資料3 教育相談等に関する調査研究協力者会議(第1回)で出された主な意見

未定稿

教育相談のあり方

  • 学校段階に応じた教育相談というアプローチや在り方など、子どもの発達段階ということを考えていく必要がある。
  • いろいろな虐待を背景に持っていたり、トラウマの問題が発達障害の様子を見せてくるなど、これはすべてトラウマの問題であると考えて、トラウマカウンセリングとしてどのようなことが可能なのかという方向性で考えていかなければいけないのではないかと思っている。その中には、相談室での相談だけではなくて、全校生徒へのいろいろな話、クラス単位でのトラウマに対するリラクゼーションを含めた授業などもある。
  • いけないことはいけないという毅然としたゼロトレランス的な考え方で、出席停止の措置も含めた生徒指導の問題が今あり、教育相談は、そこらとどう折り合いをつけて生徒指導とかかわるのか、ということも問題意識として持っておく必要がある。

教育相談の機能

  • 最終的には、教育相談の体制ということよりも、教育相談の機能だと思う。機能がうまく働くかどうかという考え方に基づかないと、いくら体制的に表面的にできても有効に働かないと思う。
  • 教務、生徒指導すべてに教育相談の機能というのが絶対必要である。体制を整えるというよりも、教育相談の機能を、すべての分掌の中に位置づけていくというような考え方に発想を変えていくということで、少し学校の中の体制も、あるいは機能も変わってくるのではないかと思う。

早期からの教育相談

  • スクールカウンセラーの小学校への配置の問題であるが、小さいうちからの教育相談体制というのは極めて大事になっていくのではないかと考える。
  • ここ最近の10年間を見ていると、子どもたちや親も大変変わってきて、特に普通の子、いい子と言われる中学生、高校生たちも、いきなり型の非行ということが多く、それはどうも幼児期から幼稚園の頃にもともと根があるのかなと思う。そこで、小学校の段階も含めて、もっと幼児期からの予防的、開発的な、あるいは教育的なかかわりということが、幼稚園、小学校段階での教育相談として大事なのかなと思う。
  • これからは、小学校への教育相談体制の充実をどう図っていくかという点である。小学校への支援をすることによって、問題行動に対する早期発見、早期対応ということが重要である。

校内組織

  • スクールカウンセラーが、学校の中で非常にうまくいっている例をみると、学校内でのコーディネーター役の働きが大きい。
  • 医療的なかかわりが非常に重要だと思う。スクールカウンセラーが校内の会議の中に入って、生徒の問題を一緒に共有して、心理の専門家としての立場からアドバイスをもらうという形が、非常に効果を上げていると思う。
  • 「心の健康つくり推進委員会」(財団法人日本学校保健会)が平成16年度に調査したところによると、「子どものメンタルヘルスに関する校内組織があっても、十分に機能していない学校が少なからずある」という結果が出ている。組織体制の見直しということは重要なことである。
  • 校内組織の活動は、定期的に開催することが大事であり、その効果として、情報を共有して、校長がすぐに判断をして、必要な機関に連携をとる、そして、教職員に指示するということで、いろいろな問題に早期対応が可能となっている。
  • 校務分掌で生徒指導委員会と教育相談が分かれていると、なかなか相談を進めるのが難しいということで、自分がいた学校については、生徒指導・教育相談の委員会を2つ一緒にしてきたが、今年度からは特別支援教育も合わせて、生徒指導・教育相談・特別支援教育部会ということで、問題の予防、早期発見、問題が起きた場合の対応ということを進めている。

関係機関とのネットワーク(連携)

  • 学校と精神科医の関係について言えば、大がかりな組織をいっぺんに作って連携をとるというのは難しいと思うが、お互いがお互いのことをもうちょっと知るだけで、かなり風通しがよくなって、もうひと工夫で何か、随分状況が変わるのではないかと思うこともある。
  • 虐待とかネグレクトという深刻なケースを、児童相談所、保健師、福祉事務所、民生児童委員など、いろいろな人がかかわって、学校でケース会議をしているが、これはお互いに手をつないでオーバーラップして、網目から落ちないようにして、子どもたちを支えていくためにどうするかという知恵を出し合う会議で、非常に有効である。
  • 今の子どもの問題は、その背後に社会病理のようなものがあって、学校の教育だけではうまくいかない。カウンセラーの方々とのかかわりをネットワークしていくようなことを、これから考えていかないと問題は解決しない。
  • 最近は、いろいろ相談できる場所があって、市役所の支援課とか、あるいは児童相談所、教育研究所とか、いろいろなところと連携ができるようになっていて、ほんとうにいいと思う。
  • 学校の先生方に、どういうサポートシステムを考えていくことが大事かと聞いてみると、教育相談の方々が力を発揮し、問題解決に機能するには、やはりもう少し別の機能を持った方々も、チームの中にかかわるようなことを考えたほうが、それぞれ力を発揮できるのではないか、福祉関係の人のほかにも、あるいは非常にシビアになった場合には、法的に見解を示していただける、例えば弁護士さんというような方々も、チームの中に入っていただくようなことが大事じゃないかということであった。
  • 不登校やいじめといった問題だけでなく、虐待といったことも考えると、スクールソーシャルワーカーという領域の方々が、学校現場にもっと入っていってもよいのではないか。(スクールカウンセラーを否定しているのではなく、車の両輪として)
  • 仙台では、学校の教職員が児童相談所に3~4年出向しているが、これは互いの組織にとって非常に役に立っている。
  • 教師もメンタルヘルスの問題を生じていて、そうしたことも視野に入れていくのが必要だと思う。

スクールカウンセラー

  • スクールカウンセラーの動きというのは、待機型から接近型へ変えていかなければならない。
  • 事件・事故、災害等の危機対応において、スクールカウンセラーの果たす役割は大きい。
  • 今学校で一番大変なのは、虐待や発達障害ということも含めた、それを背景に持ったいろいろな問題行動が学校で多発していて、学校の先生がどうにも対応できないという状態になっていることである。そういう子たちにどう対応していくのかということが、スクールカウンセラーにとって、今一番大切な問題になってきている。
  • スクールカウンセラーがどのような機能を果たしているかというものを、もっとアナウンスすべきではないか。

スクールカウンセラーの活用

  • スクールカウンセラーの活用の実態は、学校の教員や組織のあり方との関係の中で、学校によってかなり大きな開きがある。
  • 教育委員会としては、新しくスクールカウンセラーとして雇用した人たちを、どう育てて、どう学校の中でうまく機能させていくかということに重点を置いている。
  • 実際、スクールカウンセラーの派遣が週1回というのは厳しいので、教育委員会で別途相談員を派遣したり、学校でボランティアの学生を活用したりしているところもある。
  • クライシスマネジメントのときに、スクールカウンセラーが決まった曜日にしか来れないといった不都合がある。

スクールカウンセラーの資質の向上

  • スクールカウンセラーの配置が拡大していく中で、各自治体としては、その資質の向上(ある一定の均質化された資質の保証)をどのように図っていくか、ということが課題である。
  • 実際に行政の側から期待されること、こんなことが必要だよ、というようなことを現場のスクールカウンセラーに知らしめていくようなシステムも、もう少し必要なのかなと思う。その中で、全国的にこんな仕事があるんだなということで、ある程度スクールカウンセラーの業務内容とか質が均一化されていくのではないか。
  • 一般的なカウンセラーと違って、学校に配置されるスクールカウンセラーには、どういった力が必要なのかということを改めて検討する必要がある。
  • 今のスクールカウンセラーは、ややもすると発達障害の領域の知識や経験があまり積み重なっていないのではないかと感じる。

スクールカウンセラーの制度

  • 教育委員会としては、スクールカウンセラーの安定した今後の配置がどうできるのかということが気になっている。現在の勤務条件は、日々雇用と変わらない状況なので、今後、学校の中できちんと位置付けていけるかどうか、雇用の安定も含めてどうできるかということが重要な点である。
  • 臨床心理士の国家資格化の問題も議論する必要がある。
  • 臨床心理士以外の方でも優秀な方はたくさんいるので、そういう方の活用方法についても考えていったらどうか。

その他

  • 学校はとにかく大変で、「忙しくて子どもたちと向き合う時間が無い」「子どもともっと時間をとるためには、もっと教育現場にゆとりがほしい」「先生の数がほしい」という声が多い。
  • スクールカウンセラーに相談にくる子どもたちだけでなく、普通の子どもたちもとても大変な状況にあることが、全員面接をしてわかった。(スクールカウンセラーの方が言っていた)
  • 情報のやりとりを、小・中、中・高、高・大、大・社会と地域、ということで橋渡しをしていくシステムというか、あり方を探っていく必要がある。
  • 新たな問題として、学校においても、団塊の世代の退職ということがあり、これから経験の少ない教員が増えていくということで、いろいろな子どもへの対応、保護者への対応について難しい面が出てくると思われる。そういったことを考えると、学校の中での組織づくり、学校を支援する体制づくり、というようなことが重要になってくるのかなと思う。
  • どんな施策も、どんなふうにうまくポリシーがあっても、子どもと向き合う先生、教員の資質、能力をどう高めていくか、要は一人一人の教員の意識をどう変えていくかということだと思う。

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初等中等教育局児童生徒課