1「大人の学びの場」となる学校
地域の人々が集い、活動していく学校では、教職員、保護者、地域住民等が、多様な人々と関わることで、たくさんの人との合意形成の仕方、お互いを尊重して共に活動するやり方、信頼関係の結び方などを学ぶ機会が生まれる。こうした営みを促す仕掛けを組み入れることで、学校は、地域の大人が学び合い、共に成長できる場となりうる。
2「地域づくりの核」となる学校
学校は、ほとんどの大人が一度は通ったことがあり、思い出の多い、親しみのある場である。また、学校施設は日本全国、生活拠点に一定の間隔で存在し、多様な活動に対応できる施設・設備があり、常に人が集う場所である。学校は、いわば地域の人々を惹きつけやすい性質を備えていると言える。そこへ、学校が地域の活動拠点となる仕掛けを組み入れることで、学校は、地域コミュニティが結びつきを深める場(地域コミュニティの核)となり、「地域づくりの核」ともなりうる。
1関係者が当事者意識を持って「熟議(熟慮と議論)」を重ねること
学校と地域の連携の在り方や共有する目標は、学校と地域の人々との「熟議」により、その地域にあったものを自発的に作っていくという形が望ましい。
そのためには、協議の過程が最も大切であり、関係者が「熟議」に参画しやすい仕組みの構築と「熟議」の題材が不可欠となる。学校・教育委員会が中心となって「教育ビジョン」と「学校の実態」を提示し、これをもとに、根気よく丁寧に「熟議」を重ねることで、学校と地域の人々との相互理解が進み、課題や目標の共有が図られることになる。このプロセスは、当事者意識の醸成を促し、一体感を生み出す効果を持つ。
その過程において、教育委員会と教育長には、「熟議」の環境づくりにおいて主導的な役割が期待されるとともに、「熟議」の過程で生まれてきた地域の人々のニーズの調整や、その実現のための環境整備の面で、強力なサポートが求められる。
(熟議の内容例)
2学校と地域の人々が「協働」して活動すること
地域の人々による参加的な取組、学校を支援する取組や学校との協働活動を通じて、そこに関わった人達が学校の実態を理解し、コミュニケーションが促進されることで相互の理解が進む。お互いを理解していく過程で、地域の人々には、教職員の専門性への敬意が生まれ、教職員には、地域の人々の期待に応えようとの意欲が生まれ、信頼関係が構築される。
信頼関係が構築されることで、役割分担が進みやすくなる。教職員は教職員として、保護者は保護者として、地域住民は地域住民としての責任を果たそうとする意識が生まれるとともに、相手の立場を尊重する意識が生まれ、学校と地域の人々との「協働」は一層深まっていく。
こうした循環を生み出すためには、まず学校のことを地域の人々に知ってもらい、関心を持ってもらうことがスタートとなる。このため、学校から地域の人々への積極的な情報公開が重要となる。
(参加的な取組の例)
(学校を支援する取組の例)
(積極的な情報公開の例)
3学校が組織として力を発揮するための「マネジメント」
学校と地域の人々が信頼関係を築き、目標を共有して、ともに行動していくためには、それを上手く進めていくことができるマネジメントが求められる。とりわけ、学校運営の責任者である校長には、地域の人々や教職員の声を汲み取った意思決定を行い、具体的な目標設定とその実施状況の評価に基づいた行動を行う強いリーダーシップが期待される。
また、継続的な取組を行うことや多くの地域の人々の参画を促していくためには、特定の個人が頑張るのではなく、学校と地域の人々が全体として目標を共有し、役割分担を進めながら、取組にふさわしい組織的な体制を構築していかなければならない。ここでは特に、コーディネーターの役割が重要となる。
(校長に求められる力の例)
これまで掲げてきた目指すべき学校運営の在り方は、その実現にいたる過程において、関係者の大変な努力が必要であり、その取組を引き出す具体的な「仕掛け」が必要となる。この「仕掛け」は、目的に応じて多様な選択肢が存在するが、何を選択し、どのように構築していくかについて、教育委員会と教育長が果たすべき役割は大きい。教育委員会と教育長が、明確なビジョンを打ち出し、実現に向けた行動をとることが、地域とともにある学校づくりを促進していく。
(学校運営に関する「熟議」を引き出す「仕掛け」の例)
(学校と地域の人々の「協働」を引き出す「仕掛け」の例)
(学校の組織としての「マネジメント」を引き出す「仕掛け」の例)
(学校間の連携・接続を引き出す「仕掛け」の例)
1子どもたちの「生きる力」をはぐくむことができる(地域の望む子ども像の実現)
2教職員、保護者、地域住民等がともに成長していく(地域の教育力向上)
3学校を核として地域ネットワークが形成される(地域の活力向上)
4地域コミュニティの基礎力が高まる(地域の礎の構築)
<子ども・保護者にとっての魅力>
<教職員にとっての魅力>
<地域社会にとっての魅力>
(施設の活用の例)
(機能の活用の例)
(留意点)
今後●年間で、コミュニティ・スクールの数を全公立小中学校の●割に拡大
|
(多様性のイメージ)
(学校運営協議会制度によらない形態のイメージ)
推進していく上での課題例
推進のための具体的方策
今後の学校運営の必須アイテムとして、すべての学校で実効性ある学校関係者評価を実施
|
推進していく上での課題例
推進のための具体的方策
コミュニケーション・ツールとすることを主眼にした評価項目の検討
中学校区を運営単位として捉え、複数の小・中学校間の連携・接続に留意した運営体制を拡大
|
(論点例)
推進していく上での課題例
推進のための具体的方策
「管理」から「マネジメント」へ意識改革を行い、学校の組織としての総合的なマネジメント力を強化
|
推進していく上での課題例
推進のための具体的方策
地域コミュニティの核として被災地の学校を再生し、震災復興の推進力となるよう、総合的な支援を実施
|
具体的支援例
<学校のガバナンスに関する課題>
「地域とともにある学校」のガバナンスは如何にあるべきか。
<学校における業務と組織体制に関する課題>
<教職員の養成に関する課題>
「地域とともにある学校」を担う教職員、管理職の養成・確保を如何にしていくべきか。
(以上)
電話番号:03-5253-4111(内線3705)