コミュニケーション教育推進会議(第4回) 議事録

1.日時

平成23年7月26日(火曜日) 14時~16時

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室

3.議題

  1. 教育ワーキンググループ及び連携・普及ワーキンググループのこれまでの議論の報告について
  2. その他

4.議事録

【倉見教育官】

 委員の先生方、こんにちは。お時間になりましたので、これから始めさせていただきたいと思います。
 では平田座長、よろしくお願いします。

【平田座長】

 それでは定刻でございますので、ただいまから第4回コミュニケーション教育推進会議を開会いたします。
 まず議事に入ります前に、委員の皆様におかれましては、東日本大震災の発生以降、被災地あるいは避難所等で様々な学校、避難所などへの御支援を賜りましたことを、この場でお礼申し上げます。また今後特にこの事業は、被災を受けた子供だけではなくて、全国の子供たちの心にまだ傷が残っていると思いますので、こういった事業が本当に必要になってくる時期が今後、来年度、再来年度と少しずつ増えていくんじゃないかと思っておりますので、息の長い取組として是非御協力いただければと思います。
 本日は御多忙の中、お暑い中、御参集いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、本日は各ワーキンググループのこれまでの審議経過について、髙木主査、吉本主査よりそれぞれ御報告をいただいて、これについての意見交換をしていただきたいと考えております。本日の意見交換を踏まえて、今後親会議としての審査経過報告を取りまとめて、審議の一区切りとさせていただきたいと考えております。
 それではまず、配付資料の確認を事務局よりお願いします。

【倉見教育官】

 それでは配付資料の確認をさせていただきます。
 まずは議事次第がございます。資料1といたしまして、コミュニケーション教育推進会議の検討体制、資料2はコミュニケーション教育推進会議における審議の経過、資料3は教育ワーキンググループこれまでの議論の整理、資料4でございますが連携・普及ワーキンググループにおける主な意見の抜粋と、その後に主な意見が付いております。資料5は平成23年度〔児童生徒のコミュニケーション能力の育成に資する芸術表現体験について〕といったポンチ絵でございます。資料6でございますが、平成23年度「児童生徒のコミュニケーション能力の育成に資する芸術表現体験」事業の採択状況でございます。資料7はイメージということになっておりますけれども、「児童生徒のコミュニケーション能力の育成に資する芸術表現体験」事業のパンフレットを付けております。資料8は、昨年度この事業をやっていただいた学校等からアンケートを取りましたので、その集計結果の束でございます。
 参考資料1でございますが、コミュニケーション教育推進のための施策ということで、今年度の教育課程課の方で持っております予算のポンチ絵でございます。参考資料2は、来月の8月17日に、昨年も行いましたが「コミュニケーション教育フェスタ」ということで、普及協議会を行う予定にしておりますが、その日程案でございます。参考資料3は「「子ども熟議」のすすめ」ということでパンフレット、それと参考資料4でございますが、「「広告小学校」夏休みスペシャル」といったことで、スペシャルトークと授業参観の御案内といったペーパーを1枚付けているところでございます。
 それと机上には、これまでこの会議で配付させていただきました資料をファイルで、ちょっと厚いですけれども、とじたものを置かせていただいているところでございます。以上でございます。 

【平田座長】

 ありがとうございました。
 それでは早速議事に入りたいと思いますが、まず資料1を御覧ください。
 皆さん御承知のとおり、このコミュニケーション教育推進会議は、親会議の下に二つのワーキンググループを設置しております。それぞれ資料に記載しております検討課題について、御審議をお願いいたしました。
 次に資料2を御覧ください。昨年の7月以降、教育ワーキンググループは7回、連携・普及ワーキンググループは8回にわたって、これまで精力的に御審議をいただきました。なお、本来ですと合同ワーキンググループは3月末に開催する予定となっていたようですが、震災の影響によって6月21日に合同ワーキンググループを開催していただきました。この間本当にお忙しい中、非常に内容の濃い議論をそれぞれのワーキンググループでしていただきまして、特に両主査には非常にお時間を割いていただいて、感謝しております。ありがとうございました。
 それでは、本日は各ワーキンググループの主査より、これまでの審議経過について御報告をいただきたいと思います。
 まず教育ワーキンググループの髙木主査より、御報告をお願いいたします。 

【髙木教育WG主査】

 それでは資料3を御覧ください。
 教育ワーキンググループでは、コミュニケーション能力の捉え方やその育成方策、効果について議論を重ねてまいりました。資料3はこれまでの議論をまとめたものでございます。1ページ目の項目ごとに、ポイントを枠囲みにまとめてございますので、その部分を中心にして説明をいたします。
 まず、学校教育ではコミュニケーションそのものを対象化しておりますので、その能力の育成が求められております。そのためコミュニケーション教育という言葉ではなくて、コミュニケーション能力の育成という方向で、これからの御説明をいたします。
 まず1のコミュニケーション能力が求められる背景ということで(1)でございます。1ページ目の枠囲みのところを御覧ください。「21世紀はグローバル化が一層進む時代である。それは、多様な価値観が存在する中で、自分とは異なる文化や歴史に立脚する人々とともに、それぞれ異なる意見や考え、アイディアなどを交換し、正解のない課題、経験したことのない課題を解決していかなければならない「多文化共生」の時代でもある」ということ。それから2ページ目の枠囲みの一つ目の丸でございます、「このような21世紀を生きる子供たちは、積極的な「開かれた個(自己を確立しつつ、他者を受容し、多様な価値観を持つ人々とともに思考し、協力・協働しながら課題を解決し、新たな価値を生み出しながら社会に貢献することができる個人)」であることが求められる」ということになります。
 続きまして3ページの(2)子供たちの原状や課題というところでございますが、一つ目の丸でございます、「子供たちは気の合う限られた集団の中でのみコミュニケーションをとる傾向が見られる」ということ、二つ目の丸「児童生徒が不登校となったきっかけと考えられる状況として、友人関係をめぐる問題が20%を占めている」ということ、そして三つ目の丸、「インターネットを通じたコミュニケーションが子供たちに普及している一方、外での遊びや自然体験等の機会の減少により、身体性や身体感覚が乏しくなっていることが、他者との関係づくりに負の影響を及ぼしているとの指摘もある」ということでございます。
 続きまして5ページに飛びます。(3)新しい学習指導要領における言語活動の充実というところです。ここでは二つ目の丸でございますが、「新しい学習指導要領では、言語活動を充実することによって、コミュニケーションに関する能力や感性を育んだり、情緒を養ったりすることも期待されている」ということ、さらに6ページになりますが、(4)コミュニケーション能力の捉え方とその育成というところで、一つ目の丸でございます、「コミュニケーション能力を、いろいろな価値観や背景を持つ人々による集団において、相互関係を深め、共感しながら人間関係やチームワークを形成し、正解のない課題や経験したことのない問題について、対話をして情報を共有し、自ら深く考え、相互に考えを伝え、深め合いつつ、合意形成・課題解決する能力と捉え、多文化共生時代の21世紀においては、このコミュニケーション能力を育むことが極めて重要である」ということ。さらに二つ目の丸でございます、「コミュニケーション能力を学校教育において育むためには、丸1、自分とは異なる他者を認識し、理解すること、丸2、他者認識を通して自己の存在を見つめ、思考すること、丸3、集団を形成し、他者との協調、協働が図られる活動を行うこと、丸4、対話やディスカッション、身体表現等を活動に取り入れつつ正解のない課題に取り組むこと、などの要素で構成された機会や活動の場を意図的、計画的に設定する必要がある」ということになります。
 さらに7ページになります。2のコミュニケーション能力を育成する手法・方策でございます。最初の(1)ですが、「諸外国では、クリエーティブな活動をする実践家やアーティストが学校でワークショップ型の授業を行い、子供たちの創造性やコミュニケーション能力等を育む機会を設けている事例が多く見られ、成果を上げている」。8ページになりますが、最初の1行目です、「文部科学省においては平成22年度から、コミュニケーション能力の育成を図るため、芸術家等を学校へ派遣し、芸術表現体験活動を取り入れたワークショップ型の授業を展開する事業が実施されている」ということになります。
 さらに9ページになります。黒四角のところですが子供たちへの効果ということで、最初の丸の2行目からになります、「ふだんは見ることのない他者の一面を見いだしたり、自分と異なる状況を擬似的に体験したりすることで、他者認識や自己認識の力が向上する」。さらにその下の二つ目の丸ですが、「身体表現等を用いて相互に伝え合うことの喜びに気付き、表現手法が工夫され、「伝える力」が向上する」。さらに三つ目の丸でございますが、「子供もの良い面や優れた面が引き出されたり、子供たちが互いに多面的に発見・評価したりされたりすることによって、自己肯定感と自信の醸成がなされる」。四つ目の丸でございますが、「他者認識や自己認識の力、伝える力の向上、自己肯定感と自信の醸成により、子供たち相互の人間関係が良好になり、学級の雰囲気が改善し、学級全体として学力が向上する。また、いじめや不登校、暴力行為などの問題の解決にもつながる」ということになります。
 さらに11ページになりますが、黒四角の教員への効果です。一つ目の丸でございますが、「芸術家等の表現活動の専門家によるワークショップ型の授業は、教員にとって通常の授業手法や評価の方法を見直し、改善する機会となる」。二つ目の丸として「学級の雰囲気の改善により、学級経営や学年経営が円滑に進むことが考えられる」ということがあります。
 さらに12ページになりますが、(3)効果的な手法・方策です。一つ目の丸、「実施に当たっては」というところですが、黒ポツです、「グループ単位(小集団)で協働して、創造的・創作的に取り組む活動を中心とするワークショップ型の手法を取ること。演劇的活動など表現手法を豊富に取り入れていること。ワークショップの理論や手法を備えた芸術家等の外部講師が授業に参画すること、が大切である」ということです。さらに、最後になりますがその下の丸、「発表を目的化せず手段として位置付け、創作やグループでの話合い等といった活動の過程を重視することが重要である。その際、ワークショップでは「導入過程」「展開過程」「ふりかえり課程」という要素を持ったプログラムを意識的に組んでいく必要がある」ということが検討されました。
 以上、教育ワーキンググループから、これまでの議論のポイントになりましたが、御説明させていただきました。

【平田座長】  

 ありがとうございます。
 大変すばらしい、分かりやすいまとめをしていただきまして、もうこれで恐らく来年度以降の募集に関しても、まずこれを読んでから応募してくださいと言えばほとんどのことが解決するぐらいに、非常にすばらしいまとめをしていただいて、ありがとうございます。
 髙木先生、特にここら辺が議論になりましたとか、そういうところがあれば、補足でおっしゃっていただければと思いますけれども。 

【髙木教育WG主査】  

 特に5ページのところに新学習指導要領における言語活動の充実ということがございまして、これまで教育ワーキンググループでしてきていることは、学校教育との関係の中で言語活動の充実の中に特にコミュニケーションという言葉が入っておりまして、その辺りをやはり大切にしていこうということが、議論の中ではかなり出てまいりました。 

【平田座長】  

 ありがとうございました。
 幾つかもうまとめていただいて、一つはもちろん子供たちの学校内での人間関係形成能力、これはもう喫緊の問題としてあると思います。それから、私たちは大学人でもあるので、そうしますと就職してからの世代間コミュニケーションの問題、そして多文化共生型の社会、先般のノルウェーの大きな事件などを見ますと、本当に大変だなと。これに日本もこれから時間をかけて備えていかなくてはならないので、非常に重要な課題になるかなと思いますが、一方で、私事ですけれど、先月富良野に授業に行きまして、布部小学校という、全校で11人の小さな小学校ですが、5人が外国籍です。2人がアメリカ国籍、2人がスイス、1人はシンガポールの方とのハーフ。皆さん、富良野が大好きで移り住まれた外国の方の子弟なんですね。ですから、もう今までのような外交官、商社マン、あるいは製造業の労働者という時代ではなくなってきていて、非常に多様な形での多文化共生社会がこれから望まれるし、また課題にもなるんじゃないかと感じております。
 今日は比較的時間がございますので、自由にこのことについて御議論をいただいて、せっかくですから皆さんに少し御発言をいただければと思っております。どなたからでも結構ですので、2時50分ぐらいまでこの教育ワーキンググループの整理について、御議論いただければと思います。
 どなたからでもと言うと難しいですので、米屋さんから。 

【米屋委員】  

 ここまで簡潔にまとめてくださいまして、主査をはじめ事務局の方々にまず感謝いたします。
 率直に申し上げて、教育ワーキンググループの議論が始まったときは、この先どうなることかと思っていたのを思い出します。と申しますのも、主査の方からも御指摘がありましたが、最初、言語活動との関連というところに割と中心的に議論を進めていましたので、そうして広げていきますとコミュニケーション能力というところで想定されることが非常に幅広くなっていったと。それをどう、この活動、推進会議の主目的のところに位置付けていくのかというのが、何か拡散していきそうな雰囲気だったんですが、少し実際に芸術表現体験というところに立ち戻っていきますと、言語活動だけではなくといいますか、むしろ身体的な全身的な発信といいますかコミュニケーション、相互のやり取りということが非常に大きいのではないかと私も思っておりまして、そういったところを視野に入れたところでは、言語活動だけではなく、もう少しクラスの中の人間関係、学級運営の状況ですとか、そういったところの効果というふうにちょっと視点が変わってきて、このように多様なものを含み込んだまとめに落ち着くことができたのではないかなと思っています。ですので、コミュニケーション能力というのはかなり広いものでしょうし、その中で芸術的表現にフォーカスを当てた活動ということでの推進というふうに、何か方向性が定まったなということで、これがもう少し普及していければなと考えております。
 経緯も含めて振り返ってみて、途中大変だったなということもありましたので、何かゴールが見えてきて大変うれしいと思っております。 

【平田座長】  

 では順番に。田中さん、いかがでしょう。 

【田中委員】  

 非常によくまとめができたなということで思っております。私も実施する立場として、地域の都市として、いろいろな手段でもって市民あるいは地域に情報発信をしていますが、その中で私が地元のCATVの番組の中でしゃべる機会があったのですが、初めからこういうものがあったら、もっと上手にしゃべれたなという感想です。基本的には、なぜ今子供たちはコミュニケーション能力が必要なのか、そこで、西条市ではこういう取組をしていますよというような内容を、30分番組のほとんどを使ってしゃべったんですけれども、基本的には大体同じ内容でしゃべらせていただきましたけれども、本当にきれいにまとめていただきまして、ありがとうございました。 

【平田座長】  

 西条市として何か取組の成果とかあれば、この機会に更におっしゃっていただければ。 

【田中委員】  

 後の連携・普及ワーキングでの話かなというところなんですが、私、昨年度実施してみまして問題点はどこかというと、まず一つは、各学校、35校ありますけれども、非常に取組の温度差があるということが一つの課題かなという思いがありました。どうして温度差が出てくるかというと、先生個々のやり方というか、情熱の持ち方とか、そういったようなことが各学校の温度差になって表れてきているのではないかなという思いがありました。ですから先進的にどんどんどんどんやる学校は、すごく前向きにやっていただいております。
 もう一つは、家庭、地域から、こういうことがなぜ必要なのかとか、何で舞台芸術うんぬんでこれができるのかとか、そういうふうな質問もございます。私はいろいろな場面で、例えば青少年健全育成の会やPTAの大会で、これを語ってまいりました。しかしもう一つ、なぜ分かってくれないのというところがありまして。教師の側、あるいは保護者、地域の側の両方、これを一つ、実際に子供がこういうことをやっているのよということをワークショップ形式でやろうと。これはもちろん文科省の事業でもありませんし、市単独事業として私のところで予算を付けて、この教師向けと、地域、保護者向けを、このコミュニケーション推進事業を取り組むということで、今年度やっております。教師用は既に1回目が終わりましたけれども、秋以降でまた保護者・地域対象、あるいは教員対象の2回目をやっていくということで予算化していますが、これもやはり、教育委員会が表に出てやっていくのが一番スムーズな推進ができるのかなという思いの中でやっております。以上です。 

【平田座長】  

 ありがとうございました。
 では高萩委員。

【高萩委員】  

 私もちょっと前に世田谷区で日本語特区に関わったときに、言語によるコミュニケーションと言語によらないコミュニケーションといったとき、結局やはり言語のところに入っていっちゃうと本当に広がってしまうし、なかなか国語との折り合いをどうするかというのが非常に問題になるのを、今回非常にうまくまとめていただいたなと思っています。
 特にコミュニケーション能力の捉え方とその育成のところで、コミュニケーション能力はいろいろな価値観や背景を持つ人々の集団という形で捉えているのが、集団でいろいろなことを理解していくんだということにうまく持っていっているなと思います。これで非常に、今の学校教育の中だけでできるんじゃないかというのみでなく、学校教育の中だけではできないからこそ、こういうことをやっていくんだということがはっきり分かるなということで、今後このことが認められたら、じゃあ、どうしていくかという次の段階に行くのに非常にうまくまとまったなと思っています。 

【平田座長】  

 ありがとうございました。
 では浅川委員。

【浅川委員】  

 ありがとうございます。今日これを読ませていただいて、教育委員会を説得するのにすごく役立つなと。

【高萩委員】  

 本当にそうですよね。 

【浅川委員】  

 正直思いました。というのが、保護者とか地域の皆さんは、子供たちの変容というのをお話しすると、すごく理解して協力してくれるんですが、やはり教育委員会にお金の面も支援していただくとなると、なかなか、それは校内の教員だけでやっていけるでしょうというような、つれない返事が返ってきます。例えば、本校はコミュニケーション能力の育成ということで、平成16年度から演劇活動を取り入れて取り組んできました。具体的には望ましい人間関係、集団づくり、その中で子供たちに思いやりを体得させたいという願いの下にやっているわけですね。それを少しずつやっていくことによって、子供たちの言葉の力、関わる力というものを高めて、富士見小に6年間通うことにより、我が子が思いやりのある子に育ちましたと言われるようにやっていきましょうと教員に呼び掛けております。そういう中で、6年生はその6年間の集大成として演劇活動を、その前には文科省でやっていただいているワークショップで、1年生から関わっていくという形で体系付けてやっているんですね。
 具体的に効果としては、学力調査で第4層の子たちが激減しているという実態と、含めて意識調査をやったときに、自己効力感とか相手を思いやるという意識調査で、かなり高い数値を示しているんですね、本校の実態として。ですからそういう意味で、今言われていることが非常に役立って効果があるんだということを言っているんですが、実際なかなか区教委は、それを理解して支えてくれるという面で、少々苦労しております。
 でもそういう意味で今日まとめていただいたものは、またこれから私は交渉しなくちゃいけないので、そのときに使わせていただけるなと感謝申し上げます。ありがとうございました。

【平田座長】  

 吉本さん、いかがですか。 

【吉本連携・普及WG主査】  

 私も、全部ではないんですけれども教育ワーキングもなるべく出席するようにしていたんですが、先ほど米屋さんがおっしゃっていたように、最初は本当に議論がすごく広がっていて、まとめるのは本当に大変だったろうなと思います。髙木主査と事務局には、本当にお疲れさまでしたと申し上げたいと思いました。
 冒頭、髙木主査の御説明で、コミュニケーション教育という言葉ではなくて、コミュニケーション能力の育成というふうに使いたいということで、より明確になったという印象がします。教育ワーキングでも、コミュニケーション教育という言葉からイメージするものがそれぞれの御専門の立場から非常に多様で、どう解釈したらいいのかというのがあったと思うんですけれども、この資料で本当によくまとまったと思います。
 この推進会議の第1回で、私が紹介したイギリスのクリエーティブ・パートナーシップの場合も、事業が始まる前に「All Our Futures: Education,Culture and Creativity」という政策提言のレポートがあって、そこで子供たちにとってクリエイティビティーの育成がいかに重要かということがまとめられていたんですが、やはりすごく説得力のある文章なんですね。だからこれも同じように、コミュニケーション能力を育成する教育がいかに重要かということを、今、教育委員会を説得するのに役立つという意見がありましたが、これを読んでいくと、それを理解できるキーワードが何か全て入っているなという気がいたしました。
 ですので、これまでのコミュニケーション教育推進会議の全体のまとめを外に出していく際に、この資料も、単純に「教育ワーキンググループのこれまでの議論の整理」というタイトルじゃなくて、例えば「コミュニケーション能力の育成が拓(ひら)くこれからの教育」とか、「コミュニケーション能力の育成が拓(ひら)く教育の未来」とか、何かそういうキーワードを付けて、一つの議論の結果としてこれが重要だということをアピールできるようなものにするといいんじゃないかなと思いました。以上です。 

【平田座長】  

 そうですね、是非。冒頭でも申し上げましたけれども、これは本当にすばらしいまとめなので、必ず読んでいただいて、そして逆に審査の過程でも、これを読んでいるかどうか分かると思うんですよね、応募してきた学校は。 

【吉本連携・普及WG主査】  

 はい、そうですね。 

【平田座長】  

 そこが一つポイントになるかなと思っております。
 私の方から、座長でありますけれども実践の側にもおりますので、少し申し上げさせていただくと、私たちやる側としては、どこまで能力が高まるかは別にして少なくとも自信を持っているのは、子供たちの学びのモチベーションが確実に上がるだろうと、それからコミュニケーションについて関心を持ってくれることは間違いないだろうと思っております。先ほどちょっと富良野の話をしましたけれど、富良野は10年かけてほぼ全小中学校で、今こういった演劇手法を使った教育をしてくださっております。結果として、文科省がやっている学力調査のアンケート項目で、「国語が好き」という小学生の平均が、細かい数値は忘れましたけれど6割ぐらいだったとすると、富良野は8割から9割、ある小学校に至っては全員が「国語が好き」というような結果が出ています。ですから好きにさせたりモチベーションを付けるということに関しては、非常に効果があるかなと。それで富良野市の場合は、平成25年度からは道内初の演劇コースを富良野高校に設置するということで、町を挙げてのコンセンサスが10年かけて作られたという経緯がございます。少し時間はかかるけれども、浸透させていくことが大事かなと思っております。
 もう一つは、今御議論があった言語ということですね。今回、震災よりも特に原発の問題で、私は今大阪大学のコミュニケーションデザインセンターというところにおりまして、主にその機関は科学技術コミュニケーションをやっているわけですが、今回のことで痛感したのは要するに、狭い意味でのいわゆる従来から言われてきたところの論理性というものがあっても、人々は安心したり納得したりはしないということですよね。本当に人々を安心させたり納得させたりするには、どんな言語活動が必要なのかということが、特に科学技術コミュニケーションの分野では非常に深刻に捉えられております。
 ですから、論理性という言葉、あるいはクリティカルシンキングという言葉を狭い意味で捉えるのではなくて、最終的に本当に相手を説得したり、納得したりする関係を作るにはどういう要素が必要なのか、ということまで含めた言語活動が重要になってきているのではないかと思っております。そのために私たちは、こういったワークショップ的な手法を使った授業が、今後一層必要になってくるんじゃないかということが、今回の特に原発のことで痛感されたのではないかと思っております。ですから今後、特に中学校、高校などの理科教育には、非常にこういう分野が重要になっていくのではないかと。もう大学、大学院では本当に切実なんです、このことについては。
 ほかに何かございますか。まだ時間がありますので、どうぞ御発言いただければと思います。
 よろしければ髙木先生のほうから、最後に何か。 

【髙木教育WG主査】  

 いろいろ御議論ありがとうございました。
 やはり教育ワーキングとして考えているのは、学校教育の中でこういったコミュニケーションをどうやって位置付けるか。その視点が抜けてしまいますと、学校教育の中で広がり過ぎてしまいますので、その辺りをうまく、学校教育の中にこういった活動が定義できるような形で、この内容がこれから展開できればいいなと思っています。

【平田座長】  

 ありがとうございました。
 それではこの資料3をベースに、本日皆様からいただきました御意見も踏まえて、コミュニケーション教育推進会議の審議経過報告として取りまとめたいと思いますが、先ほど吉本委員からも御指摘があったように、単なる取りまとめあるいは報告ではなくて、更にこの内容をきちんとアピールできるような形のものを、事務方とも相談して作ってまいりたいと思いますので、今後のことは私に御一任ということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり) 

【平田座長】  

 ありがとうございます。
 それでは私の方で取りまとめまして、来月中に公表したいと思います。繰り返しますけれど、これは本当にすばらしい内容で、もう秋に入りますとそれぞれ各教育委員会は来年度に向けての策定、予算要求などに入ると思いますので、できるだけ早く、頑張って出していきたいと思っております。で、修正案を作成しまして、皆さんに御報告をしたいと思います。
 それでは次に、連携・普及ワーキンググループの吉本主査より御報告をお願いいたします。 

【吉本連携・普及WG主査】  

  それでは資料4を御覧ください。ちょっと厚みがあるんですけれども、事務局の方で手短にまとめてくださったものがありますので、最初の2枚でポイントを御報告したいと思います。
 連携・普及ワーキングでも、各委員の先生方から非常に積極的な御意見を頂戴しました。主により良い形で実施できるための仕組みについて議論をしたわけですけれども、まず最初のポイントとしまして、NPO法人とか公共、民間を含めた劇場と、学校や教育委員会が連携できる仕組みを作るべきだという御意見が多数ございました。
  具体的には、学校と芸術家とをつなぐコーディネーターの役割を担う人材や機関が必要だということが、多くの委員の共通の認識としてございました。その場合、前年度では教育委員会経由の申請だけだったわけですけれども、そうしたコーディネーターの役割を果たす団体からも何らかの形で申請できるような、柔軟な仕組みを作るべきだということになりました。それから、その団体がある意味事業を請け負って、そこにある程度の裁量権を与えて学校との話合いをすることによって、学校側から見ると、年間を通じて柔軟な仕組みの中で申請が行え、ワークショップができるような仕組みが必要ではないかという考え方です。とはいっても、こうした団体が全国各地にあるわけではありませんので、そうした団体がない地域では、最初は行政あるいは教育委員会がそうした役割を担わざるを得ないだろうと。その両にらみでいく必要があるということです。
 コーディネーターの役割としましては、1番目に学校と芸術家をつなぐという役割が非常に大きいわけですけれども、更にコーディネーターとしての専門的な経験や知恵を生かして、具体的な授業の中身についても学校の先生、あるいはここには出ておりませんけれども派遣されるアーティストも交えて、より良い形のものを考えて組み立てていくということが重要だというような御意見も多数ございました。そしてコーディネーターの位置付けですけれども、学校側とアーティスト両者の思考、あるいは言語が分かる必要があると。それで両者の立場を踏まえた上で、より有効な形のワークショップを作っていくべきだということです。とりわけコミュニケーション教育の目的の中には実技指導ではない部分が非常に多いんですけれども、どうしても実技指導に陥りがちな面がありますので、そういったところをより意味のある形に引っ張っていくといいますか、そういうことがコーディネーターには求められるということでございます。
 2番目のテーマとしましては、コミュニケーション教育の学校への具体的な普及・展開の在り方についてということで、コーディネーターが重要だと言いつつ、結局は学校現場での活動になりますので、学校設置者の責任において教育委員会というのが、とにかくちゃんと介在する仕組みにしなければいけないと、これも委員の皆さん共通の認識でした。そしてNPO法人を活用する場合も、教育委員会との連携をするということ。直接学校とコーディネートを行うNPO等が交渉するということも出てくるかと思いますけれど、ある意味その団体の信頼性等を担保するために、教育的な効果もちゃんと把握するような仕組みを、教育委員会との連携の中で作っていくべきだということです。
 それから、NPOを活用する場合、実際の窓口は県の教育委員会になるかと思うんですけれども、現場レベルに落ちてきたときには、当然ながら市町村の教育委員会との連携というのがより重要になるだろうということでございます。
 次のページに行きまして、NPOなどのコーディネーターがいる場合、そのコーディネーターは、ただアレンジをするだけではなくて実際のワークショップの現場に立ち会い、その成果を把握するとともに、課題などがあればちゃんとそれをフィードバックできる仕組みにするべきだという御意見がございました。それからNPO法人を活用する仕組みにおいて、できれば会計のスタッフがいて立替えも行えるなど、組織運営としてもしっかりとした団体にお願いするのがベターだという御意見もございました。ワークショップをちゃんとした形で行うためには、事前の打合せや企画、プログラムの中身を検討することも非常に重要ですので、そのことに要する経費も見込む必要があります。
 次に、ワークショップの在り方というのは、教員の間ではまだ十分な理解が進んでいない、あるいはアーティストの側でも、鑑賞型ではないワークショップをどうやったらいいのかといった辺りの理解が不十分であるということがありますので、この事業を推進することによって、その辺の理解を浸透させていくことも重要だと思います。
 それから学校側の立場としまして、申請書類作成のときに、具体的な日時とか派遣をお願いするアーティストの名前まで決めるというのは非常に困難だったと。ただ逆に大まかな時期、実施回数などは前年度であっても決められるだろうということで、そうした前提でNPOと連携できるだろうということになりました。
 3番目のポイントは、指導者の養成・研修方法についてです。ここは連携・普及ワーキングでも具体的な方策まで踏み込んだ議論ができなかった部分ではあるんですけれども、様々な有効な御意見を頂戴しております。
 まず教職員への研修というのも非常に重要だろうと。全ての場面にコーディネーターが立ち会うことが難しいことを考えると、ワークショップを行う感性を育むためにも、教職員の方にちゃんと理解をしてもらうことが重要だろうと。それから先ほど髙木主査の報告にもありましたけれども、ワークショップが教育の現場に入っていくことで、教師自身も見方が変わる、あるいは教え方が変わるということが期待されると思います。
 それから、学校現場でワークショップを体験したことがない教員が大変多いということですので、研修を通じてワークショップを体験してもらい、子供たちにどういうふうにワークショップが役立つのか、有効であるのかということを知ってもらうことも重要だと思います。
 その次は、ワークショップのリーダー研修についてですけれども、企画・運営、講座の講師、コーディネーター、そうした3種類の業務と、育成する人材との関係をよく検討することが重要だということです。それから、最初からワークショップを企画して回していける人材まで求める、これはいきなりは難しいと思いますので、まずは補助者レベルから人材育成をして、徐々に経験を積む中でリーダーの技能を身に付けていくということでございます。
 4番目のポイントは、学校や保護者等への理解の促進についてということで、一つ目は、やはり写真が入ったパンフレットあるいは映像など、分かりやすいものを提供する必要があるだろうと。これは今、制作に向けて準備が進んでおります。ただ、そういうものを作っていきなり送り付けただけではなかなか見てもらえないので、何らかの形で、研修になるのかシンポジウムになるのか、会議になるのか分かりませんが、ちゃんと見ていただくような工夫も必要だろうと。
 連携・普及ワーキングでは、以上のような議論が行われました。更に詳しい意見の内容については、次のページ以降に掲載されています。
 この連携・普及ワーキングの議論では、本当に細かな公募要項の制度まで突っ込んで非常に有効な御意見を頂戴しまして、それに基づいて具体的にどういう仕組みで行われたかということについては、事務局から続いて御説明をいただけると思いますので、よろしくお願いします。 

【倉見教育官】  

  連携・普及ワーキングの方でこのようないろいろな御意見をいただきまして、平成23年度の実践校をどういった形で募集していこうかといったことにつきまして、事務局から説明させていただきます。
 資料5を御覧ください。この事業は、「児童生徒のコミュニケーション能力の育成に資する芸術表現体験」ということで、文化庁の「次代を担う子どもの文化芸術体験事業」のメニューの一つとして、2億円という規模の予算で行っているものでございます。
 2枚めくっていただきまして、平成23年度におきましては、この二つの申請方法によって募集を行ってございます。一つは学校からの直接申請、直接といっても教育委員会を通してでございますが、学校が自ら外部講師を探してきて、それで教育委員会を通じて本省の方に申請するといった、平成22年度、昨年度はこれで全部の募集をかけたわけですが、今の連携・普及ワーキングの御意見をいただきまして今年度につきましては、2のコーディネーターを活用した実施方法、コーディネーター団体と都道府県の教育委員会が連携した形のところに委託をしまして、ここを通じて学校がアーティストをお願いしたり、市町村の教育委員会と協力しながら事業を行っていくといった仕組みを新たに取り入れて、この二つのパターンで募集をしたところでございます。
 恐縮でございますが1枚戻っていただきまして、今年度の募集のポイントを少し列記させていただいております。
 平成23年度の事業のポイントとある下の枠囲みの2番目、実施方法でございますが、繰り返しになりますけれども、学校からの直接申請による実施方法と、コーディネーターを活用した実施方法の2本立てで、一層効果的・多面的な事業展開を図ると。
 それから一つ飛ばしまして経費の負担でございますが、先ほどの意見でも、事業の実施もそうだけれど事前の打合せ等にも経費がかかったりするということで、2のコーディネーターを活用した実施方法の場合には、事前の打合せ等の経費も出せるような仕組みにさせていただいてございます。今でもかなり大変だという御意見もございますが、平成22年度に比べればかなり、できるだけ手続も簡素化しようということで、あまり細かいものは申請時になくてもいいですよといった形に、できるだけさせていただきました。
 それから募集の時期を、学校からの申請の場合は年度が始まる前に、2のコーディネーターを活用したパターンの場合には年度が明けてからということで、ちょっとタイムラグを設ける形で、学校が実態に応じて申請できるような形にさせていただいたところでございます。
 その結果でございますが、資料6を御覧いただければと思います。
 今年度につきまして、まず1の学校申請分につきましては、申請学校数が433とかなり多くあったところでございます。昨年度は300ぐらいでしたから、かなり大幅増の学校に申請していただいてございます。この1のパターンで採択したところは、学校数としては83校ということになります。学校数の内訳は御覧いただければと思います。そこで行われる芸術表現体験の中身の分野別についても、御覧いただければと思います。
 二つ目のコーディネーターを使った申請方法でございますが、これは延べ71団体ございました。そこで採択された団体は延べ16団体ということで、地域別は御覧いただければと思います。現在このコーディネート団体が学校とやり取りしまして、実施について進めていただいているところですが、実施予定校数としましては89校ということになっています。
 具体的には、1枚めくっていただきますと学校申請分で採択された83校の学校名、分野、それと新規・継続は、昨年度から継続している学校と今年新規で採択した学校という意味で、それから講師が所属している団体等を掲載している表を付けております。
 何枚かめくっていただいて一番最後のページは、2のコーディネーター団体の申請分で採択された16団体を、一覧表にしているところでございます。
 それと資料7でございますが、広報活動ということで、実はこの広報活動の検討に当たってはワーキングチームを作らせていただきまして、吉本主査をはじめとして米屋委員、樋口委員、堤委員、野々平委員、平田委員ということで、この検討ワーキングチームのお知恵を借りまして、まだイメージの段階でございますが、こういった3枚をとじたような形でこんな見開きのパンフレットを作って、より現場や教育委員会の理解を得て、関係者に推進していくために作っていこうじゃないかということで、今まだイメージでございますが提示させていただいているところです。実際はもう少し、業者にお願いしてもうちょっと写真を入れたりして見やすくした方がいいかと、文字が多いと見る気がしないので、もうちょっとビジュアルに分かりやすいものにする必要があると思っていますが、大体のイメージはこういった事例も入れ、アンケートの結果や子供たちの声なども入れて、それと先ほど教育ワーキングで取りまとめていただきましたコミュニケーション能力の趣旨や意義といったようなことも入れて、作っていったらどうかと思っているところでございます。
 連携・普及ワーキングの議論を受けて、実際に今年度の事業の採択状況と、広報活動の進捗状況について説明させていただきました。以上です。 

【平田座長】  

  ありがとうございました。
 それではこの件につきましても自由に御意見をいただきたいんですが、ちょっとその前に私の方から。この採択に当たっては、私も経過を見せていただいたんですけれども、結果として校数でいうと172校ですか。ですから昨年より少なくなっているので、これは1校当たりの時間数が多くなったということですか。 

【倉見教育官】  

  予算は同じ2億円という範囲の中でやっておりまして、コーディネート団体がいろいろコーディネートする費用に使っているものですから、その分ちょっと学校が少なくなってしまっていますが、そういった状況でございます。 

【平田座長】  

  特に学校申請分に関しては、去年はとにかく「応募してくださってありがとうございます」みたいな感じで全部入れたんですけれど、今年は逆に厳しく、特に継続してやっていて去年あまりふさわしくないなというところも入れて、今年も改善が見られなかったところはちょっと厳しくさせていただきましたので、こんな数字になっているというふうに御理解をいただければと思います。
 それからNPO等からの申請ができるようにしていただいたのは、現場からは大変評価が高くて有り難いという声が大きいんですが、一つちょっとお伺いしたいのは、資料5の一番最後ですが、募集開始でずれを作ったわけですよね。で、開催校の決定とコーディネーターの決定は、4月下旬と6月下旬で募集開始もずれがあるんですけれども、募集要項は一緒に示されたんですか。 

【倉見教育官】  

  要項は今御覧になっていただいている表の上の方にありますように、若干2週間ぐらいタイムラグがありまして、要綱案は全部、年度の前だったんですが、ちょっと言い訳になってしまうのかもしれませんが地震の影響で、できれば1の直接申請の方も3月中にできれば良かったんですが、なかなかそうもいかなくて、4月に入ってから開催校の内定をしたような状況になってしまいました。コーディネーターの方も、もう1月早ければ良かったなと思いましたが、6月上旬に決定してしまったのは、ちょっと想定外だったかもしれませんが。
 連携・普及ワーキングの方で4月1日に、学校現場も校長先生が代わったり、担当の先生が代わったりして、前年度に決めたものがうまく実施されなかったりといったこととか、新年度になって子供たちの様子を見て、今年度この学級でやってみようというふうにもできたらいいねといった御意見もあったものですから、この仕組みを利用させていただいて、年度の前と年度の後と、最初の考えはそんな形でちょっとずらせてやったらどうかということです。 

【平田座長】  

  現場というか採択かな、重複して申請しているところがあって混乱があったようですが、それはどうですか。 

【倉見教育官】  

  確かにそういったところは幾つかありまして。それはちょっと、言葉は選びたいと思いますけれども、分かって両方申請してきたのか、よく分からなくてやってきたのかというところは、こちらの今回新しく入れた仕組みがどれだけ理解されていたかということと関わってくるのかもしれませんが、重複して申請してきたところもありました。 

【平田座長】  

  何か現場の感じからすると、分からないから取りあえず両方出しておこうみたいな感じが多かったので、もうちょっと説明というか定着に時間が、もう1年かかるかなという感じはしたんですけれども。 

【吉本連携・普及WG主査】 

  この最初の募集開始が、学校は1月24日で、コーディネーターが2月17日とずれてしまったのは、経費の支払のルートを、当初は業務を支援する団体から一括でやろうとしていたんですけれども、それがNPOとの契約に基づいたNPO経由の経費支払になるということで、その調整にちょっと時間がかかったためです。その結果、同じ事業で2種類の方式があるというのがタイムラグを持って届いたので、現場で混乱があったという話は私も聞いています。次年度はこういうことがないように同時スタートすれば、今、座長から御指摘のあった混乱も多少はなくなるかと思います。 

【平田座長】  

 そこら辺の重複の申請についても、文言はちょっと注意書きで入れていただければと。 

【倉見教育官】  

 そうですね、はい。それと、昨年度はこういった仕組みを構築していって、あとは募集の時間との戦いみたいなところがあったものですから、来年度はこのままの仕組みを持っていく、要するに新たにまた仕組みを構築するということがなければ、例えばですけれども今年の冬ぐらいに担当者を集めた説明会とかそういったものが開ければ、よりこういったことで申請すればいいんだなということが深まるかなとも思っています。 

【平田座長】  

 そうですね、是非説明会は。それから特にこの時代ですから、ネットで中継すれば東京だけでも構わないと思いますので。
 それと、これは参考までにお伺いしたいんですが、本当にこのコーディネーターを入れていただいたのは大変有り難くて、今までなかなかここがいけなかったところが、恐らく事務方に大変な御苦労をしていただいたんじゃないかと思うんですけれど、これは実際に大変でしたか。例えば財務省がうるさいとか、そういうことは。 

【倉見教育官】  

 仕組みを考えるのは結構複雑だったという記憶があります。吉本先生にも何回も何回も御相談させていただいて、教育ワーキングの委員の方々はできればフレキシブルに自由な形でやりたいという御意見で、私どもはそういった御意見も踏まえながら、国の予算の執行なので、ある程度そういった説明が後でちゃんとできるようにとか、誤解のないようにとかということのはざまで、多少仕組みを考えるのはちょっと時間がかかって、先ほど言ったように同時スタートできなかったことにもつながっているんですが。ちょっとそこは大変だったかなと思います。会計上の仕組みとかそういったことで。 

【平田座長】  

 これも震災絡みになってしまいますが、今回の震災でやはりコーディネーター、マッチングの大切さというのはもう相当言われて、恐らくこれも日本の行政をこれから変えていく、一つの大きな要素になっていくんじゃないかと思うんです。新しい公共も含めて。ですからその先べんを付けられたかなという感じもありますので、大変だったかと思いますけれども、先行してできて良かったかなとは思っております。
 それではまた各委員から御意見を頂戴したいんですが、浅川先生からお願いできますか。 

【浅川委員】  

 本校は昨年度から実施させていただいて、今年度は2年続けてやらせていただいています。昨年度も非常に、ここにもあるように子供にとっても教師にとっても良かったなと思うんですが、昨年のやはり経験が生きていて、今年は更にいいプログラムができているというふうにしています。実際の皆さんの打合せなどは本当に時間を超えて、子供たちのためにというところで打合せをしていただいているのが現実かなと思います。以上です。 

【平田座長】  

 ありがとうございます。
 採択に当たっては、今までの継続が不利になるようなことなく、逆にいいところはもう、続けて付けてくださいというふうにお願いをしてまいりました。今度もそれは是非続けていただきたいと。
 特に文化庁の派遣事業などは、学校側がよく当たった、当たったって言うんですけれど、そういう当たったではなく、いいところはちゃんと評価されて続くし、駄目なところは打切りということが、こういう時代ですのでやはりきちっとしていることが必要かなと思っております。 

【浅川委員】  

 昨年度に比べていろいろ手続の方が、担当者が随分、うちは学校直接の申請でお願いしているんですけれど、スムーズにできるようになったと。それでもまだ、もうちょっとこういうふうに改善してくれればという実際の問題はあるんですけれども、昨年に比べたらはるかにやりやすくなったということは聞いております。 

【平田座長】  

 ありがとうございます。
 それでは高萩委員。 

【高萩委員】  

 応募が増えて採択は同じということなので、私も是非広がっていけばいいと思いますけれど、今後更に厳しくなっていくと、審査の基準の問題、評価の基準の問題というのが出てくると思いますので、その辺を今後どういうふうにやっていくか。文化庁の方でも今、その評価の仕方みたいなので日本版のアウトカム指標化みたいなことを考えているんですけれども、評価をしていけばそのことが、いいものは必ず継続していくんだということになれば、それを見習ってどんどん出してくると。それがどんどん増えていけば予算の取り合いということも出てくると思いますので、その辺ちょっと、うまくいけばいいなと思うと同時に、次の段階がちょっと心配かなというのは思っております。今は、「次代を担う子どもの文化芸術体験事業」の47億円の内数でもらっているんだと思うんですけれども、その辺の次の仕組みですかね。まあ、でもうまくいっていることをアピールすることによって、それが乗り越えられていくんだと思うんですけれども、次のこともちょっと心配していかなきゃいけないんじゃないかなと思っています。 

【平田座長】  

 文化庁の方からは、もう来年度からは本省予算でというふうに言われておりまして、今副大臣のほうに、もうボールを投げているところなんですが、皆さん御承知のように、それどころか今年度の予算もどうなるか分からないような状態にありますので。まずとにかく予算増ですよね。これはもう増額要求という方向で、できる限り頑張ると。
 あとは採択について、今のところは比較的数が少ないのでどうにかなっているんですけれど、どうですかね、今後。何かありますか。 

【吉本連携・普及WG主査】  

 今、高萩さんから御意見のあった審査の基準というのは、一応連携・普及ワーキングで議論しまして、あれ、5項目ぐらいでしたかね。 

【倉見教育官】  

 そうですね。 

【吉本連携・普及WG主査】  

 基準が一応あります。それは申請団体にも公表はしていたと思いますが。 

【倉見教育官】  

 もちろん申請には。 

【吉本連携・普及WG主査】  

 そうですね。それに基づいて、審査委員会を作って選んでいるんですね。それは連携・普及ワーキングの中から5人でしたか、6人でしたか。 

【倉見教育官】  

 5人です。 

【吉本連携・普及WG主査】  

 ですから、それなりに大変な作業だったと思いますけれど、選ぶところの透明性というのはそれなりに確保されています。ただ審査委員の名前の公表はまだしていない。 

【倉見教育官】  

 まだです。はい。 

【吉本連携・普及WG主査】  

 それがこの間の連携・普及ワーキングで議論になったことの一つで、実は採択された団体の中に委員の関係している団体も入っていまして、外から見ると不透明だと思われる懸念があるので、審査員の名前を公表したらどうかという意見が出ました。私は公表した方がいいと思うんですけれど、その辺も含めて今日、皆様の御意見を是非いただきたいと思っています。 

【高萩委員】  

 僕も公表すべきだと思いますね。実際、それこそ地域の芸術団体ってあると思うんですよ。そこがやってみたいと思ったとき、どうしたらいいのかと。で、ある程度能力はあるかもしれませんけれど、ほかでやっているところに勉強に行くとか、いろんなことがあると思うんですけれど、そうじゃなくて今度は逆に予算を取るためだけに頑張っちゃうというところも出てくるかもしれないので、質で競えるようになっていった方が非常に、全体としても良くなると思うんですけれども。特に予算の取り合いというのは、地方に行けばと言うと怒られちゃうかもしれないですけれども、場所によっては非常に出てくることなので、今後こういう審査の基準とか評価の基準を出すことによって、審査の基準だけじゃなくて多分今後評価の問題が出てくると思うんですけれど、良かったところをどういうふうに逆に広めていくかということが次の課題だと思うし、評価されることによって大元の予算を獲得するということにもつながっていくと思うので、是非透明性を増して広げていっていただければと思います。 

【平田座長】  

 その審査のことについてはいかがでしょうか。 

【吉本連携・普及WG主査】  

 今日は審査員を務めた方は出席されていないのですが、審査員の方から事務局に何か御意見とか来ていますか。 

【倉見教育官】  

 いいえ、来てませんが、公表する方向で今考えています。あと審査基準ももちろん応募のときに示しておりますけれども、こういった審査基準で、こういった方法で審査して、こう決めましたと。今ちょっと団体と正式な契約を交わしている状況なので、それが済んだらきちんと、その団体名も併せてホームページに公表したいという方向で、今作業を進めているところです。 

【平田座長】  

 433校の申請がありましたが、私も中身まで全部見せていただいているわけではないんですが、まあ、半分ぐらいはもう、これはもうばっさり切って大丈夫だろうという感じだったと思うんですが。ですから今年度に関してはまだ、そんなに取り合いという感じにはなっていないんですが、今後全体の質が上がってくると、確かに高萩さんがおっしゃられたようなことは当然出てくると思います。逆に今度は、先ほど申し上げたのとは矛盾するんですが、継続してきているところが既得権益化しないようにということは当然、予算が伸びなければ起こってくると思います。
 それでは、審査員は一応公表ということで、よろしいでしょうか。
 高萩さん、あとはいいですか。 

【高萩委員】  

 はい。 

【平田座長】  

 それでは田中委員、お願いします。 

【田中委員】  

 先ほど地方都市の話が出ましたけれども、私のところは愛媛県なんですけれども、いろいろ各市町の教育長とも話をした中で、やはり芸術集団が地方都市にはいないという悩みを抱えております。ですから学校の方もそういうアクションは起こさない、起こせないというようなこともありました。
 私ども西条市は教育委員会のトップダウンということで進めておりますけれど、本当はこれは学校からのボトムアップで進めるべき事業であろうと思います。そのためには、先ほど教育ワーキングのところでまとめられたものを教育委員会に示して、というような話もありましたけれど、私流に言いますと、それを学校の先生に示して、もっとどんどんどんどん学校のほうでそういう声を上げてよと。あるいはまた前段申し上げました学校の教職員、教員のそういう研修を深めて、どんどんどんどん温度差をなくして、どの学校でもこれを取り入れてよというような向きに仕向けていくべきかなと思います。
 ただ私も地方都市で、こういう文科省がやっている事業はどうなのといったとき、皆さんも一緒にやりましょう、やりましょうというのも痛しかゆしなんです、実は。というのは、先ほどから出ております予算の枠で、推進しましたら私どもの枠が狭まるという思いもありまして、是非推進はしたいと思うんです、私どもの近隣の3都市で3局連携ということを行っていまして、皆さんで一緒にやりましょうという声掛けはやっておりますものの、じゃあ、それをやったことによって、私どもが少し減らされることについてはどうなのという思いもありまして、あんまり積極的にはそういうアクションは起こせないというところがあります。したがいまして、要するに予算枠の拡大を是非お願いして、ボトムアップでもって学校がどんどんどんどん手挙げ方式をして、なおかつ学校も芸術集団と知り合い、そういうノウハウも得ながら、継続的な実施、運営を行っていただきたいなということでございまして。まず予算枠の拡大はよろしくお願いしておきます。 

【平田座長】  

 ありがとうございます。
 本当に切実だと思うんですが、そこをどうにか、特に西条市の成功例は、成功例を作っていくことが予算増の切り札だと思っておりますので、是非そこはよろしくお願いしたいと思うんですが。
 資料6を見ていただくと分かりますように、西条市さんですとか沖縄市さん、沖縄市もこれは市長、教育長の号令一下で相当、来年度には全小中学校での実施を、国庫だけに頼らずにやりたいとおっしゃってくださっていますし、そういった幾つかの先進的な自治体の事例を作っていくことが、おそらくこの事業全体の底上げになるのではないかと思いますので、ちょっと今日は副大臣がいないのですが、頑張りますので、(笑)頑張るとしか言えないんですが、よろしくお願いいたします。
 では米屋さん、お願いします。 

【米屋委員】  

 何点かございます。確かに始まったばかりのこの施策で予算をどんどん増やしていただいて広げるというのは、私も希望するところなんですけれども、ちょっと視点を変えますと、今回同じレベルの予算だったということもありまして、採択された学校の分布を見てみますと、47都道府県全部がカバーはされていないんですよね。やはり教育制度全体をどう考えていくかということを考えますと、全国あらゆる地域に住んでいる子供たちがこのコミュニケーション能力を育成していくことができるというのが、やはり国の目指すべき方向だと思います。それを考えたとき、芸術家によるワークショップ型の授業をやればいいんだねというところにとどまっていると、何かそれもまた形骸化してしまうのかなという懸念を抱いてしまいます。ですので、やはり目指すところは、子供たちにこれからの世の中でどう生きていってほしいのかというところを伸ばすサポートを、文部科学省あるいは文化庁がしていくということが基本だと思いますので、この施策だけでなく、西条市さんのように独自の予算も考えながら取り組んでいただいている教育委員会もあるでしょうし、あるいは地域の文化財団でありますとか、地域の公共劇場が独自の予算を地域でいろいろ資金調達しながら、こういった活動をサポートしていくという方向性もあると思いますので、将来的には直接文化庁あるいは文部科学省が費用面を見るというだけではなく、最終的には各地で行われている活動の質が担保されるというところが、文科省で目指していただきたいところなのかなと思います。
 ですので、今回コーディネート団体として採択されたのは実質13団体ですけれども、これはまだ全国的に標準化させたいからということで、ある程度活動が信頼できるところを選んだというようなことを漏れ聞いているんですけれども、やはり経費のことですとかそういったことを考えますと、先ほども御発言がありましたように、地域にこういったことに専門的な能力を持っている人がたくさん住んでいて、東京から派遣せずとも済むというのが理想なんだと思います。ですので、今はいろいろな地域で質をなるべく標準化できるように、人が移動していると。で、旅費・交通費がかなりかかっているというのが実情かもしれませんが、先々は専門家が各地にいるという状況を目指していただきたいなと。そこに向けてのロードマップみたいなものができていくと、いいんじゃないかなということがあります。
 それと、私は実践家団体の集まった協議会を職場としていますので私が言うのも変なのですが、芸術家等によるワークショップ型の授業というのが効果的だともちろん信じていますし、実際現場にもいるんですけれども、芸術家が介在しなくても、教員の方々が実際にやっていらっしゃるのでも優れた例もあるでしょうし、こういった活動自体が子供たちのコミュニケーション能力を伸ばすということの観点自体が、教員の間でもっと理解が広まっていただけたらいいなということの方が、大きな願いとしてありまして。というのも、ちょっと中が愚痴っぽくなるんですが、こういった活動をやりませんかと学校に持ち掛けますと、「じゃあ、学芸会の指導をしていただけますか」というような形で来ることが多く、私も最初この活動を始めたころは、「いや、発表することが目的ではなくて、プロセスが大事なんです」と言って、そちら側はちょっと手を出せませんと申し上げていたんですが、途中からはたと気が付いて、学芸会を題材にしてやればいいんじゃないかと。それを契機にして、中身を充実していくことで子供たちのコミュニケーション能力を高めるということも、ああ、十分できるなと思って、そういう協働ができるという例もあります。
 ですので、何かがいけなくて何かがいいとかいったとき、ついつい我々は何をするのか、どうするのかというところで形式的に見てしまいがちなんですが、ワークショップ型の授業がいいのではなくて、子供たちのコミュニケーション能力を伸ばすことが目的なんだというところにいつも立ち返れるような、そういう進め方が必要ではないかなと思っております。ですので、先生方や教育委員会の方が、この活動を理解するプロセスで形式的な受けとめ方をなさらないように、是非何か注意していっていただきたいですし、その方向でパンフレットなども考えていただけたらいいのかなと思います。もちろん、分かりやすいハウツーがあったほうが取っ付きやすいというのも事実なんでしょうけれども、何かすぐ形骸化してしまいがちというところがありますので、それに関しては常に気を付けていかなければいけないのではないかなと思います。以上です。 

【平田座長】  

 ありがとうございました。
 やはり質を担保しようとすると、どうしても地方は厳しくなると。これはもう悩ましいところで。もう一つはやはり時間がかかるかなと思っているんですね。私、たまたま香川の善通寺にあります四国学院大学の学長特別補佐というのをしていて、演劇のカリキュラムを、四国学院大学は普通の大学ですけれども、1年生は全員に演劇とダンス、それから演劇コースを作りまして。そこでもやはり西条市さんのような事例がありますと、学生たちは教員とか保育士などになる子が多い大学なものですから、こういうことがこれからは普通に行われるんだよと言うと、学生たちも夢を持ちやすい。で、また西条市さんのようなことをやっていただけると、西条市から恐らくうちの大学に進学してくる学生も多くなるだろうという、相乗効果があると思うんですね。ただ、これは10年ぐらい多分かかるんですよね、出てくるのに。でも、始めなければどこからも始まらないわけで。
 やはり質を担保しようとすると、今のところはやはり東京からのアーティストの派遣に頼らざるを得ないというところが、まあ、なかなか悩ましいところかなと思っています。
 米屋さん、そこはどうですか。何か地域の配分というか、そういうのはありますか。 

【米屋委員】  

 やはりこの施策の運用の仕方として、地元にずっといる人を徐々に採用していくという支援をするような枠を、文部科学省なのか文化庁なのか、いずれかで考えていくというのが必要なのかなと。それと、例えば今回たまたま震災地域でしたので、岩手の方とちょっとお電話などで話をしたりしたんですが、岩手の演劇人は皆さんやはり本業があって、土日あるいは勤務後に活動していらっしゃる方なので、演劇の素養があっても昼間学校に行くというところに踏み出すことができないというんですね。そうすると東京から呼んで来なきゃいけないということになって、地元の人を活用しにくいんですというようなお話がありました。ですので、やはり地域が一律ではなくて、人口規模、都市の規模などによってその辺は変わると思うんですが、だとしたら、割と大き目の都市からそういった在住型の専門家の派遣、登用というものを主軸に据えていくと。今すぐではなくて、例えば3年後、5年後ぐらいにその辺が軌道に乗るというような意味でのロードマップというのがあってもいいのかなと思います。 

【平田座長】  

 二つ方向性があると思うんです。やはり今回の採択を見てもやはり東京が多いんですが、地域枠というものをもう作ってしまって、アーティストは関係なく地域を優先するというのは一つあるかなと。もともとこの事業の大きな目的の一つは、地域の文化格差を解消して、要するに子供たちがこういうものに触れられる機会はどうしても大都市に偏重しているので、その格差を解消しようということがありましたから、それは一つあると思うんです。
 もう一つは地元の人間を使っているかどうかということなんですけれど、それを採択の基準にするのはなかなか難しいかなと。 

【米屋委員】  

 そうですね、すぐにはね。 

【平田座長】  

 例えばまた富良野の話になるんですけれど、富良野は富良野塾の卒業生が一定程度残っていて、このワーキンググループの中にも書いていただきましたが、その方たちが僕のアシスタントに付いて、で、5、6年目からは自律して自分たちで授業をやるようになったんですね。しかも彼らは農業従事者なので、時間が自由になるんですよ。3時間ぐらい農作業をやめて支援に来るという非常にすばらしい環境にあるので、それはいいんですけれど。
 ですから多分落としどころとしては、東京からのアーティストをピンポイントで導入していくような部分と、地元のアーティストを育てていって、最終的に長期的に定着させるような、ある種のプロジェクト型の提案みたいな枠を2、3年後に作るというのは、一つあり得ると思うんですよね。 

【米屋委員】  

 あとは、どういう段階にあっても、やっている団体あるいはやっている人たちが経験交流するというのは常に必要だと思いますので、質の担保というところではお互いがお山の大将にならないように、いろいろな人たちが相互の活動を見合うとか、話を聞き合うというような機会に関しては、できれば文化庁か文科省の方できっかけを作っていただけると、なおいいのかなと思います。 

【田中委員】  

 一つだけ。実施している中で、地方の子供たちは東京から来てくれているという感謝の気持ちがすごく、アンケートに表れているんですね。「東京から僕たちのためにわざわざ来ていただいた先生方へ」、こういうようなアンケートがありますね。これが松山から講師を派遣したらどうでしょう。それはないと思うんですね。ですからその授業に対する食い付き、子供たちの目つきが違っています。ですから、地方の芸術集団の振興も必要だと思うんですが、今のところ私はそういう意味で、西条市で効果を得ているのは、わざわざ遠いところから僕たちのためにという、こういう子供たちの思いが伝わってきておりますので、一応報告をしておきます。 

【平田座長】  

 ありがとうございます。そこら辺は本当に芸術芸能の本質的な部分で、私たちというのは「まれ人」というか、東京が偉いということではないんですが、日常の中に非日常を持ち込むというのもこの事業の一つの効果ではあると思いますので、そこら辺と地元の育成という両方の折り合いが付けられるような、おっしゃっていただいたロードマップですね、これが次の課題になるかなと思います。 

【高萩委員】  

 私は公共劇場で今仕事をしていますので、将来的なロードマップという話が出たので将来的なことを話しますと、できれば拠点の劇場辺りが、質の高い事業を地域に還元する事業の一つとして考えられればなと。その場合一番いいのは、公共劇場の場合は基本的にはハンドレイズ能力を持っているはずなので、この種の事業は地域の子供たちに浸透しますというと、地域からのハンドレイズが一番しやすい事業であるはずなんですよね。まだなかなか教育活動に向かってお金を出すとか、そこは何か浸透していないというか、教育委員会の方も、スポンサーがどことか、協賛がどことかって付いちゃう事業はやりたくないとか言うときがあるんですけれど、慣れてくればそこら辺も取り払えると思うし、質の担保をきっちりしつつ、そういうことができればと思います。
 公共劇場が間に入ることがすごくいいのは、逆に更にアーティストレジデンスみたいな形で地域にアーティストを何か月か滞在させたとき、その人たちが教育のことをやったりすることができる。アーティストレジデンスも決して海外からの人ばかりじゃなくて、国内のアーティストレジデンスもこれから盛んになってくると思いますので、それと絡めていくこともできるかと。
 それにJETプログラムというので海外からかなり、これは総務省系の人が来ているんですけれども、プログラムで日本に来ている人たちというのは海外のいわゆる語学の方とかなんですけれど、アーティストがかなりいらっしゃるんですよね。その人たちの活用というのも今後課題だなと思いますね。今回、東北でお亡くなりになった方もいらっしゃいましたけれども、逆にちょっと話題になって調べてみると、演劇学科を出た方とか、教育関係の学校を出た方というのがかなり多く来ているなということを思いましたので、もうちょっと発展的にいろいろ考えて。教育系の事業の場合どうしても、もらった予算の中だけでやるという感じになるとなかなか広がりが出てこないので、いろいろな成功例というんですか、そういうのを見せていきながら、ほかのところにも普及していけば、種銭を用意するとそれが広がっていくという形になるんじゃないかなと思います。 

【平田座長】  

 今回、NPOだけではなくて盛岡市さんと熊本県立劇場ですね、STスポット横浜もそれに入るかと思いますけれども、劇場でも出していただいて。ここがもうちょっと広がるかなと思っていたんですけれど、まだ実績のあるところしかできないと。
 劇場はもうまさに高萩さんがおっしゃられたような種銭だから、種銭を渡せばやってくれますから、ここは一つ大きなポイントで、今後将来的にはこれを分けていくのか、劇場枠としてやっていくのか、そこら辺もまた今後の検討課題かなと思っております。
 それでは時間もありますので、本日皆様から頂戴した御意見については、今後改善すべき点は改善して、更に申請のしやすいように、審査を厳正に、そして何より予算を増やす方向で進めていきたいと思いますので、どうぞ御協力をよろしくお願いいたします。
 それでは次に、その他の資料について事務局より御説明をお願いいたします。 

【倉見教育官】  

 それでは資料8を御覧いただけますでしょうか。
 資料8でございますが、昨年度この事業の実践校、またその実践校がある教育委員会やその実践校の児童生徒、芸術家等にアンケートをしていただきまして、まとまりましたので、概要について御報告させていただきたいと思います。
 まず1ページ目でございますが、これは開催校、学校に聞いております。約300校ぐらいの開催校がございまして、うち230校から回答をいただいているところでございます。
 問2でございますが、「この事業の実施により、児童生徒のコミュニケーション能力の向上の効果があったと思われますか」といった問いでございますが、これは学校種を問わずかなりのパーセンテージで、効果があったといった答えが出てきているところでございます。
 2ページ目でございますが、「演劇・ダンス等の芸術表現により子供たちの豊かな自己表現が見られた」とか、その下の「クラスの子供たちの関係性が高まったり、協調性が生まれたりした」といったことにつきましても、かなりのパーセンテージで「そう思う」という答えが出てきているところでございます。ただ学校種の傾向を見ますと、この「良かった」という中でも、「とても」というところと「ある程度」というところの意識の差にどれだけのものがあったかよく分かりませんけれども、傾向として学校種が上に行くほど、「とても良かった」というパーセンテージが高いんですが、高校は24校でサンプル数が少ないですので、母数に影響するということもあるかもしれませんが、そういったことも加味して御覧いただければと思っております。
 それと4ページ目でございますけれども、ここは先ほどのコミュニケーション能力の向上の効果があったとか、豊かな自己表現、クラスの協調性といったことに比べて、相対的なものなのであれなんですけれども、それに比べるとまだ少し、「学習意欲」とか「自分の行動や発言に自信を持つようになった」も6割、7割のパーセンテージはあるんですが、前の問いに比べるとまだこの辺はもう少しかなといった形かと思っています。あくまでも相対的なものでございますが。
 それから7ページ目でございますけれども、先ほど教育ワーキングの審議の報告にもございましたが、教員自身にもアンケートを取っておりまして、丸1でございますが、自らの指導方法の改善につながったかどうかを聞いております。ここでも「つながった」というパーセンテージがかなり高く出ているところでございます。
 8ページ目でございますけれども、「子供たち一人一人の個性や能力を発見したり、理解することにつながった」ということにつきましても、かなりいい結果が出ているところでございます。
 9ページ目でございますが、問10で「本事業の実施に当たって特に課題として感じられたことは何ですか」という問いに関しましては、校内の事務手続といったことで、下に1、2、3、4、5、6、7とある3番目、「学校内の調整や事務手続等に時間と手間がかかる」といったようなことが、かなり課題としてはあるのかなと。その次は、芸術家との打合せといったことに時間と手間がかけられているというところでございます。
 それと15ページを御覧ください。教育委員会にアンケートをした結果が出ております。この事業に当たっての開催校との関わり、開催校での取組の周知といったことにつきましての教育委員会の関わりでございますが、正直ちょっといま一つかなといった結果が出ているところでございます。
 それと20ページを御覧ください。実際に子供たち自身にもアンケートに答えてもらっています。小学生でございますけれども、「声を出したり体を使ったりしながら自分の気持ちなどを表すことが楽しかった」といったこと、21ページにございますけれども「みんなと力を合わせて取り組むことが楽しかった」といったことにつきましては、大変高い数値が出ているところでございます。これは小学校も中学校も高等学校も特別支援学校も、同じような傾向にございます。
 一方、これも相対的なものでございますけれども、21ページの丸5でございますが、それに比べて「自分から進んで周りの人に話し掛けるようになった」という部分は、やや低いかなと。それでも6割、7割はありますので、これも相対的な問題かなと思っております。
 最後ですが35ページでございますけれども、芸術家等外部講師の方にも同じようにアンケートを取っております。問4、懸念されていたことだったかもしれませんが、「教科等の指導のねらいや内容とどのように自分のやっているワークショップが関わっているかを把握していましたか」といったことにつきましては、ほとんどのアーティストの方がそこは把握していたという結果が出ているところでございます。
 時間の関係上、取り出しで簡単でございますが、アンケート結果について説明させていただきました。 

【平田座長】  

 このアンケートが結構重要かなと思っておりまして、やはり全国を回っていますと、数字が欲しいという声が非常にあるんですよね。で、これは悩ましいところで、これで子供たちが喜んでいるということは分かるんですよね、またやりたいと。で、あとの数字はあんまり、何というかそんなに説得力はないんですよね。まあ、やれるならやりますよみたいな感じ。
 最近私が取り組んでいるものでは、こういうワークショップ型の授業、先ほどモチベーションと言いましたけれども、モチベーション以外にもう一つあるとすれば、長期的な記憶に結び付くという効果が多分あると思っているんですね。ですから追跡調査とか、先ほど申し上げました学習意欲との関連性ですね。西条市さんとか沖縄市さんとか、結構全体でやっているところで、しかもやっている学校とやっていない学校がはっきりしているような地域で、その差を出していただいたりとか、特に国語と連動させてやっているところが国語教育の学習意欲で有意な差が出てきたりすると、非常に説得力を持つんですよね。それをちょっとお願いできないかなと。
 それから最近私がお願いした、これはできるかどうか分からないんですけれど、保護者の方に「うちに帰って授業の内容を子供が話しましたか」と。ふだんに比べてこの日話しましたかというのは、これは確実に有意な数字で出てくるんですよね、ほとんどの場合。うまくいっているところは。そういったちょっと視点を変えたアンケート調査を、あと比較の調査を今年度、来年度検討していただけると、予算獲得に関しても相当バックアップ材料になるかなと。それから教育委員会等に現場の先生方がお願いするときにも、こういう数字が出ていると、はっきり数字が出ているんですよというところを、ちょっとお願いできないかなと。
 ほかの先生方はいかがでしょうか。 

【浅川委員】  

 本校では、ワークショップのときには保護者に全部御案内を出して、是非御覧くださいという形で見ていただくようにしています。あとそのワークショップが終わった後、学年便りとか学級便りに子供たちの様子を書いて知らせるというようなことは、各学年努力しています。 

【平田座長】  

 そうですね。周知については保護者がまず一番だと思います。それからほかの校内の先生方、地域のほかの先生方、そこら辺の周知をちゃんとしているかどうかは、今後は採択の条件なり、あるいは採択後でもいいので、こういうことをしてくださいということをちょっと入れていただけるといいかなと。
 ほかはいかがですか。よろしいですか。
 そうしましたら、ほかの参考資料の御説明をお願いします。 

【倉見教育官】  

 参考資料1を御覧ください。これは今年度私どもの課で持っている予算の概要でございますけれども、1枚めくっていただきますと、まず「コミュニケーション教育の円滑な実施のための調査研究」ということで、丸1は学校とNPO法人・劇場等との効果的な連携手法の構築、丸2が学習プログラムの作成・実施・効果分析・普及方策の実践研究。この丸2は今、平田座長からお話があったようなことにつながっていくかもしれませんが、こういったことを調査研究していただくということで、これはちょっと予算の品目上、委託先が教育委員会に限られますが、これにつきまして今、募集の意向調査を行っているところでございます。
 もう1枚めくっていただきまして、「ワークショップリーダー人材養成研修」でございます。マル1はワークショップリーダー養成のための研修プログラムの開発、マル2はこのプログラムに基づく研修講座の試行・実施ということですが、これは2年間ぐらいかけて、委託先はどういったところでも大丈夫なんですけれども、今年度はプログラム作成をしていただいて、来年度試行・実施といった流れで考えていきたいと思っていますが、これも意向調査をかけているところでございます。
 参考資料2でございますが、冒頭の配付資料でも若干御説明申し上げましたが、今年も8月に東京で「コミュニケーション教育普及協議会」、「コミュニケーション教育フェスタ」というものを開催したいと思っておりまして、関係者には今この開催につきまして、御連絡を差し上げているところでございます。青山学院大学の苅宿委員に講演をお願いしておりまして、事例発表も小中高と1校ずつ、パネルディスカッションはコーディネーターに平田座長をはじめ、パネリストは人選中でございます。昨年も同じような形でしたが、ポスターの展示なども考えておりますので、是非関係者の方にお知らせいただくなり、御出席いただければと思っております。
 それからパンフレット、「「子ども熟議」のすすめ」でございます。今、鈴木副大臣の指導の下に、文部科学省でも熟議掛け合いといった形で、いろいろな方に教育政策の形成に関わってもらおうということで進めているわけですが、この「子ども熟議」というのも、学校でできる一つのコミュニケーション能力を育む方策だと考えておりまして、「特別活動で育む「生きる力」」と題しまして、このようなパンフレットを作りまして学校現場に配り、進めているところでございます。このコミュニケーション能力の育成ということにも大きく関わっておりますので、パンフレットを配付させていただいてございます。
 最後の参考資料4でございますが、今週の金曜日でございますけれども、電通さんが主催しております、「小学生のためのCM劇づくりを通したコミュニケーション力育成授業プログラム」といった企画がございます。鈴木副大臣と明治大学の齋藤孝先生とのスペシャルトークもございますし、授業参観もございますので、これも参考までに配付させていただいてございます。情報提供ということで受け取っていただければと思っております。以上です。 

【平田座長】  

 ありがとうございます。
 この「ワークショップリーダー人材養成研修」は、公募になるんですか。 

【倉見教育官】  

 これは、正式には公募になります。 

【平田座長】  

 分かりました。
 この教育委員会の方の調査研究はもう、公募というかほぼお声掛けをするという感じですか。

【倉見教育官】  

 そうですね。はい。そういった形になるかと思います。 

【平田座長】  

 まあ、限られますね。 

【倉見教育官】  

 はい。そのために、やりたいところの意向調査を今させていただいているところでございます。 

【平田座長】  

 それから「コミュニケーション教育フェスタ」については少しお話も伺っているんですが、どうでしょうか、ここでも少しこの推進事業に関する説明というのは、どこかに入った方がいいのか。 

【倉見教育官】  

 はい。苅宿先生にも少しそういう要素を入れていただくようにお願いしておりますし、ここに集まってくる方々は教育委員会でこの事業の担当者だったりするわけなので、その担当者が自分の地域に帰って説明しやすいような講演をしてくださいといったお願いをさせていただいています。パネルディスカッションでも少しそういった要素を、平田座長にも入れていただけると大変助かると思っております。 

【平田座長】  

 分かりました。
 私がしゃべってもいいですし、事務方にお願いしてもいいんですけれど、その応募のポイント、採択のポイントみたいなことも、もう積極的に言っていいんじゃないかなと思うんですが。 

【倉見教育官】  

 分かりました。ちょっと考えたいと思います。 

【平田座長】  

 それではほかの委員の皆様から、何かこの参考資料についていかがでしょうか。
 それでは資料以外のことでも何か、あと数分ございますので。 

【吉本連携・普及WG主査】  

 今年度から始まったこの新しい仕組みについて、先ほど言い忘れたんですけれど、連携・普及ワーキング、特にNPOの現場の方からいろいろなアイデアが出て、それを本当に柔軟に事務局が対応してくださって、かなり柔軟な仕組みになったと思いますが、今年度実施することによって、またマイナーチェンジした方がいいこととか、いろいろなことが出てくると思いますので、それをぜひ次の仕組みにフィードバックできるような形にしていただきたいと思います。 

【平田座長】  

 髙木先生、さっき連携・普及で御意見を伺うのを漏れてしまったので、それも含めて何かあれば。 

【髙木教育WG主査】  

 今この事業を推進していく中での話が多いんですけれども、この中にも出てくるように、成果をどういうふうに示していくか。今まで行っていない学校が、こういうことがこれによって行われているんだなと、アンケートにも少しは出てきているんですが、アンケートだけじゃなくて、このやったことに対しての成果をどういうふうに示していくかということが、学校にとってはこれから非常に必要になってくるのかなというのがまず第1点です。
 それからもう一つ、やはりちょっと気になったのは、市町村教育委員会がいろいろ事務を担当するということが出ているんですが、実は私は教育畑で市町村教育委員会もよく知っているんですが、事務方が非常に少ないんですね。市町村によっては、それこそ指導主事が1名で町全体を担当しているなんていう方がいらっしゃって、なかなか事務手続であるとかそういったことが、これからより簡便な形にしていくか、一方でNPOとの関係でそういったことがもう少し簡単にできるようにするというのは、もう一歩進んだ形にしないと、なかなか手を挙げる数は増えていかないかなということを感じておりました。以上です。 

【平田座長】  

 そこら辺、田中委員いかがですか。 

【田中委員】  

 本音はそうです。現状として、西条市では専任職を1名増員させました。で、この事業にほとんど専任しております。ですけれども、将来それでいいのかなという疑問符はあります。ですから、事務が簡素化できるような方向での検討も、是非お願いしたいなと思います。 

【平田座長】  

 そうですね。事務の簡素化と、先ほど髙木さんからも話があった地域の劇場、利用の強化、恐らくその両輪ですね。両方大事だと思います。
 ほかはよろしいですか。 

【高萩委員】  

 連携・普及ワーキンググループでも言ったんですけれども、東京は特に、首都圏は私立学校が非常に多いので、応募自体はそんなに今のところないんですが、多分情報がはっきり行っていないんじゃないかと思うんですけれども、逆に私立から希望が来たとき、全部を文科省が補助するかというのも結構問題があるかなと思うんですが、その辺どうなんですか。多分市町村立辺りの小中学校からいうと、私立へ同じ形で出すのについては、すごく反対があるかもしれないなと。 

【倉見教育官】  

 今の事業の仕組みでは、国公立の区別なく、皆同じように補助といいますかお金の支出、経費の支出はしているところです。 

【高萩委員】  

 だから逆にいうと、都内でいえば私立の場合、逆にそれこそ半額補助でもいいのかなというような気もするんですけれど、そういう差別はしにくいんですか。 

【倉見教育官】  

 そこはまあ、考えようだと思います。 

【平田座長】  

 それはいろいろ考えようで、予算の枠が決まっていますから、やはり審査の過程でも都内の私立の学校はいいんじゃないのということにはなるとは思うんですよね、それは。自分たちでもできるでしょと。ただ地方も私立かどうかで区別してしまうと、例えば地方の私立で一生懸命やっているところが出てきた場合どうするかということはあるでしょうね。だから審査の方でじゃないですかね、それは。 

【高萩委員】  

 じゃあ、もし質がよいから私立は別に文科省からの補助金がなくてもやるんだよという話が出てきたとき、全体の事業としては広がっていくみたいなことが起こればいいなと、実際こういうワークショップ型の授業がどんどん行われていると。私立自体が、学校によってはそういうことを特徴にしていく学校も出てくるかもしれないといった場合、そこら辺をうまく事業成果として公表できたりするようになっていくといいかなという気はしますが。 

【倉見教育官】  

 私立学校での取組の好事例をどのようにPRするかという問題もあるかもしれませんけれども、国がこういったことを推奨していくという方策として、先ほど米屋委員からも、例えば地方枠みたいなことと関連するかもしれませんけれども、やはり広がっていくということを考えると、教育委員会が束ねている公立学校といったところと施策的には考えていくのかなと思ったりしますが、じゃあ、私立はどう見ればという話ではないとは思いますけれども。
 その辺は、いろいろなことを総合的に考えながらということにはなるかと思っております。特段今年度については、何か私立だから、国立だからといって区別や差別というとちょっと言葉が悪いですけれども、そういったことで採択に影響を及ぼしたということはありません。 

【平田座長】  

 それではそろそろ時間ですので、今後の予定ですが、まず来年度の概算要求についてはまだシーリングも出ていない、シーリングどころかどうなるかも分からないような状態でありますが、とにかく可能な限り増額の方向で検討していただきたいと思っております。またそのスキームについても、今はちょっとねじれというか、文化庁の予算を使っておりますので、ここについても解消する方向で御検討いただければと思っております。
 それから先ほど髙木先生からも御指摘があったように、やはりこのポイントになるのは調査、研究で、はっきりとした、先ほど私からも申し上げましたが数字なり、こういった効果が出ていますよということを示していくことが、次の段階かなと思っております。ここを是非お願いしたいと。そういう意味で実践校の事例を収集して、モデル事業の開発とかコーディネーターを活用した仕組みの検証など、いよいよ本格的にこれを普及、実践していくための全体像を構築していくのが、次の段階かなと思っております。
 で、今後、このスキームの検討体制で、教育と連携・普及という二つのワーキンググループでここまでやってきていただいて、大変成果を上げていただいたんですけれども、この枠組みをどうするかも含めて一度事務方とも相談をして、体制をもう一度作っていきたいと思っておりますので、この件についてはまた後日御報告をさせていただきます。  それでは本日はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。 

 

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