全国的な学力調査の在り方等の検討に関する専門家会議(第8回) 議事要旨

1.日時

平成22年12月17日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3階1特別会議室

3.出席者

委員

荒井座長代理、相川委員、有馬委員、岩田委員、小宮委員、梶田座長、柴山委員、清水(静)委員、田中委員、土屋委員、耳塚委員

4.議事要旨

(1)事務局から資料1に基づき全国学力・学習状況調査における対象教科の追加についての説明が行われ、意見交換が行われた。

  • パフォーマンスアセスメントについて、全国学力・学習状況調査の目的をアセスメントと指導のどちらにするか、両方にするのかが定まらないと決められない。カリフォルニア州でパフォーマンスアセスメントを導入したら採点が大変で高校の先生がストライキを起こした。労力がかかりすぎるとアセスメントとしては崩壊する。フィードバックまで含めて考える必要がある。検証サイクルを考えると問題公開できない経年変化ができないが、波及効果を考えるとフィードバックを重視すべき。
  • 実態調査と子ども一人一人のフィードバックを通じて学力を向上させる目的の2つを現在は含んでいる。理科の実験については実態調査としても不可欠なので別立ての書き方をしている。学校でどう取り組むかということにも役立つパフォーマンステストにもしていくという書き方もしている。実際にやる人に負担がかからないように工夫していく必要がある。やりやすいところだけ見ていく、マークシートだけでみていくようなことがあったが、この調査は学力として大切な部分は費用や手間がかかっても把握しようとした。その延長としてパフォーマンステストもたくさんはできないが入れていくと理解している。

(2)梶田座長より対象教科の追加についての委員の意見を確認し、反対意見がなかったため承認された。

(3)有馬委員より資料2に基づき、小学校における全国学力・学習状況調査の在り方について説明が行われ、意見交換が行われた。

  • 現場の先生からお聞きしていることと合致した内容であった。抽出率は誤解されやすいが、%が先に出てくるが、抽出率の問題ではなく、数の問題である。県別の値をみるためには県別に数千人が必要になり、県の人数により率が変わってくる。
     
  • PISAならリテラシーごとに定義が定まっている。ナショナルスタンダードが日本では確たる存在であり、そこに基盤は置いていないとなにをみているのかということになる。
     
  • 学力の基盤を見る調査とはっきりさせたほうがよいのかもしれない。リテラシーという意味で基盤能力と言っている。定義をきちんとしてふさわしい名称にしたほうがよいのかもしれない。
     
  • 学習指導要領の改訂で思考力表現力判断力が入ってきている。活用する力ということだろうが、そういったところに焦点を当て、そこにマッチした名称をつけていくと、日本の子どもがもつ課題が現場に明らかになり、指導の方向性も見えてくると思う。
     
  • 抽出か全数科とおっしゃっているが、結果の解釈についてお聞きしたい。5対3という結果をどう解釈したらよいか。学校としてテストが多く負担なので数年で1回にしてほしいという解釈か。
     
  • 同じものが多いので精選という意見と、開示を受けて自治体によっては結果の受け止めレポートを課すという事例もある。別次元でスタンダードを求められて学校経営が難しくなる面もあった。それで目的を絞って抽出にしてほしいという意見もあったのだと思う。
     
  • 抽出にする理由はデータ公開に対する懸念について言及があり、同意である。学年、頻度とも関連している。悉皆でも3年に1度ならよいのか聞いて欲しい。そういう方式ならどのくらいの校長先生が賛成したのか。自校の改善に校長のリーダーシップを発揮して欲しいという願いが全連小などにはある。
     
  • 活用の出口が一貫していれば、学力向上はすべての校長の目標なので、反対はされないだろう。
     
  • できるだけ正確に結果を読み取って活用する必要がある。調査の必要性は択一の問い方か。調査内容はどういう想定か。希望調査のニーズが低いという結果について根拠と内容を書いて欲しい。
     
  • 荒い中身であるが、校長が今年の結果をどう受け止めているか速報値として受け止めて欲しい。問1は択一。調査内容は主要内容を盛り込みたいというニーズ。希望利用に賛成かどうかということ自体は調査していない。
     
  • 中学校では調査結果は出していないが、全国調査に係る集計を現在している。270校に調査している。その中で、全校一斉という回答は33%、抽出は32%。毎年は44%、3~5年間隔は38%、隔年が16%。

(4)小宮委員より資料3に基づき、全国学力・学習状況調査の活用の仕方について説明が行われ、意見交換が行われた。

  • 今回の学習指導要領で言語活動を重視しているが、そこに調査問題をどう活かしているか解説があるといい。
     
  • 調査問題を活用している先生は増えている。過去の調査問題を問題解決の場面に使った授業を拝見した。こういった事例を取り上げて広める必要がある。教育課程実施状況調査との関係が課題になってくるだろう。一緒にしてはという声も出てくるだろうが、将来のことを見据えた調査であるということで線引きをする必要がある。
     
  • 指導の改善に役立てるという現行の目的は重要。秋田県でB問題の作成に悩んでおられ、国で作って欲しいという意見があったが、私は反対である。指導する人が指導しようとしている内容の問題を作れないのはどうかと思っている。A問題とB問題で優先順位を付けるとすればどちらか。
     
  • 数学については、A問題はきわめて大切である。しかし、指導要領で求めているのはB問題。学べるのはB問題である。
     
  • 今回の学習指導要領は基礎基本の習得も重視している。それを使った活用も言っている。両方あるということを念頭に置いていただきたい。しかし、指導にあたっては活用を正面において取り組む必要があるということだろう。
     
  • 教科書作成への貢献について、過去の調査問題を分析して活かすことはやっている。ただし、いい調査問題があるかというと必ずしもそうではない。各教科の調査問題について検討すると、質に疑問がある。いい問題がある教科とそうでもない教科がある。調査を実施することでいい問題が作成され、教科書に活かされるとよいと思う。
     
  • 教員一人に1台のパソコンが普及してきているが、そこまで見るのは時間的制約がある。
     
  • 自治体により濃淡があるというのが私の印象。ダウンロードして使っている学校もあるが少数にとどまっていると思う。
     
  • 現場の先生の話を聞くと、テストデータの分析、活用について、基礎基本については従来の蓄積があるが、新しい活用に関する問題はどうしていいか分からないという意見がある。この資料はこのように使うという、情報と人の、人の部分が補強されないと活用が進まないと思う。

(5)事務局から資料4に基づき平成23年度実施要領について説明。。

(6)事務局から資料5に基づきPISA2009の結果について説明。

  • 2000年はアジアの上位国が参加していなかったため読み取り方を誤ることもありえる。今回、心強い傾向が出てきたと思う。
     
  • 以前よりよくなったことは喜ぶべき。読解力がよくなったとはいえ、これで十分とはいえないと意見もあったが、無解答の課題があったところに、今回無解答が減る傾向があったのは、この調査に向かい合う姿勢が変わったという面もある。改善したことが能力の向上によるのかという検証も必要である。
     
  • 読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーは日本の国語、数学、理科とは違うと初めて知った。順位を見て上海やシンガポールが上に来たと思っていたが、OECDの2000年のデータを基準にしているので、今回、かなり大きく学力が向上したと読んでいい数値である。これから分析を進めていく必要がある。数学的リテラシー、科学的リテラシーの変化についてはPISA自体の定義が変わり、単純比較ができないが、読解力は2000年以降は比較できるところで回復したので喜ばしいことである。
     
  • 読み込んで検討していくと土台になるデータだと思う。

 

 

 

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