今後の学級編制及び教職員定数の改善に関する地方3団体ヒアリング(第1回) 議事録

1.日時

平成22年4月19日(月曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省東館3階 1特別会議室

3.議題

  1. 出席団体からの意見発表意見交換
  2. 意見交換

4.議事録

【髙橋財務課長】  それでは、ただいまからヒアリングを開催させていただきます。本日はお忙しいところ、ご出席いただきましてまことにありがとうございます。まず、ご出席の3名の方をご紹介させていただきます。全国知事会から岡山県知事、石井正弘様でございます。

【全国知事会】  石井でございます。よろしくお願いします。

【髙橋財務課長】  全国市長会から岐阜市長、細江茂光様でございます。

【全国市長会】  市長の細江でございます。おはようございます。

【髙橋財務課長】  そして、全国町村会からは愛媛県松前町長、白石勝也様でございます。

【全国町村会】  白石でございます。

【髙橋財務課長】  大変恐縮でございますが、本日、川端文部科学大臣は公務のため欠席となっております。ご了承いただきたいと思います。それでは、鈴木文部科学副大臣よりごあいさつ申し上げます。

【鈴木副大臣】  今日は本当にありがとうございます。文部科学省の鈴木でございます。

皆様方におかれましては、本当に今日はお忙しいところ、今後の学級編制及び教職員定数の改善に関するヒアリングにご出席をいただきましてまことにありがとうございました。また、日ごろから文部科学省の行政に対しまして多大なご尽力をいただいておりますことに心から感謝を申し上げたいと思います。

教職員定数の充実につきましては、鳩山政権発足時の総理指示、あるいは民主党のマニフェストでも位置づけられておりまして、まさに鳩山政権の最重要施策の1つだというふうに考えております。

ご案内のとおり、平成22年度予算案におきましては、昨年度の5倍強となります4,200人の定数改善を行わせていただいたところでございますし、また、我々の政権といたしましては、OECD加盟の先進国平均並みの教員定数を目指し、少人数学級を推進するということを党の教育政策の基本と据えているところでございます。今後、きめ細かな指導を充実させながら、学校が直面するさまざまな課題の解決、あるいは新しい学習指導要領も始まります。その円滑な実施を推進するために、平成23年度以降の学級編制及び、この4,200人に増やしましたが、計画的にビジョンを持ってやることが大事だと思っておりますので、計画的な教職員定数の改善について検討を開始したところでございます。

本日は、お三方から、現行40人とされております国の学級編制の標準の今後のあり方、どうしていったらいいのか。それから、計画的な教職員定数の改善を行う場合の具体的なご提言、あるいはご要望等について率直なご意見をお伺いし、よりよい制度設計をしてまいりたいと、その参考にさせていただきたいと思っておりますので、忌憚のない率直なご意見を今日はちょうだいできればと思っております。

本当に本日はよろしくお願い申し上げます。

【髙橋財務課長】  それでは、早速でございますが、各団体の皆様方から10分程度をめどにご意見を賜りたいと思います。それでは、まず、全国知事会の石井知事からよろしくお願いいたします。

【全国知事会】  ご紹介いただきました岡山県知事の石井正弘と申します。本日はこのような文部科学省のヒアリングにお招きをいただきまして大変光栄に存じております。地方の声を文部科学省の行政に反映をさせていただくということで、大変私も喜ばしく思っているところでございます。

それでは、早速でございますが、私の考え方を申し述べさせていただきたいと思いますが、全体といたしましては、私は、今回、文部科学省が前に向かって進めていかれようとしておられます政策の、基本的には応援団の1人という立場で来ておりますし、また、一部、方法論について辛口のコメントもあるかと思いますけれども、全体としてはぜひ改善に向かっての計画的な方向性、これを支持しながらの発言であるということでお聞き取りいただきたいと思います。

現場をよく訪れることがありますし、また、教育長はじめ教育委員会の幹部ともよく話し合いをしますけれども、とにかく現場では、少人数の指導とか、あるいは特別支援教育とか、それから食育ですよね。食育等の充実、これをよく言われます。また、現場においての教員の事務負担、非常にこれが重くなっているので、これを軽減してほしい等々の切実な声があると、こういったことをまず前提としてお話を進めたいと思います。

私は、この定数、あるいは今回の学級編制ですが、学級編制に関しましては、結論から言いますと、まず当面は35人学級、これを目指して取り組んでいただきたい。そして、財政状況にも配慮しながら、最終的には30人学級、これをぜひ実現をすべきであると、こう考えております。申し上げるまでもなく、教育ニーズがさまざまありまして、学力の向上の問題とか、いじめとか不登校、あるいはまた、先ほど申し上げましたようなさまざまな課題があります。ぜひとも少人数の学級編制を目指しての取り組みを期待いたしたいと思います。

また、特別支援教育でありますけれども、これにつきましても、現在の編制基準が8人となっているかと思うわけでありますけれども、8人ではどうも担任1人での対応は困難と思います。ぜひその引き下げの実現を図っていただきたい。私は、当面、6人ぐらいをめどに引き下げをぜひ実現をしていただきたいと、こういう思いを持っております。

さて、岡山県の取り組みにつきまして、資料に基づいて概括ご説明をさせていただきたいと思います。今日は知事会代表としての立場もありますが、岡山県の知事としての意見を中心に申し述べさせていただきたいと思っておりますけれども、資料の2ページ目をごらんいただきたいと思います。

岡山県では、そこの上に表がありますとおり、中学校の全学年、それから小学校の5年、6年、この学年におきまして35人学級と、または少人数指導となっておりますけれども、基本的には35人学級ということで小学校5年生以上、取り組んできているところであります。また、習熟度別授業を行う少人数指導につきましては、算数、そして数学、理科、英語などの主要教科で行っているところであります。

それから、左側でありますが、小学校1年生のところに少し矢印がございますけれども、小学校1学年におきましては30人以上の学級におきまして、小1グッドスタート支援事業と名づけた、教育支援員を配置する事業を実施してきているところであります。非常にこれは好評でございまして、担任の先生に加えて、地元の教育熱心な方々にご参加をいただいて、問題行動等の児童がいた場合に、そっとそれを指導していくということで、非常に好評でございまして、この事業を今、継続中でございます。

特別支援教育につきましては、市町村による特別支援教育支援員等の配置を進めてきていると。非常にこれはニーズが増えてきているということであります。

しかしながらということになるのですけれども、実は、予算面等々で非常に問題があるのが現状であります。そこにございますように、すべての学校、学年で35人学級とか少人数指導について実施をすることができておりません。それから、好評だと申し上げた小1グッドスタート支援事業につきましては、残念ながら、本年度、国のほうの予算であります退職教員等人材活用事業、これが約3分の1程度に削減になっておりまして、これを活用もしながら、私たち単県の予算も使いながらやってきておるわけでございまして、非常に事業の継続が不安になっているということでございます。

特別支援教育支援員、市町村の応援をいただいておりますけれども、これも該当の学級が年々増加しておりまして、十分な配置が困難となっております。

地方におきましては、大変厳しい財政状況になっておりますけれども、我々、県単独の定員措置等によって、積極的にこういったことに対応していきたいと考えております。ご案内のとおり、少人数学級編制等で大きな成果を上げている先進県、東北のほうからそういった取り組みがスタートしているわけでありますけれども、こちらの県を見ておりますと、数百人単位の単独配置になっているんですね。そうすると、財政負担が非常に拡大をしているということで問題になっておりますのと、同時に、学級数がどんどん増加をしておって、教員の確保が困難となっている。それから、講師がどんどん増えてきておりますから、講師が増加することに伴って、教員の力の差が大きくなっているなどの課題があります。

文部科学省におかれましては、先ほど鈴木副大臣のごあいさつにございましたとおり、私どもも今回の7年ぶりの純増、4,200人、高く評価をさせていただいているところでございますし、また、地方交付税措置を拡充されて、特別支援教育支援員の配置、こういったことも高く評価をさせていただいているところでございますけれども、なお一層、地方のこういったニーズに対応した、地方の取り組みをぜひ後押しをしていただきたい。課題を解消する方向でさらに今後の学級編制、あるいは教職員の定数の改善に大胆に取り組んでいただきたいということ。それから、あわせて、先ほど申し上げました、これと裏腹、表裏一体の関係になりますけれども、教員の養成について充実、強化、このことも適切な措置をぜひお願いいたしたいと存じます。

次に、4ページになりますけれども、全国知事会のほうではどういう見解をまとめているかということでございますが、4ページの下線を引っ張っておるところを大体ごらんいただきますとおわかりのとおり、一つは、地方の意見を反映した次期教職員定数改善計画を早期に策定、実施をするということ。このことを提案、要望いたしております。

もう一つは、特別支援教育の充実に向けまして、特別支援教育コーディネーターといたしまして専門的な担当職員、教員を配置できますように、関係の法律に位置づけるなど、必要な措置を講じていただきたい。このことを要請をしているということでございます。

以上なのですけれども、若干辛口と言ったことに関係するわけなのですが、3ページをごらんいただきたいと思うのですが、具体的に教職員の定数がどうなっているかということであります。岡山県の場合は、そこの表にございますとおり、標準法の本則定数、そこにございますとおりでございます。これに加えて、その下にありますように、いわゆる大臣加配定数というものがありまして、加配の目的ごとに私ども定数を査定いただきまして配当いただいております。ただ、この加配についての問題なんですけれども、加配の項目間の融通がきかない。具体的に、実は、何人、何人という数字があるのですけれども、その融通がきかないということと、それから、公平性とか透明性といった点に担保されているのかどうかといった点の問題があるのではないかと。この点を実は中教審で私が意見を述べた際にも申し上げたところでありますけれども、そういった問題があろうかと思っております。ぜひ、私は、教員の養成においても地方分権を進めていただきたいというふうに考えておりまして、そういった立場から、地域の課題はさまざまありますので、柔軟な教職員の定数を、配置を可能とするような、そういう制度の検討をお願いしたいということで、私といたしましては、こういった加配制度と、大臣加配といったようなものを廃止されまして、客観的な基準をつくっていただいて、これに基づいてこの加配というものを含めた定数を一括して地方に配当すると、こういった大胆な改善をお願いできればというふうに思っております。

なお、上にございますとおり、35人学級に仮にしますと、750人というものが本県では増加をいたします。ただ、だからといってこれをやるときに、下にございます、大臣加配の930人、これをやめてしまうといったようなことになっては全く意味がないわけでありますから、大臣加配の、地方の教育ニーズに合わせた、こういう定数というものも必要でありまして、これはこれとして、別途学級編制、35人学級にしていただきたいという趣旨でお願いをしております。もちろん、これに向けて地方の財政負担、これについても当然、配慮していただくということが前提でございます。

次に、資料の次のページ、教員の負担の関係でありますけれども、4ページに戻るのですが、私たち、前から言っております、下のほうの項目の政令指定都市における県費負担教職員制度の見直しについてであります。全国知事会のほうでもこういったことで申し上げておりますとおりであります。改めて政令指定都市における県費負担教職員の人事権と給与負担の一元化を早期に実現いただきたいと思います。

そして、私ども、さらにそれを進めていくという観点から、地方分権改革推進委員会の第1次勧告等にも示されておりますけれども、ぜひ、さらに分権型の教育の仕組みをつくっていくために、さらに政令指定都市だけではなくて、人事権、あるいは定数、学級編制に関する権限等は、前提としては広域での人事調整の仕組み、こういったものにも留意をした上で、まずは中核市に移譲すべくぜひ検討をしていただきたいと思っております。さらにそれを順次、市町村にまで広げていくということについては検討していかなければならないと思っておりますけれども、まずは中核市においては十分、受け皿も今、可能ではないだろうかというふうに思っているところでございます。

以上、いろいろ申し上げてまいりましたけれども、地方との信頼、協力関係が一番重要だというふうに思っておりますので、ぜひとも今後とも地方の意見を、あるいは現場の声というものを、十分おくみ取りいただきたいと思います。そして、教育は国家の礎であります。国全体の課題といたしまして、もちろんこれは地方の財政措置も含めて取り組んでいただきますように、まさにこれこそ国家戦略の名に値する、非常に重要な課題ではないかと思っておりますので、文部科学省の前向きな、総理の強いリーダーシップもぜひいただきながら進めていただきますことを大いに期待をしているところでございます。

以上でございます。

【髙橋財務課長】  どうもありがとうございました。それでは続きまして、全国市長会の細江市長様からお願いいたします。

【全国市長会】  ただいまご紹介をいただきました岐阜市長の細江でございます。私も実は市長になりまして8年たちましたが、一貫して、私はこの市政の中心として教育立市というのを掲げてきております。

御存知のとおり、今、世の中は、日本というのは知識集約型産業の時代であります。そういう中で、昔は工場、あるいは機械というものがこの日本という国を支える大変重要な役割を果たしておりましたが、知識集約型産業のこういう世界におきましては、まさに人、人材の育成というのが日本という国を支える重要な基盤であるということで、私ども岐阜市も、人を育てるということを中心に考えていこうということで取り組んでいるわけであります。

まず、これから4点ほどに絞ってお話を申し上げたいと思います。一つは、今回のテーマであります学級編制標準のあり方、もう一つは、計画的な職員定数の改善の要望事項、それから、教職員の人事権。実は、私、中核市市長会の会長を今、務めさせていただいておりますので、その教職員人事権の移譲についての問題。それからもう一つは、学校教育と学校外教育につきまして少しお話をさせていただきたいと思っています。もし時間がありましたら、公立学校におきます中高一貫教育のあり方についても一言、ちょっとお話を申し上げたいと、こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いします。

まず、最初の、学級編制の問題でありますが、私が申し上げるまでもなく、この義務標準法によりまして、現在40人ということになっておりまして、これに対しましては当然、加配も可能ということになっております。都道府県ではそれぞれ加配も可能であるということで、岐阜県では35人ということになっていますが、これは当然のことながら、県単ということになっています。また、我々市町村におきましても、都道府県の同意のもとでこの基準を変更することが可能というふうになっておりますが、これも市単ということになる、単独予算ということになっています。

これらの現在の制度の課題というところでありますが、これは今申し上げましたように、定量的に40人がいいのか、35人がいいのかという、数の問題で議論がされているというところであります。それともう一つは、今申し上げたように、加配をする場合に、それぞれ単独予算で対応しましょうということでありますから、実はこれは裕福な自治体であれば多くの予算をそれに回すことができると。そうでない自治体にとってはそうではないと。つまり、子供たちが教育を受ける機会が本当に均等であるかどうかという、こういう問題があるのではないかと、こういうふうに思っています。

先ほど申し上げた40人が定量的で画一的ではないかという趣旨でありますが、実は小学校の低学年というのは、学校に入る前の家庭の教育方針、あるいはしつけの時間等、いわゆる下ごしらえができている子、できていない子、いろいろあります。また、子供たちはこの時期になりますと成熟段階にもいろいろなばらつきがあります。そういう中で、例えば小学校1年生、40人を1クラスとしているのを35人にしたからといってすぐ解決できるかどうかという問題があります。そういう問題に対して、各自治体ではさまざまな質的な対応をしているわけであります。

例えば、習熟度別にするとか、あるいは機動的に対応できる教員、専科教員を持つとか、あるいは、ティームティーチングでありますとか、あるいは、三鷹市なんかでやっているそうでありますが、スクールサポーターなどを入れて対応するなど、いろいろな対応をしているわけでありまして、数だけで40人を35人にすればいい、35人を30人にすればいいという問題ではないのではないかと、こんなふうに思っております。

ということで、この学級編制につきましては、各地域ごとに柔軟な、多様な対応を可能とするようにしていただきたいということで、当然これは税財源措置も必要でありますが、その税財源措置を伴った学級編制権を私ども都市自治体のほうに移譲していただきたいと。こういうのが私どものお願いでございます。先ほどから申し上げておりますように、画一的、定量的な制度から、きめ細やかな対応ができる、多様な対応ができる制度に、定性的な制度設計に変えていただきたい、こういうふうに思っております。

私ども岐阜市では、コミュニティースクールなども始めておりますが、地域の皆様方、教員以外の皆様、先ほど申し上げたスクールサポーターなどの形で、教員以外の方々も教育の場に参加できるような制度にしていただきたいと、こういうふうに思います。

2番目に、教職員定数の改善でありますが、これも義務標準法によりまして生徒数を40人で割りまして、それに一定の係数を掛けて先生の数を算出をすると。それに対しまして国の加配としましては、1次から第7次にわたります改善計画によりましてさまざまな形の加配が行われておりますし、先ほど申し上げたような、県単独予算による加配、市町村単独予算による加配などが行われているというふうに思います。これが国の加配を見てみますと、どういう哲学に基づいてこの加配が行われているのかというところが、時としてあいまいではないかと、こういうふうに思うわけであります。

一度、この表を見てみましたところ、例えば、第7次計画、平成13年から17年度でありますが、自然減が2万6,900人に対して、改善増が2万6,900人というふうになっておりまして、たまたまといいますか、これはどういう哲学でこういうことが行われるのかというところが非常にあいまいではないかと、こういうふうに思うわけでありまして、このあたりをしっかりと見直していく必要があるのではないかと思います。

この教職員定数権につきましても、税財源措置を伴った上で基礎都市自治体への移譲をお願いしたいと、こういうふうに思っています。国といたしましては、教職員給与の人件費の算出、例えば私どもはきめ細かい教育を行いたいので、先生の数をこれだけ多く欲しいと。それに対して国から予算をつけてほしいと言いますと、これは不平等になります。ですから、予算を決定する際の標準、つまり現在は40人で割られまして、それに係数を掛けておられますが、私どもはできれば35人で割っていただいて、それに係数を掛けていただきたいわけですが、市町村間、自治体間の平等性を確保するという意味での教職員人件費の算出方法についてはこういう方法で結構かと思いますが、その使い勝手につきましては、学級編制並びに教職員定数の決定等については、これは都市自治体のほうに移譲していただきたいと、こういうお願いであります。

これをいただいた一定の、それぞれの標準的な人件費の使い勝手につきましては、これはまさに自治体間競争ということで、知恵と工夫によって、子供たちをしっかりと育てる自治体が選ばれると。教育によって選ばれる自治体、選ばれない自治体というのも出てくるというのもこれからの時代の流れではないかと、こういうふうに思っております。

3番目に、先ほど申し上げましたように、私、現在、中核市市長会の会長を務めさせていただいておりまして、私ども平成19年、それ以前から実は中核市に対しまして教職員の人事権の移譲をお願いしたいと、こういうふうに申し上げています。その一つは、既に中核市におきましては教職員の研修権限というのを持っておりまして、研修はするわけでありますが、研修をした先生が県のご意向によって他市等へ、あるいは他市町村へ転勤されるということもあるわけでありますが、そういうことも踏まえながら、私どもとしては広域的な人事交流という仕組みをしっかり持った上で、かつ、今、政令指定都市には人事権は移譲されておりますが、教職員の給与負担がついておりません。これはやっぱり一体でなければいけないと思いますので、人事権並びに給与負担というものを一体的に、ぜひ中核市のほうに移譲していただきたいと、こういうふうに思っております。

さらに申し上げますと、これはマニフェストにも書いておられたと思いますが、教育委員会制度につきましても、抜本的な見直しをしていただきたいと、こういうふうに思っております。

4番目でありますが、学校教育と学校外教育──これは塾等であります──の役割分担についてちょっとお話を申し上げたいと思います。先般、マスコミ紙上でもゆとり教育からの脱却、脱ゆとり教育ということが書いてありまして、教科書のページ数を25%増やす等々の改革が行われるというお話がありました。また今回も、1学級の子供の数を減らして、よりいい教育を与えよう、よりいい教育環境をつくっていこうと、こういうお話であります。しかし、これらは、いずれも学校教育の問題であります。

一方で、学校外教育というのはどんな役割を果たしているのでしょうか。実は、小学校、中学校、義務教育だけを一生懸命勉強しまして、教科書を一から最後のページまで全部丸暗記しました。中身も全部理解しました。その人が受験をして、それで受験にちゃんと通っていくでしょうかと。こういう問題であります。多くの人たちはそうではないと思っておられます。それによって何が起こるかといいますと、やはり学校外教育、塾などに通うということになっております。

文部科学省の平成20年度の子供の学習費調査というものを見せていただきましたら、中学校3年生で83.4%の子供が塾に通っております。小学校6年生では57.2%の子供が塾に通っております。中学校3年生は全国で123万人おられますが、そのうちの103万人が塾へ行っているという計算になります。それから、小学生は120万人いますが、この57.2%、69万人が塾に通っているという、こういう計算になるわけであります。

それで、家庭の塾に対する支出でありますが、これも計算いたしました。中学3年生で年間32万円と。これも文科省の学習費調査から拾い出しております。小学校6年生で約13万円、年間でありますが、塾に支出しております。これを小学校1年生から中学校3年生までの総支出額を計算してみますと、8,000億円という数字になります。8,000億円といますと、文部科学省が地方に出しておられますのが2兆2,600億円でありますから、その35%に当たるお金が各家庭から出されているということになります。

こんなこともあって、多分、子ども手当というお話も出てきたのかと思いますが、これも後ほど申し上げますが、先ほどもちょっと申し上げたように、裕福な自治体とそうでない自治体、裕福な家庭とそうでない家庭によって、そういうものの使い勝手というものが変わってくるわけであります。ですから、一般財源、例えば教育一括交付金というお話がございますが、一般財源化されますと、裕福な自治体とそうでない自治体によっては使い勝手が変わってくるように、子ども手当についても意向どおりの使われ方がされるかどうかというのは、子供手当だけで解決可能かどうかということは疑問であると、こういうふうに思います。

私どもは少なくとも義務教育については、子供に対して機会の均等を保障する必要があると、こういうふうに思います。義務教育というのは、学校教育だけで機会の均等を保障すればいいのか。あるいは先ほど申し上げた、もうほとんど当たり前のように塾へ行かないと受験できないという、この現実を見つめて、学校外教育についても何らかの考え、配慮をしていくべきではないかと。文部科学省とされましても、この学校教育のみならず、学校外教育についてもさまざまな形で関与をされていくべきではないかと、こういうふうに思います。これによって裕福な家庭、裕福でない家庭、いろいろな家庭に対する子供たちの機会の均等が保障されるのではないかと思います。

例えば、それぞれ学習塾など、学校外教育の講師、先生の質をどうしていくか。あるいは指導要綱のガイドラインを設けるのか設けないのか。さらには家庭の富裕層、そうでない層等々の関係もありますから、奨学金制度などというものを考えるべきかどうかなどなど、さまざまな形で学校外教育というものについても目配せする時代が来ているのではないかと思います。

それから、最後になります。公立学校における中高一貫教育についてのお話をちょっと申し上げたいと思います。中高一貫教育でありますが、日本におきましては、初等教育は小学校、義務教育でありますが、中等教育は中学校というふうになっていて、6・3と、こうなっています。今回、公立高校の授業料の無償化等が起こりますから、これを義務教育とみなすのかみなさないのかという問題がありますが、イギリスやフランスを見てみますと、初等教育は5年か6年、中等教育が5年というのが多いと思います。これは中学校、高校というものを1つとして義務教育と位置づけ、それを中等教育と位置づけているのではないかと、こういうふうに思います。

今、日本におきましても、いわゆる中高一貫というのは増えてまいりました。私どもで計算しましたところ、私立の学校1,321校ありますが、そのうちの197校、約15%で中高一貫教育がなされております。一方で、公立も見てみますと、3,852校ある中で173校、つまり約5%が中高一貫ということになっているわけであります。これは約3倍の格差があるというわけでありますが、いろいろな理由があるかと思います。

一つは、小中学校が私ども基礎自治体の担当になっている。高校は、御存知のとおり、都道府県の担当になっているということであります。中等教育が真ん中で割れている、担当部局が変わっているということが、これの1つの、公立学校において中高一貫教育がなされていない、私学に比べるとややおくれているという理由の1つではないかと、こういうふうに思うわけでありまして、ここらの基礎自治体と都道府県の役割分担を見直すのか、あるいは6・3・3というものを、例えば6・6にするのか、あるいは幼稚園も入れて初等教育を6なり5にして、それで高等教育を5年もしくは6年として、中高一貫にして、そんな制度につくり変えるのか、まだここらについてはさらに議論がなされるべきだと思いますが、こんなことを考えながら、今後の公立高校における中高一貫教育という切り口で日本の教育制度そのものを抜本的に見直していくべきではないかと、こういうふうに思っております。

以上です。

【髙橋財務課長】  どうもありがとうございました。それでは、続きまして全国町村会の白石町長様よりお願いいたします。

【全国町村会】  愛媛県の松前町の町長の白石と申します。「松前」と書きますので、北海道の松前町と何か関係があるのかと。姉妹都市の関係を結んでおりますけれども、愛媛県松山市のすぐ隣に位置する、人口3万1,500人の町であります。今日は文部科学省との意見の交換ですから、おそらくここにおいでの方も、愛媛県と言うとすぐ勤評闘争のあったところかというふうに思い出すのではないかと思いますけれども、ちょうど勤評闘争のさなかに、実は私のおやじは校長をしておりまして、先生と県教委の間でかなり板挟みになったことを子供心に覚えております。

今、知事会あるいは市長会の話がありましたように、子供さんたちを取り巻く環境はそれぞれ変わってきておりますし、社会変化も大きいわけですから、そういう意味では学級数であるとか、あるいは生徒の数、こういったものを見直していくことについては、我々町村会も全く同じでございまして、その人数については、それぞれ財政状況がありますし、市町村のそれぞれの権限の問題もございます。そういう意味で、小中学校の先生、あるいは教育関係者から言えば、35人ぐらいにすべきであるというような意見がございます。

私は町長になって、教育というのは教育委員会があるわけですから、本来、政治は教育に介入すべきではないということで、細かい小中学校のいろいろな行事であるとか、教育の仕方について口を挟むことはしませんけれども、私は町長になったときに、いろいろな本を読んでいましたら、教育というのは英語でエデュケーションと言いますね。皆さん、エデュケーションの動詞というのは何でしょうかね。審議官。

【前川大臣官房審議官】  エデュース。

【全国町村会】  エデュースですね。エデュースというのは、辞書を引いてみますと、能力とかそういうのを引き出すという意味ですよね。これが動詞で、エデュケーションが教育という名詞になるわけですよね。つまり、本来、子供たちの持っている特性であるとか特徴であるとか個性、こういったものを引き出すのが教育の基本なんですよね。これを、今しっかり見直す時期に来ているのだろうと思うんです。

つまり、学級の人数の問題云々にしましても、現場の実際の先生方、あるいは校長、こういった人とかに話を聞きますと、先生方は非常に萎縮をしているんですよね。これはもちろん子供たちにいろいろなことを指導しているのだけれども、手が回らないと。じゃあ、何でそんなに時間がないんだというと、国とか県からの報告事項だとか、指導要綱、そういったものに沿ってきちんとやっているかということを、かなり細かくレポートを出せとか、報告しろとか、こういったことに追われて、つまり、先生本来の仕事といいますか、そういうことよりも、そういう事務的な、附属的な事務量、そういったものが増えてきているという声がございます。

もちろん、それは場所によって違うでしょうけれども、先生方がそういうような意識を持って子供たちに、もし指導しているとすれば、一番影響を受けるのは子供たちなんですよね。ですから、そういう意味で、基本的にやっぱり今、置かれている教師の立場、それから、これだけ時代が変わってきているわけですから、先生方を取り囲む環境というのも変わってきているわけです。保護者なんかも、私どもが小さいころであれば、保護者のところへ行って、先生が怒って、何で子供が学校へ来ないかということを言っていたわけですよ。今は逆なんですよね。保護者が「先生、こういうことをやったんだったら、うちの子供、学校へやらんぞ」という、逆の立場になっているんですよ。そういうことに対する先生方のストレス、そういったものが非常に重なってきているわけですよね。ですから、心因性の病気になるということで、たとえ数字どおりの先生がいたとしても、病気の先生がどんどん出てくると、当然、教師の数は減るというふうになっていますので、やっぱり現場実態というものをもっとしっかり見つめるべきであると、調べてみるべきであるということをまず1点、申し上げておきたいと思います。

それと同時に、今言いましたように、保護者の考え方。これは少子化がこれだけ進んだわけですから、以前のように大家族じゃなくて、一人っ子なんていうのはざらにいるわけですよね。そういう意味で、親の子供に対する考え方がそのまま学校に向けられていると。つまり、何かあればすべて学校の責任であるというのは、そういう認識を持った親が非常に増えてきているわけですね。保護者が。そういったことに対する先生のストレスというものがたまってきているわけですね。ですから、そういったことについても、やはり教育委員会なり国がしっかりと調べてみるべきであろうと。それで手を打つべきであろうと思います。

もう一つは、最近よくあるのですけれども、子供が何か事故に遭ったりなんかすると、学校の安全性とか、先生は一体どういうふうな子供たちに対するケアをしているんだということがすぐ問題になるんですけれども、なかなかこれは、先生方が子供たちを教え、クラブ活動をやり、そしてまた登下校まで見守って、校外活動に目をやるというのは、非常に今の状況から言えば、時間的にも、あるいは仕事の内容から言っても難しい状況にあるわけですね。ですから、そういう子供たちの安全を守るということをすべて学校に任せるのではなくて、私どものところでも地域で一緒になってやっていますけれども、そういった、学校を取り巻く環境に対しても、もっと国や県というのは配慮をすべき。もちろん、我々も地元でそういうことをやらなければなりませんけれども、そういったことも総合的に考える時期に来ているのではないかなという感じがいたします。

特別支援学級の問題がありますけれども、たまたま私が町長になったときに、私の町の小学校に、本来なら特別支援学級に入る子供さんが、親御さんの要望で、ぜひ普通のクラスで勉強させてくれということで、当時は愛媛県で初めて普通学級に受け入れました。その子はこの間、中学校を卒業しましたけれども、その子供の成長を見ていますと、子供さん同士はそれほど気にしていないんです。そういう子供がいても、やっぱりみんな友達としてつき合うんですけれども、周囲の見る目が変わってくるんですよね。特に先生方は、例えば1つの普通学級の中にそういう子供たちがいると、やはりそちらのほうにも目が行くとなると、なかなか思ったような授業ができない。そうすると、そういう子供たちに対する支援員をつけると。そういうのが出てきますと、あちこちで、じゃあうちの子もぜひ普通クラスへ入れてほしいという現象になってきます。

しかし、同時に、特別支援学級でいろいろな子供の、障害の子供たちの状況に応じた形で授業を受けさせたほうがいいという保護者もいらっしゃるわけですね。ですから、一方的にこれは支援学級であるとか、あるいは普通学級であるというんじゃなくて、やはりその子供さんの置かれている状況、そういうものを見ながら両立的に受け入れてあげないと、一方だけでやると必ず弊害が起きてくるというふうに思いますので、そういう面で特別支援学級の編制、あるいは支援の先生のありよう、こういったものについても、ぜひやっぱり目を向けるべきであろうと思います。

そういうふうに申し上げますと、やはり今の学級の定数の問題、あるいは先生の問題、こういったことも、るる社会環境あるいは周辺の環境を見ながら、ある意味では原則は原則、標準は標準として、それぞれの地域に応じた形で、ある程度の融通性、規制緩和、そういったものが必要であるのではないかと、そういうような感じがいたします。

私の町はたまたまかもしれませんけれども、数字的に言いますと、小中学校が3校ずつございますけれども、現実に30人以下のクラスというのが小学校で18クラス、中学校でも3クラスございます。ちなみに小学校は58学級ですから、そのうち30人以下が18クラスと。中学校26学級のうち3クラスが30人以下。35人を超えているクラスというのは、小学校では2クラス、中学校では7クラス。たまたまその7クラスのうちの3クラスが40人ということでありまして、これは毎年度入学してくる子供たちの数がどんどん変わっていきますので、1つの基準をつくっても、それに合うような数字がちゃんとできるかというと、なかなかそうはいかないんですね。ですから、そういう意味では、融通性というものを持った学級編制が必要なのではなかろうかと、そういうような感じがいたします。

鳩山総理はまさにコンクリートから人へと。このコンクリートから人へというのは、何もダムの問題だけではありません。やはり日本というのは人づくりがこれまで、ある意味ではないがしろにされたといいますか、若干、横に置かれて、発展、技術革新、そういう道を歩いてきたわけですから、改めて子供たちを含めた教育環境の整備、子供たちに対するしっかりとした特徴を引き出す教育、そういったものを見直すべき時期に来ているのではないかということを申し上げて、私の意見とします。

【髙橋財務課長】  どうもありがとうございました。12時近くなっておりますが、お許しいただければ、若干時間を延長して、質疑応答に入りたいと思いますが、副大臣、政務官のほうからいかがでございましょうか。

【鈴木副大臣】  非常に示唆に富んだお話をいただきましてありがとうございました。いずれも大変参考にさせていただきたいと思います。

白石町長にお伺いをしたいのですけれども、町長おっしゃるとおりだと思っておりまして、私ども、特に同じような問題意識を持って、半年前から取り組ませていただいておりますので、よろしくご指導いただきたいと思います。

そこで、もう既に30人以下、35人以下になっているよと、こういう話でございまして、高井政務官も四国の出身でございますので、大体そういう状況は我々も把握しているわけでありますが、これが国が40人から35ということになりますと、今まで町単あるいは県単でやっていただいている部分を国が少しフォローしていくと、こういうことになりますと。そうなった場合に、今後、町とか、あるいは小さな市の対応というのはどういうことになるのかなと。要するに、私どもは、当然、貴重な財源を納税者の皆様のご理解を得て増やしていきたいと思っております。そのときに、都会なんかの場合は、具体的に目に見えた形で、あの政策が行われたからクラスの数が減ったなと、きめ細かくできたなと、わかりやすいシナリオなんですけれども、いわゆる地方におきましては、もう既にできているよと。もちろん、国と地方の財源の負担が変わるということは、これは地方財政にとって大変大事なことだと思いますが、目に見えて、教員、教室の数はあまり変わらないわけですね。

もちろんやりたいと思っています。我々にシナリオを教えてくださいという意味で申し上げているのですけれども、この措置を40から35にしますと、地方の小中学校において具体的にどこがどのように改善されるかという、数年後のイメージを教えていただきたいと思うのですけれども、いかがでございましょうか。

【全国町村会】  やはりこの問題に限らず、財政というのは常につきまとうわけですよね。盛んに地域主権とか地方分権を言いますけれども、権限を我々のほうにおろしてもらうのは、それは大いに結構なんですけれども、当然、これは財政が伴わないと、権限だけもらったって事業はできないわけですからね。そういう意味では当然、そういうふうになった場合には財政をどうするかと。これは国と県と、それぞれ市、町で話し合いをして、この部分は国が持とうじゃないか、しかし、こういうふうに例えば増やす部分は、じゃあ市町で持つからと、そういう話をすれば、例えば今のようにすべて国と県に任せるということじゃなくて、十分それは私どもとしては考えなければいかんと思うわけですね。

そういう中で、じゃあ、学校の子供たちの教育については、確かに町が負担して、国と県がやっていますけれども、実は、地域では学校が終わりますと、例えば、放課後児童クラブなんていうのは、どこにもあるんです。どの学校にも。つまり、1年生から3年生までの子供を対象に、これは厚生労働省の管轄になるわけですよね。ですから、そういうのをそれぞれの地域で全部つくっているわけです。ですから、子供たちは学校が終わりますと、今度は放課後児童クラブのほうに行くわけですよね。この数がどんどん増えてきているわけですよ。これは、私どもの町が場所とか支援員とか、そういうのを確保しなければならないんですね。ですから、今、もう学校教育だけじゃなくて、周辺でも子供たちに対するお金というのはかかっているわけですから、そういう意味でも我々は既に支出している部分もあるんですよね。

こういうものを含めて、これは幼保一元化のところでも随分議論されていると思いますけれども、もっと省庁の縦割りをなくして、小学校へ入ったら、放課後児童クラブであろうと何であろうと、例えば教育委員会マターにするのか、こういったことも考えてもらわないと、放課後児童クラブは全然担当課が違うわけですよ。それを我々が現場で調整をしながらやっていっているんですけれども、保護者の要望というのは非常に増えてきているんです。どんどん、児童クラブの子供が増えるんですよね。しかも、1年じゅうやってくれって言うんですよ。年末年始の何日かを除いて、土曜日だろうと夏休みだろうと、学校が休みであっても放課後児童クラブはやってくださいと。こういう現状があるんですよね。

だから、そういうものを踏まえた上で、学級のあり方だとか先生の配置だとかいうものを考えてもらわないと、ある意味じゃ2つの形で子供たちの面倒を見ているといいますか、そういう現実があるということをぜひわかってもらいたいと思います。

【鈴木副大臣】  同じテーマでご意見があればお2人からもお伺いしたいと思いますが。岡山も割と小さい市町村を抱えておられると思うんですが。

【全国知事会】  岡山県も、県全体として見たら、お話のように、都市部の岡山市、倉敷市、それと、それ以外の地方部と、大きく分けてそうなりますが、岡山市においても過疎地域も実はありまして、市の中でもあるんですね。そういった意味では、かなり現場の課題ニーズというのはさまざま違うと思います。私が今日申し上げたのは、今、副大臣のお話のように、主として都市部、あるいは大きな都市というところが特に顕著に効果が出てくるかと思うのですが、地方は地方でもいろいろな課題があって、私は実は複式学級の改善にも取り組んでおりまして、県単で数十人規模で応援をして、文科省からいただいておりますルールをもっと地方独自に、複式学級のやり方を柔軟に対応させていただいておりますけれども、そういった地域の課題に合わせた、そういう措置もぜひお願いしたいと思います。

私が申し上げた、大臣加配みたいな、抜本的に変えてくれと言いましたけれども、ものの考え方はぜひそういったものを地方に任せていただいて、どのように定数改善を使っていくかは任せていただくとありがたいのではないかと思います。

【鈴木副大臣】  岐阜は今どんな感じですか。

【全国市長会】  先ほどもちょっと申し上げたように、例えば40人が30人になったと仮定して、岐阜市も実は学校によってはかなり子供が減ってきちゃって、1クラス編制できないという学校もあったりするんですね。これは、先ほど申し上げたように、定量的な問題としてとらえるのか、定性的に、30人のクラスにしても、例えば1年生で入ってきたと。そうすると、その子の子供の家庭によっては、ほとんどいろいろな基礎的なもの、いわゆる下ごしらえができている子、できていない子、いろいろなことがあると思うし、中には暴れる子がいれば、先生はそちらに時間を要するということにもなると思うんですね。ですから、40人が35人になればとか、あるいは35人が30人になればという、定量的なアプローチだけではやや危険ではないかと。

やっぱり定性的に、先ほど申し上げたスクールサポーター。私もちょっとアメリカにいたことがあるのですが、私の女房なども学校へ行ってお手伝いをしたりするわけですね。ですから、定性的な部分も対応できるような予算措置も必要でしょうし、先ほど申し上げたように、教員、人件費を計算するときの人数としてはなるべく少な目にしていただきたいというのはあるのですが、少なくなったからもろ手を挙げて万歳だということとはちょっと違わないかなという思いを持っています。

【鈴木副大臣】  これはもちろんいろいろなヒアリングをして検討の結果ということだと思いますが、少なくとも私どもの政権の考え方としては、積算根拠としては当然、40、35ということにしますけれども、運用は現場にお任せしたいというのは、少なくとも政務三役はそう思っていますので、これからいろいろな調整をしなければいけないと思いますが、その上でお伺いしているのですけれども、結局、この前の高校無償化もそうだったのですけれども、既に県単でやっていただいているところを国でやると。これは私は、非常に国と地方との関係において意味があることだと思うのですけれども、結局、それで予算措置を講ぜられても、それはいろいろなご事情の中で、教育現場に何かのプラスがなければ、高校無償化のときもそうでしたけれども、結局、現場の子供たちにとっては何の効果もないと、こういう批判が来るわけですね。そうすると、やっぱりこれをやる以上、教育現場がよくなるというところの最終的な現場の改善までつながるところを担保しないと、せっかく納税者のご理解を得てやっていくという。

一方で、これも高校無償化のときに痛感したのですけれども、奨学金は三位一体改革の中で、そのありようについては都道府県にお任せをするという整理をしたわけですから、そこは我々尊重して、きちんと地方主権ということを考えていこうと、こういうふうに思っているわけですけれども、ですから、これまでの議論の中では私は適切な対応をしていただいていると思っているのですが、そのことがなかなか国民の視点からすると、何が変わったんだと、こういう話になって、それではやはり納税者の理解が得られないというところで、地域主権の部分と、それから増やした部分を具体的に最後の現場の改革につなげるというところで、我々も非常にジレンマを抱えながら、どういう説得的な説明を納税者に対してしていったらいいのかなということなので、今日だけで答えは出ないと思いますが、また引き続き、各知事会、市町村会において、うちの町はとか、うちの市はこういうことになれば、別にオールジャパンの話ではなくて、こういうところが今、具体的に、文部科学省も放課後子ども教室ってやっていますけれども、そこを拡充しますと。これは非常に大事なポイントだと思うんですね。

確かに、格差が一番出ているのは放課後の使い方で、今日、細江市長さんもおっしゃいましたけれども、塾に行ける子と行けない子の差がついていますから、そうすると放課後の子ども教室なんかが充実をしてくれば、その格差が埋まるというのは、極めて明解なシナリオで、なるほどなと思ったんですけれども、そういうシナリオをたくさん私どもにいただけますと、今後の納税者へのご理解を深めると、現場の理解を深めるということに資しますので、これもお願いということにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【高井大臣政務官】  ちょっとオーバーしているのですけれども、2つだけいいでしょうか。

今日はありがとうございました。白石町長にお伺いしたいのですけれども、知事と市長から人事権についてぜひ中核市へ移譲へというお話がございました。私も本当に小さい町の生まれで、今もそうなんですけれども、そういう流れについてどう思われるのか。もちろん、広域で中核市に加わるというとはもちろんありだと思いますが、どう思われるか教えてください。

【全国町村会】  流れとしては、まさに地域主権とか地方分権の1つだと思うんですね。ただ、現実的には、例えば私のところは松山市の隣でございまして、旧で言うと郡があったわけですね。今でも2つの町で郡があるのですけれども、先生の異動を見ていますと、確かに郡内、あるいは松山を含めて、その周辺の若干広域的な異動をしているんですね。もちろん採用は県でございますけれどもね。ですから、松山市のように50万都市になれば、これは当然、人事権をもらっても多分大丈夫だと思うんですね。ただ、例えば5,000人とか8,000人の町や村で、果たしてそういう人事権をすべてもらって、採用から人事配置までができるかとなると、これは私はすぐには難しいと思うんですね。

ですから、やるのであれば、さっきから出ていますように、やっぱり政令市であるとか、中核市から始めて、ほかの市町村については広域でやるか、あるいは町村だけでまとまってやるか、そういう方法をこれから考えていくべきだろうと思うんですね。ですから、最終的にはそれがいいんですけれども、ただ、小さな町で、そこですべての先生を採用して、そこだけで回しちゃうと、ある意味では若干固まってしまうような感じがしますので、やっぱりいろいろな交流というのが大事だと思うので、順次やるべきかなという感じがいたします。

【高井大臣政務官】  ごめんなさい、もう1点だけ、市長にお伺いしたいのですけれども、中高一貫について、割と積極的なというふうなお考えだったと思いますが、進まない理由として、義務教育は市町村と、高校は都道府県というお話がございましたけれども、逆に言うと、高校もむしろ積極的に市町村のほうに移していくというお考えでそういうふうにご発言されたのでしょうか。

【全国市長会】  先ほどちょっと言いそびれたのですが、論語にこういう言葉があるんですね。「学びて思わざれば則ち罔し。思いて学ばざれば則ち殆し」という言葉があります。ここに、ちょっと下に書きました。幼稚園、小学校は知識。一生懸命、漢字を覚え、何を覚えるという時代でしょうと。ですから、例えば初等教育というのに幼稚園も入れると、先ほどちょっと申し上げたのは、幼小を一緒にして5年か6年という形に例えばすると。それから、「思わざれば」ですから、今度は考える力というのは、これは中等教育の仕事だということで、ここに書いたように、中学、高校というのは、まさに自分で考える力を養ってもらおうじゃないかということで、これを、例えば諸外国、欧米などに見られるように、5年なのか6年なのかは別として、一貫して考える力をつける期間。その後、大学へ行く、専門学校へ行く、あるいは仕事に入るという、いろいろな人がいていいと思うのですが、そういう意味で、中高一貫というのは今、大きな流れとして議論されていますが、中高一貫という思いというよりも、子供たちにとにかく、まさにここに書いてあるように、思いて学ばざれば、知識も、いろいろな過去の人たちの業績を勉強もしないで、それで考えることばかり教えるというのは大変危険なんですね。

ですから、まず、幼稚園から小学校にかけては一生懸命勉強して、学べと。いろいろな漢字も覚えなければいけないし、九九も覚えなければいけないと、そういうことに集中させる期間と。それと、それをベースにして物事を自分の頭で考える期間というのを分けて、初等中等というふうにやったらどうかということを申し上げたかったわけですね。

【高井大臣政務官】  ありがとうございました。

【髙橋財務課長】  どうもありがとうございました。まだまだお聞きしたいことはたくさんあるのですけれども、この後、ご予定のある首長さんもいらっしゃいますので、このあたりにいたしたいと思います。今後ともまたこういった形での意見交換は適宜実施させていただければと思います。それでは、最後に、坂田事務次官から一言、御礼のごあいさつを申し上げさせていただきます。

【坂田事務次官】  今日は大変お忙しいところ、この場にお出ましいただきまして本当にありがとうございました。副大臣からお話がありましたとおり、これから学級編制の問題、それから教職員の定数の問題、来年度に向けて最も大事な我々の政策課題の一つということでしっかり取り組んでいるところでございます。今日も大変多くの、本当に示唆に富むお話を賜りました。今日いただいたご意見を今後の政策を固めていく上でしっかり反映させるようにしていきたいと思います。今日はありがとうございました。

― 了 ―

 5.出席団体

全国知事会(石井 正弘 岡山県知事)、全国市長会(細江 茂光 岐阜市長)、全国町村会(白石 勝也 愛媛県松前町長)

お問合せ先

初等中等教育局財務課