学校ネットパトロールに関する調査研究協力者会議(平成23年度)(第2回) 議事要旨

1.日時

平成23年11月2日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省 旧庁舎第2会議室

3.議題

  1. 学校ネットパトロールに関する調査研究協力者会議報告書について
  2. その他

4.出席者

委員

大久保委員、角田委員、竹内委員、藤川委員、水木委員、水谷委員

文部科学省

白間児童生徒課長、郷治生徒指導室長、鈴木生徒指導調査官 他

オブザーバー

永井視学官、三好視学官

5.議事要旨

開会

議事

(1)学校ネットパトロールに関する調査研究協力者会議報告書について検討が行われた。

 

(1)学校ネットパトロールに関する調査研究協力者会議報告書についての検討

【委員】それでは、学校ネットパトロールに関する調査研究協力者会議(第2回)を開催する。本日は、「学校ネットパトロールに関する資料集(仮称)」について、委員から、それぞれ担当した部分についてご説明いただきたい。まず、第1章を担当する委員からお願いしたい。

【委員】第1章は「インターネットの基礎知識」についてである。第1節では、学校の教員や教育委員会職員にあまり知られていないようなインターネットの階層構造と、その中におけるサイト管理者の位置づけについて書いた。次に、インターネットに接続する機器として、携帯電話、ゲーム機器、パソコン、スマートフォンなどがあるが、青少年と青少年以外では利用する機器の割合が違うということ、機器ごとの認識番号やアクセスログとはどのようなものかということなどについて記載した。

 第2節は、フィルタリングについて解説している。特に、スマートフォンのフィルタリングについては今後機能が向上していく見込みであり、この資料集を取りまとめるまでに更新していきたい。アプリによってインターネットに接続することが可能であるなど、スマートフォン特有の課題があるということにも触れたフィルタリングのブラックリスト方式については、カテゴリー一覧の例を掲載した。ゲームやコミュニケーションというカテゴリーは、ネットパトロールの主な対象となるだろうということで、強調して記載している。ゲームやコミュニケーション自体は有害ではないが、投稿する画像や書き込みの内容によっては青少年にとって有害なものになるとして記載した。ブラックリストに登録されたページが、全体に占める割合を理解できるようなデータも記載した。EMA認定のコミュニティサイトについては、携帯電話でブラックリストのフィルタリングを設定した場合であっても見ることができること、最近の動きとして、携帯電話会社の努力により、細かな閲覧制限の設定ができるようになっていることなども紹介した。また、フィルタリングを使えば万全というわけではないということで、迷惑メール受信拒否設定や、なりすましメール拒否設定などの有害情報を防ぐための他の機能も紹介している。

 第3節では、掲示板やSNS、プロフなどにおけるネットパトロールと題し、過去に作成されている報告書を紹介した。また、コミュニティサイトにおける関係者の取組としては、コミュニティサイト上に見られる特徴的な機能に伴うリスクと課題についての報告内容を掲載した。コミュニティサイト上の問題に対応するための取組の例を表にまとめ、フィルタリング事業者や保護者、学校関係者、サイト運営者など各々に期待される取組を例示している。

 さらに、インターネット利用に関する法律に関する内容として、インターネット業界の自主規制や法規制、都道府県における青少年健全育成条例について紹介している。東京都では、携帯電話端末などの推奨制度を新設し、その基準に基づき条例の施行規則を定め、今年の7月から施行していることなどを記載したまた、インターネット利用に関する事件例と、それがどのような罪にあたるか、その事件例に関連する法律についても紹介している。できるだけ新しい事例を挙げるようにしたが、中傷の書き込みと放置という、侮辱罪と侮辱の幇助罪にあたるケースだけ新しい事例が見つからなかったため、古い事例を紹介している。補足として、警察庁や法務省が実施している、こうした事犯に関する調査、分析、研究状況などのURLを紹介している。

【委員】東京都の推奨端末等の話については、東京都で条例を定めたものだが、首都圏の都県市の共通の推奨制度に変わっている。最新の状況を踏まえて書いていただきたい。

 また、インターネット利用に関する事件例については、決闘罪という罪名で逮捕されるケースが出てきている。暴行罪では実際に暴力を振るった者しか検挙できないが、決闘罪であれば、集まるだけや呼びかけるだけでも、決闘に関われば罪になるので使われるケースが出てきているので確認いただきたい。次に、第2章を担当する委員からお願いしたい。

【委員】第2章は、「学校ネットパトロールの位置づけ」として、行政、学校、PTA、地域、携帯電話等の会社の役割分担について記載した。第1節は、ネットパトロールの役割分担と活用と題し、学校ネットパトロールの現状と課題や、組織について触れている。現状の部分では、前回の会議の中で挙げられた資料を活用しながら、携帯電話やインターネット利用、フィルタリング等の普及状況について示し、教育委員会等によるネットパトロールの実施状況を記載している。さらに細かい分類として、民間企業に委託する場合や、専従の人員を配置する場合、ボランティア等を活用する場合等について、手法と利点、課題を箇条書きで記載した。

 課題の部分は、4点を挙げ、事業実施の役割分担と連携の範囲について重点的に取り上げ、提案をしていくという構成になっている。

 組織の部分では、行政、学校・PTA、ネットワーク事業者、地域の4つの組織に関し、それぞれの役割について記載した上で、ネットパトロールで得られた情報が関係者の間でどのように伝達されていくかを図示した。、ネットパトロールで探索した結果を学校等に情報伝達していく経路と、学校で事案を見つけた場合に情報を上げていく経路の2つの図を、国公私別が分かるよう示している。また、各立場がどのような役割を果たしているかも書き、関係性が分かるようにしている。

 家庭の役割については、児童生徒の携帯電話の所持や、ルールづくりは、基本的には保護者の考え方によるものであり、家庭で決めることが望ましいと記載している。教育委員会や地域、学校は、あくまでも子どもを守るという立場で取組を行っていくが、最終的には家庭がしっかりと自分の子どもたちを見守っていく必要があることを記載した。地域の役割としては、ボランティアが可能な場合、負担があまりかからない範囲でネットパトロール等の実施に協力していくことが望ましいと記載している。また、携帯電話会社等の役割としては、フィルタリングや、時間帯によってアクセス制限ができるサービス等について契約時あるいは学校や地域の研修、講習会の場において、保護者に対するパンフレットを配付するなどの施策の実施が望ましいと記載している。

 第2節は、ネット対策の中でのネットパトロールの位置づけと題し、ネットパトロールの効果と課題や、効果的な活用方法について触れている。ここでは、ネットパトロールを実施すれば万全というわけではなく、ネット上での誹謗中傷やいじめの問題の根本は実際の社会の中での人間関係のトラブルにあり、今まで取り組んできたような学校での生徒指導等をより強化していく必要があることを説明している。ただし、新しい技術や環境が出てきたことを教員が理解した上で子ども達と接することが大事だという点も触れている。

 効果的な活用方法の部分では、教育委員会、学校、家庭、携帯電話会社のそれぞれがどのようなことに取り組めばよいかを記載した。教育委員会については、情報モラル教材を学校に提供することや、先生方の知識や指導力を向上させるための研修を実施すること、警察等、他の行政機関との連携を図り、情報共有すること、事案が発生した場合の情報の伝達経路や指導等についてマニュアル化すること、マニュアル通りにいかない場合も想定し、そういった事案についても指導をすることなどを挙げている。

 学校においては、児童生徒の人間関係を把握しておくこと、情報を受けた場合などの指導に関する手順を定めること、保護者への情報モラルに関する啓発の機会を持つこと地域との関係づくり、保護者同士で情報共有することなどの必要性を記載している。

 また、家庭においては、携帯電話を持たせる前のルールづくり、携帯電話会社の実施する様々なサービスに関する啓発の必要性について触れた。その上で、教育委員会、学校、地域等それぞれの立場の代表による協議会を作り、情報共有をしたり活動を一元化しながら、地域として子どもをどう守るか考える場を作ることを推奨する記述を含めている。

 最後に、事業費等の負担からネットパトロールの実施が困難な場合もあるが、資料集に書かれている内容はネットパトロールを実施しなくてもできるので、まずはできることから始めましょうという内容で終わっている。

【委員】学校ネットパトロールを包括的な問題対策の取組と捉えて、広く書いていただいた。ネットパトロールの取組について狭く考えている方に、もっと幅広く考えていかなければいけないということを読み取っていただけるのではないか。原稿の中では、具体的な県の事例を取り上げていただいた部分もあるが、特定の県の話としてではなく、普遍的なものとして示した方が良いのではないかと感じた。他の部分との兼ね合いで考えていきたい。続いて、第3章を担当する委員からお願いしたい。

【委員】都道府県教育委員会が民間企業に委託してネットパトロールを実施する体制事例について担当した。ネットパトロールを実施した経緯については、民間企業に委託することに対して、当初マスコミも含めて多くの批判を受けたこともあり、委託の理由を詳しく記載している。保護者や先生、生徒からの被害報告が非常に多い一方で、先生達が自分の携帯でネットパトロールをするのも長続きしないことが予想されたため、他市の取組なども踏まえながら、民間に委託し、技術力があるところで検索をして、アセスメントすることから始めることになった経緯や、民間企業に委託する際の苦労も含めて説明している。また、ネットパトロールの実施を子どもたちが長時間家にいる休業期間に合わせて年3回に分けて実施したことや、一度検索をして問題が発見されたサイトについては継続監視をしていることを紹介している。

 実際の取組の中では、委託先がどのように検索をしているのかという体制を確認するため、直接訪問していたり、学校名で検索して見つかったサイトから、個人に関して炎上している他のサイトが見つかるような場合には、学校名をキーワードにする検索では認知できないために、実際には教員が検索を実施していたりするが、個別の例であり、体制に関する記述ではないので記載はしていない。

 次に、実際にトラブルを見つけてからの連携の在り方について記載した。警察と教育委員会との交流人事の実施や、警察官OBや教員OB、スクールソーシャルワーカー等との連携について触れた。もし、学校に問題が起こったときには学校の支援部隊を作り、書き込みをした子どもにはスクールカウンセラーをつけたり、背景に家庭の事情があればスクールソーシャルワーカーをつけたり、外部の者とつながっていたら警察のOBをつけたり、事件性がある場合は派遣されている警部がつき、事件化していくなどの対応をとってきている。

 また、警察官OBと教員OBからなる生徒指導特別指導員が、学校に派遣され、サイトの発見や削除の実行に関する情報を先生に伝えていく。一度事案に関わった教員は力がつくが、そうでない教員は興味を持っていないので、1つ1つの学校へ行って情報を伝えている。また、事案が発生した学校には、再発防止のための講演なども行っている。

 自殺予告については、緊急対応を行い自殺を防いだ実績が1件あった。情報が入ってから、特定して見つけていくまで短時間での対応が必要で実際に動くのは非常に大変である。

 最後に、委託先による学校非公式サイト検索の結果の活用方法を図にしたものと、県警本部や他部局との連携について図示したものを掲載している。

【委員】都道府県レベルで外部委託をした貴重な事例として、多くの教育委員会の参考になると思う。ただ、今の説明で強調された部分は、文章にしておくべきだろうと思う。続いて、教育委員会、学校が自主的にパトロールを実施する場合の事例について担当した委員から説明をお願いしたい。

【委員】実施体制の事例ということで、今後詳しい事例の執筆を依頼する予定の学校、教育委員会について、それぞれの取組の紹介を記載した。取組の実態、成果、課題等を22年度の調査結果やインターネット上に公開されている情報等でダイジェストしたものとして作成した。紹介していただいた事例の他に、政令市の実態について詳しく書いている。原稿案には書いていないが、その政令市では、ネットサポーター養成講座として、、地域において学校ネットパトロールと保護者啓発の機能を持ったネットサポーターを養成する取組が、平成23年度に3つの地域でテストケースとして実施され、今後より広く展開される予定である。ネットパトロールの一番大きな問題は、学校がやるにせよ教育委員会がやるにせよ職員の負担であり、そうした問題を解決していく一つの方法として、地域にこのような機能を持たせていくということを考えている。

【委員】当該政令市は、子どもたちの携帯電話利用が他の地域よりも進んでおり、様々なトラブルが早くから起きていた。このような問題に対し、教育委員会が警察などと連携しながら、生徒指導担当の先生のつながりもうまく生かして様々な取組を行っている。そういった取組を書いていただければと思う。次に、第3章第2節の「事案の対応方法の例示」を担当する委員から説明をお願いしたい。

【委員】前回の会議での議論を踏まえ、誹謗中傷、自殺・自傷、学校間トラブル、福祉犯、掲示板等における炎上等の5つの分類ごとに作成した。

 個別に見ていくと、まず掲示板における誹謗中傷等の書き込みの削除方法について詳しく説明した。東京都の報告書を参考にして、自分なりに書き直した部分もあり、その点についてはご意見をいただきたい。自殺・自傷、学校間トラブル、福祉犯、掲示板等における炎上等については、削除依頼等の方法は誹謗中傷と同じであるので、簡単な流れをだけ書いている。また、先ほど指摘があった決闘罪に関する記述は、この部分で紹介できると感じた。

【委員】削除方法等に関しては別立てにして、削除が必要な場合についてはその項目を参照してもらう形にしていただきたい。

【委員】福祉犯については、生徒が福祉犯の被害を受ける恐れがある場合の事例を書くのではないのか。現時点の案では、生徒側が書き込みの当事者のケースであるが、この部分は、女子児童生徒が作ったサイト等へ勝手に大人が入ってきて、大人から誘発しているという事例を使うのがよいと思っている。

【委員】次に、事務局の担当分について説明をお願いしたい。

【事務局】昨年度のこの会議において実施した、学校ネットパトロールの実施状況に関する調査の結果の中から、良い取組を行っている教育委員会・学校を選出し、取組の内容について詳しく原稿を執筆いただきたいと考えている。

 まず、外部資源に委託してネットパトロールを実施している教育委員会には、学校ネットパトロールの実施の背景・経緯、監視の対象とするサイト、監視の手法など取組の具体的な内容や、パトロール業務の委託先や委託先の人員、パトロールの実施の頻度などの実施体制、また、実施体制についての工夫点や関係機関、保護者などとの連携の方法などの項目について執筆を依頼する予定である。教育委員会や学校が自主的にネットパトロールを実施する場合の体制についても、外部委託等に関する質問項目を除き、同様の依頼をすることを考えている。

【委員】具体的な事例や地域の特徴を強調して書いていただいた方が、読む側にとってはメリットもあり、また書く側も書きやすいと思う。ネットパトロールに実際に取り組んだ際の具体的なエピソードなども含めていただくとよい。特に、地域の特徴となるような事柄については、積極的に書くという方針にすることを検討いただきたい。

【委員】方針として、資料集の中では、具体的な事例を実施体制の部分で扱うのか、「事案の対応方法の例示」の部分で扱うのか決めていただきたい。

【委員】実施体制事例の部分においても、それぞれの主体がどのように地域の特性をとらえてネットパトロールに取り組んだのか、具体的なエピソードを含めていただく方が読みやすい。典型的な事例は「事案の対応方法の例示」の部分で書くことになるだろう。

【委員】「事案の対応方法の例示」で取り上げられている5つのトラブルについて、今回、教育委員会に執筆を依頼するならば、「事案の対応方法の例示」で取り上げる5つのトラブルについての対応例があるか聞いて欲しい。具体的な事例が出てくると思う。

【事務局】ご指摘の点は、執筆項目に加わるようにしたい。

【委員】ネットパトロールの成果についての記述が一番のポイントになるので、特に沢山書いてもらうようお願いすると良いと思う。教育委員会や学校の思いを掘り起こせるよう、エピソードや苦労話なども書いてもらえるように依頼していただけるとよいと思う。

【事務局】いただいたアドバイスを入れた形で検討を進めたい。

【委員】それでは、自由討議として、お気づきの点などご意見をいただきたい。

【委員】事例対応の部分で掲載する典型事例について、また、削除依頼の方法部分に関するご意見を聞かせて欲しい。

【委員】削除依頼についてはもっと多様な方法があるので、それを紹介するとともに、削除依頼の文言の工夫や、削除を依頼する際のやりとりの例示などは書くことができる。

削除依頼をしたほうが良いか否かなど、判断に迷う場合に関する記述も入れたい。犯罪にはならない微妙な事案への対応方法も書いておくとよいと思う。

【委員】基本的に携帯電話の所持は、家庭の考え方によるという書き方をしたが、このような表現を使っていいか教えていただきたい。

【事務局】家庭の役割があるということは、きちんと示さなければいけないことだと思うが、表現については確認し、また意見を申し上げたい。

【委員】この部分に限らず、全体として、文部科学省の様々な文書等との整合性は当然必要になるので、事務局で全体として検討いただき、改めてお示しいただきたい。

【委員】この資料集がまとまるまでに、国レベルでインターネット関係の報告書等が新たに出るだろうか。他省庁の取組に関する最新の情報について、内容によっては引用した方がいいかもしれない。気づいたら、情報を共有していきたい。

 最近では、携帯電話会社も、スマートフォンのフィルタリングやインターネット接続などに関して、緊急の対応を始めている。詳しい情報がまとまったら原稿に入れていただくことにしたい。

【委員】第3章の「事案の対応方法の例示」については、フローチャート形式にした方がよいのではないか。そのフローチャートと、具体の事例への対応の詳細を載せるという構成はいかがか。

【委員】可能であればそれもよいと思う。特に、誹謗中傷への対応など、デリケートな対応が必要であるため、その点わかる形のフローチャートであって、それに1つの事例が付いているといった形がよいかもしれない。

【委員】削除要請のフローチャートは、過去に作成された川フローチャートもある。すでに資料ができているものは、それを踏まえて執筆するのが基本になるだろう。

 そもそもの話になるが、掲載する事例については、ネットパトロールによって問題を発見した事例のみ紹介するべきか、それともネットパトロール以外で、担任が生徒から情報を聞いたり、相談を受けたことで問題を発見した事例も含めるべきなのか。

【委員】私の経験では、ネットパトロールよりも、子どもたちから入った情報で動き出して、ネットを確認したという場合が多い。どちらも入り口が違うだけのことなので、両方があったほうがいい。

【委員】誹謗中傷の事例として、学級担任が本人から相談を受けたというのは分かりやすい事例だが、ネットパトロールの資料集なので、やはり状況把握の段階でネットの確認をするという記載は必要だと思う。

【委員】自殺・自傷については、緊急性を要する場合とそうでない場合の対応の違い、自殺予告と自傷行為との対応の違いなどについても、フローチャートが必要とされる。

【委員】自殺の方は対応方法は明確だが、自傷の場合は事案に非常に幅があり、一概に対応方法を示すのは難しい気がする。

【委員】では、自殺と自傷は明確に分ける必要があるので、フローチャートにしていただきたい。自殺については、委員の把握している事例を基にするのがよいと思う。自傷については一筋縄ではいかないので、学校と情報を共有しながら、関係者と協議をして、慎重に対応を進めていくという方針で書いていただければと思う。

 次に、学校間トラブルについては、現在の案ではネットパトロールで判明した事例を書いてもらったが、先生方が子どもたちの会話を耳にして気づき、その後でネットでも確認するという場合が多いと思うがいかがか。

【委員】学校間トラブルの端緒は子どもの普段の動きから発見する場合が多い。最近は、非常に沢山の人数が関係するということで、メールによる連絡だけではなく、サイトに陰語を使って場所や時間を示す場合がある。トラブルの端緒は生徒から掴むが、場所や規模、原因や背景についてはネットで探り、全体像を学校がつかむケースが多いようである。

【委員】では、そのようなネット上で打ち合わせしている場合も想定して、記載いただきたい。次に、福祉犯については、予防的な措置をとるのと、実際に何かトラブルが起きてからの対応では大分違うと思う。福祉犯について対応をした例があれば教えていただきたい。非行的なものと、安易な判断からこういった事件に巻き込まれるという、2つの方向性が強いのではないかという印象を持っている。そうなると、単純に事件を押さえるだけではなく、家庭も含めた、生徒個人への包括的な指導が必要だと思われるのだが、そういったことも含めてお聞かせいただきたい。

【委員】特別支援学級に在籍する子ども達の事案が多い地域があるが、どう記載していくかが難しい。

【委員】福祉犯罪被害とネットパトロールは、なかなか結びつきにくいのではないか。数少ない事例としては、プロフィールサイト等に友人何人かで撮った写真を勝手に掲載され、そこで学校名などが明らかになっていたため、成人男性につきまとわれたというケースがあった。削除し、大きな被害にはならなかったが、そのように個人情報をさらした結果つきまとわれたり、校門に成人男性があらわれるというような事例は、1つ2つあった。

【委員】福祉犯については、子どもたちは基本的に、学校名を出さずにやりとりをする中で事件に遭っているので、なかなか学校ネットパトロールで対応するのは難しいか。

 しかし、ブログ、プロフ等で学校名を出してコミュニケーションをしているときに、悪意ある者が入ってきる等の問題が発生することは十分あるので、パトロールの事例としては、そういうトラブルを未然に防ぐという話がいいのかもしれない。

【委員】例えば、子どもの家に不審な電話があり、その背景に、当該児童が自分で掲示板を開設し、住所や氏名、電話番号や、会おうという内容を書き込んでいたという事案があった。この事案では、書き込まれた内容を基に、日時や場所を特定し、警察と連携してその場所に張り込んだことがあった。

【委員】書けるのはそのような事案だろう。福祉犯は問題になっているものの、基本的には、学校ネットパトロールで福祉犯自体を未然に防ぐということが非常に困難であるということを書いた上で、子どもたちが無防備に学校名や連絡先等をネットに書き、それが事件の端緒になる場合があり得ることから、子どもたちの話やネットパトロールから情報を見つけ、可能な限り未然に対応していくべきだということは書いてもいいだろう。

 最後に、掲示板等における炎上については、高校生以下で典型的な事例があるだろうか。

【委員】一昨年頃、中学生が、万引きしたたばこのカートンをプロフィールサイト等に掲載し、特定された個人に様々な電話が行ったり、教育委員会にも電話が全国から来て、随分迷惑を被った事例があった。

【委員】こういった事案は炎上してから対応するしかない。炎上してから、極力早目の対応をとって、本人から事情を聴取し削除させたり、その後のフォローをするということになるだろう。

 炎上にならなくても、学校名を明らかにした上で、喫煙などの不適切行為を書いている事例もあるはずなので、こういうものをパトロールで見つけて、可能な対応をしていくこともまた必要かもしれないので一言加えていただけるとよいと思う。

 それでは、終了時刻が近づいてきたので、討議はここまでとしたい。ありがとうございました。

閉会

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室