今後の学級編制及び教職員定数の改善に関する教育関係団体ヒアリング(第3回) 議事録

1.日時

平成22年4月27日(火曜日) 14時~16時

2.場所

文部科学省東館16階 特別会議室

3.議題

  1. 参加団体からの意見発表
  2. 意見交換

4.議事録

【髙橋財務課長】  失礼いたします。それでは、ただいまから、今後の学級編制及び教職員定数の改善に関する教育関係団体のヒアリングを開催させていただきます。まず、本日、忙しい中、ご出席いただいております皆様をご紹介いたします。社団法人日本PTA全国協議会から相川敬会長でいらっしゃいます。

【日本PTA全国協議会】  相川です。よろしくお願いいたします。

【髙橋財務課長】  続きまして、社団法人全国高等学校PTA連合会からは髙間專逸会長でございます。

【全国高等学校PTA連合会】  髙間でございます。よろしくお願いいたします。

【髙橋財務課長】  それから、日本教育大学協会からは村松泰子会長でございます。

【日本教育大学協会】  村松でございます。よろしくお願いいたします。

【髙橋財務課長】  本日、川端文部科学大臣は公務のため欠席をいたしますので、ご了解いただきたいと思います。それでは、まず、鈴木文部科学副大臣より一言ごあいさつを申し上げます。

【鈴木副大臣】  どうも、きょうは、大変お忙しいところ、ご参加をいただきまして、まことにありがとうございました。今、教職員の質と数というのが鳩山政権の最重要課題の一つということで、総理指示でありますとか、民主党のマニフェストにもそのようにつけられております。平成22年度予算におきましては、そのことを先取りいたしまして、教職員定数改善4,200名、昨年の5倍強を達成いたしたわけでありますけれども、最終的な目標といたしましては、やはりOECD水準並みを目指していきたいということがベースな目標でございます。そこで、7次定数改善以来、この空白になっておりましたけれども、計画的に教職員定数の改善、それから、今後の学級編制のありようといったものを今、集中的に議論をいたしておりまして、この概算要求、あるいは今後の教育政策に反映させていきたいと、こういうふうに思っているところでございます。

今日は、お三方から現行40人上限となっております学級編制標準をどうしたらいいのか。それから、計画的な教職員定数改善を私どもいたしたいと思っておりますけれども、おそらく小学校と中学校と高等学校でもどこに手厚くするのかとか、あるいは増やすことによって、最終的には学校教育力が向上するということを説明しないと、納税者のご理解は得られないと思いますので、そうした制度設計に当たっての皆様方のご意見をぜひ賜りたいということでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【髙橋財務課長】  それでは、早速でございますけれども、各団体から10分程度ご提言を賜りたいと思います。それでは、まず、社団法人日本PTA全国協議会相川会長様からお願いいたします。

【日本PTA全国協議会】  それでは、日本PTAのほうから提案をさせていただきます。また、きょうはこのような席を設けていただきまして、ありがとうございます。

私どものほうから、お手元のほうに配付をさせていただきました意識調査ですけれども、これは、21年度の11月から12月に調査をした、非常に新しい内容のものです。全体で5,000人弱の抽出で調査をさせていただきました。今、文部科学省が人に対する手厚い教育ということを掲げられておりますので、保護者としても非常に意識が高かったということで、この回答を得られました。実際PTA活動に参加していると回答した親、約61%、PTAに参加していない人が33%いますが、何らかの関心を持っている。

この調査で一番私どもが興味を持っているのは、学校に何を求めているかということです。親としては、子どもたちに学力の向上を目指すこと。これは当たり前の話なんですが、その意識が非常に強く、62%。そのうちの求めていないというのが20%ありますが、これは裏腹でして、今までの教育にどうしても不安があって、自分たちは塾に通わせたり、場合によっては私立学校にやるとか、そういう対応を考えているのですが、公立の学校の質を高めて欲しい、決して関心がないわけじゃなくて、そういうものを求めている。

それと、学力向上のために学校に求めたい内容の話です。90%の親は、習熟度を上げてくれと、このように言っています。やはりそういう不安が強い。今の教育、習熟度が足らないんじゃないかという親の不安の度合いが90%、このように調査で出ています。

そして、授業の内容を改善してほしい、指導の仕方を少し検討してほしいという意見が約半数以上です。やはりこの中で改善、ほかに補習とかという言葉も出てきておりますので、そういうものを含めると半数以上の方がそのような要望をしています。

それと、先生のことについての意見も聞いてみました。やはり今、よく言われる先生が忙しいということ。保護者のほうは、先生はほんとうに忙しいと感じているというのが66%、約7割の保護者がそう感じている。これは普通の人と違って、親は学校に行きますので、非常に身近に感じている。ですから、世間のいう評価と違って、ほんとうに自分たちが肌身で感じているというのが7割です。

その内容で、忙しいことについて、どのように思うか。保護者は学校に行った際、直に目にします。その時は、職員会議だとか、校内の運営のことだとか、あとは、校外での研修ですか、そういうものだとか、事務報告書、そういうものをどうも作成していることが多いというふうに親は見ています。

そういうようなことの中に、よく言われている、今、親の問題、これは、保護者もやはりそれは感じております。学校・先生への不満について、学校当局、教育委員会へ一部の人が問題を起こしているということは、保護者もこれは感じている。私どもPTAとしてはこのことも反省をしながら、学校教育を充実させるにはどうしたらいいか。これは私どもの問題でもあります。そのようなことを含め、この学級編制のことについてちょっと提案をさせていただきます。

やはり1学級は、いろんな親から聞いても、30人程度が望ましいだろうと。その望ましい理由ですが、子どもに対してのきめ細やかな教育が必要。今、いろいろな個性のある子どもがいます。場合によっては、LDの子どもさん、支援を特別要する子どもも入ってきております。これは、親が自分たちの子どもがどの程度か認識をしなくて、一般教室で教育させてくれということ、又親の認識の違いがある。そういう子どもたちが一般教室にも入ってくるので、やはり手間暇もかかり、学習のおくれを生じかねない。そういう方を含めた授業は、より先生に負担をかけているのが現状です。

それから、今、一律40人ですが、学年ごとの定数というのもやはり検討してほしい。これは、当然学校側の校長なり、教頭なりの裁量で幅を持たせた運営をさせてもらえればと考えております。

また、過剰な平等配慮が学校でもされているのではないか。今、運動会一つ見てもそうですけども、同じようなレベルを集めてあまり比較をさせないという。考え方によっては平等かもしれませんが、その平等というものは子どもに対しての刺激もなくなること。ある程度は子どもにも自覚をさせながら、比べるということも必要だろう。ましてや少人数になってくると、そういう意識もだんだんなくなってくる。そういうものをうまく取り入れることも必要でしょう。

それと、今、私立学校中高一貫に魅力を感じ公立から私立を考える保護者も多いだけに、中学、高校を合わせた公立一貫教育を要望する保護者がより多くなるのではないか。

そして、学校運営ですが、校長、教頭、場合によったら、先生を合理的に動かすには事務長の活用です。高校は事務長はおりますが、小中学校にも事務長制度を多く取り入れる。そして事務長の権限を上げて欲しい。私は、学校の先生には運営は不得手な分野だと思っています。それには、よく企業でいう総務的な、もうちょっと権限をあたえ、当然この学校にはこういう方向でいくことが必要だという、校長先生と学校側の運営に合わせた討論できるような体制。それと、限られた予算でどういうものをまず優先順位で使っていくか。事務長では、限られた予算と学校の方向と地域性を見て、判断を下していくことがこれからは必要でしょう。

それと、活力ある学校づくりですが、例えばこの学校は、理科を伸ばしたいんだ。数学を伸ばしたいんだ、国語を伸ばしたいんだと、こういうような特徴のある学校をつくっていこうという意欲を各学校・先生方に持たせることが必要でしょう。それには、委員会、校長、先生方が話し合って、この教科を強めていくには、こういう先生が私の学校では必要だと要望する。当然都会と田舎では違いますし、地域性もありますが学校自体がどういう先生を求めるかということもはっきりすることが必要だろう。それで、先生も、指名のかからないような、リストも上がってこないような先生では、やはり質が上がってこない。先生同士の研さんの場にもなる。私は、教科で、あの学校にも望まれているとの意識を高めるという制度も考えていく必要があるでしょう。

教職員の定数改善については、これはコストのかかってくる話です。先生を増やすということの対応の中に、定年をされた先生の活用をもっと入れたらどうか。それは、年代によって増えたり減ったりしますし、学校の状況によっても必要な学校もありますし、そう必要でない学校も当然出てくるでしょう。そのような対応の一部に、定年を終えた先生を再度雇用する。これについては、「あの先生にぜひもう一度若い先生の指導も兼ねてちょっと教えてもらいたい」との保護者の意見も聞きながら、再利用していくのはどうか。

それと、小学校でも専科授業をちょっと増やしたらどうか。今の先生、理科が不得手だという先生もいらっしゃるようですから、少し専科授業の取り入れもしていただけたらと、思っています。

また、若い先生が教職をあきらめること、自分には適していないんじゃないかと、途中でダメージを受けてドロップアウトする先生もいるというふうに聞いています。教職を目ざす以上はね、学生の時に、学校にもうちょっと足を運んで、自分だったらどういうふうな教育をしていくか、子どもとどのように接するか、自信をつけさせるという機会を少し多くしたほうがいいのではないか。

それと、教師は小中学校義務教育では、教科を教えるテクニックの問題だと思っているんです。いかに子どもたちがその先生に魅力を感じて聞く耳を持つか。これはやはり先生の質の問題になります。先生方、特に若い先生は社会に不馴れな面もあります。委員会、学校は、民間のいろんな人との接触の機会を増やして、先生の社会性、魅力のある先生づくりに努めていただきたい。

以上です。

【髙橋財務課長】  どうもありがとうございました。それでは続きまして、社団法人全国高等学校PTA連合会の髙間会長様よりお願いいたします。

【全国高等学校PTA連合会】  全国高等学校PTA連合会の髙間でございます。本日は、このような機会をお与えいただきまして、まことにありがとうございます。

資料に沿って読み上げながら、ご説明をさせていただきたいと思います。

今後の学級編制及び教職員定数の改善に関する意見ということで、(1)学級編制の改善について。1学級当たり、学校・教職員の目が生徒に十分に行き届く数に改めていただきたいということで、私ども、社団法人全国高等学校PTA連合会が、子どもを取り巻く人間関係と回復と社会環境の充実事業の中で、2009年に実施した「全国高校生 生活・意識調査」(調査対象者・高校2年生6,164人)のアンケートの結果で、これにつきましては、報告書がございますが、これも文部科学省の委託事業になっておりまして、すでに報告書を提出させていただいている案件でございます。

これによりますと、「授業についていけるか」の問いに「毎回ついていけない」「ついていけないことがよくある」という高校2年生は、ついていけない子は男女とも25%を超える高率でありまして、男子26.3%、女子は28.3%。授業についていけなくなる開始時期の最多は、高校1年生、男子30.3%、女子34.3%で30%を超え、次が中学2年生、男子14.4%、女子16.3%。小学校からついていけなくなる子が、男子6.1%、女子が7.5%であります。かなり早い時期から授業についていけない状況が始まっていることがここでわかります。

この調査結果を見ると、保護者として、高校の現状を深刻に受けとめるとともに、それ以前の義務教育時の状況においても課題があるという認識を抱かざるを得ないということでございます。以前、私たちが大学の先生とお話をしたときのことでございますが、ある生徒がその先生に対して、わからない授業をずっと聞いていなきゃならない私たちの気持ちがわかるかと、言ったそうですけども、そういった子がほんとうにいるというのは現実のようでございます。

この調査結果から、授業についていけない生徒を早期に発見して、手を施すことができない要因の一つに、一人一人の生徒に対する評価が十分になされていなかったのではないかと想像されます。保護者としては、子どもの学習状況について、学校での授業の実態や学習評価のあり方に深く関心を持っているところであります。評価対象である子どもたちを細やかに指導し、観察してほしいという願いを親たちは持っているところであります。

2つ目として、新しく学習指導要領が改善され、各教科が授業で扱う量や領域が増え、それに伴って、児童生徒の学力にさらに大きな差が生じることを心配しております。いわゆる落ちこぼれた子どもが出るだけでなく、伸びこぼしがあってはならない。また、学力の向上や学習のおくれの問題のみならず、いじめの実態を早期に発見し対処するためには、一人の教員が対応できる生徒は現行よりも少ないことが望ましいと考えられております。ただ、クラス単位の特別活動と授業とではそれぞれ適正で有効な人数があると考えられています。したがって、お聞きするところによりますと、1学級36人程度、それ以下がよいのではないかということであり、授業については、教科性を鑑みてさらに少人数で授業を展開することも必要であるというようなことも言われています。

続きまして、教員定数改善についてでございますが、教科指導及び生活指導の充実のために教員定数を増やしていただきたいということでございます。前出の調査で、「今、一番多くストレスを感じていることは何ですか」とアンケート調査で尋ねたところ、ストレスがない生徒は、男子21.3%、女子11.8%で、8割から9割の生徒は何らかのストレスを感じておりました。ストレスの内訳は、「勉強のこと」が最も高く、男子29.6%、女子29.2%と、3割近い生徒が勉強に対し強いストレスを感じておりました。次に多かったのは、男子では「部活動のこと」、女子では「友人のこと」という順序でありました。

この調査から、高校生の約3割が勉強について強いストレスを感じていることが明らかとなりました。前出の調査のとおり、授業についていけない生徒が25%超であることから、このことがストレスの要因とうかがえることができ、保護者としてこうしたストレスが生活上も影響することを非常に心配しているところであります。

また、続きまして、多くの保護者から、教員は忙しくて十分に補講・補習、部活指導に出てもらえないとの声や、また、休日等に開催されるPTA行事への出席率は低いのではないかという声もあるようであります。ここに書かれているA学年主任のケースというのは、これはモデルで、あくまでもこういう方がいるということでございますけれども、授業が18時間と、それに関連したもろもろの時間数を足すと約30時間ぐらいになってしまうということであります。

次に、子どもたちには特別活動で社会性を身につけ心身を鍛え、協力し合いながら人と交わるすばらしい体験をさせたい。児童生徒にとって特別活動は心身の成長を促す大切な学習であり、保護者の関心も高い。また、対人関係で悩む生徒が最近は多く、高校生時代は心身の成長に伴うトラブルも多様化しているところであります。そういったものも含めて、メンタル・ケアの面で学校の保健室の充実、看護師及び養護教諭の複数配置等をお願いしたいとところであります。

以上でございます。

【髙橋財務課長】  どうもありがとうございました。それでは、続きまして、全国教育大学協会の村松会長様よりお願いいたします。

【日本教育大学協会】  本日、教員養成に当たっております大学側にこのような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。お手元の資料に沿うような形で、読み上げることはいたしませんが、意見を申し上げたいと思っております。

昨年は、多くの新制大学が60周年を迎えましたけれども、ということは、日本において、教員養成を大学で始めるようになってから60年たったということです。戦後の大改革で初めて大学で教員養成を行うという形をとりました。その時点では、それは世界的にも大変先駆的なものであったわけです。しかし、その後、欧米、あるいはアジア諸国の教育改革は最近もう急激に展開しておりまして、追い越されたという形で、より高度な教員養成をしているような形になってきております。

私ども日本教育大学協会は、教育者の養成に責任を持つ大学の連合体でございます。教員の資質向上と教育に関する学術の発達を図り、我が国の教育の振興に寄与することを目的に、新制大学ができた1949年に創立されております。私、この4月にこの協会の会長になりましたので、歴史を改めて見まして、国立大学協会より、日本教育大学協会のほうが少し先にできていたということも初めて知ったところでございます。本協会は、その創立以来、教員養成と教員研修の充実と改善、教師の資質能力の向上を目指し、とりわけ近年ではさまざまな課題が言われておりまして、教師の質の確保・保障という点から、教育、あるいは研究活動を続けてまいりました。これらの状況を念頭に置きながら、本協会の会長の立場から、今後の学級編制及び教職員定数の改善に関する意見を申し述べたいと存じます。

なお、教師教育の充実と発展は、私ども、教員養成機関だけではなく、教育委員会との連携の重要性ということがございます。それぞれの独自の立場を十分尊重した上での意見を申し上げたいと思っております。

最初に、定数を拡充したほうがいいということの理由を、教員養成の立場から5点ほど申し上げたいと思います。

まず1番目、教育実習ということに関連した問題です。教員養成におきまして、教育実習というのは非常に重要な要素でございます。大学卒業直後の新任教師に学級や教科を担任しつつ、教科指導、生徒指導等の職務を著しい支障が生じることなく実践できる資質能力、そういうものを保障するということ。あるいは教育実習で自分の適性を見きわめるというようなこともございます。今、議論されています教員養成の高度化という話の中でも、この実践的な経験を積ませる期間としての教育実習の期間の延長の議論もあるというふうに伺っておりますが、単に期間を延長するだけではなく、それを質的にも充実させることが必要だろうというふうに存じます。その場合、ただ、教員を志望している学生を現場に送り出せば、それで実習が成り立つということにはなりません。実習校や実習生の指導の担当教諭に任せるだけではなくて、大学側との往還、行ってきたものを省察するとか、その種のことというのが非常に重要になっております。現在、既につくられている教職大学院でも、非常に丁寧な教育実習をやっていることが成果を上げているんだろうと思います。

このように教員養成において、質の高い教員を養成するための教育実習ということを考えますときに、その教育実習生を受け入れていただく側の学校の受入体制の充実というのは非常に重要になってくるだろうと思います。そのためには、やはり十分な教員配置が望まれるところでございます。現在でも、私ども、国立大学では、かなりの部分が附属の学校で教育実習を行っておりますけれども、それ以外に、例えば私の属しております東京学芸大学では、附属学校での実習に加えて、3年で附属学校、4年で公立校に行って実習を行っております。そのときに本学で延べ約2,000人の教育実習生を送り出しておりますので、その学生たちを教育実習校として受け入れていただく学校を探すのはなかなか大変なことなんですけれども、どの学校でもお願いすればできるということにはなっておりませんで、多忙な先生方に指導もしていただかなければなりませんので、そこのところが学校側でも、よりよい教師を育てるためにも教師の数の拡充ということが必要だろうと思っております。

ちなみに、アメリカのウィスコンシン州の例なんですけれども、アメリカは州によっていろいろ教育実習のスタイルも違いますけれども、2カ所に9週間ずつ、違う校種に9週間ずつ行くようなシステムをとっているそうですが、そういうところでは、学校側に協力教員というようなものを配置しているというような例もあるというふうに伺っております。

2点目ですけれども、教員養成系の大学の大学院で今、現職教員の方たちを受け入れています。積極的に受け入れて、その方たちの研修という意味でも、そこで勉強していただくことになっております。それは新構想大学院(上越・兵庫・鳴門教育大学)の3大学がございますけれども、それ以外の教員養成系の既存の教育学の研究科の修士課程におきましても、あるいは20年度に設置されました専門職大学院としての教職大学院でも、そのいずれでも現職教員を積極的に受け入れているわけです。そこで学んでいただくことが質の向上につながるというふうに考えるわけですけれども、そして、実際そこで確かな指導理論ですとか、すぐれた実践力、応用力を備えた、教職大学院ではスクールリーダーの養成を行っているわけです。

しかし、これらの大学院で学んでほしい、こちらとしては学びにきていただきたいような教員という方たちは、しばしばその学校にとりましては中核的な戦力となる教員であることが多くて、なかなかそれを離したがらないというようなことがございます。今後、そういう大学院などで研修を積んだ方が、また後進の指導などにも当たらなければいけないというような状況を考えますと、この種のシステムというのを教員養成制度の改革の中でもお考えのことだと思いますけれども、そのための、研修者を送り出すためには、学校の現場のほうに代替教員というものがいないとなかなか送り出していただけないということがございます。したがいまして、その学んだ人たちが、研修後、適切な職場に帰れることと同時に、派遣元のほうの人的なフォローアップ体制というものが必要だと思います。

ちなみに、文部科学省の19年度の地方教育調査というのを拝見いたしますと、全国の教育委員会、1,900ぐらいあるんでしょうか。そのうちの半数以上では市町村レベルにおきましては、指導主事が配置されてないという場合も多いというふうに拝見しております。その意味で、現職教員の研修機能、あるいは質向上のための教員配置計画というのを拡充していただくことというのは、教員の質の向上のために、学校全体としての力をアップするために大変重要なことだろうと思っております。

ちなみに、教職大学院の修了者、既に出始めておりますけれども、その方たちが現場に戻って、もう一回現場で学校をよりよくしていくと同時に、さらにその後、その方たちが再び実務家教員という形で教職大学院等で指導に当たっていただくことも期待したいと思っております。そのためにも、それをフォローするような人的措置が必要だろうと思います。

3点目ですが、これはあちこちで言われているところですが、学校教育の改善が進展する中で、新しい職種ですとか、取り組みというのがさまざまになされております。スクールカウンセラー、TT、少人数指導、特別支援コーディネー
ター、図書館司書、栄養教諭等々、これらのことというのは、今日の学校にとって必要な機能となってきているんだろうと思いますけれども、実際そうであるからこそ、制度化されてきているんだと思いますし、こういう専門的な職業人や、あるいはボランティアの方たちと協働する地域コミュニティーでの学校教育を回復していくためのシステムづくりのために、そのキーパーソンとなるような人材が必要だろうと思います。それによって、1足す1がさらに掛け算になっていくようなことがあるんだろうと思います。生かすためにも中核的なキーパーソンを置くことが必要で、そういう職責をもつ人を正規の採用教員として確保することが必要だろうというふうに存じます。

4番目といたしましては、正規の採用教員の拡充とともに、臨時免許状というのがかなりまだございまして、その教員措置の解消ということも必要なことだろうと思います。実際、正規採用教職員によらない兼務者、いわゆる非常勤で教えていらっしゃる場合も非常に多く、特に中学校では小学校の2倍以上で、中学校等の特に技術教育などは臨時免許状の発行が非常に多くて、そういう方たちが担当されているような実態がございます。この辺を解決していくことも大きな課題ではないかと思っております。

それから、5番目、外国人児童生徒に対する教育への対応ということで、今日の国際化、日本の国内が国際化している状況の中で、外国人児童生徒の教育というのがございます。そこに数字を書いておきましたけれども、文部科学省の調査によりますと、約3万人ほどの外国人児童生徒が学んでいるということで、急速に増加しているということです。景気による影響もあるとは思いますけれども、滞在の長期化、定住化ということもございまして、外国人児童生徒の教育課題というのがございます。日本語力が弱いための低学力の子どもなども生じているわけで、そのためにはこういう子どもたちのための加配教員の増員とか、日本語教育を専門とする教員の配置が不可欠であろうというふうに考えます。その他いろいろ理由もございますけれども、教員の拡充はぜひお願いしたいところでございます。

あと、2点ほど、いわば提案のような形で申し添えます。

教員免許制度の見直しに関連して、絶えず学び続ける、大学だけではなくて、さらに大学院、さらには上級免許状取得、今でもその専修免許状でやっていますけれども、今後、管理職のための何らかの学びの場をつくるというようなことがありましたら、上級免許状の取得者に対する給与待遇とか、それなりの職責を持たせる、明確にする等のことが必要だろうと思います。また、特に、先ほど申し上げました教育実習につきましては、勤務時間を超えて指導する先生方に対する手当保障、大学との連携研究、地域との連携研究のための超過勤務の手当などが必要だろうと思います。前のお二方からも出ていたかと思いますけれども、教員の多忙化に対応するための学校運営を支える教員以外の事務職員を含めたスタッフのサポート体制ということも、スーパー事務室というような話も、先日の熟議でも出ていたやに伺いますけれども、必要なのではないかなと考えております。

で、学級編制につきましては、以上のことにより、児童生徒にきめ細かな指導ができるような学級編制ということで、やはり早急に40名未満の学級編制にすることが必要だろうと。このことが先進諸国の動向でもあり、かなりまだ格差がございますけれども、必要であるということでございます。

なお、国立大学法人の附属学校園におきましては、常に研究的な実践を開発しているわけでございますけれども、ここは依然として40人学級でやっておりますので、かなり厳しいことになっております。計画的な定数改善を実施することによって、教師志望の学生も将来の新しい、明るい見通しを与えることになって、よりよい学生たちが集まってきてくれることを期待したいと思っております。

以上でございます。

【髙橋財務課長】  3名の皆様、どうもありがとうございました。それでは、残りの時間を質疑応答に移りたいと思いますが、副大臣、政務官、いかがでございましょうか。

【鈴木副大臣】  どうもありがとうございました。3名の方にお伺いをしたいんですけれども、地方においては既に、これはばらつきはかなりありますけれども、県単独の措置によって少人数学級、あるいは30人学級が実現されているところがございまして、そういったところはいろんな意味で成果を上げているということを感じていますので、もちろんそれは大変いいことだと思いますが、これは、実はこの前も町村会の方に伺ったんですけれども、これ、国が、今まで県単でやっていたものを国が面倒見るという方向に乗り出していこうとしているわけなんですが、子どもや保護者から見れば、単に何か負担が、県の負担から国の負担にかわってしまっただけでは、何の改善にもならないわけですから、その事態は我々は避けたいというか。都心部においては、これは全然足りませんから、これは国がやることによってかなり前進がなされるんだと思うんですけれども、そのときに、地方に私どもは基本的に任せたいと思っているんです。しかし、任せた結果、何も増えませんでしたというと、何をやっているのかよくわからなくなってしまうので、何らかの改善に向けた縛りと。そういうことだと、さらに、30人を24人だとかに向けていくという方向もあるかもしれませんが、プラスそのバックアップ体制というか、事務長みたいなお話もありましたし、専科教員みたいなお話もありましたし、それから、高校段階で30%がということであれば、やっぱりそれこそ習熟度とか、補習とかいうのを相当程度やっていかなきゃいけない。いうことだとか、そこにどういうある種の誘導といいますか、オブリゲーションといいますか、をかけていったらいいのかなということを少し思案をしていて、何かサジェスチョンいただけければと思います。

それから、もちろん財源に限りがありますので、小中高、それは全部やりたいと。それを全くやらないというわけじゃないんですけれども、限られた、要するにプライオリティーを知りたいわけですね、我々。結局、学力、しかも、中学校段階、きょうの学力の追いつきの話でいうと、中学校で小学校のおくれを取り戻して、そこで清算しておけば、高校に送り出すときには一応何とかツケをない形で高校に送り出すということだとすると、中学校の充実というのは、非常に重要なようなふうにもきょう受け取ったんです。もちろんほかもやるんですけれども。そういう何かいろんな意味でのプライオリティーについてもう少し教えていただければ大変ありがたいなと思います。お三方、よろしくお願いします。

【全国PTA全国協議会】 確かに今、副大臣がおっしゃるように、非常に地域性があります。それと、やはり多国籍の子どもたちも増えている都会と田舎とまた違うんですね。ですから、そういうものを考えると一律ということにはちょっと、問題が生じてくる。そういう面では、地方にそういう権限を持たせて、その地域性に合わせた教育をする。

それと、やはり基礎的なもの、ある程度の基準を満たす学校にする。習熟目標をしっかり持たせ、それ以上のものを求めさせるということが必要だとは思います。

人員的な対応、事務長的なことを強く言うのは、これから地域の支援を得ていくということ。今、各学校がその対応を校長もしくは教頭がやっているんです。本来は校長、教頭は学校に目を向けなければいけないものを、どうもそっちのほうにもとられている。それと、私どもの保護者としても、まことに言いにくい話ですが、なかなか理解できない保護者がいる。そういうものはやはり専門的な事務方が整理をして、地域も含め対応していく。先生と相談しながら、やはり中間に入ってよりよい学校の運営をしていく。当然地域でいろんな活動をして、地域の人たちの教育を得ているところもありますので、そういうものは、先生も、事務方も勉強していくことも必要だろう。

それと、さっきの各学校が特徴を出す教育ということで、教育委員会なり、先生方は、常にどういう先生がいるのか、自分たちの委員会内に目を配る。それと、先生は常に自分たちは向上しなきゃいけないという意識を持つ。これは、第三者的なところから、常にそういう評価を見てもらうような、やっぱり刺激をしないとよくなっていかないと思うんです。先生については、悪い先生のことがよく話題になるのですが、多くの先生はやはり教育に熱心な方です。そういう刺激を与えながら、学校に携わって、自分たちの仕事は魅力があるだという意識づけをしていただきたいと思っています。

それと、小学校は、手のかかる学年と少しかからない学年とがあるので、その配分も当然学校側がよくわかっていることですから、権限を与えて、そういう配慮をさせたらどうかと思っています。

【全国高等学校PTA連合会】  それでは、ただいまのご質問でございますけれども、高校だけに限らず、学級の定数の問題なんですけども、基本的に30にしたから、落ちこぼれる子が出ないかということはならないと思います。いい状況というのが、高校は一定のレベルでありますので、一定の子どもたちが入ってきますけれども、そこの中でおくれてくる子はおくれていきますので。ということは、そこは40人でも、30人でも同じことだというふうに考えます。だから、そのおくれた子をどのようにその中でおくれないように、おくれた中でも支えていけるのかというのが、私は大事なところなのかなというふうに考えております。

それと、やはり今、言われたように、小学校のおくれを中学校で取り戻すということが、小学校6年間のものが3年間で取り戻せるのかどうかというのがやはり一番問題で、そのおくれた時点で、本来からいくと、おくれながらでも少しずつ教えてレベルを少しずつでも上げていくというのが重要なのかなと思います。それが形として、横浜市でやられているように小中一貫で9年で物事を考えるだとか、今、よく言われていますけど、中高一貫なんだとかというのが、地方では、最近は中高一貫のがいいんだよだとかという話がされている部分もあるようでございますけれども、基本的に根本的にいろんなことが、おくれたときに適材適所でそういったことをしてあげれないと、やっぱり大変なのかなと思います。いろんなことがあろうかと思いますけれども、教育は子どものためのもので、親のためのものじゃないんで、やはり子どもたちがしっかりそれを習って、その次の世代として国を支えるだとか、いろんなことを考えていただくような施策でないと、ちょっと大変なのかなと思いますし、私たちもそうですけれども、どこかでおくれたときに、その中間にきたときに、それを一遍に取り戻せといってもなかなか難しいのかなと思います。

子どもたちをしっかり見守るような施策をしていただくとか、教員も増やして、子どもたちをしっかり見守るような教育をしていただくことによって少しでもおくれた子を引っ張り上げるような状況をつくってやっていただければいいのかなというふうに私のほうは感じております。

以上でございます。

【日本教育大学協会】  ご質問の第1点のほうの増員を、地方の事情が違う場合にどのような形でするかということに関しましては、やはり基本は柔軟な、かなり自治体の自主性に任せるという対応が必要だろうと思いますけれども、そのときに学級編制だけではなくて、さまざまな、例えばこちらで申し上げたような教育実習生を積極的に引き受けますよとかというような形でも、加配の基準みたいなものをもっといろいろ広げておいて、その中でこのまちはとか、この学校はこういう基準で必要ですというふうなことをきちんと理由を提示していただいて、その理由に見合った加配をしていくみたいなことは考えられないかなと、ちょっと一応考えました。

それから、学校段階のどこにプライオリティーを置くかということに関しましては、私もやっぱり早いほうが、ツケがだんだん中高と上がっていくということを考えますと、私は、中学校ももちろんそうなんですが、小学校もかなり拡充していいのかなと思います。小学校の段階で学ぶ、勉強するというのはどういうことか、学び方を学ぶというのが非常に大事だと思うんですね。それを身につけていくことによって、中学、高校がより生きてくるという形で、今はそれが逆回転しているような部分があって、学び方を知らないまま、中学や高校に入ってきてしまっている子どもたちがいるのかなという気がいたします。そういう意味では、私は、ちょっと小学校を手厚くするのがプライオリティーかなと思いますが、きちっとしたデータを持っているわけではございませんが、私の感覚としてはそう思っております。

【髙橋財務課長】  ありがとうございました。

【鈴木副大臣】  小学校1年生は手厚くしなきゃいけないって、これは多分コンセンサスだと思うんですね。それで、ついていけなくなるということでいうと、かなり教科によって違いがありますよね。典型的なのが算数、数学ですよね。あと、英語ですよね。だから、例えば考え方としては、学級規模ももちろん多少は改善しようと思っていますけど、算数とか、数学の専科を大量に入れて、そこだけは小人数とか、習熟度とか、あれだけの人が望んでいるというのがきょう改めてわかったんですけど、であれば、その教科、あるいは中学校については、英語などはそういう習熟度をかなりやるということになってくると、いわゆる落ちこぼれ感の解消ということからすると、かなりプラスになるのかなというような感じも受けたんですけども、そこは何かありますか。

【日本教育大学協会】  多分それはおっしゃるとおりだと思います。どの段階が最も有効なのかというのは難しいところだと思うんですが、ただ、外国語教育も小学校で始めるようになったときに、その種のことが、そこにはぱっと先生が、今のところ、全員の先生が外国語教育に習熟されているとは限りませんので、そこでむしろ英語嫌いをつくってしまうようなこともあり得ますので、やはり教科によってかなりきめ細かく見ていくということは大事なことかなという気はいたします。

【髙橋財務課長】  そのほか、いかがでございましょうか。

【高井大臣政務官】  相川会長がおっしゃった企業の総務的な仕事をする人って。もう少し具体的に教えていただきたいんですけど、その方は、例えばマネジメントも含めてということではなくて、もう純粋に事務処理プラス総務的な対応という形、つまり、それは、例えば教員であってよい、そういう人を養成するにはどういうふうにすればいいのかなということもちょっと問題意識としてあったもので。

【全国PTA全国協議会】  やはりマネジメントも含めたものを持ったほうが私はいいと思います。それと、先生方が、今の限られた先生でも効率を上げるには、事務方が、例えば教材の準備をしたり、そういうこともできると思うんです。それは事務方と先生方とよく話をして、そういうものの準備だとか、また、報告書にしてもそうですし、目に見えているものから先にやって、子どもに向き合う時間を増やしていく。それから、お互いにそういうことをやることによって、当然先生方もその事務的なものも学ぶし、マネジメント的なものも学んでくるし、事務方も教育について細かいものまで配慮してくる。そういうことが必要ではないでしょうか。あまりにも見ていると、失礼な言い方ですけども、事務方は学校の先生のどうも助手的な雑務整理的仕事だと思われている。むしろ、学校運営をするには一緒にやる必要もあるんじゃないかなとは思っています。今、地域に対してのいろいろな活動も多くなっていますので、分担をしてやっていく必要があると思っています。先生は、子どもに対しての教育はどうしたらいいかということを真剣に考える時間が必要ではないでしょうか。

【高井大臣政務官】  つまり、今、事務職員と学校の教員とはまた養成課程がまるっきり違っていますし、採用もまたまるっきり違っている中で、今のお話を聞くと、教員の経験もあるような、事務職員的な仕事ができる人のほうが理解されやすいのかなと、例えば補助的なことであれば。そうしたら、もしかしたら、村松先生に聞いたほうがいいのかもしれませんけど、どういう養成のあり方というか、何というか、分けるのか、給与の体系で分けるのか、教育の資格を持っていて、かつ事務職員的な仕事を専従にするというふうなほうが望ましいのかなという感じがしたんですけれど。

【日本教育大学協会】  教育について理解がないと困ると思いますけれども、必ずしも免許を持った方ではなくても、プロフェッショナルで同等の方でもいいのかなという気はしますけれども、マネジメントのほうを専門に、雑務だけではなくて、雑務はあると思いますけれども、今、学校の教員もみんな雑務をしている部分という意味ではありますけれども、さらに、そういう職種があるんだというような形も考えられるかなという気はいたします。必ずしも教員免許を取っている必要はないのかなという気がします。その人たちを教員養成で育てなきゃいけないとしたら、どうやって育てるかというのを今、一瞬考えてしまいました。

【髙橋財務課長】  一応予定の時間にはなりましたが、最後に、どなたかございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、最後に、高井大臣政務官から一言ちょっと御礼のごあいさつを申し上げさせていただきます。

【高井大臣政務官】  貴重ないろいろなご意見ありがとうございました。いろいろこれを生かしてまた次のステップに取り組んでいきますので、これからもいろいろとご指導をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【髙橋財務課長】  以上をもちまして、ヒアリングを終わります。ありがとうございました。

── 了 ──

 5.出席団体

社団法人日本PTA全国協議会(相川 敬 会長)、社団法人全国高等学校PTA連合会(髙間 專逸 会長)、日本教育大学協会(村松 泰子 会長)

お問合せ先

初等中等教育局財務課