キャリア教育における外部人材活用等に関する調査研究協力者会議(第8回) 議事要旨

1.日時

平成23年11月21日(月曜日)15時30分~17時30分

2.場所

経済産業省別館10階1014会議室

3.出席者

委員

鹿嶋委員,生重委員,岩田委員,江川委員,清川委員,清水委員,下村委員,竹花委員,西山委員,野上委員,廣田委員,星野委員,渡辺委員

文部科学省

山中初等中等教育局長,德久大臣官房審議官,白間児童生徒課長,春山児童生徒課課長補佐,藤田生徒指導調査官,堀江指導調査係長,高校教育改革PT袖山リーダー,山下生涯学習政策企画官,酒井指導調査係専門職

オブザーバー

厚生労働省・浅野室長,伊藤室長補佐

4.議事要旨

(座長の御発言-□ 委員の御発言-○ 事務局(オブザーバー)の発言-●

 

(1)本会議の今後の議事について事務局より説明

資料1,2,3をもとに,調査研究協力者ヒヤリング(2回目:学校・教育委員会・産業界)の実施とキャリア教育における外部人材活用等に関する調査研究協力者会議最終とりまとめ(案)について事務局の春山課長補佐が説明した。

 

(2)最終とりまとめに向けた議論

○では,少し簡単な質問から。質問事項,この修正見え消し版,一読させていただきまして,このあたりからちょっと読んでいて,うんと思ったのが,このキャリア教育における外部人材活用の話をしているのか,それとも,一般的なキャリア教育の推進の話をしているのか。意図的にまぜて書いてあるのか。それとも,つまり,わざとやっているのかなと思われる節もあるのですけれども,我々,議論すべき会議に集まっているのは,キャリア教育における外部人材活用の話をメーンにこの報告書に記載しているんじゃないかなとも思われるんですが。ただ,この冒頭からわりと大きなスペースをとって,行数をとって,キャリア教育全般の話をして,かつ,ここ(4)番に至っては,校内のキャリア教育の体制をどう整えるべきか,それは教育委員会とも連携してということですけれども,これについて,わりと学校の先生方のみがお知りになればいいようなお話が細かくされていると思うんです。これはどういう意図というか,趣旨というか,ことなのかなというのを,もし事前にお考えをお伺いできるのであればお伺いしておきたいなと思います。

●今,おっしゃっていただいたように,この会議は,いろいろ外部との協力を進めるということがこの会議で御議論いただく本質というか,ねらいのところをしているところでございますが,いろいろ御議論いただいたり,また,その実践を経験した方からのヒアリングというものをさせていただいたりするに当たって,やはり連携するということでしょうけども,その連携をするに当たっても,学校にもう少しこういうような取り組みをしてほしいとか,若しくはこういうような体制を整えてほしいというのは,連携を進める上でその一方に対して期待されることというようなことでの御議論が相当程度あったというのは事実でございます。ですので,3ポツというところで,この会議の本論というところで,まとめたいとは思っておりますが,その前提となるところで,学校に対してそうした連携を進める上での前提となる部分,で,その連携を進めるに当たってはこうしたところの意識と申しますか,いろんな改善というものが期待されているんだというところで,その3に至る前提ということで,確かにこういう順番でしてしまうと,一般論が先にきてしまうように見えてしまうんですけれども,その3に至る前提といったようなところでの意識で位置づけて,この会議のこの報告書の中では位置づけているというような理解をさせていただいています。

○あと,この報告書をごらんになる読者として,学校の先生方であったりとか,校長先生だったりとか,教育委員会の皆様というのも想定されていて,なので,校内の体制のつくり方だったり,教育委員会の体制だったりとか,そういうお話もたくさん含まれていると,そういうことになっている。

●そうですね。中間取りまとめにつきましても,これ,学校の方にもお示しもさせていただいておりますし,また,地域,産業界といった方にも周知もさせていただいている。それは両面を見ておりますので,そうしたことでの記述です。

○そういうことですね。はい,了解いたしました。

○今の委員の質問にもう一つ踏まえてなんですけれども,私も違和感があったのは,外部人材活用ということで,皆様方,お集まりになったのではないかと思っています。最初のころに,外部人材活用,活用とは何かといったときに,どなたかが連携か,協力か,支援かといったような言葉が出まして,我々は,きっとここでは協働だということの話をしたのではないかと記憶しています。では,協働するのはだれかといったときに,そのときにもいろんな意見が出ましたけども,最終的には,周りの大人たち全部ではないかというようなお話があったように思います。で,やはり今回違和感があるのは,例えばここでは今回は学校の中でのお話なのかというところなんですが,事例を見ますと,本当に外部の方と協働しているという事例がちょっと少ないなといった印象がありましたけれども,やはりそれも,どうしても下村委員と同じ意見なんですけれども,そこら辺の協働なのか,今の連携というお話がありましたけれども,そこら辺はどのようにお考えでしょうか。

●この会議自体のもとに戻ってしまうんですけれども,前提としましては,学校教育の中で学校の教員なり,学校が普通の状態で有している教育資源だけじゃなくて,学校の壁を超えた,学校外にいらっしゃる地域社会から,若しくは産業界の方といった方と協働,連携をさせていただくような教育活動,学校の中での教育活動といったものをどう進めるか,そういったものをどう円滑に進めるかということだと思っておりますので,まず,学校教育の中でということが大前提であるかと思うんですが,ただ,そうしたものを学校の協力,協働していただく方とどう円滑に進めていくかというようなところの方策と申しますか,その進め方というようなことがこの会議の目的だったかと思っているところです。

 その言葉が,連携なのか,協働という言葉がいいのかというところにつきましては,いろんな言葉があると思いますので,そこについてはまた御議論もいただけたらなと思っています。

○お二人の指摘は,僕も同じ印象を持ちましたが,ただ,連携の事業を進めていく上で大きな妨げになっていたのが,学校側の受け入れ態勢にあるという指摘は多分正しいんだろうと思うんですね。その点について,今,この最終案はかなり踏み込んだ指摘をしていて,で,これは,結構学校側には重く受けとめられ得るものではないだろうかと。僕も教育委員会に身を置きながらわからないというのも恐縮なのですけれども,教育委員会の方針や計画においてキャリア教育に明確な位置づけを与えてくれれば,学校としてみても取り組みやすいということがあるのだろうと思うので,その部分は,僕は,非常に連携事業を進める上でいろんな障害になっている大きなものを克服していく上で非常にいい提案だというふうに僕は感じているのです。

 一方で,それじゃあ,外部人材の方をどう動かすかという点についての記述は,全体として非常に薄くて,お二人がそういう強い印象をお持ちになる原因だろうと思うんですね。で,そこはまた後で,3番目のテーマとして,座長がおっしゃっておられます,また3番のときに意見,申し上げたいと思いますけど,このものの記述自体は,この案のまま維持しても全くいいのではないかと僕は考えます。

○私も,今の意見に賛成ですけど,この問題をこれだけの回数やってきまして,逆に言えば,先ほど外部人材の活用のところに重きを置くとしても,ここの中で語られた中で,それぞれの小学校,中学,高校,それから,我々産業界,それとか保護者,それぞれが考えるキャリア教育,キャリア形成というところが非常にまだ明確でないわけですね。そうすると,例えば埼玉県の場合には,高校生の8割近くは普通高校へ行っております。普通高校の先生とお話をすると,なかなかこれが「キャリア教育,負担だよ,やるんかいな」という声が最近でこそ薄まってきましたけど,あったのも事実です。そうなってくると,それから,今度,翻って産業界,何で協力をしなければいけないのというのが1回目のときの議論にありましたけど,そうじゃないでしょと。教育界で手塩にかけて育てていただいた人材を,10年近く教育界で,我々産業界だったら何十年その人材によって企業活動ならしめるの,地域の活性化って,数十年でしょ,40年でしょと。一企業においても,サラリーマン人生,社会人人生というのは40年近くあるわけですよね。だから,教育界任せにしていいなんていうことはないでしょうということをこの20年言い続けてきたわけですけれども,だからこそ,協働というのが,我が埼玉県では少なくとも,少しずつですけど形成されていって,ということを考えてみますと,それぞれが考えるキャリア教育というのが一人歩きしていると思うので,大変なんですけども,逆に,先ほどお話があったように,それはそれとしてちょっと説明をする。今回のところはそこへ刺さり込んでおりますから,それの上にもう一つの我々が頂いた命題のところの事例がもし薄いのであれば,それを足すということでよろしいのではないのかなと。したがって,冒頭のところの最初のところは,これ,この構成で私もよろしいのではないかと思っております。

○私は,この委員の皆様の中でヒアリングの方にも出させていただきました。そのヒアリングの際に文科省の方から,我々,外部人材が学校へ入っていって一緒にお仕事をする際にどんな壁があるのか,それを詳細にしてくださいという御指示を頂いて,それに対して教育界,産業界の人間がこういうところ,困るのですっていう,日常感じているところをいろいろ出させていただきました。今回拝見いたしましたら,それがほとんど盛り込んでいただいておりますので,こういう実態があって,さらに,この上に外部の人材とどう協働していくかというような形の論点になるかと思いますので,私は,これを拝見したときに,この分類別に書いていただいているのも非常にわかりやすかったので,これを踏まえた上で,じゃあ,我々とどう一緒にやっていくかという上で,非常にスムーズな流れになっているんではないかなと思いましたので,皆様方と一緒で,この進め方でいいのではないかなと思っております。

□主たる記述は3のところにあるけれど,その3にたどり着くまでにまだまだいろいろ克服すべき点が,教育委員会だとか,学校だとかに,特に学校教育を進める際にそこが非常にネックを抱えているということについて,更に加筆した,ヒアリング等も踏まえて加筆したということで御理解いただきたいということであります。言ってみれば,3をするための前提条件をどう整理するのかみたいな議論がやはり必要だったということで,今,お話がありましたように,学校,教育委員会,それから,産業界の方からも,この間,1か月余りの間にヒアリングをさせていただいて,そのヒアリングの結果も踏まえて,ここはやっぱり書かないと駄目だなという部分を加筆させていただいたということで御理解いただければと思いますが。

 でも,まだここは欠けているのではないかというようなことがあったりするかもしれませんが,いかがでしょうか。

○今のその流れですと,私も,読ませていただいて,流れ等には納得で,最初にやっぱりキャリア教育って何であるかというのを規定するというところから始めないと,どうしても難しいというのはあるのですけども,本会議が発信するメッセージというふうに,なぜキャリア教育が必要なのか(本会議が発信するメッセージ)というところから始まっている,最初の項立ての項目のタイトルの表現を少しいじることで多少印象は変わるのかなという感じがしました。これだけを見ると,何かキャリア教育の大切さを説くみたいな全体の流れになるような印象が間違って届いてしまうかな。本来は,推したいのは,私たちが話し合ってきたのは3番目のところに向けてなんだけども,その前の大前提としての共通理解というふうに位置づけた項目のタイトルづけをしていただくと,随分そのあたりが違うのではないかなという気がしました。

□これは,最後に議論いただく,全体にかかわってもちょっとまた御意見いただければと思います。確かに御指摘のように,改めてという感じもするので,3に向けてどう表題を整理していくかというところはまた本当に大事な点かと思いますので,後でまた詰めていきたいと思います。

○中学校現場の代表として拝見したときに,やはり職場体験が中学校ではかなり進んでいるとはいうものの,それほどキャリア教育が成熟していない。そういった中で,外部人材の活用をということを最初から前面に出すと,ベースもできていない中で,外部人材のみが先走りしてしまうというようなことがあるように思うのですね。で,やはり現状を見て欠けている部分,外部人材を受け入れるがために必要な様々な課題,行政であったり,学校であったり,自治体であったりという,そこの課題をヒアリングも通じて明確に書き出していただけていることが,とても現場の教員としてはわかりやすいというところがあるかと思います。同じ話かもしませんけれども,その先に外部人材の活用ということがあるのではないかと思いますので,とても見やすくなってよかったかなとは思っています。

○2の(4)の黒い丸の二つ目ですね。都道府県・市区町村教育委員会における中核人材について,16ページのところについてなんですが,こういうことが本当に制度的に不可能なのかどうかってちょっとお尋ねしたいと思うんですが,教育委員会でキャリア教育を担当しておられる指導主事という方は,できれば教育の経験もある必要がありますが,やっぱり民間企業で働いた経験のある人というのが,両方がわかる方というのが理想的だと思うのですね。そのために考えられるのは,民間企業で働いた経験者を中途採用するということとか,それが仮にできないとすれば,民間企業と人事交流をするという。それも指導主事本人が難しければ,その指導主事をサポートするスタッフにそういう人材を入れるとかということはできないのかなと思います。

 弊社は教育委員会との人事交流はないのですが,地方自治体との人事交流は非常にたくさんの企業からお受け入れしてもおりますし,私たちの社員を企業の方に送り出して受け入れていただいたりもしています。ですから,例えば2年間とか,3年間とかという約束で教育委員会に出向して,そこでキャリア教育の担当をするということは,多分企業の出身者は結構できると思います。でも,理想的には,やはり中途採用というのが,その両方の経験をしっかり持った人がそこにいるというのが理想的だと思うんです。ですから,中途採用の件とか,民間との人事交流の件とか,そういうことについてここで一歩踏み込んでいただけないものかなと思います。

○ちょっとこの中にうまく書き込めるかどうかわかりませんが,一度この会議でも議論になったのですけれども,キャリア教育が大事だということを皆さんにわかってもらうためにどうするかということについて,少し時間がかかるかもしれませんけれども,今の中学校の教科を少し考え直してもらえないか。技術・家庭という科目がありますけど,一番中学校教育の中で軽視されている科目ですよね。実際には時間数もすごく限られてしまっている。だけど,ここが,いわば生活力を築く非常に重要な情報を提供しているわけだし,その力を伸ばすことも期待されているもの,あるいは保健体育といったものもそういうものだと思うのですね。

 そういう保健体育というか,保健だとかね,技術とか,家庭とかというのは,学校現場の中では非常に軽く扱われているという状況を改善していくことがね,このキャリア教育を重視する上でもすごく大事なことではないか。大きなインパクトを持つ改革ではないかと思います。それはもう現場の技術・家庭の先生たちの大きな声でもあるのですけれども,キャリア教育はそういう部分と非常に結びついているものだろうと思うんですね。もちろんすべての教科でキャリア教育は,みんながそれぞれの中で認識をして対処するべきものではありますが,何かキャリア教育が大事だと言われているこの中で,これは本気だよということをわからせるには,どうもそういうことも考えてもいいのではないかというふうにも思います。この扱いをどうするかは,皆さん方の御意見や座長にも預けたいと思いますけれども,それが一つですね。

 それとともに,そうした小学校や中学校で得てきた力というものが,単なる体験ではなくて,一つ試される力としてね,大事にされるということも大事だと思います。というのは,今,例えば都立高校も入学試験は,大方において学科5科目でやっているわけですよね。でも,本当は違うのではないかと。高校に来てキャリア教育を満足に受けるためには,小学校,中学校で働くこと,キャリア教育についての基本的なものを学んできてもらいたい。それが高校入試の一つの素材としてね,どういう扱いをするかは難しいかもしれませんけども,あってもいいのではないか。そういうふうにしないと,今の学科試験の成績で基本的には決まっていくという高校入試の在り方のままではね,小中におけるキャリア教育というのは一歩ね,やっぱり元気が出てこないのではないかというふうにも思うんです。

 東京都教育委員会でも,これから検討していきますけれども,何かそういうものも後押しするようなものが書いていただけると,少し実現に時間がかかるかもしれませんけれども,有り難いなと思いますので。

□今,教員の民間との人事交流というのは,県単位で結構民間企業に派遣して,6か月とか,1年とか,1年はあったかどうかわかりませんが,かつてあったような気がするのですが……。

●そうですね。教員の企業の社会人体験という形で研修に行くというところをやっている県は多いと思います。おっしゃったのは,恐らくキャリア教育を担当する指導主事にそういう経験を持った人をということでしょうか。

○はい。教育委員会の指導主事,そうです。

●例えば企業に勤めて,それで教員になった方とか,そういう人を優先的にというか,そういうところを採用したり,あるいは民間企業の方を採用したり,それができなければ,人事交流という形で,今,働いている現場を直接知った人がそういうキャリア教育を担当する指導主事的役割にということだと思います。これは,恐らく県の方の人事の方針みたいなものになってくるので,例えばそういうものを進めたらどうかというふうな提案的なものをこの報告の中に書き込むとか,もしそういう事例が幾つかの県であれば,この県ではこういうふうな形とか,市ではやっているというようなものを書いておけば,こうやりゃできるのだということにはなろうと思います。

○最初にこの会議で第2回のときに,私の資料を配らせていただいているんですけれども,この中では,まさしく今,おっしゃったようなことのために,私が平成9年から,本当に教育界と,大変失礼ですけど,教育界の御関係者に失礼ですけど,なかなか我々民間人との間にギャップがありましてね,この温度差を,言葉の温度差を埋めようとして,先生,預からしてくれないかと,我が協会に預からしてくれないかと。協会スルーで企業に派遣しますよと。ただし,1年未満はお断りいたしますと。やっぱり企業というのは年度間計画を立てて,期初に立てた計画が未達成であれば,経営者,責任者は責任もとるというようなことがあるので,その途中の何か月では困りますよと。だから,問題解決能力も含めて,それから,社長のかばん持ちも含めてやっていただきますということで。それから,やがて手塩にかけた生徒さんがつくだろう最初の職場に6か月間勤めてもらいますと。いうことで,3か月は社長のかばん持ち,3か月は問題解決能力,問題が起こったときの,それから,経営会議に出させてくれと。そういう条件でホンダ以下,いろいろの企業に頼んで,あと,中堅企業に頼んで,平成9年から毎年5名ずつやってまいりまして,私が2年前に退任しているんですけども,67名の先生方,数学から体操までここに名簿があるのですけれども,理科,そういうことでやっていきますと,大変これは交流になります。その人たちの幾人かが指導主事になって,教育委員会の中へ吸い上げられてやっている人がいるのですね。だから,これが何名いるというのをはかってくれば一番いいのですけども,その後も続いており,今は経営者協会に2年間,学校の教頭先生を受け入れて,このキャリア教育についての研究もしていただいていると,大変効果があると思います。もし,あれでしたら,この会議の2回目にそれをお配りしてあるのですけども,ごらんなられまして,大きな成果があることは事実です。だから,帰りましたら,人数をね,今,指導主事,教育委員会でどういうことをやっているのかというのを調べてはみたいと思います。

●今,御報告があったとおりでございますけれども,日本全体の傾向,決して後ろ向きのつもりで申し上げるわけではないんですけれども,確かにキャリア教育の担当の指導主事がいるかいないかと,100%の自治体で置いていらっしゃいます。しかし,専属担当ではありませんで,主担当というのが基本的には教科が割り振られていて,その教科のナンバーツー,ナンバースリーの担当としてキャリア教育を行うものです。ですので,キャリア教育の担当の指導主事がいるかいないかと言えばいるのですが,その指導主事の主たる業務になっているかというと,なっていない。そういう状況の中で,埼玉県のような例外の自治体を除いては,なかなか民間の御経験がある方がつきやすい条件整備がまだ整っていない。ですので,まずは,そのキャリア教育を御担当になる方がキャリア教育に専念できる,そういう環境整備というのも是非この委員会の中で御審議いただいて,何らかの形で御提言いただくということもあり得るのかなと,事務局としては感じました。

○さっき,おっしゃったことで,私もすごく大事に思っていて,技術科とか,基本的に工業大学の先生に,今,子供たちが入ってきてもハンダごてすら経験していない。実際に経験していないことが多過ぎるというお話を受けて,学びの中に教科学習以外の学習の重要性みたいなものが大分薄まってきているなということは私もすごく課題だとは思っているんですが。それで,そのときに考えたのが,地域学校支援というこの連携先として,地域にはたくさんの技術者がいて,たくさんのものづくりの天才たちがいて,そういう方たちと放課後の学習とか,土曜日とか,夏休みとかで,理科大のアンドロイドロボットに来てもらおうとか,そういう学校教育で出会えない学びを,自分はロボットづくりをしたい,自分はものづくりの現場に行って体験したいというのをなるべく小学校時代にそういう体験を積むような地域社会をつくっていく。例えば理科実験教室で地域の方たちに御協力いただいて行うなどということを体験していくことによって,中学,高校と上がっていく際に自分が学びたいとか,もっと専門的にやっていきたいというところにいくしかないかなって。そのときにすごく考えたのは,履修しなければいけない時間は限りがあって,学校の中で今,もう一度教科学習に力を入れねばならぬというところがあるならば,このキャリアの目的は,教科こそが自分たちが学ぶことによって社会に近づく,社会と即しているということを学校の中で身につけてもらうところ,そして,体験をする,それから,様々な機会を設けていくというのは,もっと地域を高めていくということが大事かなと。

 中教審の生涯教育審議会の方でも,こういう話題が随分出ているのですが,やっぱり地域力がこれからの子供たちを育てていくということにつながっていくと。だから,ここに出ている滋賀県に先日県教委で呼ばれていってきたり,サンプルになっているところはほとんど行かせていただいたりして,また,きのうまで大分県にもいたのですけどここだと,どうしても初中局中心の先生たちの目線になっているので,できれば,一文,社会教育との連携みたいなことを書き加えていただくことによって,それが今,民間を含めて社会教育行政,生涯教育行政の中でもっと機運を高めていかなければいけないという,総がかりで大人がかかわることを目指していくんだよという話になっているかと思うのです。そういうことをちょっと取り上げていただきながら,社会が有する機能すべてが協力体制をしいていくのだということがわかる一文が入っていただきたいなということと。

 やはり私もこの書き方できちんと段階を踏まれていると思うのですが,先日,静岡県教委の御相談で指導部の先生とお目にかかってきたんですが,やっぱり首長さん,知事がキャリア教育に熱心にこれは必要だと,中学校の職場体験が重要だと,かつて東京都でおっしゃってくださったようなことを知事がおっしゃったと。そうすると,現場としては,よりどうやっていけばその5日間が生きるだろうかみたいなことで,たまたまお問合せがあったので,御相談に乗りに行ってきたのですけども,やっぱりどこかきっちり上の方がそれを言うことによって専任が置かれるっていう。先ほど事務局からお話があったように,大体が小学校の英語活動教育とキャリア教育は,どこの県でも,市区町村でも,2番目,3番目の自分の仕事になっているので,あーあ,行くの,忘れてました程度の状態で対応があるのが現実でございます。ええ。ですから,やっぱり第一義で知事が言い出したとか,教育長がそこのイニシアチブをとって重要であるというふうに位置づけて,各県とか,行政の重点施策になるって,次世代をつくっていくということだということをうたっていただけるような,そういうところがここの中に盛り込まれているといいなと。

 滋賀の5日間,あの5年間かけた取り組みも,実はすばらしいのは,専任がいた。それは社会教育側にいた。で,先生になってお戻りになるかもしれないけど。そういう専任がいて,地域の中で関西の工場地帯としての労働をきちっと受けとめてくれる若者を育てなければいけない。いうことを行政全体の取り組みとしておやりになっているところが価値のあるところで,そこに今,追いつけ,追い越せで,学校支援地域本部が一緒に協働していける体制をとられようとしている。そういうことも含めて,滋賀の例とかも是非書いていただけると,よりわかりやすいのではないかなと思いながら,どちらかというと,指導部系の先生が読んで,ああ,なるほどと思うような中身になっているので,その協働でやっていくことが重要だ,チームだ,コンソーシアムをつくるとおっしゃっているからには,チームなのだ,社会総がかりなのだということがもうちょっと随所に出てきてくださるとありがたないと思いながら読ませていただきました。

□社会教育との連携,確かにちょっとここの中では欠けていたかなと思いますので,そのことも含めて,かつて,私の中学校時代には技術・家庭科の前の教科として職業家庭科というのがあったんですね。この職業家庭科の中では,職業指導も入っていたのですが,同時に,私,中学校で簿記やらされて──やらされてと言っちゃいけません。勉強して,それから,製図を勉強して,金工,木工もやったのですね。つまり,高校進学率が6割,7割の時代なので,職業準備教育としての職業家庭科というのが教科としてあったのです。そういうことが,今日の技術・家庭科で可能であるかどうかは別として,キャリア教育の視点から,何か高校の産業社会と人間とみたいなことが教科の学習みたいなことの中で何かもうちょっと積極的に取り入れられないかと。

○そして,大事なのに小さくなってしまっている技術・家庭を,例えば保健だとか,道徳だとか,結びつけることで,これは生きる力に直結するものですから,主要5教科に対抗するね,科目として,自立というかね,もっと力を持てるような,そんなものにしてくれれば,キャリア教育はうんと進むという感じが僕はしてならないのですけども,ということなのですが,ここに書くのがふさわしいのかどうかは,それはちょっと僕も判断しにくいですけれども。

□長期的視野で少し考えていく課題かなと思います。

 さて,限られた時間でありますので,続いて,本題の3の方の議論に移ってまいりたいと思います。当初,(1),(2)分けて議論する予定だったのですが,今の2の方の議論にちょっと時間を費やしましたので,3の(1),(2),つまり,その資料3で,黄色で囲んである部分,(1)の部分は,教育関係機関と地域・社会や産業界が協働していくためには何が必要か。(2)は,地域・社会や産業界がキャリア教育に取り組むようになるのは何が必要か。併せて幅広く御意見を頂きたいと思います。ここが非常に本題のところだということで,先ほどから議論で,ちょっとまだここは薄いという御指摘はありました。具体的に更にもっと厚くするためにどういう視点が必要なのかというようなことについても御意見をいただければと思います。

○ここの3番目のところについては,先ほど生重さんの前半の話とちょっと関係すると思うのですけれども,全体的に学校の中から見て外部資源をどう活用するかということをずうっと言っていると思うのですけれども,各地でいろんな人がいろんな解釈でキャリア教育というのをやろうとして立ち上げて,学校側にどんどんやりたいのですけれどと言っている面も一方であると思うのですね。なので,文科省的にどういう口ぶりになるのかは定かではないのですけれども,何かいろんな申込みがあったときに開放しようというか,門戸を広げようというか,キャリア教育,そんなにやりたいと言ってくださるのであれば,学校側として,これだけの間口を広げて時間をとってやらせる余地があるのですみたいな,どっちかというと,こっちから申し込むというよりは,向こうからの受け手の窓口を広げていこうじゃないかというスタンスがあってもいいのではないかと思うのです。

 これを何か統一したキャリア教育といったものを定義して,統一したキャリア教育を推し進めるというのもあると思うのですけれども,やはり地域で自分たちが思うキャリア教育をやっていきたいという気持ちがあるのだと思うので,それを吸い上げる取り組みといったものも入れば入った方がいいなと思ったところです。

 それが入ると,例えばキャリア教育コーディネーターにしても,キャリアコンサルタントにしても,正味申し上げて,学校からのニーズがあるというよりは,こっち側からやりたいというニーズの方が多いと思うのですね,やらせてくれというニーズの方が。そうした場合に,何か学校の方で取り入れる余地があるのではあれば,まあ,やらせて,やってもいいですよといったような,間口を広げる,門戸を開放する,地域の住民に教育の機会を与える的な言い方ができるのではないかなと思うのですけれども,いかがなものでしょうか。

□確かに22ページに,連携窓口の必要性については書いてあるけれども,今の御指摘のように,外部からの働きかけに対してどう学校は門戸を開くんですかという問題については,あんまり触れられていない。その地域によっては,様々な本当に働きかけがあるのではないか。それに学校がどう対応するのかという問題はまた書かなきゃいけないとしても,そこに対して一応窓口を開く必要があるのではないかと。

○これ,前回もおっしゃってくださったと思うのですけれども,それの調整役というのでしょうか。センターに位置するべきだと星野先生,おっしゃったと思うのですけれども,何かいろんなニーズが地域から寄せられたときに調整をするなど,時間は,じゃあ,この時間を使ってくださいだとか,そういった調整役を学校で担うんだということも同時に言えるのではないかなと思うのです。

○これは,もしかしたら,最後に出てくるコンソーシアムが発信する全体的な組織体の緩やかなものと,ウェブで情報発信していくというところなのでしょうか。質問なのですけど。もしかしたらそうなのかなと。

 ただ,私自身,いろんなところのものをやらせていただいて思うのは,今,求められているのは,ここ,あと5,6年のことなのでしょうけれども,自分たちの方向性が定まっていないところは直接聞いてくれる人を望んでいることは事実なのですね。だから,これが載っているからうまく使えるというのだったら,そんなに困らないでやれているんですよ,多分,キャリア教育自体を。だから,今,高校からの御相談,私学からの御相談も含めて,とりあえず行って顔見て話すということを相手が望んでいることで,そういうことだったら,あっ,キャリアコンサルタントの方たちのプログラムを入れると面白いですよとか,直接アドバイスしてくれますよとか,完全ボランティアで助言しに行っている状態なのですけど,そういう,ただ,ニーズを掘り起こしていくためには必要だと思っているんで,時間があれば受けるという感じなのですけれども。

 私たちが何かをやるわけではないので,こういう方がいるよとか,就職支援のためだったらこうだよとか,マナーを教わるのならこういうのがいいよとか,で,もうせっかく学校でやっていることを生かしていくための前後を埋めていくのなら,こういう方がいいとかということを相談に乗りに行っている状態で,これが落ちついて,もしかしたら,自分たちで,これはとても最初のこのキャリア教育をつくるはよくわかりやすく書いていらっしゃいますと思いまして,これをやっていけるようになったときには,ただ,これってどう使うのよっていう,それをウェブとか,緩やかなコンソーシアムの運営ってどうなるのっていうのが若干気になるというか。窓口は要るよねというような気はするのですよね。

 で,東京都は,東京都全体のネットワーク,教育資源のネットワークをする推進協議会があって,トップは,名前は都知事を頂いているのですが,出ていただいたことは1回もなくって,次長がおいでくださる。あの大きな,今度11月26日ですけど,そういう多くの東京都の教育を支援するよっていう企業の,まあ,東京都の職員が受けて,これは誰々に回した方がいいなとか,これは世田谷の何とかさんに回した方がいいなとか,そういう相談窓口みたいなものを向こうが,言い方を選ばずに言うと一方的に振ってくるというか,それで調整してじかに会う。で,必要なことだったら,東京都の職員が出向いて御相談に乗る体制ができていて,民と官が連携しながらやっているというところはあるのですね。そのネットワーク協議会に集まってくるウェブ上の情報も,それが年に1回,みんなで協議,熟議していく場と,それから,情報を共有化していく冊子とか,そういうものの提供もありますが,具体的にどう使うみたいなことも,多摩エリアとか,23区エリアとかいうところで定期的に勉強会を私どもが東京都と一緒にやらせて開かせていただいて,具体的にわかるようなものを。載っていたら使えるのではなくて,どういう学校にどういいかということを具体的に描かない限りは使えないんで,そういうことをお示しするような場もつくっていて,それを地域の中の区市町村で受けとめていただくのを,東京都ではプラットフォーム事業というふうに呼んでいるわけですね。

 そういう何か,もう単にここにあるものは,ウェブにしろ,形だけのものは活用されていかないのは事実で,そこに息吹と魂を注入しない限りは動いていかない。今,大分機運は各県,高まってきていて,今度,大分県も大分大学と県が連携して,大学がつくるキャリア教育,キャリアとは言ってない。仙台の自分づくりと同じように,それを受けとめるネットワークのNPO化を図って,大分地元企業さんももう30ぐらい入ってくださるようになって,そこで中央からの発信も受けとめてくれるというふうになったわけですね。で,多分福井はもっとモチベーションの高い皆様方がお集まりなので,将来的には県とそういうネットワークができたら,そこで十分今やれていることがもっと情報発信していかれる場にきっとおなりになると思うとか。そういうものが全国に生まれてくることによって,それが受け手になって,ここで文科省がおやりになりたいコンソーシアムのメンバーになっていくことでそれぞれが生き生き生きていくって,生かされていくということになっていくような気はするのですが。

 コンソーシアムのありようって,最後のところにお話になることを先走って言ってしまって申し訳なかったのですが,ここに書かれていることは,私は,とりあえずは魂を入れるための施策になっていかなくてはいけないことだというふうに受けとめて読んできたので,コンソーシアムの方でこういうことが実際にできるようになるのかどうかということ。

□今の御意見は,要約すると,コンソーシアムの設置だとか,ポータルサイトの設営について,28ページで書かれているけれども,これを具体的にどう学校などで活用していくのかということについてもう少し書き加えないと,仏つくって魂入れずになりはしませんかという,そういうことですね。

○今,言われていることは,僕自身の体験でもあります。僕の主催しているおやじ日本,NPO法人ですが,このキャリア教育に取り組もうと思って準備をし始めたのは去年の6月ですけれども,そのときにはウェブサイトをつくろうと。やりたい企業がいて,やりたい学校がいるのだから,うまくこれをウェブ上で仲介すれば,うんと広がるのではないか。そういう発想で始めたのです。でも,いざ始めてみますと,事はそう簡単ではないということがわかってきまして,今,私ども,この9月から取り組んでおりますのは,もう具体的に,生重さん,これまで,あるいは江川さんもこれまでやってこられたように,具体的に学校を発掘して,企業を発掘して,で,どんな事業をするかは,学校のがわと企業の講師のがわを取り持って,そして,こちらからもサジェスチョンをして,具体的にやっていくと,その作業をやり始めたところなのです。そうでないと,この事業は進まないというふうに,僕は,もう今の段階ではしようがないのではないかというふうに感じています。したがって,全国規模でキャリア教育を後押しするために何が必要かといったときに,まず,全国的なコンソーシアムだとか,ポータルサイトだとかということぽんと言ってしまうのは,少し後の話なので,その前に学校側も,NPO法人も,いろんな人たちがいろんな形で努力をしてやっている作業を後押しする,その施策をまず書くことが大事だろうと思います。

 で,例えば今,僕の法人ではどういうことをやっているかと言えば,まず,企業の出身のOBを一人雇いました。そして,学校の先生出身の人を,校長先生出身の人を一人雇いました。この二人が,一人が学校を開拓し,一人が企業を開拓して,で,授業の中身はその学校出身の人が相談に乗っていく,そういう仕組みをつくったのですけれど,これはお金がかかります。お金がかかるのです。みんなボランティアとはいいながらも,それは多少の金は払わないとやっぱり相当な時間を食いますのでね。

 そういうNPO法人たくさんあると思うので,そういうことをしたいと思っているNPO法人は。でも,実際上なかなか動けない。これはね,すぐれてボランティア,NPO法人のやりたいことをやっているわけじゃなくて,公的な作用を補完するものとしてやっているわけで,公的な金がここに回ってきても一つもおかしくない。全額とは言わないけれども,新しい公共の典型的なものだと僕は思うのです。で,そうしたNPO法人や様々な個人もあるでしょうし,こういうがわのいろんな努力をもっと後押しするようなことが最初に書かれるべきで,そういう積み重ねがようやくでき上がってきて,また,学校の側にも,最初冒頭のいろんな教育委員会の御主張だとか,そんなものもあって,学校のがわのニーズもどんどん増えてきた。企業のがわも盛り上がってきた。そういうことで初めてウェブサイトというのは機能し始めるんだと思うんです。多分今のペースでいけば3年後です,早くて。それまでの勝負というのは,こういう小さなNPO法人や個人や,今の学校地域本部だとか,そういう人たちがどれだけいろんな努力を重ねることができるか,そこをどれだけ後押しできるかというのが勝負だと思うのですね。そこが手厚く書かれることがやっぱり僕は大事だと思うので,是非ともそこをお願いしたいと思いますよね。

○ここのページのところで,今回キャリア教育を浸透させるには一番大切というのは,21ページのところに,やっぱりこれがなかなか深みを持たないというのは,教職員の方々が大きな負担があるよって意識しているからだと思いますよね。だから,ここを除去して差し上げるというのが一つの大きな我々産業界に,あるいは関係者会,教育界以外のところの力だと思うのですね。それで,11ページにたまたま知事たちが,首長,トップがどういう姿勢を持っているかというところが書いてあるのですけれども,これは,この組織を私がつくるときに問題になったのは,この教職員の大きな負担,ここをどうすれば積極的に参加してきてくれるかなという視点で,実はこのプラットフォームというのは立ち上げていくのですね。

 そうすると,何が必要かということになれば,社会の方には,一方で,先ほども出たかもしれない,団塊の世代なんていう人は,ある一定年限で外へ出てきたわけですね。埼玉だけでも40万人いるのです,団塊の世代と呼ばれる人たちが。それで,その人たちをよくヒアリングしてみると面白いことがわかりました。例えば日本有数な企業の技師長だとか,フェロー,いろいろやっている人たちにヒアリングすると,例えば端的に言えば,これは文科省の所管だと思いますが,日本機械学会です。機械学会の五,六万の会員の半分は学者ですけど,半分は実業界の技術者です,会員は。この方々の中で,埼玉で団塊世代で出てくるのは約600人おりました。その人たちは,今,例えば宮崎県の旭化成に勤めているけども,定年後は戻ってきますという人たち,この人たちをヒアリングしてびっくりしたわけです。

 自分がどのような資質,技術にしろ,知識にしろ,持っているのかを棚卸しをしていません。自分がどういう,というのは外へ出てないからわからないのです。それで,そいじゃあ,もっとそういう能力,生かしたらどうですかって,こっちが振り向けると,私をどこで必要としておりますか。その場所と機会というのがわからない。だから,私は,日本機械学会と連携して,今,大阪ともやっているのですけれども,日本機械学会は。それで,我が埼玉の中でそれを必要とする人とお見合いをさせました。だけど,最初の1回目は,もう20人・20人ぐらいで,博士みたいな人たちと,本当わけのわからない,今度,産業界の人がお見合いしたので,成果が3,4人しか出ませんでしたけど,その中で2回目,3回目やっていくと,教育界の人が入ってきたわけです。先生ですよ。要するに,理科の実験がよくうまくできないと。だから,助けてくれますかと,お金はないのですという話で。そうすると,金なんか要らないよということで,まあ,交通費ぐらいは校長先生,出してくださいよねということになると,そういう人たちがいっぱいいるのでしょうけども,企業戦士は,やっぱり会社人間なので,会社と自宅を行き帰りしていますから,自分を必要とする場がわからないと。そういう人たちが世の中には結構いまして,その人をうまくお見合いさせてやって学校現場にやると,先生が一番実感するのです。先生が,あっ,きょうは助かりましたと。ということで,また御指導いただけませんかということで,何人かの人が,今,顧問的な学校のアドバイザー的にやって,今,通っている団塊世帯がいるのですけれども,お隣のお隣の会社の人も実はおられました。

 ということで,自分をどこかで探しているという,探し場所を見つけてあげる機関として,この11ページのプラットフォームというのをつくりまして,だから,今は,ある市の,これは清川さんと同じような業をしているメッキなのですけども,逆に小中学校の先生を集めて,理科の先生,集めてメッキを教えているとか,ほかのところでは和紙のつくり方なんて,化学染料はどういうふうにやれば,先生,こうにうまくいくのですよ。それから,これは資生堂さんにも関するのですけれども,お菓子はどういうふうにやればうんぬんですというようなことで,菓子工業会とか等のたくみの世界の人たちがお手伝いをしてということで,逆に,こういうコンソーシアム的なものだったらつくれるのではないでしょうかね。それは先生が,星野先生や皆さんに怒られちゃうかもしれない。先生が楽になるというか,活用するヒントがそういうところに内在されているのではないかと思うんですよね。だから,とにかくつくるのです,そういうところを。何でもいいから,先生が楽だ,これは利用したいと教育現場が思わない限りは浸透していきませんので,そういう組織を我々もつくって差し上げたい。一緒になってつくり上げたいというところで,もしあれだったら,この11ページ,再掲になっちゃうかもしれませんけども,そういう意味でつくったものなので,今,3番のところのどこかに入れていただければ,先生に対するエールと,エールの提供というところで御活用いただければと思います。

○24ページの学校外部の教育資源を活用したキャリア教育を継続的に行うことということで,増やしていくということも大事ですし,今,参加してくれる方を継続的に協力していただくということも大事だと思うのですよね。そこで,要は,我々,中小企業,零細企業というのは,やっぱり思いで,ここに書いてあるような思いでやっているようなところが多くて,ただ,その思いの中でやっているだけでは,何回かするとだんだん疲れてきてしまうと。最終的にはやっぱりその思いだけでは続かないので,何があるかというと,お金とか,そういうものではなくて,やっぱり社会的な評価をしてあげないと,ことによってもっと張り切れるというのがあると。例えば県とか,市でね,知事賞とか,市長賞とかをある一定の基準をクリアすると,その企業に知事表彰とかをしてもらうと。もらった企業は当然,私なんか単純なので,もらえばうれしいのですよ。で,売れるとお客さんに言うのですよね。取引先にも言うのですよね。そうすると,自然にそれが口コミで周りに広がっていくと。そうすると,また,あっ,ほんなら,おれ,一遍聞かせてくれということで,また知事賞とか,市長賞というものが広がって,口コミでその輪が広がっていくというのがあるので,やっぱり社会的な評価というのは,ある程度参加してもらった企業に,特に大企業さんはそんなことはないかもしれませんけど,中小,零細は特にそういうのは非常に大事,地域で自治体からとか表彰されるとか,評価されるというのはすごく大事なことですので,そういうのをある一定の,それが応募するのではなくて,ある程度,これまた学校が大変になるかもしれませんけども,学校の方で情報を吸い上げてもらって,例えば3回やったら表彰されるとか,あんまり難しい基準ではなくて,ある程度の形で賞をもらうと,もうやめられないのですよね。やめられないのです。続けざるを得ないという状況に追い込まれますので,なおさらこれ,効果が出てきますので,そういうのもちょっと自治体とか,あるいは国が今,文部科学大臣表彰とかやられていますけども,そういう形も含めて,それのもっと地域版というのもあると効果的じゃないかなと感じました。

○3の(2)です。ページでいきますと,26ページから27ページにかけまして,地域・社会や企業等がキャリア教育に参加することの意義についてというのは新しくまとめていただいているのですが,ここに書いていただいていることはもう本当にそのとおりで,わかりやすくよくまとめていただいていると思いますが,これで終わってしまったら何にもならないので,要は,このことを企業にどういうふうに伝えるか,そして,企業がキャリア教育に自分も役に立とうというふうに思って,行動のレベルにそれが結びつかないといけないと思うんですね。ですから,この意義をまとめていただいているのはいいんですが,これをまず,そうですね。一つは,やっぱり他行政との連携で,経済産業省ですとか,厚生労働省と連携する。そして,もう一つ大事なのは,いい見本がこちらにお二人おられますけれども,経営者協会ですとか,商工会議所などの産業界の団体を活用するということで,この考え方をやっぱり企業にしっかり周知するという行動がこれに,後になければいけないと思うんですね。

 それと,もう一つ,具体的に,前回の委員会でも発言して,ちょっと余り取り上げていただいてないから,何か支障があるのかなと思うのですけれども,そういう観点からいきますと,次世代育成支援対策推進法という法律で,企業は次世代育成のために行動計画をつくるということが求められていて,その次世代育成支援というのは,中身が二つあって,一つは,自分の社員のため,もう一つは,社会,地域社会の支援のためということになっているんですね。ですから,例えば行動計画には必ず学校のキャリア教育に対する支援活動という領域を入れなさいというふうに厚生労働省がガイドラインに書けば,すべての行動計画の中に学校教育に対する支援,具体的に何をやるかというのは,もちろん企業の自由度にゆだねるべきだと思いますけれども,そういうことをすると,本当にわっと広がると思うのですが,そういう点をちょっと前回申し上げたのですが,何か具体的に書いていただくには支障がありますか。

●厚生労働省の方とも相談させていただいて,またちょっとそこは整理させていただきまして,はい。今,何か具体的な支障がということではないと。

○はい。

□この最終案の取りまとめには,また厚労省,経産省との事務的なすり合わせが今後行われるということですか。

●はい。そうですね。

□前回,たしか,もう少し小・中・高と学校段階別に具体的にその連携のあり方みたいのをきちんと書いた方がいいのではないかという御意見があったような気がするのですけれども,そのことも踏まえていかがですか。

○はい。ありがとうございます。今,委員長が言ってくださったことについては,やっぱり階層別でいろいろ連携の仕方があると思っておりましたので,それぞれもっと具体的に小・中・高でどういう連携があるのかという。前半の方にどういうキャリア教育があるかという内容は書いてあるのですけれども,ここの外部人材との連携,協働という視点でいくと,外部とどういう形でやっていったらいいのか。小学校であれば,地域の公園のお掃除があるとか,そういう具体的な先生がぽっと入りやすいような事例を入れていただけると有り難いなと思っております。

 それから,今の外部人材うんぬんの話のところで,今,岩田委員が言われたように,もう少し,例えばこれについては,文科省はある程度強制力をもってやろうとしておられる。経産省も,もう一つの主人公としてもう少し強制力をもって何かそういう文言をここに一緒に書いていただけないかなと。要は,企業は,例えば企業市民という言葉を言われますように,CSRの一環として,要は,地域に還元していく必要性があるということが今,言われていますので,やはり地域で活動している企業として,それは大きな企業であれ,中小,零細であれ,その地域とともに生きるという視点で,こういう学校支援活動をやるべきであるというようなところ,企業側への発信が余りない。それは今,言われたように,商工会議所であったり,経営者協会さんであったり,そういうところからの発信はあるんですけれども,大もとの経産省から,そういうものをもっとやりましょうというお声が欲しいなと。で,経産省もモデルケースをつくりましょうということでいろんな活動はしていただいているんですけれども,もっと広く,在野にあるような企業さんに対しても,こういう活動をすることによってこういうメリットがあるのですよというような情報発信を,省庁の壁を取っ払ってやっていただけるような動きに,この外部人材,せっかくこの外部人材というのは,経産省側の人間もおれば,厚労省側の人間もいますので,そこから提言をしていくというような少し意味を持たせていただけたら有り難いなと思っています。

○私,今の御指摘のとおりだと思うんですね。全体的なトーンとして,皆さん,御意見を伺うと,文科省,学校側,内側からの外部人材の活用という視点というがちょっと強いという感じがします。御指摘のように,これまでに厚労省であったり,経産省であったり,キャリア教育って猛烈に文科省以上にいろんな取り組みをやられていると思うんですよ。それが小や中や高や大や,いろんなところに働きかけているわけですよね。で,いろんなプランも出されている。じゃあ,それがこの中でね,どのように表現されているのかという点は,ちょっと気になるところですね。ですから,コンソーシアムと言われていますけども,省庁間のコンソーシアムというのは必要だろうと思います。これはまず前提だと思います。ですから,この中に盛り込んでいただく,その外部人材の活用,あるいは学校外部の教育資源の活用の中で,非常にそれぞれすごい機能や取り組みをされているわけですから,それが一体何なのかということは,学校側,特にあんまりよくわかってない。それぞれの産業界であったり,労働するがわであったりね,そういうところでわかるんでしょうけども,学校側から,じゃあ,経産省であったり,そういう厚労省であったりという取り組みは余り見えてこないというのが実情ですね。

 ですから,是非そこは連携をしてどのような機能があるのか。そして,できたら,同じようなことを同じようにやられている部分があるのかもしれないので,それぞれ役割があるだろうと思うんですよね。そこに仕切りみたいなのがあるのかないのかよくわかりません。縦割りのいろんな行政だとよく言われますけれども,そこはこのキャリア教育に関してはみんな同じ焦点であって,いかに日本の経済の活性化であったり,それから,生徒の人材育成というか,人間形成であったり,それから,労働環境の整備であったりという観点から,キャリア教育というのはそれぞれの場所で行われているわけですから,そういう観点から是非触れていただいた方がいいのかな。後半の3番が厚みが増してくるのかなという感じがいたしました。それについては是非お願いしたいと思います。

 既に平成19年の5月にキャリア教育等推進プラン行動計画というのが出されているわけですよね。ここの中にもういろいろな,ありとあらゆるプランが出されていて,これの幾つかでもここの後半の3番に盛り込んでいくとすれば,これば材料は幾らでもあるなという感じがいたしました。それがまず1点目です。

 それから,2点目として,確かに各行政側の外部人材という観点からすると,そういうのはありますけれども,一番学校を支援してくれているというのでしょうかね。それはだれなのかということなのですよ。学校外の中でだれなのかということなのですが,それがここの中に抜け落ちているのではないかなと思うのです。それは保護者ですよ,家庭ですよ。そして,その地域,身近な地域ですよ。そことのかかわりは,学校は実は盛んにやっているわけですよね。その点についてのちょっと見落としがあるのではないかなと思います。学校外と言われたら,じゃあ,家庭もあると。じゃあ,家庭もキャリア教育を行っているということを明確に出していただいて,じゃあ,学校と家庭とキャリア教育をどういうふうに推進していくかという,学校と家庭のコンソーシアムじゃないですけどもね,ふだんやられている,やっているわけですよ,保護者会でもですね。その中でキャリア教育の視点からもう少し取り組む方法がないのかどうか,そこはこの中に入れていただいた方がいいのだろうなと思います。家庭や地域については,やはり是非学校外という位置づけで入れていただければ有り難いな。

 それから,それ以外にもたくさんまだ実は,経産省だってそれぞれの行政機関が,関係機関がたくさんあるわけですよね。で,実際に定時制であればハローワークの方をお呼びしてとか,あるいは専門学科では,もう常に連携をとりながらやっているわけで,就職にかかわってですね。その方々をお呼びしてというのはもう現在やられているわけですから,やられていることについては,やはりやっていることを触れていただいて,さらに,じゃあ,どうしたらいいのか。更にそれを機能させるにはどうしたらいいのかというコンソーシアムみたいな,機能を持たせる,あるいは定例的に持たせるのかどうかという点では,そういう位置づけを,企画を,仕掛けを入れた方がいいと思いますね。

 それから,もう民間,先ほど来,お話しされているように,NPOとか,ボランティア団体とか,もう地域にはたくさんあるわけですよね。そういった受皿があって協力してくれる団体があって,それぞれが学校の中で,教育活動の中のキャリア教育という視点から受皿たくさんあるわけですね。ですから,そういうこともやっぱり触れておいた方がいいかなと思うのですが。

 問題はもうそもそも論ですね。学校が,じゃあ,なぜそんなたんさくある教育資源を活用しないのかということなのですよ。前段2番とか,1番のところで触れているわけですけれども,じゃあ,何なのかということですよね。もう学校としては本当に,言い方が悪いんですけど,おなかいっぱい,もう目いっぱい。実は,目の前にある学力向上であったり,生活指導であったり,あるいは進学であったりという,目の前のことで手いっぱいなのに,大学の先とか,就職した後のキャリア教育の形成というものを高校側でそれができるのかとか,そんな余裕があるのかどうかということなのですよ。そこがもう本当に目いっぱいで,じゃあ,それをほかの教育を差しおいて,これが重要だというふうに言い切るものがないと,やっぱり学校の方は必要感を持たない。

 じゃあ,それは一体どのようにしたらいいのかということなんですが,今までにもお話ししているように,先生方,もう目の前の子供で手いっぱい。だけど,管理職はそういう学校外の方面の見る目があります。それから,一部の教員は学校外のことをよく知っていて,それを取り入れようという考えがありますので,その方がどういう方なのか。あるいは管理職そのものは,本来はそういう役割をしなきゃいけないわけで,やっぱりそこはきちっと教育委員会なり,研修,あるいは指導を通して,校長,あるいは管理職に当たる方がそういう意識を持たせるということがとっても重要だと思うのですね。そうでないと,現状,子供たちは外へ出ないし,目的を持たないしね,持ちにくいしという,これが改善されない。やっぱりリーダーである校長が明確にビジョンを示して,キャリア教育という視点からそれぞれの部署を指導していくということが大事だということは明確にね,伝えた後のコンソーシアム,外からの受入れというふうになっていくのだろうなと思います。

 ですから,私が言いたいのは,それぞれいろんな機能がある,現在の機能はまず何なのか,それを結びつける仕組みがやはりどこかにないといけない。それは意図的にそういう設定をすると,どことどこを結びつけるというのは,外側からまずそういう条件整備をしていくと。一歩,中へ入ろうとするときにはなかなか入り込めませんので,学校の中でそういうモチベーションであったり,その動機づけであったり,その必要感を持たせるような仕掛けが必要だろうと思います。極端な話を言えば,竹花委員さんが最初から言われているように,じゃあ,東京都は奉仕を入れなさいというふうに言われた。確かに最初は大変だ。今も大変です。でも,やっていると子供たちが本当に生き生きとして何かを学んで帰ってくる。それがわかれば,先生方はだんだん取り入れてくるだろうと思います。

 で,現状から言ってもなかなか,キャリア教育ということで,これまで教育委員会からいろんな資料を出され,最近は高等学校版を出していただいた。じゃあ,これを使ってどんなふうに活用するか。そのいろんな見本があって,すぐ取り入れてできるようなものが目の前にあったとしても,じゃあ,それを入れるかということなのですよ。やっぱり学校の中には,そういった閉鎖性というのですか,閉じよう。あるいは自分の学校の中で教育を完結しようという意識があったり,外の力はあんまりかりようとしないという,潜在的な力があったりしますので,そこが壊さなきゃいけない。まず,形をつくって中から入れる,あるいは中側に先に埋め込むという方法もやっぱり一つの手かなと思いました。

○はい。いや,いろいろ本当に貴重な御意見とか,お話を伺えて,確かにまだまだ足りない部分はあるなというのは思って,これは最後にまたプラスして,書きかえていかなきゃいけない部分があるなというのはとてもわかりました。

 それで,ただ,そのときに,私,思いましたのは,ここですらキャリア教育とは何かがまだ統一されてないなという感じを受けました。やっぱりキャリア教育というと,すぐ企業との関係,職業との関係になっちゃう。で,このまんま,でも,それも大切な一面だけど,中学,高校,小学校のあの発達段階の子供にとって一体何が一番大切なのというのは,それを考えていったときに,どうCSRが生きていくかということもやっぱりもうちょっと考えなきゃいけないなと。だから,その意味では,その最初の部分というのは非常に重要な要素で,学校側もきちんと読まなきゃいけないけれども,外部人材も,ここをよく読んでいただいて,独自な解釈でいかない。同じ土壌に立って子供を育てるという視点をどうにか共有するところがないと,これは成り立たないなと。キャリア教育という言葉が余りにもはやり過ぎちゃったっていうことを私は恐れています。

 それで,もう一つは,キャリア教育というのはやっぱり教育改革だなというのを改めて思ったのは,委員の意見にもありましたけど,結局は教科の仕組みを変えなきゃいけない。教育委員会の在り方を変えなきゃいけない。日本の教育全体を変えなきゃいけないということの提案ですよね。だから,それをここに全部書き込むのは難しいことだけれども,こういう委員会を通して,あっ,日本の60年間続いてきた教育を今こそ変えなきゃいけない。キャリア教育というのはいいきっかけになっているのだなと。そのために何を変えなきゃいけないかは,どういうふうにするかはいけないけども,きちんととっておかなきゃいけないことだなと思いました。

 それから,もう一つ,外部人材って一体だれなのというのがここでは余りよく書かれてない。何となく書かれています。で,恐らくみんな考えることが違うと思います。ここでもね。でも,今,星野先生がおっしゃったように,本当に保護者が最初の外部人材なのですよね。と私も思っています。その保護者の理解を得るだけで教員は四苦八苦してます。だから,外部人材ってだれなのっていったときに,それぞれがみんな違った思いを持っているかもしれないなと。だから,ある程度それを整理して,外部人材といったときに,キャリア教育絡みの外部人材って一体,ここでいう外部人材ってだれだったの,キャリアコンサルタントのことなの,キャリアコーディネーターのことなの,多分そうではないと思うんですね,子供にかかわるのは。それだけではないと思います。

 それから,もう一つは,学校側が外部人材を活用するために学校側がどうならなきゃいけないかっていうのは,私は,これは生重先生と逆かもしれませんけど,本当にいろんな学校,小・中に行って聞かれるのは,NPOの方とか,いろんな人がお手伝いしますお手伝いしますってきて,わずかな時間をぱっとやって,それも一部の興味のある子どもだけにやっちゃって,後,大変なのです。どうしますかということを私,よく聞きます。で,私は,これはとってもいけない。ここで言っていいことかどうか,オフレコかもしれませんが,キャリア教育が学校教育を崩壊させないかなという恐怖さえ感ずる地域があります。絶対そうではないと思いますけども,一部それは起こりつつあるので,いい部分もあれば,すごく生きている部分もあれば,そうじゃない部分もある。今,すごく混とんとしているのは,この外部人材と学校側の問題の両方で,学校側にそういうマネジメントと判断能力がなきゃいけないし,また,学校の教員というのは,先生がおっしゃったように,開かれてないから,何か内輪で物を考えてきているから,新しいものが入ってきたときに,企業の方のように柔軟に対応できないという訓練の不足はあると思います。それも嫌っていうほど感ずるのですが,教員は教育しているうちに,児童生徒があのおじさんたちが来るときは楽しいけど,学校の先生の授業は,つまらないになっちゃうということがよく起こる。やっぱりキャリア教育というのは,教え方を変えていくというのはすごく重要なことで,きのうかな,おととい,NHKがやっていました,あの川崎の中学校の理科の授業に川崎の企業の人の研究員が入ってきて,電磁波だっけ,何だっけな,チカチカっとくるこういうところへ,その実験をしていって……。

○静電気。静電気がくる。それをやりながら,それを科学的に説明していって,子供たちが,あっ,理科ってこんなに身近だねって,私,あれが本当のキャリア教育だと思ったんですよ。つまり,教科におもしろみを感じられるっていうふうに思って,だから,そういう事例もね,教科の中に入れていくことによって,教科をお手伝いいただく。これは本当に企業の方にもいらっしゃるし,おっしゃるようなプロの先輩もいらっしゃる。だから,そういう意味では,この外部人材の活用というのは,企業側,あっ,企業って,外部の人材もそうですけど,学校側もどうやったらお手伝いいただけるかという,教師の教育の中に少しその外部人材と協働していく,マネジメントしていく力をつけるということもどこかに入れておかないと危ないかなという,そんなのが私の感想です。

○座長,一つだけいいですか。私,この委員会にものすごく加わらせていただいて有り難かったのですけど,その関心事の一つは,今,日本がね,内向きだと,非常に内向き社会になっていると。産業界も間違いなく,そういうことで,例えばどんな企業でも,海外へ行ってビジネスをしてこいと言っても,手挙げるやつがいないと。昔なら,われこそはと,英語もしゃべれないのに飛び出していっちゃう連中がいっぱいいたのですけども,今,そういうことじゃないと。ということが今の日本の課題だと思うので,このキャリア教育,キャリア形成のためのキャリア教育というのは,やっぱり脱内向きの人材,世間でいうグローバル人材の育成なんていうところもあるのですけど,そんな大上段に掲げなくても,脱内向きの人材を育成するためのキャリア形成,そのための教育がキャリア教育だと思っておりますのでね。そんな一つも,この全体像,行き着く向こうには,脱内向き的な人材の育成のためのキャリア教育だという,何か文章でいいと思うんですけれども,そういうものを入れていただければ有り難いなと思っております。

○外部人材というところが,明確化というのはとても大事だなと思うんですが,それと同時に,それぞれの,例えば校長のリーダーシップがとか,それから,先生たちの力をつけるとか,そのあたりのバランスがうまくとれていないと,例えば校長がすごくリーダーシップを発揮して,頑張れ頑張れと言っていると,先生はやらされるというふうになっていって,主体性のないキャリア教育の推進をしていって,そしたら,子供たちもやらされるキャリア教育しか経験できないという意味でいうと,どこかのその表現の中に,それぞれを全部同時進行的に高めるというふうなことをしてないと,頑張ろうと思っているところだけが前に進んでいって,それは結局別のところに,逆方向の流れをつくってしまうというおそれがあるかなというのがあるので,そういうやらされるキャリア教育じゃないものにするための,主体性をつくるみたいなところがすごく大事かなという気がします。

 あと,もう一つ,これは,何か25ページあたりのところになるかと思うのですけれども,社会が社会不適応の人を抱えることの課題というのがやっぱり実はあって,それもないようにしたいというのは,余り強く表現していいかどうかわからないのですが,どこかに入れておかないといけないのかなという感じが。そういう意味で言うと,適材適所の人材育成みたいな表現なり,健全な社会適応なりという表現ぐらいしか書けないかもしれないのですが,キャリア教育,うまく頑張ろうと思っていたあるまちが,不登校の数が多いじゃないかという議会からの指摘を受けた途端に,キャリア教育の優先順位をものすごく下げざるを得なかったというのが教育界では当然もうとてもよく起きることなので,そういうところでキャリア教育が転覆しないようにという,その後支えという意味も含めて,何というのでしょうか,議会対策といったら変ですけども,でも,そういう意味も含めて,キャリア教育は,同時に社会不適応になる大人が生まれることを防ぐことでもあるんだよ。不登校になっている子供なのだけど,キャリア教育の体験を通して学校復帰ができるとかということはたくさんあるので,そういうところを少し表現上入れるというのが必要かなという気がするということと。

 最後に,もう一つ,教員養成の中でというふうに書いてある中には,キャリア教育の外部人材の方とどういうふうに連携するかということの表現が全然入ってなかったので,可能だったら,教員養成を触れていただいたのは有り難いんですが,そのキャリア教育をうまくできるようにという教員養成だけではなくて,そこに外部人材をどう活用するかという,外部人材とどう協働するかということも,何か体験的な経験を持った教員養成を受けて現場に出るといいのではないかみたいなことを少し触れてあると,もう少し現実的かなと思いました。

○まず1の(2)ですが,ページでいきますと5ページのところなのですが,世の中の実態や厳しさを伝えることの重要性って,ここ,私が1回目の会議で発言したことも参考にして書いていただいていることはとても有り難いと思うのですが,ちょっとこれ,言いたかったのは,これだけではなくて,厳しさを教えるということと同時に,それを乗り越えていく意欲とその乗り越えるために必要な知識とか,知恵とか,それを教えてほしいということの趣旨だったのですね。ここで,事例が二つ出ていますが,例えば非正規雇用が増えているということについて言えば,例えば学校を卒業して,最初に会社に就職したときには,転職率が高いと思うのですけれども,安易に転職するということは,2回目にはなかなかもう正社員としての仕事というのは難しくなるということを教えることによって,やっぱり安易な転職というのは駄目だとか,それから,今,学卒でもなかなか正規社員として就職するのが難しいので,とりあえずアルバイト的に就労する人はいるのですけど,そういうのはなかなかキャリアにはつながらないので,中小,零細企業でもいいからしっかりした職業につきなさいとかという,この苦しさを乗り越えるという,そのことを教えないといけないかなと思います。

 子育てとの両立が難しいという女性の問題についても,難しいということだけを教えるのではなくて,ですから,出産育児のために一度仕事をやめてしまうと,再就職のときにはなかなか正規雇用というのはないから,もうなるべく頑張ってやめないようにということを教えるとか,それから,今は企業内のいろんな両立のサポートのシステムとか,それから,保育所,学童保育なんかの社会的なサービスとか,もちろん夫や家族の協力が得られれば,継続意思があったら必ず継続できる。だから,頑張ってほしいということとか,そういうことをあわせて,厳しさだけを教えるということだとちょっと半分しか言ってないことになるかなというのがちょっと気になりましたので,最後にお願いしたいと思いました。

 もう一つは,これまでおっしゃったこととちょっと重なるのですが,2の(3)で,ページでいきますと,12ページのところです。教育課程の中にキャリア教育をどのように位置づけていくべきかということで,様々な教育活動を通じてというところですけれども,キャリア教育の基本というのは,すべての教科の中で学ぶことが,それが今の生活とか,大人になったときの社会生活や職業生活とどういうふうに関連しているかということをしっかり教えるということではないかなと思います。

 そういう観点から見ますと,教科書問題というのは専門家ではありませんけれども,多分教科書自体の内容についてもね,問題がありはしないか。特に理系,数学とか,化学,物理について,それは私たちの日常生活とか,職業と日本の産業などとどういうふうに結びついているかって。それは本当に教科書の中でそういうふうに教えるべきだと思います。もしその教科書がすぐには間に合わないということでしたら,15ページに書いておられたと思いますが,例えば文部科学省の方で,キャリア教育の視点から足りない情報を指導何とか書っていう,何て書いてある,指導用資料って書いてありますね。指導用資料として,全国共通のものは文部科学省が作成していただいて,もし,例えば地場の産業構造と非常に関連するような,そういう情報ですと,それぞれの地域の教育委員会がそういう指導用資料を補足の資料としてつくるという。ですから,やっぱり基本は,通常の5教科の中でキャリア教育をどういうふうにするかということについて,それを教科書自体で教える。それを補足する指導用資料で先生方を助けるためにそういう資料を提供するという,そういうことが大事かなと思いましたので,ちょっと書かれ方が部分的であるように思いましたので,御検討いただければと思います。

○座長,一つだけ提案をさせてください。表題のサブタイトル,ありますでしょう。「~日常の教育活動の中でキャリア教育を意識する~」,これをね,きょうの議論を踏まえても,やはりその協働という言葉を使って,学校と社会が協働して,一日も早くすべての児童生徒に充実したキャリア教育を行うためにというような形で書いた方が,このワーキンググループの設置の趣旨に合致するのではないかと感じますが,いかがでしょうか。御検討をお願いいたします。

□事務局の方で検討させていただきたいと思います。

●どうも1年近く,非常に長い間ですが,熱心議論いただきまして,大変ありがとうございます。戦後60年たちまして,今,日本の社会自身も大きな転換期になっていると思っております。ある意味で,明治維新で開国があったように,また,一つの大きな開国の時期というか,そういうものを迎えているのではないか。そういう中で教育がどういうふうになるべきかというところもあって,戦後の教育の中で体系的な教育と,それから,経験主義教育といいますか,体系的な教育というのは,どうしても広く浅くという,いろんな知識を身につけなきゃならないので,教えなきゃならないし,今の時代ですから,いろんなことを学ばなきゃならない。それも小学校,中学校では足りなくなって,もう今,高校まで行って,それが更に足りなくなってきて,大学も進学率がもう今,54%になっておりますので,そういう状態で。

 しかし,そうなってくると,一体学んだ知識が社会の中でどう使われているのかといいますか,そこの体験的な教育といいますか,それがないと,今,学んだことが全く感動なくというか,生きない形で教育するといいますか,そういうものが同時並行で進んでいて,これをずっと教育の中で体験主義か,体系主義かというのは波があるのですけれども,今,だんだんゆとり教育というか,体験型教育というものの非効率性もあるので,そうすると,体系的な教育というのもしっかりやらなきゃならない。教えるべき内容はそれでやらなきゃ,そこのせめぎ合いがありますけれども,そこをどういう形で切っていくかという場合,こういうキャリア教育のような視点という学び方ということ,あるいはある意味では経済教育とか,消費者教育とか,環境教育とか,今までの伝統的教科でない切り口で教育というものが再構築できるのかどうかというあたり,この辺との大きな教育界の中ではせめぎ合いの時期にあるのではないかと思っております。それを一律にやろうとすると難しいので,あるそういう教育を認めていくといいますか,そういう体系というものも既存の教育の中に入れ込むかどうかということを一つの考え方であろうかと思っております。

 これは,義務教育の場面,小中学校はかなり基礎的な教育ですから,そういう刺激をいろいろ体系的な教育の中に入れていくということで,あと,ただ,高校教育も共通教育になりつつあるので,ここをどうするのかってありますが,これは,高校教育について今,また議論しようということで,高校教育について,伝統的な学科教育でないような組立ての教育というのも国際的にはいろいろありますので,そういうものも取り入れるということをどうするのかといったあたりは議論していこうかと思っております。本質論は,さらに,社会に出る半分以上の人が今や大学教育になっていますので,大学でのキャリア教育といいますか,その教育というのは本当にどうするのかというところが,実は一番ある意味ではもう一つ議論しなきゃならない部分ですが,大学教育自体は,余り外からカリキュラムをつくるということについて非常に嫌がるというか,それがないのが大学の自治だというか,そういう世界でもありますので,そこのところが今,問題ではありますけれども,まずは小・中,そして,高等学校という,ここはわりと埋め込みやすい教育ですので,今まで頂きました議論,教育の中をまず変えないと,外部人材活用も何もあったものじゃないということですので,そこと,では,具体的に外部からのいろんな動きというものを,積極的な動きがありますので,それをどういう形でうまくつなげていくのか。是非今まで頂きました議論を踏まえた形でまた見ていただいて,これもまた,教育全体,今,教育振興基本計画をつくるとか,いろんな動きが新しい動きとして,今までの計画をもう一回つくり直すという作業が進んでおりますので,そういう中に流し込んでいって,具体的なものに是非つなげていきたいと思っています。本当にありがとうございました。

□きょう,いろいろ御意見いただきましたので,きょうの議論を,議論としては最終的なところということで冒頭にお話ししました。あと,最終的な取りまとめにつきましては,座長である私にお任せいただくということで御了解いただきたいと思います。

 

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