6 スクールカウンセラーの活動環境

(1)相談室

  スクールカウンセラーには個別面接の可能な相談室が必要である。またその相談室は、生徒指導や会議の際に共用されるものではなく、カウンセリングやコンサルテーション専用の場所であることが望ましい。配置された学校に個別面接の可能な相談室がない場合は、管理職や当該市町村の教育委員会に、その設置を働きかけなければならない。
  相談室の位置、広さ、設備については、必ずこうでなければならないという基準はなく、その学校の生徒数(空き教室の状況)、市町村の予算などによって変わってくる。快適な相談室を作る努力は重要であるが、「まるまるがなければ相談ができない」といった要求の仕方は避けるべきである。(ソファー、じゅうたん、箱庭、直通電話などについてそういう要求が出やすいが、それらがなくても相談は可能であるということを心すべきである。)
  相談室の使い方について、例えば生徒指導上問題のある生徒が集まり、指示に従わずまた授業開始の合図があっても退出せず、喫煙などが行なわれる場合には、相談室の閉鎖もやむをえない。そういう事態にならないように、生徒指導困難校では、生徒指導担当者とよく話し合い、相談室利用のルールなどを作っておくべきである。

(2)職員室

  スクールカウンセラーは、職員室に座席を確保しておく必要がある。職員室内で多くの教職員と日常的な交流を図ることは、円滑なスクールカウンセリング活動を行なううえできわめて重要である。職員室内にスクールカウンセラーの決まった座席がない場合は、それが設置されるよう窓口教員を通して管理職に働きかけるべきである。

(3)窓口教員

  スクールカウンセラーは、通常週に1回の勤務となることが多いので、学校の事情を十分に把握することが難しい。また、学校の側も、相談や研修のスケジュールなどをスクールカウンセラーに集約して伝え、スクールカウンセラーの活動を調整しなければならない。そのために通常は、学校とスクールカウンセラーの窓口となる役割が置かれる。窓口となる教員は、生徒指導担当、教育相談担当、不登校担当、養護教諭、教頭など学校の事情によって様々である。
  窓口教員とスクールカウンセラーの関係としては、単なる情報の伝達係から、スクールカウンセラーのスケジュール、活動内容の細部にわたってコントロールするコーディネーターのような役割まで様々であるが、窓口教員は、やはり単なる情報伝達係りではなく、ある程度のコーディネートを行なうだけの主体性を持った立場であるほうが望ましい。ただし、あまりにも細部まで活動をコントロールされると、スクールカウンセラーの側が自主性、主体性を発揮しにくくなる。スクールカウンセラーの主体的な活動を十分に尊重した上で、その学校でのスクールカウンセリングのあり方を積極的に協議し、もっとも有効なスクールカウンセリング活動をコーディネートしてくれるような窓口教員のあり方が望ましい。窓口教員とそのような関係を作り上げることができるように、スクールカウンセラーの側も努力しなければならない。

(4)紹介(リファー)

  スクールカウンセラーは、学校内で対応することの困難な事例を紹介するための紹介先を準備しておくことが望ましい。対応の困難な事例には、

  • 病理性が深く医療の関与を必要とするもの
  • 身体的な症状が前面に出ていて医療の関与を必要とするもの
  • ある程度の期間継続して安定したかかわりを必要とするが、学校内ではその条件を満たしきれないもの
  • 例えばプレイルームなど学校内に関わりのための設備が不足するもの

  などがある。そのような場合、それぞれの事例に応じて、病院、クリニック、教育相談施設など適切な場所に紹介しなければならないが、そのためには、配置された学校の周辺にどのような施設があるのか、配置された学校と関わりの深い施設はどこか、どの施設が紹介連携先として適切かなどを調査しておかなければならない。また普段からそれらの施設との連携を深めておかなければならない。
  スクールカウンセラーは、例えば、個人的に関わりの深い特定の施設にのみ紹介を集中させているといった批判を受けることのないよう、紹介の妥当性には十分な配慮を行なわなければならない。

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初等中等教育局児童生徒課