学校運営の改善の在り方等に関する調査研究協力者会議(第9回) 議事要旨

1.日時

平成23年6月24日(金曜日)13時~15時

2.場所

中央合同庁舎第7号館(金融庁)9階 共用第一会議室903号室

3.議題

  1. これまでの議題のまとめについて
  2. 今後の会議の運営について
  3. その他

4.出席者

委員

天笠座長、小松副座長、奥村委員、貝ノ瀨委員、勝方委員、木岡委員、小林委員、佐藤委員、竹原委員、松尾委員

文部科学省

山中初等中等教育局長、坂東生涯学習政策局長、尾崎審議官、作花生涯学習総括官、中岡初等中等企画課長、下間参事官、田中主任視学官、絹笠企画官、松浦企画官、廣野参事官補佐 他

5.議事要旨

事務局より、資料1-1及び1-2「子どもの豊かな学びを創造し、地域の絆をつなぐ~地域とともにある学校づくりの推進方策~(仮題:案)」、資料1-3 同概要、資料2「コミュニティ・スクールの数値目標について」、勝方委員より、被災地の学校への取材結果をまとめた委員提出資料についての説明があり、主に資料1-2をもとに議論が行われた。その概要は以下の通り。

●:委員発言  なし:事務局発言

  • 単に「コーディネーター」とだけ記述すると、学校支援地域本部における市民による地域コーディネーターと混同されかねないので、学校側のコーディネーターであることを明示したほうがよい。「地域社会にとって」という表現は対象が漠然としているので、「地域の大人にとって」など、対象が人であることを明確にした表現にすべき。
  • 「教育活動や学校運営」と並記されている部分については、「学校運営」だけでよい。また、「優秀でまじめな教員が配置されており」とある部分については、「教員」を「教職員」とすべき。
  • 教育委員会と教育長の役割が強調されていることには賛成。コミュニティ・スクールを指定するのは教育委員会である以上、教育委員会や教育長の役割は非常に重要。
  • 推進目標1について、学校の質を高め、子どもの資質能力を高め、また、地域との町おこしをしていくうえで、コミュニティ・スクールは非常に有効なツールといえる。そこからさらによりよいコミュニティ・スクールを目指していくためには、できるだけ広がりを見せて、みんなが情報を共有しあって、課題を検討しながら進めていくことが必要と考えて、全国コミュニティ・スクール連絡協議会は活動している。一定の数値目標を掲げて活動していくことは、こうした活動にとって一つの励みとなる。
    また、教育振興基本計画の中でも、数値化できる目標はできるだけ数値化して、随時検証と改善を図りながら進めていくことが重要。
  • 全国で1割という目標の中でも、各都道府県、各区市町村によって、すべての学校がコミュニティ・スクールになっているところや、1割に満たないところがあったりなど数値がばらつくことは当然あってしかるべきであり、その点を各教育委員会に対して明確にしたほうが進めやすいのではないか。
  • 「草の根的に普及・啓発」という記述があるが「草の根的」という言葉はどういうことをイメージしてのものか。

前回の議論のなかで、社団法人日本PTA全国協議会のアンケート調査によると保護者の9割以上がコミュニティ・スクールという制度を知らないという指摘があった。行政に対する働きかけに加えて、広く一般の方々にもコミュニティ・スクールの意義・役割を普及・啓発していくという思いを込め、「草の根的に」という表現を用いたところ。

  • 推進目標2について、「必須アイテム」という表現があるが、「アイテム」という言葉は少し軽い印象を受ける。また、文章のなかで「として」という表現が多く、修飾関係が複雑なので、もう少し表現を洗練させるべき。
  • 学校関係者評価が十分に機能しない原因のひとつとして、専門的な見解が取り込めておらず、学校と保護者、地域住民という、情報的に非対称な関係にある人々によって評価が行われていることが挙げられるため、学校関係者評価に専門家を交えるという表現を入れるべき。
  • 学校の管理職に関して、教員や教育委員会の中からだけではなく、一般の行政職からの登用も考えるべきという提案があった。「民間人校長の積極登用」という記述に、一般行政職からの管理職登用についても例示してほしい。
  • 推進目標4について、管理からマネジメントへの「転換」という表現があるが、学校管理職の仕事のなかから管理的な要素がなくなるわけではない。マネジメントの強化ということを全面に出した表現のほうが妥当。
  • マネジメントを担う組織の例として、副校長や教頭などの役職名が出てくるが、学校という大きな組織を回していくうえでは、学年会や教科会をどう上手く回していくかという観点も非常に重要。
  • 推進目標5について、被災地では学校支援地域本部に参画している保護者が避難所の世話役を引き受けて見事な活動をしていた。
    関連資料集にあるように、学校支援地域本部を設置している学校では、避難所において自治組織が立ち上がる過程は順調だった。これからコミュニティ・スクールをどうやって増やしていくかということを考えたとき、学校側だけではなく、保護者・地域住民側の人材をどうやって高めていくかが大きなテーマになる。
    学校地域支援本部は委託事業として国が100%経費を持つ形で始まったが、現在、国が3分の1、都道府県が3分の1、市町村が3分の1を負担する形になっている。その結果、宮城県では県が負担する余裕がなくなり、仙台市以外の学校では学校地域支援本部は全部消えてしまった。
    学校地域支援本部という土台をつぶしてコミュニティ・スクールが盛んになることはあり得ない。被災地にコミュニティー・スクールを普及させるつもりであれば、最低限、被災地の学校には国が委託事業として全額経費負担する地域本部の制度を復活してほしい。
  • 各推進目標について、これから実際に現場の保護者等がどういう取り組みをしていけばよいのかを考える中で、具体例が示されれば、より参考になる。
  • 5つの推進目標の関連性がどこかで説明されていないと、ただ並んでいるだけのような印象を受けるので、推進目標の順序も考えてほしい。
  • 推進目標5について、学校を核にした地域の人たちへのケアという機能は、かなり長期にわたって必要になる。学校が核となり、5年後、10年後、20年後の地域の人々のつながりを担っていくということも視野にいれたほうがよい。
  • ひとくくりに地域といっても、農村部か都市部かで地域の在り方が異なるので、そうした違いを表現として入れてほしい。

都市部と農村部の使い分けをしているわけではないが、各地域が実情に応じて、地域とともにある学校のあるべき姿を模索してほしいという意識で「地域の自発性と独自性の発揮」という項目を設けている。

  • 「目指すべき学校運営の在り方」と「地域とともにある学校づくりにより得られる成果」それぞれに成果についての記述があり、両者の区別が曖昧になっているので、表現を工夫したほうがよい。
  • コミュニティ・スクールを普及していくためには、「さらに検討していくべき中期的課題」がポイントになってくる。例えばワーキング・グループを設置する、関連の会議で検討を進めるといったことをしていかないと、提言を出しておしまいになってしまう。
    コミュニティ・スクールのなかなか増えない最大の理由は、学校運営協議会が教員の人事に対して教育委員会に意見を述べることができる点に対する懸念である。必ずしも学校運営協議会が人事に関与する必要はないと説明しても、制度上人事に関与する余地がある以上、教員は不安を抱く。人事についてきちんと論議をして、モデルや類型を示さなければ、コミュニティ・スクールは広がりにくいと思う。
    教職員の養成に関する課題についてももっと具体に踏み込んでいくことが必要。教育実習等では、コミュニティ・スクールや学校地域支援本部等が活発に活動している学校に研修に行ったほうが、地域参画を推進しようと思うようになると考える。
  • 「議論の対象としてこなかった中長期的課題」として、本協力者会議では量的な拡大については議論したが、学校の質的な向上ということについてはあまり議論していないということを記録として残しておきたい。
    人事に関しても、まじめに一生懸命働いている教師を保護者・地域住民等が評価をし、学校や教育委員会に対し適切な処遇を求めていくということもあり得るのであり、コミュニティ・スクールに保護者、地域住民等がかかわっていったときの質的向上策の中身が、次の段階で議論していくべき中長期的課題。
  • 地域コミュニティの核としての学校といったとき、ソフト面だけではなく、ハード面も重要。今回の大震災においても、学校が避難所としても大きな役割を果たした。災害時に大きな働きをする建物としてハード面の再生をするときに、ほかの省庁と連携した総合的な支援が求められている。
  • 被災地の状況を考えると、「地域とともにある学校」より「地域とともに歩む学校」のほうがぴったりとくる地域はどんどん変わるものであり、それに伴って学校も変わらなければならない。そうしたダイナミズムを表現するには「歩む」のほうが適切だと思う。

これまでの議論のまとめについて、座長に一任することが了承された。

また、学校評価の在り方について、ワーキング・グループを設置して今後集中的に検討を行うことを決定した。

天笠座長及び事務局から挨拶があり、閉会した。

お問合せ先

初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付

電話番号:03-5253-4111(内線3705)

(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付)