暴力行為のない学校づくり研究会(平成22年度)(第7回) 議事要旨

1.日時

平成23年4月22日(金曜日)14時から16時

2.場所

文部科学省16階 16F2会議室

3.議題

  1. 協議

4.出席者

委員

尾木座長、桶谷委員、木村委員、佐々木委員、筒井委員、中村委員、三坂委員

文部科学省

德久大臣官房審議官、白間児童生徒課長、郷治生徒指導室長 他

5.議事要旨

開会

議事

【委員】「発達上の課題を持つと考えられる」の「持つ」という表現でよいか。「課題がある」という表現を使うと思う。

【事務局】「があると考えられる場合など配慮を要する」とする。

【委員】「生徒指導の三機能」という言葉だが、「三」とつけてしまうと限定し過ぎるという感じがする。

【委員】「生徒指導主事は、小学校における生徒指導主担当者」で、小学校における生徒指導主担当者というのは、いわゆる主任とは別だが、係になっている者を指しているのか、それとも主任も含んで指しているのか。

【事務局】主任を含んで指している。

【委員】多くのところで生活指導主任とか、生徒指導主任とか、あるいは生徒指導主事とか小学校でも置いているから、例えば「小学校における生徒指導の主任」としてはどうか。

【事務局】主任としてしまうと主任制度に引きずられる面が出てくると思うので、「生徒指導を主に担当する者」ではどうか。

【委員】「主任」と入った方がいいと感じる。

【委員】まずは生徒指導主事というものを一般化しておいて、それで小学校ではこうだという方が親切かと思う。一般化したことを簡単に示して、大事な点を少し解説を加えるようにしてあげた方がいい。

【事務局】一般論から入るようにする。

【委員】法令上はこうなっているが、その法令で決まっていない小学校においては、このように読み替えてほしいという方が親切な流れかと思う。また、小学校の先生にとっては、中学校、高校では生徒指導主事についての勉強にもなる。

【委員】実は、今の指摘は非常に重要な意味があり、最近、全国的に小中の連携とか、中高の連携とか、地域によっては小中高が同じテーブルについて協議、連携した指導体制を作ろうという協議がされる動きがあるが、話が食い違うことがある。ここで納得のいく説明がされていると、同じ生徒指導主事という用語を使い、校務分掌に位置付けたときにも小学校段階、中学校段階、高校段階でこんな働きをされているんだなということが分かる。

【委員】基本的な用語に関しては、脚注だとそのページにしか関係がないかのように思われてしまう。

【委員】別にページを設けて用語の解説を作った方がよい。

【委員】「学級活動、児童会・生徒会活動」とあるが、恐らく学習指導要領の内容を挙げている、特別活動の内容を挙げているところだと思うので、ここでは「学級活動・ホームルーム活動」という表現が必要だと思う。

【委員】例えばレベルは違うが、支援と援助とケアと、もう一つ似たような概念内容を持った用語がいろいろ出てくる。もしもこれも表現内容、表現の意味する範囲が大体同じであれば統一した方がよいと思う。

【委員】「道徳の時間」というふうにかぎかっこが入っているが、これはかぎは取った方がよいのかと思う。

【委員】かぎかっことかっこの使用について、かぎかっこの原則は引用か強調である。純然たる引用である場合、純然たる強調である場合、それに準ずる場合以外はできるだけかっこを外す方向の方がいいかと思う。

【委員】「カウンセリングマインド」という言葉は、文科省では今まで正式に使ったことがないと思う。

【委員】ここでのカウンセリングマインドは、「共感的な姿勢で」と書けば十分かと思う。あるいは共感的な態度で児童理解、生徒理解を進めるという意味で十分ではないか。

【事務局】「共感的姿勢、態度を持って」というような言葉に置き換えてよいか。

【委員】その下に「状況を共感的に」と出てくるので、整合性を図った方がよい。

【委員】自己指導力という言葉は、「自己指導能力」にそろえてはどうか。

【事務局】適切な表現にしていく。

【委員】集団指導と規範意識の醸成に関する指導のリード文の最後なのだが、「健全な児童生徒育成の基本と言えよう」とあるが、児童生徒育成というのは、そのままでよいか。

【委員】児童生徒の健全育成の基本と逆にしてもいい。

【委員】健全育成という用語も、実は文科省と法務省で違った話がある。健全育成というのは、我々は健全な育成、健康な子ども。警察あたりの健全育成というのは、とにかく非行防止というニュアンスがすごく強くなる。だから「健全な児童生徒を育成する際の基本と言えよう」とすればよいのではないかと思う。

【委員】「相手を傷つけたことを理解させる」というノートの記述は生かすべきだと思う。被害を受けた子どもの感情を配慮して、それをしっかりと理解するという指導は欠かせないものだと思う。

【委員】それは私も賛成で、暴力の指導の基本的な考え方で、暴力行為が発生した場合には毅然とした姿勢で加害児童生徒への指導に臨むことが求められているということもあるし、社会で許されない行為は学校でも許されない。暴力行為を起こした児童生徒の指導については、基本的には本人を肯定的に受け止めるコミュニケーションを図ることが必要であるが、順番として強調するところは、まず、被害者を深く傷つけたということを自覚させるということが優先されると思う。その上で、コミュニケーションを図るということになると思う。

【委員】整理して言うと、この五、六年ぐらい、暴力行為やいじめに関連して、学校の指導が、その暴力を振るう子ども、いじめに回る子どもに対して毅然とした態度で指導ができていないではないかという指摘があちこちで出てきている。そこで、やはり毅然とした態度できちっと指導することが大事だということをまず打ち出して、その次に、いじめに関わる子どもとか、あるいは暴力を振るう子どもというのは内面的にさまざまな課題を抱えていて、それに触れないで形式的に画一的に指導したのでは効果がない。存在を肯定的に受けとめるコミュニケーションも重要だと、こういう論理構成になると思う。

【委員】学校段階に応じた指導というところで、「開発的・予防的なプログラム型の生徒指導」という、このプログラム型の生徒指導というが、これで定着していくのもいかがなものか。むしろ、例えば計画的、継続的に取り組む生徒指導というような意味でいいかと思う。「プログラム型の」というと、このプログラム型のものを丸ごとやらなければいけないかのようなことになりかねない。プログラム型生徒指導という新たな用語よりは、「計画的、継続的に生徒指導を行う」というような表現の方がいいと思う。

【委員】関係機関の例として幾つか機関を例示してある、その中で「刑事司法関係機関」と書いてある。子どもを扱う場合は普通「少年司法」という言葉を使う。未成年者の中学生、高校生を扱う家庭裁判所等のことをいう場合に、警察の補導も含めて少年司法という言葉を使うので、刑事司法とつく言葉は大人も含めた場合に使う。むしろ、概念とすれば大人の犯罪を司法的に解決していく機関というニュアンスで使う。

【委員】その分け方は、生徒指導上の諸問題の問題行動等調査などでもそうなっているが、私も裁判所の関係の方から、こういう分け方があるのかという質問を受けることはある。しかし、外から見るとかなり違和感がある。

【委員】生徒指導研究センターで連携体制に関する研究を進めて、関係機関を分析的に整理をして報告書を作っている。その資料も参考にして検討してはどうか。

【委員】基本的な生活習慣・学習習慣の定着を図る指導を徹底するとある。ここに例が出ていて、「気持ちのよい挨拶をする」は、「気持ちのよい」という形容詞を入れなくてもよいのではないか。また、「教師の話を静かに聞く」という教師に限定していいのか。授業中は教師だけではなくて、「人の話は静かに聞く」という表現ではどうか。また、「分かる授業」は、事例のところなどを見ると「わかる授業」と平仮名になっているが、漢字ではないか。

【委員】学習指導要領解説の中ではどちらの表記を使っていたか。

【委員】漢字である。なお、例えば「育む」なども学習指導要領では平仮名だったが、新しい基準で「育む」も漢字になったりしている。ただ、平仮名を使っても悪くない。

【委員】学校と教育委員会のレベルから見たときに、学校が大変な状況からそれを克服して正常化する際、非常に厳しいときに一番問題になるのが出席停止の問題である。出席停止がなぜ全国的に進まないかと言えば、出席停止をすることはできるが、義務教育の中では親や子どもに教育委員会が面談をし、そして代替の処置をつくらなければならない。子どもを納得させて、少しだけ隔離し、別のプログラムで学習をさせ、支援もしていき、そしてもとの学級も立て直すということは、非常に難しい。出席停止が全国で年間50件あまりしかない。暴力の件数とは、非常に乖離している。この現実を考えたとき、何かこれを埋めるような手立てをどこかで一言入れたいという思いはある。例えば出席停止についてというあたりは、今まで私たちがずっと言い続けてきていることだと思う。ここから一歩進めた、「あ、なるほど、こういう方法があるんだ」とか、「こう考えていくべきなんだ」という具体的なそのシステムまでいかなくても、次のステップのための考え方の示唆のようなことがここで言えたらいいと思う。

【委員】出席停止制度があって、段階的に指導していって、それでも改善ができないときは出席停止という制度を活用すべきだということか。

【委員】そのとおり。出席停止をしたいが、できない。それは、一つは学校の勇気という点があるし、組織体制という点がある。しかし、やはり教育委員会もバックアップするようなことをしっかり明確に書いてあげる。教育委員会はそうすべきなのだ、学校もそんな形のものがあるんだということで一歩前へ進めるのではないかという感じはする。

【委員】出席停止についてはいろいろな条件整備をした上でのということになって、現実には学校は勇気があってもできない。つまり、保証されない。親も分かってくれてはいるけれども、親も子どもを指導できない。家庭での教育ができない。つまり、人がいないという中で、出席停止をしたとしても、そういう環境整備ができないままで終わってしまうということから今までできていない。環境整備も含めて教育委員会などが、サポートをしながら進めていくことができるものであれば、学校も一歩踏み出すことができると思う。

【委員】教育委員会の努力が必要な部分だと思う。権限も教育委員会にある。制度的な仕組みづくりがないと各学校単位ではやり切れない。そこがこの制度が現実に機能しない原因なのかと思う。何か踏み込み方があるのではないかとは思う。

【委員】学校の先生方の意識の中に出席停止をしたり、暴力を受けたときに被害届を出すということは教育の敗北かのように捉えることがある。これは間違いであって、これは教育の敗北でも何でもなくて、社会で許さないことは学校でも許されないのだということを子どもに教えていく教育作業の一つとして行うものである。一人一人の子どもをしっかり守っていくのだ、そのために出席停止をするのだという考え方、多くの子どもたちの学習をする力と学校に来たいという思いを守っていくためには、そういうことも臨時措置的にはやむを得ないという、そういうことがここで発信できたら学校も教育委員会も、少し前に一歩進めるのではないかという感じはする。

【委員】関連してここで出席停止のことを言うのであれば、そもそもその出席停止という制度があるということを周知するということも必要だと思う。出席停止ということがわからない家庭も多いと思う。学校としては追い出すわけではなくて、保護者に対して最終的にはそういう制度があるということを最初に周知していかないといけないと思う。

【委員】制度があるということを保護者に周知をするということは大事だと思う。

【委員】ただし、懲罰、懲戒的なニュアンスではだめだと思う。つまり、いけないことをすれば、みんなと一緒に学びができないということを自覚させることが、彼らに欠けている規範意識を深めさせていくことにつながっていくと思う。それから、保護者を含めた支援をしていかないと、効果的な運用というのは難しいのかと思う。保護者をどう取り込んで協力体制を作っていくかということも課題になってくる。

【委員】出席停止については、共通していたのは、少し踏み込んだ記述か、あるいは何らかの形での補筆をしていくことが望ましいという提言だったと思う。その内容については、出席停止制度の効果的な運用ということ。それから、効果的に運用するための保護者を中心とする連携ということ。運用を支えるサポートシステムの構築、この三つがあろうかと思う。そこで、平成13年度の文部科学省の通知には、かなり踏み込んだ内容の記述があるので、その中で生かせるものがあれば生かす。それから、生徒指導研究センターで、サポートチームに関する研究をしていて、その資料の中にも使える部分があると思う。

【委員】平成13年度に変わったときの大きなポイントというのは、要は学校校長がやるのではないんだ、教育委員会がやるのだということを前面に出していること。それから、懲戒とは全然違う。要するにやむを得ない措置であるということかと思う。

【委員】片仮名の言葉で、例えばファシリテーションする力、アセスメントする力、コーディネートする力、何となくはわかるが、学校の先生が読んだときに、企画する力とか、調整する力とか、日本語ではだめなのか。

【委員】今、現場でよく使われている言葉ではないかとは思う。しかし、例えばアセスメントという言葉は聞くが、どんなことかという場合に、脚注をつけてもいいと思う。日本語にすると、イメージが若干ずれるという思いもある。

【委員】ほかにも該当する部分があるので、このように整理したらどうか。1番目は原則として和語に置きかえる。2番目は、こういう用語はインパクトがあるので、このままにして、かっこで短い言葉で少し添え書きを付ける。3番目は、注のような形で少し説明を付け加える。その三つで、検討を加えてはどうか。

【委員】以前、ソーシャルスキルトレーニングなどの言葉をどう整理するかという話が出たと思うが、例示では使うということでよいか。

【委員】例示以外のところで例えば「ソーシャルスキルトレーニング」という言葉がある。文中で言うなら社会的スキルを教えるとか、社会的スキルを学ぶというふうに書けばいいかという感じがある。「心理テスト」はどうか。

【事務局】本文の中ではできるだけ一般用語に直していきたい。「心理テスト」というのは一般用語でよいか。

【委員】今、学校で心理テストなんかやる学校はかなりあるのか。

【委員】増えている。

【委員】小学校でも多い。

【委員】多くはないが、やっている学校では継続してピアサポート活動などを実施するという学校は多い。

【委員】そのときは「心理テスト」という用語を使うのか。

【委員】あまり使わない。心理テストだと、かなり大きな分類になる。

【委員】とすると、例えば「心理に関わるテスト」とか、少し特定ではないような表現にしておいた方がよいのではないか。

【委員】むしろ心理テストという言葉を使わない方が本当はよいのではないか。必要に応じて適切なものをやらなければならないにも関わらず、心理テストだったら何でも役に立つという書き方はではむしろよくないと思う。

【委員】とすると、例えば指導に役立てるためのテストとか、指導に役立てるための各種テストなどという言い方の方がいいのか。

【委員】あるいはテストと言わずに、検査と言った方がいいのかもしれない。

【委員】要するに一般的にテストとか検査というようなものも、そのケースによって様々なものがあるので、誤解を生じないような表現にするということだと思う。

【委員】教育カウンセリングの一手法であると言っていて、グループエンカウンターという使い方もあまり望ましくないのか。

【委員】これはいいと思う。

【委員】事例について、非常にすばらしい内容だと思う。ただ、大きな問題があると感じたのが、人権上問題のあると考えられる表現について、チェックする必要がある。また、個人攻撃に近いような形の表現は避けた方がよい。

【委員】事例については、事例がA小学校、B小学校、C中学校という形で並ぶより、活用する側から言えば、例えば個に応ずる指導に重点を置いて指導改善を図ったり、指導体制に着目して指導改善を図ったり、あるいは連携という点に重点を置いて指導改善を図ったりして、それぞれの事例の取組の中に個性があるので、それを例えばD小学校であれば個別指導、全校指導体制に重点を置いて指導改善を図った事例というように書き加えて、教育委員会、あるいは学校が活用しやすいようにしたらどうかと思う。

【委員】例えば背景となった要因の順番で並べ替えるという手があると思う。何かの基準に合わせてこのA、B、Cを並べ替える。あるいはこのA小学校と書いたところの横に、キーワードをつける。インデックスが付くだけでも大分使いやすいかもしれない。

【委員】本文のところで例えば家庭、地域、関係機関との連携とか、学校種間の連携なども項目がある。そこを読んだときに例えばそこに事例ナンバー参照を付けると分かりやすい。本文の内容も、より分かりやすく理解してもらえるようになるかと思う。

【委員】学校規模で分けるのも分かりやすいのではないか。

【委員】事例だけの目次があると分かりやすい。

【事務局】本日のご議論も踏まえて、表現などについても必要な修正を行い調整していく。

【委員】事務局にお願いしたいのは、この資料集ができるだけ広い範囲に活用されるように配慮してもらいたい。

閉会

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室