4.社団法人 教科書協会

平成22年9月27日

「常用漢字改定に伴う学校教育上の対応に関する専門家会議」
主査 殿

社団法人 教科書協会

「常用漢字表改定に伴う教科書上の記載の在り方について」要望書

 標題の件につきまして、下記1~3の検討事項(案)をもとに検討いたしました。改定常用漢字表に基づく漢字指導への移行が円滑に行われるよう、実施可能と考える時期および理由を教科書協会としてとりまとめましたので、以下に記します。

「検討事項 整理メモ(案)」中の「6」の項目

1 改定常用漢字表を中学校及び高等学校の国語教科書の巻末に掲載すること。

2 本文中の表記を改定常用漢字表に基づく新しい表記に直すこと。

3 改定された常用漢字の指導を適切に行うための教材に差し替えること。

【新課程用 中学校教科書】

・今回の改定で大幅に追加された字種を、すでに編集作業を終えた教科書に反映させるのは大変な労力と時間を要します。また、改定常用漢字表を見越した教材作成をしていないため、追加漢字を教材中に反映させるのはどうしても無理が生じます。

・ただ、改定常用漢字表に基づく漢字指導への移行が円滑に行われるよう、以下の対応をさせていただきます。

・平成24年度以降に使用される国語教科書につきましては、1の改定常用漢字表を教科書中に掲載する処置を取らせていただきたいと考えます。
 2につきましては、24年度版教科書から、各社において適宜対応という措置を取らせていただきたいと考えます。
 3につきましては、編集作業に一定の期間を要するため、平成28年度以降に使用される改訂版の教科書から対応させていただきたいと考えます。

【新課程用 高等学校教科書】

・改定常用漢字表が予定どおり、年内の11月(~12月)に告示されるならば、現在編集中の新課程用高等学校教科書には、完全対応させることが可能です。

・現行課程用高等学校教科書での対応につきましては、上記「新課程用 中学校教科書」と同様、
 1につきましては、改定常用漢字表を教科書中に掲載する。
 2につきましては、各社において適宜対応する。
という対応を取らせていただきたいと考えます。

【新課程用 小学校教科書】

・学年別漢字配当表の見直しは長期的課題とされておりますので、当面の対応は不要と考えます。しかしながら、専門家会議においてこれまで、追加字種についてのみ言及され、追加音訓については言及されておりません。新たに追加された読みの指導がすべて中学校段階に回るなら問題ありませんが、新たな音訓が小学校段階で追加された場合、巻末の学習漢字表を修正するだけでは指導に混乱をきたしますので、小学校の場合は、あわせて本文表記も修正する必要が生じます。その場合は、上記「新課程用中学校教科書」と同様の対応を取らせていただきたいと考えます。

【要望事項】

  以上の回答と併せまして、教科書での対応を行うにあたってご検討をお願いしたい要望事項を以下に記します。

・教科書への記載に関してどのような結論になった場合も、実施時期と方法について、各教育委員会への周知徹底をお願いいたします。また、文部科学省ホームページ等を使っての、国民への周知徹底も併せてお願いいたします。

・いずれの対応を取る場合も、字体がきちんと定まっていることが前提となります。字体の選択が各社判断に任されることのないよう、国としての明確な基準を示してくださることを強く要望いたします。

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課