今後の学級編制及び教職員定数の改善に関する教育関係団体ヒアリング(第2回) 議事録

1.日時

平成22年3月2日(火曜日) 13時~16時

2.場所

文部科学省東館3階 2特別会議室

3.議題

  1. 参加団体からの意見発表
  2. 意見交換

4.議事録

第1部

【髙橋財務課長】  お待たせいたしました。ただいまから第2回「今後の学級編制及び教職員定数の改善に関する教育関係団体のヒアリング」第1部を開催させていただきます。本日は、お忙しいところ、皆様方、ご出席いただきまして、ありがとうございます。本日ご出席の皆様の名簿は机上にお配りをしておりますので、名簿をもちましてご紹介にかえさせていただきたいと思います。それでは、まず冒頭、鈴木文部科学副大臣より、ごあいさつ申し上げます。

【鈴木副大臣】 皆さん、今日はどうもありがとうございます。ご紹介いただきました文部科学省の鈴木でございます。

今日は、学級編制と教職員定数の改善について、日ごろ現場でご苦労いただいております皆様方からご意見を伺いたいということでお越しをいただきました。教職員の数の充実につきましては、民主党のマニフェスト、あるいは政権発足時の総理指示でも明確な位置づけがなされておりまして、早速、平成22年度の予算案では4,200人の定数改善を行ったところでございます。目標といたしましては、やはりOECD加盟先進国並みという1つの目標を持ってやっているところでございますが、これをどう計画的に毎年々の予算編成で、もちろん充実させていくということは大事なのですけれども、計画的にどのように改善をしていったらいいのかということについて皆様方から色々とお知恵をいただきたいと、こういうふうに考えているところでございます。

現在は学級編制の標準は40人となっているわけですが、もちろん私どもは増やします。増やしますが、増やすシナリオというか、特に現場でどういうところが、どの程度補充をしていく、計画的に増やしていくことが必要なのか。そのあたりのイメージを共有させていただければと思います。良い制度をつくっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

今日はどうもありがとうございました。

【髙橋財務課長】  それでは、各団体の皆様から、1団体7~8分ぐらいでご発表をお願いできればと思います。まず順次、6団体からご意見をいただきまして、その後、質疑、意見交換をいたしたいと思います。それでは、まず最初に、全国市町村教育委員会連合会、神吉会長よりお願いいたします。

【全国市町村教育委員会連合会】  全国市町村教育委員会連合会の神吉です。私は兵庫県加古川市の教育委員長をしております。こういう意見を聞いていただける場をつくっていただきまして非常にありがたく思っております。ありがとうございます。

それでは、7~8分ということでございますので、時間内で説明を申し上げたいと思います。

まず、40人学級というのは、実施されてから30年たっている。その間に社会の変化、同時に子どもたちも変わってまいりました。子どもの数が減ったというだけではなくて、子どもそのものが変わってまいりました。ということで、学級定員は、先ほども鈴木副大臣がおっしゃっていましたけれども、OECDの平均ぐらいは少なくしていくことが必要ではないかなと思っております。

そうしますと、効果というか、指導面で児童・生徒1人1人のきめ細やかな指導ができます。そうすると、当然ながら、学力の定着、あるいは学力が高まるということは可能になるのではないかなと考えております。

また、生活指導の面におきましても、不登校やいじめ問題に関しましても効果が出るのではないか。もちろん、基本的な生活習慣、これは私はもともとは家庭の宿題だと思っていますけれども、基礎的な生活習慣、あるいは規範意識の醸成という面でも学級定数が少なくなることによって効果が出てくるのではないかなと考えているところでございます。

これと教員定数の改善とは非常に密接に当然関係があるわけでありますけれども、教員定数を増やすという一番理由は、私は先生方が子どもたちと向き合う時間を1分でも10分でも多くすると、このことが非常に重要だと思います。

今、OECDのデータを私は見ているんですが、文科省のほうも、このデータをお使いでしたけど、財務省のほうも、これをいいところだけ使って反論といいますか、しておりますけれども、先生方は非常に忙しいですね。財務省のほうの反論では、教員の授業担当時間というのは日本が一番少ないではないかという話が出ておりますけれども、確かにそうです。けれども、先生方は授業だけしておれば一番気楽でいいんですけれども、そうではなくて、それ以外の仕事が実に多いですね。学校行事でありましたり、クラブ指導でありましたり、あるいは個々の児童、生徒、個々の子ども、そして個々の家庭、保護者と話をするというのが非常に時間的に多い。

私どもの委員会でも、朝、始業早々、電話がかかってくる。指導主事が受けると、その指導主事は長い時間、30分、40分も電話から離れられない。これでは仕事にならないということで、私どもは、そういう質問とか相談とかいうのは全部、教育相談センター教育研究所のほうに回しまして、そちらのほうで電話の受け答えをやっていただくようにしております。そこでいろいろな統計をとっておりまして、どういうお話があるのかというのを報告するようにしていただいておりますけれども、そういう意味で先生方は非常に勤務時間としては多いという。したがって、子どもと向き合う時間が非常に少ないというのが問題であろうと思います。

特に研究発表会なんていうのは、先生方で学内・学外を問わず、たくさんあります。文科省指定の研究発表会なんていうのは、どの先生も行きたがるんですね。ところが、行けないですね。行くことによって授業の欠員ができる。私は学校訪問をあいている時間にすることにしておりますけれども、学校に行きますと、職員室にどなたもいらっしゃらない学校があるんですね。校門が閉まってますので、御用の方はベルを押してください。押すんだけれども、返答がない。つまり、職員室にどなたもいらっしゃらない。聞いてみると、先生が1人急病で休んでおられて、校長が授業に行っているということが現実にあるんですね。ですので、先生方が安心して研究会に出ていけるという、勉強ができるという、そういう余裕のあることが必要ではないかなと思います。先ほどの副大臣のお話の中にもありましたけれども、OECDならずとも、アメリカ、フランス、イギリス等々の先進国を見てみましても、先生の担当の子どもの数というのは日本は非常に多いようであります。

それからもう一つ、特別支援が必要な子どもたちというのが非常に増えてまいりました。全国平均は6.3だそうです。私のところは7.1%です。クラスに行きますと、必ず1人か2人、そういう子どもがいます。親御さんにとっては、学校を出ると一般社会に健常者とともに生活しなきゃならないから、できるだけ健常者の子どもたちと学ぶ機会をつくってください。よくわかります。子どもたちも、その子たちから学びとるという、いい面も当然あるわけですね。ところが、時によっては、その子どもが授業を乱すといったこともあるようですけれども、部屋から飛び出すというようなことが出てくるんですね。そうすると、先生は放っておくわけにいかないので、それを追っかけますと、残りの39人というのは放ったらかしになるんですね。

したがって、こういった子どもたちのLDとか、ADHDとか言われる、あるいは高機能自閉症と言われる子どもたちが増えてきたということに十分対応していくために、1人担任では無理であると思われますので、普通学級に在籍する特別支援が必要な子どもたちに合わせて、先生方も2人で対応するような、そういうことが必要ではないかなと思っております。

最後にしますが、もう一つ、文科省は図書充実費でたくさんのお金をつけていただきました。それによって子どもたちの学校図書が充実しているという事実があります。統計によりますと、70%ぐらいしか使われてないそうで、地方交付税でいきますから、各地方でいろいろなものに使われてしまっているということがあるようですけれども、たくさんの図書充実費をつけていただきましたけれども、この図書を有効に活用していく。つまり、子どもたちの読書活動を推進していくという。そういう意味では司書教諭の資格をお持ちの先生に活躍いただくということが非常に重要だと思います。この資格をお持ちの先生は随分いらっしゃいます。ところが、現実は学級担任と併任、兼任ですね。そうしますと、図書館に座っている時間がないんですね。そうすると、結果的に図書室はしまったままで、子どもたちの授業に使えないような状況が現実にあるわけです。

この前、ボランティアで図書室の管理運営をしてくれているお母さんと話をしました。どうおっしゃったかというと、私たちができるのは、本の管理、貸し借り、そして本を並びかえたりすることはできます。そして、読み聞かせはできます。けれども、子どもたちの読書活動までは私たちでは無理です。先生方で司書をお持ちの先生がおられたらいいのにといつも思いますとおっしゃっておりました。私どもの小学校、全部でそういうシステムがあるわけじゃありませんで、ある学校、ある小学校では、そういうPTAのお母さんで熱心な方が図書館の運営を手伝ってくれております。こういった役割をぜひ専任の、いわゆる定員内の司書教諭の資格をお持ちの先生を配置いただけると、文科省が図書充実費としてつけたお金が有効に活用されるということになるんじゃないかなと思います。以上で終わります。ありがとうございました。

【髙橋財務課長】  どうもありがとうございました。それでは、続きまして、全国公立小中学校事務職員研究会、檜山会長様、お願いいたします。

【全国公立小中学校事務職員研究会】  こんにちは。全国公立小中学校事務職員研究会です。本日は私どもに意見発表の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。お手元の資料に沿って意見を述べさせていただきます。

学級編制基準が規定されて30年。当時と現在では学校・家庭・地域ともに様変わりしています。価値観の多様化、格差の拡大など、その影響は学校にも及んでいます。子どもたちの学力も、二こぶ化傾向が進んでおり、個別指導を要する児童・生徒の増加があり、新学習指導要領の円滑な実施、多様化・複雑化する教育課題へのよりきめ細かな対応を着実に行うためには、少人数学級の実現が不可欠であると考えます。

また、さまざまな課題に的確に対応するにはマンパワーが必要ですが、教職員は増えず、教員の勤務時間は平均10時間22分にも達するなど限界に来ています。教員が教員外の仕事に忙殺されている実態も明らかになっています。

イギリスでは、教員以外の専門スタッフが43%も配置され、教員が行ってはならない管理的な仕事や事務的な仕事を明確にするなど、教員が授業に専念できる体制が整っております。日本では教員以外のスタッフの割合は20%にとどまっており、教員がいろいろなことをせざるを得ない状況になっています。また、教員は1日平均約2時間、事務的な業務に割かれており、この事態を私どもも深刻に受けとめております。

しかしながら、我が国のほとんどの小中学校では、事務職員が単数配置です。同じ規模の高校に比べても少ない配置となっています。例えば同じ26学級の場合、小学校では1名配置ですが、高校では3名から4名が配置されています。小中学校では事務職員が少ないため、教員の事務負担も多く、その負担感も募っています。教員が子どもと向き合う時間を確保するためには、教員のこの事務負担を軽減する必要があります。校務の効率化を進めるとともに、組織運営体制を見直し、教員が担っている事務を事務職員が担えるような事務処理体制を整備する必要があり、そのためには事務職員の定数改善が不可欠となります。

では、本来、どのような事務職員配置が望ましいのか、私たちが考える基本原則を4点挙げさせていただきます。

1点目は、事務職員の全校配置です。学校があれば、そこには学校事務が必ずあります。学校の自主性・自立性が確立する中で、教育委員会から学校へ権限が移譲され、裁量拡大が進み、学校の責任も大きくなるとともに、学校事務もますます重要になってきています。学校事務は事務職員が専門的に担うということが原則であり、全校配置が基本であると考えます。

2点目は、複数配置です。学校事務には複数の事務職員で行わなければならない業務があります。例えば契約と検収、発注と支払いは同一人物が行ってはならない業務でありますが、多くの小中学校では事務職員が1人です。また、学校規模が大きくなると事務量が増えるというだけではなく、学校の課題も多く、かつ複雑化するため、さらなる複数配置基準の改善が必要だと考えています。

3点目ですが、学校の特性に応じた配置が必要です。就学援助については標準法で措置がされていますが、それ以外にもさまざまな取り組みの拠点校には事務職員の配置が必要だと考えます。

4点目には、昨年3月末に学校教育法施行規則が改正され、小中学校にも大規模校や共同実施組織に事務長を設置することができるようになりました。これを有効に活用するためにも、事務長の定数措置をしていただき、その力を存分に発揮できるようにしていただきたいと考えています。

これらの定数改善により、さらに事務の組織化が進みます。事務職員が担当することにより、その専門的能力が発揮され、学校全体として一層の効率化が図られ、適正な事務処理が推進されます。学校の事務の質が向上し、効果的な学校運営が推進され、学校の教育力が高まります。

現在、全国で展開され、多くの成果を上げている学校事務の共同実施組織への加配を基礎定数化していただき、安定性を確保することで、さらに学校間連携や地域連携に沿った学校事務、学校づくりを進めていくことができます。

あるべき教職員の姿として、副校長には全体調整と進行管理を行っていただき、教頭にはもっと若手の教員の指導やフォローに当たっていただきたいと思います。そして、教員には授業のスキルを磨くとともに、配慮を要する子どもたちのきめ細かな指導に当たっていただき、すべての子どもたちに学ぶことの喜びを与えていただきたいと思います。そのために、私どもは学校事務に責任を持って当たります。特に財務、情報管理、施設管理、渉外、就学保障などを通して、子どもの豊かな育ちを支援してまいります。

学校事務が変われば、学校は確実に変わります。事務職員を増やしていただき、事務を組織化し、教育課程進行管理など、現在、教員が担っている事務を事務職員が担うことで教員が教育活動に専任できるとともに、より効率的で質の高い学校事務、効果的な学校運営が展開できます。

私どもでは、昨年末、教頭会の協力を得て、事務職員が増えた学校を対象に調査を行いました。学校の変化について伺ったところ、事務職員が1人増えて学校全体がよくなったと68%の教頭が答えられております。また、文部科学省が行った教職員意識調査や都道府県教育長協議会の調査でも、事務職員の定数増に対する大きな期待が示されています。関連する新聞記事などの資料も用意してまいりましたので、後ほどご覧いただけると幸いでございます。

事務職員が増えると、事務職員、教頭、教員の職務はどのように変化するかをあわせて調査しました。事務職員の職務内容は、行政・関係団体への対応や施設設備管理、それから就学援助などのほうに大幅に拡大しました。教頭は、文書管理や施設設備の管理の仕事が減り、人事評価・学校評価などのマネジメントに関することや、児童・生徒の指導、教職員の指導にシフトが移りました。教員の職務内容は、就学援助や施設管理、それから経理に関するものが減って、教材研究、それから児童・生徒への対応が増えております。このように事務職員が増え、事務が組織化されると、教員が教育活動に専念でき、学校は確実に変わります。

会計事務を慣れない教員10人でするより、1人の慣れている事務職員がやったほうが間違いなく、そして早く行うことができます。

また、教員以外の専門スタッフを充実させることも重要ですが、教員以外の専門スタッフを有効に機能させ、取りまとめていくためには、ますます事務長、事務職員の力が重要になってくると思います。また、学校事務は情報化の中で裁量拡大に伴い、そして教育と一体となって、さらに高度化し、専門的になっています。餅は餅屋です。事務は事務職員が担うような組織体制、人員配置を日本の小中学校にもしていただければと願っております。

教職員の適切な役割分担により、それぞれの職種が、その専門性を発揮し、学校の総合力を高めていくことが、さらなる学校の元気につながってくると思います。私ども事務職員も子どもたちのために頑張っています。今後、さらに頑張っていきたいと思います。

高度化・専門化していく学校事務を事務職員が責任を持って行う体制を実現するための事務職員の配置、計画的な定数改善をぜひともお願いいたしまして、私どもの意見とさせていただきます。

ありがとうございました。

【髙橋財務課長】 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、全国養護教諭連絡協議会、堀田副会長様、お願いいたします。

【全国養護教諭連絡協議会】 失礼いたします。私は全国養護教諭連絡協議会会長代理の堀田美枝子と申します。随行は、副会長の高橋由美子、同じく米元まり子です。どうぞよろしくお願いいたします。本日は、今後の学級編制及び教職員定数の改善に関する意見発表の機会をいただきまして、心より感謝申し上げます。

さて、私たち全国養護教諭連絡協議会は、養護教諭等から構成される団体であり、子どもたちの健康増進を図り、健やかな成長をはぐくむために、学校保健活動の推進の中核として、救急処置をはじめとする健康管理や保健指導等の充実に取り組んでおります。いただきましたこの機会に、子どもたちの健康問題及び保健室の現状等を踏まえて、深刻化しております心身の健康問題への取り組みの充実を、より一層図ることが必要であるという観点から、養護教諭の複数配置の拡充について述べさせていただきます。

深刻化しております子どもたちの心身の健康問題への対応の充実を図るためには、各学校の指導体制の整備が不可欠であり、養護教諭の複数配置の拡充が強く望まれます。

それでは、養護教諭の複数配置の必要性について、保健室における子どもたちの現状を中心に資料に基づいて説明させていただきます。

近年の少子・高齢化、情報化等による社会環境や生活環境の急激な変化は、子どもたちの心身の健康に大きな影響を与えています。いじめや不登校などのメンタルヘルスに関する問題、アレルギー疾患の増加、生活習慣の乱れ、未成年の喫煙や飲酒、青少年の薬物乱用、性に関する問題、新型インフルエンザなどの感染症への対応、医療機関との連携を必要とする子どもたちの増加、さらに児童虐待の増加や発達障害のある子どもへの支援、災害や事件・事故などに伴う心のケアなど、子どもの心身の健康問題が多様化しています。

そのような状況の中、保健室に来室する子どもたちの抱えている心身の健康問題は多様化、複雑化しています。

図1、図2をごらんください。平成18年度の調査によりますと、子どもの1日平均保健室利用者は、小学校で41人、中学校で38人、高等学校で36人と、平成13年度と比べて増加しているとともに、1人当たりの対応時間も増えています。養護教諭1人では多数の来室に対して十分な対応を図ることが困難な状況にあります。

次に、図3をごらんください。保健室登校も増加しています。保健室登校は、不登校の改善の一助となっており、不登校の対応に当たって、養護教諭が果たしている役割は大きくなっています。

次に、図4をごらんください。保健室来室者のうち、養護教諭が健康相談の必要があると判断して対応した子どもの割合は、小学校、中学校、高等学校ともに平成13年度より増加しています。健康相談の内容は、小学校、中学校、高等学校ともに、不登校、保健室登校、登校しぶり、引きこもりなどの問題や友達や家族などの人間関係の問題、発達障害等の集団生活への不適応の問題などが多く、上位の心身の健康問題は共通しているとともに多様化しております。

また、子どもたちのみならず、教職員や保護者の保健室利用も増えています。利用の内訳は、教職員や保護者自身の問題のみならず、子どもの心身の健康問題についての相談が最も多い状況にあります。

次に、養護教諭の複数配置の成果について述べたいと思います。図7、8、9をごらんください。大規模校における養護教諭の1人配置校と複数配置校との比較を行った結果です。

主な成果は、1点目として図7、図8をごらんください。教職員の保健室来室者数は、複数配置校のほうが小学校、中学校、高等学校ともに2倍以上多く、教職員との連携において、より充実した対応が図られていることが明らかになりました。また、保護者との連携においても複数配置校のほうが多く、保護者と連携するに当たっても、より充実した対応を図ることができます。

2点目として、図9をごらんください。1日平均の保健室利用者数は、小学校、中学校、高等学校ともに複数配置校のほうが多く、多数の子どもの対応が可能となっており、潜在的なニーズにこたえることができます。

3点目として、保健室に常時在室することができ、子ども1人1人の対応に十分な時間がとれるようになります。

4点目として、メンタルヘルスに関する問題や新型インフルエンザなどの新たな感染症の発生に伴い、健康・安全に関する危機管理に充実した対応ができます。

5点目として、保健指導や保健学習の授業へ参画しやすくなり、指導面の充実を図ることができます。

さらに、さきに行われた中央教育審議会答申及び改正学校保健安全法から見る、求められている養護教諭の役割について述べさせていただきます。

1、学校内及び地域の医療機関等との連携を推進する上でコーディネーターの役割。

2、関係教職員等との連携した組織的な健康相談、健康観察、保健指導の充実。

3、学校保健センター的役割を果たしている保健室経営の充実。

4、いじめや児童虐待などの子どもの心身の健康問題の早期発見、早期対応。

5、学級活動における保健指導をはじめ、チームティーチングや兼職発令による保健学習への積極的な参画などが挙げられています。

以上、多様化している子どもたちの心身の健康問題に対し、1人1人にきめ細やかな対応を図るために、及び現代的な健康課題の解決に向けて、養護教諭がその力を十分に発揮し、求められている役割を果たせるように、養護教諭の複数配置の拡充をぜひともお願いいたします。

私たちは、健康教育を通して子どもたちが生きる力をはぐくめるよう、積極的に努力していきたいと思います。今後ともご理解を賜りますよう、お願いいたします。

本日は意見を発表させていただきまして、まことにありがとうございました。

【髙橋財務課長】  どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、日本教職員組合、岡本書記長様、お願いいたします。

【日本教職員組合】  日本教職員組合の書記長をしています岡本です。本日は意見表明をさせていただく機会を与えてくださいまして、ありがとうございます。

冒頭、大変申しわけないんですけど、ちょっと中座せざるを得ない状況になりまして、本日は生活局長の野川と高校・大学局長の木下と同席しておりますので、後の意見交換等ありましたら、野川のほうで対応させていただきたいと思います。

まず、ペーパーに沿ってですが、現在の学校や子どもの状況について、子どもや教職員の状況を書いてあるので、それぞれお読み取りいただきたいと思います。

現場からは、教材研究や授業の準備が決定的に不足しているとか、もっと子どもと一緒の時間が欲しいという切実な声が上がっております。授業準備回数の外国等の比較でも日本は少ないという結果です。

休憩時間の取得は、夏季休業中を除けば平均10分程度となっていることに象徴されていますように、絶えず子どもの様子や安全面に気配りする必要があることをまず訴えておきたいと思います。

定数改善、学級編制に関する基本的な考え方でありますが、学級規模の問題について、小1プロブレム、中1ギャップ、まあ、小1ギャップと言う方もおられますけど、この対応が必要となっております。丁寧な対応を行うには、学級規模を30人以下とすべきであると考えます。保護者へのアンケートでも、30人以下学級を望んでいることは明らかでありまして、国民の願いでもあります。

新学習指導要領への対応については、新学習指導要領の実施において、各教科の中で表現力、判断力、そして思考力をより高める学習が盛り込まれております。きめ細かい指導が必要となっておりまして、授業時数も増加しており、的確に対応できるための定数増は不可欠であると考えます。

教員以外の職については、学校はいろいろな課題がありまして、教員以外の専門的職員が必要不可欠となっております。スタッフ職の割合というのがアメリカやイギリスに比べて少ないという現状です。専門的職員を拡充する必要があるのではないかと考えます。

国による財源確保については、現在、ほとんどの県で少人数学級が実施されておりますが、自治体の財政難の影響から小学校の低学年に限定されているのが実態でありまして、臨時的任用や非常勤講師による対応となっております。

また、地域格差が生じないようにするためには、義務教育費国庫負担制度の国負担、2分の1の復元を行うべきであると考えます。同時に、安易な定数くだきはすべきではないと考えます。

義務づけ・枠づけの見直しとしまして、標準定数法の抜本的見直しを求める声もありますけど、法律として堅持すべきであると考えます。

多様な教職員の定数改善につきましては、児童・生徒を支援する措置について、中1ギャップの問題があります。進学に対する子どもたちの不安や悩みを解決するため、小学校高学年に教科担任制を導入することも有効ではないかと考えます。

家計の違いが教育格差にあらわれておりまして、就学援助受給者も増大しており、こうした地域の実情も踏まえて、児童・生徒支援などの加配定数の増員が必要であると考えます。

人権教育啓発推進法に基づき、人権教育を推進するための人的配置も行うべきではないかと考えます。

初任者研修等に係る定数配置につきましては、拠点校方式にはさまざまな弊害が起きています。初任研に係る教員加配を確保する必要があります。

夜間中学校の課題につきましては、学齢期に義務教育を受ける権利を奪われた生徒の就学を保障するため、夜間中学校について独自の学級編制と教職員配置の基準を策定すべきではないかと考えます。

養護教諭につきましては、子どもの健康課題は複雑・多様化してきております。新型インフルエンザの課題以外にも、日常的にアレルギー疾患、メンタルヘルス、特別支援教育、児童虐待には適切に対応するよう求められております。養護教諭の配置拡充が必要であります。

事務職員につきましては、学校現場の裁量権を与え、自主的な学校運営を推進することが重要でありまして、予算権限の拡大、情報の活用、渉外機能の充実など、学校事務の機能強化が不可欠であります。地域をつなぐ役割もあります。これらを担う事務職員配置の充実が必要であります。

栄養教職員につきましては、新学習指導要領に食育の推進が明記されまして、学校給食法も内容が大きく変化しております。栄養教職員の職務は、給食の管理だけではなく、食に関する指導も加わり、複雑化、多様化しております。すべての学校で平等に食教育を受ける意味からも、必置職員として全校配置されることが喫緊の課題ではないかと考えます。また、共同調理場方式から単独調理方式に転換する必要があると考えます。

現業職員につきましては、学校の安全対策が社会的に重要な課題となっております。子どもたちの安心・安全を保障するための専門の職員が必要ではないかと。現在、学校職員の中で、その任に最も適しているのが学校用務員、給食調理員、介助職員等の学校現業職員と考えます。定数法に位置づけて配置を拡充する必要があると考えます。

司書教諭につきましては、現行の充てによる司書教諭を見直していただきたい。あくまで専任の司書教諭を制度化する必要があります。

心のケアに必要な職員の配置につきましては、子どもたちの心のケアに必要な専門職員の配置としてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーをかなり増員させていただいているんですけれども、もっと増員する必要があるのではないかと考えます。

高校の教職員定数改善の考え方でありますが、学校の特色化が進められ、総合学科をはじめとして多様な授業展開、少人数での授業展開が求められております。また、不登校や中途退学の生徒の増加、さらに障害のある生徒が入学している実態があります。このような実態を考慮しまして、授業はもとより、生徒指導、進路指導、及び保護者や地域との対応などから、30人以下学級編制へ改める必要があると考えます。

さまざまな教育ニーズを持った生徒が増えている定時制、また急増傾向にある通信制の定数改善も必要であります。

障害児教育の定数改善の考え方としましては、インクルーシブな教育を進めるため、障害のある子どもが通常学級で学ぶことができるよう、教員加配など環境整備を図る必要があります。

特別支援学級籍の子どもを通常学級籍としてもカウントし、教職員定数に積算すべきではないかと考えます。特別支援学校の定数は、現行の肢体不自由養護学校の定数計算に合わせるとともに、幼稚部及び専攻科も同様の基準で定数に位置づけることが必要であると考えます。

寄宿舎指導員、特別支援教育コーディネーターの充実も求めていきたいと思います。

2004年度から特別支援教育がスタートしましたけど、高校では定数措置や予算措置が全くなされておりません。中学時に特別支援学級に在籍した生徒の入学も少なからずありまして、インクルーシブな教育が進むよう、高校において何らかの定数措置を早急にする必要があるのではないかと考えます。

あと、参考資料として最後に掲載しております資料は、イングランドとウェールズにおける教員が行わない仕事として全国的協約となっているものであります。日本とは社会的、文化的にも違いがあることから、日本の教員も必ずしも同様にしてほしいということではありませんけど、授業や教材研究に専念させるために参考にしてほしいということで掲載させていただきました。

以上でございます。大変失礼で申しわけございませんけど、よろしくお願いいたします。

【髙橋財務課長】  どうもありがとうございました。それでは、続きまして、全日本教職員連盟、中西事務局長様、お願いいたします。

【全日本教職員連盟】  失礼します。全日本教職員連盟事務局長の中西昭博と申します。本日、このような貴重な場を設けていただきまして、まことにありがとうございます。

全日教連は、教職員が質の高い教育を児童・生徒に提供する上でも、学級編制及び教職員定数の改善は必要不可欠であると考えております。今後、学校教育の充実につながるような施策となるように、全日教連から次のような意見を述べさせていただきます。

まず1つ目、国の学級編制の標準の今後のあり方について。ポイントは2つです。現行の学級編制基準を40人から30人を目標に引き下げ、少人数学級の実現を目指す。2つ目、学校の裁量権を拡大することによって、より学校や地域の実態に応じた学級編制が可能になるようにする。この2点です。

現行の40人の学級編制基準、これが現在の学校現場の実態に即しているものかどうか、これは十分よく議論されなければならないと考えています。また、35人が適当であるのか、30人が適当であるのか。こういった点についても十分議論がなされないといけないと思っております。

そこで、全日教連は、教職員が学級編制を実際どのようにとらえているか、教職員の意識、実態というものを私たちの行いましたモニターの結果をもとに説明させていただきます。42ページをごらんください。まず、1学級40人に対する教職員の意識ですが、現在の40人では多過ぎる、1学級当たりの人数を減らすべきだというのが60%を超えております。また、一律1学級40人とするのではなく、学年に応じて1学級当たりの人数を変えるなど、弾力的な編制にすべきだという意見も30%弱おります。この意見からもわかるように、40人はやはり多過ぎるというのが、実際、教職員としての意識であろうと考えています。

2つ目、理想と思う学級編制。これはあくまでも教職員が考える学級編制の理想です。最も多かったのは、28人以上から30人未満という数値でありましたが、20%台も含めますと、20人以上30人未満というものが理想であるという意識がうかがえます。

続いて、43ページです。指導可能な学習集団の大きさ。これは実際、教職員が限界と感じている学習集団の大きさというものも調査しております。ここで最も多かったのは28人以上32人未満、この程度ぐらいであろうととらえている教職員が最も多かったようですが、少し幅広くとらえてみますと、24人以上から40人未満ととらえられるのではないかなと考えております。実際、40人というものは、やはり多い。そこから順を追って、段階を追って、この学級編制というものを、この結果をもとに30人を目標に引き下げていくことが望ましいかと考えておりますが、少人数学級の実現を目指す上で課題も幾つか考えられると思います。

これは42ページに、こちらから意見を述べておりますが、例えば集団的な学習活動を行う上で、体育の授業、特別活動などですが、効果的にその授業が仕組めるのかどうか。少人数になり過ぎて、本来、集団活動の目標が損なわれるような学級編制になっては困るという点です。

また、社会性をはぐくむ上での問題点がないかどうかという点について、十分議論がなされなければならないと考えています。

また、学級増に伴い、教室や教材・教具を確保するための予算、これもしっかり確保されなければなりません。

このような課題に対応するためにも、一律30人とか35人ととらえるよりは、やはり教職員の加配等も含めて、学校や地域の実態に応じた学級編制というものも可能性としてしっかり検討しなければいけないと考えております。

続いて、教職員定数の改善についてです。43ページをごらんください。以前の第7次の改善計画においても、少人数指導、習熟度別指導、こういった指導についての加配が行われましたが、児童・生徒の学力の向上や教師間の指導方法の改善等によい影響を与えているということが報告がなされていると思います。ぜひ定数改善の策定を今後お願いしたいと考えています。

全日教連からは5つ項目を挙げております。副校長、教頭については、弾力的な複数配置。そして、養護教諭については、複数配置基準の引き下げ。学校事務職員については、事務長の配置の促進。また、栄養教諭、学校栄養職員については、食育を推進する上での改善。こういった点を挙げておりますが、1つ、主幹教諭、指導教諭についての改善について説明させていただきます。

主幹教諭、指導教諭は、これまでの指導の経験を生かして、教職員間の連絡調整や指導助言を行うため、学校を円滑に運営する上でも与える影響は大きいと考えております。また、このような職を配置することで、すぐれた教育の能力を発揮する場が増え、教員のキャリアの複線化、キャリア形成にもつながるととらえています。今後は、そのような役割を担う主幹教諭や指導教諭といった新しい職を1校1名以上配置し、学校の組織体制、学校マネジメントの強化、こういったものの改善を図ることが重要であると考えております。各県において、まだ配置状況がばらばらですので、ぜひともお願いしたいと思っております。

なお、項目を5つほど挙げておりましたが、やはり学校の特色や課題に応じた取り組みができるような教職員数を増やすことも重要であると考えています。以前行いました全日教連のモニターでは、教職員の総員をどのように行えばよいかという意見も求めました。それによりますと、例えばTT指導、少人数指導など、学校が幅広い選択を行えるような教職員の増員、これを最も求めていました。28.7%です。

また、学級担任でない教員を増員し、学校の教育体制を補強する。例えば生徒指導であるとか、特別支援教育等もそうだと思うのですが、そういったものについても、しっかりと教職員の増員を図っていただきたいという意見が26.8%で2番目だという結果が得られております。

以上、定数改善についての意見も述べさせていただきましたが、段階的にこれは財源のこともしっかり考えながら行わなければいけないものだと思いますので、十分、私たちもこの改善について真剣に考えてまいりたいと思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。以上です。

【髙橋財務課長】  どうもありがとうございました。それでは、最後になりますが、全国教育管理職員団体協議会の田中会長様、お願いいたします。

【全国教育管理職員団体協議会】  全国教育管理職員団体協議会でございます。よろしくお願いいたします。

今回、2006年の骨太方針、それから行革法から脱却をして新しく定数の改善に踏み込もうと、こういった動きが出たということに、私たちはまず感謝を申し上げたいと思っております。現在の各学校の置かれている現状については、さまざまな団体さんがるるお述べになりましたので、私どもは、そこのところを割愛して、先へ進まさせていただきたいと思います。

私たち全管協は、かねてより学級編制の引き下げと、それから教職員の定数改善を求めてきましたけれども、そのときに、必ず小学校にあっては学級数の1.5倍、それから中学校にあっては2.0倍の先生たちをいただきたいんだということを申し上げてきました。そして、その数の校内の配置については、学校の裁量に任せてほしい。それがほんとうに最も子どもたちに、または生徒たちに還元できる道であると考えてまいりました。そのことを今日は6点にわたって、ここで意見を述べさせていただきたいと思っています。

まず、学級編制の基準を引き下げる根拠として、よく1学級当たりの児童・生徒数や教員1人当たりの児童・生徒数の国際比較が挙げられることが大変多いわけですけれども、どちらをとっても、その国の歴史ですとか文化に深くかかわる問題であって、集団主義をもととしてでき上がってきた教育の歴史を持つ国と私学を中心に教育活動が展開されてきた国では、当然おのずと違うわけですね。そこにはやっぱり国民性も違うし、学び方も違う。そういったところに深くかかわりながら、お考えをいただきたいというのがまず第1点目の希望でございます。

2点目は、先ほど、ほかの方々の資料の中にもありましたけれども、「日本の教育を考える10人委員会」の保護者アンケートの中でも、保護者が適正な1クラスは何人かと考えると、30人という比率がほぼ半数を占めるわけですけれども、現在、学級に在籍している児童・生徒が36人以上であるという学級は、小学校の19%、中学校の42%を占めるわけですけれども、そこに仮に35人学級ですよと切り込むことは大変効果があるだろうと思っていますが、それ以下の小学校の81%、中学校の58%の学級にあっては、単純にそれに当てはめていいのかどうかというところは十分考えていかなければならない事柄だろうと思っています。

例えば専科教員による指導がなかなか充実をしていない、または充実をしなければいけない高学年にあっては、むしろ学級の1クラスの人数を少なくするよりも、より専門性の高い教員をそこに配置して、例えば理科教育をもう少し充実をさせていこうとか、やはりそういった考え方も1つ考えていいんだろうと思うわけです。あくまでも児童・生徒にとって、学ぶ喜びですとか、成長する喜びが持てる、このことが目的であって、そこに至るプロセスは多様であっていいのではないだろうかと全管協としては考えております。

また、3点目ですけれども、よく35人だ、30人だという話の中で時々出てくるのが、仮に30人にした場合に、31人で16人・15人の学級が出てしまいますよ。そこに男女差があって、それで集団で教育活動が営まれますかということがよく言われるところですけれども、さらに、このことを一律にしていくと、現在、学校の中で、それぞれ今の体制の中で諸設備が整えられてまいりました。

一時期、確かに空き教室というような言葉が学校にはありました。ところが、今は空き教室はほとんどないのが現状です。それは少人数指導に活用していったり、さまざまな教室の使い方を今、学校は創意して、そして現在活用しているわけですね。これが仮に学級が35人、30人になったときに、じゃ、教室はどうなってしまうんですか。これはとても大きな問題だろうと思っています。かつて、プレハブ校舎という言葉がありました。おかげさまで、ここ何十年か、その声も聞かなくなってまいりましたけれども、このことによって、プレハブ校舎という言葉が、また学校の中で行き交いするようなことのないように、単に一律に30人だ、35人だと考えることがいいのかどうか。学校の設備も勘案しながら、隣の学校ではこうだけども、本校ではこうしたいという話ができるようにしていただきたいと思っています。

4点目は、特別活動ですとか、体育ですとか、音楽、こういったものは、教科の特性上、一定の学習集団の数が当然必要になるだろうと思っています。また、生活集団と学習集団が一体となって当然行うべきものもあります。一方、学力格差、特に二極分化と言われているような算数、数学、英語などの学習では、当然、生活集団と離れ、少人数の学習集団、こういった形で学ぶことが学習効果を最も上げるだろうと思っています。発達年齢とのかかわりの中で、学習集団と生活集団を柔軟に考えることができる、こういった学校の裁量の配置が今求められているだろうと思っています。

低学年では、担任がより多くの教科を生活集団、それから学習集団、一緒になって教えることが最も好ましいでしょうし、高学年にあっては、専門性の高い教員が、その受け持ち教科をもって教えることが、児童の興味・関心や学習意欲をさらに引き出すだろうと思います。当然、学級編制基準というのは、教員配置の算定基礎としてもちろん必要なことは十分わかるわけですけれども、それをもって一律的に学級を何人にしなさいというものであってはならないと考えます。

5点目です。総合科の学習が始まってから、小学校では、音楽ですとか、図工ですとか、家庭科の授業時数というのは削減をされてくるわけですね。これは主に小学校では専科の教員が教えている教科でしたけれども、それが授業時数が削減されることによって、担任が授業を行う授業比率はものすごく延びました。格段に忙しくなりました。現在、文科省のほうのかつての調査の中でも、教員の月の時間外勤務が34時間という調査結果がありました。本校では先々週、職員に無記名で構わないからということで、何時に来て何時に帰ったという調査をかけました。休憩時間を差し引いても36時間でした。休憩時間にほんとうに休憩している教員というのは、ほとんどいないのが実態です。そうすると、これは37という数字にはね返ってくるんですね。

こういった教員の児童と向かう時間が今、非常に厳しい状況になってきている。このことからも学級編制の基準については、ぜひ引き下げをしていただきたいし、また、そこでも柔軟な取り扱いをぜひしていただきたいと思っています。

最後になりますけれども、6点目、学習指導要領の大綱化ということが「INDEX2009」の中に述べられているわけです。「設置者及び学校の裁量を尊重し、地域・学校・学級の個別状況に応じて、学習内容・学校運営を現場の判断で決定できるようにします」という方針が述べられているわけですけれども、このことを学習指導要領の大綱化と称するかどうかは別として、さまざまな個別事情に配慮して、学校運営を単に義務教育の均一性ですとか、一律性、スタンダード、こういったことは確かに必要ですけれども、それを踏まえても、なお学校の個別事情に応じた人員配置というのは重要な視点であるだろうと考えています。

繰り返しますけれども、全管協としては、最終的には35人を基準としながらも、その配置については各学校にお任せをいただきたいと考えております。以上です。

【髙橋財務課長】  どうもありがとうございました。それでは、6団体の方から今、意見を表明していただきましたので、後は質疑応答に移りたいと思います。副大臣、政務官、いかがでございましょうか。

【鈴木副大臣】  どうもありがとうございました。

田中さん以外にお伺いしたいのですが、実は2週間前に、私、地元は東京なのですが、東京のPTAの幹部の方と日曜日にお会いすることがありまして、「鈴木さんは教職員定数の話を始めたみたいなんだけれども、民主党のマニフェストにあるOECD並みの教員配置を目指す、これは非常に大歓迎だ。しかしながら、1学級30人というのは反対ですと。その趣旨は、さっきおっしゃった15人と16人というのになってしまうと、そうすると男女比でいえば、もっと少なくなってしまうということをおっしゃられたのですが、我が政権は、とにかく教員を増やすということは決めて、頑張りたいと、全力を挙げたいと思っているわけですが、どこにどう増やしていくのかと。今日も、事務職員も増やさなければいけないということを改めて思いましたし、養護教諭も増やさなければいけないということも改めて痛感させていただきましたし、職員室が空っぽなのも大問題だと思いました。

今の田中さん、あるいはPTAのお話のようなこともあるし、それから、もちろん予算上の制約というのもありますから、そこをどのように考えていったらいいのかな悩んでいるところでございまして、そのあたりについて、田中さんに対するご意見を伺いたいのですが。

【全国市町村教育委員会連合会】  全国市町村教育委員会連合会です。

私は、人数というのは極端に少ないのはよくないと思います。これは先ほど申し上げましたけれども、集団的な学習でありましたり、社会性の育成という観点からすれば、あるいはコミュニケーション能力ということを考えますと、数が少なければいいということでは決してないと思います。私は35人という最高数は決めておいて、あとは柔軟に対応していくということが必要ではないかなと思っております。

それから、教職員の定員増でありますけれども、私もお聞きしておりまして、それぞれ必要だなと思いました。けれども、私は特に必要なのは、学校図書館法第5条に「学校には、学校図書館の専門的職務を掌らせるため、司書教諭を置かなければならない。」と書いてあるんですね。ですので、ぜひ学校の図書室をうまく運用していく専門家として、学級担任と兼務じゃなくて、図書室専属の司書というのを置くべきではないかなと思います。そうすることによって、多額の図書充実費を投入している文科省にとっても、その効果が出てくると非常にいいことだと思いますので、ぜひこれを、優先とまで言わないですけれども、法律どおり実施いただきたいと思います。以上です。

【全国公立小中学校事務職員研究会】  直観的に40人は多いと思います。例えば、施設面から考えますと、今の基準の教室は、一人一人の子どもに目の届く、そして声の届く広さだと思いますが、40人の子どもが入っていると、ほんとうに狭さを感じてしまいます。子どもたち自身も生活環境として狭いと感じています。

では、少なければいいのかというと、それはまた違うと思います。自由学区では、ある一定の大きさの学習集団の中で勉強できる学校を保護者は選ぶ傾向があります。子どもたちも、多くの友だちと勉強したいという思いがあると思います。現在言われております30~35人という学級規模がいいのではないかと思います。

ただし、基準前後の1人の増減によって、学級編制をし直さなければならない、せっかくクラスができたのに変更してしまうという大変な思いをすることがあります。また、その子どもたちの状況に適した学級編制もあると思います。そういうところに関しましては、やはり現場の裁量というものを生かしていただければと願っております。以上です。

【全国養護教諭連絡協議会】  全国養護教諭連絡協議会です。

私も35人ぐらいがいいかなと思います。校種によって体格等の関係とかというと、また違うかと思いますが、活気ある学級経営をしていただき、学級担任がより多くの子どもと対応できるということが大事だとを考えます。また、あまり少なくても、クラスのゲーム的な授業ですとか、そういうときに活気がないかなと思いますので、15人くらいの学級になるということを考えますと、35人ぐらいがいいかなと思っております。以上です。

【日本教職員組合】  日教組です。日教組は30人以下学級と書いてあるんですけれども、きめ細かい指導が昔よりも必要になっているということが1つ、社会的にもいろいろなことが変わってきてますので、そういう意味では、より1人1人の子どもに応じた丁寧な指導が必要だということ。あと、子どもにとっても、発言やら、あと、発表ということを考えても、そういった子ども1人1人がクラスの中で活躍するというか、そういった面。あと、生活習慣をつけるとか、あと、不登校、あるいは問題行動等、いろいろな問題がありますから、それに対してしっかり対応するということを考えて30人以下学級としているわけですけれども、ただ、15人学級ということもありますので、30人以下学級で算定するにしても、教科に応じて、例えば算数とか国語のときには30人以下にしても体育とか音楽とかという場合には、例えば学年全体で弾力化するというか、そういう方策もあるのではないかと思っています。

教員1人が受け持つ児童・生徒数はもう少し少なくしていただきたいと、より丁寧な指導をしたいということです。

【全日本教職員連盟】  全日本教職員連盟です。先ほどの意見でも大体のことは述べさせていただいておりますが、やはり教職員数が現在足りているかどうかという教職員の意識もしっかり酌み取っていかなければいけないととらえています。以前行っているモニターの結果によりますと、今の教職員数をどのように思っているか。これを問うてみましたら、確かに教職員の数は足りない、定数を増やしたほうがよいという意見も出ています。これは42%と。ただ、それを上回る数で、全国、全県下一律ではなく、また地域、学校等の実態に応じて、例えば教育困難校や、また調査研究が当たっている学校等に多くの教員を配分するなど、必要に応じた弾力的な教職員配置ができるようにすべきだという意見が45%と一番高い支持を得ておりました。

この実態も考えまして、小学校と中学校でも、かなり実態は変わります。30人が必要な校種もあれば、そうでない。中学校の場合は、学級編制基準というよりは教職員配置のほうを求めている傾向にあるという意見も聞いております。そのあたりもやはり踏まえまして、学校、地域の実態等に応じた学級編制の基準、また、教職員数の加配等をご検討いただきたいと思っております。

【鈴木副大臣】  ご意見を受けて、田中さん、どうぞ。

【全国教育管理職員団体協議会】  私の考えていたところと、それほど大きな開きはないだろうと思っていますので、やはりそれぞれの困窮さ、今、困難校ですとか、いろいろな話が出ました。例えば養教のことにしても、大規模校、例えば単学級で全体が120~130でも1人の養教。本校は現在700を超えていますけれども、それでも1人の養教なんですね。これは一体何だろうとやはり思います。ですから、配置の刻みみたいなものを、もう少し細かくしていただくことが大事なのだろうと思います。例えば30とか35、数値はどちらでも、例えば1を2にする段階の刻みと3を4にするときの刻みは、これは違っていいんだろうと思っています。今までは一律に40を超したらもうという配置ですけれども、その辺はもう少しいろいろなレベルを考えてよろしいのではないかなと思っております。

【鈴木副大臣】  我々も極力、そのあたりもなるべく地方に任せたいという思いは現場に強くあるんですね。しかし、一方で、定数崩しみたいな話があるので、どこまで国が決めるのかという問題がある。要するに県当たりとか、市当たり、設置者当たりの生徒数が決まりますね。それに応じて大体これぐらいで、あとは設置者で決めてくださいという考え方もあるし、今の考え方は学校当たりで決めているわけです。だから、その辺りを、もちろん現場にお任せしたいのですが、お任せし過ぎると崩されてしまう、ここが悩んでいるところなのです。多分、方向としては今みたいな方向だと思います。ただ、それを国で決めていくのか、人事権者は県ですから、県で決めていくのか、あるいは設置者がもっとイニシアチブを発揮するのかという、この制度設計で何かご意見がある方。

【日本教職員組合】  今、全国で非常勤というか、それは定数崩しというのがあって、それの影響というよりは、その後の三位一体改革で義務教育費国庫負担金が2分の1から3分の1になったと。割り勘が崩れて地方が多く持つようになったということで、過日、新聞に出ていたのは、その国庫負担金を返納しているのが16県でしたか。ですから、県財政の状況の中で、3分の2だと都道府県の財政で持ちこたえられないんだと思うんですよ。ですから、お金はないが、人は増やしたい。したがって、非常勤講師になると。

ですから、今のお尋ねでいえば、財源は3分の1じゃなくて2分の1、あるいはそれ以上であっても場合によってはいいと思うんですけど、国がちゃんと用意をして、そういった上で自由にどうぞというならば、それはいいと思うんですよ。国がしっかりとお金を保障すると。小中学校の教職員給与費は私は県費負担を残したほうがいいと思うんですけど、市町村に行くと、財政力が弱いので、県でちゃんと給与費は責任を持つと。ただ、市町村がいろいろな学校の状況を全部わかっているわけですから、そこにある程度裁量を持たせるというか、お金がない中で裁量を拡大しても、あまりよくないと思っています。

【全日本教職員連盟】  国の教育費の確保、これは私たちの全日教連もしっかりとお願いしたいところではございますが、今回の学級編制、教職員の定数改善、この点について、さまざまなほかの要素も改善されなければいけないと考えています。当然、学級編制を考える上で、先ほども申しましたが、教材費の確保であるとか、もちろん勤務体系の改善とか、そういったもろもろの面も重なってきますので、決して定数改善、編制の面だけでとらえるのではなく、今、文科省のほうでも定数改善だけではなく、教育環境の改善計画というふうにとらえられているとおりに進めていくことが、私たちの団体は大変重要であるととらえています。

【髙橋財務課長】  その他、いかがでしょうか。

【全国教育管理職員団体協議会】  全管協です。どこまでどういうふうにしたらということですけれども、私は、こういった施策は国は大胆に切り込んでいただくのが一番だろうと思っています。一番根幹にかかわっているのは地方財政の問題であって、ここを単純に義務教育費国庫負担100%ですよとなれば話は早いわけですし、そこに強い縛りをかけられれば非常に単純なことなんですね。ただ、それができないというところに問題はあるんでしょうけれども、それに近づけていっていただきたい。細かなところは、私たち、行政の専門家ではありませんので詳しくお話しすることはできませんけれども、そういった方向性が現場が一番望んでいることであるということは間違いないだろうと思います。

【髙橋財務課長】  ありがとうございました。そのほか、文科省側から何かご質問等ございますでしょうか。残りは5分ぐらいですので、最後にもう一言、これだけはぜひ言っておきたいという。

【辰野政策評価審議官】  いろいろありがとうございました。非常に学校の現場の実態に即したリアリティーのあるお話を聞きまして、ほんとうに参考になりました。

日教組の中でもおっしゃっているんですけれども、学校のその他職員というんですか、いろいろな多様なスタッフ、教員以外の専門的職員の拡充をというのがあるんですね。例えばスクールカウンセラーとか、ソーシャルワーカーとか、そういう新しいニーズに応じたさまざまな人たちを今学校に入れていると。そういうことと、例えば事務職員、それから養護教諭というものを片や補充していきたいということと、そこのところが今後の学校の組織体制の姿というか、それを見たときに、どんなふうな像になるんだろうかというのがもしわかれば。

例えば養護の複数配置のところ、全くおっしゃること、ごもっともだと思って聞いていたんですけど、例えばカウンセリングとか、教員の精神的な疾患に対する対応とか、こういうのはむしろ非常に専門的な人が入ったほうが効果的ということもあるかもしれないということが1つなんですけどね。そういう意味で、今の体制、学校の教員と事務職員と、あとは養護、栄養の教諭ということを前提とした話が頭にあると思うんですけれども、それ以外の専門職員の拡充ということと、どういうふうに整合的に理解というか、考えていけばいいかということで何かお考えがあればお聞きしたいんですけれども。

【全国公立小中学校事務職員研究会】  失礼いたします。全事研です。今、学校には、さまざまな課題があり、多様化し複雑化しています。例えば、経済的に困難な保護者への支援が課題になっています。事務職員が主となって就学援助を担当していりますが、就学援助だけでは、経済的困難さはじめ家庭状況をサポートすることが、難しいケースがあります。ソーシャルワーカーの専門的な支援をいただきながら、社会福祉機関との連携を図り、総合的にそして専門的にサポートしていく必要があります。また、今、外国籍のお子様や保護者も増えております。日本語がわからない方の場合、就学援助申請など様々な場面で通訳のサポートも必要になります。

専門スタッフの能力を発揮していただきながら、外部の専門機関と学校現場をつないでいくことが今後重要になってきます。学校現場にいる教員以外のスタッフを充実していくことで、スタッフ間や外部との連結ができるのではないかなと思っているところです。

【髙橋財務課長】  ありがとうございました。その他の方、いかがでしょうか。

【全日本教職員連盟】  アウトソーシングで専門的な人材を活用することによって学校現場が活性化する部分もあると思います。スクールカウンセラー等、効果が大変大きかったという意見をたくさん聞いております。

ただ、人材の確保の難しさという部分は忘れてはならないところだと思います。地方によっては人材をどのように確保するんだという意見も多々聞いておりますし、人材を確保する上での費用は一体どうなるのだとか。

また、外部人材を活用する上で、連絡調整で随分時間をとるんです。そこでの時間の確保等もどうなるのだという意見も多々聞いておりますので、実際、学校現場が使いやすいように、現在どのように使っているのかというのもちゃんと把握されるべきであると思っております。

【全国養護教諭連絡協議会】  全国養護教諭連絡協議会です。特に小学校などでは、子どもたちが、例えばスクールカウンセラー、臨床心理士が相談室にいたとしても、いきなりそこへは行けずに、やはり保健室へ身体的な訴えをもとに訪れることが多いです。養護教諭の複数配置ということで、細かな対応はまず保健室で、それから問題を解決するため、抱え込みをしないで連携して相談をしていくという対応をしております。以上です。

【辰野政策評価審議官】  わかりました。ありがとうございました。

【髙橋財務課長】  その他、よろしいでしょうか。それでは、予定の時間になりましたので、第1部はこのあたりで終了したいと思います。最後に、清水文部科学審議官より、一言ごあいさつを申し上げます。

【清水文部科学審議官】  うちの政務三役が別件がございまして、途中で失礼することになりました。今日、いろいろ忌憚のないご意見を聞かせていただきました。思いは同じですけれども、全体としていろいろな課題があります。例えば学級編制について、学習集団と生活集団、そのあたりの考え方をどうするのか。あるいは、そのあたりを実際の学校のあるべき姿から規模、あるいはその他から考えてみて、そこで本来の目的を達成するにはどうやったらいいか、いろいろ今日は参考になるご意見を聞かせていただいたと思っております。

また、私ども、政務三役のもと、こういう定数改善に向けて、きちんと計画の具体的な形に向けて検討を進めていきたいと思いますので、また、いろいろな形でご協力、ご支援方、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

【髙橋財務課長】  それでは、以上で第1部を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

― 了 ―

第2部

【髙橋財務課長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから、「今後の学級編制及び教職員定数の改善に関する教育関係団体のヒアリング」第2回目の第2部ということで、一応、21団体の最後の5団体ということになりますが、これから開始させていただきます。

本日は、皆様方、ご多忙のところ、ご出席賜りまして、まことにありがとうございます。今日ご出席の皆様方の名簿は机上にお配りさせていただいておりますので、その配付をもちましてご紹介にかえさせていただきたいと存じます。

それでは、まず冒頭、清水文部科学審議官よりごあいさつを申し上げます。

【清水文部科学審議官】  文部科学審議官の清水でございます。本日は、今後の学級編制及び教職員定数の改善に関するヒアリングにご出席いただきまして、まことにありがとうございます。今日、私どもの副大臣、そして政務官、ご一緒にということであったわけですが、今、国会との関係でよんどころない業務がありまして、席を外させていただいております。

今回のヒアリングの目的でございますけれども、ともかくも今、学校現場が直面する課題の解決、あるいは学習指導要領の円滑な実施、そういうことに向けて、さらなる推進をどう図っていくかということで、まさに新政権発足時のマニフェスト、あるいは総理指示等も踏まえながら、定数の改善にどう取り組んでいくか、今、大きな課題となっています。こうしたことから、平成23年度以降の学級編制及び教職員定数の改善をどうするかということについて本格的に取り組んでいきたい、こういうことでございます。いずれにしても、検討の着手ということで、本日は、学級編制の標準の今後のあり方、そして、計画的な定数改善を行う場合の具体的な要望事項、あるいは課題について、まさしく今日おそろいの各学校現場を預かるそれぞれのお立場の方から忌憚のないご意見を伺えればと思っております。それでは、ぜひどうぞよろしくお願いいたします。

【髙橋財務課長】  それでは、各団体の皆様方から、まず、10分程度ずつ、順次ご意見を賜りまして、その後、一括して質疑応答、意見交換をいたしたいと存じます。それでは、恐縮ですが、まず、全国連合小学校長会、向山会長様よりお願いいたします。

【全国連合小学校長会】  失礼いたします。まずもって、こういう会を設定していただきまして、関係者の皆様には厚く御礼申し上げます。とは申せ、大臣、副大臣、大臣政務官にお会いできなかったのは大変残念でございますので、それはきっと、ほかの4団体も共通ですから、くれぐれも、会長たちがよろしくということでお伝えいただければ幸いでございます。

お手元の1ページ、私ども、全国連合小学校長会の意見ということでお出しをさせていただきました。簡潔に言えば、大変いろいろな変化がありますから、その変化に応じた中で、定数改善の方途を探っていただければありがたいということでおります。過日、私どもの会員に調査をかけましたところ、教員が子どもと向き合う時間が少なくなっているというのは、ほんとうに圧倒的多数で回答が寄せられました。その後、私どものいろいろな会議、いろんなレベル、都道府県レベルとか区市町村のレベルでやっても、やはり子どもと向き合う時間を確保するのが非常に難しいという訴えがあります。それはもう、ご案内のとおりで、いろんなところで報道されているとおりであります。

この間の社会の変化、幾つかあるわけですけれども、大きく、子どもの変化、保護者の変化、そして、学校内の変化というか、社会的な要請ということで、とりあえずこんなようなことがあるということで書かせていただきました。

1つは、問題行動等の増加ということでございます。今後、この問題行動の増加というのは、授業時数の増加ということがありますから、もちろんこれはいい面もたくさんあるわけですけれども、反作用として、子どものストレスが来るとか、多忙感が増大する。その一部が、もしかしたら暴力的な行為になってみたり、あるいは不適応を起こして不登校になってみたりという、その懸念を我々は心配しているわけであります。

2つ目は、発達障害のある子どもへの対応ということでございます。これも、いろんな調査でありますけれども、一定数、通常の学級に在籍しているわけであります。これも、保護者の考え方も大変変化をしてきています。それから、ニーズも、いわゆる通常の学級で通常のようにやってほしいということで、ご要望もいただいています。就学指導委員会のあり方も、自治体によっては大変様変わりになっています。こういう点でも、大変きめの細かい対応を迫られているという状況になります。

3番目は、保護者の価値観が非常に多様化しているということでございます。数年前、私たち小学校では、いわゆる新人類世代という保護者が入学するようになり、だんだんそれはもう中学から高等学校、ずっと上にいっていきます。間もなく、いわゆる団塊ジュニア世代というのが低学年から順次入ってきているわけであります。なかなか保護者同士の連携がとりにくい、それから、1つ1つの問題でも大変多様な、あるいは強烈な要望を学校に寄せてまいります。1つけんかがあっても、関係者に電話しなければいけない、きめの細かい対応をしなければならない。そういう点では、担任も5時以降も電話をかけまくっている状況であります。

4番目には、保護者への個別対応。これは前にいったことと関係するんですけれども、こんな対応があるということであります。

続いて5番目に、週当たりの授業時数が増えていくということで、端的に言えば、小学校2年生でも、週1回、6時間授業を設定せざるを得ないわけです。我が国の小学校教育で、小学校2年生、7歳、8歳の子どもが3時半から3時40分に学校の門を出て、山陰のところは冬になると暗くなります。そういうふうにして帰っていくという文化は、これまでなかったわけでありまして、そんなようなところで、大変時数も多くなる。こういったことへの対応もしなければいけないということです。

その中で、どういったような定数改善の方向かというと、先ほど言ったように、教員が子どもと向き合う環境づくりという視点からの学級編制の標準を見直していただきたいということであります。これまで、幾つかの少人数学級の成果と課題は出てきております。そういったような自治体が行っているものもありますので、ぜひ検証していきながらやっていただきたい。

2つ目は、学校のマネジメント機能の強化という点からの定数改善、これもぜひ図っていただきたい。これは、自治体、あるいは学校によって差があります。学校マネジメントを強化したほうが、学校運営がうまくいくケースもあります。子どもの側だけではなくて、校長や副校長のサポートするスタッフをうまく配置したほうが全体で回りやすいというところもあります。

3点目は、自治体や学校の弾力的運用を尊重するということでのものでございます。今申し上げましたように、今、非常にいろいろなケースがあります。実態も違いますから、できるだけ裁量的な運営ができるようにと思っています。40人を35人というふうに数目で言ったほうがわかりやすいんですが、35人の定数というのは、18名学級と17名学級に意図的に学級をつくることにもなります。それよりは、実態に応じてフレキシブルに対応できる定数改善があったらいいなと、こう思っています。

最後に、今後の具体的な要望でありますけれども、今、(1)から(6)に書いたような内容で、OECD平均並みに、1学級当たりの児童数の21.4、こういったものを1つの目途とした全体としての定数改善を進めていただければ幸いでございます。以上、10分になりましたので、失礼いたします。

【髙橋財務課長】  ありがとうございました。それでは、続きまして、全日本中学校長会の岩瀬会長様、お願いいたします。

【全日本中学校長会】  全日本中学校長会の岩瀬と申します。今、向山会長さんからもありましたけれども、このような機会をつくっていただきまして、ありがとうございます。

昨秋以来、非常に大きな動きがたくさん出てきて、私どもとしては、現場の実感として、あっ、すごい変わりつつあるな、そういう思いがしております。かつて、ある政治家が、「山が動いた」という表現をされましたけれども、党派は別としまして、そんなような感覚を私どもは今持っています。ようやく、何か人間らしい――これもちょっと失言ですけれども、政策をやってくださるようになったのかなという、そういう思いでいっぱいでございます。政権が変わるということはこういうことなのかというようなことを、今、実感として思っているところです。

新しい政権が、「コンクリートから人へ」という非常にわかりやすいスローガンを出していただきましたけれども、いわゆる今までの学校現場を見ていますと、非常に効率主義といいますか、成果主義、結果主義。社会全体がそうなんですけれども、学校にそれがどんどん、どんどん入ってきてしまって、もうがんじがらめになっていたという現状があります。

いろんな例がありますけれども、例えば、私、今、非常に腹立たしい思いをしているのが、東京の通勤時間帯に、電車が座席をはね上げて、立ち席だけの通勤電車が走っているという、そういう現状があります。これはまさに、物を運ぶという、そういう効率のみで考えられた発想なんですね。確かに、立ち席ばっかりですとたくさん入りますから効率はいいんでしょうけれども、運んでいるのは物ではなくて人間なんですね。そういう効率のみを追い求めていくと、結果的にそういうようなものになってしまう。学校がまさにそういう状況でございまして、効率、結果のみをどんどん、どんどん追い求められていって、学校というのは人と人との触れ合い、これが原点なんです。そういうようなものを、どんどん、どんどんなくされていって、結果がどうなんだ、効率的にどうなんだ、そんなようなことが今出てきているのかなと思っております。

私もよくいろんなところで話をしますが、いわゆる無用の用という感覚を、ぜひ一度、学校に戻してほしいな、そんな思いでいっぱいです。学校というのは、あくまでも人と人とが触れ合うことによって子どもたちの成長が見られる場所なんだ。そういうことで、今日お話しさせていただくのは、学級編制と教職員定数ということなんですけれども、お手元の資料の4ページ、5ページ、それから、6ページ以降は私どもの資料としてつけましたけれども、大きく3点お話をさせていただきたいと思っています。

1点目は、学級編制の標準を見直していただいて、通常学級にありましては、1学級の生徒数を35人、それから、特別支援学級にあっては、1学級の生徒数を5人、こういう考え方を私どもは今出しております。

6ページ以降に資料をつけましたが、これは1月に全日中のほうで理事会を行いまして、その折に、全都道府県の理事さん方にアンケートを出しました。各都道府県が取り組んでいる少人数学級の効果と課題についてということで、効果、課題、それぞれ箇条書きをしていただいたわけです。全47都道府県集まりませんでしたけれども、30都道府県から、左側にある数字がその都道府県の数字なんですけれども、これだけの数が集まりまして、法定では40人学級ですけれども、各都道府県、それぞれ工夫をしながら、35人学級、あるいは30人学級といったような取り組みをしています。そういう取り組みの中で、どういう効果があったか、どういう課題があるかということを聞いてみました。

ここに、今日の意見書の中にもありますけれども、後段のほう、○をつけてありますが、2点、効果として、「生徒一人一人に目が行き届き、個に応じたきめ細かな学習指導が行え、学力向上に効果があり、学校生活も安定する」といったような、学力の面、学校生活の面、両方でプラスがある。

それから、少人数になりますと、集団内における所属感、連帯感、存在感、こういったものを実感できるわけですので、さまざまな問題行動の、あるいは不登校等の予防、改善につながる、こういったようなプラスの面が出ております。

ただし、さまざまなマイナスの面もあります。それは、6ページ以降の右側の「課題」というところに書いてありますけれども、これは時間がございませんので説明いたしませんが、こういう課題もありますが、総体的に、少人数学級、35人程度の学級であると、今まで見えなかった子どもの姿が見えてくる、いろんな点で効果が出ているということは間違いのないことだと思っております。

そこで、私どもとしましては、全学校で35人学級を実現していただきたい。実施しております都道府県では、1年生は35だけれども、2年生、3年生になると違う、40人に戻る。となると、1年生のときに非常にゆとりのある教室だったのが、2年、3年と進級していくに従ってきつきつになってくると、そういうことがありますので、特定の学年ではなくて、全学年で35人学級を実現していただけたらと、そういうふうに思っております。

それから、特別支援学級につきましても、今、非常に複雑化、重度化したお子さんが入学してきておりますので、現行8人という学級定数になっておりますが、これをぜひ引き下げていただきたい。数字的には私どもは5人程度と考えておるんですけれども、現行の8人ではなくて、ぜひ引き下げていただきたい、そういうふうに思っています。

そして、もう一つ、これは非常に大きな問題だと私は思っておりますが、一律に35人学級ではなくて、ぜひ各自治体、学校長の弾力的な考え方を取り入れていただけたらと思っております。私は中学校の社会科の教員でずっとやってきましたけれども、ある程度の人数はいたほうが授業はやりやすい。いろんな子どもたちからいろんな発言が出てくる。ですから、一概に少ない人数がいいというわけじゃないんですね。ある教科によっては、特定の人数が必要なところもあります。しかし、実技を伴うような教科、美術とか技術といったものには個人指導が徹底できるようにしたほうがいい。ところが、体育のようにゲームをやる教科については、やっぱりある程度の人数が必要ということで、35人と縛るのではなくて、その状況に応じて学校長に。例えば、36人いたら18、18にするのか、あるいは、36で1学級にして、教科によって、今日の国語は36人でやるよ、今日の技術科は18人でやるよといったような、そういう裁量権、弾力的な運用をぜひやっていただきたい、そういうふうに思っています。

それから、2点目ですけれども、教員の定数です。これにつきましては、子どもと向き合う時間の確保等々、さまざまな課題があって、とにかく私ども学校現場は、もう忙しいの一言に尽きております。ぜひぜひ、ゆとりを持って子どもと接する時間をつくってほしいな、そう思っています。

そこで、1つの提案として、授業以外に1日の中で2コマ程度は、教材研究ですとか事務処理ですとか、あるいは保護者対応ですとか行事の準備とか、そういう事務的な仕事ができる時間をぜひ確保していただきたいと思っています。今、中学校の場合には1週間28コマで成り立っていますけれども、これが、例えば、東京都の場合には、最大24コマ授業を持っているんです。24コマということは、4コマしかあきがないんですね。ということは、日によっては、丸々1時間目から6時間目までずっと授業をやっている。その間、じゃあ、学級の子どもたちへのさまざまな連絡や、あるいは教材研究どうするんだ、保護者対応どうするんだということになってしまいます。ですから、1日2コマぐらいはそういったような時間が欲しいな。逆算しますと、1人の教科担当授業時数が19時間、これを上限にしてほしい、そういうふうに思っています。

19時間を上限にするためにはどの程度の教員が必要かといいますと、これが資料の9ページ、あるいは10ページに、実際にシミュレーションをしたり、定数を当てはめてみました。そうすると、学級定数×2ぐらいの人数がいると授業担当時数が19時間程度でおさまると、そんなような数字が出ております。これも時間がありませんので説明いたしませんけれども、19時間程度の授業であれば、それ以外の時間をいろんなことに使えると。子どもたちにそれを返すことができる、そんなふうに思っています。

3点目としまして、加配教員、あるいは教頭、あるいは免許外指導、この3つを書かせていただきました。現在、定数外で少人数指導、あるいは個に応じた指導という、さまざまな名目がありますけれども、加配された教員が各学校に入っております。ぜひ、この少人数指導、TT、その他さまざまなやり方がありますが、効果は上がっておりますので、ぜひそれははがさないでいただきたい。これは特に、全国の小規模な学校からの要望がすごく多いんですね。小規模学校では、加配されている教員で何とかやり繰りしているというのが非常に多いところがあります。ぜひぜひ、現行の加配制度、これは存続していただきたい。定数以外の加配教員もぜひ充実してほしい、これが1点目です。

2点目は、教頭さん、副校長さんです。今、すべての学校の矛盾が教頭さんに出てきちゃっています。体を壊す教頭さん、たくさんいます。非常に気の毒なんですね。「セブン-イレブン」という言葉があります。朝7時から夜11時まで仕事をしているという。「セブン-イレブン」というふうに自嘲しながら、彼らは仕事をやっておりますけれども――彼らってすみません。教頭会の代表の方もいらっしゃいますけれども、大変頑張っているんですね。体を壊す、ほんとうにもうすれすれのところまで、あるいは体を壊してまでという、そういう方はいっぱいいらっしゃいます。ぜひ教頭さんの仕事を軽減してほしい。

1つは、授業を持たせないでほしいと思っています。残念ながら、教頭が教員定数に入っているんですね。ですから、地方によっては、教頭さんがかなりの授業を持っています。そういうことで、ぜひ教頭さんに授業を持たせない、校務に専念できるような体制をつくってほしい。これは2点目です。

3点目は、免許外指導です。これ、全日中、私どもの調査で、資料の15ページにつけておいたんですが、調査をやりましたら、例えば、国語で免許外の人に臨時免許を与えた件数が264、政令市では30、合計294、こういう数字が出ているんです。最たるものが家庭科です。家庭科では、全国で2,026人の先生が免許を持たずに家庭科の授業をやっています。全国に約1万校弱の中学校がありますけれども、そのうち2,000名の方が家庭科の免許を持たないで家庭科の授業をやっているんですね。5校に1校がそういう状況になっているということです。それ以外の教科でも、こういった数字、見ておわかりのとおりの数字なんです。ですから、子どもたちの豊かな学びを保障するためには、ぜひぜひこの免許外指導というものを完全に解消していただきたい。そのためには十分な教員配置をしていただきたい、そんなふうに思っています。ちょっと言い過ぎの面もありましたけれども、ぜひよろしくお願いいたします。以上です。

【髙橋財務課長】 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、全国特別支援学校長会、兵馬事務局長様、お願いいたします。

【全国特別支援学校長会】  このたびは本会にこのような意見聴取の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。会長の代理として、事務局長から本会の意見を述べさせていただきます。

先ほど来、全連小さん、全日中さんが、通常の教育での少人数学級化というお話をしてくださいました。全特長としましても、やはりこれを支持したいと考えております。本会は、特別支援教育に関する団体ですが、これが本会のみでした。今、学級のお話は全日中からも少しいただきましたけれども、学級定数を変えていただけるとありがたいと思っております。ですので、今回は特別支援学校長会ということで、特別支援学校の立場で意見を述べさせていただきます。

私どもの会は、約1,000名の校長で会が構成されております。ということは、約1,000の特別支援学校があるということです。全国特別支援学校としてはこういう教育を実施しているところですけれども、先ほどのお話の中にもありましたが、小・中学校にも、発達障害などの障害を有するお子さんが約6%いるということがわかってきました。在籍児童・生徒の教育に加えて、特別支援学校は、小・中学校の支援をするといった、新たなセンター的機能も特別支援学校には課せられております。このような特別支援教育の充実に向けた制度が改善されていく中で、学級編制及び教職員定数の見直しが行われるということは大変重要なことと考えております。

資料につきましては、16ページ、17ページから説明させていただきます。

まず初めに、国の学級編制の標準の今後のあり方についてということで意見を求められておりますので、そのことについてお話しいたします。

小・中学校等においては、先ほど申し上げたように、発達障害の児童・生徒、個に応じた配慮をしつつ指導していくためには、少人数学級をぜひ推進していただくということが重要だと考えております。少人数学級を実現することによって、個に応じた指導による教育効果が上がるものと考えております。ぜひ、学習の基礎となる学級の定数を少なくしていただきたいと思います。

以下、4点について申し上げたいと思います。

1つ目は、特別支援教育学校における教員の専門性の担保と質と量の確保のことでございます。特別支援学校というのは、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、知的障害、病弱虚弱やこれらの障害に発達障害をあわせ有する児童・生徒が在籍しています。その障害の程度は重く、多様化していますし、また重複化もしております。これらの児童・生徒の指導には、教員の障害特性に対する専門性の担保が喫緊の課題ですが、特別支援教育の専門性を持つ教員の確保が非常に難しいという現状があります。

今年度の本会の調査によると、平成21年度、80%以上の都道府県で教員の採用不足が生じていました。このうち80%の都道府県が、臨時任用での採用で補充をしていたということがわかりました。臨時任用の先生というのは年度ごとに更新されるということで、学校としてのいろいろな積み上げができない。また、研修を積むにしても、1年でまた更新されてしまうということがあり、新たな課題が出てきております。それぞれの障害に対応できる教員の配置が必要だと考えています。

しかし、特別支援教育の免許を持つ教員もまだまだ十分ではございません。特別支援学校においても約70%ぐらいです。それから、特別支援学級では30%ぐらいの教員が専門の免許を持つということですので、通常の学級の先生方には、やはりこういった子どもたちの指導というのは非常に困難なことだと考えています。

2点目に、特別支援教育の制度改革に伴う教員の増員のことでございます。特別支援教育のセンター的機能を充実させるためには、特別支援教育コーディネーターの定数配置が必要だと考えています。これまでも定数改善がなされてきました。22年度予算でもコーディネーターの配置をしていただきまして、これはほんとうに感謝しているところでございますが、現状ではまだ、担任が兼務命令で、校長からすれば、兼務発令をしてコーディネーターを行っているということもあり苦慮しているところでございます。

3点目です。複数の障害種別をあわせた大規模校の学校経営に見合う定数改善を考えていただきたい。先ほども、学校経営を強化していくと学校が変わるというお話もありましたが、実は特別支援学校というのは非常に大きな学校がございます。職員が100名ほどいるところもあります。私の学校も約80名ほどおりまして、顔を覚える、名前を覚えるというのも一苦労なところがございますが、こういった大規模の学校に対して、やはり管理スパンを考えて、リーダーシップをとるためには、校長の部下について、充実した配置をしていただけると良いと考えております。

4点目です。特別支援学校においては、健康・安全ということが重要視されます。こういった面での教職員の配置もぜひご検討いただければと思っております。

後半の部分、新学習指導要領に応じた教育課程の問題でございますが、時間も限られておりますので、1点だけ述べさせていただきたいと思います。

特別支援学校も非常に多くの職員がいるわけですけれども、例えば、病気休暇、それから、妊娠をされる、妊娠の場合は産休代替の方が校務分掌も含めて、1人の教員の分の仕事をすべて請け負っていただくのですけれども、病気で休む先生、そういった先生がかなり多くおります。この場合は、非常勤講師で対応することになります。先ほど、中学校の時間数が話題になりましたが、1人の先生の教科持ち時数が24ということです。小学校が26、高等学校が18時間となりますと、特別支援学校で講師が配置される時間数もそれに準じております。ところが、特別支援学校の場合、朝から帰りまで学習を継続して行うということで、先生が立ちかわり入れかわりということがなかなか難しいということもございます。ですので、定数の問題ではございませんけれども、教職員の拡充、定数をきちっと確保するという意味では、非常勤講師の対応についてもご検討いただければと思っております。

以下、キャリア教育の充実が必要であるとか、それから、小・中学校のほうからもお話が出ましたが、やはり特別支援学校も、保護者の対応に非常に丁寧な対応を求められております。また、1人のお子さんが学校にいる間だけではなく、やがて社会に出ていくといった意味での地域との関係、そういうことも重視しております。そういった点では、教員が地域の関係機関、保護者といった方々と十分話し合う、もしくは一緒になって考える時間というのが必要かと思っております。そういった部分も、1人1人の担任には学級事務としてのしかかっておりますので、この点についてのご配慮もいただきたいと思います。

最後です。教材・教具、これが特別支援学校の教員の1つの武器です。ですが、こういう教材・教具をすべての子どもたちに用意する時間がなかなか確保できないということで苦慮しております。先ほどの小・中学校の中からもありますように、教職員が子どもの教育に向かえるよう、ぜひそういった時間のことについてもご検討いただければと思っております。以上でございます。

【髙橋財務課長】  どうもありがとうございました。それでは、全国高等学校長協会管理運営研究委員会の委員長の藤井様より、お願いいたします。

【全国高等学校長協会】  それでは、よろしくお願いします。まず、このような意見聴取をされますことに感謝申し上げます。そして、次に、高等学校というところは、皆さんもご存じと思いますけれども、全日制、定時制、通信制との種別があったり、普通科、専門学科、総合学科の別があったり、多様性があるということを、まずご認識していただきたいということと、同時に、生徒が選択によって入学してきたという学校であるということを、まずご認識して、ご考慮していただきたいと思っております。

それでは、高等学校の現状から意見を述べさせていただきます。ただ、今申し上げましたように、どこに焦点が当たるのか。少しぶれることがあるかもしれませんけれども、ご了解願いたいと思います。

学級編制に関しましてですけれども、結論から申し上げますと、今の40人から可能な限り下げていただきたいと思っております。では、何人がいいのかといいますと、35人か30人かというのは、今後、それぞれの種別等を考慮し、また考えていきたいと思っております。ただ、現在、東京都では、専門学科が35人、定時制が30人定員として、それぞれ、その定数による効果を上げているという現実もございます。

もう一つ、削減していただきたいという大きな理由は、やはり今、大学等でも課題になっております授業の質ということが問題になっています。大学側から、授業の質が落ちているんじゃないか、高大接続テストをやったほうがいいんじゃないかとか、さまざまなことを言われておりますけれども、授業の質、これを確保するためにも、いわゆる40人学級から定数減のほうがより質は担保できるんじゃないかと思っております。

と申し上げますのも、ご存じと思いますけれども、ほぼ高校全入時代に入っております。そうしますと、各学校の多様化がますます進み、また、社会の変化に伴って、生徒の状況も、おとなしくはなったが主体性に乏しいだとか、精神疾患に陥りやすいとか、大きく変化しています。

また、授業自体におきましても、いわゆる従来の知識中心から、思考力だとか表現力などの多面的な能力開発が求められております。そうしますと、必然的に、調べ学習だとか、あるいはグループ学習などが行われるようになります。そうしますと、教室の広さ、あるいは用具等のことから考えますと、40人では非常にやりづらい。やはり40人では、効率的な質の担保ができない。このようなことからも、ぜひ可能な限り削減をしていただきたいと思っております。

ただ、一方、体育祭だとか合唱祭などを考えますと、学校によりますと、いわゆる行事の活性化等を考えますと、40人定員でもいいんじゃないかということも考えられると思います。ただ、確かなことは、先ほど申しましたように、いわゆる40人定数であっても、そうしますと、今度は、教科教育の定数の緩和をお願いしたいということですね。少人数だとかTTだとか、そのようなことをぜひ、もし定数をそのまま維持する、そういう学校のほうがいいんだという場合におきましては、教科定数をご配慮願いたいと思っております。

次に教職員定数ですけれども、これは一言で申し上げますと、可能な限り動かしていただきたいと思っております。なぜならば、これは先ほど、小学校、中学校、特別支援の校長先生がお話しなさったように、いわゆる世間は学校化というものが進みまして、教職員の行う分野が非常に拡大しているというのが端的な理由でございます。結論的に言いますと、その結果、いわゆる教師の本分であろう、生徒と向き合う時間の減少ということが出ていることでございます。

それでは、どういうことを提言したいかといいますと、何点か申し上げたいと思います。

1つは、先ほども申し上げましたけれども、少人数、あるいは習熟度等の推進緩和、あるいは副担任制度等を、教職員の定数の増加をお願いしたいというのが第1点でございます。

次に、これは先ほどから出ておりましたけれども、学校事務の処理が非常に多くなっております。したがって、教職員のリーダーであるべき副校長といいますか、教頭がその力を発揮する現場が非常に難しくなってきている。このようなことから、いわゆる副校長、教頭の複数制をお願いしたいと思っております。現に、今、東京のある学校で、行政系の副校長と教員系の副校長が、どのような形か知りませんけれども、試験的にやっております。その学校では、校長、あるいは副校長とも非常に喜んで、それぞれの職務を全うしやすいという現状がございます。ぜひこの点も考えていただきたいと思っております。

次に、高等学校におきましても、発達障害等の、いわゆる精神的な疾患を抱えた生徒が増加傾向にあります。そして、現在は、いわゆる充て職といいますか、教員が何とかお茶を濁しているような現状でございますので、高等学校におきましても、特別支援教育コーディネーターの基本定数、それが無理ならば加配という形で配置していただきたいと思っております。

それと、もう1点は、これは教職員としまして、直接教育とはかかわりませんけれども、いわゆるコンピューター等の発達によりまして、事務処理が非常に多くなっております。できましたら、教職員を手助けする教育の事務支援員もぜひ配置願いたいと思っております。

さらには、せっかく制度として、先ほど、副校長も同じ、教頭も同じでございますけれども、主幹等の制度を設置しまして、それも機能しておりますけれども、ただ、この主幹の授業時数も非常に多うございます。副校長を助け、教職員の組織的なリーダーとなる、そのような役割を担う彼らにおきましても、現行の授業時数からおよそ10時間程度でもいいですから、授業時数を削減していただきたいと思っております。

以上、端的にさまざまな要望をお願いしましたけれども、もう一つ、もしこれが可能なことでありましたら、よくあります、まずは、義務教育から実施し、それを見て、その次、高等学校と、そういうような手順じゃなくして、ぜひ義務教育が実施されるときにおきまして、高等学校も同時に実施していただきたいと強く望みたいと思っております。

最後に、直接定数とは関係ございませんけれども、先ほど言いましたように、高等学校はさまざまな種類の学校がございます。土曜授業をやらなければ、とてもじゃないけれども、朝の0時間目授業、毎日、7時間目授業というのをやらなくちゃいけない学校もあります。また一方、土曜日を検定試験に充てるとか部活動に充てる、そういう学校もあると思います。ですから、土曜授業に関しまして、ぜひ必要とする学校におきましては、柔軟・弾力的な対応をお願いしたいと思っております。以上、よろしくお願いいたします。

【髙橋財務課長】  ありがとうございました。それでは、全国高等学校教頭・副校長会の錦織会長さん、お願いいたします。

【全国高等学校教頭・副校長会】  本日はお呼びいただきまして、ありがとうございます。校長先生方がそれぞれご発言されましたので、「セブン-イレブン」と言われた教頭としては発言がなかなか難しいんですが、せっかくお呼びいただきましたので、率直にご意見を申し上げたいと思います。

まず、定数改善に関しましては、第1次の実施のところで、普通科が50名、いわゆる今日の専門学科が40人というのが昭和37年から41年度で始められまして、第6次、今年度の予算ということで、極めて改善されてきていることに対しては敬意を表したいと思います。

ただ、例えば、昭和36年ぐらいに建てられた学校というのが今日も全国に多数存在していまして、その当時の生徒の体格と今日の生徒の体格を比べた場合に、教室の面積自体が果たして40人学級に見合う規模になっているんだろうかということを1つ疑問に思っております。

実際面で、いわゆる35人とか30人学級のほうが授業効果が高いということは明らかですが、現実の問題としては、生徒の体格とか発達段階に応じて、高等学校段階では、やはりその辺の観点も考慮されてしかるべきかなと思っております。

今、35人、あるいは30人学級と申し上げましたけれども、これも一律に35人、30人が望ましいということではなくて、あるべき姿としては35人、30人学級だろうと思います。校長先生方が申し上げられたとおりで、この辺は校長の弾力的な運用のもとで学級が決定できればなと願っております。

また、ティームティーチングや少人数・習熟度も、副校長、教頭の立場から申し上げますと、各教育委員会にお願いをする際に、大変複雑煩多な書類を作成しなければならないという現実もございます。やる以上は、その効果を結果として見込める形での計画書を作成しなければならないのは当然なんですが、申請段階において非常に複雑な書類をつくらなければならないということにおいて、果たしてそれが学校としてほんとうに望ましいものなのかどうかということについては疑問に思っております。

3点目として、そのほかのことを幾つか申し上げたいと思います。学校教育法の改正によって、主幹教諭というのが、あるいは指導教諭が全国配置できるようになりました。しかしながら、主幹教諭、指導教諭の持ち時数の軽減ということについては、今年度、当初の予算の中では入っていたかと思いますが、実際には財務省の査定の段階では、それが削られたといういきさつがございます。まだ全国的に見れば、主幹教諭、あるいは指導教諭の進捗状況というのは極めて少ない段階ではありますけれども、その制度を導入した以上、その職を目指すという教員の意気込みを喚起する意味でも、今、校長先生方が申し上げられたところからも考えまして、やはり何らかの時間軽減というのは求められてしかるべきだろうと思っております。よろしくお願いしたいと思います。

本年度の予算の中で、理数教育、あるいは特別支援教育の点において、かなり踏み込んだ形で予算が認められたことについては、大変喜ばしいことだと思っております。しかしながら、高等学校段階においても、特別支援教育を必要とする生徒の入学比率も年々高まってきております。そうした意味で、校長先生方が申し上げられたとおり、いわゆる特別支援教育コーディネーター、これの定数化というのは必要だろうと思っております。学校がさまざまに進歩して、さまざまな点から、例えば、コンピューター教育等がIT教育として高められていく過程においても、残念ながら、物を教員に与えるだけでは、実際には教育効果というのは高まっていないのではないか。当然、それらのことをサポートする体制というものが必要になっているという現実がございます。あるいは、学校事務センターというのが何県かのところで設置されております。その県では、必ず学校の事務職員定数の削減ということが行われております。定員を削減するのではなくて、行政系の事務職員を学校教育のために有効に活用する措置を講じていただければと思っております。

また、高等学校の中途退学の対応というのは、今日においても深刻な課題であります。そうした観点からも、やはりそういった事柄に専門的に取り組む教員の配置ということも望まれるかと思います。

以上ですが、最後に、副校長ということ、あるいは教頭という立場からお書きするのはいささかと思ったんですが、先ほど、「セブン-イレブン」と言われましたので。実は、教員定数の中で、副校長、教頭が定数の中に含まれております。東京の場合においても、東京は恵まれておりまして、一応、授業は持たないということになっていますが、教員定数の中には含まれているんですね。そうすると、実際の教員の定数で持ち授業数を割った1人当たりの教員時数が、副校長が含められることによって時数が下がってしまうという現実があるんですね。あるいは、そういった県は東京以外にもあります。ぜひ、そういったところで、持ち時数のところでの反映がされるような措置をとっていただければと思います。

また、弾力的なところで、非常勤講師、臨時的任用というお話もありましたけれども、果たして非常勤講師、臨時的任用で子どもたちと向かい合うということが確保されるかどうかということについても十分お考えいただければなと思います。以上、申し上げました。よろしくお願いいたします。

【髙橋財務課長】  どうもありがとうございました。それでは、5団体の皆様からご意見の表明をいただきましたので、あとは質疑応答に移りたいと思います。文科省側からいかがでしょうか。

【清水文部科学審議官】  では、私から2点ほど、それぞれお伺いさせていただければと思います。

1つは、先ほど、どちらかといえば、教職員団体の方々から第1部で聞かせていただいたのですが、そこで1つ提起されていたのは、クラスサイズの問題に関連して、学習集団、生活集団というものは、いわゆる学年の規模、あるいは学校の規模によって、相当効果が別になって考えるべきところがあるのではないか。例えば、35人で17と18に分けるのか、そのときの構成はどうなるのかという、そういう例を挙げながら、そのあたりについて、もう少しあるべきところをそれぞれの状況に応じて考えることが必要でないかというのは、割合多いご意見だったかなと思います。このあたりについて、それぞれどうお考えなのかというのが1点。

2点目は、基礎定数と加配定数という部分で、その考え方の中で、基礎定数と加配定数というものについて、それぞれ学校種がありますけれども、関係としてどうお考えなのか。いろいろ、中にはそれとなく読み取れるわけですけれども、その関係をどう考えたらいい、どういうふうに思っておられるのか。それと、加配定数の部分で特に重点を置くべきというのはどういうところにあると、それぞれでお考えなのか、そのあたり、ひとつお聞かせいただきたいというのが1つです。

それから、これは特に岩瀬先生にお伺いしたいのですが、免許外教科、中学校でいろんな深刻な実態があるというのはよくわかります。一方で、教員養成のあり方というものを考えたときに、いわゆる免許状が示すもの、免許状が保証するものというのも、いろんな議論があり得ると思うんですよね。例えば、そこの中でいえば、養成課程というものをさらに期間を延ばすと同時に、養成課程のカリキュラムの問題として、あるいは免許状が何を保証しているのかという問題について、いろんな議論が世の中であるものですから、例えば、そこの中で、メジャー、サブメジャーみたいな形で、単純な免許教科制だけじゃなくて、もっと弾力的な考え方があるのではないかというご意見もお聞きすることがあるんですが、そのあたりについてどうお考えか、これはむしろ岩瀬先生に3つ目のご質問ということになりますかね。

【髙橋財務課長】  それでは、順不同ですけれども、どなたからでも結構ですが。まず、向山会長さんからお願いします。

【全国連合小学校長会】  まず1点目のご質問ですけれども、クラスのサイズと効果というのは、ご案内のとおり、いろんな考え方が出て、この数十年来、議論しても、なかなかこれだというのがないのが現状です。小学校でも、国立政策研が数年前にやったときに、クラスサイズとその効果というのでも、たしか小学校では、理科の実験観察技能ぐらいのところでした。ただ、全体として忙しくなっていて、マンパワーがあって、いろいろフレキシブルに活用していくと、学級の効果が高くなっていくというのは事実だろうと思います。小学校でいくと、基本的な業務量の中で授業以外が、この間の勤務実態調査でも2時間26分あるという。先進国に比べて、これが大変多いのが特徴です。ですから、そういうところに必要な人員が入ってくるとありがたいというところなんです。じゃあ、それは基礎定数と加配定数のところ、どうしたらいいかというのは、これはもう学校実態、地域実態でもいろいろ違うので、例えば特別支援の問題で、それが大変大きいところは特別支援で使いたいし、あるいは、若い教員が多い地域、大都市とかその周辺だったら授業力の中では未熟な面がありますから、やっぱりティームティーチングでやっていきたいというところもあります。あるいは、保護者からの非常に多様なニーズがあったときには、マネジメントのほうで強化しなければならない、そういったところがやれるような加配というか、定数改善が欲しいということですね。

【全日本中学校長会】  学習集団あるいは生活集団というんでしょうか、集団のとらえ方ですけれども、先ほど申し上げましたとおり、中学校の場合、教科担任制をしいておりますので、その教科に見合ったサイズというのがあると私思っておりますので、そのあたりのところは、ぜひ各自治体なり学校長の裁量の範囲内にしていただきたいなというのが1つあります。しかし、教員定数を決める際の基礎的な人数、これは全国一律でお願いできたらと。その中でそれをどう運用していくかというのは、学校長の学校経営の腕の見せどころというのでしょうか、そういうようなものがあるといいなというのが私の考え方です。

それから、36人だったのを一律に18、18にするんだみたいなことではなくて、同じことですけれども、行事等の関係なんかも考えたときに、やはり学校全体のバランスを考えてやっていただけるとありがたいと思っています。

2点目の基礎定数、加配定数というのは、教員定数の問題なのですが、これも今の話とダブりますが、基礎定数はきちっと全国一律でやっていただきたい。加配定数という、それぞれの個に応じた指導ですとか不登校加配ですとか日本語指導の加配ですとか、いろんな加配がありますけれども、そういったことについては基礎定数とは別個に考えていただかないと、私どもとしては大変マイナスが出てきてしまう。

というのは、先ほどもお話ししましたが、小規模校の場合には、加配されてきた教員を担当に充てています。そうしますと、結局、何のための加配だったかというのが全然意味がなくなってしまうのです。少人数指導やりたいと思っても、それができなくなってしまうという現状がありますので、基礎定数と加配定数といった、そのあたりのことをきちっと整理していただけるとありがたいなと思います。

3点目の免許外につきましては、これは全日中では非常に大きな課題になっておりまして、ぜひ解消していただきたいというのが基本にあるのですが、ただ、正直なところ、解消できない理由が、免許を持った方が地方にはあまりいらっしゃらないという、いわゆる講師対応するんですけれども、そういう現状があるんですね。ですから、そのあたりのことをこれからどう対応していくかというのが1つあるかと思いますし、それから、やっぱり免許というのは、これから教員養成についてさまざまな検討会が立ち上がると思うんですが、大学なりそういう機関で教育を受けてきた人がもらえるのが免許だと思っていますから、国語、社会科、理科という、そういった教科について、ある意味での専門家だと思っております、中学校以上の場合には。そういう人たちが免許外のものを教えるというのは、たまたま若いし動けるから、体育やれとか、小さい頃にピアノやっていたんだから音楽できるだろうなどというような発想ではなくて、子どもたちにとって責任ある教科指導するために、やっぱり免許が担保されなくてはいけないと思っています。

教員養成につきましては、今言われている6年制ですとかいろんなことについては、いろいろ議論があります。これについては、またどこかの機会できちっとお話しさせていただきたいと思っていますが、とにかく、教職に夢を持たせるような、そういう教員養成であってほしいなと思っております。以上です。

【全国特別支援学校長会】  特別支援学校の場合は、小・中学部が6人で1学級が構成されている。これがあまり小さくなると、また子ども同士の関係も厳しいところがあるんですが、今、特に知的障害の生徒さんが増えてきていて、私の学校もそうなんですけれども、1学年二十数人小学生がいます。ですから、3クラス、4クラス。それから、重度・重複学級、これが3名で構成されるということで、小・中学校の1クラスとあんまり変わらないぐらいの学年集団になるということがあります。ですから、こういった点での数というのは、やはり下がっていくことのほうが良いだろうと思います。

逆に、高等部の軽度の生徒についても、学校の今の基準の8人の中では、収容人員というのはなかなか追いつかないということで、東京の場合は10名でやっているというような工夫のあるところもあるのですけれども、1つは、施設がきちっとできれば、学校ができていけば、そういうことも解消できるのかなと思います。

それから、2点目の基礎定数、加配定数についても、コーディネーターの加配等をいただいて、これは先ほども申し上げましたけれども、非常にありがたいことになっておると思います。ですから、生徒指導や教育相談ということでも加配をいただいていますので、これはそれぞれ特別支援学校のほうで十分に活用させていただいています。

3点目についてもちょっと触れさせていただきたいのですが、教科の免許というと、国語、算数といった、そういう教科です。ところが、特別支援学校は、教科、領域をあわせた指導ということになります。そうなりますと、先ほど、家庭科の先生がいないということがあるのですが、合わせた指導の中で生活単元学習というのがあるのですけれども、こういった中で調理の学習をする、もしくは食育の学習をするとなったときは、ほとんど免許外ですね。そういった教員が対応しているということもあります。

それから、教員養成のことにも、先ほどありましたけれども、できるだけ小・中学校の先生になる方、今、介護等体験、これにおいて特別支援学校、それから社会福祉法人での実習を積むという田中眞紀子さんの議員立法がありましたけれども、これも非常に効果がありまして、ここから特別支援学校の教員になりたいという方もいらっしゃいます。ですので、ぜひ教員養成の中で、特別支援教育の免許を取るという、もしくは、講義の中でそういう授業をとるといったことも進めていただくと、先ほどから出ています、通常の学級にいる発達障害のお子さんにも十分対応できる教員ができてくるのかなと思っております。

【全国高等学校長協会】  高校の場合は募集定員が決まっておりますので、若干の上下によりまして、それを2つに分ける云々ということはまずないと思いまして、また、多少の多い少ないは対応できると思っております。

基礎定数ですけれども、先ほど、私、申し上げましたように、もう高等学校も全入時代になっておりますから、と同時に、社会の状況で、先ほど申し上げましたように、さまざまな精神的な疾患とか、また、非常に弱い生徒が多数入っております。ですから、ぜひ基礎定数のところに、特別支援コーディネーターというのを1つ考慮していただきたいなと思っております。

加配に関しましては、これも各学校によりまして、いわゆる教科指導の加配、あるいは生徒指導の加配というようなところの各学校の特色に応じて、学校の希望する加配というものを柔軟に対応していただきたいと思っています。これとこれをやることによって加配をしますというのではなく、学校側の要望によって加配というものを検討してあげたいと思っております。

免許制ですけれども、これはちょっとお聞きしたいのですが、本校も来年度から中・高一貫校になるんですけれども、逆なものがございまして、高校の教員で中学の免許を持ってない者が若干いるわけでございます。特に、専門職の強い大学の者ですね。そうしますと、いわゆる道徳と中等教育何とかいう教育法を学んでないために、それがさらに拡大して、授業を持ってはいけないというような縛りになっているわけでございますけれども、私は、そこまで縛る必要があるのかなという気はいたします。かえってそういう専門家が教えても、深い、興味あることができるのではないかと思いますので、その点も考えていただければと思っております。

もう一つ、免許ですけれども、やはり高等学校ですから、いわゆる教育というものを重視しなくちゃいけないのでしょうが、一方で、ある程度専門性に秀でた人間というのも私は必要ではないかと思いますので、大学院に行って、教職教養とか教育に関することを徹底的に学ぶということも1つの道で、これを否定するものではありませんけれども、また一方、いわゆる物理なら物理、数学なら数学、これに非常に秀でた人間が教育に携わるというのも、生徒にとってみても、また違った意味で効果があるのではないかととらえておりますので、ぜひそういう点も考慮していただきたいと思っております。

【全国高等学校教頭・副校長会】  まず、学校の活力ということを考えなければいけないと思います。したがって、行事関係を考えたときに、学級規模の段階もその辺から決まってくるかと思います。授業そのものは、先ほども申し上げましたように、人数が少なければ少ないほど、ある程度の効果は生まれると思いますが、学校が目指すものが、果たして教育活動全体の中で、いわゆる学力だけなのかということを考えたところで、やっぱり学級の定員というのは決まってくるだろうと思っております。

それから、いわゆる基礎定数、加配定数の関係ですけれども、高等学校は、その点では、今、校長先生が申し上げられたとおりで、教科と生活指導等でかなり明確になっているかと思いますが、先ほども申し上げましたけれども、やはり加配定数を確保するための事務手続が煩多であるということを解決していただきたいなと思います。

また、加配定数をいただくために年度ごとに更新しなければなりませんので、例えば、それは、その年度に入ってきた生徒に関していえば、卒業するまでということで、3年ないしは4年程度、一括申請ができるような仕組みを考えていただければ、こちらとしては大変助かると思います

それから、免許のことなんですが、これ、実現するとは思っていないんですが、例えば、都市部と地方の県レベルでの教員採用試験の倍率を考えたときに、かなり差が著しいという現実があります。そういったところで、ある程度、ブロック採用というようなものができないのだろうかということをちょっと思ったりもするんですね。

例えば、東京で採用された教員が、東京で採用されたまま、一生東京で教員として終わるということも望ましい形ではあるかもしれませんが、地方の国立大学の教育系の学部を卒業した学生は、基本的には地元の県で教員になることを志しているかと思います。ところが、倍率の関係から考えると、必ずしも地方での採用が確保されているわけではありません。そういった観点から考えたときに、都市部で教員をしたとしても、ある程度弾力的に、ある年齢に達したときに地方で採用されるというような仕組みが考えられないだろうか。そういうことによって、教員のいわゆる意欲というものも、教員志望の若い人たちの意欲を今後も確保できるのではないかと考えております。以上です。

【全国連合小学校長会】  報道によると、中核市の教育長会も指定都市の教育長会も、実際の定数の数はどこまでかというのは出してない。ただ、裁量を認めてほしいと、地域実態や自治体の実態にというようなことは報道されていました。これ、辰野政策評価審議官に聞きたいんですけれども、やっぱりある程度、何人ってわかったほうが国民的なアピールはしやすいんですかね。先生の数をもっと多くしてください、クラスサイズはこうですよと。やはり地域実態や学校種別やいろんな課題を抱えていますから、それに応じて実を入れていったほうが、効果としては現場的にはあるんですが。

【辰野政策評価審議官】  基本的には、学校の現場のニーズとリアリティーに即して、どういうことが今求められていて、どれに応えることが一番効果があるということです。少なくとも、まず学校は求めているのか。そこのところをまず、ここのところでいろいろとお聞きしながら考えていきたいということです。教育効果は、先ほど、学級規模にしても何にしても、どれだけ投入すればどれだけというのは、なかなかわかりにくいところがある。しかし、学校現場が現実に、これ、困っている、ないしは、ここのところをこうしてくれれば非常にブレークスルー、一気に打開する部分があるんだと。そこのところは一体何なのかということを聞いて、それで制度設計の仕組みに持っていきたいというために、今これをやっているわけですので、そういう意味で、率直にいろいろとお話をしていただければありがたい。

逆に聞きますけど、要するに、これ聞いていると、多ければ多いほどいいと、少なければ少ないほど丁寧にできるということ、いろいろ出てくるのですけれども、これからは限られた資源をどのように投入するのかというところで、また、どれだけの国民に対する説得力を持てるのかというところがあるのですが、小学校の場合には、いろいろとお書きになっているんですけれども、学級のサイズを上限を引き下げることを求めているのか、それとも、むしろ教員の配置の改善を求めているのか。上限の引き下げ、40人の見直しというのは象徴的に語られますが、例えば、小学校であれば、35人以下の学級は、もう80%ですから、しかも、へき地などでは、5人、10人学級となっている。その点は、20人学級にしたと同じことなんです。ですから、小学校の方は多いところについては改善してほしいけれども、むしろ大多数の学校、35人以下、80%あるけれども、そこの中でのいろんな課題として、こういうことを配置でやってほしいとか、そういう説得力があること、何かないですかね。

【全国連合小学校長会】  僕らはOECD並みの、全体として、子どもの数と先生の数を比較して、先生の数を多くしたい。ですから、一律のものを求めているんじゃないんです。先生の数をいろんなふうに使うと、平均すると、割ってみるとOECD並みに近づければありがたいと、そういう形で言っているんです。

【辰野政策評価審議官】  要するに、教員1人当たりの生徒数という形で考えていただきたい、そういうことですか。

【全国連合小学校長会】  そういうことです。

【辰野政策評価審議官】  もっと踏み込んでお聞きしますけど、今は学級数をまず基準でもって確定して、それに対してどれだけの教員かという計算の仕方をしますよね。高等学校の場合は、昔、生徒数というものを前提にして、その割合でもって積み上げていったところがあったのですよ。ですから、例えば、そういう意味で、今の定数の計算方法についても、生徒数を前提にシンプルに算定してほしいなどというご要望というのは何かあるのでしょうか。ないしは、ご議論みたいなものは何かあるのでしょうか。

【全国連合小学校長会】  中でですか。

【辰野政策評価審議官】  ええ。

【全国連合小学校長会】  だから、こ結局、いろんな事例が集まってきていて、その悲鳴を上げているところにどう返してくれるのかという希望なのです。それは、あらゆるケースがあるわけです。先ほど言っている特別支援であったり、学級が崩壊してしまったり、親対応であったり。先生の数、マンパワーが増えることによって少しでも対応ができるという、そういう先生の数を求めているというのが現状なんですね。全体としてそういう先生が投入できれば、何とかきめ細かい指導ができていくという期待を持っている、そういう要求なのです。

【辰野政策評価審議官】  いや。そうすると、どういう算定にしていくかというのは、これはもう技術的な話だから、それは行政が考えてくれと。

【全国連合小学校長会】  そういうことです。

【辰野政策評価審議官】  心はこういうことだと、そういうことで受けとめてよろしいですね。

【全国連合小学校長会】  はい。

【辰野政策評価審議官】  わかりました。それと、先ほど、授業以外のいろんな要素が増えていると。それへの対応というのが非常に大変なだということで、前半のところで、事務職員とか、養護教諭のほうから、そういうものについて、そちらを増員すれば、そちらのほうを軽減できると。もちはもち屋にしてくれれば、教員が抱え込んでいるものを少しでも軽減できて、授業に専念することができるのではないかという提案があったのですけれども、そういう意味で、校長先生として、学校全体の運営というものを考えたときに、そのあたりも一つのツボなのかなと思いながら我々聞いていたんですけれども、いかがですか。教員を増やすということももちろんそうですけれども。これは、中学校のほうにも。

【全日本中学校長会】  教科指導に関しては、やっぱり教員の数が、今、絶対的に足りないと思っています。それと、事務量の増加というのでしょうか、これがすごいものがありまして、今、大体教頭先生がそれをやっていますが、例えば、区のほうから、学校にある木材を使った床面積の報告をしろと施設課から来たのです。それは都から来ているのです。都は文科省さんから来ているのです。今、そういうことまでやっているのです。結局、教頭さんは、それは美化担当の先生に、ちょっと調べてくれというのでやっていますけれども、そういったような、学校の、子どもにかかわる教育の問題以外のことがいっぱい出てきておりまして、そういう意味では、事務的な仕事をできる人をどんどん増やしてほしいなというのがあります。そういう人を増やすのと同時に、いつも言われていますけれども、教育以外にあるさまざまな事務的なものについては削減してほしいという。これは両方だと思っております。

【全国連合小学校長会】  丁寧な指導ということで、これは丁寧できめ細かくて質の高い教育、例えば、これ、宿泊行事1つとっても、小学校で見れば、30年前なんていうのは、1泊2日でどっか行くぐらいが標準的でしたけれども、うちの学校でいえば、3年から、3年、4年、5年、6年と行くわけです。また、学校規模が昔に比べて小さくなっている。うちでも、1学年2学級です。2学級の担任の中で、遠足、どこ行こうか、宿泊行事対応、どうするか。それから、いろんな授業の準備だって大変複雑化していますし、それに伴う多様な活動をします。また、業者との折衝もあります。それから、いろんな地域の人に来てほしいとか、コーディネートもする。このようにしてビルド・アンド・ビルドでいろんなことが膨らんでいってしまっていて、もうパンク寸前ぐらいまでいっている。だから、学校全体の中でマンパワーを増やして、だれかにその宿泊行事のバス会社との契約をやってほしいとか、こっちのところはその人に対応してもらって多忙感を解消したい。そうすると、やっぱり必然的に、教師が子どもと向き合う時間が確保できていくということになるわけです。

【全国特別支援学校長会】  特別支援学校のほうも、事務量、これは、いろんなことで増えてきました。個別の指導計画であるとか教育支援計画、これはいろいろなことで、策定していくということには、情報も集めなければいけませんし、最近の教員は、パソコンを打てなければ仕事ができないということになってきています。そういった技術的なものについても、教員は、なかなか研修する時間もない。ただ、さっきもありましたが、道具はどんどん入ってきますけれども、それを使いこなせるだけのスキルをまだ持ち合わせていないということもあります。

それから、先ほど、大規模な学校になると、標準法でいうと想定していないのですね。100学級ある学校というのを、本校の場合も42学級、高等部のある学校ですと60学級とか、そういうふうになると、養護教諭が1人だと不十分です。1つの学校なのだから1人だということで、学級が大きくなってしまうと、定数の掛ける乗数のほうもちょっとあいまいになってきているところもありますので、小・中学校でも非常に過疎化が進んで、小さな学級というのもあるのですけれども、逆に大きくなっているところもあるということもお知りおきいただければと思います。以上です。

【全国高等学校長協会】  先ほど、高校の場合は、東京都は事務室から経営企画室に名前が変わりましたので、いわゆる制度だとかそういうものは事務サイドでやってくれますけれども、ただ、昔の学校事務と違いまして、東京都の地方公務員として学校に配属されているというところでございます。ですから、教員がやることと事務室がやるところのすみ分けというのは、なかなか難しい部分がありますけれども、児童にかかわるようなことに関しましては、なかなかお願いしづらいという部分があります。

ところが、現実は、今、成果主義といいますか、何をやりましても、すべてその結果を集計し、分析し、それをさらに結果を出さなくてはいけないとなってきますと、教員がそういうような事務処理に費やされる時間が非常に多くなるということもございます。

それと、もう一方、やはり教育には答えがないと言われるように、また、やっていることはすべて正しいんだと思いますけれども、例えば、いろんな委員会が年々、年々増えているわけなんです。例えば、食育が必要になってくると、食育の何とか委員会をつくりなさいとか、奉仕が必要なら奉仕の委員会をつくりなさいとか、それはそのときそのときに教育として求められるものでありますけれども、それを一律、どのような学校にも全員必要なのかということに関しては、私は考えるべきではないかと思います。

例えば、食育に関しましては、これは確かに、どの学校にも必要でしょうけれども、まずは、この学校をやってみてどうだろうかと、そういうふうにやっていって、少しでも事務処理の分担を軽減していただきたいという要望はございます。何もかもが一斉に、何かございましたら、東京ですと200校ございますけれども、どんな学校であろうとも200校に全部おろしてくると。そうすると、全部やらなくてはいけない、そのような実態もあるということはご理解していただきたいと思っております。

【全国高等学校教頭・副校長会】  学校事務の件に関しては、同じなんですね。昔は、学校事務という形で、学校の事務を専門にされる方がいらした。今はそうではありませんので、2年単位で異動されてしまう。ということで、企画室、事務室の職員の方も、教員との仕分けということがなかなか難しいのかなと思っています。

宿泊行事1つをとってみましても、例えば、仕様書をまず教員のほうにつくってくださいという話になります。それから、実施現業をつくって、それで業者選定委員会をやって、ようやく、業者選定委員会のところからは、いわゆる事務室が介入してくるということになります。果たして仕様書といったところで、いわゆる教育の目的に関する部分については教員がつくるべきだと思いますが、実際に宿泊施設の規模とか、そういうところまで教員につくらせるというあり方が果たして望ましいやり方なのかどうか、ちょっと疑問に思っています。

「コンクリートから人へ」というお話が先ほどもありましたけれども、例えば、今、学校では、警備そのものも機械警備になっています。そのときに、きのう11時ですけれども、それこそ、帰る際に、玄関まで行って初めて無施錠の場所がわかるわけですね。昔であれば、警備員さんがいまして、「すみません。あと、よろしくお願いします」で済んだんですが、結局、11時過ぎても、無施錠のところがあれば、もう一度オートロックを解除して、そこの場所まで行って、実際に閉まっているかどうかを確認して、実際は閉まっているんですが、ずれたりしていますと、結局、ロックがかかっていないということになりますので、それでロスが20分から30分ぐらいはある。

そういったところもありますし、例えば、都立高校の場合はコンピューターが全員に配付されました。ところが、ログインできないということになると、結局は我々が飛んでいって、どうしてできないのかというところまでやらなければいけないですね。昔、情報アドバイザーという方が学校に常駐する形がありまして、かなり重宝だったのですが、今、IT支援員という形で、拠点校にいて、巡回してくるやり方をとっています。そうすると、IT支援員に来ていただくために、まず書類をつくらなければいけないんですね。つまり、そういったところの、例えば、我々の給与を考えたときに、1つ余分な仕事が入ることによって、せっかく国でやられていることが、実際には学校現場では学校の仕事を1つ増やしているというようなことになっているという実態があると思います。

そういったところをお考えいただければ、せっかくやっていただいていることが、必ずしも学校にとってはいいことではなくて、学校を苦しめていることでしかないということが多いということですね。

【前川大臣官房審議官】  私がお聞きしたいのは、学級編制について、学級というのは、幼稚園から高等学校まであるのですが、特別支援教育についても、やはり学級という概念はあるのですが、その意味するところは相対的に違っているんだろうと思っていまして、「学級」という言葉でくくっているけれども、これはもうご意見の中にも出てきていますけれども、生活集団としての学級というものと、それとは別に学習集団というものと。それから、行財政上の学級というのが、これが学級編制をすることで定数が決まり、給与負担額が決まっていますが、生活集団と学習集団が一致していることが望ましいようなケースと、それから、そうではないケースがあると思うんです。単純に考えれば、学校段階が低ければ低いほうが、生活集団と学習集団が一致していることが望ましい。高くなるに従って、それがだんだん変わっていく。高等学校になってくると、単位制高校があり通信制高校がありということで、もう学級というものがないような事態も考えられるということで、その辺を一律に考えていいものだろうか。義務の標準法と高校の標準法とありますけれども、義務の中でもバリエーションがあっていいかもしれませんし、高校の中にあっても、やっぱり全日制、定時制、通信制、単位制とかということで、考え方の違いがあってもいいのかもしれないと思うのですが。そういう学級という概念を相対化していくというか、柔軟化していくというか、そういうことについてのお考えをもう少し聞かせていただけたらと思うのですが。

【全国連合小学校長会】  まさに小さいほど集団が一致したほうがいいだろうと思いますけれども、やっぱり小学校教育が100年も130年も歴史があってきていて、生活集団を集団として維持していくのは非常に危機的になってきているという状況なんだろうと思いますよ。それは、いろんな理由があると思います。親の変化もあったし、子どもの変化もあったかもしれない。簡単に言えば、自己中の集団で、ばらばらになっているものを、どうやっていくかと。いわゆる「小1プロブレム」なんていう言葉がありますけれども。そこに教員が来て、まとめ上げて、学級担任制度としてやっていくというのが、やはりいろんな意味で厳しくなっているわけです。これは、保護者との対応も何もかも含めてね。昔だったら、給食1つとったって、アレルギー食の対応なんかしてないわけで。そういう社会的なニーズが大変になってきて、それを支えるようなマンパワーがないと、昔と同じようなことではやっぱりトラブっちゃうわけです。トラブった結果、職員のところに過大に来て、中にはメンタルヘルスをやられてしまうというところがあるんですよね。

だから、昔ながらの、いわゆる伝統的な我が国の生活集団を維持していくだけで、非常に厳しい問題があると。そこにマンパワーをどう投じていくかという。それはやっぱり、何回も言うけれども、実態によって違うので、どうサポートできるかというのは、人がある程度欲しいと。ある程度というのは、そんなのは予算要求できないというと、また、そこは難しいんだけれども、だとしたら、事例を集めていかなきゃいけないんですけどね。その難しさがあるということですね。

【全日本中学校長会】  中学校のほうは、ここで今日は35人という数字を出したんですけれども、これ、確たる科学的な、教育学的な数字ではございません。通常の40人学級に比べると、35人のほうがいろんな意味でプラスになるんだということで、35という数字を出してあります。ですから、専門的な教育機関で、いや、学習集団としては20人ぐらいが一番いいんだということであれば、私どもはそれに賛成すると思います。とりあえず、今、35人、40人よりはいいだろうという、そういう数字です。

それから、もう一つ、教職員定数の関係がございますので、35という数字を出していただいて、それに沿った定数配置をしていただくというのが1つと、もう一つは、逆に、学級数×教員の数ということではなくて、生徒の数に対応する教員の数という考え方も、私はあると思っております。ですから、35人で1学級で、学級数がこれだから教員がこれだけというのと、生徒数が200人だから、教員は掛ける何人でこれだけという。それ、どちらをとるかについては、ぜひ自治体なり、先ほどから申し上げておりますとおり、学校長の裁量権の範囲内でやっていただきたい。当然、いいほうをとりますけれども、そういったようなことがあるといいなと思っています。

それから、もう一つ。書いておいたんですが、ちょっと説明しなかったんですが、最低限、中学校においては9教科の教員がどの学校にもいるという、それを1つ実現してほしい。これは免許外指導にも絡んでくるんですけれども、そういったこともお願いしたいと思っています。

【全国特別支援学校長会】  特別支援学校の場合、生活集団も学習指導もある程度近いというふうになるのですけれども、ただ、今、特別支援教育という制度に変わったことによって、いろいろな障害を持った子どもたちが1つの学校に集まってくるようになりました。そうなりますと、1クラスの中に、従来であれば、視覚障害、聴覚障害という学校別に通っていたお子さんが一緒にいるわけですから、1人の教員が視覚障害の子どもと聴覚障害の子どもと自閉症の子どもを指導するというふうになりますと、単純に数で見られるわけではないと思います。大体、人間、手は2つしかないですから、2人に対応することはできますけれども、3人目というのはなかなか難しいと。先ほど言いました重度・重複学級は、東京が設置基準が厳しいのですが、地方は、ほとんど重度・重複学級を申請どおり、認定しているといったこともありまして、そういった個に応じた対応というのは、特別支援学校のほうは今のところ、対応できているとは思うんですけれども、やはり障害が多様化してきたことに対する配慮というのが必要だろうと考えております。

【全国高等学校長協会】  高校におきましては、まさに種別によって、定数一定という必要性はないと思っております。先ほど申しましたように、実技の多いところは、現に35人でやっているところもあるし、あるいは、多様な生徒の集団である定時制は30人だとか、そういうふうなことがございますので、何人がいいというのは、それこそ、逆にふさわしくないんじゃないかと思っております。

ただ、いわゆる学校によりまして、生活指導に重点を置く学校、一方、大学入試に重点を置く学校と、さまざまございますから、そこいらのところを柔軟に考えていただきたいと思います。ですから、とにかく少ないほうがいいということは事実だろうと思っています。いわゆる教科指導にしろ生活指導、そういうものに限りましては、少人数のほうがより効果的であるということは、だれしも、異を挟まないんじゃないかと思いますので、そこいらのところを柔軟に対応していただければ、私は、学級定数は何人がいいというのは、なかなか高校では難しいんじゃないかと思っていますし、学校には、例えば、習熟度なども、習熟度を掛けると、理想的に言えば、進学校ですと掛けないほうがいいんだろうと思いますし、そのぐらいまで全員いかなくちゃいけないんだろうという気持ちはございます。ただ、教員の定数だけは、先ほど言いましたように、少人数授業などをぜひ緩和していただきたい、弾力的にとらえていただきたいとなりますと、増加していただきたいということは、どのような職種においても同じだろうと思っております。以上でございます。

【全国高等学校教頭・副校長会】  東京、偏っていると言われちゃったんですが、私どもの会は一応全国組織で、お手元の資料にも差し上げましたとおり、そうはいっても、6学級規模の学校が、全国的には標準の学校として設置されている。あるいは、6学級規模の学校に向けて再編・統合もされているという事実もあるかと思うんですね。

一方で、いわゆる4学級以下の学校と考えたときに、通学の事情等を考えたときに、必ずしも再編・統合だけすればいいという話ではないだろうと。高等学校の場合には、当然、その場合に、必要教科の教員という定数が必ず必要になりますので、仮に講師を配置した場合には、講師による時間割作成上の制限ということも出てきたりします。

専門学科の教員、あるいは教頭、副校長に聞きますと、例えば、35人学級でやっている東京の場合でも、35人でいい状態になっているかというと、必ずしもそういう学校だけではございません。したがって、35人を、やはりより減らしていただきたいという学校の要望があるのも事実だと思います。したがって、学校学校によって、それぞれの要求度というのは異なってくると思いますので、その点で、最初に申し上げましたけれども、ある程度、校長の意思決定ということが尊重されてしかるべきなのかなと思います。

【髙橋財務課長】  ありがとうございました。そのほか、よろしいでしょうか。

私のほうから端的に、小・中に1つだけお聞きしたいんですが、今日、特段言及ありませんでしたけれども、複式学級の基準についても、順次、今、改善して、平成5年以降は16人ということになっていますが、これについては、特段、何か具体的なご意見というのはおありでしょうかね。

【全国連合小学校長会】  今日の時点では、特に資料を持ち合わせてないので、控えさせてもらいます。

【髙橋財務課長】  わかりました。

【全日本中学校長会】  中学校のほうも同じく、その件については、何も意見をいただいてないので。

【髙橋財務課長】  わかりました。じゃあ、今後また、そういうご意見もあれば、よろしくお願いいたします。それでは、ありがとうございました。大体予定の時刻になりましたので、最後にちょっと、途中からになりましたが、初中局長から一言ごあいさつをお願いします。

【金森初等中等教育局長】  初中局長の金森でございます。大変お忙しいところ、おいでいただきまして、ありがとうございました。肝心のときにちょっと席を外しておりましたので、申しわけございませんでした。これから私ども、学級編制のあり方や、また、計画的な教職員定数の改善について検討を進めてまいります。本日いただきました貴重なご意見、十分参考にさせていただきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【髙橋財務課長】  それでは、これでヒアリングを終わらせていただきます。長時間、どうもありがとうございました。

― 了 ― 

 5.出席団体

第1部

全国市町村教育委員会連合会(神吉賢一 会長)、全国公立小中学校事務職員研究会(檜山幸子 会長)、全国養護教諭連絡協議会(堀田美枝子 副会長)、日本教職員組合(岡本泰良 書記長)、全日本教職員連盟(中西昭博 事務局長)、全国教育管理職員団体協議会(田中隆夫 会長)

第2部

全国連合小学校長会(向山行雄 会長)、全日本中学校長会(岩瀨正司 会長)、全国特別支援学校長会(兵馬孝周 事務局長)、全国高等学校長協会(藤井正俊 管理運営研究委員会委員長)、全国高等学校教頭・副校長会(錦織政晴 会長)

お問合せ先

初等中等教育局財務課