外国語能力の向上に関する検討会(第5回) 議事要旨

1.日時

平成23年3月22日(火曜日)13時~15時

2.場所

中央合同庁舎第7号館(金融庁)9階共用会議室-1(903)
東京都千代田区霞が関3-2-1

3.議題

  1. 英語学習へのモチベーション向上、英語でコミュニケーションを行う機会の充実について
  2. その他

4.出席者

委員

吉田研作座長、池上久雄、市村泰男、卯城祐司、岡田恵介、杉山愛、太郎良博、中村保、根岸雅史、松本茂、吉田広毅

文部科学省

德久審議官(初等中等教育局担当)、中井国際教育課長、岩井外国語教育推進室長

5.議事要旨

 (1)開会

【吉田(研)座長】 定刻でございますので、ただいまから第5回外国語能力の向上に関する検討会を開催させていただきたいと思います。
 もう皆さんご存じのように、大変な事態になっております。ですから、この会議が始まる前に、1分間、今回犠牲になられた多くの方々のために黙祷をささげたいと思いますので、どうぞご一緒にお願いいたします。そのままで結構です。
(黙祷)
 どうもありがとうございました。
 私たちみんな、何らかの形で直接、あるいは間接的に今回の大きな事故、災害の影響を受けているわけですけれども、今日、始まる前に一つだけお話しさせていただきたいのは、私の大学は外国人の先生が非常に多いのです。私、一般外国語の責任者をやっているわけですけれども、ここ2,3日の間に、春休みで海外に戻っている外国人の先生たちから、大学はどうなっているのか、授業はやるのか、やらないのか、また、非常に大きな恐怖感を抱いている先生たちも非常に多いです。私が今までずっと教えていたドイツからの留学生がいるのですが、知らないうちにドイツからEメールが来て、読んでいるだけでも恐怖におののいているという状況です。
 そういう中で、今の日本の状況であるとか、私自身、お互いに何ができるのか、どうやってコミュニケーションしていくのかというのはものすごく大事ではないかと、今回、改めて思い知らされております。海外のニュースなどを聞いていても、いろいろなことを言われていますし、放送局によっては、全く、えっというような内容のものも実はございます。そういうことを考えても、やはりこの会の中で私たちが、今、やろうとしていることというのは、本当に今後の、日本だけではなくて、世界のために非常に大切なことではないかと思います。これからも一生懸命やりたいと思いますので、皆さん、よろしくお願いいたします。
 本日は、英語学習へのモチベーションの向上、あるいは英語でコミュニケーションを行う機会の充実をどうすればいいのかということを議題にして、渋谷区立松濤中学校様、千葉県立長生高等学校様、渋谷教育学園渋谷中学高等学校様からご説明をいただくことになっております。松濤中学校様、長生高等学校様、渋谷教育学園様、本日はどうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。後ほど、それぞれの学校から説明をお願いしたいと思います。
 最初に、本日の議題に関して、事務局より配付資料についての説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(2)事務局説明

 岩井外国語教育推進室長から資料1,2,3,4,5,参考資料について説明。

(3)渋谷区立松濤中学校説明

 渋谷区立松濤中学校から、渋谷区英語教育重点校として、英語以外にも、音楽、美術、体育、家庭科などの授業を英語で行う取組を進めていることについて説明

【渋谷区立松濤中学校】 渋谷区立松濤中学校、校長の鈴木と申します。よろしくお願いいたします。
 今日は、英語教育ということでございますけれども、学校経営の立場の面がかなり入ると思います。そういう視点から、本校の紹介をさせていただきたいと思います。
 本校は、各学年2学級以上の生徒をとらないということで、2学級220名の生徒がおります。この中には特別支援学級の生徒も入っております。
 本校は、渋谷区英語教育重点校として、平成16年度から指定を受けており、今年度が7年目になります。国際化、グローバル化の中で人材を育成するということで渋谷区教育委員会から指定を受けました。前任校長が英語の教員ということで、随分頑張って下地をつくっていただきました。私は英語の教員ではございませんので、別の視点を入れながら、今年3年目になっております。
 私の英語にかかわる経営方針としては、「生徒誰もが喜んで英語を学びたくなる学校づくり」が一つポイントになっております。
 渋谷区からはどのような支援を受けているかといいますと、授業があるときは4人のALTがほぼ常駐しています。また、英語を使う授業にかかわること、それから管理職との打ち合わせ等に、コーディネーターを活用することができるということで、配置を受けております。
 それから、本校のような小規模校の状態からしますと、英語教員は、1名と講師ぐらいですが、しかし、それではやはり英語教育重点校としては物足りないということで、英語教員の加配を受けております。都に申請をして、少人数指導ができるということで、1学級を2つに分割をする形で1名配置を受けております。それから、外国人生徒、帰国生徒を対象に日本語指導を行うために、1名加配を受けています。計2名加配を受けておりまして、日本人英語教員が3名、ALT4名、この7名が中心になっております。
 本校は、このような体制の中で「世界に目を向け、国際社会をたくましく生きる松濤中生」という生徒像を描きまして、今年度から教育目標を「世界へ松濤中生」にしました。生徒たちと話し合って、生徒会と最終的に詰めた大目標です。これからの時代にふさわしい子供たちを育てるということで、目標を具体的に3つ立てました。「自立」「尊重」「創造」という3つの視点を入れて、さらにALTやコーディネーター、英語教員と相談しまして、英語を当てはめ、以上の目標にした次第です。
 本校では、いわゆる学習指導要領の中でうたっております「生きる力」をつけるために、重点課題としてこのような考え方をしております。例えば、「知」の部分につきましては学力と言語力、「徳」の部分につきましては判断力と実践力、「体」の部分については体力と忍耐力、それから「知」の中に入りますが、本校では英語を生かすということで、国際理解を進めるということで「国際」という視点を入れまして、英語力と国語力に力を入れています。こういう視点で本校では教育を進めております。
 本校の学校づくりのコンセプトですけれども、3つございます。教員の視点で「生徒誰もが喜んで登校したくなる学校」、子供の視点で「生徒誰もが喜んで英語を学びたくなる学校」、保護者や地域との関係で「誰もが喜んで応援したくなる学校」、この3つのコンセプトで学校をつくっております。
 時間があまり多くありませんので、簡単に説明いたしたいと思います。本校では、ICTを使いながら、わかる授業を進め、言語活動に力を入れております。また、行事は、地域と一緒になって行っている合同運動会があります。それと学習発表会、この2つが大きな柱ですけれども、この中でふんだんに英語を使っております。これは、後で説明をしたいと思います。
 また、英語を使う部活動を含めて12の部活動、それから、さまざまなところから子供たちが集まるので、やはり子供同士の摩擦などが起こりがちであるということで、生徒会を中心に「ストップ!! いじめ宣言」などを出しながら活動を進めています。
 英語を学びたくなる学校づくりということでは、国際理解教育を推進するということで、3つの視点で態度や能力の育成を図っております。異文化理解、共生する態度、自国の伝統文化、英語等を使いながら自分から発信する、そういった事柄の力をつけさせようとしております。
 その主なものを紹介いたします。例えば、異文化との交流につきましては、ミクロネシアのマーシャル諸島共和国、ミクロネシア連邦、パラオ共和国から、子供たち、教員を含めて80名が本校にやってきます。いつも6月にやっておりますが、生徒60名は各クラスに10名ずつ入って授業を一緒に行っています。日本の子供たちがいるクラス、40名近くの中に10人入る形ですので結構狭いのですけれども、授業を行ったり、給食を一緒に食べたり、ミクロネシアのそれぞれの国、あるいは島の民族舞踊を発表してもらったり、本校では日本の伝統的な芸能、あるいは武道などの発表等を行ったりして、交流を1日行っております。
 本校の日本の伝統文化ということでは、今、言ったようなことのほかに、富士山周辺を歩いたり、「桃太郎」の昔話を英語劇にしたり、2年生は鎌倉学習、歌舞伎鑑賞教室、3年生は修学旅行で京都・奈良、能楽観賞教室を行っております。それから、京都・奈良へ修学旅行に行くのですけれども、京都では立命館大学と連携をしまして、5,6人のグループに留学生を2名ほど入れまして、日本の中学生が留学生に京都のまちを説明して歩くというコンセプトで、学校で勉強した内容を京都で留学生に説明するということを半日行っております。これは、留学生と一緒に撮っている写真です。
 3つ目に、英語のコミュニケーション能力ということで説明をさせていただきます。英語につきましては、英語の教員とALTによる2名のTTで行っております。TTで行うクラスは習熟度別で、といっても本人の希望ですけれども、20人ぐらいの少人数で行っております。授業は、ほとんど英語で行っております。日本人の教員は、合間に若干難しいところの補足説明や、巡回しながら個別指導で補足する形です。教科書の内容は、1時間でいいますと半分ぐらい、それプラス文法や用語を活用したアクティビティーを入れるという形で、具体的に日常生活の中で必要な事柄とか、あるいはゲーム的な要素を入れた授業を行っております。
 実技教科では、音楽、美術、家庭、体育は、教科の教員とALTによって授業を進めております。例えば、音楽ですと、楽器の紹介や音符の読み方、英語の歌などを英語で行うのですが、日本にかかわる内容がありますので、そこは英語と日本語を組み合わせながら行っております。
 美術については、やはり英語と日本語を組み合わせているのですけれども、個別の作業が多いということで、作業の際は、ALTが積極的に子供たちにアドバイスをする形でコミュニケーションを図るようにしております。
 家庭科は、後で説明いたします。
 体育は、本校は日本人TTで行っていますので、ALTが入ると3名で授業を行う形をとっております。英語で行っております。
 それから、家庭科の例でございます。これは調理実習の様子ですけれども、内容によって英語と日本語を一緒に入れたり、内容によっては完全に英語と分けております。例えば、調理実習の場合はすべて英語で行っております。レシピをつくっていただいて、それに基づいて説明をしたり、事前の学習、事後の学習もすべて英語で行っております。
 子供たちは、作業とか活動が伴うものに関しましては、単語がわからなくても、あるいは何となくわかるだけでも英語と親しめるということで、実技教科にALTを入れて、日本語に組み込んで授業を行っております。ただし、危険が伴う場合、安全面を強調したい場合は日本語で押さえて指導をしております。
 日常の中で、そのほかに英語をどのように使っているかといいますと、これは朝と帰りの学活と言われる時間です。ALTと日本人の担任が一緒になって連絡等を行っております。学活と給食と清掃活動も、このようにALTが入って行っております。
 月曜日は、生徒朝会がございます。月1回、英語でこのような「WARERAGA SHOTO」という報告プリントをつくりまして、生徒に全員配って、生徒が英語で朝会を行っております。
 火曜日から金曜日に関しましては、モーニングレッスンと呼ばれている時間を使いまして、15分間、ALT、それから英語の教員が6クラスそれぞれに入って、テーマによって学習を行っております。私が本校をすばらしいと思うのは、英語の教員だけではなくて、副担任、それから担任も、英語が話せなくても全員が全クラスにかかわって1日を過ごしている。これが本校の支えになっております。
 1年生の時間割を見てみますと、このような1週間で、色のついているところは英語を使う機会が多くなっております。朝と帰りの学活、それからモーニングレッスン、実技教科、英語教科、給食と、こういった形で英語とかかわる機会を多くつくってございます。
 行事で英語を使う場合、先ほど言いましたミクロネシアの交流、それから山中の移動教室というものがあります。山中の移動教室は、2泊3日、ALT4名と一緒に行きます。そこで、4つの班に分かれまして、土台となっている脚本はあるのですけれども、ALTと交流しながら、自分たちで脚色した内容で「桃太郎」の劇を発表します。入学して7月ごろに行っております。修学旅行とか陸上競技大会についても、さまざまな形で行っております。
 これは入学式の写真ですけれども、入学式の進行につきましては英語と日本語のそれぞれで行っております。それから、生徒の歓迎の言葉についても英語を織りまぜながら行っております。
 これは、運動会の放送の場面ですけれども、アナウンスは全部英語で行っております。種目の説明、子供たちを招集することについては、すべて英語で行っております。子供たちが交代で行っております。それから、アナウンスのほかに、モーニングレッスンとか、放課後のさまざまな活動の時間を使いまして、英語を取り入れた応援合戦を自分たちで工夫して行っております。
 学習発表会、いわゆる文化祭のようなものですけれども、本校では全クラスが必ず英語の合唱と日本語と合唱を行います。英語の合唱については、モーニングレッスンと音楽の時間を使って覚えたり、発音するようにしております。合唱のほかにスピーチ、これは授業で実際に行っておりますけれども、その中の代表の子たちが出て発表します。それから、英語劇も各学年で行っております。今年は、2年生が発表できませんでした。
 これは、ALT4名とコーディネーターの写真でございます。
 21年度の3年生の英検取得ですけれども、この年はかなり受検しております。全く受けてない生徒もいますけれども、61名の中で3級以上が93%、これはやけに多いです。準2級以上は61%です。毎年、受けている中の平均で、3級以上が70%、準2級が40%から50%ぐらいです。ただ、実際のところ、英検を受けるとお金がかかりますので、特に最近は経済的な問題が出てきて、受けても途中でやめてしまったり、もう初めから受けないという生徒もおります。英検については基準がわかっていいのですけれども、実際は必ずしも全員受けていないという現状もございます。
 英語をもっとやりたい、英語は苦手だからということで、子供たちの意欲をかき立てる部分と補う部分ということで、放課後英語教室を行っております。アドベンチャーズ・イン・イングリッシュという形で、今現在は10月から3月まで週1回行っております。4人のALTが3つのグループに分かれてコースをつくって、その中で補習、あるいはもっと前に進むような学習を行っております。来年度は、年間を通して行う形で時間数を拡大していく予定です。
 子供たちは、このような形で英語にかかわる機会が増えておりますので、さまざまな弁論大会に出ようという気持ちが出てきております。昨年度は、高円宮杯で全国6位になった生徒が出ました。
 これは、本校のテキストです。「CLASS PLANNER」というのは、子供たちが朝や帰りにいろいろな連絡事項を記入するためのノートです。ここには、連絡事項等で使う英語の単語が全部入っております。また、右側に「WAKU WAKU TALK」というものがありますが、これは3年間で使う英語の単語、用語を全部まとめたもので、生徒に配布しております。今後、新学習指導要領に沿った内容に改訂していく予定でございます。
 今年3月、先週卒業した生徒たちの意識を調べてみましたら、英語教育重点校だから入ったという生徒は58%でした。でも、実際は、保護者が入りなさいという形のほうが多かったということでございます。細かくはお話ししませんけれども、最初はそれほどでもなかったけれども、だんだんやっていくうちに入学してよかった、兄弟姉妹や周囲にも入学を進めたい、将来、何らかの形で母校を応援したいという声が80%から90%という形で、子供たちに評価をしていただいております。それから、将来、英語を生かした仕事をしたいという生徒が73%おりました。できれば留学をしたい、あるいは高校も英語を使うことが多い学校に行きたいということで、進路はほとんどそういう学校を希望しております。ただ、この意識調査を見ますと人数がすごく多いのですけれども、今年の生徒はそれでもまだ少ないと思っております。
 課題でございます。本校は、外からの転入、私立も含めると30校くらいから子供が集まっておりますので、生徒間の人間関係づくりがなかなか難しい、お互いを理解するのに時間がかかるということでのトラブルが起こりやすい。それから、保護者同士の知り合いが少なく、保護者の姿が見えないという現状があります。そういうことも含めて、子供たち、保護者が、学校のさまざまな活動を通して学校愛や郷土愛をどう持つかということに、今、取り組んでおります。
 それから、英語が何となくできていくという流れの中で、何となくという雰囲気が子供たちの中にありまして、あまり欲をもっていない。つまり、ハングリー精神が少ないと思うことがさまざまな場面でございます。
 3つ目としまして、公立中学校ですので、教員の意識、それから異動の問題があります。例えば、本校は英語教員重点校だけれども、たまたまここに来てしまった、英語でやらなければいけなくなってしまったと考えてしまう教員がいると、なかなか進まなくなる。そういった課題もございます。そういう意味では、できれば東京都全体から、公募制に基づいて教員を集めていきたいと個人的には考えて、要望もしているのですけれども、なかなかできない現状があります。それから、小さい学校ですので、常勤教諭ばかりではございません。非常勤教員もおります。例えば、家庭科と美術は非常勤で英語を一緒にやっておりますので、時間の確保とか、相談する時間、打ち合わせの時間がなかなか少ないというのも現状でございます。そういう意味では、本校全教員が必死になって、教科を関係なくかかわっているというのは本校の教員の努力によるところで、私としては感謝しているところでございます。
 最後に、学習指導要領は24年度で変わりますので、来年度、それから再来年度と研究を幾つかしていきたいと考えております。今年度、外部有識者2名の検証、アドバイスをいろいろいただきまして、来年度は国際理解教育や英語力、それから表現力、体力、健康づくり等に力を入れていきたいと考えております。
 実は、今日参加したのは、こういう機会を通して私のほうも学ばなければいけないということで、ぜひ皆さんのご意見をいただきたいと思っております。本校においでいただきまして、率直なご意見をいただければ大変助かります。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

(4)千葉県立長生高等学校説明

 千葉県立長生高等学校様からスーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)として、理科に関する授業を英語で行うなどの英語教育にも力を入れている取組について説明

 【長生高等学校】 ただいま紹介いただきました長生高等学校の三上と申します。本校の取り組みに関してご説明させていただきます。
 千葉県立長生高等学校は、1学年普通科が7クラス、理数科1クラス、8クラスの茂原の進学校と考えていただければと思います。
 本校は、文部科学省の指摘を受けまして、今年度初めてSSHの指定校になりました。そのSSH指定校の英語教育としまして、英語科で話し合いをした結果、スーパー・サイエンス・コミュニケーションという学校設定科目を設けました。スーパー・サイエンス・コミュニケーションという科目は、サイエンス・イングリッシュが一つの柱になります。それから、サイエンス・プロジェクト・プレゼンテーション(科学研究に対するプレゼンテーションをする)ということがもう一つの柱になっております。この科目は、1年次に2単位、2年次に3単位、3年次に2単位で指導しております。
 本校のSSHの英語科の目的としましては、国際的に科学分野で活躍できる英語力を育成することです。英語のコミュニケーション能力はもちろん、英語でプレゼンテーションができる、科学英語に関しては大学の入門レベルに到達することです。そして、茂原は大都会ではないので、海外について意外に知りません。長生高等学校130年の歴史の中で、今回、初めて海外研修として台湾に連れていきました。ですので、この海外体験も一つの大きな柱になっております。
 英語科の目標としましては、英語で個人研究を発表できる、科学に関するインターネット上や文書による情報を読んで、または科学に関するレポートや記事を書いて発表できる能力、それから大学に入ったら英語で科学の授業を受けるのは当然だと思いますので、それに対する対応を考えております。つまり、理科教育と英語教育のコラボです。そのためには、長生高等学校の英語科としては、まず英語を英語で教えることに取り組み、実際に教える。それから、科学英語もある程度指導する。それから、英語でのプレゼンテーションを、海外を目指して指導していくということです。
 そのためには、教員の英語指導のレベルも上げなければいけないので、高大連携によって、実際、大学の英語の授業はどういうレベルなのかということを、英語教員が研修すると同時に、代表生徒や希望者を派遣して大学英語を体験してもらっています。そのためには、やはり指導法と実践研究だけではなく、校内で指導体制をつくらなくてはなりません。さらに、科学英語を教えるためには、まず教材の選定が大問題になります。プレゼンテーションに関しましても、英語のプレゼンテーションではなくて、科学のプレゼンテーションの研修も校内で英語科と理科が合同で、 実施していかなければいけないと感じました。
 実際、これから本校の1年生と2年生の科学英語指導の授業を見ていただきたいと思います。最初の授業は、今日お持ちしました、オックスフォード・ユニバーシティ出版から出ているテキストを使って授業をしています。もう一つは、理科の教員が英語で授業するのは嫌だと言うので、一応、SSH指定校になったのだから一緒にやってくれということで、チーム・ティーチングという形で授業をしてみました。お恥ずかしいのですけれども、ごらんに入れたいと思います。
(DVD上映)
 本校は45分授業でございます。今の授業は化学で、「元素と合成物と混合物」に関してやったものです。
 次にお見せするのは、理科の先生と私のチーム・ティーチングの授業でございます。グローバルウォーミング(地球温暖化)の新しいセオリーという形で授業を行いました。これは、先行研究という形で2年生で実施しました。本年度SSHになったので、2年生は前の年からSSH授業に対応する方向で指導していた結果でございます。
(DVD上映)
 この場面ですけれども、2020年に対して地球温暖化に4つのシナリオがある、この4つのシナリオがどういう理由で想定されるのかというのが、後で課される課題でございます。
(DVD上映)
 こういう形で、理科の先生と英語の先生でコラボの形でやらせてもらいました。この後、ディスカッションをして、各グループの代表がレポートをするという形になっております。両方の授業とも、日本語は一切使用していません。
 2年間、このような形の授業をしていって、今年2月13日から台湾に連れていきました。英語で科学研究プレゼンテーションを交換した台湾の麗山高校というのは、SSHで台湾屈指の名門校でございます。麗山高校には世界的からいろいろな学校が来ておりますが、長生高校はただ交流するのではなくて、相互にプレゼンテーションをするという形で契約をしました。それから、淡江大学のほうに行きまして、環境問題に関しての講義を英語で受けて、ロボット開発に関しての英語で説明を受けて、大学の先生に実際に自分たちの英語による科学研究のプレゼンテーションを聞いてもらって、指導していただきました。
 これは、本校の生徒です。向こう側の生徒はこのようにジャージ姿ですが、これが麗山高校の制服だそうです。このように交互に発表していきました。温暖化の問題を話したグループもあります。これは、物理の本校生徒の発表です。
(DVD上映)
 彼らは、あのような円筒物体は、どのようにしたら遠くに、どのような形だったら行くのかという研究をして、それをパワーポイントを使って発表しております。
 その麗山高校で合同課題解決授業をしました。本校の生徒2名、向こうの生徒2名で、ここにランタンがありますけれども、このランタンを最も早く回転するものを作成するということと、そのときにランタンの形、大きさ、切れ込み、ろうそくの本数、長さに関して、それぞれ研究して、最終的にパワーポイントを使って発表するというものです。
 このように、台湾の生徒と本校の生徒が英語でコミュニケーションをとりながら、最終的にパワーポイントを使って共同発表するという授業も行いました。
 さらに、淡江大学のほうに行きまして、環境問題に関しての講義を英語で受け、ロボットに関しての説明を受けました。こんな感じです。
 最終的な目標は、大学教授による本校生徒の英語での科学研究プレゼンテーションに対する指導ということですので、その2つを見ていただきたいと思います。最初の発表は、溶岩について、地学の分野です。
(DVD上映)
 私もよくわかりませんので、次に行きます。(笑)
 次は、巻貝の数学的研究といいまして、巻貝に線がありますが、その線を数学的に表現するとこうなるという発表でございます。
(DVD上映)
 何のことかわからなかったかと思いますが、化石の場合には圧力がかかって変化するんだそうです。
 最後に生徒たちの変容に関してご報告します。今年度、初めてSHHになりましたので、その学年に関してはGTECを使って英語能力を評価しました。それから、先行研究の2年生に関してはGTECをやっておりませんので、一応、模擬テストの結果をご覧に入れます。長生高校の1年生の成績と、千葉大学に合格した生徒の成績を比較したものです。ブルーが長生高校、グリーンが千葉大学の合格者、大学1年生の成績です。あまり差はないような気がします。
 顕著に表れているのは、リスニングの部分です。長生高校のSSHの第1学年の生徒は、千葉大学の1年生よりいいという成績が出ております。リーディングに関しては語彙力その他の点でがまだ並んでいませんが、ライティングは並んでおります。1分間に読むスピードに関してですが、ちょっとまだ少し差があるという事実です。
 模擬テストの成績ですが、過去4年間の成績が下です。今の2年生の成績は、一番上の黒い線です。英語を英語で教えるという新しい取り組みではあるのですけれども、これによっても結果は明らかになっております。
 先ほど発表しました巻貝の数学的研究に関して英語でレポートを書かせているところですが、まだ指導の途中です。最終的には、2年の段階でこんなレポートを完成させたいと考えております。本校は始まってまだ短い取り組みですけれども、このような形で英語の指導をしております。
 以上です。

 (5)渋谷教育学園渋谷中学高等学校説明

 渋谷教育学園渋谷中学高等学校から、生徒側から見た英語学習へのモチベーション向上、英語でコミュニケーションを行う機会の充実について、実際に渋谷高校に通う生徒自身による経験を踏まえた説明

 【渋谷教育学園渋谷中学高等学校】 こんにちは。渋谷教育学園渋谷高等学校1年の藤田怜です。よろしくお願いします。
 私は、塾に通わずに中学受験をしました。英語についても、中学校に入ってABCから始めました。初めのうちは、教科書の最後のほうにたくさん書いてあるアルファベットの並びを見て、いつか本当にこれが読めるようになるのだろうかと疑問に思っていましたが、それがたった4年前のことだと思うと驚きです。
 まず、私が英語を学ぶときの動機となるものは何か。それは主に次の2つです。1つ目は、英語へのあこがれが強いことです。英語の響きや仕組みに惹かれました。自分の好きな映画や洋楽で、一体何を言っているのか知りたいと思いました。字幕を見ないで映画を見ることができたら、独特の言い回しやニュアンスなど、もっと楽しめるだろうと思いました。それに続いて、自分が自由に英語を使うことができるようになれば、よりたくさんの人と話し合い、考え方を学ぶことができることが魅力的に感じました。
 2つ目は、1つ目の理由とも重複しますが、英語は基本的にどこでも通用する最も便利な言語だからということです。自分の意思や意見を世界の多くの人に伝えるために、英語は非常に便利なツールです。また、英語ができるのと、できないのとでは、これからインターネット上で情報をやりとりするに当たって相当な差が出てくると思います。英語を学んでよかったと思える機会が多くなるように、積極的に学習し、活動していきたいと思っています。
 渋谷教育学園渋谷中学高等学校では、「自調自考」という基本理念が授業に反映されています。英語の授業をはじめとして、とても力がついていると感じます。私の学校は中高一貫校で、中学校1年と2年はAブロック、中学3年と高校1年はBブロック、高校2年と3年はCブロックと分けてカリキュラムが組まれています。Aブロックでは、基礎基本を定着させるということで、ひたすら課題をこなし、まじめに授業を受ければ、その努力に比例して力がついていったという実感があります。同じ単語をたくさん書いて練習することは、決して侮ってはいけないと感じました。
 ちなみに、私は、小学校2年生のときに遊び感覚で日本語のタイピングソフトを始め、すぐに上達したのですが、中学に入ってからは英語でも日本語と同じようにタッチタイピングをしたいと思い、英語単語もキーボードを打つように、空中で指を動かすことで覚えました。これは、私にとってはとても効果的な方法だったと思っています。今では、英語もほとんどキーボードを見ずに打つことができます。
 中学校の3年間は、国語の時間にディベートの授業があり、とてもよい経験になったと思います。日本語でのディベートですが、このとき身につけた論理的な考え方は、確実に英語を使用する上で役立つ力になったと思います。
 Bブロックからは、学習内容も進み、授業も課題も一層興味深い内容になります。英語と数学では、生徒を幾つかのクラスに編成し直す、いわゆる習熟度の制度も始まり、それぞれの生徒にとって、より効率のよい授業となっていきます。特に上のクラスの英語の授業では、教科書、テキストの本文をなぞるばかりではなく、教科書の内容に関連した新聞記事の文章を使ったり、その範囲で学んだ文法事項の応用問題を解いたりなどの工夫がなされています。
 授業を1コマ受けただけで充実感が得られるのは、生徒にとってとてもうれしいことです。また、いろいろな先生方がいらっしゃるので、自分とって最もわかりやすい説明をしてくださる先生に質問をすることができるというのも、生徒にとってはとてもありがたいことです。
 長期休みには、英語の多聴多読を勧められるだけでなく、自分で情報を集めて、理解した内容を発信、あるいは、それに自分の意見を交えて考察するという練習の機会を与えられます。課題を課された生徒としては大変ですが、ただ単調に問題集をこなすだけでは得られない充実感を得ることができます。
 個人的な意見ですが、中学3年生からは、それまでの2年間とは異なって、どれだけ集中して時間を有効に使えるかが鍵になってくると感じます。授業の内容を余すことなく吸収することはもちろん、授業以外の時間にも、どれだけ自分で学習できるかで差がついていくと思われます。私は、好きな映画俳優の英語のせりふを覚えてみたり、洋楽の歌詞を聞き取って書き出したり、英字新聞を読む、英語で日記を書くなどしています。私は、中学校に入ったときは多読が苦手で、読むのが人一倍遅かったのですが、自分のレベルに合った本を選び、わからないところは読み飛ばすという多読の原則に忠実に従って、積極的に読むことで苦手意識がなくなりました。地道な多読のおかげで、試験などで長い文章を読む際も、最後まで集中して読むことができるようになったと思います。
 ここからは、現高校生としてお話を3つほどさせていただきたいと思います。
 まずは、生徒の英語学習への意欲についてです。科目にかかわらず、勉強は理解できれば楽しいですが、さっぱりわからなければつまらないものです。英語でほかの学問がわかれば意欲もわくと思いますから、他教科と連携することは効果があると思います。先日、倫理の授業で、マイケル・サンデル教授の「白熱教室」のDVDを見ましたが、途中から日本語吹きかえとなってしまい、とても残念でした。(笑)他教科の授業でも、できるだけ英語に触れる機会があればと思います。
 また、自分の興味のある分野の情報を得るために、どうしても英語が必要となったときの人の意欲というのはすさまじいものがあります。得意、不得意にかかわらず、英語に親しんでいる生徒の多くには、フェイスブックで海外の友達と交流する楽しみであるとか、海外のゲームサイトで操作法の説明を英語のまま必死に読んでいるうちに、わかるようになる喜びであるとか、そういう何かしらの動機があります。まずは必要性を肌で感じること、それも動機がポジティブなものであることが大変重要になってくると思います。
 次に、スピーキングやライティングに代表される英語の発表技能について、生徒の立場からお話しします。
 発表技能の発達に力を入れるべきだという意見には賛成いたしますが、発表技能の評価については幾つか気になっていることがあります。英語に限ったことではありませんが、評価を気にしてしまうあまり、自分の意見とは異なることを話したり、書いたりする生徒を、私の身近で実際に見かけることがあります。授業や英検の面接などでも、論理的な説明にするために自分の意見を曲げることもあるようです。しかし、それでは、その場を乗り切れたとしても、結局、何のための発表技能だかわからなくなってしまうと思います。課題を与えられる際は、何を求めているのかしっかり説明していただけるとうれしいです。論理的に説明するためには、何がどのように足りないのか、60点や88点という評価というよりも、あくまでも生徒の意見を尊重したアドバイスという形で指導していただくことが大変重要だと思います。
 最後に、英語が苦手な生徒についてですが、英語が苦手、嫌いな生徒ほどテストや検定のための勉強をしがちだと思います。英語にあまりよい印象を持たない生徒には、覚えなければいけない単語の数に圧倒されたり、与えられた和訳の文章をテスト前に暗唱してみたりという傾向があるように思います。これを防ぐには、テストのための英語という考え方を、できるだけしなくて済むようにしていただくことが大切だと思います。
 これら3点を踏まえて、目標設定など考えていただければと思います。(笑)
 ここからは私個人の話になりますが、私は将来、どこの国でも通用する強い人間になりたいという目標を持っていて、英語が使えるということは大きな自信となるのではないかと思っています。今のところ、私は海外に出て働くことや、海外で生活することは考えていませんが、いつかどうしてもやりたいことが出てきたときに、英語に自信がないせいで自分の道を狭めてしまうことがないようにしたいと思っています。
 ご清聴いただき、どうもありがとうございました。

 (6)自由討議

 渋谷区立松濤中学校,千葉県立長生高等学校,渋谷教育学園渋谷中学高等学校対する質問も含め、英語学習へのモチベーションの向上、また、英語でコミュニケーションを行う機会の充実をどうすればいいのかということについて、各出席委員より発言があった。

 【吉田(研)座長】 ありがとうございました。今、生徒さんから、いろいろ注文も出ましたので、この会でもいろいろ取り上げなければいけないのではないかと思います。
 英語でコミュニケーションを行う体験について、実生活、実際に行うやりとりだとか、授業以外でのつながりなどを通して、人間の温かさ、先ほどの台湾の例もそうだと思うんですけれども、単に言葉云々だけの問題よりも、やはりコミュニケーションの道具ですから、人と人とのつながりのようなものが、今日紹介していただいた松濤中学校もそうですけれども、こういう取り組みを通して、単に語学だけではなくて、語学を通して人と人とのつながりだとか、温かさだとか、温かみだとか、そういうものをつくっていくというんですか、そのつながりつくっていく。それが英語学習へのモチベーションの向上にも非常につながるのではないかと思います。
 ただいまの松濤中学校様、長生高等学校様、渋谷教育学園渋谷中学高等学校様のご説明に対して、ご質問等も含めて、英語学習へのモチベーションの向上、英語でコミュニケーションを行う機会の充実ということについて、委員の皆様方からご意見をいただければと思います。なお、いつもと同じですけれども、ご発言の際には、お手元のマイクのボタンを押してお願いします。
 それでは、どなたからでも、ご意見のある方はお願いいたします。いかがでしょうか。今の発表に対するご意見、コメント、ご質問なども含めてお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。では、根岸委員。

 【根岸委員】 今日は心強い発表をたくさん聞いたので、このまま英語教育も変わっていくといいなと思いました。発表に対する個別の質問は、また後で時間があればさせていただきたいのですが、幾つかご紹介したいことがあって、今、発言をしたいと思いました。
 参考資料2でベネッセの基本調査が紹介されたのですが、実は会場に来るまでは自分がやったことを忘れていたんですが、このデータを見て思い出したことがあります。私は、このデータをもとに追加の分析をしたことがあります。これに、教科の好みとかを因子分析にかけてみました。そのときに、教科ごとにどういうパターンに分かれたというと、文系的な教科と理数系的な教科と技能的な教科、技能的というのは体育、芸術、技術家庭という教科です。
 英語がおもしろかったのは、英語はどの因子に負荷量が行ったかというと、実は文系的な因子と理系的な因子の両方にまたがっているということです。もう一つおもしろかったのは、男子はどちらかというと英語は理系的なものとして、ルールを覚えたりする教科ととらえているのですが、女子のほうは読んで理解したり、先ほどの発表でも積極的に人とかかわるとか、そういうような教科としてとらえている。ですから、英語は結構多面的なとらえ方をされています。
 もう一つは、技能系だと思われていないというところも特徴としてあります。本当はスポーツなんかと同じで、使えるようにするためにすごく練習が要るのですが、あまり練習が必要だと思われていないんですね。だから、使ってみていろいろ失敗するとか、そういう教科ととらえられていない。専らルールを覚えたり、単語を覚えたりというふうにとらえられている。授業でも、特に学年が上がっていくと、説明だけの授業、使う練習があまりない授業が、特に高校だと多いような気がします。だから、使うことのおもしろさみたいものを感じる子たちに対して、あまりそういう喜びを与えられていないという部分も一つあると思いました。
 それから、先ほどのベネッセのデータでいうと、かなり早い段階でわからなくなってしまっている子たちがいて、実はこれはあまり顕在化してこないのですが、中1ぐらいでわからない子たちが、結構な進学校などにもかなりの比率いるということがわかっている。ここら辺も、実際、入門期というのはすごく複雑なルールがたくさん出てくるんですけれども、わりと丁寧に教えられていなくて、先ほどの生徒さん側から見るとよくわかるのですが、わからないというのは一番おもしろくないので、歌をうたっても何をしても、文法に入った途端わからないというのは、やはり英語が楽しくなくなってしまう原因かと思いました。
 実際には英語というのはもう一つあって、教室の外で使うという、先ほどの長生高校の具体的な例などは本当におもしろいと思ったのですが、使う経験とか、プログラムというのは、最近、いろいろな学校でも結構たくさん入ってきているのですが、長生高校のように、学校でやっていることと実際に使う場面がうまく連携しているといいのですけれども、イベントだけあって、教室の中は全く別のことをやっているという形だと、生徒のほうはイベントと授業があまりにもかけ離れていて、授業は訳読しているのに、イベントで急に使えというところもなくはないので、今のようなところをぜひいろいろ公開して、皆さんに見ていただけるといいと思いました。
 最後に、質問いいですか。長生高校ですが、何が普通かわからないですが、普通、中学校から入ってきたときに、最初にあのような形で生徒にアプローチしたときの生徒側の反応というのはどんな感じなのかと思ったのですが。

 【長生高等学校(三上教諭)】 長生高校の場合、一番大切にしているのは最初のオリエンテーションです。4月に入ってきたときに、1日かけまして英語の勉強の仕方、数学の勉強の仕方、国語の勉強の仕方などを中心にオリエンテーションをします。英語に関しましては辞書の引き方から予習の仕方をちゃんと指導します。そのときに、長生高校に入ってきたら英語でやるからということで、しばらくの間、英語でします。そのときに使う言葉は、中学校で習った言葉を繰り返して、なおかつボディーランゲージみたいなものを交えて、わからせようとしていきます。また、クラスルームイングリッシュを全員で共有します。こういうときにはこういう指示で、こうやって活動するんだよとか、わからなかったら手を挙げるとか、そういうルールを確認していきます。
 中学校で習ったことをちゃんと確認しながら、少しずつ新しい語彙を入れるという形で展開していって、なるべく英語が苦手な生徒や中学校でもすごい差がありますので、その格差にも対応をしております。無論できない生徒たちに関しては、アドバイスという形で放課後とかに呼んで面接や個人指導をとおして、サポートをしながらしていかないといけないので、上位の生徒だけではなくて、下位の生徒に対しても対応しております。
 それから、SSHは2クラスですけれども、残りのクラスではプレゼンテーションはないのかとかあると思うのですが、指導しています。前期、後期でそれぞれトピックを決め、前期の場合には、「私が最近、非常に興味を持っているグッズ」の紹介とか、1年生の最後では必ずグループやらせます。お互いの助け合い、仲間をカバーしていくということと、みんなで共同作業することがいいんだということも含めて、英語プレゼンテーションを指導します。そのときのトピックには「私が考えるベスト海外ツアー」という形で、台湾ツアーとか、スイスのツアーとか、みんなの前でグループで英語のプレゼンテーションをするということは全クラスで指導しております。SSHクラスだけが突出しても全然意味がないと考えております。

 【吉田(研)座長】 ありがとうございました。
 根岸委員のほうから、まずベネッセのデータについてのお話がありました。私もあの調査にかかわっていた者として、英語というのは技術科目的なものではなくて、むしろ知識という観点からとらえられている面が非常に強い。日本の英語教育は今までずっとそういう道をたどってきたわけですから、それはある程度やむを得ないのかもしれません。もう一つ、知識ということで複雑なルールを強調するがために、早い時期からわからなくなってしまう生徒が多いというのも、事実、データからは出ているのではないかと思います。
 そういう点から考えると、きょうの松濤中学校、あるいは長生高校のお話にもありましたけれども、いかにして英語を使っていくか、技能として実際のコミュニケーションの道具としてほかのものを学んだり、発表していったり、道具としていかに使っていけるか、学んでいけるかということが大切なのではないかと思います。
 今の長生高校からのお話にもありましたように、入ってきたときから新1年生に対して非常に細かい指導をしておられますよね。しかも、わかっているところから初めて、徐々に新しいものをつけ加えていくという非常に理にかなった方法で、新しい英語の教育になれさせていくということをやっておられる。しかも、SSH以外のところでもプレゼンテーション、しかもグループとしてプレゼンテーションをさせる。そういう活動をやっておられるというのも、やはりこれは言葉ですから、単に1人だけの問題ではないということを考えると、非常に大切な部分ではないかと思います。ありがとうございました。
 ほかの方、いかがでしょうか。杉山委員。

 【杉山委員】 私は、今日、モチベーション向上についてお話しさせていただきたいのですけれども、先ほどの藤田さんのお話とすごく重なる部分というか、私自身の経験とすごく似ていると思うところがたくさんありました。
 まず、私自身も英語への憧れがすごく強くて、もう小さいころから話したいという気持ちがあったことと、やはり世界の共通語ということで、世界のみんなとつながれるという夢があって、すごく話したいと思っていたことを記憶しています。
 そして、私自身はテニスというところで英語が必要だったのですけれども、まずテニスで頑張りたい、上を目指したいといったときに、昔は日本でもたくさん大会があったので、日本の中でやっていけば、それなりに自分のテニスというところで活躍できたのですけれども、今となると、テニスで頑張る、上を目指すイコール世界という舞台に挑戦しないと、テニスプレーヤーとしてはやっていけない。ある意味、そこに行かざるを得ないところまでプッシュされたというのが、私自身、テニスプレーヤーとしての立場というか、やらなくてはいけないことでした。そこで必要だったのが英語です。
 世界で活躍したい、アウェイをホームに感じたいというところから、自分はどうしても英語が話したい、話せるようになりたい、そして話せなくては自分のパフォーマンスができないというところで、何が何でも話したいということが自分の英語力に直接結びついてきたと思います。
 今、日本は、これだけ恵まれた国、成長した国になって、これ以上、国として成長していくには、やはりどうしても外に目を向けなくてはいけない、グローバル化しなくてはいけない。そして、グローバルの人材を育てなくてはいけないというところで、英語がすごく必要と言われているのですけれども、中学生、高校生の子たちに、ただ、ただ英語はうまくなったほうがいいよと言ったところで、なかなかぴんとこない。英語が話せたらどうなるのかという道をもうちょっと具体的に与えてあげたほうが、英語へのモチベーションが上がるのではないかと思います。
 国としても、やはり世界に目を向けられるような、グローバルの舞台というのはどういったものがあるのか、どういった仕事ができるのか、どういったチャンスがあるのかということを具体的に示してあげることによって、中学生、高校生がこういうことをしたいから英語を学ぼうと思うことが、すごくモチベーション向上につながるのではないかと思います。やはり英語を学ぶということだけではなくて、先ほど藤田さんのお話にもありましたけれども、ゲーム機械の説明書を理解するには英語が必要だとか、自分はこの歌を歌いたい、この歌の意味がわかりたい、この映画の言っている意味がわかりたいという動機があって初めて英語というところに結びつくと思います。ある意味、動機は何でもいいのかもしれませんけれども、グローバルな人材を育てるという意味では、やはりその場を具体的に提供していただきたいと思います。

 【吉田(研)座長】 ありがとうございました。
 今の中で非常に印象に残ったのは、「アウェイをホームにする」という言葉です。まさにそうだと思います。今までアウェイだったものをホームにしていくというのは、まさにグローバライゼーションということではないかと思います。今、言っていただいたのは、それこそ具体的な目標を持って、こういう機会があればこういうことができる、こういうチャンスが生まれてくるということを、もっと目に見えるような形で中高生に示していく。それによって、もっと英語を勉強というモチベーションを上げていく。その意味合い、大切さを今、強調されていたと思います。ありがとうございます。
 ほかの方は、いかがでしょうか。池上委員、お願いします。

 【池上委員】 今日は、どうもありがとうございました。
 私自身、国立大学附属の国際中等学校、中高一貫校の国際校の運営に携わっているのですけれども、インターナショナル・バカロレアの指定を受けたり、いろいろしているのですけれども、幾つか悩みもあります。
 そのうちの一つが、根岸委員からもちょっとお話があったのですが、国際性を強く出そうとすると、つい英語とか情緒面が先になるのか、非常に優秀な女性がたくさん受けてきて、男性はちょっと敬遠する可能性がある。これは、ある意味で共通でしょう。日本の悪い現象ですけれども、その辺をどうしたらいいのかといろいろ考えて、男女別々の定員にしたらどうかとか、いろいろなことをディスカスしています。もう一つは、国際性の中で男子の生徒が魅力を持てるという意味では、先ほどのスーパー・サイエンスにチャレンジする形で、それを組み合わせていくのは非常におもしろいのではないか。我々も、今、それに取り込もうとしています。
 それで質問ですけれども、これは渋谷区立ですよね。区立で、30幾つの小学校から入学者があるということで、一般的に公募して、だれでも受けられる中学校なのでしょうか。その場合に、男女の比率はどんなふうに考えておられるでしょうか。

 【松濤中学校(鈴木校長)】 松濤中学校の場合、区内小学校20校、私立から来る子、家庭の事情で転入してくる子と、3学年を見るとやはり30校ぐらいになる状態です。それから、男女比については、最初、女子が多いかなと思っていたのですが、最近はほぼ同じぐらいです。ただ、先ほどのモチベーションという指摘で考えると、実際にモチベーションを持って入ってくるとか、実際に英語にかかわる意欲という意味では、女子のほうがやはり高いです。男子のほうは、力はつくんですけれども、そんなに英語、英語と言わない中で、自分たちで自然と力をつけていくようなところがあります。そういう意味では、本校はたまたまなのかもしれませんが、バランスとしてはいい状態です。

 【池上委員】 県立長生高校は、スーパー・サイエンスをこれだけ強く出すと、今度は男子の志望が多くて、女子が敬遠するのではないか。それから、SSHは各学年1つずつですよね。あとは普通科ということになるわけですよね。そうすると、普通科で英語教育の魅力をどうやって打ち出すのか。それから、多分、普通高校なので、そんな加配がたくさんあったり、ALTを大勢雇う余裕はないと思うのですけれども、その辺をどんなふうに工夫されておられるのかお聞きしたいのですが。

 【長生高等学校(三上教諭)】 本校のSSHに台湾海外研修に関しましては、台湾研修はSSHコースでなくても、普通科のコースも手を挙げて行けるのです。つまり、機会は平等にしています。ただ、普通科の生徒も、やはり科学に対する研究をしてから行かなければいけないということが一つあります。それから、男子も女子も大体同じように手を挙げています。今回、連れていった16人の生徒に関しましては、10名が女性で、男性が6名です。
 ただし、台湾の海外研修に行って一番影響を受けたのはやはり男子でした。ちょうどそのとき、国際科学研究発表大会が台湾で行われていまして、トルコなどヨーロッパとか、アメリカ、アジアなど世界中のいろいろなところから来ていたのですけれども、そこでの英語と科学研究のレベルを彼らは目の当たりして、完全に衝撃を受けまして、帰ってきてから熱心に取り組んでます。つまり、たくさんの男子を連れていったほうが、衝撃度が多くて学校にとってはいいのではないかと思っております。
 海外への動機づけの目的で、英語科学研究発表会を校内で企画しております。行く前に、このぐらいのレベルでないと向こうへ行っても通用しないよと、次の年のSSHの生徒たちの前で見させてから行きます。また、帰ってきてから、こういう発表をしてきたと全校生徒に対して見せて、動機づけをしていくというのが本校の取り組みでございます。行った生徒たちだけではなくて、必ず次に繋いでいくという工夫をしております。

 【吉田(研)座長】 どうもありがとうございました。
 池上委員のほうから、英語ということになってくると、あるいは国際性ということになってくると、どうしても女性のほうが多いのではないかというお話でしたが、松濤中学校、あるいは長生高校のお話からすると、どちらもそれなりの興味、関心は持っている。ただ、今のお話を伺っていると、松濤中学校は女子のほうがより積極的にコミュニケーションをしたい、長生高校は科学のような内容面が何か非常に大きな衝撃を与える、刺激になる。国際性に関しては、それぞれ同じように気持ちを持っているけれども、どういう面でそれが反映するかというのは違うのかもしれません。そんな印象を少し受けました。
 ほかに。松本委員、お願いします。

 【松本委員】 3つのプレゼンテーションは非常にすばらしくて、地震で暗くなっている日本が明るくなった感じがします。
 今日は、意見ではなくて、3人に質問させていただきたいと思います。
 最初に、松濤中学校の鈴木先生ですが、パーシャル・イマージョン教育ということで、音楽、美術、体育、家庭科で行っているというご発表でした。私、今月の頭にスペインへ行きまして、バイリンガル教育をやっている公立の保育園、小学校、中学校、高校と結構授業を見させていただいたのですが、そこの先生方がおっしゃっていたのは、英語に慣れるとか、楽しいということでは絶対にうまくならない、とおっしゃっていました。コンテント(内容)が大事だということで、小学校では音楽や体育はスペイン語で教えている。英語だけで教えているのは理科とか社会などです。内容のあることを英語で教えないと、大学までの教育を考えたときにはだめだというのです。理科や社会の先生も、私から見てもそれほど上手な英語ではないですけれども、100%英語で授業をしています。結構貧しい地域の公立でもこういうことを取り組んでいるところを見てきたわけです。
 先生の学校のように、かなり恵まれている条件の中で、理科とか社会を英語で教えるという計画はないのかということが1点。もう1点は、もしそういうことをする場合、行政サイドから何かサポートが必要だとお考えであれば、どういうサポートが必要なのかということを教えていただきたい。その2点です。
 三上先生のご発表に関しての質問は、今の2つの質問に関連します。SSHとか、SELHiという事業は、やはり行政からのサポートがなくてはならないと思うのです。渋谷区の場合には、英語教員2名加配、ALTは何と4名、そのうえコーディネーターまでいらっしゃるということです。千葉県のサポートに関して、ALTは何名いらっしゃるのか、それから理科を英語で教える方を長生高校に配属するという動きがあるのか。あるいは、指導主事のサポート、理科及び英語についてはどういうサポートがあるのか。この3点について質問させていただきます。
 それから、藤田さんについては、すばらしいプレゼンだったと思います。緊張していたと思います。みんないいおじさんたちですので、仲よくしていただきたいと思います。(笑)
 2つ質問があります。あなたの学校では、1週間の英語の授業時間数のうち、何%を英語だけで授業しているのかを教えてください。それが1点目。2点目、テストのための英語という考え方をやめるというお考えには大賛成ですけれども、あなたの学校では、そういう考えを持っている生徒さんたちはどのぐらいいるのか。そして、テストのための勉強をしないようにという指導も学校側からあるのかについて教えてください。要するに実際に英語を使うことに学校がどのぐらいサポートしてくれているのかについてお聞きしたいと思います。
 以上です。 

【吉田(研)座長】 それでは、松濤中学校のほうからお願いいたします。

 【松濤中学校(鈴木校長)】 パーシャル・イマージョンの内容ですけれども、選択教科があったときは、例えば社会はイギリスの歴史、理科もテーマを決めて一時期やったことがありますが、今はだんだん選択の教科がなくなってきているということで、それは今後できないのですけれども、今現在考えているのは、理科と数学と社会はALTを入れてできるのではないかということで、来年度やってみようかとALTと相談しております。実際に英語の授業を持って、もう1教科、実技教科を持っている現状でどうするのかというところで、ALTに話しかけているのですけれども、やってみたいという声は上がっております。実際に毎時間入るのは難しいでしょうから、どこかの部分に限ってやってみるという形を考えております。まあ、やってみてどうなるか。ただ、持ち時数、授業時数の関係で、ALT4名ではなかなか回せないという現状と、時間割がなかなか組めないということがございます。その辺がクリアできればということです。
 行政サイドの支援ですけれども、私としては、欲張りな話ですが、今の段階ではもう1名配置を要望したいと考えております。それから、コーディネートする方は、今のところ48時間という形になっております。近くに住んでいる方なので、しょっちゅう都合のいいときに来てくださる関係もあるのですけれども、できるだけ週何日か、2日でも3日でも学校の中にいる状態が生まれればいいということで、要望を出そうかと思っております。そういう意味で、いろいろ考えております。
 それから、どうしてもALTが、常勤化はしておりますけれども、ある会社からの派遣になっておりますので、今は本校に専属に来ておりますが、今後、引きとめておけるかどうかという問題もあるわけです。それから、ALTの研修はその会社で行っていますけれども、英語の研究プラスアルファのいろいろな研修は、会社としてやっているだけでは物足りない部分がありますので、本校の中で実践をするだけではなくて、高校とか大学も含めて研修の機会をつくって、来年度からやろうと考えております。そういう意味で、いろいろな費用の支援をいただければありがたいということで、これから要望を出すところです。
 以上です。

 【長生高等学校(三上教諭)】 長生高校の人事ですけれども、SSH事業だからということでの支援は一切ありません。ですので、今いるメンバーだけでやっております。ALTに関しましては、オーラル・コミュニケーションみたいな授業内容だけで、それもなおかつ、現在の段階で来年1年間ぐらいの計画を出せというような形で、校内人事もまだ決まっていないのに、その指導計画を出させるというALT事業の現状がありまして、本校の場合はとても無理な状態です。本音とすれば、プレゼンテーションとかをきちんと指導できるALTを、SSHの期間、常駐させてほしいと思いますけれども、一切ありません。
 もう一つは、理科で英語をある程度使える教員の配置も一切ありません。一応、公募制なので、SSHに参加したい先生は手を挙げてくださいと募集するのですが、地域的なこともありまして、いい人材が集まりません。すごい問題の先生が入ってきたりもしております。(笑)生徒のほうができるというような先生も、入ってきているのです。先生をどう指導するか、来年度は取り組む予定でいます。年齢その他もあると思いますけれども、そういうような改革もしていかないと、本質的に非常に厳しい状態でございます。
 先ほど、松本委員のほうから出ましたが、私が台湾に行きまして驚いたのは、台湾の理科の先生の中で英語で教えている先生が3分の1いました。麗山高校です。3分の1の先生が科学の授業を英語でやっているので驚きまして、帰って長生高校の先生に科学を英語で指導していた先生は理科の先生の3分の1だったよと言ったら、みんな引いていました。せめてやってみたいという理科の先生でも派遣していただければ、SSH事業のこれから先が見えると思います。

 【松本委員】 指導主事の先生のサポートはどうでしょうか。

 【長生高等学校(三上教諭)】 指導主事の先生は、いろいろサポートしていただきたいのですけれども、こちらのほうの地域は見放されていた感じがありまして、何も影響がなかったような感じがいたしました。

 【吉田(研)座長】 それでは、藤田さん、お願いします。

 【渋谷教育学園渋谷中学高等学校(藤田)】 まず、1週間のうちにどれぐらい英語だけの授業があるかというご質問ですけれども、あまりそういう意識をして考えたことがないですけれども、中学校のときにはOC(オーラル・コミュニケーション)の時間が1週間に一度ありました。ですから、英語の授業は毎日あるので20%ぐらいでしょうか。高校になると文法の時間がありますけれども、その時間はチーム・ティーチングで、自分の意見を書くという授業をすべて英語で行っています。例えば、飲酒がどのようにいけないのかとか、レストランでどうして喫煙がだめなのかとか、そういう自分の意見をショートエッセイとしてまとめるためのポイントを、ネイティブの先生が教えてくださいます。それは、わりと変則的ではありますけれども、隔週に1回で、10%から20%ぐらいになると思います。
 2つ目ですけれども、テストのための英語という考え方をやめるという意見を持っている生徒がどれぐらいいるかという話ですが、これは先ほどの話になるのですけれども、やはりどうしても女子のほうが多い気がします。男子は、私の知っている中では、大学受験さえ通ってしまえばいいという人が多いように思います。あとは、習熟度のクラスで大分カラーが違うということもあります。私の上のクラスでは、海外の留学のイベントに積極的に参加する生徒が多いので、テストのための考え方をしないという生徒は非常に多いと思います。下のクラスに関しては、やはり基礎基本がまず最初なので、基礎基本を勉強するというのはなかなかおもしろさがわかってこないので、少ないのかなと思います。
 そして、テストのためだけではないという指導はあるか、サポートはあるかということですけれども、私の学校では、中学校の間は英語のスピーチコンテストがあり、今年度の中学1年は「千と千尋の神隠し」のワンシーンを英語で体現するというイベントがあったり、中学3年になると自分の意見を英語でスピーチするという場が中学校全体の中であります。また、部活動に英語ディベート部や模擬国連同好会というものがあって、そういう中でも英語に触れる機会があります。余裕がどれぐらいあるか、意欲がどれぐらいあるかにかかってくると思いますけれども、私の学校は結構サポートは厚いと思います。

 【松本委員】 ふだんの授業での英語の使用が、英語で授業を行う割合がかなり少ないような印象を受けたのですけれども、日本人の英語の先生は何語で授業しているんですか。

 【渋谷教育学園渋谷中学高等学校(藤田)】 導入の部分とか一部分では結構英語を使用するのですけれども、授業のテキスト、本文の解説などは、やはり日本語と英語の両方がわからないといけないので、私としては、英語力だけではなくて、日本語力も同時に鍛えないといけないと思っているので、日本語での授業は確かに多いかもしれません。

 【松本委員】 松濤中学校では、ほぼ英語だけで教えているとか、長生高校も英語の授業を英語でしているというのですけれども、それについてはどう思いますか。日本語を介して教えてないというんですが、どうですか。

 【渋谷教育学園渋谷中学高等学校(藤田)】 私個人の意見は、時間とかカリキュラムの面で厳しいとは思いますけれども、意欲のある生徒は英語の授業が受けられるという環境があれば、それが一番望ましいと思いますが、英語に本当に嫌悪感を持っている人にほかの授業をやってしまうと、その教科もどんどん意欲が下がっていってしまうことが懸念されるので、それについてはもっと考えないといけないと思います。

 【松本委員】  ありがとうございます。

 【吉田(研)座長】 ありがとうございました。
 今の松濤中学校、あるいは長生高校のお話を伺っていると、行政の支援というのですか、やはりそのあたりが一番大きな問題なのかなとお聞きしました。特に公立の学校の場合は、私立と違ってどうしても人がかわりますし、いろいろな形で、人事異動その他があると中身も変わってきますので、継続性ということも一つ大きな問題ではないかという気がします。そういう点なども含めて、今後、考える必要がある。
 ただ、松濤中学校のほうで、できればほかの教科に関しても英語でやってみたいという意欲を持っておられるということはすばらしいと思います。私、一つ思ったのは、それこそ長生高校のほうでもやっておられるように、日本人のほうでも理科、社会の先生が英語で少しやってみようという努力があれば、ALT頼みになってしまうのもちょっと問題なのかなと思います。その辺の調整がうまくいけば、もう少し全体としてうまくいくかもしれないですね。
 それから、藤田さんのお話、松本先生、厳しいですよね。

 【松本委員】 いや、厳しくないですよ。(笑)

 【吉田(研)座長】 確かに、最後におっしゃったように、本当にやりたい生徒さんたちに、本当にどれだけきちんとした形で、どんどんモチベーションを上げるように英語で授業をやっていくかということは、一つ大きなポイントだと思います。しかし、ほかの子はどうなるのかということは、また別問題として残りますので、そのあたりで先ほどから出ているような、よりモチベーションを高めるような方策が考えられるか。今後、その辺を考えなければいけないのかもしれません。
 ほかの方はいかがでしょうか。では、太郎良先生。

 【太郎良委員】 今日は、モチベーションについての会議ということですけれども、私は総体的な立場から、モチベーションについて考えていることを若干お話ししたいと思います。
 言うまでもなく、モチベーションをいかに高めるかというのは重要なことでありまして、学校教育におきましても、モチベーションが適切に高められれば、その教育活動は半分以上成功したと考えてもいいのではないかと思うぐらい重要なことであります。私が認識しますに、今日は第5回目の会議になるわけですが、今までの第1回から第4回の会議で、それぞれいろいろな議論がなされていたわけですが、それらの議論も含めて総括的なものとして出てくるのは、結局、いかにモチベーションを高めるか、意欲づけるかということになろうかと思います。
 小学校、中学校、あるいは高等学校等の学校現場の教科研究のテーマ等、これまでの何十年を振り返ってみても、何々に関する学習意欲を高める工夫であるとか、そういったものが非常に多い。ということは、いかに各現場の先生方が学習意欲を高めること、モチベーションを高めることに、日々苦慮しているかということの表れ以外の何物でもないと思います。
 今日、文部科学省から配付されました資料の中も、文部科学省も大変ご苦労なさって、いろいろな具体的な施策を今まで打たれてきたわけでございます。例えば、英会話サロンを設けたらどうであろうか、スピーチコンテストを充実させたらどうであろうか等々、率直なところ、必ずしもはかばかしい数値が出ていない。やはりこのあたりに、いかにモチベーションを高めるかということの具体策の難しさが出ているように感じられてなりません。
 ちょっと考えただけでも、中学校レベルで英語に対するモチベーションを考えた場合、何でモチベーションが上がらないのだろうか。今日、松濤中学校から大変立派な研究発表がございましたが、あの研究発表は必ずしもすべての公立中学校に通用するものではない。もちろん、通用させるべく活用していかなければいけませんが。
 では、どうして多くの公立中学校の少なくない生徒たちから、英語はおもしろくない、英語はわからないという数値が出ているのだろうかと考えますと、これは今までも幾度となく言い古されてきたことでありますけれども、英語を使うべき必然性が必ずしもない、そういう環境がない。また、英語は積み重ねの技能教科でありますから、着実に、忍耐力を持って続けていかなければ、決してマスターできるものではない。途中でわからないままに挫折してしまう。あるいは、各行政に努力いただいてALTを入れるにしても、必ずしもその数は十分ではない等々、さまざまな課題と思われる現状があるわけであります。
 それを乗り越えるためにどうしたらいいかということで、こういう会を持たれているのだと思いますが、それに対する考え方として、私は2、3、簡単に、現状認識から含めて申し上げたいと思うのは、教育というのはやはり基本的には教える者、教師がいるわけでありますから、教師の視点から考えてみたいと思います。
 まず第1点は、これは当然のことでありますが、各教師がわかる授業をすることであります。こんなことは当たり前のことであります。そういったことは、今までのこの会議でもなされてきました。そのわかる授業をするために、教員に関するいろいろな研修をもっともっと充実させようとか、到達目標を明確にしようとか、そういったことがうたわれてきたわけでありますが、結局、モチベーションをいかに高めるかということは、教師レベルからいくと、今まで4回の会合を通して積み重ねてきたものに返っていくのではないかと思います。いかに教師がわかる授業をやるか、おもしろい授業をやるか、生徒を引きつける授業をやるかということであります。
 2つ目として、教師レベルで考えてみた場合、モチベーションを高める非常に大事なものとして、いかにコミュニケーションをとるかということが重要だと思います。それゆえに、今の英語教育はコミュニケーションということが重視されているんだと思います。英語教師がコミュニケーションをとるということは、このグローバルな社会の中でほんとうに重要なのだということを深く深く心の底から認識し、確認することが大事ではないかと思います。
 具体的な例を挙げますと、一番卑近な例で、今、日本が置かれている大変な状況の中で、被害者の方に黙祷をさせていただき、また、冒頭、吉田座長から、海外のほうでさまざまな声が挙げられているという大変含蓄の深い、総括的なお話がございましたけれども、やはりこういったときにこそ、英語というものを使って日本人が外国に対して、日本はどういう状況にあるか、日本人はそれをどのように乗り越えようとしているか、全世界に対して日本人はどのようなものを期待したいのかということをアピールし、コミュニケーションすることは非常に大事ではないかと思います。しかし、残念ながら私の見るところ、そういったものは必ずしも十分になされていないのではないか。
 今、私が申し上げたような物の考え方が妥当であるとするならば、そういった気持ちを、一人一人の教師が熱い思いを持っていれば、その思いというのは授業を通して、教育活動を通して若い各生徒の心の琴線に訴えかけていくと思います。それが、スキルの底にある根本的な、コミュニケーションをとることがいかに大事か。だから、そのために私は英語を勉強するのだ、勉強したいのだという最も根源的なものにつながっていくのではないか。そのような物の考え方を、今回の審議会、いずれ報告が出るだろうと思いますが、やはり英語教師に訴えていただきたいと思うわけであります。
 また、それとも関連いたしますが、教師の立場と同時に各行政機関の立場もあります。この英語教育を本当にどれほど、心底、各教育委員会の方々はお解りいただいているのだろうか。英語を通してコミュニケーションをとるということが、いかにこれからの日本にとって、今の日本にとって大事なのかということを理解していただいているのだろうかと考えた場合、やはりそういったことも、もっともっと、強く強く働きかけ、アピールする必要があるだろうか。そういったことが本当に理解してもらえれば、こういった予算難の折だけれども、十分ではないけれども、こういった学校にはこれだけの予算を提供しようとか、人材を派遣しようとか、こういう採用の取り入れてみようとか、そういった具体策が出てくるのではないかと思います。
 ちょっと長くなりましたけれども、英会話サロンを設けたらどうだろうか、こういったことをやったらどうだろうかという具体的な案を打ち出すことはもちろん必要だし、大事だけれども、同時に、最も根源的なものをぜひ訴えていきたいと思います。
 最後に、今まで申し上げられなかったことがあるので、それもつけ加えさせていただきますと、今回やっております検討委員会の報告、私は非常に期待しておるわけであります。現在、来ております行動計画は、残念ながら、私の知る限りでは十分に周知されておりません。文部科学省の方々にこういったことを申し上げるのは大変心苦しいのですが、私の知る範囲で、各学校現場の英語教師にこのことを言っても、認識している者は極めて僅少であると考えていいだろうと思います。学習指導要領がよくなるということは、当然よくわきまえておりますし、勉強もしている。しかしながら、学習指導要領の上につながるアクションプランについて、どれほどの人たちが、どれほどの学校の管理職の人たちが認識しているかというと、残念ながら十分ではないと思います。
 ここ数カ月のうちに、私は2回ほど研修会の講師に参加させていただきました。そのときに、私は、現在のアクションプランについて、ちょっと手を挙げてもらって、どれぐらいご存じですかと聞いてみました。各研修会とも参加人数は30人から40人ぐらいの先生方で、大変熱心な方でしたが、年配の方が2、3人、手を挙げられました。ほかの人たちは、残念ながら知りませんでした。あわせて私は、今、国では一生懸命、もっともっと英語を充実させてくださいということで、こういう委員会を立ち上げてやっているのですよ、ぜひホームページを見るなり何なりして認識してくださいねと、PRさせていただいたわけですが、私たちが一生懸命議論しているこの検討会の内容も、報告書として出る場合、単に報告書として終わらせるのではなくて、ぜひさまざまな手だてを持って周知徹底を図っていただきたい。ぜひお願いしたいと思います。
 大変長くなりましたが、以上でございます。

【吉田(研)座長】 ありがとうございました。
 今のお話のように、具体的なモチベーションを高めるための施策というのは、もっと根源的な問題がそこになければ、なかなかうまくいかないのではないか。太郎良先生の場合は、特に教員の問題を中心に、また行政の問題についてお話しされましたが、まずはとにかく、前回やりました教員の授業力の問題とすごくかかわってくると思うのですけれども、どれだけ本当にわかる授業、いい授業をやっていくかということが、生徒たちが本当にわかるようになる、またモチベーションが高まっていくという大前提だろう。それから、教員が英語を使ってコミュニケーションするという重要性をどれだけ認識するか、また、それを本当にわかっていれば、その気持ちは生徒に伝わるはずだ、それがまたモチベーションにつながるはずではないかというお話だと思います。最後の行政の問題も、先ほどの教員とも似ていると思うのですけれども、行政の中でもどこまで本当に、英語というものが今、日本にとって必要とされているということを認識されているのかという問題と同時に、今までやってきたいろいろな施策を、きちんとした形で明確に周知徹底させていくという努力をもっとする必要があるのではないかと、そういうお話ではないかと思います。ありがとうございます。
 では、中村委員、お願いします。

【中村委員】 私も、自分の体験から少し意見を述べさせていただきたいと思います。
 私の時代ですと、ジョン・F・ケネディという若い大統領がいましたけれども、あの人の演説を聞いて、私は英語へのバリアが消えたと思います。その後ですと、クイーンエリザベスの議会での演説とか、最近ですとオバマ大統領の演説とか、やはり意味がわからなくても、感動を受けるような演説なり、ステートメントというのはあると思うのです。そういう機会が自分にはあったというのは、すごく重要だったという気がします。
 人それぞれ得意な分野、好きな分野、嫌いな分野はあると思います。生徒それぞれが持っている、自分の興味のあるところを先生方が見てやって、そこと英語を何とかうまく結びつけて教えていくようなことが重要なのかなという気がします。英語の目的とすると、先ほど藤田さんがおっしゃった、ちょっと引いてしまうような生徒さんも結構あると思うんです。今ですと、英語、ドイツ語、スペイン語と、インターネットで全部つながってしまうわけです。今みたいに日本の電子メーカーがちょっと弱くなっている時期は、外から先端のものがいっぱい来ます。アップルがiPhoneだの、iPadだの、音楽でしたらラップだの、ほとんどアメリカから来ますよね。演劇ですとヨーロッパというのはあると思うのですけれども、そういう分野に少しでも興味を持っていて、英語なり、フランス語でもいいんすけれども、そこにリンクをとれると、生徒さんそれぞれは、英語を知っているともっと自分の楽しみなり、知識が深くなるのだという認識が持てるのではないかという気がします。ですから、いろいろな体験とか経験に触れさせるチャンスをもっともっと与えることが非常に重要なのではないかと思います。
 松濤中学校のプレゼン、私、非常に感銘を受けました。7年目に入られたということですけれども、質問は、入学してよかったと92%の方がおっしゃっているということですけれども、では6年前、重点校が始まったときの1期生の生徒さんは、今、高3なり、ひょっとしたら大学へ行かれているかもわからないですけれども、今、どういう生徒さんになっているとか、追跡調査みたいなことはされていますでしょうか。

 【松濤中学校(鈴木校長)】 よく聞かれるので、やらなければいけないと実は思っているのですが、本校が英語教育重点校になったころは、学校の生徒数が50人を切るぐらいの、本当に小の中でも小規模の状態だったそうです。そういう中で、地域で学校の存続も含めて考えて、社会の要請も含めて考えたときに、英語教育重点校という考え方が出てきた。それから、小学校も中学校もこの時期に学校選択制を行っています。今、完全に自由選択です。そういう流れの中で英語教育を始めたところ、生徒が増えてきた。今現在は、もう入り切れない、実際、抽選になっている現状になっております。
 その辺を考えていきますと、当初、そういう小さな学校でも英語をやりたいという子たちは、今よりもモチベーションは高かったと思います。特にやりたい子たちは。先ほどのアンケートのように、英語教育重点校だから英語をやりたいという子と、親から見てやらせたいという実態が今はあります。そういう意味では、本人はあまり思ってないけれども、親が行けと言うからという形で入ってきて、ちょっとつらいなという子も中にはおります。公立中学校ですから、英語ができる、できないとかは関係なく、区のほうで抽選で選んでいるわけですけれども、そういう中で、今、モチベーションに差があるということは、いろいろな形で意見が出ているように、実際はあります。
 今後、ぜひ追跡調査をやりたいのですけれども、実はなかなか難しくて、海外へ留学を希望して実際に行っている生徒、高校に入ってすぐ海外に行っている子がいるので、間違いなくモチベーションが高い子たちだと思います。それから、高校に入るとALTがほとんどいない。それから、英語の先生は英語で話さないということで、子供たちがつまらない、すごくできる子たちにとってはつまらないという声も聞きます。本校でものすごく英語が得意になって、力をつけた子たちが高校に行ったときに、すごく進学校に行ったとしても、実は英語があまり使えてないというようなことを言っている例があります。その辺の連携のとり方も含めて、本校でもいろいろ考えなければいけないと思っております。ちょっとはっきり分かりませんで、申しわけございません。

 【吉田(研)座長】 ありがとうございました。今、中村委員のほうからもありましたけれども、本当に自分が興味だとか関心などを持って、そこから自分たちも、私もそうだったですけれども、同じ世代なので、そういうところから本当に英語に引かれて、英語をもっと勉強しようというモチベーションがわいてきたと思います。今の松濤中学校のお話を伺っても、最初のころは本当に熱心な人がいたとしても、有名になればなるほど、違った目的で入ってくる人もいるということですよね。
 今のお話を伺っていて、私、そうだなとすごく思ったのは、中学校でこれだけ頑張っても、高校に入った途端にがたんと今までと違うという話は、ほかでもちょっと聞いたことがあります。私、たまたまある先生から相談を受けて、うちの卒業生で、中学校では全部英語でやっていたんだけれども、高校に入ってだれも英語で授業をやらなくなって、大学に入ったらもっと日本語になってしまったと悩んでいるのがいるから、ひとつ相談に乗ってくれと頼まれて、相談に乗ったことがあるのです。
 そういうときに気がつくのは何かというと、中学校時代は楽しく英語をやっていたというのは、自分からやりたかったのではなくて、逆に雰囲気、周りがそうだったのかなと。その中で、自分は英語を何でやりたいのかというモチベーションを見出していれば、高校に入って周りが日本語に変わっても、それなりに持続したのかもしれない。その辺をいろいろ聞いてみると、あまりそういう目的も持ってないのです。
 ですから、環境づくりもすごく大事だけれども、先ほどから出ている、本当に自分でその中から、英語を使ってどういうことをやっていきたいのかという気持ちが生まれるかどうか。そういうモチベーションをこの時期に育てられたらすばらしいのかなと思いますね。
 ほかにどなたか。では、卯城先生。

 【卯城委員】 まず、私が勤めている筑波大学は、今回、関東の中では一番大きな被害を受けた茨城県にあるのですけれども、今日現在、まだ建物の安全が確認されていないので教員しか入れないのです。受付で、そういうことを承諾して入るかと。入らざるを得ないですけれども、承諾をして入って、片づけをしています。そんな中で、学生たちはまだ入校できないのですけれども、僕、びっくりしたのは、学生たちがツイッターを使って、中国語とか、英語とか、スペイン語で地域のボランティアをやって、情報を発信していると。中心となっている学生は僕の授業を受けているのですけれども、そのときにぱっと思ったのは、すごいなというのと、よりによって君がと思いました。ツイッターを見ると、本当に全部赤線で引きたくなるようなものですけれども、非常に役に立っている。だから、言語ができるということと、それを使ってみたいという意欲はまた別なのだなと思いました。
 あわせて、震災当日は、僕は揺れてから1時間ぐらいして、学生たちに気をつけてなと無責任に別れたのですけれども、高校はそういうわけにはいかなくて、電気も水道も止まりましたし、県北はまだほとんど水道は止まっているんです。電車もなくて、車も渋滞になりましたので、ほとんどが次の日の午前2時、3時まで学校に残って、最後の生徒の安全が確保されるまで残ったり、あるいは一緒に泊まったというところを見て、今日の議題とは違うのですけれども、本当に日本のきめの細かい教育力というか、教育力の高さを痛感しました。
 それで、モチベーションに関して2つあります。1つは、英語が使える日本人の育成というのが前回のテーマだったのですけれども、使えるようになっても、肝心の使う機会がなかったということが一つあったと思います。もう一つは、使えても使おうとしなかった学生や生徒が多かったように思います。今回は、英語を使うということがキーワードの一つだなと、今日の3つのプレゼンテーションを拝見しても強く感じました。使う必然性をつくる、それが使う経験となって、使う喜びと成就感、そういったものが学習意欲につながるのではないかと思いました。特に、郡部高で勤務をしているときには、進学が目的でなかったり、身の回りに英語の必然性がなかなか感じられないような厳しさがあって、そういったところで苦労している先生方は多いですけれども、外国語活動でよく取り上げられるのは大牟田市の地域イントラネットです。子供たちが家に帰ってからもインターネットで学んだことを復習することができたり、英語に自信がない先生は、次の日に教える内容を、もう一回シミュレーションを見ることができる。そういった何か使う機会を設けることができないかということが一つです。
 もう一つは、やはりコミュニケーションを考えるときに、藤田さんの発表でも内容なのか英語なのかということが出ましたけれども、そこを一つ考えることが大事ではないかと思います。茨城県では、かなり前から従来型のスピーチコンテストを変えて、インタラクティブフォーラムという新しい形のスピーチコンテストをしています。本選と予選はルールが違うのですけれども、例えば予選の形でいうと、1分前に友情とか、愛とか、お金とか、進路とかテーマを与えて、1分の間に少し考えて、3人とか4人が壇上に上がって3分間やりとりをするのです。これは非常に力にもなります。また、1人だけしゃべり過ぎないようにとか、相手を責めないようにとか、何か質問をして逃げ切らないようにとか、いろいろなルールがあります。こういうことをやっていると、本当に日々の授業も変わらざるを得なくなっていきます。現状では、なかなかそこまでは行ってないですけれども、授業の中で正確さを高めるといった部分のほかに、もう一つ使ってみる、伸び伸びと使ってみるという場面を設けることが大事ではないかと思います。
 以上です。

 【吉田(研)座長】 ありがとうございました。
 実は、上智大学も今日まで学生が入れないのです。やはり建物を少し、特に共用部分ですね、いろいろはがれているところがあるみたいです。ですから、お気持ちはわかります。しかし、茨城県は東京とは全然違うと思います。
 今のツイッターの話も非常に印象的ですし、確かにおっしゃるとおり、使う場面をどれだけ設けるかということですよね。これは本当に大事だと思います。インターネットだとか、ツイッターもそうですけれども、携帯なんかを使ってコミュニケーションをやっている先生がおられたり、そういう新しいいろいろな機器などを使いながら、コミュニケーションの場を増やそうという努力をされている先生たちはたくさんおられると思います。
 最後のインタラクティブフォーラムも、非常におもしろい試みだと思います。以前、私が1回見たことがあるのは、これは高校生ではありません、社会人だったですが、一つのテーマ、一つの問題状況、例えば駅で切符をなくしたという状況を選定して、出てくる人たちは、先生役の人は駅員です。客になる人は出場者です。出場者がお客さんになって、どうやってうまくコミュニケーションしていって、例えばただで通してもらうとか、そういうようなことを競い合う大会を見たことがあります。最近、ちょっと見てないですが。そういう意味で、インタラクションの重要性というか、使う場をもっと増やしていかなければいけないというのは、私も本当にそのとおりだと思います。
 ほかにどなたか。では、市村委員。

 【市村委員】 長生高校の英語科の取り組みの中で、4つほどございましたね。最後のところに高大連携による英語教育の実施とありましたけれども、これについて、私の意見と、質問になるんですか、現在、私は、文部科学省高等教育局の産学連携によるグローバル人材育成の委員会の委員をやっております。3月初めに、その委員会で一つのテーマで議論したんですが、グローバル人材の需要をどういうふうに見たらいいかという点です。これで議論しますと、現在、5%ぐらいの労働人口、約300万人強になりますけれども、このくらいのグローバル人材をそろえないと、ほかの国に対抗できないという一つの考え方がございます。
 これは、いろいろな考え方があるのですが、2000年にヨーロッパがリスボン戦略ということで人材戦略を決めました。その考え方というのは、業種ごとに何%ずつ人材を育成していこうという考え方で、いわゆるグローバル人材を5%、アントレプレナーを3%、エンジニアを10%、弁護士とか医者というスペシャリスト何%にしましょうという考え方なのです。これは、いわゆる少子化問題と、高度成長があまり期待できない社会環境の中で生み出した戦略なのですが、同じ先進国のグループとして、ある意味では日本もそこに入るのではないかということになると、グローバル人材の層としては5%、300万人と。
 実態はどうかというと、今、日本のグローバル人材というのは約1%、60万人と言われているのです。あと、予備群が2%、120万人ぐらい、合計して180万人ですから、あと120万人を5カ年計画か10カ年計画で育成しなければいけない。いずれにしても、そこまでの需要がありますから追いつかなければいけない。そうなると、例えば5年でやるとしたら、毎年24万人の人材を育成していかなければいけない。これは大学一つではできませんので、産業界と一緒になっていきましょうというプランです。
 大学側も、グローバル30のプロジェクトがあって、人材を30万人育成しようとやっていますが、なかなか人が集まらない、先生の数も足りない、学校の受け入れ校も少ない。留学生にしても、現在、受け入れは14万人、出ていっているのが8万人から9万人ですから、こういうやり方を繰り返しやっていても24万人体制にはならない。その中で、大学と高校が連携して、いかにして予備群をどんどん高校でつくっていくかということが重要なテーマになってくるわけです。
 そのときに、ここにも書いてあるように、高校、大学が連携して指導していきましょうというのは、具体的にどういう考え方があるのか。我々としては、一貫カリキュラムで教えていくとか、何かそういうドラスティックなことをやっていかないと、もう区切り、区切りでいったら、繰り返しが何回も続くような状況にもなりかねないので、やはりここは行政も大学側も、あるいは産業界も一体になって、日本の戦略として考えていかなければいけない。
 今回、政府が発表している新成長戦略の中で、人材戦略で一番重要なのはグローバル人材の育成となっているのです。ただ、具体的にどうするのかということは書いてないんです。ゴールである人数をどのくらいにするかも書いてない。ですから、グローバル人材を育成するという言葉が先に出てしまって、具体案についてはこれから検討しましょうというような状況ですから、そういう中でターゲットを、例えば年間24万人とか、30万人とか、こういうものを育てていくんだというポートフォリオをつくっていかなければいけないと思うんですが、その辺、高校のほうとしてはどういうふうに考えますか。

 【長生高等学校(三上教諭)】 本当に大きな問題なので、お答えできるかどうか。
 先ほど英語科学研究発表で、数学分野で研究を発表した生徒がいますよね。彼は、国語がめちゃくちゃできないのです。今までの大学入試の形でやってしまうと、ああいう生徒が埋もれていってしまう可能性があるのです。その辺を大学とどうつなげていくかという一つ大きな問題があります。国立大学の先生方は、すべての教科ができなければいけない、センターテストも全部できなければいけないと。それを取り払わない限り、ああいう生徒がそのままの力を伸ばして上に行くことはできないという感じがします。あの生徒に関してはAO入試で頑張れよと言っていますけれども。(苦笑)そのようなことが一つあります。
 あと、高校現場だと大学で推薦入試も問題ですよね。大学のほうから一方的に評定値が幾つと言ってくるのですけれども、高校レベルは評定値のレベル差も含めてみんなばらばらです。それで大学から一方的に言われてくると一番困ってしまいます。そうすると、校内ではやはり点数になってしまうのです。だから、本当にユニークな人材がいたとして、私が100%保証したとしても、そういう子が校内の成績で行けなくなってしまうという現状があるのです。それを何とかしないと、科学分野にそれだけ潜在能力を持っている、能力のある子が上のほうに行けないというのは一つの大きな問題かと思います。
 私も台湾に行ってきて思ったのは、ASUS(エイサー)というコンピューター会社がありますけれども、あそこの入社試験は英語の能力試験ではなくて完全に面接だそうです。英語で面接をされて、向こう側の英語で専門的なことに対してちゃんと答えられる人材を採用させています。やはりここのレベルまで行かないとだめなのだなと実感した次第です。
 それを続けるために、やはり高大連携というのは、今、大きな言った意味と現場の高校の先生があまりにもトップクラスの大学での授業を知らなさ過ぎるのです。

 【市村委員】 ああ、そういう意味ですね。

 【長生高等学校(三上教諭)】 だから、1回大学や海外現場に引っ張っていって、見てみろよ、これがゴールなのだよということで、長生高校も生徒と先生に行ってもらっているのです。
 それから、私どもの方のような地方ですと、中学校で英語で授業をやっている先生方は半分もいないです。そうすると、長生に入ってきて、今まで英語で授業をやってこなかった生徒が、英語が授業をされてしまうということで、やはりひずみが生まれてしまうのです。だから、中学校とも連携もこれから取り組もうとしているのですけれども、非常に大きな難しい問題です。こちら側の授業を見に来てください、私も授業しに行っていいですよとやっているのですけれども、校長同士とか地域の中であまり連携できないのが現状です。

 【吉田(研)座長】 ありがとうございました。
 確かに、市村委員のお話というのは、すごく大きな問題ですけれども一番大事な問題だと思います。高大連携に関しては、今、お話ございましたが、これは高大だけではなくて、中高もそうだし、小中もそうなのですが、連携が本当にうまくいっていないというのは、現状としていろいろなところで出てきています。その辺、もっとスムーズな接続というのでしょうか、お互いがお互いを、どういうことをやっているのかをちゃんと理解した上で、自分たちがやるべきことをもっと正確な形ではっきりと理解していかないと、全体はなかなかうまくいかないと思います。最後におっしゃった面接の話、それこそ大学入試の問題、今もすごく大きく取り上げられています。今までのやり方は何らかの形で変えていかなければいけないのではないか。そういう意識は、皆さん、最近持ってきているのではないかと思います。
 時間もあまりなくなってきましたが、吉田委員、お願いします。

 【吉田(広)委員】 数年前まで、モチベーションですとかストラテジーにちょっと興味があって、研究していたことがありました。日本人もしくは韓国人、中国人のモチベーションについて研究していたのですが、日本人の場合には、やはり言われているように、学習内容に興味があるかどうかという内容充実に関する動機と、あとは、これは外国人にはあまりない動機のようですが、外国人は格好いいからとか、アメリカ人としゃべれるようになりたいという情景、憧れのような動機と、やはり大学生なんかですと厳然としてあるのは、遂行的な動機といいますか、報酬に基づく動機というのはあります。例えば、大学1年生で非常に顕著なのは、必修の科目だから勉強している、もしくはいいところに就職したいとか、当時、小学校で英語が始まるという話があったので、そのために勉強しているということがあった。一方では、学習内容を充実させるということももちろん必要だと思いますが、一方ではインセンティブを用意するということも私は重要だと思っています。
 それについて、文部科学省を中心としていろいろな施策も出されてきているようですが、本学に通っている学生などの状況を考えると、例えばインセンティブとして留学を用意したとしても、正直なところ年間5万円や50万円の補助ですと、経済的な問題で行けないという学生が少なくありません。留学のための奨学金を50万円出すので行くかといったら、50万円ではとても足りないという学生が本学でも少なくない。そう考えたときに、長期の留学に関しては、例えば5分の1の人数に絞ったとしても5倍のお金を出すというような形で、ほんとうにできる学生を育てていくということがある意味必要かと思います。
 一方で、すそ野を広げるという話も非常に大事だと思いますので、本学でも毎年増えているのですけれども、1カ月から3カ月ぐらいの短期の留学に関して、費用を抑えるような形でもっと奨励していくことが必要かと思います。
 これが1つ目のインセンティブの話です。
 もう一つは、英語力の一定の指標に基づいて、入学の一部を免除したり、優遇したりという措置がなされている大学がありますが、これをもっと拡充していってもいいのではないかと思います。先ほど藤田さんの話であったと思うのですけれども、受験のためにということがあったとしたら、別にそれを逆手にとってもいいのではないかと私は思っています。例えば、検定試験に合格したとか、TOEICで何点以上とっているという学生に関しては、英語の試験を免除するというようなことがもっと増えてもいいのではないか。AO入試の範囲だけではなく、一般入試の範囲でももっと増えてもいいのではないかという気がしています。
 それとともに、当然、学習内容を充実させることは重要だと思いますし、これに関しては、これまで委員の先生方、皆さんいろいろなことをおっしゃってくださっていますけれども、私が一つ、授業を行っている中で感じているのは、藤田さんがおっしゃった、テストを目標にする学習ではよくないということと、評価されているという意識を持つと勉強する気がなくなるということともかかわるのですが、ゴールが一つしかない、正解が一つしかない学習に、少なくともうちの大学に通っている学生は、そういう学習になれ過ぎている。先生が求める正解を出さないとだめなのだ、先生はどんな正解を求めるのだろうということを考えながら、それでびくびくしながらやっているという気がします。もちろん、収束的なゴールが1個しかなくて、その正解を求める学習は必要ではありますけれども、一方ではもう少し発散的な、自分たちの考え、思いが反映された学習が必要なのではないかと考えています。
 先ほど、旅行計画を立てるというような話がありましたけれども、テーマを与えられて、材料はエクスペリアというサイトから引っ張ってきなさい、為替の計算はグーグルの電卓機能を使いなさいという形で材料は用意したとしても、ゴールは別々にするということがある意味において必要かなと思います。同時に、正解が1個しかないような学習でも、彼らはやらされている感を持つと途端にやる気をなくすので、やらされている感をいかになくすかということが必要かと思います。極めて非効率ですけれども、例えば私は単語の学習でクロスワードなどを多用していますけれども、やらされている感をいかになくすかが必要かと思います。
 ただ、発散的な学習を進めていくと、これまでの評価方法ではなかなか評価しづらいと思うので、例えば文法的に正しいとか何とか、英語的に正しいということを評価の最大の基準にするのではなく、内容がどうであるかということを評価の基準にしていくための教員の学習が必要なのかなと思っています。
 すみません、以上です。

 【吉田(研)座長】 ありがとうございました。
 今、インセンティブの重要性ということで、留学に関してもサポートをどれだけできるか。一部分を出したって、それだけではとても行けないのではないか、短期のものをもっと増やしてもいいのではないか。あるいは、入学の免除をもっと広げて、いろいろな資格を認めていいのではないか。最終的な学習内容に関して、正解が一つという学び方からどうやって脱却していくか。もっと多様性のある、もっと自由にいろいろ発案できるようなもの、また、それをどう評価していくかということを、今後、考える必要があるのではないかということだと思います。
 岡田委員、いかがですか。

 【岡田委員】 本日は、具体的に幾つか提案させていただければと思っております。
 我々の子供時代と比べて、今の中高生は英語なり、外国語文化と触れる機会が多いという印象を受けるのですが、他方、日常生活で一般の国民なり、中高の学生がネイティブと一緒に行動するとか、話し合う機会があるようでない、つまり英語を使うチャンスが少ないと思うんですね。やはり何といっても、じかに触れさせることがモチベーションを高める一番の早道だろうと、自分の体験からしても、そう思います。すべての人々にそうした経験をしてもらえないとするなら、擬似的に外国の方や外国の文化と触れ合う状況というのでしょうか、そういうものを恣意的につくり出す必要があろうかと思います。
 幾つか具体的なアイデアを述べたいと思うのですが、とりあえず今すぐできることとしては、ネイティブの英語教員を大量に投入するということです。現在、ジェットプログラムで全国に配置されているALTの数は、私の聞いたところでは4,000名です。それ以外のチャネル、つまり直接雇用なり派遣契約等で6,000名、計1万名近い数です。私の数が間違っていれば直していただきたいのですが、小学校が2万、高校が1万、中学校が5,000ですか、その辺のニーズから逆算すると、大幅に足りないのではないか。
 もう一つは、雇用形態ということで、教育委員会が直接雇用することが一番望ましいのですけれども、実際には予算確保の問題もあり、採用とか労務管理は非常に難しいところがありますので、教育委員会が直接雇用に踏み切れないということもあり、外部、民間の業者から派遣等で来ていただいているというケースがあろうと思います。しかしながら、先ほどもどなたか触れましたけれども、労働者派遣法の制約があって、学校当局なり担当教員が直接、派遣されている外国人のスタッフに指導というのでしょうか、指示ができないという制約があるそうです。こういった法的なところもとりあえずクリアさせて、条件整備をさせていただけないか。
 逆に、ネイティブ教師の立場からいいますと、日本に来て英語を教えるALTになった場合、やはり雇用期間の短さというところが、彼らの人生設計というと変ですけれども、その辺のところで不安があって、なかなかいい外人さんがこちらに来ないということもあろうと思います。資格なり、資質をチェックする必要はありますけれども、優秀な外国人教師は、例えばですけれども、日本人の英語教師と同じステータス、待遇で雇用する。それも、60歳定年まで雇用を保証するとか、思い切った制度を改革が必要なのではないでしょうか。これからの国際化の中で、優秀な外国人を大量に入れていくということが国の流れになっていくと思いますので、そういった流れにもそういう動きが合致するのではなかろうかと思います。
 2つ目は、学校単位で国際交流をもっと促進できないかという提案で、多摩にある明星大学が進めているサマープログラムが一つの参考になります。去年、NHKの「クローズアップ現代」でも紹介されたのでご覧になった方もいらっしゃると思うのですけれども、非常に感動的なことをやっています。夏休みの3週間を使って、大学で教職課程をとっている学生が中心になって、世界中から十数名のボランティアを集めて、地元の小学生に英語なり、交流プログラムを3週間みっちりやるのです。私も少し取材させていただいたのですけれども、短期間に生徒たちがネガティブとコミュニケーションを本当に上手にとっていくんですね。必要に応じて英語を使わなければならない状況に置くわけです。その中で、彼らが本当に成長していくことを目の前で見せられて、私も感銘を受けました。
 このようなプログラムをぜひ中学、高校レベルで、このような大きなスケールでは難しいでしょうけれども、実施したらどうでしょうか。例えば姉妹校から数名、夏休みに10日間でも呼んで、生徒たちに企画から全部やらせるのです。来てくださる方、学生とのコミュニケーションから、連絡から、すべて英語でやるとか、そういうプログラムを立ち上げる。これは、多分、取り組めるテーマではないかと思っております。
 3つ目は、やはりインターネットの時代なので、企業や政府・官庁もやっていますけれども、自分たちをアピールするホームページ、これをぜひ学校単位でやってみたらどうでしょうか。担当する英語教師のホームページ制作、英文コンテンツの校正、校閲に関するスキルの問題があろうかと思いますが、今、ホームページ制作については、非常に簡単につくれるソフトが出回っておりますので、ハードルは昔ほどは高くないと思います。そのコンテンツの作成に、できる限り生徒さんを参加させるという形が望ましい。それによって、ネットを通してですが、海外とコミュニケーションをとる経験というのは、かなりインパクトがあるのではないかと思います。これは、ぜひ取り組んでいただきたいテーマの一つと思います。
 あと、最後にもう一つ、これは荒唐無稽な案で、よく話題には出るのですが、英語村です。韓国・ソウル近郊の英語村が大成功しているという話はよく知られています。これをぜひ日本でつくれないか。そこに行けば、全部英語でコミュニケーションするしかないような擬似空間をつくる。それに学生が、修学旅行や、短期の研修等で利用する。国がつくるわけにはいかないと思いますので、これはやはり産業界なりが力を合わせて、第三セクターでもいいんですけれども、恒常的な英語体験施設というものをぜひ日本でもつくったらどうか。もし、そういう施設ができましたら、最初の村長に私を推挙していただけたらと思っております。これは冗談です。
 以上です。よろしくお願いします。

 【吉田(研)座長】 ありがとうございました。
 簡単にまとめさせていただきますが、最初は、とにかくもっとネイティブスピーカーを投入する必要があるのではないかということです。やはり外国の人たちと実際に英語を使う機会を増やさないとだめだろうということ。もちろん、外国人の先生たちの雇用形態は非常に大きな問題として残っています。2番目の国際交流、サマープログラムのような形で、地元の中学校などに外国人の留学生たちと一緒に学ぶ機会を、キャンプを通して設けるというようなこと。それから、インターネットでのホームページなどの作成をもっともっとやらなければいけないのではないか。最後は、英語村の話ですね。
 もう時間も過ぎてしまったのですが、きょうはいろいろな話が出て、ちょっとまとめようがないような気もするのですが、私が幾つか気がついた点だけ簡単に申し上げますと、1つは、松濤中学校もそうですし、長生高校にしてもそうですけれども、やはり授業内容そのものですよね。先ほど、松本委員からスペインの学校の例もありましたけれども、内容面で、本当にしっかりと英語を使って学んでいける体制をどこまでつくれるかということが一つ。もう一つは、杉山委員や藤田さんがおっしゃっている、個人のモチベーションをどうやって上げていくか、興味、関心をどうやって持たせていくか、そういう機会をつくっていくということ。そして、最後のほうで出てきましたけれども、いわゆる授業だとか個人を離れた社会だとか、学校全体でもっといろいろ使う場面をつくっていく。どういうふうにすれば、もっと英語を使える場面を学校外にも設けることができるのかということが、今日、大きくは取り上げられたのかなと思います。具体的な方策など皆さんのほうからございましたら、ぜひ事務局のほうにいろいろ提案をしていただいて、最後の報告書に盛り込んでいきたいと思いますので、その点、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、時間もないのですけれども、最後に、資料5に基づいて、今後の予定について事務局のほうからお願いします。 

(6)その他

 次回の検討会の予定について事務局より事務連絡。 

(7)閉会

 

お問合せ先

初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室

企画調整係
電話番号:03-5253-4111(内線3787)

(初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室)