく整理をしていくと、一生懸命やっていたことが実は「キャリア教育」だったということに気付いて、組織が動き出すということがある。
  • 何を子どもたちに教える必要があるのかという議論があり、またそのことを教えるのは誰が一番適当なのかという問題があって、それが学校の先生ではない場合もあると考える。
  • 職場体験活動やインターンシップの実施にあたって、学校は、そのねらいを明確にするとともに、事前・事後の指導の在り方が大切であることを明示するべきではないか。(座長提案)
  • 「キャリア教育」を推進する上で、効果的な校務分掌等、学校における組織・態勢はどのようにあるべきか。(座長提案)
  • 学校が外部の組織や人材との協働と連携を進めるために必要な教育界の窓口設置を進める。(座長提案)

2.地域・社会や産業界について(参画することの意義や、求められる役割など)

  • 職場体験活動やインターンシップについて、企業やNPO法人に期待されることを明らかにするべきではないか。(座長提案)
  • 産業界や社会の協力が必要であるが、外部人材は学校を支援し、子どもを支援し、子どもと学校、子どもと教師、子どもと保護者、子どもと社会との間をつなぐ役割を果たすものでなければならない。
  • 教師を育てなければならないが、どうやって育てるかというところに産業界の協力が必要。教師には時間がないから「キャリア教育」が出来ないので産業界の方々と分業をするというのでは、子どもが混乱するだけ。(再掲)
  • 何を子どもたちに教える必要があるのかという議論があり、またそのことを教えるのは誰が一番適当なのかという問題があって、それが学校の先生ではない場合もあると考える。(再掲)
  • 「キャリア教育」というのは誰がやるのか、誰の責任なのか。学校だけではないと思う。産業界、企業は次の世代の産業、社会を担っていく人材をどのように育成するかについて、当然無関心ではあり得ないし、職場体験活動やインターンシップというのは企業の社会的な責任として、企業の事業活動の中で行っていく。
  • どんなにいいコンセプトがあっても、それを企業側に伝え切れていなかったり、企業側のボランティアレベルで終わってしまったりしている可能性が強い。中小企業は年々厳しい環境になっているので、このような活動に参加することの企業側のメリット等を伝えていかなくてはならない。
  • 職場体験活動の受入を行った企業は(東京商工会議所の調査において)、平成20年度で63%、平成22年度は65%に増えている。増えている理由としては、人材育成の一環として活用する企業が増えてきていること、CSRの一環として教育貢献として協力している企業が増えてきていること、それから企業の後継者育成という観点から中間財などを製造している中小企業が社会的に認知して貰いたい、自分たちの存在を知ってもらいたいということもある。
  • 学校が外部の組織や人材との協働と連携を進めるために必要な産業界の窓口の設置を進める。(座長提案)

3.外部の組織や人材と協働・連携するための態勢の在り方

  • 企業側も積極的に参加できる仕組みが必要である。学校側が主体となりながらも、学校と産業界等が協力して子どもたちに働きかける「協働」という言葉がキーワードとなるのではないか。
  • 関係省庁と団体等が連携してコンソーシアムを設立したり、都道府県等において推進協議会を設置したりすることが望まれるのではないか。(座長提案)
  • 学校と企業を取りもつ橋渡し役が必要であり、それがまさにキャリア教育コーディネーターであり、その有用性を痛感する。しかしながら、学校側に情報が下りていないので、潜在的なマーケットはあるものの、マーケットとして認識されていない現状にある。素材はたくさんあるので、それをうまく整理して、どこに何をやればいいのか、そしてそれを動かすためには誰が動くべきなのか、行政によるトップダウンという方法もあり得るが、行政と民間がうまくリンクして整理できれば、円滑に動き出すのではないか。
  • 全国に幾つか、コーディネーターやコンサルタントが集約されている組織が2、3出来上がってくれば、大きく違ってくる。
  • 子どもたちの学びに対する意欲を高めていくためには、専門的な力を有しているそれぞれの立場の方々が、その才能を生かして子どもたちに出会っていただく場をつくる必要があり、その場を設定するためには大きな架け橋となる組織が必要。
  • 産業界などとも一緒に地域を支援していく学校支援地域本部という組織もある。
  • 仙台市では、市教委で退職校長を雇って、職場体験ディレクターというポストをつくり、市内の職場体験のコーディネート業務などを行っている。
  • 優れたコーディネーターやコンサルタントなどの情報を入手出来るようにするためには、どのような方策をとるべきか。(座長提案)
  • 学校外部の方々が、それぞれに出来ることを、一覧で示していければいいと感じている。
  • こういう人がこのような授業をしてくれるということをメニューとして揃えれば、学校が「これは面白そうだな」と乗ってきてくれる可能性は大きい。
  • NPOや大学と連携・協力して、コーディネーターやコンサルタントなどの人材の育成を図ることが重要ではないか。(座長提案)
  • 専門学校や高専等を、職業を知るための場として活用することはできないか。(座長提案)
  • 企業で活躍してリタイアした人材と教育界とをマッチングすることも大変有益。
  • 本当は、個人でボランティア的に協力したいが、どこに連絡をとれば参加できるのかわからないという方は多い。一般の人たちの「キャリア教育」に参画したいという希望を吸い上げるような仕組みを作れれば面白いと思う。

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