外国語能力の向上に関する検討会(第8回) 議事録

1.日時

平成23年6月30日(木曜日)10時~12時

2.場所

中央合同庁舎第7号館(金融庁)9階 共用会議室-1(903)
東京都千代田区霞が関3-2-1

3.議題

  1. これまでの審議のまとめ

4.出席者

委員

吉田研作座長、池上久雄、市村泰男、卯城祐司、岡田恵介、太郎良博、中村保、根岸雅史、松本茂、本下俊秀、吉田広毅

文部科学省

山中初等中等教育局長、德久審議官(初等中等教育局担当)、中井国際教育課長、渡邉外国語教育推進室長

5.議事録

(1)開会

【吉田(研)座長】  それでは、定刻でございますので、第8回の外国語能力の向上に関する検討会を始めさせていただきたいと思います。
 本日は本当にお忙しい中、また、暑い中をご参集いただきまして本当にありがとうございます。本日は、これまでの審議の取りまとめに向けて最後の会合という位置づけで考えております。前回いただきましたご意見、また、それ以降個人的にさまざまな具体的な、こういう案はどうだろうというご意見も事務局、私にも寄せていただきました。そういう意見を踏まえて事務局より審議のまとめの案を作成していただきましたので、その説明をまずお願いいたします。よろしくお願いします。

(2)事務局説明

 渡邉外国語教育推進室長から資料1について説明。

【吉田(研)座長】  どうもありがとうございました。ただいまのご説明を踏まえて各委員の方々からご意見をいただければと思います。
 やり方というか、ばらばらにやるのも何でしょうから、できれば、まずはこの理念的な部分、一番最初の部分に関して皆さんさらにつけ足す部分であるとか、ここはどうかというのがありましたら、まずそこからお話をさせていただいて、それがある程度決まったところで具体的な施策についての皆様のご意見をいただければと思いますが、それでよろしいでしょうか。それでは、どなたからでも結構ですが、この今説明していただいた資料の1ページ目と2ページ目、ここについてはあわせて構わないと思いますけれども、何かご意見ございますでしょうか。 

(3)自由討議

【卯城委員】  この最後のまとめですけれども、まずは、この副題にあらわれている「英語を学ぶ意欲と使う機会の充実を通じた確かなコミュニケーション能力の育成に向けて」というところに大きく賛成したいと思います。これまでは、「英語を使える行動計画」は確かにありましたけれども、英語を使えても実際の場面で使う機会がなかったり、あるいは使う場面があっても使おうとしないということが多かったのではないかと思います。特に教室現場では、ALTの先生が来るとか、あるいは海外からのお客さんが来る、そういった中で、質問はできるけれども、自分のことを聞かれたときにその話す内容がないとか、あるいは話すことがあってもそれが発言につながらないというところがありましたので、まさにこれからは英語を使えるから使うというところに大きく踏み出すということで、このまとめ、この5点を含めて賛成します。以上です。

【吉田(研)座長】  ありがとうございます。今のご発言、今までと変わったところで、とにかく具体的に使う場面をきちんとした形で提示していって、本当に使えるような、そういう生徒を育成していこうというところが非常にいいのではないかということですが、ほかの方はいかがでしょうか。

【太郎良委員】  私もこの全体的な1、2、3拝見いたしましての感想を申し上げますと、基本的に結構だと思います。今、卯城先生がおっしゃったこととも一部重なるのですけれども、冒頭のこのサブタイトルで「英語を学ぶ意欲と」云々、ここのところも全くこのとおりで、結構だと思います。ただ、あえて申し上げれば、ちょっとかなり長いので、こうならざるを得ないのでしょうけれども、もうちょっと簡潔に表現されるともっとインパクトがあるかなという気はいたしました。
 それと2点目なのですが、2の「求められる外国語能力とは」のところの一番下の「講義形式の授業から」、次のページに、「例えば、スピーチ、ディベート、ディスカッション」というのがありますけれども、ここに記述されているとおりだと思います。前回のものはスピーチというのが入っていなかったと思いますが、今回入りましたけれども、さりとて実際に初等中等教育の実態を見ますと、まだスピーチでもないような段階というのはあるわけです。英語ではもとより日本語においても、イエスもノーもなかなか発言できない、あなたの意見はどうなんだというようなことを言われてもなかなかそれを言うことができないというような実態があるとするならば、このスピーチ以前にももうちょっと、英語ででも簡単な応答ができるとか会話ができるとか、自分の意見が簡単なことでもいいから述べられるとか、そういったことをも含めてスピーチ、ディベートというような例えば書き方をされるともっと実態に沿った提言になる、考え方になるのではないかなという気がいたしました。以上でございます。

【吉田(研)座長】  ありがとうございます。太郎良委員からも基本的に賛成であると。もうちょっとサブタイトルは短くなればいいなというご発言だったと思います。
 それから、最後のところ、確かに非常に、講義形式から変わるという部分に関しては皆さん大賛成だと思うのですが、スピーチに入る手前の部分についても多少、自分の意見を英語で言っていくという、そういう基本的な部分ももう少し何らかの形で入れられたらいいのかというご意見だと思います。

【松本委員】  まず、タイトルについてです。副題については、このままでいいのかなと思いますが、マスコミで報道される場合などは、短くした表記が出ると思うので、例えば「英語向上ファイブ」とか、何か略称をつくっておくとよいと思います。副題については、英語を学ぶ意欲と使う機会というところが重要だと思いますので、特に短くしなくてもいいのかなと思います。
 それから2番目は、学習指導要領の実現ということが骨になっているという点がすごくいいと思います。学習指導要領の実施は、中学が来年、高校は再来年ですけれども、その学習指導要領に書いてあることはすばらしいことだと思いますので、それを実現するためにこのプランを提言するんだという背景がいいと思います。
 それから3番目ですけれども、2ページ目、平成28年度の達成を目指したということを明確にしている点、つまり5カ年計画であるということを明確にしている点がすぐれていると思います。
 それに関して、4番目として、28年度時点で検証を行うとか、あるいは毎年検証を行うというチェックの部分がこの提言の中に書かれていないような気がします。どういう進捗状況なのかということを毎年、学校及び教育委員会が報告するとか、特に28年度の最後に、簡単なものでいいと思うのですけれども、どのぐらい達成できたかということを発表するというところまで踏み込んだほうがよいと思います。結局、こういうことをやりましょうということだけで、そう言えばあれどうだったのだっけ、みたいなことにならないようにしたほうがいいのではないかと思います。以上です。

【吉田(研)座長】  ありがとうございます。今最後の点は非常に大事な部分です。その前の点についても、学習指導要領をベースにしているというのは非常に大事だと思います。書いてある内容は非常に理想的ですばらしいことですので、それをベースにした形での今回の改革であるということ、それから、具体的な年数が設けられているという、これも、5カ年計画であるということも大事な点ですが、最後に今、松本委員がおっしゃった検証、進捗状況、どういう形でそれを発表していくのかという点について多少記述がどこかで必要になってくるかなということですね。

【市村委員】  松本先生からご意見が先に出ましたけれども、この28年度というのも、私も全く同感でございまして、最初の説明をお聞きしたときに若干違和感を感じたということでございます。というのは、28年という目標を立てるそれ自身は大変重要なことだと思いますけれども、事業をやる、プロジェクトというとらえ方をするならば、プラン・ドュー・チェックというのが当然あるわけでございまして、ここに大事な項目のプランがあるとすれば、それを実行して、それをだれかがチェックするということをしなければやはり実際の達成というのはなかなか難しいのではないかと思います。
 特に、提言という内容になっていますけれども、それぞれの、28年の5カ年の間で達成目標というのが当然あるわけでございますから、今はやりといいますか、ロードマップという工程表をつくって、それぞれの目標を何年度までにどのくらいやるということをある程度考えておく必要はあるのではないかなと、こうちょっと感じました。やはり5カ年というのは長いですから、その間にそれぞれ達成目標というのを明確にして、それを具体的にだれかがチェックして、どうやって実行していくかというバックアップ体制をきちっとしないと、お題目だけで終わるというのは繰り返してはいけないと思いますので、その辺をきちんと皆さん協力してやっていくということが重要かと思います。以上です。

【吉田(研)座長】  ありがとうございました。やはり松本委員と基本的に同じご意見だと思います。やはりきちんとした形でそれを、バックアップ体制というお話がありましたけれども、チェックをしていくということをどこかに明記していくというのは必要ですね。ほかはいかがですか。

【池上委員】  理念的な部分と具体的な提案、手段というのを分けたらどうかということについて前にお話ししたところで、このように、初めに理念、それから具体案ということで分けていただき、非常にすっきりしてきたと思うのですが、その次の段階としては、当然のことながら、具体的な提案の部分はアクションプランであろうと思います。私も大学に途中から加わったのですけれども、ちょうど2004年の国立大学の法人化のときに理事として入って、大学に単年度の予算に基づくプランはあるけれども、中期計画とかアクションプランがなかったのです。これはつくろうではないかということで、一応3年のローリングプランでアクションプランをつくったのですが、やはりこういう具体的に一つのゴールを目指してやる場合にはアクションプランが必要であろうと思います。それが今言った工程表だとかそういうものになってくると思うのですが、ただ、その場合に、具体的には、今度は行政側で予算措置も講じた本当にそういう具体的な工程表、アクションプランができるのかどうかです。これは今まで幾つも、経済産業省などで私は経験しているのだけれども、産構審なんかで出しても、そのときいい絵はかけるのだけれども、全然アクションプランにならないので、そのときはきれいな案でおしまいになって、よかったなということで机に入ってしまうということがあります。これを何とか具体的に実効措置のあるものにしていくには、そこのところをこの委員会であると同時に行政側に出してもらって、後で、先ほどちょっと話がありましたけれども、フォローするということが必要です。だから、大学の今中期計画も評価委員会をつくって、国の評価機構が評価するというふうになっていますけれども、そういう具体的な措置が必要になるだろうなと思います。
 そのことは1つですが、あとこの中で、非常にまとまった理念論ですけれども、2の「求められる外国語能力とは」というところで、円滑なコミュニケーションを図る、理解するというような易しい表現から、この中で、自分の考えを論理性を持って主張し、説明したり、それから議論の中で反論したり相手を説得したりするという多少とがった表現が出てきており、実際に必要なのはこれだと思うのです。ですから、これをこういうふうに具体論で書いたのは1つ大きな進歩だと思います。
 ただ、これをやるのに、スピーチ、ディベート、ディスカッション、さっき太郎良さんからも指摘ありましたけれども、これは今度は具体論なのです。だから、こういうやり方でやるのだということを理念のほうで書かずに、ここのところはむしろ、どこで具体的なアクションプランに入れるかという、こういう、今スピーチ、ディベート、ディスカッションなどをやればいいなんていうことはわかっているけれども、教員の養成のところで入れるのか、それとも教育の手段の具体的にこういうステップをつくり上げるのか、この1、2、3、4、5の中のどこに具体論として入れるのかということをもう一回そちらの段階で議論をさせていただきたいです。
 ディベート、ディスカッションというのは一番日本が足りないところだと思いますし、それから、今TOEFLの試験が本当に変わってきていまして、今現場の高校レベルの英語の先生が迷っているのですけれども、かつてのような文法のかなり入ったTOEFL試験から、今では聴解力、読解力の理解と、それを書く力と話す力で表現するというものだけのTOEFLの試験に変わってきていて、かつてのTOEFLの試験を受けた人の点数が今の点数に評価できないということがあります。日本人が一番不得意なTOEFLの形が主流になってきていて、そのために留学生のためのTOEFLの点数が低いのでどうもアジアに負けたりしているという面も指摘されているのです。したがって、そういうディベート、ディスカッションなんかもこの一つのTOEFL、新しい傾向に対する対策にもなるわけで、もう少し次の具体欄のところでどこかで触れていただきたいと思います。ちょっと長くなりました。

【吉田(研)座長】  ありがとうございました。今のご提案の一つ、最初におっしゃったことは非常に大切な部分かと思いますが、アクションプランとして単に単年度で終わったら、はいあとはわかりませんよでは困るのではないか、きちんとした形で3年なり5年なり、それなりの段階を経てここまでやっていくのだというプランを立てる必要があります。ただ、その際の問題として、予算措置というのが果たしてうまくその間ずっとできるのかどうかという、その辺の問題については行政側にまたお願いしながらやっていくしかないのかなということです。
 そして、最後の点ですけれども、確かに今回、具体的なコミュニケーション技術としてどのようなものが必要なのかということは非常に細かく書いてあります。特に認知的な観点から書かれているわけですが、その具体的な活動としてのスピーチ、ディベートなどに関してはもう少しひょっとすると別のところに具体的な案として入れていく必要があるのかもしれないということです。その辺も踏まえてこの後半の部分についてもこれから考えていけばいいのかなと思います。

【岡田委員】  個別の施策については後ほどまたコメントさせていただきたいのですけれども、英語が使える日本人の育成のための行動計画がかなり未達だったわけで、その反省の上に立って今回の動きがあったということをきちんと明記していただいてあるのは非常に結構なことだと思います。
 それと、6月22日でしょうか、政治主導でグローバル人材育成推進会議の中間まとめというのが発表されまして、それとの整合性がどうなのかということが気になっておったのですけれども、今ざっとチェックしましたら100%反映されていたので、さすがそこは抜かりがないと感心しています。ただ、グローバル人材育成推進会議のまとめには、アクションプランといいましょうか、9ページ目にロードマップ作成ということをうたってあります。ここでは1年後、5年後、10年後という時期を区切っています。今回5年計画ということでありますけれども、グローバル人材育成推進会議のように、1年後、3年後、5年後ぐらいの形でぜひアクションプランを、詳しいものをつくっていただきたいという希望を述べておきたいと思います。そして、先ほど松本先生がおっしゃいましたように、最終年度、終わった段階では総括的なレビューをし、達成・進捗度を公表し、次なる施策につなげていくという絵をぜひかいていただければと思います。以上です。

【吉田(研)座長】  ありがとうございました。この会議だけではなくていろいろなグローバル人材育成についての会議というのがございまして、その間にばらばらな結果が出ていたら何もならないわけですけれども、その間の整合性というのが確かに非常によくとれているなと思いますので、一体として本当に進めていければ一番いいのかなと思います。今も岡田委員からありましたように、何らかの行程というか、そういうものがやはり必要ではないかというご指摘かと思います。

【吉田(研)座長】  最終的にタイトルほぼこれでよろしいのではないかというお話で一応今のところは来ていると思いますが、最終的にもう一回戻ってタイトルについてご意見ございましたらお願いしたいと思います。
 それでは、理念論ばかりでやっていてもなかなか先へ進みませんので、続きまして、3ページから始まる具体的な施策、またここの部分についてお話を進めていきたいと思います。ここに関してはそれぞれ、3ページ目、4ページ目、5ページ目というふうに1ページずついきたいと思いますので、まず3ページ目の生徒に求められる英語力について、その達成状況の把握・検証をするという、それから、具体的な施策の中にあるCAN-DOリストの問題、そのあたりを含めて何か皆さんご意見などございますでしょうか。

【根岸委員】  CAN-DOリストの件と、それからその上の表記の件ですが、小さいほうから一つお話ししますが、施策の1個目の丸でGTECとあるのですが、その後を読むと「生徒に求められる英語力の」とあるので、GTECは社会人版のGTECとGTEC for STUDENTSという中高生用のものと名前が厳密には違うので、出す場合は正確に書いたほうがいいなと思いました。大文字で、GTEC for STUDENTSのところが大文字になります。
 2点目で、これはいいと思うのですが、質問というのでしょうか、先ほどの5年間で検証をしつつということを考えたときに、この検討を行うというのがまたちょっとよくわからないので、誰がどこで何をしたらこれをやったことになるのだろうか、誰がやるのかなと思いながら読んでしまったのですが、ここはもう少し具体的なイメージがあるのか、誰が、そもそも主語がないので、国はというのがありますが、誰でしょうかというところがちょっとあいまいなので、そこを教えていただきたいです。

【吉田(研)座長】  事務局いかがですか、その辺に関しては。

【渡邉室長】  具体的な形はこれからと思っておりますが、国のほうである一定の検討会議の場を設けて、これまでCEFRとか各国の、EUなどございますけれども、そういったものの検証や、あと各学校でつくられているCAN-DOリストの分析などをしながらまず情報収集して、それを踏まえて最終的なこういった国としてのCAN-DOリストの作成に向けていきたいと思っております。今具体的にこの場と決まっているわけではないのですけれども、新たにそういう場を、どこか場を設けて検討していく必要があるのではないかと思っております。

【吉田(研)座長】  よろしいでしょうか。形としては何らかの検討会のようなものを設けて進めていきたいというお話です。ほかの方いかがですか。

【松本委員】  非常に細かいことですが、大きな4番のラベルですけれども、「英語力向上のための5つの提言」とありますが、この報告書のタイトルを考えても、あるいは提言の後に施策があるので、「提言・施策」としたほうがよいと思います。要するにアクションプランもここに書いてありますよ、ということをもう一度ここで明記したほうがよろしいのではないかなと思います。

【吉田(研)座長】  今のところは、一番上のところですね。

【松本委員】  3ページの一番上の4というところが、「提言」で終わっているのですけれども、提言と施策として「提言・施策」としたほうがいいのではないかと思います。

【吉田(研)座長】  はい、わかりました。ほかの方いかがでしょう。

【中村委員】  書かれていることは大変いいことだと思うのですけれども、先ほど根岸さんも言われましたけれども、国が決める大枠はここですと。その次の段階として教育委員会なり各学校は方向を決めてくださいみたいな細かなところをもう少し具体的に書かないとなかなか動き出さないのではないかなという気がいたします。

【吉田(研)座長】  ありがとうございます。出発点として、まず国が何らかの形で方針を示し、それをより具体的に教育委員会などにこうこうこうしてくださいという形でおろしていく、そういうお話なのでしょうかね。ほかはいかがでしょうか。また戻っても構いませんので、では4ページ目も含めていかがでしょうか。ここは、「生徒にグローバルな夢を持たせ、英語学習のモチベーション向上を図る。」という部分ですけれども。

【池上委員】  2番目の表題の「生徒にグローバルな夢を持たせ、モチベーション向上を図る。」についてです。グローバルな夢を持たせということだけで書くと、英語をやるのは特殊な世界に出ていって華々しく活躍する人だけというような、何となくグローバルという言葉と日常生活が結びつかないような印象を持たれかねないと思います。この前の会議でも私お話ししたように、大学の工学部、理学部、医学部、農学部とか、経済学部も含めて、大学の講義がかなり英語でやらざるを得ない、それから留学生も多くなってきて、英語だけでコースが成り立つというようなのが実際に行われてきているわけで、そうすると、大学に進学して勉強するときには英語が必須であるという、これをもっとわかってもらう必要があるのではないのかなと思います。そこで、この2の「生徒にグローバルな夢を持たせ」、これはちょっと単なる思いつきですけれども、「持たせたり、大学での英語による広範な講義の実態を理解させることで英語学習のモチベーション向上を図る」というような、下のほうの、説明ではそういう文章がところどころ出てきておるのですが、この表題自体がちょっと現実とかけ離れて、夢だけなので、もう少し、現実に大学に行って勉強するときには英語は絶対必要なんだという現実を知らせて着実に勉強させるというような表現にしてはどうかということを提案したいです。

【吉田(研)座長】  ありがとうございました。確かに現状、特にグローバル30だとかそういう施策を実際に行っている大学においては英語で大学の授業が行われているというケースがどんどん増えてきているのは事実だと思います。特に大学院レベルになるとかなり英語で行われているところが多くなっているのも、これも全国的に見てもそういう傾向がありますので、今、池上委員がおっしゃった単なるグローバルな夢だけではなくて、日本の高等教育においても英語が必要なんだよという、英語で授業を受けるということは今後ますます一般的になってくるというような趣旨の内容のものもどこかで入れられたらいいのかなと、そういうことだと思います。

【卯城委員】  私も、池上先生がおっしゃられたような、もっと海外へ出るとかそういうことだけではなくて、日常の中に英語を使う機会が溢れている、しかもその出発点が授業であるということは賛成です。
 もう一点、特に高校生の海外留学を推進するに当たって、これまでは留学をして帰ってきた高校生の活用というのがなかなかされていなくて、教員で言えばブロック研修を受けた者が職場に戻って、還元しないままに終わっているということと似ていると思います。ぜひ、高校生が海外へ行ってさまざまな経験を積んだその成果が戻ってきて授業とか学校生活の中で活用される部分をつくる、もう一つは、留学生をいろいろな高校で受け入れていますけれども、大抵はなかなかこの留学生の受け入れにも戸惑っていて、あまり本人にとっては知的な興味はわかないけれども、英語が使われているというところで英語の授業にまず最初に入れられているというところが多いと思います。ここもできれば、さまざまな教科の中で、英語を使って他教科を行うような場面が増えれば、その中で彼らが核となって活躍できる場ができると思いますので、ぜひこの成果を還元できるような形にというところを提案したいと思います。

【吉田(研)座長】  ありがとうございました。日常の中でも英語は本当に広がっているという点が一つ、もう一つ、確かにおっしゃることはよくわかるような気がします。留学を推進するのはいいけれども、戻ってからどうするのだという問題ですよね。これは今までも、ほかのREXプログラムだとかそういうものでも結局同じようなことを言われてきたと思います。海外へ派遣して戻ってきたはいいけれども、その人たちをどう戻ってから活用するのかというところが欠けているのではないかなと、ちょっとそういう気がします。

【山中局長】  これは、確かにグローバルなどそういうところで、英語の必要性が企業の方が多かったこともあって、この提言のほうの2番目というのはいろいろ企業で活躍している方の英語を使っている場面というのが書かれているのです。今までの学校の授業では、実は国際理解教育ですとか国連の持続的開発のための10年、Education for Sustainable Developmentというような形で、いろいろな形で海外の学校と交流したりするというような授業、形態も行われてきておりますが、ディベート大会とかそういうことしか書かれていないので、ちょっとその辺の、国際理解教育だとかESDあたりの取り組みというのも引き続きやってほしいという、通常の授業の中で今まで取り組まれてきたものもやっていくという視点がちょっと具体的なところに抜けているなという気がしました。

【吉田(研)座長】  ありがとうございます。局長がそう言っていただいているということは、これから何らかの形で反映されてくるのではないのかなと、ありがたいと思います。他の方いかがでしょうか。

【太郎良委員】  大変細かな、言い回し的なことになるかもしれませんけれども、4ページの具体的施策の白丸の3番目、教育委員会や学校は云々、英語に関するコンテストへの生徒の参加を推進するとあります。結構なのですけれども、この施策をやる場合、ある程度やはり具体的に提案していただいたほうが学校なども動きやすいと思うのです。いろいろな開催の実態などを考えますと、いろいろな予算のことも絡んで、むしろ予算はどんどん減らされてしまって、開催する人たちは大変四苦八苦しておるというような実態があると思います。私は何でもかんでも行政行政で、おんぶにだっこというのは好きではないですけれども、やはりそこあたり、これだけ英語教育というものが大事なのだということを訴えるのであるならば、それなりのしかるべき支援、予算的な、あるいは時間的な、あるいはその他もろもろの支援などもぜひお願いしたいと思います。例えばスピーチ大会やディベート大会など英語に関するコンテスト開催への支援を行い、さらに生徒の参加を推進するとか、例えばそのような言い回しにしていただけるとさらに効果的なのかなと思います。

【吉田(研)座長】  ありがとうございました。確かに言うは易しで、ただ、やろうとなるとやはりどうしても大変な、費用の面でもかなりかかりますので、今おっしゃっていただいたような、そういうコンテストなどに参加することだけではなくて、それをいかに支援していくかという、その部分についても何らかの形で一言入れていただくといいのかなということですね。

【吉田(広)委員】  必ずしも2のところだけにかかわるとこではないので、どこで言おうかちょっと悩んでおったのですが、まず、モチベーションの向上を図るというようなことを考えた場合に、以前の会議でも紹介されましたし、今回のまとめの中でも紹介されていますが、国立教育政策研究所のデータがありますが、問題は、これは因果関係もよくわからないですし、一体何がモチベーションにきいているのかも正直わからないのです。ですので、もうちょっと細かい形でこういうような追跡調査をやっていくということがまず大事で、どうすることによってモチベーションを高められるのかというのが、ある程度理論的にはあるのだろうと思うのですけれども、実際部分をもうちょっと追求したほうがいいのではないかというのが一つです。
 私の考えとしては、私は小学校をアメリカで過ごしたものですから、小学校から帰ってきて、中学校の英語の授業がつまらなくてしようがなかったのです。なぜつまらなかったのかというと、そんな会話は実生活であり得ないというようなことの連続でした。もちろん、それから20年以上たつわけですから英語の授業は十分に変わってきているのはわかるのですが、例えば英語を使う機会を充実させるという言葉とともに、私はどこかしらに、もしくはすべてのところに、その機会というのがどういう機会なのかというのをきちっと入れてほしいと思います。私は、それはできる限りリアルでオーセンティックな活動であってほしいと考えています。すなわち、実社会や実生活で使う場面を想定した活動であることが望ましいというところをどこかに入れていただきたいと思います。
 もちろん教室の中でバーチャルな訓練をやるということは大事だとは思います。大事だと思いますけれども、そればかりではちょっと困りますし、英語を使う機会を増やしましょうというようなことを書くだけですとある種誤解を招く危険性があるかと思いますので、できる限りそれはリアルでオーセンティックであるべきだということと、おそらくそのリアルでオーセンティックな活動や体験を増やそうと思うと、どうしても、みんなで海外へ行きましょうというわけにはいきませんから、ICTなどの活用がかなり中核的な要素に実はなってくるのではないかと個人的には考えております。以上です。

【吉田(研)座長】  ありがとうございました。モチベーションという言葉自体が果たしてどういう、意味と言ってはおかしいですけれども、どういう形で向上させられるのか、またこれが本当にここで言われているようなこととどう結びついているのかということについてももう少し具体的に調査できれば、その辺についても何か必要ではないかということですね。これはここでという、国立教育政策研究所のほうで何らかの形でそういう研究はもう既になされているかもしれませんので、その辺とのタイアップということを考えられるかもしれません。
 あとは、今、実社会、あるいは実生活ともっと、より結びついた英語、そういう実際に英語を使えるオーセンティックな場面とどう結びつけていくかということだと思います。いろいろな形でいろいろなものがここにちりばめられて入ってはいますが、今おっしゃったICTもその一つではないかということで、これも入ってはいますが、もうちょっとその辺が強調されてもいいのではないか、もっと実生活と結びつくという点です。

【松本委員】  今の点に関連してですが、英語ができる子に対する配慮というのをどこかに入れ込んだらどうかなと思います。トップの人材を育てるような学校を認めるスタンスが7ページに書かれてあると思うのですが、いわゆる普通の公立中学校に例えば元吉田少年みたいな方がいらしたときに、つぶされたり、あるいはつぶされないために自分で隠すケースがあるわけです。例えば、帰国子女がわざとButをバットーとか発音したりする。そういう人材がちゃんと育っていないという問題があるということをどこかに、例えば4ページのほうに書いてもいいのかなと思います。ですから、外国から帰ってきて普通の学校に入ってきた場合に、ちゃんとそれなりの対応をしたほうがいいのだというようなことを書いたほうがよいと思います。
 それから、先ほど太郎良委員が示した部分、お金がないという部分ですけれども、教育委員会が行う大会の場合に、民間企業にもう少し援助してもらうという方法があるのではないかと思って、何回か助言して実現しているケースもあるのですが、一企業にそういうことをお願いするのはまずいといったメンタリティーがまだあって、では複数お願いすればいいじゃないですかと言うと、もっとダメになったりします。例えば「民間企業の支援などを受け」とか一言書くと、そういうことをしてもいいのだと教育委員会の人が思うようになるのではないかなと思います。現実的に県や市の予算で何かをするというのはかなり難しいので、やはり企業とタイアップするということも少しは考えていいのではないかなと思います。以上です。

【吉田(研)座長】  ありがとうございます。今最初のほうでおっしゃったできる生徒への対応ということですが、4ページの具体的施策の一番下のところの留学を推進するというところ、これは長中期の留学ということで、言ってみれば帰国子女も含めた形の記述がここに入っていると私は認識しておりますので、先ほどのケース、ご質問もありましたが、山中局長からも少しお話がありましたけれども、そういう戻ってきた生徒たち、そういう経験をした生徒たちをどう活用するかという中に今のお話を入れていければ一番いいのかもしれません。全く別項目ではないような気がいたします。
 それから、今の太郎良委員の考えておられた支援ということも、民間企業などの支援というのは、この会議の特徴でもありますよね。学校関係だけではなくて企業の方も一緒になっていますから、これはぜひ入れてもよろしいのではないかなと私は思います。教育委員会の方、その辺非常に厳しく見ておられるケースというのは確かにございますので、もう少し自由にその辺考えていただけるようになるといいのかもしれませんね。ほかにいかがですか。

【吉田(広)委員】  すみません、一言だけ。言おうかどうか迷っていたのですが、7行目に、「英語学習のモチベーション向上のためには、質の高い授業を行うことがまず重要であるが」とあるのですが、ここの検討会でいうところの質の高い授業というのは一体何であるのかということを明言したほうがいいのではないかと私は思います。

【吉田(研)座長】  質の高い授業ということなのですが、これが何を意味するか。場合によっては、それこそ先ほど一番最初のほうの理念のところにありました、先ほど池上委員が指摘されたような部分ですよね。議論したりとか自分の意見を言ったりとか、ちゃんとコミュニケーション、単にコミュニケーションだけではなくて、いわゆるクリティカルシンキングを含めた形での授業というのがここでは理念として上げられていますので、そういう解釈でよろしいでしょうか。

【吉田(広)委員】  大事なところなので、何度でも強調してもいいのではないかと個人的には思います。

【吉田(研)座長】  わかりました。それでは、大事なところだということで、今の点についても何らかの形でもう一回入れていただくということでお願いしたいと思います。ほかの方はいかがですか。
 それでは、その次のところも含めていかがでしょうか。ALT、民間人材、ICT等の効果的活用を通じて生徒が英語を使う機会を増やすというこの部分についてもいかがでしょうか。

【岡田委員】  具体的施策全般についてですが、前から話題になっている、これだけの報告書をまとめた以上は一般国民に、世論にやはりきちんと伝えなければいけないという意味で、メディアがこのまとめをできるだけ取り上げていただくということが望ましいと思います。具体的な施策の中にアイキャッチングなものがないといけないというお話を前も差し上げたのですけれども、今回数点入れ込んでいただいておりますので、それはそれで、メディア側から見ると書きやすくなったかなという印象は持ちます。特にグローバル人材の会議との比較で言いますと、ここにあります優秀な「外国人教員等」を600人増やすというところが結構インパクトが大きいのではないでしょうか。
 ただ、ここを、「外国人教員」でピリオドを打っていただくともっとインパクトが大きかったですけれども、「海外経験を積み、高い英語力を持つ日本人」ということも含めているようです。これは具体的、現実的な対応なのかもしれませんが、せっかく打ち出すのであれば、できるだけ優秀な外国人というところにプライオリティーを置いていただきたいという、これはお願いです。
 それと、予算もありますので具体的に書き込めないのはわかりますけれども、ICT、これは突き詰めるとお金の話になってしまいますので、ぜひ行動計画等で具体的な数なり予算ということを落とし込んでいただければと思います。
 あと、ALTの活動に関してですけれども、やはりこういう形になったかなという感じを受けています。ここをもう少し書き込むというのが難しい状況にあるのかなという印象を受けます。かなり歴史のあるプロジェクトであるし、効果があるかないかについては異論があるというのもお聞きしましたけれども、実際に何千人ものALTが日々教育現場で活躍しているという現実は重いと思うのです。ここをどうするのか。さらに検討し、さらに改善を図るというだけではちょっと物足りない感じを私は持っています。この段階で具体的にはコメントできないですけれども、ただ、数値、数量的な目標もある程度意識して、倍増などとは言いませんが、ある程度量的な部分も担保する方向を打ち出していただければありがたいと思います。もちろん質の問題の改善も当然ですけれども、それと同時に、量の問題もぜひ施策として織り込んでいただきたいという、これも希望になりますが、一応コメントさせていただきました。以上です。

【吉田(研)座長】  ありがとうございました。一つ目は、外国人の教員をいかに増やすかという点をもう少し強調してほしいという部分ではないかなと思います。
 それとあとは、ICTなどに関しては、予算だとか台数だとかというもう少し数値的なものが出せるのであれば、それもより具体的姿勢を持ってよろしいのではないか、ALTについても、今後の雇用の形態だとか人数であるとか、具体的な何か数値なり記述ができればよりいいのではないかというご意見だと思います。

【松本委員】  具体的施策の1つ目、2つ目の丸というのはこの委員会で私が何度も発言している点で、ここまで踏み込んで書いていただいて、大変すばらしいなと思っております。特に1つ目の丸の「雇用・契約形態の見直し等」と踏み込んで書いている点はとてもいい点だと思います。
 それから、2つ目の丸についてですけれども、この600人の採用というのは、両方足して600人ということですね。それと、日本人英語教員という人たちは「教諭」というステータスではなくて、ということでしょうか。これまでもこういう人を「教諭」としても採用していると思うので、別枠でということでしょうか。教諭ではなくて何か常勤講師とか、そういう形で採るということでしょうか。

【渡邉室長】  その形態は特に問いませんけれども、要は非常勤ではなくて正規の教員としてということをイメージしています。

【松本委員】  600人の数え方に日本人が入るとなると、あまりよくないのではないかと思います。普通の日本人の英語の教諭は海外経験を積んでいない、高い英語力も持っていないと読み込めてしまう危険があるので、何かステータスを変えないと。要するに、例えば、実務経験が長い場合とか、年齢制限を越えてでも採用できるとか、何か別枠扱いにしないと、普通の教諭は海外経験もないし英語力も低いのかというふうに見られてしまうとまずいのではないかと思いました。ちょっとうがった見方で申しわけないです。
 それから、その上の本文の部分ですけれども、最後のパラグラフで、私が強く主張した点をこうやって入れていただいてありがとうございます。教科書については、やはり、活用だけではなくて、そのものの中身が大事だと思うのです。ここの検定制度の見直しとか入れられないというのはしようがないとは思うのですけれども、最後から2行目のところで、教科書、教材が効果的に「作成・活用」されることというふうに、作成、制作といったことを入れていただければ随分違うのかなと思います。
 現状の教科書に対して私は大きな不満を持っていて、現在、検定中の新しい教科書についても大変心配なわけです。結局、英語の指導法を変えないという教員がたくさんいる中で、そういった教員のための教科書がつくられ、検定も合格してしまうというこの悪循環を絶ち切るというような意味を込めて「作成」という2文字をここにぜひ入れ込んでいただきたいと思います。悪いものを今大変な思いをして先進的な取り組みをしている英語の先生は使い込んでいるわけなので、もとを正さなければいけないという部分を私としてはその漢字2文字に念を込めたいと思います。お願いいたします。

【吉田(研)座長】  ありがとうございます。最後の点は果たしてどこまで書けるかちょっと私もわかりませんが、作成という言葉を入れるぐらいは問題はないのではないでしょうか。これを足せばいいだけ、それ以上突っ込まない。それであれば何とかなるのではないでしょうか。松本委員のおっしゃっているのは教科書作成にかかわってみんな思っていることでは多分あると思います。ですから、何らかの形でその辺の指摘ができれば、それも大事な部分かもしれません。
 それから、先ほどの、確かに外国人と日本人といった場合の、その日本人がどのような人を指すのか、これについてもう少し明確にするというのは確かに必要です。それについて事務局ではいかがですか。

【中井課長】  ありがとうございます。当初ここは、岡田委員からお話がありましたとおり、外国人教員の書きぶりでした。ただ、議論を進める中でいただきましたご意見の中で、商社で活躍された方のように、海外で実務経験を積み、生きた英語について十分な知識を持った人たち、そういう人たちも外国人教員同様教育の現場で役に立つのではないだろうか、そうしたご意見をいただきました。確かにそのとおりだと、ご指摘もっともだと思いましたので、その趣旨を書いたわけですが、今、松本先生からご指摘いただいたとおり、書きぶりからは普通の先生とほとんど違いがはっきりしません。外部人材であるといったところがより明確にわかるような形で工夫してみたいと思います。

【吉田(研)座長】  よろしくお願いいたします。

【卯城委員】  まず一つは、ALTの雇用・契約形態の見直しについては賛成です。これは、生徒が英語を使うさまざまな機会をつくるというだけではなくて、日本人の先生がALTとしっかりとTTの事前協議をする、それから、反省をする機会を保障する、また、ワークシート、あるいは定期試験などの見直し、同じ英文を使わないでオリジナルの英文を使ってテストをするなどにつながっていって、ワンショットがお遊びに終わらない、今のように教科書を中心とした日本人の先生が1人だけで行う授業と連動するような効果的な教育につながっていくのではないかと思います。
 もう一点、この提言の中にはなかなか入れられないのでしょうけれども、私たちはさまざまな生徒を教えているので、可能であればですけれども、障害のある子供たちのことについてもちょっと触れるスペースがあればいいなと思っています。私は今筑波技術大学という筑波大学の隣にある大学で非常勤をやって3年目になるのですけれども、ここは国内で聴覚障害者と視覚障害者を受け入れる唯一の高等機関なのです。国内には、ちょっと調べてみたのですけれども、平成20年度の身体障害者手帳を発行されている方だけでも視覚障害者の方が38万人、それから聴覚障害者の方が45万人おられるのです。
 何が一番そこで問題かというと、我々のような者が、手話とかあまり得意でない人間が教えるときに情報支援というのが大事になってきます。例えば、教科書バリアフリー法で小中学校には拡大教科書というのが配付されていますけれども、高校は、ある程度の需要が認められる盲学校とかそういうところは就学奨励費という公費で賄えるのですけれども、一般の高校に通っているような子供たちとか、あるいは大学生に対してはなかなかそれがうまくいかないのです。これがもし、ここのICT教材とかデジタル教科書といった中で、使いやすいデジタル・データのフォーマットが、私たちはワンソースマルチユースという言葉を使っているのですけれども、さまざまな形に使えるデータをもらえれば本当に楽だなと思うのです。
 耳の聞こえない子供たちには、ここでCDをなんていうことはできませんから、パソコン筆記の方がおられて、あるいは我々もホワイトボードに教科書を拡大して投影するわけですけれども、普通のコピーを拡大して使ったものがどれだけ使い勝手が悪いかというと、本当に拡大するとごく一部しか写らないわけです。ここをもしもう少し使い勝手のあるデータをデジタルでもらえると、こういう子供たちの支援が支えられて、インフォメーションディバイドというのがなくなるのではないかなと思っています。

【吉田(研)座長】  非常に大切な部分が最後今指摘されたように思います。特にこのICTの活用の部分に何か一言、いわゆる今おっしゃったワンソースマルチユースという観点からいろいろな違った生徒たちにも使えるものという何らかの発想が一言触れられていれば、これもすばらしいなと思います。

【根岸委員】  ちょっと戻るのですが、具体的施策の2点目ですが、これは少し文言を直して「教育委員会は、優秀な」というのもちょっと後で触れたいと思いますが、「外国人や海外経験を積み、高い英語力を持つ日本人を英語なんとかとして採用を進める」みたいな形はどうでしょうか。今少しあいまいにしたのは、つまりここはALTと対照した形での英語の教員である、要するにアシスタントではなくという表記を何らかして入れるのがいいのかなと思いました。
 もう一つは、ちょっと最初に触れた「優秀な」という文言なのですが、これは、優秀でないより優秀なほうがいいと思うのですが、教育委員会が優秀な外国人を採用するというのは、制度として採用するということは教育委員会は可能かもしれないですが、これは一つのマーケットの中にあるので、優秀な外国人というのがもしいたとすると、とり合いの状態になっていますから、これを教育委員会がとりに行く場合は、変な話、お金を高く積んでとってこいというようなことに、かなりリアルな話ですけれども、なってきて、大抵の場合は負けてしまうということになりかねないのですが、ここは、こういう文言というのは、できるだけいい人採ってね、みたいな気持ち上の目標みたいなことなのでしょうか。具体的にそれぐらい確保して、予算的にも考えて採ってきなさいということなのか、どういう意味なのかなと思ったりしたのですが、いかがでしょうか。

【吉田(研)座長】  いかがなのですかね、この辺は。難しいですね。

【渡邉室長】  もともとALTの話があって、その中で特に優秀な方をできるだけ教員として採用していくという流れの中で、上のほうで「優秀な」が入っていたので、それがこのような形で入っているものですけれども、いずれにしろ皆さん優秀な人を採用しようとしているのは当然なので、確かにあえて書く必要は特に下のところはないかもしれないと思います。

【吉田(研)座長】  後でまたちょっとこちらで相談させてください。

【吉田(広)委員】  すみません、立場上申し上げないといけないのだろうと思うのですが、本文の下から2段落目のところで、「英語を使う機会を充実させるためには、ICTを効果的に活用することも重要である。」と書いてあるのですが、ALTは実際にもう既に学校に入り込んで長くたちますので具体的な活用のイメージや課題などは見えているだろうと思うのですが、ICTはなかなかそれがまだ、特に英語は弱い分野であるというのはわかりますけれども、ちょっとあまりにも寂しいかなと思います。
 ですから、具体的施策の一番最後のところにICTの活用について書いてあるのですが、要するに授業の形態ですとかその方法についてしか書いていなくて、それは何のために使うのかとかどういうようなことに資するのかというようなことを書かないとなかなかこれは進んでいかないと思います。
 そのためにはまず、ICTを活用した海外との交流学習・協働学習というところでいったん切って、それでこうこうこういう目的のためにというようなことをつけ加えて、さらについでのところでは、例えば、学習の定着を図ったり、例えば補習のため、または個別の興味に対応するための個別学習、課題学習におけるICTの活用でいったん切って、さらに授業の改善、具体的には授業の効果や効率の向上のためのデジタル教科書や教材の活用を行うなどというようにしていかないと、方法だけ示されてもそれが何の役に立つのかというのがよくわからないと、ましてや上のほうにも説明がないので、うまくいかないかなというのが私の実感です。もし必要があれば、もちろんごらんいただくような形で書きますが、先回と先々回公務のために出席できずにこの場でこういうことを申し上げるのも申し訳ないとは思いますけれども、気づいたものです。失礼いたしました。

【吉田(研)座長】  ありがとうございました。でも、確かに大事なことだと思います。ICTをどう活用していくのか、何の役に立つのかということをもう少し明確にするというのは非常に大切だと思いますので、まだ吉田委員からまた少し書いて出していただくということも可能ではないかと思いますのでお願いいたします。

【市村委員】  3番目のALT民間人材、ICTの効果的な活用のところですが、具体的な施策の下から2番目に書いてございます企業OBの活用の件でありますけれども、ここに書いてある内容というのが、私は、商社のOBというボランティア集団ですか、ボランティア活動をやっております国際社会貢献センターというところの理事長もやっておるのですが、そこは2,000名強のOBが具体的にいろいろな活動をして教育にインボルブしているのですけれども、大学教育等では実際に英語で講座を持って指導しているというようなケースは幾つかありますが、小中高のレベルでやっている実態を考えますと、むしろ国際理解教育といいますか、そちらの方面での活躍の場が非常に多いです。そういうことからしますと、ここに民間OB、企業OBの活用というのを入れるよりは、むしろ2番目のモチベーション向上のほうで貢献しているのではないかなというような気もちょっといたします。
 したがって、こういうポータルサイトの構築等で活用するというのであればここに残してもいいと思いますが、実質的には、国際理解教育ということで、いろいろな学校へ出向いて海外の生活とか文化とか、あるいは言葉、そういうものについて小学校、中学校で実際に出前出張みたいなことでやってくるのです。これはむしろ、言葉を覚えさせるというよりは、外国生活というものはこういうものですよと、あるいは外国というのはこんな楽しいところですよというようなことで、非常に海外に出向いていくことを啓蒙するような、モチベーションを上げるような教育をお手伝いしているという認識なのです。したがって、企業活動のOBで、もちろん学校の英語の先生になっている方もおられますけれども、主体はむしろモチベーションの向上のほうで活躍しているのではないかなと思います。これをまた我々としてはますます大きくしていこうというふうに方針として出していますので、それを考えますと、2番目のモチベーションの向上のほうに入れてもよろしいのではないかなという気がちょっといたしました。以上です。

【吉田(研)座長】  ありがとうございます。確かに2番目のところにも企業の協力を得てというところがありますので、そこともう少しうまく結びつけてやっていただくといいのかなと思います。ありがとうございます。

【池上委員】  このALTの現実の採用問題で震災後に大変苦労しておりますし、帰ってしまった人も多いとのことです。それから、そうでなくてもなかなか直接雇用はできないので派遣会社から派遣してもらうとかいろいろなことを考えているのですが、これと並んで、7ページのところで、戦略的な英語教育ということで国際バカロレアレベルの教育を実施する学校を5年間で200校というようなことになってきますと、バカロレアでもMIPレベル、1つ下のレベルでは、ミドル・イヤーズ・プログラムでは必ずしもイマージョン教育は義務化されないけれども、相当数のしかし外国人の支援も必要だとなります。さらにはディプロマ・プログラム、DPのコースも入れようとすると、これはもう完全に外国人の正規の教員が必要になってくるわけです。それをするには今度は日本の免許状も取らせなければいけないというようなことで、かなりこういう具体的なところを提案するにはそのバックになる、そういう人の手当てとか何とかを考えていく必要があるわけです。ここまで書くとなると、ALTの雇用契約形態の見直し等適切な対応を行うという初めの具体的施策の中の、これはかなり大切なところだと思うのですが、教育委員会はということで地方に振っておりますけれども、これは完全に「国と教育委員会は」ということで、雇用形態、それから免許状の与え方、すべて抜本的に検討していただいて、臨時免許状を出すよというけれども、今では教育委員会はほとんど地方の雇用の維持のため出さないとか、いろいろな悩みが現場レベルではありますので、このところは、国と教育委員会は、ここまで出してやるとすれば、やはりALTの採用のあり方、ですから、雇用の改善とか契約形態の適正化とかいろいろなことを国と地方が一緒になってやるように書くべきだと思います。

【吉田(研)座長】  ありがとうございます。今、特に国際バカロレアあたりのMIP、メディアプログラムの場合でも、私も実際知っていますけれども、結構厳しいです。ですから、そういう意味で言っても、やはりALTの雇用の形態であるとかいうことに関しては地方だけというのは難しいなと私も思います。ですから、ここはやはり国も一緒に併記するということがやっぱり大事になるのではないかなと思いますけれども、いかがですか。

【渡邉室長】  実際の採用のほうは各教育委員会にはなりますけれども、当然そのバックボーンになる制度とか、それから、それに対して適切な指導をしていくという立場で国ということは十分あり得ると思いますので、それは記述を工夫して入れていきたいと思います。

【吉田(研)座長】  ありがとうございます。それでは、時間のこともいろいろありますので、もう一つ先も含めて、次の「英語教員に自信と力を与えるとともに、学校・地域における戦略的な英語教育改善を図る。」という部分も含めてのご意見いかがでしょうか。

【太郎良委員】  それでは、4「英語教員に自信と力」云々のところで私の感じたところを2点申し上げたいと思います。ここの中身というのはこの会でも随分時間をかけて、ではどれぐらい英語教員は実際英語の運用能力その他求めたらいいのかということで随分議論したことだと思います。そしてその結果として、ここにも書かれておりますように、そのパーセンテージがまだまだ低いとか、そういったことが簡潔に書かれており、そのような議論の結果を受けて、英語教員に自信と力を与えるとともにという、こういう表現になっていると思いますが、私は率直なところ、自信と力を与えるとともにという書き方になってしまうと、ではそんなに英語教員は自信がないのですかというようにもとられかねないことを危惧します。
 実際に英語教員と言ってもさまざまだと思いますが、そんなに自信がない人ばかりでは、ありません。自信のある人も、ここでいう自信が何であるかは別にしても、英語の運用能力一つとっても優秀な人はたくさんいる。そしてまた、ここに出ているような点数的な視点からすればまだまだ低いかもしれないけれども、必死になって日夜教壇に立っている教員もたくさんいるわけです。
 そういったような実際の教員の立場というものを考えた場合、自信を与えるというような、このような、もしかしたらネガティブにとられかねない表現は考えたほうがよい。自信というような情緒的な表現ではなくて、もっと具体的な、明確な書き方をしたほうがいいと思います。
 ということはどういうことかというと、味もそっけもありませんが、例えば英語教員にさらなる英語運用能力の向上を求めとか、例えばそういった書き方のほうが効果的だと思います。実際に教える立場にある者として、ああそうかと、もっと勉強しないといけないんだなと受け取るのではないかと思います。ですから、私はこの自信という言葉はどうも、非常に情緒的な言い方であって、何かひっかかっているのですが、そういうようなことをぜひ申し上げたいと思います。ここの自信と力を与えるというとらえ方は、どうやって日本人に英語の力をつけるかということの根本にかかわることであるだけに私はこだわりたいなと思います。
 それと、2つ目はその次のところの「学校・地域における戦略的な英語教育改善を図る。」という、「戦略的」という言葉の使い方であります。この会議はビジネス世界の方もいらっしゃるので、そういった方々におかれては戦略的な言葉は何の齟齬も感じない、当たり前の言葉であるかと思いますが、戦略的というのは大きな、いわゆる相当経営的な感覚の言葉です。しかしながら、実際に学校教育にかかわっている教員、あるいは管理職レベルでもそうかもしれませんが、はっきり申し上げますと戦略的というような感覚では教育の仕事はしていないと思います。教育という仕事には教育という世界独自の課題もあるわけであって、実際に、英語の先生だけではないけれども、教師は、児童生徒にかかわる場合、戦略というような考え方ではやっていません。戦略という言葉はどう辞書を引いても、もともとの意味は言うまでもなく基本的にはやはり軍事的な色彩を持った言葉です。ということはストラテジーにしても戦略にしても、敵と味方、あるいはどうやって相手を説得させるかという二律、対立的な物の考え方が基本にある用語であると思う。私は、そうしたとき、一般社会でこの戦略的という言葉を使うのは構わないけれども、では実際の小学校や中学校や高等学校でこういった考え方で教育という仕事を進めることが全くよろしいのかというと、私はちょっと首をかしげざるを得ないものがあります。
 ですから、ここは私は、今回のこの答申というものが、学校や教育委員会だけでなくて、企業その他の方々のご意見も入れているということは大変結構なことであって、それを踏まえれば、ここで使われているような戦略的というような意味合いを入れることには全くやぶさかではありません。しかしながら、ここで言われていることは、学校や地域にあってお互いが協力をしてもっと大きな視点から英語改善を進めようという意味合いで使われているのであると思うのですが、何かそういったうまい言葉があれば、ぜひそういった言葉を使っていただければなと思います。総合的だとか統合的などという言葉が別のところでは使われておりますが、それもここで戦略的ということで言われていることとはちょっと違うのですけれども。以上、学校で教える人たちにどれぐらい、なるほどなというような納得性を与えられるかという視点から、表現の仕方について、もうちょっと考えていただきたいと思います。以上2点です。

【吉田(研)座長】  ありがとうございます。最初が、教員の自信という言葉が出てきているという点です。むしろさらなる英語の運用能力の向上というような、そちらの方向のほうがいいのではないかということです。
 あとは、「戦略的」という言葉自体、これについてもう少し考えてもいいのではないかということですけれども、これについてもまたこちらのほうで最終的に調整させていただくということでよろしいでしょうか。

【根岸委員】  教員に求められる英語力として上がっている数値目標がありますが、これが、まず一つは上で上がっている、これはこれまで求めてきたということですが、TOEFLのPBTで550で、今回は下のTOEFL、IBTの80とするということで、変えるということですよね。まず確認です。
 私は、ほかの部分との整合性の問題もあるのですが、学習指導要領のなるべく完全実施ということを求めて4機能のバランスということを強調していますが、英語の教員に求められる英語力といったときに、これらのテストを見ると、TOEFLのPBTは話す、書くがなかったのですが、IBTに変わるということで、これは話す、書くが入ってくるということで、これはいいと思うのですが、TOEICが730と数値が置かれていて、英検の順位というのは4技能一応入っていると思うのですが、TOEICのほうが、このままだと2技能だけなので、なるべくSとWという、話す書くというほうに関しても、TOEICでいくならそちらも求めるということをしないと、片方で4技能を強調しつつ、TOEICでいけば2技能で先生は済んでしまうというようなアンバランスが生じるので、そこに関してもちょっと触れていただきたいなということと、先ほど社会人版のGTECというのもあるということをお話ししましたが、入れるのであれば、GTECは4技能すべてバランスよく入っているタイプでありますので、そういう4技能という観点で言えば、オプションとしてはあってもいいのかなと思いました。

【吉田(研)座長】  ありがとうございます。上の文章のPBTは、今回はIBTの形で表記されるということは間違いないと思います。確かに今おっしゃったとおり、特にTOEICの場合、ここにある730というのは、これはリスニングとリーディングだけの点数ですので、何らかの形でS、Wについても、スピーク、ライトについても触れておくというのは大事だと思います。また、GTECについても考えても構わないのではないかなと思います。

【吉田(広)座長】  2点申し上げたいことがあります。まず一つは、授業を実際のコミュニケーションの場面とするため授業は英語で行うことが基本とすることが求められているという文言がありまして、これ自体には全く賛成するのですけれども、4技能ですとか読むこと書くことという、もちろん新しい指導要領の大きな柱として言語活動の充実というのがあるのでそれはいたし方ないとは思うのですが、特に中学校での英語教育を考えた場合、中学生の英語力というのはもちろん限られているわけですので、理解させるということを考えた場合に、コミュニケーションをきちっと行うということを考えた場合に、ノンバーバルのコミュニケーションは非常に大事になるのではないかと思うのです。ですので、別に唯言語主義に向かおうと思っているとは思いませんが、ノンバーバルコミュニケーションの重要性もここで一つどこかで入るといいかなと思うのが1点です。すなわちジェスチャーですとか表情、あと映像をもっと効果的に活用できないかというのが私の考えです。
 もう一つ、この検討会では、教員の英語力の向上とともに指導力の向上についても丸々1回分使って話をしたと思うのですが、そのまとめられ方が、最後の1行のところで、「英語力・指導力を育成するよう改善・充実を」となっている程度のように思うのですが、私は英語力よりも、実はむしろ指導力のほうに問題があると考えております。それは以前申し上げたとおりです。特にここのところで、例えばスピーチですとか、ディベート、ディスカッションなどの言語活動の充実ですとか、もしくは国際交流学習みたいなことが入ってくると、なおのこと指導力というのが重要になってきて、特に何が大事かというと、私は、日本人教員の授業のデザイン力ですとかコーディネート力だと思うのです。すなわち、いかに授業をつくり上げるのかということが大事だと考えています。ですので、それらを学ぶ場面がどこかで必要ではないかと以前もちょっと申し上げたように思っておりまして、私はそれは教員養成課程が適当だと思うのですが、授業の方法ですとか、もしくは授業の設計などに関する学ぶ場がないと、新しくこれをやれと言われても、なかなか教員としてはついていけないというのが実情ではないかと考えます。以上2点です。

【吉田(研)座長】  ありがとうございました。コミュニケーション自体非常に総合的なものですから、言語だけではありませんので、その辺の文言の工夫ということになるのかもしれませんね。その辺については、確かに言葉だけではなく、ほかのコミュニケーションにかかわる要素も含まれるような、そういう表現がうまくできればいいなと思いますので、それもちょっと考えさせてください。
 それから、最後の点は非常に大事な点だと思います。やはり英語力だけでなくて、これは以前から指導力あるいは授業力というような言葉でずっとこの会議でも言われてきたと思いますが、その点についてももう少し何らかの形で明確に出したほうがいいのかもしれません。ですから、それがどういう形で出るか、ちょっとそれも事務局と一緒に相談させていただきたいと思います。

【松本委員】  まず、タイトルですけれども、もしこれがまずいということであれば、「英語教員を支援するとともに」というような、何かサポートしているんだよというニュアンスを出したらどうかなと思います。
 それから、中段に英語教員に対する集中的な研修を実施することが必要であると書いてあって、具体的な施策を見ると残念ながら私が主張したことが抜けているので、できれば次のような文言を一つ別枠の丸で入れてもらえないかなと思っています。小泉改革等があって国が研修を主催することは非常に難しいというのはわかっているという前提で、「国は各都道府県で英語教育改善のためにリーダーとなり得る候補者に対する全国レベルの研修の開催を検討する」と書けないでしょうか。検討するという言葉には、やってほしいという気持ちが込められているのですけれども、やると書けない状況もわかりますので、できる限りその方策を模索していただきたいということです。
 それから3番目は、これは質問ですけれども、具体的な施策の4つ目の丸の「英語教員等の養成の中核的拠点となる大学を重点整備する。」とあります。これを重点整備するということはどういうことなのかということを後で教えていただきたいと思います。
 それから4番目は、最後の丸で、「国は、各教育委員会の状況を把握・公表する。」とあり、かなり踏み込んでいて、こういう文言はわくわくするので、いいなと思いました。
 それから、次のページに行きますと、具体的な施策の部分ですが、SELHiをやっていたとき、たしか中教審の会議でも、何で中学校版がないのかという話が出て、そのときに、なかなか中学校を国が束ねるのは難しいというような話があったような記憶があります。それは別にしても、今の中学校の状況を考えると、どこかを研究拠点にするというのはやや非現実的ではないかという感じがするのです。全国250校というのもかなり数が多いので、例えばですけれども、高校にこの研究拠点は絞り込んだ上で、近隣の中学校との連携を模索するとか共同研究をするというふうに文言を入れればよいのではないでしょうか。私は、中学単独でやるよりは、近隣の高校と中学校が共同で研究するという接続・連携を考えたほうが意味があるのではないかと思うのです。特に中学校の3年の最後のレッスンと高校の最初のレッスンのギャップをどうやって埋めていくのかというのは大きな課題だと思いますので、中学校の先生に、今クラブ活動とか忙しい中で、あるいは各校3人とか4人しか英語教員がいない中で、研究までしていただくのは大変なのではないのかなという気がします。
 それから、最後は質問ですが、国際バカロレア「レベル」のと書いてあるのですが・・・。これが200校。200校というのはすごい数だと思うのですが、バカロレアではなくて「レベルの」と書いてあるところが何か思いが込められているのかなと思いますので、このレベルというのはどういう意味なのかということを教えていただきたいです。質問に関しては2点です。

【吉田(研)座長】  ありがとうございました。最初の表題のところの、先ほど、自信と力というのは問題であれば、支援とするという形に書きかえることは可能かなと。確かにそれは言えるかもしれません。
 それから、質問としてまず出ているのは、大学のところで、「重点整備する」という言葉がどういうことなのか、そして、今最後に出てきた国際バカロレアレベルの教育、このあたりは事務局どうでしょう。

【渡邉室長】  1点目でございますけれども、大学の重点整備の件は、小学校外国語活動の導入に伴いまして例えば教員養成系の大学などで英語教育のセンターみたいなものができたりしておりますので、そういったところを中核として研修とか養成を担っていくというようなこと、あと教職大学院の活用とか、そういったことを一応いま念頭に置いて検討を行っているという状況でございます。
 それから2点目でございますが、こちらは、内閣官房のグローバル人材育成推進会議の報告書でもうちょっと具体に書いてはいるのですけれども、国際バカロレアレベル資格を取得可能な、またはそれに準じた教育を行う学校ということで、バカロレア自体を取るというのはかなり難易は高いものですから、必ずしもバカロレアそのものの資格、認定を受けなくても、その同程度のものを例えば日本語とかで行うということも含めて、そういったレベルに近いものを合わせて200校程度といったものを考えております。

【松本委員】  その場合、1つ目の丸と関連しているんだというようなことの書き方はどうなのでしょうか。研究拠点というのはトップの学校と中間の高校と2つぐらい設けるのかもしれませんけれども、トップの場合にはこの国際バカロレアを目指せ、そういうタイプの指導が可能かどうかの研究を含むといった感じで、今スーパー・サイエンス・ハイスクールでやっているようなことなのだとして、何かに関連させないと結構難しいのかなという気はしますけれども。

【吉田(研)座長】  つまり重複している部分というのがあるということですよね。

【渡邉室長】  はい。記述は工夫をしてみたいと思います。

【吉田(研)座長】  それからもう一点、先ほど出てきました中学校、拠点とする学校、中学、高校それぞれ分けているのを、むしろ逆に高校を中心にしてそこに中学校が一緒に入るという形、今、中等教育学校だとか、あるいは連携の形で中学、高校というのは結構いろいろなところでできつつあるということを考えると、全く独立にということよりも、そのあたり、一体化させていくという考え方も十分にあるのではないかなと思います。

【松本委員】  地域によっては小学校を入れるというケースもあると思うのです。

【吉田(研)座長】  それもありますよね。地域によっては当然、小中の連携でもう一貫校をやっているところもあるわけですから、その辺はそれぞれの地域に合わせて、そのニーズに合わせてということでしょうね。

【中井課長】  その場合、数字が若干変わるかもしれません。

【吉田(研)座長】  そうですね。数字は多少変わるかもしれませんが、今おっしゃっていただいた点は大事だと思います。ただ数字増やせればいいだけの問題ではないと思いますから、内容とあわせた形でもう一回ちょっと考えてください。

【卯城委員】  日本人若手英語教員米国派遣事業に関して注文があるのですけれども、これまでの多くの海外派遣プログラムというのは、その教員をあまり職場に影響を与えないということで夏休み等の長期休暇に派遣することが多くて、その場合は団体で派遣をして、その日本人の先生のグループだけのために向こうで大学で授業を開講する、つくるというような形が多かったのですけれども、そうすると向こうの学生と触れ合うという機会もありませんし、共通な場も、先生を除くとほとんどが日本人の教員ということで、果たしてそれは海外まで行く必要はあるのか、日本で集まって講師の先生方を呼んだほうが安いのではないかと思われるような派遣が非常に多かったのが実情ではないかと思います。
 一つには、もう少し教員が海外に出やすいように人的支援を行って、例えば一人一人がどきどきしながら違う大学に行ってワンセメスターぐらいノンディグリースチューデントとして行ってくるぐらいのことがなければ、今の状態では、おそらく自動販売機一つ並ぶにしても前の同じ日本人同行者と同じところにコインを入れれば出てくるというような、あまりどきどき感もなく、異文化を経験しないような形に終わっているような気がします。

【吉田(研)座長】  ありがとうございます。これはもう内容、中身の問題だと思います。プログラム自体が継続ということと、それからその中身がどうなっているのかという部分だと思いますが、これはこれなりに内容としては十分考えなければいけないので、このプログラム自体を実施していく段階での一つの大事な点ではないかと思います。他はいかがですか。

【池上委員】  先ほどの吉田委員の意見に全く賛成です。指導法というものが、世の中が変わってくる、英語教育の内容は変えようと言っているときに、それの指導法に対して我々がついていっているのかどうかです。先ほどお話しした総論の部分で、論理性を持って話していく、そういうためにスピーチ、ディベート、ディスカッションなどをやろうと、これは具体論のほうに入れようではないかという話をしたのですけれども、この中で、具体的な施策の中の2つ目で、「国は研修のプログラム例や教材など」というようなところに、「国はスピーチ、ディベート、ディスカッション指導等を含めた研修のプログラム例や教材など、教育委員会や学校が研修を実施するに当たって役立つ情報を提供する」と、ここで具体的なものを入れたらどうかなと思います。先生方にお聞きしたいのですけれども、こういうスピーチやディベートというのは、やろうと言えばすぐできるものなのか、やはりちゃんとした指導法があってやるべきなのか。少なくともビジネススクールなんかで私どもが見ていまして、日本でいいビジネススクールがなかなか育ってきていないのは、ケーススタディーを指導するケースリーダーがいないのです。ですから、そういうリーダーを育てることが非常に必要ですけれども、ここではそこのところをあまり強調していないので、やはりそういうスピーチ、ディベート、ディスカッションをリードできる教員を育てていくということを入れる必要があるのではないかと思います。

【吉田(研)座長】  今おっしゃった点というのは先ほど吉田委員がおっしゃったことと関連すること、しかも、一番最初に池上委員がおっしゃっていた、より具体的な施策として入れたほうがいいのではないかというスピーチ、ディベートその他、それをここのところで、研修の内容としてそれも含めて入れるというのは確かに理にかなっているのではないかと思います。

【松本委員】  大賛成ですけれども、そこにプレゼンテーションという言葉を入れてもらえないかなと思います。中学校の段階ではスピーチでいいと思うのですが、高校の段階で1人でスピーチをするといった体験は、大学へ進学してからほとんど役に立たないです。今大学でやっていることは、パワーポイントを使いながらグループでプレゼンテーションするということが多いものですから、できればそこに、教員の指導のほうにはスピーチにかわってプレゼンテーションという言葉を入れたほうが新規性もありますし、実際にプレゼンテーションをされたことがない先生が多いということを考えると、スピーチをやったことがない人はいないと思いますし、スピーチのかわりにプレゼンテーション、ディベート、ディスカッションというように並べたほうがいいのではないかなと思います。

【吉田(研)座長】  私も賛成です。そう思います。

【本下委員】  今の内容に関連して、5の大学入試のほうにも少し触れたいと思います。大学入試では、聞く、話す、読む、書くの4技能をバランスよく問うようにと書いてありますが、今おっしゃられたようなプレゼンテーションのスキルであるとかディベートできる能力とか、より聞く、話すというコミュニケーション能力に重点を置いたようなメッセージが出せないかなという気がいたします。
 英語はスポーツというくだりが3のALTのところにありましたけれども、全く同感でございまして、グローバル社会で競争している民間現役の私の実感としては、英語というのは学習課目というよりは実技科目に近いところがございまして、いかに相手とロジックで闘えるかというのが現場実感でございます。もちろん学習指導要領で、話す・聞くを重点的に指導というのは難しいのだと思うのですが、少なくとも大学のようなレベルの高い教育機関ではコミュニケーション能力をより重視するのだというようなメッセージを出すことで、中学、高校の教育のあり方も変わっていくのでは、即ち大学入試が変われば、中学・高校教育への波及効果もあるではと思います。以上です。

【吉田(研)座長】  ありがとうございました。確かに大学、先ほども出ましたけれども、既に英語で実際に授業を行われたりとか、私もずっと英語でゼミをやったりしていますので、そういう点がもう少し明確に出て、日本の大学でもこういうことはますます必要になるからということで入れていくとより現実味があるのかもしれません。ありがとうございます。

【太郎良委員】  この7ページのところで随分意見がたくさん出ておりましたけれども、感じたところを3点ほどお願いいたします。先ほど吉田先生のほうから、また、池上先生からも指導力の重要性ということのご指摘がありましたけれども、全く言うまでもないことでありまして、英語の授業をやる前に指導力がないのでは全くこれは授業にならないので、もっともなことであります。ただ、この報告書はあくまでも英語中心なわけですから、あまりそっちのほうに行ってしまうとちょっと焦点がぼけてしまうのかなという気もしないでもありませんけれども、やはりそのことの重要性は触れておく必要はあると思います。よく言われますけれども、例えば、英語の運用能力はあるけれども、全然授業が、生徒の把握ができない教員などというのは、非常に残念なことですが、耳にするところであります。それでは本末転倒でありまして、教師である以上、いかに基本的な指導力を持っているかということは言うまでもありません。
 2つ目、池上先生がおっしゃっておりましたけれども、ケーススタディーのリーダーの養成ということでありますが、全く私も同感であります。ディスカッションというようなことをいっても、ではどのようにディスカッションをさせるのかというようなことをそれぞれの教員自体がどれほど勉強をし、それを理解し実践しているかということまで突き詰めていきますと、これも指導力ということと関連してきますけれども、非常に重要な指摘だと思います。はい、話し合いをしましょうとか、はい、ペアになって対話しましょうというようなことがよく出てきますけれども、ではそこにどれぐらいグループで話し合いをするということについての方法論であるとか進め方であるとかに関する勉強をしているかということについてはやはりさらに推し進める必要があるかと思いますので、触れてもいいのではないかと思います。
 あと3つ目といたしまして、松本先生から、中高連携についての一つのご提案がありました。私も否定するものではないのですが、ただ、具体的施策のことで書いてある戦略的な人事配置とか教員研修の実施というものが具体的にどういったことを想定して書かれているのかがちょっと見えないのです。例えば中高間の教員の交流とか小中間の教員の交流というようなことを進めるのであれば、やはりそれは小中高一貫校とかそういったことにしない限りまず難しいと考えます。ですから、そういったことを想定して書かれておるのであればいいですけれども、実際の問題として、いわゆるよく言われる小中連携とか中高連携というレベルでこのことが書かれているのだとするならば、それでは内容的に物足りない。連携というようなことは、言葉で言うのは非常に簡単ですが、実際にやるとなるとこれはとてつもなく大変なことでありまして、私も過去に小中連携は随分前向きに取り組んできたつもりですけれども、時間割から含めて、物の考え方から含めて、小学校と中学校の距離的な移動の時間のことから含めて、お互いの時間の確保のことから含めて、そんな言葉で言うほど簡単なことではありません。だからやらなくていいということではないですけれども。
 であるならば、やはり私はここは、松本先生がおっしゃったこととちょっと違うかもしれないけれども、高校は高校、中学校は中学校でそれぞれ拠点校を設けて、できる範囲でやるようにしていったほうがより現実的なのかなという気はいたします。以上であります。

【吉田(研)座長】  指導力について、それから実際に事業を運営する上でのリーダー養成というのですか、先ほどの教員養成の中で、先ほど松本委員がこれをもう一回足しておいていただきたいと言っていた指導者研修のところとも何らかの形で関連するのかなというような気がいたします。今の太郎良委員の意見というのは、むしろ教員のこういう交流ということを考えると拠点校は中高別に設けたほうがいいという発想かもしれません。その辺ちょっとまた考える必要があるかもしれません。時間が時間なので、最後の入試の部分、5番のところについていかがでしょうか。

【根岸委員】  入試については前も会議で発言いたしましたが、やはり日本の英語教育を考えるとインパクトがとても強くて、ここが変わることによっていろいろなものが変わってくるということがあるので、このような提言が必要かなと思いました。先ほど池上委員が最初のほうでおっしゃったことと関係があるのですけれども、TOEFLで求められている能力というものと多くの大学入試で求められている英語の能力というものがあまりにもかけ離れているために、ここはほとんど断絶してしまっているのです。しかし、その全然違うものにものすごいエネルギーがかかっている状態なので、ここが一つのつながるもののような形でできてくると、受験で普通に頑張っていることが外にそのまま出ることにつながりやすくなってくるのではないかと思います。受験を今一生懸命やっていても、どこか海外に留学するとなるとまたさらに特別のことをやらなければいけないみたいな形になってしまうのですが、そこがつながることができるのではないかなと思います。
 そして、先ほどのここの具体的な施策の文言ですが、本下さんがおっしゃったこととも関係あるのですが、いま少し、わりと穏やかな形になっていますが、ちょっとだけ変えるとすると、単に案ですが、従来のような聞くこと、読むことなどの受容技能のみならず、書くこと、話すことなどの発表技能も含めて総合的に問うタイプの入試問題の開発実施を、「促す」というのもいかがかなので、実現するための組織の設立、松本先生的に言うと、「を検討する」みたいなものか「設立する」か、何かそのような具体的な組織的なことも考えていただけるといいなと思います。

【吉田(研)座長】  ありがとうございました。今ので、従来は聞くや読む中心だったのに対して、今回はさらにこういう発表能力をきちんと入れたものを重点的に、総合的にやっていく必要がある、それもそういうつくる機関を考えていきましょうという趣旨のことだと思います。考えましょう。検討しましょう。

【松本委員】  私も根岸先生の考えに賛成で、この具体的な施策に関してはなぜか主語がないのです。ですから、促すと言っても多分何も変わらないと思います。組織をつくるとか何か助成金を出す、例えば「入試GP」とか、何かそういう方法を使わない限り変わらないと思います。試験を変えるとなると、特に私立大学は「お金がかかること」という発想になりますので、何かしらGPのような助成金をもらえるとなるとやるのではないのかなと思います。
 それとあとは、私どもの大学でもAO入試をしておりますが、本文7行目にTOEFL、TOEIC「等」と書いてあるので特に大きな問題はないのかもしれませんけれども、前段ではほかの試験も書いてあったのにここで書いていないのは統一がとれないと思います。やはり英検やGTEC for STUDENTSも入れておいたほうがいいのかなと思います。以上です。

【吉田(研)座長】  ありがとうございました。確かに主語がないというのはありますので、もう少しその辺を具体的に突っ込んだ表記にしたほうが、具体性を持たせたほうがいいのではないかということだと思います。
 それから2番目、TOEFL、TOEICしか書いていない、ほかにも、それこそ国連の英検などもありますし、ほかにもいろいろあるので、どこまで書くかは別として、少なくとも今まで出てきているものに関しては同じような記述をしてもいいのではないかという発想ではないかと思います。

【卯城委員】  私は、聞くこと、話すこと、読むこと、書くことを総合的に問うというところだけではちょっとまだ現場の、特に大学の先生はぴんとこないのではないかなと思います。もう一歩近いところで具体的に、特に読むことについて別項を起こして書いたほうがいいのではないかなというような気がします。例えば、「特に読むことについては、英文に含まれる文法構造や翻訳能力を問う問題は、書き手の意図や大意をつかむような出題への改善が強く求められる」のような、もうずばっと、遠回しに言わずに指摘したほうがもっと現場にはインパクトがあるのではないかなと思います。

【吉田(研)座長】  これはどのようにこれから考えていくかですが、確かにこの中でも、ほかの方からの案の中にも、より具体的な形でというので個人的には出ていたもの等ございますので、そのあたりの調整もこれから考える必要があるかなと思います。もう時間が来ましたが、最後一言だけ、絶対これだけは言っておかなければならないとか、何かございますか。
 とりあえず全体として今まで、第8回ですけれども、お話しされてきたことをまとめてきたわけですが、タイトルに関しても、最後に今日残っていますが、とりあえずここにあるタイトルでよろしいということで、多少の意見は出ましたが、よろしいでしょうか。
 それでは、そろそろこれで今日は最後ということで、できれば座長である私と、それから事務局のほうで今日いただいたさまざまなご意見などを調整させていただいて、入れられるところは入れていくという、できるだけ入れるように、反映させるように私としてはやりますけれども、お任せいただけますでしょうか。よろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)

【吉田(研)座長】  ありがとうございます。それでは、私のほうで事務局と最終的な案はつくらせていただくことにいたします。それでは、最後に山中局長から一言お願いします。

【山中局長】  どうも非常に短期間の間におまとめいただきましてありがとうございました。政府全体でも戦略会議の関係で、グローバル人材を育成ということでの中間的なまとめがありまして、私どもも政府全体としてグローバル人材を養成していくという戦略としてまとめております。戦略という言葉、これは好みの問題ですけれども、やはり内閣ですのでそういう言葉を好んで使っています。そこで、文部科学省としてもその中で、特に英語を使う日本人のために一体何をやるのかです。かつて、何年か前に「英語が使える日本人」という戦略構想をつくりましたけれども、しっかりとこれをフォローしていなかったという反省もございます。
 そうなると、具体的には予算が必要なものもあれば、文部科学省、国のほうから取り組みをしてくれと働きかけると、この2つの手法がいろいろあります。ただ、予算がつかないときにはどうかというと、だめだったと、お蔵入りではないけれども、つかないからできないと簡単にあきらめないことです。現在でも、例えば埼玉県では「埼玉発世界行き」というプログラムを10億円の基金をつくって6月議会で通っておりまして、ここではまさに、「埼玉県は海外留学をする若者を応援します!」というようなキャッチフレーズで事業が始まっています。また、大阪では今年度から実践的英語教育強化事業というような形で、まさにここで触れられているような事業もそれぞれ大阪府として実施するということで取り組んでおります。このように、いろいろな都道府県での取り組みというものも具体的に動き出しておりますし、また、先ほどもございましたが、企業の方からの支援、人的支援だけでなくて経済的、財政的支援も含めながら、国の予算がとれなかったらそこでだめかとあきらめずに粘り強く取り組んでいく、そういう仕組みというものも考えていきたいと思っております。
 それからフォローアップしなければならないということは、非常に重要な視点だと思います。5年後というのは私はもういないと思いますけれども、ここにいる人たちはまだおりますので、しっかりと取り組んでいただいて、5年後に、一体どこまで来たのかと、ああ、ここまで来たなと、よかったねと、あそこで報告をまとめたことがここまで来たのかとなれるように、まずこの1、2年が、スタートアップのところが重要だと思っていますので、しっかりと取り組んでいきたいと思います。
 まず中間的なまとめでございますけれども、そういう決意といいますか、粘り強くやろうという思いを言わせていただきまして、まずは予算のほうで必要なものは頑張り、そうでなくてもしっかりと頑張りたいと思っております。本当にどうもありがとうございました。

【吉田(研)座長】  どうもありがとうございました。
 それから、皆様、委員の方々、本当にお忙しい中を、この短い時間に8回も集まっていただきまして、ようやくこういう形でかなり具体性を含んだ内容のものができてきたかなと思います。先ほど申し上げましたように、私と、それから事務局のほうで最終的に今日いただいた案をもとに最終案をつくっていきますが、それをまた皆さんに送付させていただきますので、それをまたご覧になっていただきたいと思います。とにかく本当に長い間いろいろありがとうございました。これからも、しかしこれは出発点ですので、今後もいろいろな形でまた皆さんのご協力を仰ぐことになると思いますが、そのときもまたよろしくお願いいたします。今日は本当にありがとうございました。

(4)閉会

 

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