連携・普及ワーキンググループにおける主な意見

連携・普及ワーキンググループにおける主な意見(抜粋)

(1) NPO法人・公共や民間の劇場等と学校・教育委員会の連携・協力の推進方策について

○ ワークショップを実施するために,学校と芸術団体とをつなぐコーディネーターの役割をする人材や機関が必要。

○ 教育委員会のみならず,コーディネートする劇場やNPOなどの団体が,何らかの形で事業に申請できるようなルートを増やす。

○ 学校と芸術団体をコーディネートするような団体が,事業を請け負い,そこに裁量権を与え,例えば,年間を通じて,学校などがいつでも申請できるようにするなど柔軟なシステムにできないか。

○ 地域では,現在,コーディネートできるような団体はないので,最初は行政がその役割を担わざるを得ない。

○ コーディネーターの役割も,学校と芸術家をつなぐ役割,授業展開の中身を学校の教員とともに考えていくという2つがある。

○ コーディネーターは,学校とアーティストの両方の思考が分かり,共通の言語を持っている必要がある。コミュニケーション教育の目的には,実技指導ではない部分の要素がたくさんあり,学校も芸術家も実技指導中心に陥りがちなので,実技を通じて何を考えだすか,感じるかということを到達目標にするということを,双方に説明できるような人材が必要ではないかと考える。

(2) コミュニケーション教育の学校への具体的な普及・展開の在り方について

○ 学校が講師やコーディネーターと授業の内容を詰めることは大事だが,学校設置者の責任において,教育委員会の介在も重要である。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,教育委員会と連携を行う仕組みは重要である。団体によっては,直接学校と交渉して実施しようとするところも出てくると想定される。団体の信頼性や実施する活動の教育的効果をしっかり担保できるような仕組みをとる必要がある。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,広域で活動するNPO法人等を考慮すると,手続きは県教育委員会に対し行うことでよいが,実質的に市町村教育委員会とNPO法人等との連携を取れるような方法があればよい。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,ワークショップの実施にコーディネーターが立ち会うようにする必要がある。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,会計専門のスタッフが配置されており,また,立替えを行って一時的な支出を行うことが可能な団体という観点もある。

○ ワークショップには,事前の打ち合わせやプログラム開発など,準備段階の経費もかかる。

○ ワークショップの在り方については,教員の間でもまだ理解が不十分であったり,芸術家の方も鑑賞型ではないワークショップの在り方の理解が不十分であったりするので,本事業の実施を通して理解を浸透させていくことが重要である。

○ 学校の立場として,今年度の申請書類の作成時において,具体的な日程,補助者の氏名を決めるというのは非常に困難があった。逆に,大まかな実施時期,実施回数,実施学年,実施する教科などは,前年度であっても困難ではない。

(3) 指導者の養成・研修方策について

○ ワークショップを行う感性を育むために教職員への研修を行うことも有効。

○ ワークショップをやることにより,子どもだけでなく教師も変わる。

○ 学校現場では,ワークショップを体験したことがない教員が多いため,研修を通じて体験し,子どものどの点を伸ばすことにワークショップが有効であるかを知ることは大変有意義である。

○ ワークショップのリーダー研修では,ワークショップの1企画・運営,2講座の講師,3コーディネーターの3種と育成する人材との関係をよく検討することが重要。

○ 研修では,最初からワークショップを企画し,回していける人材まで求めるのではなく,補助者レベルの人材育成とし,研修後に経験を積んでいく中でリーダーレベルの技能を身に付けていくことも考えられる。

(4) コミュニケーション教育に対する学校や保護者等への理解の促進方策について

○ 経験のない学校ではワークショップのイメージが難しい。写真が入ったパンフレットやDVDなどを学校に配布できるとよい。

○ 広報DVDを募集時に学校へ送付したとしても恐らくほとんど見られない。教育委員会主催の何らかの場で見せるということを想定して作成する方が効果的である。             

連携・普及ワーキンググループにおける主な意見

1 NPO法人・公共や民間の劇場等と学校・教育委員会の連携・協力の推進方策について

○ ワークショップを実施するために,よほど実績のある団体が学校に働きかけないと受け入れられない。学校と芸術団体とをつなぐコーディネーターの役割をする人材や機関が必要。

○ 地元の大学と協力することにより,地域に対する取組の信頼性を高めることができる。

○ 本校では,区の教育委員会に専属のコーディネータが配置されており,団体と学校とのパイプ役をうまくしてくれている。また,コーディネートには専門的な能力も必要。

○ 学校と芸術団体をコーディネートするような団体が,事業を請け負い,そこに裁量権を与え,例えば,年間を通じて,学校などがいつでも申請できるようにするなど柔軟なシステムにできないか。その際,事業を請け負った団体をチェックする機関が必要。

○ 地域では,現在,コーディネートできるような団体はないので,最初は行政がその役割を担わざるを得ない。

○ イタリアにいたときに自由なダンスをつくるだけでなく,子どもたちをグループ分けしてワークショップを行い,その過程でコミュニケーションをとっていくという取組を行った。日本でも,芸術家と教員が一緒になって取り組んでいけるような授業が進めばいいと思った。

○ 教育委員会経由で全国一律に情報や仕組みについて整備しつつ,並行して,NPOや劇場が中間支援するような枠組みを整備することが必要。

○ 教育委員会のみならず,コーディネートする劇場やNPOなどの団体が,何らかの形で事業に申請できるようなルートを増やす一方,教育委員会が,この事業のよさを十分理解し,普及していけるような手段(研修事業,パンフレットやDVDの作成など)を講じる必要がある。

○ 教育委員会のみならず,芸術団体や高校文化連盟のような芸術教育団体など,複数のチャンネルを通じて情報を提供することも有効である。

○ 円滑な事業展開のため,教育委員会は学校への意義の理解を図るための情報の流れを担当し,経費や申請の面は,NPO法人や芸術団体が担当するというような役割分担が有効ではないか。

○ 事業の窓口を文化担当部局が行っているところがあり,学校の取組に対する意識が低い。また,事前の相談や調整を劇場が実施している現状を考慮すると,申請窓口を劇場にしてほしいという学校からの要望がある。

○ 国の予算だけではなくて,民間企業などにアピールして,資金確保をしていくということも必要ではないか。

○ 申請のための書類の作成を学校が行う場合に,パソコンがなかったり,不得意だったりして非効率なことが多い。書類作成の全部を学校の作成に委ねることとはせずに,校長の確認のプロセスを経るところを押さえて柔軟に行うようにしてはどうか。

○ 申請手続きを劇場などに委ねたとしても,すべての団体が必要な経験を有しているとは限らない。自治体とNPO法人・芸術団体などから構成される連合体を作り地域ごとに進めていくことも有効ではないか。

○ コーディネーターの役割も,学校と芸術家をつなぐ役割,授業展開の中身を学校の教員とともに考えていくという2つがあると思う。後者については,あまり学校へ派遣される経験のない芸術家の場合には,子どもたちに悪印象を残さないような授業を考えていく必要がある。

○ コーディネーターは,学校とアーティストの両方の思考が分かり,共通の言語を持っている必要がある。コミュニケーション教育の目的には,実技指導ではない部分の要素がたくさんあり,学校も芸術家も実技指導中心に陥りがちなので,実技を通じて何を考えだすか,感じるかということを到達目標にするということを,双方に説明できるような人材が必要ではないかと考える。

○ 教育委員会は,派遣する芸術家や連携する団体の情報を保有し,地域のニーズに合わせた情報提供をできるようにし,学校と芸術家との間での授業づくりの橋渡しはNPO団体などが行う,というような分担がよいのではないか。

○ コーディネーターには,学校現場でワークショップを行うことができるアーティストを発掘し,育てていくという役割もある。また,コーディネーターは,アーティストと学校をつなぐことにより,学校の先生とのパイプを増やし,学校現場の実態や子どもたちの課題を理解することにつながる。

○ NPO法人等が遠方のアーティストを学校へ派遣する際に,経費を立替えることがあり,小さな団体にとっては苦しい場合がある。経費の支払いの仕方を概算払いでできるような仕組みが必要。

○ ネットワークがない中で学校が直接アーティストを探すことは困難。ワークショップの特徴を備えたコーディネートを行う団体のリストを地域ごとにつくり,学校がコーディネート団体を選べるようにすることが有効。

○ 現在の事業の実施形態では,遠方に派遣する場合に,交通費が非常に高額となる。地域コーディネーターを導入することにより,何校かをまとめて実施したり,アーティストへの謝金を調整したりすることができる。

○ 市町村レベルを超えたプラットフォームをつくり,地域ごとに成果や情報を共有することが有効である。その際,教師向けの研修事業と組み合わせるとより効果的である。

○ NPO団体は各学校の取りまとめや学校と芸術家の連携のサポートに特化し,学校は校内の管理職や教員間の共通理解,感想文等による児童生徒への効果把握を行うという分担が重要。

○ コーディネーターを窓口にして,学校が年度途中でも申請できるように随時受け付けすることが有効である。

○ 学校と芸術家との連携においては学校が主となって連携授業を考えることが重要。アーティストへの丸投げを行わず,授業のねらいや方向性について共通理解を図っていくことが大事である。

○ コーディネーターの役割として,連携の専門家として学校側の相談しやすい,教師の取り組みやすい状況をつくりだし,連携する各分野の専門性や課題を把握し,学校の求める授業の調整役をすることが大事である。

○ 事業の趣旨を踏まえ,効果的に実施するため,都道府県の部局へ一括委託し,委託を受けた都道府県がコーディネート能力のある機関に再委託できる仕組みを取り入れてほしい。

○ 国がコーディネーターをコーディネートする機能を持つことやコーディネーターの人材を抱えていくことが様々な地域での取り組みを支援することにつながる。

○ ホールが直接,学校へ声をかけても連携がうまくいかない場合でも,コーディネーターが入って学校連携を既に取り組んでいるところでは円滑に受け入れられる。

○ コーディネーターにボランティアが参加できる体制をつくることが,コーディネーターの底上げにつながる。

2 コミュニケーション教育の学校への具体的な普及・展開の在り方について

○ 総合的な学習の時間の導入をきっかけとして,劇場と学校の連携が行われるようになったが,思ったより多くは普及していない。この点について分析が必要。

○ 事業の実施に当たっては,学校が余裕をもって検討できるよう申請に十分な時間が取れるようにするとともに,年度が始まる前に限らず年間を通じて申請できる仕組みが必要。

○ 学校では,年間指導計画に位置付けて計画的に授業を行うことが前提となっている。

○ 学校の予算がない状況で,ワークショップをやるために芸術団体の事業や,大学の競争的資金,社会教育団体の活動など,機会を見つけて応募し,なんとか取り組んでいる状況。

○ ワークショップには,事前の打ち合わせやプログラム開発など,準備段階の経費もかかる。

○ ある県内の学校にワークショップの手法を用いたコミュニケーション教育についてアンケートをとったところ,やりたいけれど予算や手間がかかるので出来ない,やったことがないため不安,管理職の理解が得られない,などの意見があった。

○ 当初は学校へ直接働きかけたが,あまりよい反応がなかった。県の教科研究会や研修会などの場を利用してよさを広めていくことが効果的であった。

○ DVDやパンフレットなど,ビジュアルな手段で伝えるということは,小中高校生に興味を持ってもらう上で効果的である。

○ コストのことを考えると,興味のある人がしっかり見られる仕組みとしてインターネットに掲載することも有効である。

○ 教育委員会のみならず,コーディネートする劇場やNPOなどの団体が,何らかの形で事業に申請できるようなルートを増やす一方,教育委員会が,この事業のよさを十分理解し,普及していけるような手段(研修事業,パンフレットやDVDの作成など)を講じる必要がある。(再掲)

○ 教育委員会が円滑に学校に情報を下ろしていくために,担当の指導主事の意識にかかわりなく事業が展開できるような働きかけ方が重要。例えば,教育委員会が組織としてかかわっていけるように,周知・広報のため年1回公開授業を位置付けたり,パンフレット配布したりなどについて働きかけることが必要。

○ 事業を円滑に進めていくためには,現場レベルでは,学校に担当者を置くことが重要であり,教育委員会レベルでは,教育長などの管理職が理解していれば行政の継続性をうまく維持できる。

○ 事業を円滑に展開していくためには,その効果を数値化して示していくことが効果が高い。教育委員会が学校に働きかけたり,教員が取り組む際の理由付けになる。

○ 学校現場にコミュニケーション教育を普及させていくためには,国が方針を明確に定め,予算をつけることが必要。また,全国でアーティストやNPO団体,指導できる先生の確保といった人材の供給が十分かどうか,更に,民間企業にアピールし,資金的な面で巻き込んでいくことも大事である。

○ コミュニケーション教育の効果を見る指標の例として,イタリアでは犯罪や自殺につながらないという点を数値化している。

○ 従前のシステムでは,書類が市町村から都道府県の教育委員会に上がり,そこから会計担当に回らなければ支出がされない状態で,芸術家にとっての支払いが滞ることがあった。

○ 本事業における教育委員会のかかわり方として,事業の趣旨を域内の学校にしっかり周知し,手を上げてもらう学校が多くなるように働きかけ,実施したいという学校の申請を取りまとめることまでをお願いしたい。実施の内容についての指導・助言については,各授業の時間に何をやるのかということを逐一教育委員会に報告させるような仕組みではなく,基本的に開催校が責任を持って行うという役割分担がよい。

○ 学校が講師やコーディネーターと授業の内容を詰めることは大事だが,学校設置者の責任において,教育委員会の介在も重要である。学校は教育課程への位置付けについて,教育委員会への説明ができなければならないし,教育委員会も地域住民への説明を行っていく立場でもあることを考慮に入れておく必要がある。

○ 学校設置者である教育委員会がNPO法人等とのつながりを持ちながら開催校とつなげていくというやり方が現実的ではないか。

○ 書類を提出する場合に都道府県を通すと時間がかかり,結果として支出に支障をきたすことが多い。市町村教育委員会などの設置者が責任を持って確認できれば,必ずしも都道府県教育委員会を通す必要はないのではないか。

○ 事業の実施スキームには,設置者である教育委員会を含めるべき。教育委員会の推進する教育内容とのかかわりで学校が協力を受けられることがあり,また,学校の実施の状況は書類でなくともヒアリングなどを工夫すれば学校には負担はかからない。

○ 学校の立場として,今年度の申請書類の作成時において,具体的な日程,補助者の氏名を決めるというのは非常に困難があった。逆に,大まかな実施時期,実施回数,実施学年,実施する教科などは,前年度であっても困難ではない。

○ 現状の事業の実施スキームとして,文化庁→知事部局と初中局→教育委員会の二つのルートがあり,現場としては流れを理解するのが大変である。

○ 現場で申請書を作成できる期間は1週間程度しかなく,講師の選定から日程調整・内容調整までやるとなれば相当困難であるため,コーディネーターがこれらの調整を行い,書類の作成を行ってくれるのであれば申請がやりやすくなる。

○ 年度が変わると学校の管理職や担当教諭が変わり,事業の実施が円滑に進まないことがある。このようなときに教育委員会に協力をしていただけるとありがたい。

○ 事業の実施を教育課程上のどの時間に位置付けるかという場合に,その内容を踏まえて適切に指導助言できるのは教育委員会なので,教育委員会がコーディネーターと連携しながら事業を進めていくべきである。

○ コーディネーターの中には,全国レベルで芸術家を派遣する法人もあるが,本事業の展開に当たっては,地元のアーティストや地域の人材と直接関わりをもっていくことも重要である。

○ 以前,文科省が実施した別の事業で,NPO法人などのコーディネーターに再委託して事業を行ったものがあったが,その事業が終わった後に教育委員会に何も残らなかった。このため,教育委員会も連携して実施していくことが,その取組の蓄積や,それを踏まえた発展につながっていくことが期待できる。

○ 教育委員会を通して申請を上げ,その申請の内容に講師や補助者まで書き込むことはほぼ不可能ではないか。学校での実施内容の調整については,教育委員会とコーディネーターとの間で十分できるとは思えないので,学校とコーディネーターが調整すべきである。

○ ワークショップの開催日について,申請段階では開催日を決めなくてよいということは,講師や近隣の他校との調整を行って,2校を同じ日に実施するなどの効率的な工夫ができたり,申請後に講師や学校の都合で変更が起こった場合の対応など、手続き上の柔軟さがあってよい。

○ 実施回数が,申請時の計画より少なくなった場合の手続き(中止届の提出)を簡略化して欲しい。

○ 教育委員会に対する事業の募集を行う際には,混乱がないように,初中局で実施するコミュニケーション事業と文化庁で実施する「派遣事業」のそれぞれがあることを,文書の中に明確に示す必要がある。

○ ワークショップの対象人数の適正規模をどのように考えるのかという問題がある。これを回数の数え方とあわせて明示をし,審査の基準として示すべきではないか。

○ 適正規模を示すことは,ワークショップの内容面での制約を課すことになったり,ワークショップの内容よりも実施回数を優先して計画を立てたりというような状況が生ずる恐れがある。

○ ワークショップの適正規模を決めることは困難だが,体育館で大人数を集めて演奏を聴かせるような鑑賞型のものではないというようなことが分かるような一文を入れてはどうか。

○ 人数制限ではなく,「子どものコミュニケーション能力がより豊かに育まれるようにする」というような文ではどうか。

○ ワークショップの在り方については,教員の間でもまだ理解が不十分であったり,芸術家の方も鑑賞型ではないワークショップの在り方の理解が不十分であったりするので,本事業の実施を通して理解を浸透させていくことが重要である。

○ 募集要領をあまり詳細にしてしまうとかえって申請上の制約となる恐れがあることから,ビデオなどの広報資料により,ワークショップのイメージを理解してもらうなどして,質の担保を行う方がよい。

○ 予算上の制約があることを考えると,申請した学校全てが採択されることはないと考える。地域的なバランスやどのくらい増やしていくとかの見通しをもっておくことも重要である。

○ 初めから予算枠を見通してそれに合う申請数を見込むよりも,予算額を大幅に超える応募があったという事実をつくることが重要である。そのためには,申請しやすい応募要領である必要がある。

○ 今回新たに取り入れるNPO法人等のコーディネーターを活用する仕組みと,学校が直接芸術家を決める従来の仕組みとのどちらを選ぶのかをきちんと判断できるよう,通知だけではなく分かりやすく説明する工夫があればよい。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,県によって,連携を行うNPO法人等の取り上げ方に偏りが生じないよう,基準をどのように示すのかが重要である。

○ NPO法人等があらかじめ実施を予定する学校を決めた後に,その法人を採択しなかった場合に学校が不利益を受けることが考えられるため,法人の採択を先に行いリスト化して示すなどした方がスムーズではないか。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,任意団体等を募集の対象として加えるなら,それに営利法人である劇団がもっている劇場も含まれると考える。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,募集の対象をコーディネートを専門に行う団体とするかどうか,あるいは,法人化していないNPOを含めるかどうかということも考える必要がある。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,教育委員会と連携を行う仕組みは重要である。団体によっては,直接学校と交渉して実施しようとするところも出てくると想定される。団体の信頼性や実施する活動の教育的効果をしっかり担保できるような仕組みをとる必要がある。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,任意団体のNPOなどは各地の文化施設と組んで申請することができれば,申請の効率化や文化施設の活性化につながっていくと考える。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,基準の対象の考え方として,芸術の振興や,子どもの健全な育成などを目的とするという団体の非営利性を問うべきではないか。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,法人等の活動の適正化などを管理するだけではなくアドバイスする機関があれば,任意団体を募集の対象として含めても,将来的な法人への発展への成長を期待できる。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,教育委員会との連携を課すことは,NPO法人にとって重荷を感じるところが多いのではないか。

○ NPO法人等を活用する仕組みの募集については,広く募集を行った方が広がりを期待できる。

○ 公共ホールや芸術団体が学校を対象とする事業を行ったとき,学校への伝達がうまくいかなかったことがある。教育委員会を間に入れることにより,スムーズな情報展開ができるのではないか。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,県教育委員会との連携を求めたとしても,実質,小中学校については市町村教育委員会と連携することの方が主となることが考えられる。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,NPO法人等は市町村教育委員会を通じて県教育委員会に申請を行うという形を取ることも有効である。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,広域で活動するNPO法人等を考慮すると,手続きは県教育委員会に対し行うことでよいが,実質的に市町村教育委員会とNPO法人等との連携を取れるような方法があればよい。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,都道府県によっては,事業実施の地域のバランス調整のために,取組に熱心な地域を取り上げなかったりすることも考えられる。申請書自体は市町村教育委員会が作成してもよいのではないか。

○ 県立の公共劇場であれば県や学校との連携はうまくいくが,逆に市町村と学校との連携がうまくいかない実態もある。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,ワークショップの実施にコーディネーターが立ち会うようにする必要がある。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,法人への委託内容の妥当性を判断するに当たって,人件費の積算には,実施校数やワークショップの回数を示してもらう必要がある。

○ コミュニケーション能力の育成を目指したワークショップを,いつまでにどれだけの学校の実施を目指していくのかというビジョンについても検討していくべきである。

○ 全国の数十箇所でもいいので,3年間実施した学校の生徒の質がどれだけ向上したかということを示せる模範的なワークショップのモデルケースができるとよい。

○ コミュニケーション能力の育成について,学校の教育課程上の工夫から目指す側面と,地域の文化活動を担う組織から関与していく側面とがある。

○ コミュニケーション能力を育成する事業の指定については,今年度の学校の継続指定も認め,経年的な変化を見ていくことも大切である。

○ 単に長く事業を実施していても,その目標や趣旨が明確でなければ意味がない。

○ 継続指定すべきかどうかの判断をコーディネーターに委ねるという方法も有効である。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,学校が市町村教育委員会を通じてコーディネーターの紹介をしてもらえるような仕組みもありがたい。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,会計専門のスタッフが配置されており,また,立替えを行って一時的な支出を行うことが可能な財団法人という観点もある。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいて,芸術団体の全国的な組織を組み込めることができれば,ノウハウの蓄積や情報の交換を効果的に実施し,普及していくこともできる。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおける申請書の審査に当たって,共通の尺度として,Sを何個,Dを何個というような配分を決めておくことにより,審査員間の点数の割り振りを公平に行うことができるのではないか。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいては,地域バランスも考えながら採択することも考慮すべき。場合によっては,予算額の大きいところの予算を減額して,地域間の総合的な調整を行うということも考えられる。

○ 23年度のコミュニケーション事業では,学校へ直接募集する方法とコーディネーターを通じて募集する方法とがあるので,採択を受けた実施校が,結果として地域間の偏りが出ないように配慮することも必要。

○ NPO法人等を活用する仕組みにおいては,事務手続きが簡素化する一方で,学校へ芸術家を派遣することへのコーディネーターの責任が増す。このため,コーディネーターと教育委員会との連携が重要になる。

3 指導者の養成・研修方策について

○ ワークショップを行う感性を育むために教職員への研修を行うことも有効。

○ ワークショップをやることにより,子どもだけでなく教師も変わる。

○ コーディネーターには,学校現場でワークショップを行うことができるアーティストを発掘し,育てていくという役割もある。(再掲)

○ 外部との連携をうまくできるコーディネート能力を教師にも身に付けさせるような取組が必要である。

○ ワークショップのリーダー研修では,例えば,教科の内容を題材にするワークショップなど何を育成する研修なのかを明確にすることが求められる。

○ コーディネーターを育成する研修では,学校支援本部の学校コーディネーターやキャリア教育の地域コーディネーターなど,現在,学校をとりまくコーディネーターとの関係をどのように考えていくのかということも重要。

○ ワークショップのリーダー研修では,ワークショップの1企画・運営,2講座の講師,3コーディネーターの3種と育成する人材との関係をよく検討することが重要。

○ 既に音楽大学や美術大学でそれぞれ実施している音楽や美術のワークショップ人材養成研修との連携,あるいは未開拓の分野での人材養成研修を行うなど既存の研修とのかかわりを考えることが必要である。

○ 研修にeラーニングを導入する場合,質問やレポートに答えるメンターを位置付けるとかネット上に参加者同士のコミュニティがとれるようにするなどすれば,学習内容の習得がより深まる。

○ アーティストは芸術系の大学を出てきている者もいるので,研修へ参加するアーティストをどのように考えるのかが重要。また,フリーで活動するアーティストへの情報発信の方法も考慮すべき。

○ 研修の対象とするワークショップの分野について,朗読系の読み聞かせなど既に学校で行われ,比較的ハードルの低いものを考えていくことも,参加しやすいものとする上で重要ではないか。

○ 研修では,最初からワークショップを企画し,回していける人材まで求めるのではなく,補助者レベルの人材育成とし,研修後に経験を積んでいく中でリーダーレベルの技能を身に付けていくことも考えられる。

○ ある程度力を持っている者を対象者とし,研修の中でインターネットによるコミュニティを利用し,意見を出し合うことを通じて更に熟達させていくというやり方もある。

○ 研修の対象に教員を含めることにより,ワークショップが教育上の効果としてどのようなことをもたらすのかということへの理解を進めることになり,学校教育の中での賛同者を増やしていくよい方法となるのではないか。

○ 学校現場では,ワークショップを体験したことがない教員が多いため,研修を通じて体験し,子どものどの点を伸ばすことにワークショップが有効であるかを知ることは大変有意義である。

○ ワークショップ研修を,教員の十年研修や免許更新講習,教育委員会や教員の研究会が実施する研修とうまく連携してやっていくことも有効である。

○ 学校現場と連携して研修事業を既に実施している劇場などと連携して研修を組み立てていくことも考えられる。

4 コミュニケーション教育に対する学校や保護者等への理解の促進方策について

○ 経験のない学校ではワークショップのイメージが難しい。写真が入ったパンフレットやDVDなどを学校に配布できるとよい。

○ 未経験の学校の教職員の理解を得るためには,教職員を対象とするワークショップに実際に参加してみることも有効である。

○ ワークショップの手法を用いたコミュニケーション教育について,保護者への理解を得るため,ねらいや内容を込めたメッセージを,保護者へ送ったが,これによる効果は高かった。

○ 教員が縦の系列で下りてきた情報を受けて仕事を進めるだけのスタイルを改善するため,教員養成や教員研修を通じて,自ら情報を取りに行き,動いていけるような教員をつくることが大切である。

○ 広報DVDの作成に当たっては,コンセプトをまず定めなければ内容はつくれない。また,肖像権などの子どもの権利に係る部分の配慮が必要であり,あらかじめ使用意図や使用範囲を明確にしておく必要がある。

○ 学校とワークショップの事前打ち合わせをする際に,映像により内容を見せると分かりやすい。子どもに対する教員のはりつけ方や,芸術家と子どもとのやり取りなどを含めると教員の授業の組立て方の参考となる。

○ 広報DVDは,議会など予算決定権をもつところを対象にするのと実際にワークショップを行う教員を対象にするのとでは内容が異なる。芸術家と接することにより子どもの変化が見られるようなものであれば,知らない人に対して大きなインパクトを与える。

○ コミュニケーション教育を推進する方法として,校長にイメージをもってもらうだけでなく,学校の研修主任にワークショップを体験してもらったり,NPOの協力を得て子どもの立場でワークショップに参加してもらったりして,面白さや進め方を理解してもらうことが有効である。

○ 文化講演会などを通して地域へ芸術家と連携した学校での取組の周知を行うことにより,学校教育への関心が高まる。このことが,学校の意識向上の土壌ともなる。

○ 広報DVDは,事業を紹介する映像,学校で実際に行うワークショップの紹介,コーディネーターがどのような仕事をしているかを紹介したものをそれぞれつくり,目的に応じて使い分けができるとよい。

○ 広報DVDの作成が難しい場合は静止画像でもよい。アンケート結果の集約など成果を発信していくことが重要。

○ 広報DVDを教育委員会に配布しても行政は見ない。むしろ,取り組みたくさせるような,よさや効果を伝えるものを学校に見せていくほうが効果的である。

○ 広報DVDには,コミュニケーション教育が何を目指すのかについてのメッセージを要約して伝える必要がある。

○ 広報DVDを募集時に学校へ送付したとしても恐らくほとんど見られない。教育委員会主催の何らかの場で見せるということを想定して作成する方が効果的である。

○ 効果的な広報の方法として,国や教育委員会が実施する研修会などにおいて,学校現場での現状や問題点,事業のねらいや成果を口頭で説明をし,静止画を見せるというやり方が有効である。

○ 広報用DVDを至急作成するのであれば,既存のものを編集することで当面対応できるのではないか。全く知らない人に対して説明するのであればそれで十分ではないか。

○ 広報用DVDの効果的な活用方法として,全国の校長が集まる会議が年3回開催されており,このような場で映像を見せて説明することが効果的ではないか。

○ 広報活動には,肖像権の問題があるものの,子どもたちの顔や表情が見えた方が効果的である。

○ 広報媒体の用途として,現場の教師に理解してもらうことを目的とするのか,イメージを共有するようなものにするのか,について分けて考えるべきであり,こうした制作物を現場で使用される研究授業の資料と併せて使用できるものがよい。

○ 広報媒体について,映像を用いる場合であれば,スポット的な印象に残るものがよく,事業のスキームを説明するのであればパンフレットや静止画で十分である。

○ ニーズに合わせた普及方法を考える必要がある。目的別に一覧表に整理することも有効な方法ではないか。

 

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課

(初等中等教育局教育課程課教育課程第三係)